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【MHP 3rd】第37回 ノーヒットノーランの呪縛

 Wiiの『モンスターハンター3(トライ)』をプレイせずに、『2nd G』から『3rd』にやってきたハンターさんにとって、もっとも対応に困った……というか立ち回りにくいと感じたモンスターは“リオレウス”なんじゃないかと思う。

 ……ここで、「いや、俺はレイアだけど」とか、「どう考えてもディアブロスだべwww」とか言われると「……ハイ、今日のコラムはこれにて終了」ってことになってしまうので、ここはひとつ「うん、レウスだレウス。間違いない!」ってことにしておきましょうね。

 リオレウスは、初代『モンハン』の時代から“モンスターの象徴”としてシリーズ作品すべてに登場している“皆勤賞モンスター”だが、『2nd G』までは基本的に、その動き、行動パターンに大きな変更はなかった。なので、どこかで壁を越え(これが容易じゃないんだけど)、「いけるかも?」と思った瞬間から、リオレウスは非常に対応しやすい“狩って楽しいモンスター”になったはず。言うなれば見た目はちょっと怖いけど、話してみるとじつに気さくで、いっしょに『モンハン』なんかで遊んでくれる近所のいかついお兄さん……ってところかもしれない。違うかもしれない。

 そんなリオレウスは『3(トライ)』でフルモデルチェンジされ、“空の王者”という絶対的な異名にふさわしい動きが多数追加されることになる。雄々しい翼で空にとどまり続け、火を吐くわ突っ込んでくるわワキャキャキックをかましてくるわという、「王様、少々御戯れが過ぎますぞ……」と進言したくなるご乱心ぷり。これだけ読むと「『2nd G』だってそうじゃん」と思われそうだが、とにかく“空”を使った行動に費やす時間が『2nd G』とはケタ違いになっていて、ハンターは大いに苦しめられたのである。

 そして『3rd』のリオレウスは基本的に、この『3(トライ)』のリオレウスに近い動きをする。しかも、『3rd』ならではの新モーションも多数追加されて……。なので、『2nd G』から一足飛びに『3rd』にやってきたハンターは、バサバサと羽ばたくリオレウスを見てこう叫ぶと思うのだ。

「俺の知ってるリオレウスじゃねえ!!」

 と。苦戦している人、多いんだろうなあ……。

 で、けっこう前のことになりますが、そんな“新生リオレウス”を討伐するために火山フィールドに行ってきました。まだ武器も防具も浴衣に雪駄ってくらいの時期で(どんな時期だ)、まともに考えれば「生きて帰れるかどうかは五分五分ってところか……」というパワーバランスだと思われた。

 しかし、やはり『3(トライ)』の蓄積は大きかったのだろう。俺には新生リオレウスの動きがじつによく“見えた”。中空からのブレスや、不意に放たれるワキャキャキックには何度かキモを冷やされたが、積み上げた『3(トライ)』での歴史がモノを言ってそれらの攻撃もことごとく避けることに成功する。その華麗な立ち回りは、もうゲネポもエフォクリも真っ青といったところであったろう。俺は自分のかっこよさにホレボレとし、周囲の目も気にしないでクサい台詞をぶっ放した。

「蓄積は裏切らない! 積み上げた努力は結果になって返ってくるのだぁぁあああ!!」

 たまたま攻撃を食らわなかったってだけで、どんだけ大げさなんだって話ですけどね。

 でも、ホントにこのときの俺の立ち回りは神がかっていたと思う。リオレウスがつぎに何をやってくるのかが“絵”になって頭に飛び込んできたので、それを先回りして攻撃したり、ガードしたりできたんだもの。この境地に達っすることができた人は俺と、虎砲を食らったあとの片山右京くらいのものであろう(『修羅の門』の話ね。念のためw)。それくらい、よく動けたのだ。なんたってリオレウスの尻尾を切断するまでノーダメージだったんだから。

 しかし、ここまで好調だとどうしても“あの思い”がアタマをよぎるんだよね。そう、“ノーヒットノーラン”だ。宙を舞うリオレウスの尻尾を見ながら、俺は思った。

(ノーダメージで尻尾を切断ってことは……! 1本のヒットも許すことなく7回裏も抑えた、ってことではないだろうか!!)

 残すはあと2回……。たった6人を抑えれば、大記録・ノーヒットノーランの達成である!

 そう思ったとたん、PSPをつかむ両の手にジンワリと汗が滲んだのがわかった。つい5秒前まで1ミリも緊張していなかったのに、大記録を意識したとたんに身体の筋肉がピキキキキ……と音を立てて堅くなっていく。以前、これとまったく同じような話を書いたことがあるが(どの『逆鱗日和』に収録されているのか忘れてしまった……)、こういうことに直面すると、(やっぱり人の身体の動きって、脳ミソに制御されているものなんだなぁ……)ということを実感させられる。脳が記録を意識した瞬間に全身の筋肉に緊張信号が送られ、それまで鳥の羽のように軽やかだった身体が鉛のように重くなってしまう。ホラ、たとえばボウリングをしていて1フレから奇跡の5連続ストライクを出し、「こ、このままいったら素人のクセに300点パーフェクト出しちゃうよ!!」と思ったとたんに6フレで隣のレーンに球をぶん投げてしまうほどの大暴投を演じたりするでしょう(しない?)。これと同じようなことが、ノーダメージでリオレウスの尻尾を切断した俺にも起こった。

 俺は、緊張のためにコンクリートでできた彫像のようにビキビキになってしまった身体を引きずって、リオレウスの前に立った。相手はまだ、遥か遠くにいる。ぎこちなく、これに接近する俺。そんな俺に向かって、リオレウスがポゥっと軽く炎のブレスを吐いた。緩慢な火の玉が俺に迫る。避けるのは、あまりにもたやすい。とくに、この日のパフォーマンスを考えれば5回くらいは避けられそうなものだ(意味不明)。しかし。

 ボカンッ!!!

「あああっ!!!」

 なんと、ユルユルと飛んできた火の玉がノーヒットノーランを演じていた俺に直撃!! あまりにも、嗚呼あんまりにも呆気なく、大記録が夢と消えてしまった瞬間だった。

 そしてこのとき、大記録といっしょに緊張の糸もプツンと切れた。記録も想いも、季節はずれの雪のように儚いものなのである。

 そこからの俺の立ち回りは、目も当てられないほど惨憺たるものになった。ノーヒットノーランを演じていたことが幻だったかのように、避けまくっていたリオレウスの攻撃をことごとく食らいまくってしまう。

 そして、瞬時に1オチ。 

 さすがに「こりゃマズい! 気合入れ直さなきゃ!」と思って秘薬を飲んで狩場に復帰するも、一度外れてしまった歯車は再び噛み合うことなく、俺は立て続けに2オチ……。なんと、ちょっと前まで「一度も攻撃を食らわずにレウスを屠れるかも!!」と豪語していたのに、その数分後に村に強制送還されているなんて……。

 ホント、狩りのフィールドでは何が起こるかわからない……。


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投稿者 大塚角満 : 14:30

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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