大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MHP 3rd】 『3rd』のアレコレを語る! 辻本プロデューサー、一瀬ディレクターインタビュー・後編

 というわけで、『モンスターハンターポータブル 3rd』の辻本良三プロデューサーと一瀬泰範ディレクターへ行ったインタビューの後編をお届けします。クダラナイ話が目立つかもしれませんが、じつはキラリと光る重要な話題も混入しておりますので油断しないように!

ユクモ村のたまご

辻本 各シリーズで、村には一定のテーマみたいなものがあるんです。『2nd』は寒い地方の村が舞台で、『3(トライ)』は南の国の水辺で……というね。
一瀬 お風呂と和のテイストって、つながりもいいじゃないですか。キーワード的にも、“和のテイスト”って言われると想像が膨らむと思うし。それはユーザーさんだけではなく、開発サイドもそう。「和ってことは、コレがあるんじゃない?」なんて想像も膨らんで、新しいアイデアも出てきますし。
大塚 うん、確かに。僕もいろいろと思いましたもん。PVのユクモ村にあるデカいたまごのような物体、「あれは温泉たまごなんだろうか……」とか。
辻本 ……んなもの、なかったですよ。
大塚 ちょっと。モロにあるでしょが!! でっかいのが!!
辻本 でもあったとしても、それがたまごって決まったわけじゃないでしょ??
大塚 !! た、確かにそうだ……。
辻本 でしょ?(ニヤリ)
一瀬 ……じつは僕らも、アレが何なのかナゾなんです。
大塚 ええ!? そんなことないでしょ(笑)。
一瀬 ところが!! じつは今日の朝、アレがなんだったのかの答えがでました。
辻本 え! わかったんや。
大塚 今日って(笑)。
一瀬 ……でも、それは言いません!!
大塚江野本 ええええええ!!
辻本 ……じつは僕も、村のステージができて初めてそれを見せてもらったときにたまごみたいなのを指して「コレなんや??」って言いました(苦笑)
一同 (爆笑)

大塚 俺と同じじゃないっすか!!
一瀬 そうなんです(笑)。
大塚 ミステリアスな話だなあ(笑)。でもその物体みたいに、あのPVには気になるものがたくさんあるんですよね。クエストカウンターと思しきところにあるデカいダルマとか。きっと全国で、いろいろな妄想が飛び交っていますよ。ホント、出し惜しみしていないPVですよね。
辻本 うん、出し惜しみはしていないですね。
一瀬 でも、アレですべてですけどね。
大塚 すべてを出すのが早すぎですよ!!(笑)
辻本 つぎのPVでは、あのたまごみたいなのがちょっと割れてます(笑)。そこしか変わりません。
大塚 最後、何が出てくるんだ!?
辻本 まあアレがすべてというのは冗談ですけど、ようやく見せられる開発状況になってきたんです。で、最初に何を見せるべきか、ということを話していて、あれだけのものを見せることになったわけですね。
一瀬 良三さんが「ガンランス見せたい!」ってずっと主張していまして。
大塚 おお! ありがとうございます!
辻本 アレがガンランスかどうかわかりませんけどネ。
大塚 思いっきりガンランスでしたよ!!
一瀬 でも、僕らが断言したわけじゃないでしょ?
辻本 そうそう。
大塚 そう言われると、確かに……。
一瀬 じつはボウガンかもしれないですし。盾付きの。
大塚 なるほど、それはありえるかも……って、もうこういう茶番はやめましょうよ(笑)。
一同 (爆笑)

双剣はより攻撃的に

大塚 あのPVってひととおりいいところを見せているじゃないですか? 主だったところで出ていないの、双剣、狩猟笛、弓くらいでしょ? このへんの武器にも、かなり手が加わっているんですか?
辻本 そうですね。まあそのあたりのことは、追々情報を出していきますけど。
一瀬 毎回手を入れますからね、武器は。
大塚 その中で、今回のPVではガンランスを見せてくれたと。
辻本 ガンランスは、わかりやすかったですしね。
一瀬 それと、人気があるので先に見せてあげたいという思いも強かったですよ。
辻本 双剣、ってのも考えたんですけどね。でもガンランスのほうがドカドカと派手に動いてくれるので、最初はこれかなと。
一瀬 順次見せていけたらなと思っていますよ。
大塚 新しい要素を入れるうえでたいへんな武器ってあるんですか?
一瀬 それはありますねえ。
辻本 弓じゃない?
一瀬 うーん、一概には言い難いところですが……。
大塚 狩猟笛がたいへんだろうな、って思っていましたけど。
一瀬 個人的には、「双剣どうしようかな」って思いましたね。「いじるところ、あまりなさそうだな」って。笛については、もともとやりたいことがあったので。
大塚 さすが笛使いっすね。※一瀬さんはプレイするときは徹底して狩猟笛なのだ。
一瀬 (無言で胸を張るポーズをする一瀬さん)
大塚 なんのポーズっすか(苦笑)。
一瀬 でもそう言っちゃうと、ほかの武器でやりたいことがなかったみたいに聞こえますね(苦笑)。
大塚 確かに(笑)。
辻本 そんなことはないですからね(笑)。
一瀬 双剣も、だいぶ変わっていますよ。
大塚 おお……。双剣ってどう変わるのか、まったく想像できないんですよね。……まあガンランスも想像できんかったが(苦笑)。
一瀬 双剣は、いままで以上に攻撃的になっていますよ。
江野本 えええ! いまも相当攻撃的な武器だと思いますけど!
一瀬 攻めの幅が広がって楽しいし、かっこいいですよ。
大塚 武器はそうやって新しい要素が加わり、さらにオトモアイルーが2匹になって戦略の幅が広がると……。ホント、『2nd G』までとは違う手触りを楽しめそうですね。
辻本 そうですね。最新作ですよ、ってことです。
大塚 早く触りたいなあ(と、辻本、一瀬両氏の顔を見る)。
一瀬 年末には触れますよ。
大塚 年末って、発売されてるじゃないですか(苦笑)。……つれないなあ、一瀬さん。
一瀬 僕は毎日触ってますけど、いやあ、おもしろいですよ!!
一同 (爆笑)
大塚 ちっくしょー……。
一瀬 すんごいおもしろいですよ!!
大塚 わかりましたよ!(苦笑) つまんないわけないでしょが!!
一瀬 あははは!
大塚 良三さん、『3rd』も弓でいくんですか?
辻本 うーん……。今回はスラッシュアックスをメインにするかも。
大塚 あ、そうなんだ。
一瀬 スラッシュアックス、めっちゃ気持ちいいんですよ。
大塚 『3(トライ)』と比べて変わってるんですか?
辻本 ……秘密です(笑)。
大塚 ちぃ(笑)。
一瀬 『3(トライ)』にある武器は、PSP用にボタン配置を変えて……っていうことは当然していますけど、そのほかは……まあ追々ってことで! ……ちなみに大塚さんは、何をメインでやられるんですか?
大塚 え!? まさか俺にその質問が来るとは思ってなかった(笑)。
一瀬 いやいや。これだけ「新しくなりますよ」って説明したんですからね。それ相応の答えをしていただかないと。
辻本 片手剣でしょ?
大塚 ええ!? ……でもあのPVを見ちゃったら、やっぱりガンランス使ってみたいですよ。
一瀬 ……フ(冷笑)
大塚 そんな冷笑されるほど期待ハズレなこと言いました? 俺(苦笑)。……でも『3(トライ)』のランスがものすごく気持ちよかったので、『3rd』でも引き続き使いたいなぁって思いはあります。
辻本 それはあるでしょうね。ランスは『3(トライ)』ですごく変わりましたから。
大塚 武器も、絶賛制作中なんですよね?
一瀬 ですね。まさに作っているところです。
大塚 武器の派生もイチから練り直しているんですよね?
一瀬 ゲームがイチから変わるので、そのへんも全部いじっていますね。

渓流フィールドとは

大塚 モンスターについては、ティガレックスとナルガクルガがいたことに驚きましたよ。
辻本 いました?
大塚 いましたよ!! PV見せましょうか!?
一瀬 え? 大塚さんのPSP、PV入っているんですか?
大塚 入っていますとも! 「PSPで見たほうが絶対にいいですよ!」って江野本に言われて、それ以来PSPで見ています。※PlayStation Storeで配信されています!
辻本 PSPで見るとかなり実機で遊んでいる感覚に近いから、オススメですね。
大塚 『ポータブル』シリーズを象徴する2頭が登場したわけですけど、『2nd G』までにいたほかのモンスターは?
一瀬 ……何を言ってるのか、よく聞こえないですねえ。
大塚 ちょっと(苦笑)。
一瀬 そんな回りくどい聞きかたじゃなくて、いっそ「どいつがいるんですか!?」って聞かれたほうが気持ちよく答えられるってモンですよ!
大塚 どいつがいるんですか!?(超期待)
一瀬 言えません。
一同 (爆笑)
大塚 ちょっと!!!(怒)
辻本一瀬 あはははは!!
大塚 まあでも、ティガとナルガがいるのを見て喜んだ人は非常に多いと思いますよ。
辻本 やっぱり『ポータブル』シリーズを代表するモンスターなので、この2頭を入れることは早々に決まりましたね。
一瀬 モンスターについて言えることは、『3rd』には水中がないのでそれがないと成り立たなかったり個性を活かせないモンスターはいないってことです。
大塚 ちなみに、水中を導入しないという判断は早いうちにされたんですか?
一瀬 そうですね。いろいろな検証をしたり、『ポータブル』の方向性とかを考えた結果、水中を導入しないことは早々に決めました。「『3(トライ)』とは違う道を進もう」ってことになったわけです。
大塚 水中がないってだけで、だいぶフィールドの雰囲気は違うだろうなあ。
辻本 見た目はそんなに変わらないですけどね。やっぱり孤島は孤島って感じがするし。でもちょっと動いてみたら、違う発見があるかもしれないですよ。
一瀬 水没林も見た目は変わっていないですけど、水中があったところは全部違うものになったりしていますしね。
大塚 へぇ〜! ちなみに新フィールドの渓流が、『3rd』を象徴するフィールドになるわけですよね?
辻本 はい、そうですね。
大塚 どんな特徴があるフィールドなんですか?
辻本 緑の中に水があり、滝が流れていて……。そして、むかし人が住んでいたんじゃないかと思える形跡、名残がところどころにあるんです。そんなフィールド。
一瀬 森って生き物がいるというイメージがあるからフィールドにしやすいんです。ただ、いままでにも森丘があり、樹海があり、密林もあったので、どうしても似通ったステージになっちゃう可能性がある。そこで今回は和というテイストを融合させつつ、川を主軸に構成することにしました。そして、いままでは“緑”のイメージが強かったんですけど、要所に赤色を入れることで、同じ森でも違うイメージになるんじゃないかな、と。さらに、かつて人が住んでいた名残のようなもの、人工物が渓流のところどころに置いてあります。これまでのフィールドにも遺跡のようなものはありましたけど、今回のものは人が住んでいながらも荒廃としてしまった村の形跡……。村がなくなってしまった場所に、山奥に住んでいたモンスターたちが領土を広げてやってきた……という背景が見せられれば、また違うものが表現できるかなといった感じです。
大塚 へぇ〜!
一瀬 エリアごとの彩りが、いままでのフィールドと違う感じになっていますよ。
大塚 竹林があったり、木の枝でできた吊り橋みたいなものがあるのも、渓流ですよね?
一瀬 はい、そうですね。
大塚 開発チームの皆さんで、あちこちの渓流を見に行ったりしたんですか?
一瀬 ああ、取材には行きましたね。背景班はとくに。
大塚 渓流って、僕みたいな田舎出身の人間だと懐かしいんですよね。家のまわりは渓流だらけで、ヤマメとかイワナを釣っていたし。
辻本 ボク、都会っ子なんでそのへんのことはよくわからんなあ。
大塚 出たよまたそういう発言!
辻本 あははは!

PVには、まだまだ秘密がいっぱい!

大塚 年末発売ですと、夏くらいにはひととおりできてる、って感じですよね?
辻本 いや! 夏はきびしいんじゃないかなぁ……。でも、発売まえに体験できる場を設けようとは思っていますよ。
大塚 おー! いいですねえ!
辻本 そのほかのことは、まだ『3rd』は第一報を出したばかりですから……。
一瀬 情報は順次公開していきますので、お楽しみに! とりあえずは、PVを堪能してください。じつはこの中に、ものすごい量の情報が入っていますから。大塚さんの知らないことが。
大塚 え、マジっすか?
一瀬 ええ。むしろ、「なんであのことを聞いてくれないんだろう?」って、さっきからイライラしてるんですわ。
一同 (爆笑)
江野本 たまごを気にしてる場合じゃなかったんですよ大塚さん!
一瀬 まったくですよ!
大塚 ホントに? うーむ(苦笑)。
一瀬 PVのド頭から、もう一度じっくり見てくださいよ。で、再度インタビューに来てください(笑)。
大塚 わかりました。毎日PVを見て、気づいたことがあったら一瀬さんにメールします!
一瀬 はい、ぜひ。
辻本 でも、何も答えませんけどね(笑)。
大塚 答えないの!!?
辻本 まあ、今回は文字的な情報をあまり出さなかった代わりに、PVにいろいろ詰め込みましたからね。何度もくり返し見てみてください。
一瀬 たまごについては、大塚さんほど食いつかなくていいと思いますけどね(笑)。
大塚 えええ! そんなあ!
江野本 あの! 発表会のとき、PVが終わったあとから流れていた曲がすごく気になっているんです。PVの最初のほうにも、同じフレーズがありましたよね? あれは……?
辻本 ああ、村の曲ですね。
江野本 やっぱりそうなんですか! あの曲がすごく気になって頭から離れないんです。泣けてしかたなくて。
一瀬 よかったあ!
江野本 え? 何がですか?
一瀬 「すごくハラが立って!」と聞こえたんですが、聞き間違いでした。「すごく気になって」ですね。
江野本 そんなこと言いませんよ! めっちゃお気に入りなんですから! いままでの村の曲って落ち着いた曲調のものが多かったと思うんですけど、今回のはぜんぜん雰囲気が違って。
一瀬 すごくいい曲ですよ。僕は仕事しながら、ずっとあの曲を聴いていますから。
江野本 サントラって、まだ出ないんですか!?
辻本 まだゲームも出てないのに(苦笑)。

 いかがだったでしょうか? インタビューさせてもらったのは第一報が出て間もないころだったので「どんな感じになるかな?」と思っていたのですが、良三さん、一瀬さんのおかげでじつに実りのある内容になりました。とりあえず僕はこのインタビューをしてから、いままで以上に集中してPVを観るようになりましたよ(笑)。皆さんもつぎの情報が出るまでPVを観まくって、いろいろと妄想を膨らませるといいかも。『3rd』はそんな妄想をも裏切らない内容になると思うから、ね。


投稿者 大塚角満 : 12:09

【MHP 3rd】 『3rd』のアレコレを語る! 辻本プロデューサー、一瀬ディレクターインタビュー・前編

 3月16日に電撃発表されたPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『モンスターハンターポータブル 3rd』。早くも公開されたプロモーション映像には気になる要素が満載で、夜な夜なコレをくり返し見て布団の上でのた打ち回っているハンターが全国に400万人くらいいると見た。

 そこで今回、『3rd』の中枢である辻本良三プロデューサーと一瀬泰範ディレクターにインタビューするために、江野本ぎずもとともに大阪に乱入! 『3rd』の開発で忙しいさなかに、じっくりと話を聞いた。いつものとおり、ざっくばらんなヨタ話も若干ながら混入しているが、じつに興味深くもおもしろいインタビューになったので(って自分で言う)、噛み締めるように読んでみてくださいな。とても長いので、前編・後編の2回となります。

ゲームの“基礎能力”が上がった

大塚 さて、こうして取材にやって参りましたが、いま話してもらえることってすごく限界があると思うんです。
一瀬 いや、そんなことないですよ(キッパリ)。
大塚 え。ホントっすか!!?
一瀬 ええ。(辻本良三プロデューサーの席をチラチラ見ながら)……ここに来るはずの人が来なければ。
大塚 ……じゃあ良三さんが来るまえにいろいろ聞かないとだな。
一瀬 何が知りたいですか?
大塚 『モンスターハンターポータブル 3rd』のすべてが知りたい。
一瀬 どんだけざっくりした質問なんですか(笑)。もっとこう、「ガンランスの突きのフレーム数はいくらで……」とか聞かないんですか?
大塚 いや、あまりにも細かいところはちょっと……(苦笑)。もうちょっと大枠でいいです。
一瀬 ええ? いまの、どこにも聞かれてないし、どこにも話していない情報ですよ?
大塚 この段階でフレーム数までは、なかなか聞かないでしょうよ(笑)。
一瀬 そうですかあ。残念ですねえ。
大塚 でもPV(プロモーションビデオ)にあったガンランスのモーションには奮えましたよ。
一瀬 ああ、そうですか。
大塚 相当違うでしょう? いままでのガンランスのモーションと。
一瀬 ええ、違いますね。
大塚 なんか、横に銃身を振りながら弾丸を装填しているように見えたし。
一瀬 さすが!! 見るところが違う!

※ここで、辻本良三プロデューサーが登場。


●辻本良三プロデューサー

辻本 ご無沙汰です〜!
一瀬 良三さん、いま大塚さんに「プロデューサーが来るまでだったら何でも話しますよ」って言ってしゃべりだしたんですけど、ガンランスって単語が出たところで終わっちゃいましたわ。
辻本 まあしゃべったところであとでカットするけどね!
一瀬 じゃあ次回ってことで(笑)。
大塚 まだ何も聞いてないのに……(苦笑)。まあいいや。でね……
辻本 (大塚の発言を遮るように)コレ、何に載るんですか??
大塚 なんでそうやって話の腰を折るんスか!!(激怒)
一瀬 いま大塚さんが説明しようとしてはったのに(笑)。
大塚 僕のブログっすよ、ブログ!
辻本 あー。ファミ通.comのね。りょーかい!(笑)
大塚 第一報でかなーり詳しい情報が出ていたのでそのおさらいをする感じになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
辻本 ハイ、ドウゾ。
大塚 『3rd』の開発コンセプトは?
辻本 ファミ通を読んでください。
大塚以外 (爆笑)
大塚 ホントにこのとおりに書きますよ!!!(激怒)
辻本 あははは!! 大塚さんたち、来た意味がないね(笑)。
一瀬 でも僕たちは大塚さんたちに会えたことで元気をもらえたので、『3rd』の開発スピードが2倍、3倍にハネ上がりましたよ。そういう意味で、来てもらってよかったです!
大塚 ホントっすか?(苦笑) でも、一瀬さんが思いのほか元気そうなんで安心しましたよ。もっと疲弊しているかと思った。
辻本 まだ、大丈夫です。
大塚 “まだ”なんだ(笑)。
一瀬 ……でも、最近ちょっと忙しいですよ?
辻本 ……うん、最近はちょっとね(苦笑)。
一瀬 ホントは今日、お休みをいただこうかと思っていたんですけど、「あ、そうや。今日は大塚さんのインタビューがあるんやった」ってことで出てきたんですよ。
大塚 そうやってプレッシャーかけるのやめてください(笑)。でも『3rd』って、いつごろから開発が始まったんですか?
一瀬 『2nd G』の開発が終わってからすぐ、ですね。
辻本 “構想を含めて”ってことだとそうなりますよ。いきなりガツガツと動けるわけもないので、まずは構想から。
一瀬 はじめは少人数でスタートしました。だから最初のうちは、隅っこのミカン箱を机にして細々と構想を練る……って感じでしたねえ。企画書を書いたりとか。
大塚 じゃあ、始まりは2年以上まえなのかあ。
一瀬 そうなりますね。
大塚 当初は、一瀬さんほか数人で作業を?
一瀬 はい、そうですね。
辻本 『3rd』ってだいぶ造りを変えているんです。ゲームの基礎の部分を。なので新たに検証しなければならないものも多いですね。もうね、メモリーの配分を割り直したりもしていますし。
一瀬 “新しい『モンスターハンターポータブル』”だと思っていただければ。
大塚 インタビューにありましたよね。“『2nd G』とも『3(トライ)』とも手触りが違う”って。
一瀬 ……なんのインタビューですか??
大塚 週刊ファミ通の第一報ですよ!! 一瀬さんが言ってたでしょう!!(怒)
一同 (爆笑)


●一瀬泰範ディレクター

大塚 でも僕らからすると、『2nd G』か『3(トライ)』を土台にして作っているんだろうな……って思うじゃないですか。
辻本 毎回、そんなつもりはないんですけどね。『2nd』のときも「『2(ドス)』でも『ポータブル』でもないですよ」って言ってましたし。
一瀬 今回も「『3(トライ)』のモンスターが出ますね!」って言われますけど、「うーん、出るんですけどね……」ってちょっと言い澱んじゃいます。「『3(トライ)』と同じなんですよね?」と言われても(うーん、違うんだけどな……)って思いながらも、なんとも答えにくいところがあって。
辻本 『3(トライ)』は『3(トライ)』の遊び心地で作られた『モンスターハンター』で、『3rd』は『3rd』のコンセプトで作られた『モンスターハンター』なんですよね。切り分けて考えているので、同じモンスターが出てきても違うテンポの遊び心地になるように作ってあるんです。
一瀬 簡単に言えば「楽しめますよ!」ってことですね。
大塚 でも、新しいモンスターの“アオアシラ”がPVに頻繁に出てきますけど、すごく滑らかというか、柔らかい動きをしていますよね。
辻本 さきほども言ったシステムから作り直している……っていうあたりとつながっていて、ゲーム的な“基本能力”がアップしている部分がけっこうあるんです。それによって、クオリティーアップの出所がモーションだったり、ゲーム画面の色味だったりする。PVを見て「グラフィックがキレイになったなあ」と思われたとしたら、まさにそういう部分が表現されているからですね。
大塚 へー!! でも、そんなに変わるものなんですね。
辻本 正直、『2nd G』のときに「限界やろ」と思ったんですよ、みんな。「これ以上は無理や」って。でも、いろいろと作り直す過程でプログラマーもすごくがんばってくれたし……って、まだ完成してないですけど(笑)。
大塚 あはは!
辻本 最終的にどうなるのかは、まだわからんもんな(苦笑)。
一瀬 ええ。ちゃぶだいをひっくり返すかもしれませんしね。
一同 (爆笑)
辻本 まあそういうことが、基礎の部分のクオリティーアップにつながっているわけですね。
一瀬 これまでのノウハウありきでイチから作ると、伸びしろの幅も大きいんです。
大塚 おお、なるほど。
一瀬 ものすごくわかりやすく言うと、『2nd G』のときは『2nd』に増築する感じだったんですね。なので、本当はオトモアイルーを村の中でも連れまわしたかったんですけど、増築だったのでできませんでした。でも今回、イチから作り直したことによって村の中でもオトモアイルーを連れまわせます。これはすごくわかりやすいところですけど、こういった変化がいろいろとあるんです。
大塚 へぇ〜!
辻本 『3(トライ)』もそういう作りかたをしているんですけど、今回は『ポータブル』シリーズでも土台の作り直し……というか、イチから作り上げている。村の中をオトモアイルーといっしょに歩くというのは細かい部分ですけど、以前できなかったことのひとつができるようになっている証拠ですね。グラフィックの色数もそう。
大塚 『3(トライ)』の最初のころのインタビューを聞いているみたいだなあ。
辻本 そうですね。ポジション的には違うんですけどね。『3rd』はハードが変わっていない中でそれをしなければいけないので。
一瀬 特殊なことはできないんです。PSPという土台は変わっていないですから。なので素直に、『モンスターハンター』の根幹の部分はそのままに、携帯ゲーム機ならではのところを突き詰めていこうと思っています。それが、コンセプトですね。『2(ドス)』から『3(トライ)』に変わったように、『ポータブル』シリーズも『2nd』、『2nd G』があったうえで新しい『3rd』に変わる。その過程で『3(トライ)』や『2nd G』の要素も入りますが、「今回作るとしたらこうなる」ということを考えて入れ込んでいるんです。アイテムもイチから、「これは本当にいるのか?」という部分も考えて作っていますよ。
辻本 『ポータブル』シリーズで何をしないといけないのか? ってことだけですよ。究極は。
大塚 『ポータブル』シリーズでもっとも大事にしなければならないこととは? 手軽さとか?
辻本 そうですね。手軽さは、大事ですね。
大塚 じゃあ、一瀬さんが考える『ポータブル』シリーズでもっとも大事にしなければならない要素は?
一瀬 手軽さです!!(きっぱり)
大塚 なんで合わせるのよ(笑)。
一瀬 携帯ゲーム機でいままで培ってきた部分、つまり“広げる『モンスターハンター』”という魅力を、今回の『3rd』でどれだけ引き出せるかな? と考えています。なので、いろいろと試してみることができればと思っています。
大塚 さらに広げるための施策を『3rd』に仕込む、と。
一瀬 さすが!! よくわかりましたね!
大塚 ……いままさにそう言ったじゃないすか(苦笑)。
辻本 大人数での遊びは、『2nd G』までである程度確立できたと思うんです。でもじつは、マルチプレイをよくやる人でもひとりで黙々と遊ぶシチュエーションってけっこうあるんですよね。そのときの楽しみとか遊びをもっと広げられる要素ってあるかな? って考たときに出てきたのが、2匹のオトモアイルー。オトモアイルーを2匹連れて行くことによって当然クエスト時の戦略の幅は広がりますし、それ以前に「どうやってオトモを育てよう」、「どのコンビにしよう」という考えの幅自体も広がると思うんです。ひとりプレイのときの楽しみを、いままで以上に提供してくれると思いますよ。そしてもちろん、協力プレイを否定するつもりはなくて。ただシチュエーションとしてひとりで遊ぶことも多いわけだから、そこにもしっかりとアプローチしようよ、ということですね。
一瀬 ふつうのゲームだったら、ピンポイントでターゲットを絞って作ると思うんです。中高生に合わせるとか、女性をメインに据えるとか。じゃないと、コンセプトがブレるので。でも『ポータブル』シリーズって、『2nd G』でユーザーの幅がすごく広がり、性別や年齢を超えて楽しんでおられる。なので“みんなが楽しい”と思える要素を入れていきたいんですよね。でもだからと言って、『モンスターハンター』の根底を崩すものを入れてしまうのは論外なので、だからこそいままでの人がついてきてくれた要素というのは大事に残してあります。“王道部分は残してある”ということですね。それ以外の、たとえばテイストとして“和”の雰囲気が入っているとか新しいモンスターについては、僕らとしても「コレ、どうですか!? おもしろそうじゃないですか!?」ってアピールしたい部分なんです。それらをひっくるめて『3rd』というものが成り立っているんですよ。
大塚 和テイストには驚きましたよ。まったく想像していなかったので。
一瀬 過去のシリーズを横並びにしたときに、「これが『3rd』だ」ってすぐにわかってもらえるものを用意したかったんですよね。……ていうかそもそも、和よりも“お風呂”を入れたいっていう思いがありました(笑)。
大塚 あ、そうなんですか。
一瀬 じつは『ポータブル』の『1』のときから構想はあったんです。「お風呂をなんとか導入したい!!」って。でも『ポータブル』のときはあまりにも忙しすぎて実現できず、アイルーキッチンに落ち着いたんですね。で、『2nd』の企画を練っているときも「お風呂でけへんかなぁ〜」って思っていたんですけど……。
大塚 そこまでお風呂押しだったんすか!?
一瀬 ええ(笑)。
辻本 だから『2nd G』の集会所の入口前には湯気が上がっている温泉の場所があるんです。※みんな見てみよう!
大塚 あ、そうだったんだ!!
一瀬 名残、なんです。「せめて湯気だけは……」ってことで。
大塚 あははは! かわいい理由っすね!!
辻本 『2nd G』が出始めのころ、質問されたことがありましたよ。「村の温泉に入れないんですか?」って。
一瀬 いつか実現したい要素だったので、「うーん……無理ですね」と答えていましたけど(笑)。やっと念願叶いますよ。
大塚 よかったですねえ(笑)。
一瀬 いい歳こいたオトナが延々と「どうやったらお風呂に入れるんだろう?」って相談してましたからねえ(苦笑)。
大塚 あははは!!

※後編に続く!

投稿者 大塚角満 : 11:45

【MH】『ただいま! 逆鱗日和』発売記念イベント 最終話

 第4回角満カップのリポートが、ついに幕を閉じた。これだけの量のテキストとなるとさすがに一気に書ききることができず、イベントが終了してからひと月以上が経過したいまになってようやく締めることに……。参加してくれたアスリートの皆さん、お待たせしてごめんなさい……。

 さて、その第4回角満カップだが、観客の皆さんの投票によりタイムが変動する4回戦を除いた結果は以下のようなものだった。

 ご覧のとおり1回戦、2回戦、5回戦で茨城フォーが1位を獲得し、累計タイムでも頭ひとつ抜き出てトップとなっている(チームレジェンドのタイムは39分52秒が正しい)。これに、4回戦の魅せプレイバトルの集計結果を換算すると……!

 “ドラマ仕立て狩猟”が観客から圧倒的な支持を集めたNAMAZONEがじつに76票(!)を獲得し、“−304秒”の権利を獲得。結果、累計タイムで一気に1位に躍り出た。

 しかし、ここで問題(?)が起こった。最後の競技となった5回戦は既報のとおり茨城フォーしかクリアーできず、ほかの3チームはペナルティータイムを加算されることになったのである。ペナルティータイムとは“クエストに失敗したら、その競技の最下位チームのタイムに2分をプラスした記録になる”という取り決めのことで、たとえば5回戦でもしも茨城フォー以外のチームが30分でクリアーしていたら、クエストに失敗したチームは“32分”というタイムになったわけだ。ところが実際は、1位の茨城フォーしかクエストをクリアーしていない。つまり茨城フォーはタイムの面では1位でもあり、最下位でもあるというややこしい状況になってしまったのです(ほかのチームの記録がないので)。総合タイムで茨城フォーを逆転した形になったNAMAZONEではあったが、3オチで終了になった時点でクエストクリアーになっていたとしたら、茨城フォーのタイム+2分に届かなかっただけでなく総合タイムでも茨城を越えられなかった可能性が高かった(あくまでも画面に出ていた時計での判断だが)。結果、

「角満カップ運営事務局で協議します」

 ということになり、ステージの裏で選手全員を集めて協議することになったのである。

 俺はステージで間をつないでいたのでどんな協議が行われたのかはあとで聞いたのだが、控え室では選手どうしが話し合いを行って、「NAMAZONE優勝のままでいいのではないか?」、「2チームで優勝決定戦を」とうとうの意見、アイデアがいろいろと出されたそうだ。しかし最終的に選手たちは「角満さんに判断してもらうのがいちばんいい」と意見を統一してくれて、それを江野本ぎずもが俺に報告した。

「どのチームが優勝なのかは大塚さんの判断にお任せしたいと選手たちが言っています。“それがいちばん納得できます”って。なので、どうかご判断を!」(江野本)

 しかしそうは言われても、俺の一存で優勝チームを決めるなんてことができるわけもなかった。草大会とはいえ、どの選手も真剣に優勝を目指してプレイしてくれたのである。俺はステージの脇に江野本を呼んで、小声でささやいた。

「俺だけの判断で決めるようなものじゃない。なので、観客の皆さんに茨城フォーとNAMAZONEのどちらが優勝にふさわしいか拍手をしてもらって、それで決めよう」

 江野本はコクンと頷いてこう言った。「はい! それでいきましょう!」。

 そして俺はステージで事情を説明し、より優勝にふさわしいチームに拍手をしてくれるよう観客の皆さんにお願いした。その結果、各勝負で安定した強さを見せた茨城フォーに拍手が集中。これにより、第4回角満カップの優勝チームは茨城フォーとなった!

 優勝した茨城フォーの4人にはそれぞれ、俺が夜なべして作ったシルバーのリング、その名も“ゲキリング”を贈呈。いやあ、とてつもなくかっちょいいデザインなので読者の皆さんにもお見せしたいんだけど、写真を撮り忘れたため公開できないんだよなぁ。じつに残念だ。


▲ゲキリングを見つめる茨城フォーのうれしそうな表情が、この作品のすばらしさを物語っている。

 そしてこのあと、すっかり遠い昔のことのようになってしまったが“第1回角満検定”の結果発表を行った。最高成績は、36点満点で35点という高得点を叩き出した女性読者の方! 間違えたのは最終問題の角満vs.たけちーの勝者予想だけという、ほぼ完璧な答案だった。しかし、これを指してMCの佐治は「それほどの角満フリークでありながら、タイムアタック勝負となると大塚さんはまるで信用できねえってことですね!!」と痛烈なコメント。たけちーもこれを受けて「ホントに申し訳ない!!w」と平謝りしていました(笑)。ちなみにこちらの女性には最優秀賞として、ウチのイベントではおなじみのグッズ、サイン入りハンドボールをプレゼント(ニヤリ)。さらに次点のおふたりには大塚角満ファースト写真集『KADOMANIA』が贈られたのでした〜!

 こうして、長時間に及んだイベントは幕を閉じました。タイムマネジメントがうまくいかず、反省点が続出したイベントとなってしまったのですが、次回への種まきもできたんじゃないかな……といまは思っています。

 たいへんなことは多いけど、読者の方とじかに触れ合えるライブイベントはやっぱり楽しいし、かけがえのない時間を提供してくれます。なので、僕と江野本は毎日のように「こんなことできるかな?」、「こういうアイデアもありますよ!」と次回のイベントに向けたアイデアを出しあったりしているんです。いつになるかわかりませんが、懲りないふたりは必ずまた、こういったイベントを企画するでしょう。そのときをどうかお楽しみに! ありがとうございましたー!

投稿者 大塚角満 : 00:00

【MH】『ただいま! 逆鱗日和』発売記念イベント その12

 長かった第4回角満カップもいよいよ大詰め。最終5回戦のラストを飾るのは西のモンハン虎の穴・モンカフェ軍団だ。ここまで3チームが挑戦した5回戦の武神闘宴は、クリアーしたのは茨城フォー1チームのみで、チームレジェンド、NAMAZONEは“記録ナシ”となっている。いつもとは違うプレイ環境、ステージの上という緊張感、そして少しでもタイムを詰めるためのギリギリの作戦までもが、大きな壁となってアスリートたちの前に立ちはだかった。この一発勝負の舞台でベストのパフォーマンスをすることがどれほど難しいかを、チームレジェンドとNAMAZONEのクエスト失敗が物語っているよう。そんな中、最後の登場となったモンカフェ軍団はどんな立ち回りを見せてくれるのか?

 モンカフェ軍団に課せられた武器縛りは“大剣”だ。4人のうち誰かひとりは必ず、大剣を装備してクエストに臨まなければならない。でもコレ、片手剣やガンランスの縛りに比べたらかなーり楽なはず。片手剣やガンランスがガチでタイムを目指すタイムアタックに使われることはまずないと思われるが、大剣はふつうに、メインのダメージソースとなる武器として縛りがなくても選ばれる可能性がある。そういう意味では、モンカフェ軍団にはいい風が吹いていると言えた。

 最初のナルガクルガと対峙したのは、ハンマーを担いだ店長だった。店長は闘技場に飛び込むやいなや音爆弾を投げ、ナルガクルガを怒らせる。怒ると同時に飛び退ったナルガクルガを尻目に店長は落とし穴を作成し、これに誘導しようと試みた。ところがナルガクルガは落とし穴を目の前にしてバックステップし、さらに尻尾から棘を飛ばして店長を攻撃してくる(しかも店長を直撃)。ナルガは落とし穴が見えているかのようにサイドステップをして穴を飛び越え、これに業を煮やした店長は威嚇するナルガクルガに接近してスタンプからの振り上げを当てようと試みるが……なんとこれを外してしまった! しかもナルガクルガの飛びつきをギリギリの距離で避けようとするもわずかにかすり、攻撃を食らってしまう。

 それでもようやく、ナルガクルガが落とし穴に落ちてくれた。この程度のほころびだったら、まだ余裕で繕える。ここでキッチリとスタンプと振り上げを当てられれば、一気にスパートをかけられるはず。しかし……。

 店長の攻撃は、ことごとくナルガに当たらなかった。スタンプからの振り上げを頭部に当てようと試みていたのだが、もっとも攻撃力が高い肝心の振り上げが、すべて(!)空振りとなってしまったのだ。じつに、4回連続……。けっきょく決定的なダメージを与えることができないうちに、ナルガクルガは落とし穴から脱出。その瞬間、ステージ上のモンカフェ軍団全員の頭の上から、

「………………」

 という、大量の三点リーダーが飛び出したのが見えた気がした。

 しかし、ここで店長は吹っ切れたのか、動き回るナルガクルガに絶妙なタイミングで接近して、タメ1や横振りで攻撃を始めた。確実に蓄積される気絶値。そしてナルガクルガが頭を下げるのを見透かして放たれた横振りが頭部を捉え、ついにナルガが気絶する。悪かった流れを強引に力でねじ伏せるかのような、じつに“らしい”方向修正であった。が、このナルガは徹底的に性格が悪かったらしく、閃光玉で視界を奪ってもやたらと咆哮したり尻尾を振り回したりして攻撃のチャンスを与えてくれない。それでも店長は「道がないなら作ればいい」とばかりに攻め続け、ついにしぶといナルガクルガを討伐してみせた。時計の針は、まだ5分を指していない。不幸とすら言える序盤のロスを、どうにか挽回してみせた印象だ。

 さあおつぎはティガレックスだ。このモンスターには、縛り武器である大剣を背負ったMizunoe君が挑むらしい。

 わらわらと闘技場に飛び込んできたモンカフェ軍団。ここで全員がネコ火事場を発動させたいようで、爆弾を置いてはつぎつぎと起爆し、わざと爆風を浴びて自分の体力を減らしにかかった。茨城フォーのタイムを超えるために、一か八かの捨て身の戦法を選んだらしい。うん、こいつはいかにも勝負師集団のモンカフェらしくていいではないか。

 ところが……。

 いい感じで体力を減らしていた4人だったが、ここでヘビィボウガン担当のyukieさんが誤爆!! なんと体力がゼロになって1オチに……(涙)。

「うは!!! 不慮の事故が起きた!!!」

 と俺。第2回角満カップのとき、やはりネコ火事場を発動させようと思ったJast25`sのraven君が、計算を誤って小タル爆弾で爆死したシーンを鮮明に思い出してしまったよ(苦笑)。

 そういったハプニングもあったが、いつまでも引きずっているわけにはいかない。店長、hiro君、yukieさんがモドリ玉でキャンプに戻ったのを合図に、闘技場にティガレックスが現れた。まずはセオリーどおり、落とし穴に落ちたティガレックスを爆弾攻め。続いてMizunoe君は、もがくティガレックスの眼前でタメの体勢になった。そして、攻撃力MAXのタメ3斬りをティガレックスの脳天に。これをきっちり、2セット当てる。うん、いい感じだ。しかしそう思ったのも束の間、3発目のタメ3はティガの頭をかすりもせず、地面に突き刺さってしまう。天才・Mizunoeらしからぬミスだ。

 それでもMizunoe君は「主導権は渡さぬ」とばかりに2個目の落とし穴にティガレックスをハメ、抜刀からのタメ3を再び脳天にお見舞いする。Mizunoe君が操るハンターはスキルに集中と抜刀術がついているようで、抜刀攻撃がことごとく会心になっている。ここでMizunoe君はきっちりとすべての攻撃を当ててダメージを上乗せし、さらに穴から飛び出したティガが落ちてくる地点で大剣をかまえてタメ3。その後、閃光玉を当てて視界を奪い、暴れるティガの攻撃がギリギリ当たらない距離から攻撃(ネコ火事場なのでティガの攻撃がかすっただけで昇天すっからね)。さらにシビレ罠を作って誘導し、動きを封じたところで冷静にタメ3斬り。一撃はモロに脳天に直撃し、これでティガレックスは昇天となった。

 3頭目は、みんな大好きグラビモス亜種。さあここは4人で挑むんだろうな……と思いきや、モンカフェ軍団は落とし穴や爆弾を置くだけおいたら、ヘビィボウガンのyukieさんをひとり残してベースキャンプに戻ってしまったではないか!

「おおお女の子をひとり、横綱飛竜に挑ませるなんてひどいじゃない!!」

 なんて、まったく思いませんでした。なんたってyukieさんは、そんじょそこらのモンハンアスリートでは太刀打ちできない“超”がつく実力者。そんな女傑が連射スキル&ネコ火事場のヘビィボウガンでやってきたのだ。グラビモス亜種のほうが気の毒ってものである。

 落とし穴に落ちたグラビモス亜種に、yukieさんは水冷弾の速射砲を浴びせた。29発当てたところで胸が割れ、たまらず穴から飛び出すグラビモス亜種。そしてすぐに、ビームを2発発射する。そんなグラビモス亜種をyukieさんは落とし穴に誘い込み、再び水冷弾を文字通り雨のように降らせる。しかしそこで仕留めることは叶わず、yukieさんは闘技場内にシビレ罠を設置した。しばらくその場に止まってビームを連発していたグラビモス亜種だったが、吐き気がおさまったのかビームを出すのをやめ、ノシノシとシビレ罠に向かって歩きだす。そしてまんまとコレにハマり、yukieさんはすかさず、水冷弾連射の続きを始めた。その甲斐あってシビレ罠が壊れたときにはグラビモス亜種はボロボロで、脚を引きずり始めたではないか! おお! あと少しだ!! これを見たyukieさんは2個目のシビレ罠を闘技場内に設置。なんとかコレに誘導して捕獲を試みるようだ。ところが、なぎ払いビームを緊急回避でかわし、あと数歩で罠にかかってくれるという切ないところで、なんと振り回されるグラビモス亜種の尻尾がyukieさんを直撃! ネコ火事場状態だったので当然、この一撃で天に召されてしまった……。これで2オチ。それでも、復帰してすぐに捕獲が成功したので、時間はまだ10分針である。追い詰められはしたが、まだ挽回できるはずだ!

 そして4頭目のディアブロス亜種で、モンカフェ軍団は“4人狩り”のカードを使ってきた。NAMAZONEと同じ戦法だ。ここで、全員がネコ火事場という驚異的な攻撃力が火を噴き、本当に瞬時に、ディアブロス亜種は屠り去られてしまう。さあいよいよ、ラストのラージャンだ!

 闘技場に現れたのは、双剣を装備したhiro君だ。当然のように、彼もネコ火事場である。

 それにしてもこのネコ火事場ってやつ、本当に恐ろしいわ……。だって体力、風前の灯っつーか最後の一葉というか、とにかく数ドット分しか残っていないんですよ? つまり、まともに攻撃を食らえばもちろんだが、モンスターの振り向きでちょっと躓いたりとか斃れたモンスターの最後の身じろぎ(牙獣がやるやつね)に当たっただけでも、速攻で昇天しちゃうんですよアナタ。これがヘビィボウガンや弓といった遠距離武器だったらまだわかるのだ。しかしこのステージに上がるアスリートたちは平気で(?)、ハンマーや大剣といった近接武器でネコ火事場を使っているんだよねぇ……。

 で、hiro君だ。この人は極めつけの近接武器である双剣でネコ火事場を使うつもりらしい。……双剣ですよ? モンスターともっとも密着しなきゃいけない短い双剣で、ネコ火事場ですよ? いったいどういうことになるんだ……。

 そんな俺の心配をよそに、ネコ火事場双剣vs.激昂したラージャンという悪夢の対決がスタートしてしまった。こうなったらハラを括って見守るしかない!

 hiro君はまず、仲間が置いていった大タル爆弾を起爆して開戦の銅鑼を鳴らす。そして、ハンターの存在に気づいたラージャンと距離を取り、これまた仲間が設置していった落とし穴に誘導しようと試みた。ところがこのラージャン、何を思ったのかやたらとビーム(通称・ありがとうビーム)ばかり吐いてくる。通常、ビームを吐いているときは屈強なラージャンも無防備になるので、格好の攻撃チャンスとなる。しかしhiro君は落とし穴に誘うことを優先し、距離を取ったままビームを吐き続けるラージャンを見守った。

(もうビームはやめるだろう)

 そんなことを思っていたかもしれない。しかしこのラージャンは、ビームを発射することをやめようとはしなかった。

(もうビームはやめるだろう)(ぼちぼち終わるに違いない)になり、(さすがにコレで終わりだべ)に変わって、(いい加減ビームやめろ)になった。しかしそれでもラージャンは「まだまだ吐き足らんけん」と言って、ズキュンズキュンとビームを発射し続ける。hiro君の心の叫びが、俺の脳ミソに飛び込んできた。

(頼むからもうやめて)

(お願いします、カンベンしてください)

(嗚呼! 神よ! このわからず屋にビーム吐くことをやめさせてください!!)

 なんとラージャン、ありがとうビーム7連発(苦笑)。こんなに連続してビームを吐くことがあるんだと呆れを通り越して感動してしまったくらい、このラージャンはピギャーピギャーとよく吐いた。そしてこの瞬間、モンカフェ軍団の頭の上から、

「………………」

 という、大量の三点リーダーが飛び出したのが見え(以下略)。

 それでもようやく満足したのかラージャンはビームを吐くことをやめ、誘われるままに落とし穴に落下。hiro君はここぞとばかりに接近し、暴れるラージャンに双剣の鬼人乱舞をお見舞いする。俺はこの光景に震え上がった。

「ちょ……。暴れるラージャンにちょっとでも触れたらオチてしまうのでは……」

 しかしそこは、モンカフェ軍団でも1、2を争う実力者と言われるhiro君。ラージャンの身体に触れず、それでもハンターの攻撃が当たるギリギリのポジションに立って攻撃を当て続ける。ラージャンが落とし穴から脱出しても慌てず、つぎの罠に誘導。ここでも同じように攻め、確実にダメージを蓄積させていった。

 そしてすべての罠を使ったところでようやく、hiro君は秘薬を飲んでネコ火事場を解除。会場に安堵の空気が広がる。そのとたんに1発食らって瀕死状態になってしまったのを見て、「秘薬を飲んでてくれてて本当によかった!!」と会場にいる誰もが思ったに違いない。

 それにしても、このhiro君が使う双剣の華麗さといったらどうだ。ラージャンの猛攻を紙一重でかわし、その刹那に当てられる最大限の打撃をモンスターに打ち込んでいくのだ。その美しいまでの立ち回りは狩りや闘いなんてものじゃなく、完全に“舞い”の世界。のちに茨城フォーのヒロくんやジャッ君が「あのときのhiroさんの双剣、よくわからない人が多かったかもしれませんけど、とてつもなくうまいですよ。そうそうマネできる動きじゃないです……」と真顔で賞賛していたが、それくらいこの人の立ち回りは絵になった。

 しかし……。

 華麗な舞いを続けていたhiro君に、ラージャンの怒り回転攻撃が直撃。満タンだった体力は一気にゼロとなり、ついにモンカフェ軍団も3オチとなってしまった……。

 これにて、第4回角満カップのすべてのプログラムが終了した。気になる結果は……長くなったので、つぎの記事に!

投稿者 大塚角満 : 13:18

【MH】『ただいま! 逆鱗日和』発売記念イベント その11

 第4回角満カップ最終戦の武神闘宴。3チームめはNAMAZONEだ。

 NAMAZONEがこのクエストに挑むうえで最大のポイントとなるのは、モンカフェ軍団にプレゼントされたガンランスの動向。本気のタイムアタックをするときに、真っ先に弾かれることが多いガンランスをどうのように戦略に組み込んでくるのか? NAMAZONEの結末がどう転ぶのかは、ガンランスを持つ人間次第と言っても過言ではなかった。そのへんを絡めて、俺とMCの佐治キクオは、NAMAZONEがクエスト出撃への準備を進めているあいだに以下のような会話をした。

佐治:NAMAZONEが持たなければいけない武器は……ガンランスか!! ……でもガンランスなら、わりといけるんじゃないかなと。
大塚:おそらくYUKI君がガンランスを使うと思います。彼は並みのガンランサーじゃないですからね。なにげにガンランス、ハンデでも何でもない気がしますわ。
佐治:どのモンスターに当ててくるのかなぁ。やっぱりティガかナルガ? それとラージャンも、じつはガンランスと相性がいいんじゃないかと思いますけど。
大塚……………いいかなあ??
佐治:大塚さんとはよくないでしょうけどね。ていうかそもそも、大塚さんと相性のいいモンスターなんていないでしょ? ファンゴくらいっすか??
大塚:そんなことねえよ!! ……フルフルとかがいるよ(苦笑)。
佐治:はいはいww あんま動かないヤツねwww
大塚:そうそう、あんま動かないの(苦笑)。

 そんなくだらないことを話しているうちにNAMAZONEの準備が完了した。見るとステージ上の4人は、顔につけていた覆面を脱ぎ捨てているっ! おおおお! プロレスチックでかっこいい!! 昭和のプロレスが大好きな俺は興奮の極致である。マイクにツバを飛ばしまくりながら、38歳のおっさんはわめいた。

「みみみみずからの力を制御していたマスクを脱ぎ捨て、つつつついにすべての力を解放するときがきたっ!!! ってことですねコレは!!!!」

 んなこたぁない。

 まずは1頭目のナルガクルガ。これにはハンマーを持ったShinya君が挑むようである。持っているのは雷属性のハンマー・雷鎚フルフル。これまでの2チームとは違い、ネコ火事場は使わないようだ。

 Shinya君の立ち回りは、基本的には茨城フォーのヒロ君と同じような感じだった。ナルガクルガを怒らせて落とし穴に落とし、頭を攻撃する。これのくり返しだ。文字で書くととても単純に思えるが、これを確実に実行するのが難しいのである。茨城フォーの記事でも書いたが、落とし穴に落ちたナルガクルガはやたらと左右に首を振るので狙いが定まらない。Shinya君はスタンプこそ何発か外していたが、ハンマーの攻撃でもっとも威力が高い振り上げはキッチリと当てていた。いちばん欲しいところは確実に持っていくあたり、さすがアスリートだ。結果、ナルガクルガは2回気絶してフラフラのボロボロに。それでも『2nd G』を象徴するモンスターはやはりしぶとく、怒り状態の尻尾ビタンをShinya君に食らわせる。満タンだった体力は3分の2以下に激減し、場内から悲鳴が漏れる。それでもShinya君は慌てず“いにしえの秘薬”を調合してナルガクルガの真横(!)でゴクリ。そしてナルガクルガの振り向きに合わせて回転からの振り上げを頭部にジャストミートさせ、熱戦に終止符を打った。時計の針は、まだ動いていない。

 2頭目はティガレックスだが、NAMAZONEはここでガンランスを投入してきた。プレイヤーはYUKI君。彼はモンハンフェスタではそれほど目立った成績をおさめていないので知らない人も多いだろうが、じつはEffort Cristalのゴッディやもうゲネポの唯君という超絶ハンターに「この人はとてつもなくうまい。彼のプレイはとてもマネできない」と言わしめる驚異の実力者なのである。この“影の天才”の実力の一端が、ついに白日のもとにさらされた。

 序盤は、いたってふつうの立ち回りだった。仲間が設置した落とし穴と爆弾でダメージを与え、確実にティガレックスの背中をガンランス(電銃槍フルボルト)で突っつく。穴から出たティガはすぐに怒ってバックステップし、そこに設置されていた落とし穴にドッポンとハマってしまう。ここでもYUKI君は頭を狙わず、背中を攻撃。穴から出て暴れるティガレックスだったがYUKI君は距離を完璧に見切り、回転攻撃の終わり端に頭部に武器出し攻撃を当てる。流れるような美しい立ち回りだが、彼の本当の見せ場はここからだった。

 怒ったティガレックスはやたらと、噛み付き攻撃やバインドボイスをくり出してきたのだが、なんとYUKI君はこれらの攻撃をすべて、ガンランスのステップで避けてしまうのである! バインドボイスは、まあわかる。なんとなく、俺にもできそうな気がする(いやできんけど)。しかしスピードのあるティガレックスの噛み付きを、まるで脇の下を潜り抜けるようにバックステップをして避けてしまうのだ。俺も佐治も来場者も、みんなぶったまげた。こんなガンランス、見たことない!! 完全な“魅せプレイ”だ。会場中の視線が、YUKI君の華麗なステップに釘付けになった。

 しかし、完璧な立ち回りをしていたYUKI君だったがそこはさすがティガレックス。YUKI君は怒り突進を一度食らい、そのまま回復せずにシビレ罠を設置しているところに再度突進を食らって1オチを計上してしまう。しかし闘技場に復帰したYUKI君は、迷うことなく再度、シビレ罠を設置。これにティガレックスがハマったところで捕獲用麻酔玉を投げ、見事これを捕獲してみせた。

 余談だが後日、俺はすっかり魅了された“YUKIステップ”を実践すべく、ガンランスを背負ってティガレックス討伐に向かった(当然、村の)。ぶっちゃけ、YUKI君はじつに簡単そうにこれらのプレイをしていたので、「じつはチョロいんじゃね?」と少々ナメた態度で臨んだのである(そのわりに装備は全身ナルガXで回避性能+2のスキルつきだったけどねw)。ところが……。

 ま、まったくできない……。

 噛み付きをステップで避けるなんてとんでもない話で、「こっちはいけるだろう!」と高を括っていたバインドボイスもことごとく食らってしまう……。このときの顛末、近いうちに当コラムで書きたいと思うが、いま確実に言えることは、

 YUKI君が見せた立ち回りは、ガンランサーの光の道だ−−

 ってこと。彼くらいの腕があれば、いろいろ言われる(笑)ガンランスもまばゆい光を放つことができる。それを知ることができただけで、角満は十分シアワセです。

 っと、余談が長くなった。おつぎは横綱・グラビモス亜種。ここまでの2チームはグラビモス亜種には4人で挑んでいたが、なんとNAMAZONEはヘビィボウガンを持ったナマゾーさんひとりで立ち向かうようだ。武神闘宴で時間を食わされるのは圧倒的にこのモンスターなので、ふつうに考えればここで“4人で狩れる”というカードを切る。それをあえて……。怪人・ナマゾーにどんな秘策が!?

 グラビモス亜種相手の立ち回りは、4人のときもひとりのときも基本的には大差がない(ように思う)。グラビモス亜種の登場時の着地点に落とし穴を置き、まずは爆弾を当てる。そのあとは、連射のスキルとネコ火事場を発動させたヘビィボウガンで水冷弾をめったやたらと撃ち込む。こういう流れだ。狙いは、グラビモス亜種の胸。30発ほど撃ち込んだところで胸が壊れ、そのタイミングでグラビモス亜種は落とし穴から脱出する。4人のときは穴に落ちたままで討伐もしくは捕獲されてしまっていたので、ここから先がソロならではのデンジャラスゾーンとなるようだ。

 それでもナマゾーさんは落ち着いたもので、危険な咆哮を緊急回避で避け、事前に置かれていたシビレ罠に横綱飛竜を誘導する。しかしグラビモス亜種はなかなか歩いてくれず、やたらとビームを連発するが、そこは遠距離武器のヘビィボウガン。脚を止めてくれるのは大歓迎とばかりに水冷弾の残りをぶっ放し、57発当てたところでグラビモス亜種を討伐してみせた。時計はまだ10分針。は、速い……。ひとりでも十分速ええ!! NAMAZONEは4人狩りのカードを残したまま、武神闘宴の後半になだれ込んだ。

 4頭目、ディアブロス亜種。NAMAZONEはここで、4人狩りを選択した。まずディアブロス亜種の出現地点に爆弾を置き、現れたところで起爆。ヘビィボウガンのナマゾーさんと弓を持ったnakanakaさんがディアブロス亜種の背後に回って、最大のウィークポイントである尻尾の付け根をピンポイントで攻撃する。

 これは間違いなく、ディアブロス亜種は瞬殺されるぞ……。

 誰もがそう思い始めたときに、思わぬ事故が発生する。なんとネコ火事場のまま攻撃していたナマゾーさんが、怒って振り回されるディアブロス亜種の尻尾にポコンとあたり、これで昇天してしまったのだ!! こ、これでNAMAZONEは2オチ……。あとがなくなってしまったではないか。それでもどうにか、ディアブロス亜種は15分針で捕獲。残るは大将・激昂したラージャンのみとなった。

 激昂したラージャンに挑むのは、弓を装備したnakanakaさんだ。茨城フォーのときと同様に、闘技場のあちこちに仲間たちがシビレ罠と爆弾が設置してゆく。nakanakaさんはこれらの罠にラージャンを誘導するような流麗な動きを見せ、クリティカルの距離から確実に矢を撃ち込んでいった。うん、さすがに手練だ。しかもネコ火事場を使っていなかったので、見ているほうもどこか安心感がある。ところが、この人もやはりアスリート。激昂したラージャンの腕振り回し攻撃を突如として紙一重の見切りで避けたりするので、ホッとしたり心臓が痛くなったりで心が忙しくてたまらんかったよ(苦笑)。

 nakanakaさんは確実に、ラージャンを追い詰めていた。このままいけばnakanakaいいタイムが出るのでは……? と思わずオヤジギャグをつぶやいてしまうほどに……。一撃で瀕死の重傷となるラージャンの攻撃を食らっても落ち着いて秘薬やいにしえの秘薬で回復し、リスクヘッジも万全。……が、壁際で腕振り回しに当たって跳ね上げられ、あろうことかnakanakaさんの身体は闘技場の高台に飛ばされてしまう。そこから強制的に降りるモーションになったところで、なんとラージャンが突進……。不運にもこれが直撃し、nakanakaさんは帰らぬ人となってしまった。これで、NAMAZONEは3オチ。残念ながら5回戦は“記録ナシ”となった。

 続きは次回! いよいよフィナーレか!?

投稿者 大塚角満 : 18:20

【MH】『ただいま! 逆鱗日和』発売記念イベント その10

 第4回角満カップ最終戦。2チーム目は暫定トップの茨城フォーだ。前回の記事にあるが、茨城フォーは必ずひとりは片手剣を装備していかなければならないという武器縛りがある。リーチが短く、1発の攻撃力が低い片手剣はいかにもタイムアタックには不向きな気がする。ひとりでもパートナーがいればまた違ってくるのだろうが、今回のルールでは必ず1頭はひとりで狩らなければならない。俺の個人的な見解では、ガンランスを押し付けられるよりも片手剣を持たされるほうがツラい気がする。……いやいや贔屓目じゃなくて。もしも俺が片手剣でリレー形式の武神闘宴に挑むことになったら、どのモンスターを担当するか丸1週間くらいは悩むと思うわマジで。

 そんな、ババ抜きのババのような存在の片手剣(片手剣使いの人ゴメンナサイ)は、はらペッコのハルス君が持つようだった。なるほど、ハルス君か。彼は笛使いとして名高い男だが、ぶっちゃけどんな武器を持っても問題なく立ち回れる。ガンランスも、俺の100倍くらいうまい。そんな、器用なハンターである。

 ちなみに俺と佐治はこのとき、茨城フォーがクエストの準備を進めているあいだに解説席でこんな会話をしていた。

大塚:万能なハルス君が片手剣か! まあこれは、ゴッディに押し付けられたんでしょうね。
佐治:God采配ってヤツっすね! そんなGod君は、何を持ってどのモンスターに行くんですかね?
大塚 ゴッディはティガレックスを6000頭も狩っている男なので、当然ティガでしょう。しかも、ハンマーで。

 こう俺が言った瞬間、ステージ上のゴッディが不敵な笑みを浮かべたのが見えた。ズバリ言い当てられたことに対する苦笑いなのか? それとも……。その答えは、茨城フォーの武神闘宴チャレンジが始まってすぐにスクリーンに映し出された。

 武神闘宴の1頭目、ナルガクルガと対峙するために出てきたハンターはハンマーを背負っていた。あれ?? ゴッディ、ティガ担当じゃないのか? さっそく俺の予想はハズレたか。まあいいや。それにしても茨城フォーは、最初のナルガクルガでゴッディ&ハンマーというリーサルウェポンを使ってしまって大丈夫なのかね? まあほかの3人も極めつけの実力者だから問題ないんだろうけどサ……。俺がそんなことを考えながらポケーっとスクリーンを眺めていたら、隣の席の佐治キクオが素っ頓狂な声をあげた。

「……あれ!? このハンマー使い、God君じゃなくてヒロ君ですよ!!」

 ……はい!? ゴッディ、ティガ担当じゃないうえにハンマー担当でもないんか!! ……そう、ゴッディがステージで笑っていたのは「角満さんの予想、全部ハズレwww」と俺を出し抜いたことに対する“してやったり笑い”だったのである。

 で、ハンマーを持ってナルガクルガと対峙することになったヒロ君だが、例によって大タル爆弾Gと小タル爆弾を使って自分の体力を削りにかかった。そう、ネコ火事場を発動させるつもりなのである。ナルガクルガが暴れている横でよくまあそんなことをやれるな……と感心を通り越して呆れ始めたころ、ヒロ君のネコ火事場が完成。そしてここから、茨城フォーの中でもっともゲームセンスが抜きん出ていると言われるヒロ君のワンマンショーが始まる。

 立ち回りの基本は、閃光玉と落とし穴を使ってナルガクルガのフットワークを奪い、頭部にハンマーで攻撃するというもの。しかし落とし穴に落ちたナルガクルガは首を左右に振り続けるため、ハンマーの打撃は簡単には当たってくれない。とくにスタンプ2回+振り上げは微妙にボタンを押すタイミングをずらさないと、3発すべてを外す可能性すらある。非常にデリケートな攻撃なのだ。しかしヒロ君は、これをすべて(!)当ててみせた。ひとつめの落とし穴にハマったナルガクルガをさっそく気絶させ、スタンプからの振り上げ。そして、目を覚まして暴れるナルガクルガを落ち着いて捉え、首の振りに合わせてスタンプ+振り上げ。思わず佐治が「まるっきりモグラ叩きっすね!!」と絶叫したほど、その攻撃は的確だった。

 ナルガクルガが穴から飛び出すと、ヒロ君は素早く着地点にシビレ罠を設置。スキル“罠師”がついているので速い速い。この罠にハマったナルガの頭部に、再びスタンプからの振り上げ。これを2セット当てるとナルガクルガは気絶し、ヒロ君は素早く頭部に取り付いて再度振り上げをお見舞いする。これが当たったのを確認したヒロ君は早々に武器をしまい、倒れるナルガクルガの足元にシビレ罠。これにナルガがハマったのを見てヒロ君は大タル爆弾を2個置き(ネコの火薬術で大タル爆弾Gになっていたっぽい)、捕獲用麻酔玉で起爆!! 爆弾が爆発したあともう1個の捕獲用麻酔玉をナルガに当てると……なんとこれで捕獲が完了してしまったではないか!!

「よっしゃああああああ!!!」

 イベント会場に轟くヒロ君の咆哮。湧き起こる歓声。芸術的ですらあったヒロ君の完璧なナルガクルガ捕獲により、茨城フォーは完全に波に乗った。

 続いて登場したのは、ヘビィボウガンを持ったジャッ君である。ティガレックスの着地点に仲間が置いていったお土産(落とし穴と大タル爆弾Gね)に向かって、巨大なボウガンをかまえている。そして当然ながらジャッ君も……。

「どいつもこいつも体力減らしまくってますね!!!」

 と佐治が呆れるネコ火事場(笑)。加えてジャッ君はナルガクルガの身体が闘技場から消えた瞬間に怪力の丸薬をゴクリと飲み干す。ネコ火事場+怪力の丸薬という最強ドーピングを施し、まんまと落とし穴に落ちたティガレックスの左前方から電撃弾を撃ち込み始めた。狙いは左の前脚……というか翼部分で、ここから対角線を貫く感じで電撃弾が突き刺さっている。間髪入れずに撃ち込まれる電撃弾を見て、またまた佐治がわめいた。

「モグラ叩きからシューティングゲームに変わりましたね!!」

 そう言いたくなる気持ちはよくわかる。

 ジャッ君の立ち回りは基本、閃光玉を当ててティガの脚を止め、左前方から電撃弾を撃ち込むというものだった。狙いが的確なのでティガはバタバタと脚ダウンを喫し、完璧なタイミングで投げられる閃光玉に目を回し続けた。閃光玉なんて、まだティガの頭上で星が回っているうちに投げるんですよ? この男は。星が消えた0.03秒後に放られた閃光玉が炸裂し、ティガはまた新しいめまいに悶絶するって感じ。これをくり返した結果、ティガレックスは一度もまともに歩かぬうちに討伐されてしまった……。あのォ……。武神闘宴が始まってから、まだ5分も経っていないんですけど……。

“地獄の4兄弟、本領発揮!!”

 なんていうドデカい新聞の見出しが一瞬だけ俺の脳裏に閃いた。

 しかし、本当に驚くのはこれからだった。

 続くグラビモス亜種にはセオリーどおり、4人で挑むらしい。闘技場につぎつぎと仲間が飛び込んできた。見ると、なんとゴッディは弓を手に持っている。ってことは、グラビモス亜種のあとに控えるディアブロス亜種と激昂したラージャンに、弓と片手剣で挑むわけか……。ど、どうするんだ茨城フォー……。弓はおそらく、相性がいいと言われるラージャンに当てるんだろうけど、片手剣でどうやってディアブロス亜種を退けるんだ……? そんなことを佐治と話しているうちに、闘技場にグラビモス亜種が現れた。

 ディアブロス亜種は、闘技場に作られていた落とし穴に吸い寄せられるように上空から降りてきた。そして当然のようにこの穴にドボン。事前に設置されていた大タル爆弾Gがボボボボボンと起爆され、それを合図にヘビィボウガン&弓のスナイパー軍団がグラビモス亜種の正面から、ハンマーと片手剣が後方から攻撃を始めた。そして15秒後……。

 グラビモス亜種、捕獲wwwww

 ……ってもう、笑うしかねえ。速すぎだろうおまいら!!! グラビモス亜種、何もできなかったでしょう!!! って、べつに怒るこたぁないんだけどね(苦笑)。しかし、ナルガ、ティガ、グラビ亜種というツワモノを退けたのに、まだ時計は5分針だよ? どうなってんだこりゃ。

 しかし、本当に驚くのはこのあとでした(シツコイ)。

 闘技場には、チームレジェンドに押し付けられた片手剣を持ったハルス君がひとりで残ることになった。動きが速いうえに腰高なディアブロス亜種に、どうやってリーチの短い片手剣で対抗するんだ?????

 俺と佐治だけでなく、会場にいる100人あまりの観衆全員が頭の上にクエスチョンマークを出していたところに、ディアブロス亜種が颯爽と現れた。登場したその場所にはもちろん、仲間3人が置いていった大タル爆弾G。これを捕獲用麻酔玉で起爆したハルス君はすぐに、ガード姿勢をとった。するとディアブロス亜種はハルス君のガードに促されるようにモキョキョキョキョ!! と咆哮。おお……。ディアブロス亜種が茨城の仕事人の手の平の上で踊らされている!! ハルス君は、ディアブロス亜種の咆哮が終わるタイミングを見計らって閃光玉をズヒュンと投げ、当然のようにコレに当たったディアブロス亜種はめまい状態に。そしてここからハルス君は、“『モンハン』は武器でモンスターを狩るゲーム”という不文律を覆す、とんでもない行動をとるのだ。

 なぜかハルス君は片手剣を納刀して、パタパタとディアブロス亜種に接近していった。そして彼女(ディア亜種は女の子だからね)の大きな顔の下に大タル爆弾Gを2個設置し、小タル爆弾で起爆。爆弾が爆発したのを見届けて再びパタパタパタとタラちゃんのようにディアブロス亜種に駆け寄り、またまた大タル爆弾(こちらもネコの火薬術で大タル爆弾Gになっていたっぽい)を2個セット……!! ここで、茨城の仕事人が何をしようとしているのか、会場にいる多くの人が理解した。

「ディア亜種を爆倒する気だーーーっ!!!!」

 なんて恐ろしいことを考えるんだこの連中は……。

 見るとハルス君は調合用の大タルがなくなると、竜骨【中】とツタの葉を調合して大タルも自己生産(スキルで“錬金術”が発動していたのだ)しているではないか! こ、こんな手があったのか……。これが成り立つなら、何の武器を持たされようが関係ないではないか。あとで聞いたら、この爆倒戦法を考え出したのはゴッディということだったが、こういう機転というかコロンブスの卵的な方法に到達する彼の柔軟さは瞠目に値する。思考の柔らかさと「自分の考えは正しい!」と思いこめる信念の強さが、かのシンクロプレイを生み出し、2009年の狩王の座を彼にもたらせたと言っても過言ではないはずだ。

 ハルス君の立ち回りでもうひとつ目を見張ったのが、閃光玉を投げるタイミングだった。この爆倒戦法はディアブロス亜種の脚止めをすることが成功への絶対条件で、ゆえに閃光玉を外すわけにはいかない。そこで茨城フォーは閃光玉の効果時間をカウントダウンしてハルス君に伝え、完璧なタイミングでディアブロス亜種の脚止めができるように導いていた。まさに、チームワーク。一度だけ閃光玉を外してしまってヒヤリとさせられたが、けっきょくハルス君は無傷のまま、ディアブロス亜種を爆弾のみで捕獲してみせた。その間、片手剣が抜刀されたのは冒頭のガードのときだけ。このゲームの懐深さを感じさせる新機軸のアプローチに、会場は沸きに沸いたのであった。

 そして闘技場にゴッディ、ヒロ君、ジャッ君が現れ、茨城フォーが勢ぞろいした。彼らはリーダーであるゴッディの指示に素早く反応し、闘技場のあちこちにシビレ罠を置いてゆく。幾何学のような秩序立った動きはスピーディーで美しく、4人が自信に満ち溢れていることがひしひしと伝わってきた。見ると、ヒロ君、ジャッ君、ハルス君の3人の顔は、自分たちの仕事を終えた達成感と、「これでもう大丈夫」という安心感に満ちていたように思う。あとは、ウチの大将がまとめてくれる。おいしいところ、全部持っていってくれ! そんな気分だったのかもしれない。

「大将、あとは任せた!!」

 いっせいに放たれたモドリ玉のケムリの向こうから、そんな声が聞こえたような気がした。

 3人がモドリ玉でキャンプに戻った数秒後に、激昂したラージャンが闘技場に舞い降りた。着地点には大量の大タル爆弾G。これを小タル爆弾で起爆したのを合図に、最後の決戦が始まった。

 ゴッディは当然のように、ネコ火事場を発動させていた。ラージャンの身体にかすっただけで即昇天してしまう恐ろしい体力である。しかしゴッディは「体力なんてどうでもいい」とばかりにラージャンの攻撃を避けつつ、完璧なクリティカル距離から矢を放ち続けた。しかしこのときのハンターの動きが異様で、弓をかまえたまま高速でビクビクビク! と、壊れたマリオネットのように震えて(?)から矢を放っていたのである。……これ、文字で書いてもどんな動きかわからないだろうなぁ……。まあとにかく、やたらとビクビクと動いたあとに弓をぶっ放しているハンターを想像してみてくださいな。この妙な動きにどんな意味があるのか、俺も佐治もさっぱりわからなくて、「God君、今度は指が攣ったんじゃないですかね!?」(佐治)とか「ホラー映画みたいなことになってますな!」(大塚)とマヌケな解説に終始。あとで聞いたらこの動きにより弓の溜め時間が短縮されるらしく、弓でタイムアタックをするときの常套手段とのこと。しかし、ビクビクと震えているハンターで狙いを定めるのは至難の業で、そうそうピンポイントで当てることはできないらしい。それでもゴッディは恐ろしいほど緻密にラージャンの顔面に矢の雨を降らしていたが、シビレ罠にハマったときに1発だけ的を外してしまう。そしてこれを機に、ゴッディはビクビクショットを封印。リスクを回避し、堅実に立ち回る手段を選んだようだった。

 この判断が功を奏したのか、ゴッディはラージャンとのすれ違いざまとか、上空からのグルグルアタックをラージャンの動きを見ずに避けた(!)瞬間とかとか、とにかく恐ろしいタイミングで弓の攻撃を当て続けた。ラージャンは茨城フォーが作ったシビレ罠に立て続けにハマり、佐治が言うところの「流鏑馬(やぶさめ)状態」に……。そして時計の針が15分を指したころ、見事に武神闘宴を制してみせた。会場に響き渡る茨城フォーの歓喜の叫びと万雷の拍手。それぞれがそれぞれの持ち味を活かした、完璧なるクエスト遂行であった。

 幼馴染み4人組という、ほかのチームにはない見えないアドバンテージが、この武神闘宴での一連の立ち回りで炸裂したように思えてならない。それくらい、彼らのパフォーマンスは見事で美しかった。

 続きは次回!

投稿者 大塚角満 : 16:58

【MH】『ただいま! 逆鱗日和』発売記念イベント その9

 第4回角満カップリポートもいよいよクライマックス。最終5回戦へとなだれ込んだ。最終決戦に選んだクエストは、『2nd G』の究極の大連続狩猟“武神闘宴”。もちろん、現れる5頭のモンスターを単純に屠り去ればいいというものではない。いくつもの特殊ルールを設けさせてもらった。ちょいとややこしいので、特殊ルールを箇条書きにしよう。

・このクエストはハンターとモンスターが1対1で闘う“リレー形式”で行う。つまり基本的に闘技場にはハンターひとりだけで入り、ほかの3人はベースキャンプで待機しなければならない。モンスターを討伐したらそのハンターはモドリ玉でキャンプに戻り、つぎのハンターと交代する。
・オチてもハンターは交代しない。担当のモンスターはそのハンターが責任を持って狩る。
・モンスターを狩り、つぎのモンスターが登場するまでの時間は4人で闘技場に入って罠や爆弾を仕掛けてもいい。ただし、モンスターが現れたら速やかにキャンプに戻らなければならない。
1頭だけ、4人で狩るモンスターを任意で決められる。
4人の武器は全員バラバラでなければならない。
・武器種がバラバラであれば装備は自由。ネコのキッチンスキルや持ち込むアイテムも自由に選んでオッケー。
・3オチになったら、1位のチームプラス2分のペナルティーが科せられる。

 特殊ルールの骨子はこんなところだが、もうひとつだけ、“ある条件”が加わる。それは、この日の角満カップの3回戦までの順位により、下位のチームからほかのチームに“好きな武器種をプレゼントできる”という要素を盛り込んだのだ。つまり最下位のチームから「1位にガンランスを」といった具合にタイムアタックに不向きと言われる武器を贈ったり、また3位のチームが優勝争いを混沌とさせるために「2位のチームにハンマーをプレゼントします」と、あえて強い武器を贈ることも可能。ちなみに、指名された武器をダブって選択することはNGで、一度でも何らかの武器を贈られたチームに2個、3個と重ねてプレゼントすることも禁止(つまり例だと、最下位のチームがガンランスを1位にプレゼントした時点で、ほかの3チームはガンランスを指定することも1位のチームに武器を贈ることもできなくなる)。そして指定された武器はそのチームの“固有”となり、ほかのチームは持つことができなくなる。「もうひとつだけ」と言いつついくつも付け加えてしまったような気がしなくもないが、第4回角満カップの最終戦はこんなルールが乗せられた武神闘宴で競われたのであった。

 さあて、いよいよ5回戦のスタートだ。まずは、“武器種指定権”の順番がかかった3回戦までの結果発表である。3つの競技を終えた時点での成績は……!

1位 茨城フォー
2位 NAMAZONE
3位 チームレジェンド
4位 モンカフェ軍団

 これにより、4位のモンカフェ軍団から武器指定が実行されることに。マイクを向けられた軍団の総帥・店長は一瞬の迷いもなくつぎのように発言した。

「では、ナマゾーさんにガンランスをプレゼントします」

 いきなりガンランスキターーー!! ……って、タイムアタック時に忌むべき武器として真っ先に選ばれたのはやはり、我が愛するガンランスであったか……。なんとなーくわかっていたけど、こういう現実を目の当たりにするとフクザツな気分になるねぇ……w まぁいいや。

 こんな感じでサクサクと、武器指定が行われていった。その結果は以下のとおりだ。

●モンカフェ軍団→NAMAZONEにガンランス
●チームレジェンド→茨城フォーに片手剣
●NAMAZONE→チームレジェンドに狩猟笛
●茨城フォー→モンカフェ軍団に大剣

 ガンランス、片手剣、狩猟笛、大剣はそれぞれのチームの“固有武器”となったので、各チームはこれを考慮したうえで、4人バラバラの武器選択をしなければならない。どの武器を誰が持って、どのモンスターと対峙するのか……? この武器選択の段階から、1秒でも速く武神闘宴から生還するための長期的な戦略が練られ始めることは言うまでもない。

 さあ、いよいよ最終決戦のスタートだ。最初にチャレンジするのは暫定3位のチームレジェンドである。というのも、長崎から参戦しているJast25`sの帰る時間が迫っていたため、真っ先に挑戦してもらうことになったのだ。この切迫した状況の中、4人の狩王はどんな戦略で挑むのか?

 第一の注目は、誰が何の武器を持つかである。とくに、武器指定でプレゼントされた狩猟笛。見ると狩猟笛は、Jast25`sのこんぺい君が持っている。

 ……ナルホド、こいつは納得だ。

 Jast25`sと言えば、2007年のモンハンフェスタ決勝戦で、狩猟笛×狩猟笛による“元祖シンクロプレイ”とも言える驚異的な立ち回りでラージャンを屠り去った実績がある。とくにこんぺい君は九州を代表する狩猟笛使いとしてその名を馳せており、“龍ヶ崎の吟遊詩人”として名高い茨城フォーのハルス君とタメを張って“狩猟笛使いの双璧”と崇め奉られているのだ(ちとオーバーか)。なのでこんぺい君が狩猟笛を持つことには「うん、そうだよね!」なのである。

 そして始まったチームレジェンドの武神闘宴。最初のナルガクルガに対するは……おお! ハンマーを持ったraven君か! ではでは、東シナ海の諸葛孔明と呼ばれるその実力を見せていただきましょうかね!

 ベースキャンプでまず、このチームにだけ許された秘術(?)、狩猟笛による攻撃力アップの恩恵を受けるraven君。十分に攻撃力の上乗せがなされてから、ナルガクルガの待つ闘技場に飛び込んだ。

 まず最初にraven君は、大タル爆弾と小タル爆弾を使って自分の体力を削りにかかった。そう、ネコの火事場力を発動させるのだ。無事、恐怖のネコ火事場ハンマーと化したraven君は、閃光玉と音爆弾を使ってナルガクルガを怒り&めまい状態にし、着実に頭部に攻撃を加えていった。しかし、このナルガクルガはやたらとバックステップばかりしてなかなか“かまえ”の体勢にならず(かまえ時に音爆弾を炸裂させるとめまいになる)、さらにネコ火事場の極少体力ということもあってかraven君の動きも慎重で、思うように攻撃チャンスが巡ってこない。結果、ナルガクルガを討伐したときには5分強の時間が経過していた。それでも、ネコ火事場を維持したまま討伐を果たすあたりはさすがレジェンドのひとりである。

 ふたり目、ティガレックスに挑んだのは太刀を持った唯君だった。まず狩猟の準備として、raven君がナルガクルガを討伐すると同時に仲間が闘技場に飛び込み、ティガレックスの着地点にシビレ罠と大タル爆弾Gをズラズラと並べる。さらに、そのシビレ罠の後方にシビレ罠をもうひとつ。1分後に現れたティガレックスはまんまと大タル爆弾G付きのシビレ罠にハマり、起爆された爆弾の爆風を浴びただけで大激怒状態に突入する。しかし怒ってバックステップをくり出したところにもうひとつのシビレ罠があり、ティガレックスはまともにこれを踏んでしまう。きっと彼は、道端の犬のウンコを踏んだときのようなシンミリとした気分に陥ったことだろう。そんなティガレックスに唯君は、武器出し攻撃と斬り下がり攻撃を多用して着実にダメージを与えていく。狙うは、ティガレックスのデカい頭。さすがモンスターハンターの申し子は、どの武器を使わせてもうまい。

 しかし、好事魔多し。ティガレックスのバインドボイスを前転で避けようとしたものの微妙にタイミングがズレてしまい、唯君はコレに捕まってしまう。そして、恐怖の怒り突進……。若干体力が減っていたことも悪影響して、唯君はこれで1オチとなってしまった。このあと、復帰してすぐにティガレックスは討伐されたところを見ると、非常に惜しい昇天劇だったと言えそうだ。

 続いて出てくるのは“武神闘宴の不沈艦”ことグラビモス亜種。チームレジェンドはこいつに、4人で挑むようだ。闘技場に4人揃ったところでこんぺい君の演奏会が始まり、ほかの3人はグラビモス亜種の着地点に落とし穴と大タル爆弾Gを設置。準備がほどよくできたところでグラビモス亜種が現れた。

 ハンターたちが用意した罠に導かれるように降りてきた横綱飛竜。ズドンと見事に穴に落ち、そこからは4人の乱れ打ちである。頭側にハンマーとヘビィボウガン、背中側に狩猟笛と太刀が陣取って、情け容赦なく攻撃が加えられた。その間、30秒ほどだろうか? グラビモス亜種は動きを止めて、穴の中でぐったりとしてしまったではないか。攻撃を続ける狩猟笛のこんぺい君。実況を続ける俺と佐治キクオ。しかしスクリーンの中では、raven君がヘビィボウガンのマサキックスに弾丸を渡したりしている。……むむ? これはどうなってんだ??? ま、まさか……。俺は、頭のてっぺんから飛び出たんじゃないかと思えるほど素っ頓狂な声を出した。

「……え? ま、まさか終わってるの???」

 そう、そのまさか……。武神闘宴の巨大な壁と言われるグラビモス亜種が、1分足らずで屠り去られてしまったのだ!! これにはホントに驚いた。4人で挑んだとはいえ、まさかこんなにも早くグラビモス亜種が斬って落とされるとは思わなんだ……。

 4頭目のディアブロス亜種に挑んだのは、ヘビィボウガンのマサキックスだった。もちろん、戦慄のネコ火事場&自動装填のヘビィボウガンである。閃光玉で脚を止めたあと、まずは電撃弾を目一杯撃ち込む。それが終わったら水冷弾。一度だけ閃光玉のタイミングが合わずに地中に潜られてしまったが、そこは百戦錬磨のマサキックス。冷静に閃光玉を当てて動きを封じ、再び水冷弾の速射砲。すぐにディアブロス亜種は屠り去られてしまった。

 さあいよいよ大将決戦。激昂したラージャンに、狩猟笛のこんぺい君が挑む。まずは戦いの準備とばかりに仲間が闘技場に飛び込んで、いたるところにシビレ罠と爆弾を設置。それが終わると同時に巨大なラージャンが現れて、こんぺい君とのタイマン勝負がスタートした。

 こんぺい君は猛るラージャンの攻撃をギリギリでかわしながら、巧みに狩猟笛のスタンプを当てていく。落とし穴に落としたら演奏攻撃。バックステップをくり出そうとしたら、その着地点を見切ってスタンプを当てる。じつに順調。さすが狩猟笛の雄だ。

 しかしそこは、最強の攻撃力を誇る激昂したラージャン。怒りの一撃がかすっただけで、なんとこんぺい君が1オチを計上してしまったではないか。これで、計2オチ。後がない!! しかもこんぺい君、秘薬が切れてしまったらしく、ノーマル体力で激昂したラージャンに挑むことに……。怒り時の攻撃を1発でも食らったら、即終了だろう。そんなギリギリの状況の中、モンハンフェスタ初代チャンピオンの誇りをかけて胸が締め付けられるような立ち回りを続けていたこんぺい君だったが、あとひと息というところで昇天……。これでチームレジェンドの5回戦は“3オチ終了”ということになった。

 以下、次回!

投稿者 大塚角満 : 20:06

【MH】『ただいま! 逆鱗日和』発売記念イベント その8

 第4回角満カップも、残すところあと2種目となった。タイムアタックの記録は最終戦が終了するまで公表しないことになっているので、この時点でどのチームがリードし、どのチームが出遅れているのかは、俺も観客の皆さんもよくわかっていなかった。

 そんな中で実施したのが今大会の目玉競技“魅せデスマッチ〜採点制魅せプレイバトル〜”である。こちらの記事にある解説を、ちょっとコピペしちゃおう。

●4回戦 魅せデスマッチ〜採点制魅せプレイバトル〜 参加人数2人
【解説】これが今回の目玉(?)競技。選手はステージに上がらず、観客から見えない控え室で『2nd G』G級の“最後の招待状”をプレイする。で、観客はスクリーンに出る映像だけ観て“どのチームがもっともエンターテインメント性に優れたプレイをしていたか”を判定して投票するというシステムだ。プレイの制限時間は5分で、ラージャンを討伐しようがナンだろうが立ち回りはすべておまかせ。選手が“エンターテインメント性”という部分をどう解釈して立ち回りをするのかに注目が集まる。ちなみに、観客からの1票は“4秒”となり、タイムアタック全5競技の合計タイムから得票分の秒数だけ引かれることになる。なお、この4回戦だけ種目、ルールともに選手には告知済みで、事前にいろいろと考えてもらった。

 クエストを遂行するスピードではなく、どれだけ観客の心をつかむことができたかを競うという新機軸の競技である。

 競技に使うデータは事前に用意したものをメモリースティックにコピーし、参加者に渡してあった。なぜこんなことをしたのかというと、本番でプレイヤーのハンターネームが画面に表示されたら誰が操作しているのか一目瞭然となり、この競技の大前提である“プレイヤーの匿名性”が崩壊してしまう。なのでこちらで用意したハンターランク9のキャラクター“GEKIRIN1”、“GEKIRIN2”を使ってもらうことにしたのだ。でもこのキャラクター、ハンターランクこそ9ではあるが実態は集会所のキークエストだけをこなして作り上げられたもので、裸同然だったのはもちろん、村クエストなんてまるでやっていないというハリボテみたいなハンターでありました。なので4回戦で使いたい武器や防具、スキルがある場合は「自分たちで調達してね!」とムチャなことを選手たちにお願いしたわけである。……本当はアスリートたちの負担を軽減するために、武器や素材を潤沢に持ったキャラクターを渡したかった。でも、どう足掻いてもキャラを育てる時間を捻出できず、「ホントに申し訳ない!!!」と額を床にこすりつけんばかりの勢いで無理を聞いてもらったのです。

 そんなバックグラウンドストーリーがあった4回戦だが、実際にやってみて非常に興味深い……というか、今後につながる結果が出たように思う。ここでのポイントは“魅せるプレイというテーマを各選手がどう解釈するか”に尽きるわけだが、それぞれが独自のアプローチでこの問題に立ち向かってくれて、結果以上に実りの多い企画になったと思う。

 今回、各チームが出した“魅せるプレイとは?”という問いかけに対する答えは、ざっくりと3つのカテゴリーに分けることができる。

 モンカフェ軍団と茨城フォーが出した答えは、アプローチのしかたこそ違えど“力でねじ伏せる”というものだったと思う。まずモンカフェ軍団だが、彼ら(出場選手は店長&hiro)からは事前に、4回戦の“魅せポイント”として「そして誰もいなくなった……」という謎めいたメッセージが書かれた紙を提出してもらっていた(他の3チームからも同様に見てほしいポイントが書かれた紙を提出してもらっている)。どうやら、『2nd G』でもっとも危険な相手とも言えるG級ラージャンを手玉にとり、観客が息を呑むヒマも与えぬうちにクエストを終了させようと試みるようだ。

 クエストが始まり、店長とhiro君が操るふたりのハンターは闘技場に飛び込み、ラージャンから少々距離を置いたところに大タル爆弾Gとシビレ罠を設置した。そして、つぎの瞬間!!

 クエストリタイア

 ……え?? ど、どう解釈すればいいんだコレは……。ざわめく会場、当惑する解説席、泣き出す子供(?)。これが、「そして誰もいなくなった……」を実践する動きなのだろうか……? 思わず、俺はつぶやいた。

「た、確かに、誰もいなくなった……」

 でもコレ、じつは操作方法を誤ってクエストリタイアを選んでしまったらしく、「魅せたかったのはこんなのじゃねえ!」というわけで再度クエストを受注。ふたりのハンターは闘技場に飛び込んだ。

 ここからの立ち回りは、まさに“圧巻”であった。ライトボウガンの睡眠弾で眠ったラージャンの脳天に、ネコ火事場でパワーアップした大剣(アーティラートだった)が渾身のタメ3攻撃。さらに怪力の丸薬でドーピングし、鼻血が噴き出すほどビルドアップされた大剣ハンターは再度、落とし穴に落ちて眠ってしまったラージャンに特大のタメ3攻撃をお見舞いした。なんと、これでジ・エンド……。呆れ笑いするしかないほどの力技で、最初の1頭を屠り去ってみせた。しかし、2頭目の激昂したラージャンが現れたところで大剣ハンターが大タル爆弾Gの爆風を食らって1オチ。すぐにクエストをリタイアして最初からやり直そうと試みるも、制限時間の5分が過ぎてしまってモンカフェ軍団のチャレンジは終了となった。

 ……ちなみに、スクリーンで展開されたプレイを見ただけだとモンカフェ軍団が何をやろうとしていたのかイマイチよくわからなかったので、後日改めてメールで、店長に“魅せプレイのレシピ”を聞いてみた。それによると……!

麻痺ガンナーは麻痺弾をリロードしながら闘技場に入る→大剣は闘技場に入ったらその場に大タル爆弾を置いて蹴って起爆→ガンナーは武器をしまってシビレ罠を設置。ラージャンがコレにハマったらすぐに麻痺弾を4発撃ち込む→大剣は頭にタメ3斬り→麻痺弾で麻痺したらガンナーは落とし穴を設置→落とし穴に落ちた状態で睡眠弾で寝かせる→タメ3で起こすのと同時にラージャン討伐→ガンナーはラージャンを寝かせると同時に落とし穴を調合(走りながら)→2頭目の着地位置に落とし穴を作る→落とし穴にハマったら睡眠弾で寝かせる→寝かせたら大剣のタメ3で起こし、ガンナーは麻痺弾を撃ち込む→4発で麻痺になるが、6発の麻痺弾を撃ち込む→撃ち終わったらすかさず睡眠弾を撃ち始める。すると5発でラージャンは眠る→起きたらすかさず麻痺弾。じつはここで、最初の麻痺中に2発余計に麻痺弾を撃っている効果が出る。ラージャン特有の性質(?)によって、ここでは3発の麻痺弾を撃っただけで麻痺状態になるのだ。つまり落とし穴中に睡眠・麻痺・睡眠・麻痺と連鎖する→最後の麻痺を取ったら大タル爆弾を1個置き、小タル爆弾で起爆してその反動でラージャンの頭側に移動する→麻痺が終わるとラージャンが落とし穴から飛び上がるので大タル爆弾を2個置き、蹴っ飛ばして起爆→ラージャンといっしょにハンターも昇天し、闘技場には誰もいなくなる……。

 これ、わずか1分45秒で実行されるんだってサ……。なんて恐ろしい……。

 そして2チーム目の茨城フォー。彼らの魅せポイントに関するコメントは「最後の一撃!」という簡潔なもので、加えて「時間終了10秒まえからカウントダウンをお願いします」と書かれている。どうやら制限時間の5分ジャストでクエストをクリアーする狙いのようだ。本当にこれが実行できれば、それは見事な魅せプレイとなるだろう。

 茨城フォーも、大剣とライトボウガンのコンビによるクエスト挑戦だった(出場選手はGod&Jack)。立ち回りの骨子はモンカフェ軍団と似通っており、ライトボウガンが睡眠弾や麻痺弾でラージャンの脚を止め、ネコ火事場になった大剣がタメ攻撃を脳天にぶちかます……というものだ。ラージャンは迷子の子ネコのように追い詰められ、落とし穴に落ちたところで睡眠状態に。ここで大剣ハンターは“おじぎ”のアクションをしてからタメの体勢になり、強大な一撃をラージャンの頭に……。憎いくらい“魅せる”ことにこだわった演出の果てに、1頭目のラージャンは天に召されてしまった。

 しかし2頭目。序盤は計画通りに立ち回っていたようだったが、激昂したラージャンのステップにネコ火事場の大剣ハンターが触れてしまって1オチ。これで計算が狂ったらしく、残り10秒のカウントダウンが終わっても2頭目の討伐はならなかった。

 ちなみに、茨城フォーも思ったとおりのプレイができなかったようなので後日、ゴッディに魅せプレイのレシピをメールで聞いた。すると……。

大剣とライトボウガンは体力マイナス50のネコメシを食べて、大剣はネコのオマケスキルで“ネコの火事場力”を発動させるておく→クエストが始まったら大剣がエリアホストを取り(先に闘技場に入ること)、ラージャンの振り向きに合わせて大剣が頭にタメ3、ガンナーはシビレ罠を仕掛ける→シビレ罠にハマったらガンナーと大剣は大タル爆弾Gをラージャンの前に置き、大剣が蹴って起爆して小タル爆弾でネコ火事場状態に→シビレ罠の効果が終わると同時に怒り状態になるので、ガンナーが睡眠弾を撃って寝かせる→寝ているあいだに大剣は怪力の丸薬を飲み、ガンナーはラージャンの足もとに落とし穴を設置→落とし穴に落ちるまえに大剣が頭にタメ3を当てる→落とし穴に入ったらガンナーは1回麻痺させてから睡眠弾で眠らせる→大剣が頭にタメ3を当てるとすぐにラージャンは眠る。それを確認したら怪力の丸薬を飲み、頭にタメ3で1頭目討伐(最後のタメ3のときに画面に向って“おじぎ”のアクション)→ガンナーは2頭目の着地地点に移動し、着地と同時にシビレ罠にハメる→シビレ罠中にボウガンは睡眠弾を撃ち、大剣は落とし穴をラージャンの足もとに置いて、落とし穴に入った瞬間に眠らせる→大剣は怪力の丸薬を飲み、頭にタメ3→さらに2回目の睡眠状態となり、大剣は怪力の丸薬を飲んで頭にタメ3→落とし穴から出たら閃光玉を当てて、安全に3回目の眠り状態に→大剣がガンナーに睡眠弾を渡し、怪力の丸薬を飲んで頭にタメ3→ガンナーはラージャンのうしろ方面に落とし穴を設置→ここでラージャンは怒り状態になり、うしろに飛んだ着地点にある落とし穴に落ちる→4回目の睡眠状態にし、ラージャンの近くに大タル爆弾Gを1個置く→その大タル爆弾Gに爆風がぎりぎり当たるように大タル爆弾をひとつ設置→その大タル爆弾に爆風がぎりぎり当たるように大タル爆弾をひとつ設置→その大タル爆弾に爆風がぎりぎり当たるように大タル爆弾Gをひとつ設置→最後に、画面に向かってアクションのおじぎをしてから、いちばんラージャンから遠い爆弾を大剣とボウガンが蹴る→これでハンターは昇天。しかし、その爆弾がほかの爆弾に当たってゆき、最後にラージャンに爆弾が当たってそこで討伐完了……。

 これを、5分ジャストで完了するように計算しながら立ち回るんだって……。

 そして3チーム目のNAMAZONE(出場選手はナマゾー&YUKI)。彼らが導き出した“魅せプレイとは?”の問いかけに対する答えは“ドラマ性”だったようで、提出された紙にはこれから闘技場内で起こる出来事が演劇のシナリオのように事細かに書かれていた。コンセプトは「ソロ太刀ハンターとオトモアイルー」らしく、「オトモアイルーの華麗なサポートとソロ太刀ハンターの正確な立ち回りが見所」とのこと。そして2頭目のラージャンが出てきたら……! そのあとの文章を読んで、俺はびっくり仰天した。

「オトモアイルーはラージャンを眠らせ、太刀ハンターからこんがり魚をもらう。そしてオトモは喜び、魚を食べ、モドリ玉を使ってキャンプに帰る……。ここで“オトモアイルーお疲れ様!”と言ってほしいです……なんて書いてありますよ!」

 NAMAZONEはこのシナリオにある立ち回りを見せる、ということらしい。しかしレジュメを読んだだけではよくわからなかったので、「とにかく、見せていただきましょう!」ということになった。

 画面には太刀を持ったハンターと、アイルーフェイクを被ったハンター……じゃなくて、大きなオトモアイルーが現れた。いったいどんな立ち回りを見せてくれるんだ……? 固唾を呑んで見守る観衆。その眼前で、驚くべき“ドラマ”が展開された!

 アイルーフェイクを被ったハンターの動きは、まさにオトモアイルーそのものだった。ラージャンの背後に陣取って爆弾を置いたり、罠を使ったり、ライトボウガンで麻痺弾を撃って脚を止めたりと、その献身ぶりはMCの佐治キクオをして「俺、このオトモアイルー欲しい!!」と言わしめるほど。ひとりと1匹のコンビネーションはあまりにも美しく、1頭目のラージャンは何もしないうちに捕獲されてしまう。

 そして2頭目のラージャンもハンターサイドが描いた青写真どおりに動かされ、落とし穴にハマったところで睡眠状態に。ここで太刀ハンターは「おつかれさん!」とばかりにオトモアイルーにこんがり魚を手渡す。ジャンプして喜びを表現するオトモアイルー。そしてガウガウとこれをむさぼり食い、満腹になったところでハンターに向かって手を振るではないか! これに手を振って応えるハンター。そしてオトモアイルーはモドリ玉を使い、ベースキャンプへと帰っていった……。この瞬間、解説席と客席からいっせいに声があがった。

「オトモアイルー、おつかれさまーーーーー!!!!」

 イベント会場は完全に、NAMAZONEワールドとなった。

 しかも、ドラマはまだ続く。このあと、残った太刀ハンターがひとりで2頭目のラージャンを屠り去ったのだが(ここでの立ち回りも信じられないほど見事だった)、ここでこのハンターは闘技場の入り口方面に向かって手招きのボディーアクションを始めたのだ。ナンダナンダ……と思いながら画面を凝視していると……なんと!! 遠くからオトモアイルーが駆けてキターーーーッ!! これを見た瞬間、会場の女性たちから「オトモが帰ってきたーーー♪」、「やだー! かわいいー!!」とうとうの黄色い悲鳴が(笑)。ハンター役とオトモ役のキャラが立った、見事な“答え”であった。

 そして、最後に登場したのはチームレジェンド。彼らが提出した“魅せポイント”には、「この場所でしかできないものを見せつけます」と書かれている。出場選手は、もうゲネポの唯&MASAKI。彼らは大阪人らしく、“笑い”に魅せプレイの答えを見出して立ち回りを考えてきていた。

 ふたりの魅せプレイは、ハンターの格好を見せるところから始まっていた。なんと彼らは“ファミ通装備”と言われる、ファミ通Tシャツ、ファミ通漢布を身体にまとい、武器として“太刀扇【1万ガバス】”を装備。ナルホド、確かにこれ以上はないってくらい“この場”にふさわしい格好ではないか。

 キャンプに降り立ったファミ通ハンターは、闘技場の入り口で同時にいにしえの秘薬をゴクリ。おお、シンクロしてる! さらに闘技場に入ってからもふたりは重なり合うように動き回り、同じモーションでラージャンに攻撃を加えるではないか! ……そう、彼らは“太刀を使ったシンクロプレイ”を見せようとしているのだ。異様なファミ通防具を身にまとったハンターが、これまたぶっ飛んだ武器である巨大な扇を重なり合うように振り回す様はギャグ漫画のようで、来場者から笑い声が漏れる。鬼気迫る難関クエストであるG級の“最後の招待状”に挑戦しているというのに闘技場内の風景はどこか牧歌的で、そのギャップに“魅せられた”人も多かったようだ。

 しかしそこはファミ通防具。一撃食らっただけで体力の10分の9が持っていかれる(苦笑)。結果、制限時間の5分になろうとしているところで3オチとなり、クエストは失敗に……。この結果に対し、佐治が噛み付いた。

「これはファミ通ちね! ってことですかねえ〜! けしからんですよ! ファミ通をディスった立ち回りだったってことですな!」

 んなことはないのだろうが(笑)、なかなか笑える魅せプレイでした。

 さてつぎはいよいよ、第4回角満カップの最終決戦です!

投稿者 大塚角満 : 12:13

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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