大塚角満の ゲームを“読む!”
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前回の続きです。
江野本ぎずもとふたりでクルペッコ、リオレイア、チャナガブルを難なく撃破し、いよいよ調子に乗ってきた逆鱗日和ファミリー。「オイオイ、もしかして俺たち、強いんじゃないのぉ〜?^^」と相好を崩し、何の危機感も持たぬままボルボロス討伐クエストも受注した。
じつはこのボルボロス討伐こそ、俺たちは自信を持っている。詳しくは絶賛発売中の『本日もただいま! 逆鱗日和』に書いてあるのだが、いち時期、俺と江野本はボルボロス討伐のタイムアタックを詰めていたことがあり、苦難の末に「ボルボロス、おそるるに足らず!!」という境地にまで到達することができたのだ(ちょっとオーバーだな)。
タイムアタックを始めた当初は、それはそれはたいへんだった。ボルボロスの動きが読めずに攻撃を食らいまくり、頭にきて斬りかかってもヤツは軽快なバックステップをくり出してハンターと距離を取ってしまう。ブチ切れたハンターは「うがああぁぁああ!!!」とどっちがモンスターなのかわからないほどいきり立って接近を図るもすぐに泥の飛礫をぶつけられて「シュン」となり、やっと攻撃が当たったと思ったらまんまと堅い脳天で、弾きモーションをしたところを猛タックルにさらわれて大ダメージを負う……。そんなことのくり返しで俺と江野本は本当にいち時期、心が壊れてしまっていた。ボルボロスの姿を見た瞬間、「ぎゃはははは!!!」と大笑いしてしまうほどに……(ホントにダイジョブか)。
それでもうまくできているもので、しつこく同じクエストをやり続けていれば必ず光の道が見えてくる。じょじょにボルボロスの攻撃を避けられるようになり、攻撃もびっくりするほど当たるようになって、とたんに俺たちは「ボルボロスって楽しい!!」というモードになった。それからは闘技場のタイムアタックだけでなく、一般のクエストでも喜んでボルボロス討伐に出向くようになり、かつてよく叫んでいた角満オリジナル格言「やることなければレウスかレイア!」はいつの間にか、「やることなければボルボロス!」に取って代わったのだった。
この日のボルボロス討伐も、非常に順調に進行した。武器は、俺がランスで江野本が太刀。江野本は対ボルボロスのときは必ず太刀を持ち出してくる。じつは『3(トライ)』どころか『2nd G』までひっくるめても、江野本が太刀を使うのはここだけ。ボルボロスのときだけ(『2nd G』にボルボロスはいないけどね)。理由は、「タイムアタックのときに使っていた武器が太刀だから」ってだけなのだが、太刀嫌いを公言して憚らなかったのにこのときばかりは「太刀って楽しい〜♪」なんて言うのだからオンナってわかりませんネ。ちなみに、俺はこのときはたまたまランスで行ったが、じつは江野本とまったく同じ理由でボルボロス討伐のときは徹底してスラッシュアックスを使います。
こんな感じで順調に回っていたボルボロス討伐だが、ある瞬間に突然、平和な日々に終止符が打たれた。そう、“あいつ”が現れたのである。泥んこ遊びをしていた3人を蹴散らすように、暗黒の闘気をまとったイビルジョーが乱入してきて狩場を混沌の深淵に叩き込んだのだ。
「ちょっと……。またイビルジョー!? 無理ムリむり!!」
と、江野本が悲鳴を上げた。それに対し、イビルジョーの追跡を振り払いながら懸命に俺が応える。
「“また”って、昨日のペッコ戦で現れたの、ジョーかと思ったらドスジャギィだったじゃねえかwww ……って、笑い事じゃねえ! 逃げろ逃げろ!! 無理! 絶対無理!!」
それにしても、逃げ惑いながらつくづく思ったが、このイビルジョーというモンスターは本当にデカい。十分ゴツいボルボロスも、イビルジョーが近くにいたらてんで形無しである。これを見て、リアル世界で見る食物連鎖の不等号が、いま自分の分身がいる『モンハン』世界にも厳然として存在することを否応なく思い知らされる。この場に現れた不等号は明らかに、
ブナハブラ<ハンター≠ボルボロス<イビルジョー
だった。どっからどう見てもイビルジョーは、何の準備もなく挑んで勝てる相手ではなかった。
そんなあるとき、イビルジョーが放った投石攻撃がボルボロスに直撃した。どうやら俺を狙って放たれた剛速球がビーンボールとなり、哀れなボルボロスに“流れ弾”として激突したようだ。「うは!!!www」と思わず吹き出す俺。しかも当たり所が悪かったのか、なんとこの一撃でタフなボルボロスがドゥと横倒しになってしまったではないか。衝撃の一発KOである。フラリと“野良の”モンスターが現れ、ハンターだけじゃなくほかのモンスターにも影響を与えるという『3(トライ)』ならではの風景。こういうことがフィールド上では起こり得る……ということは十分理解していたつもりだったが、モロにその光景を目の当たりにした俺のショックは大きかった。そして同時に、俺はある映像を鮮明に思い出していた。
それは、『3(トライ)』のオープニングムービーだ。
アプトノスの群れを追いかけるジャギィとドスジャギィの行列に、上空からいきなり襲い掛かるリオレウス。口から焔の滴を垂らしながらジャギィの群れをねめつけるリオレウスの眼前に、今度は海からラギアクルスが現れてその場を支配しようと目論む。バチバチの睨み合いを展開するリオレウスとラギアクルス。“両雄並び立たず”を絵にしたような対決シーンは、この世界の中には悲しいほど真摯な生き物たちの奪い合いが存在することを教えてくれているようで、ハンターの心を捕らえて止まなかった。それと同じシーンがリアルに、登場モンスターは異なりながらも眼前で展開されている……。俺は強く、心を打たれた。そして「上位のフィールドは本当に気の抜けない、オープニングムービーと同じ苛烈な生き物の世界なんだ……」と思い知らされた。
そんなカッコイイことを考えているうちに、イビルジョーの度重なる援護(?)のおかげもあってか、我々は25分ほどでボルボロスを討伐してしまう。うーん、なんて順調なんでしょう。この勢いで、つぎはベリオかガンキンか、それともラギアあたりを狩っちまうか!! コーフンしながら「つぎ、何やる何やる??」と迫る俺に向かって、江野本はシレっとこんなことを言った。
「おいどん、まだハンターランク38なので、こっから先は進めないっすw とりあえず、ポイント稼ぎ手伝ってくださいww」
しまった……。忘れてた!!! 上位のベリオロスやらウラガンキンのクエストは、ハンターランク40以上じゃないと参加もできないんだった!!
というわけでしばらくのあいだ、江野本のハンターランク上げ作業に従事します……。“ふたりでどこまでできるかな?”の続きは、またそのうちに……(苦笑)。
ある夜。
家でひとり晩酌しながらテレビ朝日の『お試しかっ!』を観ていたら、江野本ぎずもからメールが届いた。そこにはこんな一文が。
「あれえ?? 『3(トライ)』やってないんすか? “ふたりでどこまでできるかな?”をやりますよっ!!」
……って、おめえが晩飯食ったらソッコーで寝てばかりいたからぜんぜんできなかったんだろが!! ……とは返さず、俺は「いまからつなぐー」とだけ返信していそいそとロックラックに向かって歩き始めた。
“ふたりでどこまでできるかな?”とはその名のとおり、俺と江野本のコンビで上位の大型モンスターとどれくらい渡り合えるのかを試す、という企画だ。やろうやろうと話はしていたのだがナゼかふたりの足並みが揃わず、この日までペンディングされてしまっていたのである。でもようやく、ロックラックで顔を合わせることができたぞ。企画倒れ寸前だったが、これで一気に前に進むことができる!! 俺はうれしさのあまり、ロックラックの酒場の真ん中でウキウキとダンスを踊った。
ではさっそく、クエストに行くとするか。江野本の「なにからやります?」という問いかけに対し、俺は「もちろん最初はペッコでえす!!」と力強く応える。上位とは言え、クルペッコはひとりでも余裕で討伐できてしまうが、久しぶりに『3(トライ)』に触る江野本のリハビリも兼ねて、クルペッコ先生にお世話になることにしたのだ。ちなみに武器は、俺が“仙石鎚【響】”、江野本が“アジダル・ハーカス剛”。ハンマーと片手剣だ。ハンマー×片手剣によるクルペッコ討伐は2009年の狩王決定戦予選に向けてさんざん練習したので、俺たちの立ち回りにまったく死角はない。
クエストが始まってすぐに、俺は最初にクルペッコがウロウロしているエリア7に向けて走り出した。一方、マップに映る江野本のカーソルを見ると、エリア7とはまったく違う場所でやたらとちょこまかと動き回っている。不審に思って、俺はたずねた。
「えのっち、そこで何してんの? ペッコがいるの、エリア7だよ?」
すると突然、江野本のカーソルはピタリと止まり、7.4秒ほどの沈黙のあとにチャットウインドにつぎのような台詞が表示された。
「……操作忘れちゃった……」
さっそく死角キターーーーーーッ!!! 俺は心から呆れ果て、「……」とだけ応えてクルペッコ戦に集中することにした(苦笑)。
それでも、クルペッコを前にした瞬間に叩き込んだ蓄積がズルズルと記憶の底から引きずり出されてきたのだろう。江野本はタイムアタックのときと同じようなポジションに陣取り、ザクザクとクルペッコを斬り刻み始めた。こうなればこっちのものだ。武器が闘技訓練のクルペッコ討伐のときに持つア・ジダハーカ(麻痺属性の片手剣)の最終形態であるアジダル・ハーカス剛なので、かわいそうな気まぐれ鳥はビリビリとやたらと麻痺りまくる。おかけでハンマーの俺も非常に容易く頭ばかりを攻撃することができ、クルペッコにしたら悪夢としか思えない麻痺→気絶→麻痺→気絶……という地獄のレールに乗せることに成功する。しかし、そこはクルペッコ。タダではやられない。いきなり、「よよよよくも好き放題にやってくれやがったな……。い、いま怖いの呼んでやるど。あああ謝ったって遅いかんな!!」と言うやいなや、ブオオオオ!! と必殺の“鳴きマネ”を炸裂させて大型モンスターの援軍を要請したではないか!! この様子を見て、俺は叫んだ。
「やばい!! イビルジョーが来るかも!!」
江野本も悲鳴を上げた。
「もうちょっとなのに!! なにこのトリ!!」
逆鱗日和コンビは恐慌を来たし、「ヤバイヤバイ!」、「ジョーが来るまでに狩らないと!」とかなんとかわめきまくりながら、必死になってクルペッコを追い回す。しかし、そう簡単に事は運ばず、俺と江野本の背後に別のモンスターの気配が……。キ、キタ……。イビルジョーだ!!! 若干チビりそうになりながら、同時に振り向くふたり。すると……!!
「うは!! ドスジャギィか!!w ビビって損した!!www」
そう、瀕死のクルペッコが呼び寄せたのは、鳴きマネで現れる大型モンスターの中では最弱と思われるドスジャギィ。これには、決死の覚悟で援軍を要請したクルペッコがいちばん驚いたことだろう。
「おおお、おめえじゃねえよ!!!」
てな感じで(笑)。狩りにはいたるところに死角がある。
ドスジャギィの顔を見てすっかり安心した俺と江野本は、落ち着いてクルペッコを料理した。クエストに要した時間は5分程度だろうか。余裕もいいところの勝利である。
この勢いに乗って、俺たちは続けざまにリオレイア、チャナガブルを撃破。特筆することは何もないくらい順調な狩りで、ちょっと拍子抜けしてしまったくらいだ。さらに俺たちは調子に乗って、「こいつもやっちまおうぜ」と言いながらボルボロス討伐にも出向く。対ボルボロス用の立ち回りもふたりでさんざん練習したので(詳しくは発売中の新刊『本日もただいま! 逆鱗日和』を読もう!)、今度こそ俺たちに死角はない。……ない、はずだった……。
長くなったので、続きは次回〜!
※緊急告知! またまたイベントやっちゃいます!!※
1月22日に無事、『逆鱗日和』シリーズの最新刊『本日もただいま! 逆鱗日和』が発売になりました〜! シリーズ本編としては1年2ヵ月ぶりの発売となる本書ですが品切れになってしまっている書店も多いらしく、ありがたいやら申し訳ないやらでホントになんて申してよいやら……。
さて! そんな『ただいま!』の発売を記念しまして、『逆鱗日和』の新刊発売時にはおなじみとなったイベントを開催することになりました!! ひさびさに読者の皆さんの前に生身をさらすことになるイベントです! 現在必死こいてダイエットしています!!w 詳しくは2月上旬にこの場でお知らせしますので、ぜひぜひお見逃しなくー!
すでに速報がアップされているのでご存じの方も多いかと思うが、本日(2010年1月26日)“CAPCOM TITLE PREMIERE FOR XBOX 360”という、カプコンとマイクロソフトが共同で行う発表会が開催された。詳細は発表会リポートを読んでいただきたいが、ここで我がブログの読者の皆さんにとって衝撃的な発表がなされている。それは……。
『モンスターハンター フロンティア オンライン』、Xbox 360へ!
というもの。PCで展開されている『フロンティア』がついに、家庭用の据え置きゲーム機に登場するのだ。
ニュース記事と重複するが、発表会で明らかになったXbox 360版の『フロンティア』についてわかったことを箇条書きにしてみよう。
・内容はPC版と同様
・月額課金で、ハンターライフコース(30日)が1400円(Xbox Liveのゴールドメンバーシップの料金含む)
・2010年5月からクローズドβテスト開始(シーズン8.5を先行体験できる)
・2010年夏にパッケージを発売(30日間のクーポン券、ゲーム内アイテムなどの特典付)
・PCとは違う、独自のサーバーで遊ぶ
・ハンターランクは全員“1”からスタート
・シーズン8.5までのフルボリュームがいきなり遊べる
・パッケージ発売から2週間は“オープンβ”の期間とし、パッケージ購入者は無料で遊べる
・メゼポルタ広場に人が集まり、そこからクエストに行ける
発表会で小野義徳プロデューサーが語った内容は、こんなところかな。でもこれだけだとちょっとイメージしづらいかもしれないので、いくつか付け足そう。あ、予想も込みだからね。
まず登場モンスターや武器、防具については、“PC版と同様のサービス”、“シーズン8.5から遊べる”と断言されていることからもわかるとおり、現在PCで展開されている内容と、この夏までにバージョンアップされる要素はすべて、Xbox 360版にも導入される。プレゼンテーションのまえに『フロンティア』のトレーラー映像が流されたが、ここではエスピナス、アクラ・ヴァシム、ベルキュロスなどとともに、最新のシーズン7.0で登場した大巌竜・ラヴィエンテの姿も確認できた(ていうか、『フロンティア』のXbox 360版のサイトの冒頭でこれらのモンスターが現れる映像を観ることができる)。Xbox 360のユーザーも、これら『フロンティア』独自のモンスターと対峙することができるってわけだ。また、PC版と同様の内容ということは当然ながら、『フロンティア』独特のシステムである“猟団”、“キャラバンクエスト”、“開拓”なども導入されると思われる。要するに、PC版の情報をチェックしておけばXbox 360版の予習ができるわけですな。
さて、発表会会場では早くも、Xbox 360版の『フロンティア』を体験プレイすることができた。オンライン専用タイトルなのでもちろん、メゼポルタに入って、ほかのプレイヤーと合流しての協力プレイである。ちなみに! 包み隠さず最初に書いてしまうが、俺はPC版の『フロンティア』はハンターランク100まで、モンスターで言うとアクラ・ヴァシムまでしかプレイしていない。そういう意味ではあまりエラそうなことを言える立場ではないのだが、なるべくがんばって詳細なリポートを書こうと思う。
体験コーナーが解放されるのと同時に、『フロンティア』の什器ににじり寄って「たたた、体験プレイさせてくだちゃい!」とアテンドの男性に声をかける。すると男性はにっこりと笑って俺の顔を見て、「ありがとうございます! ぜひ遊んでみてください!」と言い、続けて「これまでに『モンハン』シリーズで遊んだことはありますか?」と尋ねてきた。それに対して俺は「は、はい。ぼちぼちやってます」と応え、晴れてXbox 360のコントローラーを手渡してもらったのであった。
体験プレイは、メゼポルタ広場からスタートした。100人まで入れるメゼポルタは多くのハンターでごった返しており、じつに賑やかである。聞くとメゼポルタの構造もPC版と同様で、まったく同じサービスを受けることができるとのこと。じつに至れり尽くせりではないか。
ひととおりメゼポルタを見学するとすぐに、「クエストに行きましょう!」ということになった。相手となるモンスターは『フロンティア』にしかいない“エスピナス希少種”で(※ごめんなさい、“亜種”って書いていたんですけど希少種の間違いでした! 「亜種です」と言われてそのまま書いてしまいました。スミマセン!)、フィールドはこれまた『フロンティア』にしかない“樹海頂部”とのこと。うーん、こいつは初めて尽くしだなあ。当然、Xbox 360版なのでコントローラーもXbox 360のものだ。このコントローラーで『モンハン』するの、俺は初めてだよ(あたりめーだ)。なんだかすごく、不思議な感じがして少々ドギマギしてしまう。そんな様子を見たアテンドの男性は俺がプレイに不安を覚えたと思ったのだろう。努めて元気な声で「大丈夫です! 私もサポートしますから! キーボードのショートカット機能を使って回復アイテムを飲んであげますからね!」と言ってくれる。おお……。そういえば、そうだった。『フロンティア』はキーボードにアイテム用のショートカットを作って、ワンボタンで瞬時に使用することができるんだった……。俺は男性の心遣いに深く感謝し、「ありがとうございます。でもなんとかひとりで大丈夫だと思います!」と応える。すると男性は「うんうん」と力強く頷き、続けて「ちなみに、この什器で使える武器は“太刀”になります。ガンバッテくださいね!」とサラリと言ってのけた。これに人知れず衝撃を受ける俺。あ、あの……。ボク、太刀ってほとんど使ったことないんですけど……。しかし、俺の動揺は一顧だにされず、4人のハンターは樹海頂部に向けて旅立ってしまった。こうなりゃやるっきゃない!!
樹海頂部に入ると、のん気に寝息を立てているエスピナス希少種の姿が目に飛び込んできた。しばしその寝姿を、感嘆の吐息を漏らしながら眺める。うーん、さすがハイデフだ……。じつに映像がくっきりしていて美しいではないか。しかしいつまでもポケーっとしているわけにもいかないので、慣れない太刀を振りかざしてエスピナス希少種に斬りかかった。が、熟睡しているエスピナス希少種は、そんなことくらいでは起きてくれない。しばらく4人で、ザクザクと攻撃を加え続けた。
さてやってみて思ったが、これまでの『モンハン』シリーズの操作に慣れた指だと、Xbox 360の純正コントローラーのボタン配置は少々戸惑うかもしれない。なぜかと言うと、コントローラー左側のアナログスティックと十字キーの配置がデュアルショックやPSP、クラコンPROと上下逆なので、いわゆる“モンハン持ち”(左の親指でアナログスティックを動かして人差し指で視点変更する持ちかた)ができないのだ。まあ今回のバージョンはあくまでも開発初期のものなので、より操作しやすいように今後ブラッシュアップされていくのは間違いない。このへんの操作まわり、続報に期待したいところだ。
クエストのほうは、怒り狂いながら目を覚ましたエスピナス希少種の猛攻にさらされて、あっと言う間に仲間ハンター3人が息の根を止められてしまった。幸い、俺はオチることはなかったのだが、毒と炎と麻痺の攻撃をくり出すエスピナス希少種の戦闘力に、大いに度肝を抜かれておきました。いやあ、強いなやっぱり。
こんな感じで体験プレイは瞬時に終わってしまったが、そう遠くない未来に、家庭用ゲーム機でじっくりとコレが遊べちゃうんだなぁ……。PC版で2年半のあいだに積み重ねられた14体の追加モンスター、6つのマップ、4000本以上の武器、500セットに及ぶ防具はやはり魅力的だ。マイクロソフト首脳陣の期待の大きさも、並々ならぬものがあった。このタイトルがXbox 360にどのような風を吹き込むのか? 今後の展開に注目したい。
1月22日に発売された新刊『本日もただいま! 逆鱗日和』を読んでいたら無性に『3(トライ)』で遊びたくなり(さりげない宣伝)、時間を見つけてはちょこちょことロックラックに顔を出している。しかしここのところ“出会い運”が悪いのか俺がログインしているときに限って友だちは誰も現れず、ひたすら孤独な狩りが続いていたりするのだ。
でも、その日は大丈夫なはずだった。会社で江野本ぎずもに「『3(トライ)』やろうぜ。企画“ふたりでどこまでできるかな?”をやるんだかんな」と言い、江野本も「やろうやろう! 帰って準備できたらすぐにメールするので、狩りまくりましょう!」と嬉々として合意していたのである。なので俺は帰宅後、早めに晩酌を済ませてログインし、江野本がロックラックに来るのをいまかいまかと待っていた。ところが、20分経っても30分経っても俺のいる酒場にはぎずももいずももねずみもまりもも現れず(意味不明)、酒量はいたずらに増えるばかり(酒場のテーブルで酒を飲みながら待っていたのだ)。かといってこちらから「あ、あのぉ……。ボチボチいかがでしょうか……?」とメールするのも癪なので俺はすくっと立ち上がり、酒の回ったフラつく足でクエストカウンターににじり寄って「ねえちゃん、なんかオススメのクエスト貼ってくれやあ〜!」と看板娘のアイシャに絡みついた。結果、待ちぼうけをくらって血がたぎっていたからか、思わず上位のリオレイア討伐なんていう身の程知らずなクエストを受注。「いーよいーよ。俺なんてレイアのサマーソルトに吹き飛ばされてドクドクのピヨピヨになり、ぎたぎたのデロデロになってくるから」と訳のわからないことをつぶやき、水属性のハンマー“仙石鎚【響】”を担いで単独で孤島に向かうこととなった。
到着した孤島は、今日もいい天気だった。
潮の風でなびく草むらにはかわいらしい蝶が飛び、岩壁を見れば露出したマカライトやカブレライトの結晶がキラキラと真夏の(知らんけど)陽光を乱反射させている。エリア5に広がる浅瀬の水はどこまでも澄み渡り、草を食むアプトノスの親子も束の間の平和を存分に堪能している風情だった。
「それにしても……」
とふと思う。
この俺がたったひとりで、ハンマーを得物に上位リオレイアのクエストに出向くとはねえ……。半年まえの俺だったら、200程度しか防御力がない現在の防具では間違いなくガンランスかランスを手にしていたはずだ。……まあ『3(トライ)』にはガンランスは存在しないから、持ちたくても持てないけどサ(笑)。とにかく俺はこれまで、でっかい盾ががないと生きていけない体質(なのか?)だったので、ソロでそれなりに強いモンスターの討伐に行くときはガードが使える武器を装備していくことが多かった。いや、ほとんどがそうだったのだ。
ところが、いま孤島のエリア5にたたずんでいる我が分身は、盾のないハンマーを手にしている。『2nd G』までの“旧タイプ”のリオレイアだったらまだわかるが、ここに現れるのはいまだ動きを読みきることができない“新タイプ”のリオレイアだ。しかも、屈強な上位モンスター。なぜ、そんな相手にハンマーで臨むことができるのか?
これはひとえに、2009年のモンハンフェスタの狩王決定戦に挑戦するにあたり、必死になってハンマーの立ち回りを練習したからに他ならない。特訓の甲斐あって、“どのタイミングでどの攻撃をくり出せばいいのか?”という基本の基本がそれなりに身についてくれたのである。……まあ、躊躇なくハンマーで出向けるモンスターがペッコ、ロアル、レイアくらしかいないってのは不徳の致すところではあるが(苦笑)、この事実は我が5年に及ぶ狩猟人生においては一大事件なのです。いやあ、練習を積んでよかったなぁ^^
そんな中で始まったリオレイアとの生存競争だが、やっぱり俺、ハンマーを使う腕が上がっているわ……。読みきることができないながらも比較的余裕を持って“新生”リオレイアの動きについていくことができ、振り向きざまやサマーソルトの着地点、そしてブレスを吐いているときなどにタメ3攻撃やタテ振りからの振り上げ攻撃を当てられるのである! この優雅な立ち回りには、誰よりも俺自身がいちばん驚いた。あービックリした。ってこの立ち回りを見ているの、俺ひとりしかいないけどナ。いーんだいーんだ。
クエストの主導権は、完全にハンターが握っていた。ハンマーの火の出るような打撃(実際は水属性なので水が出たが)はリオレイアの頭を捉え続け、さしもの女王もたまらず、バタンバタンと横に倒れまくる。このクエストでハンターがリオレイアから奪った“気絶”はじつに4回。これだけいいタイミングで攻撃を入れられるということはイコール、相手の動きがよく見えているということ。実際、俺はほとんど攻撃を食らうことなくハンマーを振り回し続け、いまにも「勝負あった!!」と叫びそうになった。
しかし−−。
この世界におわす狩猟の神様は、そんなに甘っちょろくもやさしくもない。こっちがいい感じにクエストを仕切っているときに限ってドS極まりない戦神となり、その場を混沌とさせる“魔の一滴”をたらしてくるのだ。
クエストが始まってから30分が過ぎたころであろうか。エリア5において「ここで決着つけてやる!!」とばかりに一気呵成に攻め込んでいた俺の背後の空気が、明らかにユラリと揺れた。オノレの背後なんて物理的に見ることはできないが、突如としてとてつもない瘴気の渦が出現して、エリア5の空間を歪めたのがわかってしまったのである。俺の後ろに、何かが現れた。そして、いまにも終わらんとしているリオレイアとのタイマン勝負に割って入ろうとしている。それも、ただ単に自分の食欲を満たすためだけに……。俺は絶望の予感に五体を貫かれたままクルリとカメラを回し、耳まで裂けた真っ赤な口を開けた地獄の使者と対峙した。
「ヴォオオオオォォォォォオォォ!!!」
生物界のバランスをぶち壊す破滅の化身・イビルジョーの姿を見た瞬間、俺の頭からリオレイアの存在が消し飛んだ。あああ、現れやがったなイビルジョー!! 俺がひとりだからって、バカにしやがって! いいい田舎モンが相手だからって、調子に乗りやがってっ!! 俺は敢然とハンマーをかまえ直し、現れたばかりでポケーっとしているイビルジョーのジョー(アゴね)に、渾身のタメ3攻撃をお見舞いした。そう、無謀にもリオレイアだけでなく、イビルジョーにもケンカを売ったのである。こうなったら、まとめて相手してやるわ!!!
俺はリオレイアが飛び去ったのをいいことに、ハンマーをめったやたらとブン回してイビルジョーに攻撃を加えた。アゴや脚におもしろいように攻撃が当たる。じつは『本日もただいま! 逆鱗日和』の書き下ろしエッセイを読んでもらえればわかるが、ここのところ頻繁に、俺と江野本はイビルジョーに戦いを挑んでいたのである。攻撃の甲斐あって、すぐにヨダレをたらすイビルジョー。いい感じでスタミナを削れているぞ。
しかし、俺がいい格好ができたのはここまでだった。エリアチェンジしたイビルジョーを追いかけていったはいいものの、いきなり飛びつかれて組み伏せられ、バクバクムシャムシャと喰われちまったではないか!!! ひぃぃぃ!! く、喰われてる!! た、体力の減りがハンパないんですけど!! こういうときに都合よくこやし玉を持っていればいいのだが(捕食されたときにこやし玉を使うと拘束から解放されるのだ)、もとよりそんな準備はしてきていない。俺はなす術なく喰われ続け、あっと言う間に息の根を止められてしまった……。完全にクエストを支配していたはずなのに、イビルジョーが登場したとたん、すべてをひっくり返された……。
その後、復活した俺は「もうヤツには二度と近づかない!!」をスローガンにリオレイアを追い回し続け、なんとか40分ほどで討伐に成功する。俺を喰って満足したイビルジョーはどこぞで昼寝でもしていたのだろう。ありがたいことにそれ以上はクエストを引っ掻き回すこともなかった。はぁ、よかった……。なんとかリオレイアを超えることはできたぞ……。
でも、もうこれ以上は無理だろう。
このあとに控える上位のギギネブラ、ベリオロス、ウラガンキン、アグナコトル……といった物騒な連中を、俺ひとりの力でどうにかできるとはとても思えない。しかしいくら待っても相棒の江野本ぎずもはロックラックに現れず、けっきょく俺は疲れて、深夜2時過ぎに寝てしまった。
そして、朝。
携帯電話を見ると、深夜2時30分ごろに1通のメールが届いていた。見ると、江野本からである。「どんな言い訳を送ってきたんだこのオンナは……」と朝っぱらからイラつきながら開封すると、そこにはこんな一文があった。
「すんません!!! 腹が減ってご飯食べたら寝ちゃった!!!!」
……おめえはイビルジョーかっ!!!!!
……てなわけでいまだに、“ふたりでどこまでできるかな?”は始まっておりません(苦笑)。
本日無事、『逆鱗日和』シリーズの最新作となる単行本『本日もただいま! 逆鱗日和』が書店に並びました〜!! よかったよかった。ぱちぱちぱち……。
もう何度も書いているが、プレイ日記がメインの単行本は2009年11月に発売した『本日もサヨナラ! 逆鱗日和』以来、1年2ヵ月ぶり。載っているエッセイはすべてWii用ソフト『モンスターハンター3(トライ)』がらみのものばかりで、このファミ通.comで連載している『3(トライ)』プレイ日記を中心にいろいろなところに書き散らしたコラムを結集させるとともに、書き下ろしの文章もどっさりと投下させてもらった。もちろん、“正調・逆鱗日和”なので、イラストレーターのぽん吉さんにたくさんの挿絵と、カバーイラストを描いてもらっている。見てもらえればわかると思うがこのカバーがじつにすばらしい出来で、パっと見ただけで「ああ、これは『3(トライ)』について書かれた本なんだな」ということがわかるくらい、その世界観の中でキチンと遊んでいる仕上がりになっているのです。ぽん吉さん自身も「心から納得できる作品になりました!」と胸を張るくらいステキなイラストなので、「これを見るだけでも『ただいま!』を手に取る価値がある!」と断言しちゃいます。ぽん吉さん、今回もすばらしい作品をありがとうございました!
さて問題の中身のほうだが、1週間まえに見本誌が届いてすぐに、関係各位に単行本をお渡しして読んでもらっていたりする。手前味噌だが、ありがたいことに評判はすこぶる上々で、「がんばって書いてきて本当によかった!!」と胸をなでおろしてしまったよ。とくに、いろいろな人から「感動して泣きそうになりました!」と言ってもらえたのが、この本でしか読めない書き下ろしのドキュメンタリーだ。2009年のモンハンフェスタの裏にあった、あるモンハンアスリートの心模様を物語化したもので、書き手の俺自身も「この本の中でいちばん読んでもらいたい作品」と即答できる仕上がりになりました。どんな物語なのかは実際に『ただいま!』を手に取って読んでもらいたいので書かないが、ハンターの心に響く文章になったんじゃないかなあ……。
本日、本書のプロデューサー&ディレクターである江野本ぎずもと都内の書店を巡ってきた。新刊の発売日に毎回行っている書店チェックだが、1軒目に入るときはいまでもちょっと緊張する。密かに(何冊か入っているかな……)、(ちょっとは売れてるかな……)、(目立つところに置いてあったりするかな……!)なんてことを考えながら、新宿の某大型書店に足を踏み入れた。すると、ありがたいことにその書店では20冊ほどが平積みになっていたことに加え、“話題の本”のコーナーにも何冊か置かれていたではないか!! おおお……。泣ける……。作者冥利に尽きる……。これを見てすっかり安心し、その後何店かの書店をチェック。どの書店でも『ただいま!』の存在を確認し、俺と江野本はホクホク顔で会社に戻ってきたのでした。
はぁ、しかしついに発売かぁ……(しみじみ)。作るのたいへんだったけど、たくさんの人に読んでもらえるといいなぁ。
突然ですが、1月21日発売の週刊ファミ通2月4、11日合併号の188ページに、ちょっと異様(?)な記事が載っております。まあ、俺が毎週同誌で連載している“大塚角満のMH研究所”なのだが、今回は『本日もただいま! 逆鱗日和』の発売直前ということもあって2ページに増ページしてもらい、ある特殊な企画記事を盛り込んでいるのです。その内容は……!
“辻本良三×倉西誠一×大塚角満のモンスター座談会”
というもの。ね、ビックリでしょう。良三さんはいいとして、“倉西誠一”という名前が俺が書く文章に載っているのが……。
ご存じの方も多いかと思うが、倉西さんはファミ通のライバル誌である電撃PlayStationの前編集長であり、『逆鱗日和』シリーズと同じ『モンハン』シリーズのプレイ日記『狩られ道』シリーズの作者でもあるお人だ。出版業界の常識から考えて、“モロすぎる”ライバル関係にある雑誌の幹部が対談をするなど、そうそうあることではないのです。ではなぜ、このような記事が作られることになったのだろうか?
当然ながら俺たちは、お互いの存在はよく知っていた。モンハンフェスタの会場では毎回同じ屋根の下にいたし、ほかのゲームの発表会でもよく顔を見かけていたので、「話しかけよう!」と決意すればこれまでに30回くらいは、そのチャンスがあったと思われる。ところが、俺はいつも倉西さんのところまで到達できず、電撃PlayStationの現編集長である西岡のところで立ち止まって「よぉ、元気?」とかなんとか軽く挨拶するだけで終わってしまっていた(※じつは西岡編集長と大塚は同級生で、学生時代に同じ教室で勉強していた仲なのだ。なので呼び捨てでいいのだ)。倉西さんも同じように思っていてくれたらしいのだがなかなかふたりは出会うことができず、イベント会場で人知れず身悶えしていたのでありました。
で、2009年末。とある会合の席で俺と倉西さんはバッタリと顔を合わせた。酒を作ってくれるバーカウンターに俺が並んでいたときに倉西さんが接近してきて、「大塚さん! 初めまして……になりますよね?」と笑いながら話しかけてくれたのである。最初の1歩さえ踏み出してしまえば、もとよりケンカとかしている間柄ではないので話が弾む弾む(笑)。その場で即席タッグを組んで『3(トライ)』のタイムアタックに挑戦しちまったくらい、俺たちは意気投合した。倉西さんは、話し上手なじつに楽しいおっちゃんだった。
そんな俺たちの姿を見て、その場にいた『モンハン』関係者、そして江野本ぎずもは突発的に阿波踊りをしてしまったくらい驚きに驚いた。
「クリスマスの奇跡だ!」とカプコンのパブリシティー担当の男性。
「歴史的な和解の瞬間に立ち合った!!」と良三さん。
「やばい!! 感動して泣いちゃいそう!!」と江野本。あの……。べつに俺たち、いがみ合ってたわけじゃないんですけど……。
まあこんな感じで、ポカーンとする俺と倉西さんを尻目に異様なまでに盛り上がってしまったまわりの連中は、結婚式で新郎新婦にチューを強要するかのごとく「ホラホラ! もうふたりで対談でもしちゃってよ!!」と背中を押しまくりまして……。気がついたら、「『ただいま! 逆鱗日和』の発売記念ってことで、電撃での宣伝、ひとつよろしくお願いします!」というところに着地していたのでありました(笑)。
こういう流れから生まれた座談会記事が、前述のとおり週刊ファミ通2月4、11日合併号と、なんと電撃ゲームス Vol.5(1月22日発売号)、電撃PlayStation Vol.465(1月29日発売号)、Vol.466(2月12日発売号)などにも載っちゃうのです! 皆様、これらの雑誌をお見かけになりましたらぜひぜひお手に取ってみてくださいな!
※私信・倉西さん、良三さん、本当にありがとうございました〜!
◆◆◆新刊情報!◆◆◆
当ブログがもととなった単行本『逆鱗日和』シリーズ最新刊『本日もただいま! 逆鱗日和』が2010年1月22日に発売されます! 『モンスターハンター3(トライ)』に特化したエッセイを集めたこの単行本には、書き下ろしも多数! 書店で見かけたら、どうぞ手にとってみてくださいねー!
この週末、仕事の合間に時間を捻出してコツコツとロックラックに出向いていた。まとまった時間が取れるわけではなかったので、「1クエでもいいからフィールドに出向いて、『3(トライ)』の空気に触れたい!」という、我ながら健気で純情な想いに突き動かされての訪問だったのである。
ロックラックに到着してフレンドリストを覗いてみたが、残念なことに友だちはひとりもオンラインしていなかった。まあこれはある程度予想していたことなのでそれほど残念にも思わず(どっちなんだ)、フラフラと誰もいない街に入って行った。
ところが、どうやらこの日の俺は天中殺だったらしい。
交換所のおばちゃんに話しかけて交換リストに光蟲が入っていることを知るも、交換用のアイテムが1個もなくて「……」となり、さらに隣の素材屋で雷光虫を取り扱っているのを発見して狂喜乱舞するも、なぜか手持ちのお金が628ゼニーしかなくて1匹たりとも買うことができない(1匹700ゼニー)。頭にきて(自分が悪いのだが)すぐさまロックラックから出てくれようかと思ったがどうにか踏みとどまり、リアルで腹が減っていたことも手伝って「まずは腹ごしらえを……」と言うことでネコメシを食らう。しかしどういった加減だったのか選ぶ食材を間違えて、我が分身は悶絶して酒場の床でのた打ち回りやがった。俺、『3(トライ)』どころか、いまだに『2nd G』でも選ぶ食材を間違えて、マイナスステータスで狩りに行くことがあるんだよな……。ちっくしょー……。なんでこんな目に……。俺、やり場のない怒りに身もだえし、そのときヒザの上に乗って暴れていた飼いネコのアクアに「よくも失敗メシ食わせやがったなこのネコめっ!!!」と叫ぶやいなや、彼女(メスなんです)の毛をクシャクシャにしてやる。すると、もう8歳くらいなのにいまだに動いているものを見るとジャレまくるお転婆娘は「やった! 遊ぶニャ!!」とひと声吠えてガブガブと俺の手に噛みついてくるではないか。俺、「イテテテ!! やめろやめろ! 悪かった悪かった!!」と悲鳴をあげながらアクアをヒザから下ろし、マジメにハンター稼業に精を出すことにした。
さて、何をやろうかな。しばし思案してから武具屋に飛び込み、手持ちの武器をパワーアップさせるために必要な素材をチェックする。その結果、いくつかの武器でラギアクルスの上位素材が必要な事実を発見。それを眺めながら、俺は独り言を言った。
「ハイ、ひとりじゃ無理」
いまの俺の装備と腕で、上位ラギアとまともに渡り合えるわけがない。しかもこちとら、失敗メシのおかげで体力が減っているというハンデを背負っているのだ。ムチャ言うな(自業自得)。
そこで俺は仕方なく、上位クルペッコのクエストを受注した。「またペッコかよっ!!」と日本全国100万の『3(トライ)』ハンターから侮蔑の声が飛んできそうだが、ふとあることを思いついてしまったのだよ。それは……。
“企画狩猟・ひとりでどこまで狩れるかな?”
であります。文字通り上位クルペッコを皮切りにひとりで大型モンスター討伐クエストに出かけ、どのあたりまでひとりでクリアーすることができるのかに挑戦する企画だ。クルペッコのつぎはロアルドロス、ロアルドロスのつぎはボルボロス……と言った具合に、徐々にモンスターは強くなってゆく。うん、こいつはいいぞ。素材もポイントもゼニーも手に入るうえに、クエストの場数を踏むことで腕も磨かれてゆくに違いない。よーし、やったるでえ!
というわけで出かけた上位クルペッコ討伐だが、無事に10分程度で料理することができた。途中、イビルジョーが現れて肝を冷やしたが、かなーり冷静に立ち回ってハンマーで翻弄してやったぜ。まあハナから、このクルペッコとロアルドロスについては心配していなかったのだ。上位とは言え、この2頭を相手にしてそうそう俺が後れを取るはずがない。そして実際、「第2回戦!」と意気込んで出向いたロアルドロス討伐も順調にクリアー(と言いつつ、回復薬は底を突きかけたww)。つぎはチャナガブルかボルボロスかで迷った結果、かつて江野本とふたりでタイムアタックを詰めたボルボロス討伐に出向くことにした。武器は、現時点で唯一持っている上位素材のランス、特捜隊専用槍【百狐】である。
上位のボルボロスは、さすがに強かった。もしも俺が、タイムを詰めるためのボルボロス通いをしていなかったら、まったく歯が立たなかったに違いない(なぜボルボロスのタイムアタックをしていたのかについては、1月22日に発売される『本日もただいま! 逆鱗日和』を読もう!)。でも、いまの俺には蓄積がある。何十回もこのモンスターと渡り合ったおかげで、些細な仕草を見ただけでつぎに彼がどんな行動を取るのか、手に取るようにわかってしまうのだ。暴走機関車のような突進をギリギリで避け、泥の飛礫をヒラリヒラリとかわし、イヤらしいバックステップを見てもイラつくこともなく、つねに冷静沈着に立ち回る……。その結果、35分針と時間はかかってしまったが、見事1オチもすることなくこのモンスターを切って落とすことに成功したではないか(……そのわりに、持ち込んだ回復薬グレート20個と秘薬はすべて飲みつくしたけどな)。どうやら俺は思った以上に、腕が立つハンターらしい。この分ならチャナガブルをすっ飛ばし、リオレイアも「ハイハイ、また今度ね」と冷たくあしらって、一気にベリオロスあたりまでジャンプアップしていいのではなかろうか? いやダイジョブだ。いまの俺の実力と、強力な火属性を纏った特捜隊専用槍【百狐】があれば、十分に対抗できるのは間違いない!!!
というわけでさっそく、回復系アイテムを満タン持ってベリオロスの待つ凍土へと出向いた。クエストが始まってすぐにエリア6に駆けつけ、白刃・ベリオロスにケンカを売る。さあガチンコで勝負だ!
しかし冷静になって考えてみると、俺はこのベリオロスというモンスターとそれほど親しい間柄ではなかった気がする。つまり、その動きや攻撃を読みきれるほど頻繁に対峙したことがないのだ!! ただでさえトリッキーでスピード感溢れる動きをするモンスターだっつーのに、この経験値の低さは痛い。痛すぎる。しかもやはり、火にばかり強い上位クルペッコ装備ではベリオロスの凍てつく攻撃の数々を防ぎきることができず(あたりめーだ)、俺は攻撃を食らうたびに回復薬グレートをゴキュゴキュゴキュ……。結果、10分も経っていないうちに回復薬はすっからかんになり、けっきょく2オチを計上したところで「ダメだこりゃ……」と吐き捨ててロックラックに戻ってきてしまった。クルペッコとロアルドロスを討伐したくらいでいい気になり、一足飛びでベリオロスに挑んでしまった俺がバカでした。
ロックラックに戻ってくるなり、俺は携帯電話を取り出して江野本ぎずもにメールをした。その内容は、以下のような感じである。
「『3(トライ)』で、ちょっとおもしろい企画を考えたよー。“ふたりでどこまで狩れるかな?”っての。俺とえのっちのコンビで大型モンスターに挑み、ふたりの力でどのモンスターまで狩ることができるのか、挑戦してみない??」
するとすぐに江野本から、「おおお!! いいですね! やりたいやりたい!!」という元気な返信が。こうして新企画“ふたりでどこまで狩れるかな?”がスタートすることになったのでした(苦笑)。
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突然ですが、“モンハン値”という数値をご存じだろうか?
……え?? 知らない??? そおかあ。知らないのかぁ。それは残念だなあ……。まあでも、知らなくても仕方ないです。なんたってコレは、俺が勝手に考案したオリジナルの数値だからナ。ここで「知ってる知ってる!!」と言われるほうが断然怖かったのです。
で、このモンハン値とは何かと言うと、簡単に書いてしまえば『モンハン』に対する熟練度……つまりどれくらいこのゲームに慣れているかどうかを表す数値、ということですね。コレを算出するための要素には、『モンハン』シリーズはどの作品を遊んでいるのか、総プレイ時間、1作品に費やした時間(最大値)、クエスト出撃回数、武器の総使用回数、特定の武器ジャンルの使用回数、タイムアタックのタイム……などなどがあり、これにフクザツな係数をかけて導き出すのだが、ここからはじき出される俺のモンハン値はかなりの高得点になる。モンハン値は勉学で言うところの“偏差値”と同じように表現することが可能で、厳正な採点による俺の数値は60.5ポイントとなる。なかなかにして優秀な高校や大学に合格できるレベルにあるわけですねえ。……こういうのは発明したモン勝ちなので、「俺のモンハン値は80だ! 東大レベルだ!!」と言っちまってもいいのだが、慎ましい性格がブレーキをかけて中堅どころで落ち着きました。
しかし、こんなに一生懸命書いたくせにこれ以上モンハン値について掘り下げることはしない。あんまりやりすぎると、これ以上は考えていないことがバレ……じゃなかった、さらにフクザツなことを書かなければいけなくなるのでこのへんでやめるのです。
で、ようやくコラムの核心を書くが、俺は本日きっぱりと“モンハン値が高いハンターほど採取がヘタクソになっている”という新説を提唱したい。まえまえから思っていたことなんだけど、こいつは思わず「うんうん! 確かに!」と頷かずにはいられない説ですぜ、ダンナ。
ハンターとして生きていくうえでの生活の二本柱は、言わずもがなの“狩り”と“採取”である。狩りについては、回数をこなすことでそれなりにスキルが身についていくのはスポーツや勉強とまったく同じ。もちろん、個人差はあるがね。で、問題の採取だが、これは不思議なことにゲームのプレイ時間が長くなり、狩りの腕が熟達していくことと反比例してスキルが落ちてゆく。具体的に言うと、採取でモノが集められなくなるのだ。
じつは最近『3(トライ)』で遊んでいて、何度目かの消耗品不足に陥ってしまった。“雷光虫”、“光蟲”、“クモの巣”という“消耗品御三家”がことごとく底を突いてしまったのだ。交易や交換所を利用すれば手に入るものもあるが、そういうときに限って交易船はモガの村におらず、交換リストにこれらのアイテムは入っていない。たとえ入っていたとしても、今度は交換用のアイテムを持っていなかったりする。でもこの御三家は「なきゃないでいいや」と割り切れるほど甘い素材ではないので、ハンターはイヤだろうがナンだろうがこれらをかき集めるために奔走しなければならない。そう、つまり採取に行かなければいけないのだ。
そしてハンターは(俺のことだが)、ありったけの虫あみと虫あみグレートを手に持ち、さらに「せっかくの採取なので……」とピッケルも懐に忍ばせてフィールドに赴く。加えて「せっかく行くんだから……」とキチンとネコ飯を食い、選択クエストも採取ツアーではなくクルペッコ討伐あたりを選んで、回復系アイテムも万端に整える。じつはこれが、間違いの始まりなのだ。
フィールドについてまず俺が思うことは、「ペッコはどこにおるのだ?」ということだ。採取のためだけに来たクエストなのに、必ずそう思う。その理由として「大型モンスターにマーキングしてからでないと心安らかに採取ができない」というものがあり、これを実践するために「まずはペッコ」とつぶやきながらクルペッコ捜索に走ることになるわけですねえ。
こんだけ長いこと『3(トライ)』をやってりゃ、クルペッコが居る場所になど目を瞑っていてもたどり着くことができる(ちょっとオーバーだが)。このときもまんまと、エリア7でクイックイッと軽薄に首を前後させていたクルペッコを発見。すぐに目的のペイントボールをぶつけてやった。
これで、もう十分だ。クルペッコはしばらく放っておいても、何ら問題はない。安心して、この日のターゲットである消耗品御三家の採取に走れるぞ。しかし……。
「せっかくなので、ちょっとだけクルペッコにダメージを与えておこう」
そう言うのが早かったのか手にしたハンマーで殴りかかったのが早かったのかわからないが、とにかく俺は“のちのちのためにほんの少しダメージを入れておく”ことを目指してクルペッコにちょっかいを出し始めた。採取を終えたあとに「あーあ、これから新品のペッコを狩らなきゃいけないのか……」なんてことになると少々めんどいでしょう。ある程度最初にボコッておいてから採取作業に入ったほうが安心ではないですか? 先行投資? リスクヘッジ?(違う気がする) まあそういう理由から、ハンターはクルペッコに襲い掛かるのです。
ハンマーなのでひたすら、クルペッコの頭を目がけて攻撃する。このへんは、モンハンフェスタ`09の狩王決定戦でさんざん練習したのでお手の物だ。落とし穴やシビレ罠を使わなくても、特定の動作をしたあとに確実に、頭にハンマーの打撃を当てた。おかげですぐに、クルペッコは気絶状態となって昏倒する。
「ヨシ、完璧」
小さくガッツポーズをしながら、倒れたクルペッコの頭の横に陣取ってタテ振りからの振り上げをボコンボコンとぶち当てる。これを2セット。完璧に当てる。さすが俺。よーしよし、んじゃおつぎは閃光玉を1発だけ使って好き放題に殴ってやろう。ピカーン! ピヨピヨ! おっしゃ、視界を奪ったぞ。思う存分、タメ3攻撃を叩きつけてやろうじゃないか。ボコンボコン……。ついでに頭にもボンボコボン……。しばらくそんなことをしていたら、順調に2回目の気絶を奪うことに成功した。おおおお……。順調じゃん!! 俺、ほとんどダメージ食らってないし! ヨシ、この調子でいくぞ。最速タイムで討伐してくれるわ!!!
そして俺は無事に、回復系アイテムをまったく使わぬうちにクルペッコの討伐に成功する。いやあ、俺のハンマーの扱いも一人前になったなぁ。クルペッコ限定かもしれんけど。とにかく、よかったよかった……。
でもここで、ふと思う。
何かがおかしい……。
俺はいったい何を目的に、下位のクルペッコ討伐に来たんだっけ……? クルペッコの素材なんてまったくいらな…………ってしまったああああ!!! おおお俺、討伐じゃなくて採取に来たんだった!!! 雷光虫と光蟲とそれからそれからえーっと!! ととととにかく、虫が飛んでるところに行って虫あみをおおおおぉぉぉお!! ……が、いまさら思い出してももう遅い。首尾よく虫の採取ポイントにたどり着けたところで、虫あみを振るえるのは1回か2回。神に祈る気持ちで網の中を覗けば、ビョンビョンビョンと元気に跳ねる釣りバッタが2匹……。
「おめえじゃねえよ!!」
とわめいても、自業自得の見本のようなこのハンターのもとに、目的の消耗品御三家がもたらされることはないのであった。
でもこれ、絶対に俺だけが見舞われる現象ではないと思う。ベテランハンターになれば程度の多少はあるにしろ、大型モンスターを見たら当初の目的など忘れて襲い掛かりたくなると思うのだ。結局、採取に割ける時間はクエスト終了から街に戻るまでの1分間だけということになり、ハンターはオノレの猛る血を呪いながら呆然と帰郷するしかなくなるわけです。
で、「このままじゃいつまで経っても採取できない」と確信し、「いくらなんでもコレなら、モンスターに挑む気になるまい」と思って裸&初期武器でフィールドに向かう。ところが、ハンターとは因果な商売で、「コレはコレでおもしろそうだナ」と思って大型モンスターに挑んでしまうからたまらない。結局、狩れるにしろ狩られるにしろまたまた採取をすることを忘れて手ぶらで街に帰ってくる……というオロカなローテーションをくり返すことに……。
ハンター稼業、なかなかままならぬ(俺だけ?)。
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苦節数ヵ月……。ついに最新刊『本日もただいま! 逆鱗日和』が完成し、なんと本日、俺と江野本ぎずものもとに同書の完成品が納品されました!! 何度もこのブログに貼り付けたけど、この『ただいま!』のカバー、めちゃめちゃステキですよ! 構図も色も抜群で、何より迫力がある! いやあ、早く皆さんに手にとってほしいわあ……。
というわけで取り急ぎ、写真だけ載っけときますw
この年末年始、仕事や飲み会で忙しかったのと実家に帰省していたのを理由に、まったく『3(トライ)』で遊ばなかった。『モンハン』がらみの忘年会で何度かプレイすることはあったが、オノレのプライベートデータを起動してじっくりとやり込む……という時間がまったくなかったんですねぇ。モンハン伝道師を(勝手に)名乗るモノとして、こいつはあまりにもあんまりなサボタージュではないか。なので正月気分がまるで抜けない本日(2010年1月8日)、本当に久しぶりにロックラックに出向くことにした。感覚的には、群馬の実家に帰省するのと同じようなものである。
Wiiの電源を入れてパシパシとボタンを叩いていると、画面に懐かしの(ってそれほどでもないが)我が分身の姿が現れた。しばらく見ないうちに、少々老け込んで太ってしまったようだ(それは自分)。そんなことは気にせずにオンラインモードを選び、ロックラックに行くことを試みる。しかし予想通り課金が切れていたので、900Wiiポイントがチャージされていたお財布から800Wiiポイントをつまみ出し、1ヵ月分の通行手形を購入した。さあこれで大手を振って、ロックラックに入ることができるぞ。
数週間ぶりに足を踏み入れたロックラックには、砂嵐が吹き荒れていた。どうやら大砂漠に、ジエン・モーランがやって来ているようだ。そういえば前回ロックラックに来たときも、砂塵が舞っていた気がする。確かそのまえも、同じような状況だった覚えが……。もしかしたら俺は、ジエン・モーランの背中に乗ってロックラックを訪れているのかもしれない。吹き荒ぶ砂塵の中でたたずみながら、俺はそっとつぶやいた。「俺は龍の子太郎か」。
さあさあ、懐かしいロックラックだ。とりあえずフレンドリストを開いて、友だちがいるかどうかを確認しようではないか。慣れた手つきでボタンを操作し、画面にペロリとメニューを出す。久しぶりとは言っても、このへんの操作は指に染み付いているのだ。目を瞑っていてもパパパっとあらゆる動作が出来るに違いない。どれどれ、誰かいるかな……。『3(トライ)』でフレンド登録してもらっているハンターは、40人ほどいる。きっと誰かいてくれるだろう。そしたらすかさず合流して、いっしょに遊ぶんだワーイワーイ! クルペッコのように期待に胸を膨らませながらギロギロとリストを眺める。しかし意外なことに、友だち連中はひとり残らず“オフライン”であった。むうう……。なんたることだ……。ロックラックに家でも買ったんじゃねえかと思うくらい入り浸っていたあんな人もこんな人も、いまこの瞬間にはオンラインになっていないではないか。しかし、俺は得心した顔で頷きながら、ブツブツと独り言を言った。「平日の午後2時に、俺の友だちがロックラックにいるわけがない。じつは『3(トライ)』発売当初からそうだったし。わはははは」。当たり前のことが、当たり前のように起こっているだけなのだ。
そんなこんなで俺は、ロックラックでひとりになってしまった。さて何をしようかな。そもそも俺はしばらくこの場から離れる直前まで、何を目的に狩りをしていたんだっけ? ……うん、思ったとおりまったく思い出せない。俺はダメもとで、同じタイミングでロックラックから離れていた江野本ぎずもに「俺ら、最近『3(トライ)』で何をやっていたんだっけ?」と聞いてみたが、一瞬の逡巡もなく「さっぱり思い出せないす」というにべもない返事が返ってくる。ま、そうだろうな。
そこで俺は「何をやっていたのかを思い出すには、やっぱりコレだよな……」と念仏のようにつぶやきながらアイテムリストを表示させた。手持ちのアイテムは、直近で自分が何をやっていたのかを思い出すきっかけになるのである。さーて、我が分身は何を持っているんだ……? 若干緊張しながら、つらつらと表示された持ち物類を眺める。見ると、リストは無残なほどの虫食い状態になっており、回復系アイテムはものの見事に“全滅”となっていた。いつも満タンにしているこんがり肉と砥石も減っている。こいつは明らかに、壮絶な消耗戦を行ったあとの状態ではないか。……俺はいったい、どんなモンスターに挑んでいたんだ? 狩ることはできたのか? それとも、無残に散ったのか……? この持ち物リストを見た限りでは、どちらともとることができる。しかし、さっぱり記憶が蘇ってこない鳥頭でいくら考えたところで答えなど出てくるわけもないので、俺は意外にあっさりとリストを閉じて能天気な声を出した。「まあいいやどうでも。ペッコでも狩ろ」。※ちなみに、このときのアイテムリストが虫食い状態だった理由については遠くない未来に明らかにされる。
そして俺はひさかたぶりにクルペッコに会いにいってボコボコにされ、「……もしかしたら前回狩りにいっていたのもクルペッコかもしれないな……」と妙に冷静に思ったのだった。
2010年の『3(トライ)』ライフは、こんな感じで幕を開けたのでした。
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遅ればせながら、あけましておめでとうございます。本年も当コラムをよろしくお願いいたします!
って、ものすんごく久しぶりの更新で自分がナニモノなのかもよくわからなくなってしまっているので(んなわけねーだろ)、じょじょに思い出しつつ2010年最初のブログを更新しちゃいましょー。
2009年末、俺はティガレックスにボコボコにされて逃げ帰ったベースキャンプで、待ち構えていたラギアクルスに追い回された挙句に最終的にオトモアイルーの小タル爆弾で3オチした……ってくらい忙しかった。……我ながら新年1発目で例えにキレがないなと自覚しつつも、とにかくそれくらいいろいろな作業に忙殺されていたのであります。
それでも、毎年恒例となりつつある逆鱗日和忘年会(『逆鱗日和』シリーズでお世話になった人たちを馴染みのバーに集めての大忘年会。その様子もどこぞで書きます)を無事に終え、突入しました正月休み。毎年なんだかんだで夏休みを取れないので、大型連休は5月のゴールデンウィーク以来ということになる。さあさあ、遊びまくって休みまくるぞー!
といっても、確たる予定は群馬の実家に帰省することくらいしかない。温泉に行きたいなぁ……とか、久しぶりにスキーをやりたいなぁ……とかとか考えたりもしたが、もとより行き当たりバッタリな性格をしているため正月シーズンがもっとも混みあうそのような施設に予約など入れていない。なので「うんうん、そうだよなそうだよな。俺なんておとなしく群馬でネギとこんにゃくでもかじっていればいいんだよな。いーんだいーんだ」となぜかいじけ根性を丸出しにしてJR高崎線の鈍行に乗り込んだ。
そして大晦日。身内の酒飲みと3人で赤ワイン5本を飲み尽くし、すっかりべろんべろんに酔っ払って格闘番組やら紅白歌合戦やらを眺めていたら、ビックリしたことに年が明けてしまった。フト気がついて時計を見たときには、すでに2010年1月1日午前0時12分。これ以上はない! ってくらい中途半端な新年の幕開けである。「『2nd G』を遊びながら年を越そう!」と思っていたのに、いったいどうしてくれるんだこの赤ワインめが。
しかし、いつまでも自分を酔わせた赤ワインを罵倒していても始まらないので、俺は布団に潜り込みながらPSPを起動した。大晦日の狩りおさめはできなかったが、新年の初狩りをしてやろうと目論んだのである。さすがにWiiを持参することはできなかったので、初狩りは『3(トライ)』ではなく『2nd G』だ。
さて、問題は何のクエストに出向くかである。新年最初の狩りだし、ここで「じゃあゲリョス亜種でひとつ……」というわけにもいくまい。選択肢として挙げられるのは、『モンハン』を象徴するリオレウス、ティガレックス、ナルガクルガ、古龍たち、そしてラージャンくらいか。クエスト“モンスターハンター”や“武神闘宴”だったらこのへんがひとまとめになって出てくるのでまことに手っ取り早くておめでたい感じがするが、脳ミソが赤ワイン煮のようになっているいま状態でそれらのクエストはいかにも分が悪い。そこで俺は「やっぱ『モンハン』っつったらレウスだいねー」と群馬弁でつぶやきつつG級★2のクエスト“噴煙まとう王者”を受注した。ひとりで出向くことに若干の不安があったのでそのとき風呂に入っていた身内の大学生・S君が来るのを待っていようかとも思ったのだが、酔いの勢いも手伝って「まあダイジョブだんべえ」と言いながらひとりで旧火山に赴いてしまった。ちなみに、武器はガンランスではなくなぜかハンマー(苦笑)。この見境のなさにも、酔いの影響が見受けられる。
ベースキャンプに降り立った俺は、脇目も振らずにエリア3へ走っていった。リオレウスは最初、パタパタとこのエリアにやってくることをベテランの俺は知っていたのである。火山の熱波の影響を受けないエリア3で、徹底的にダメージを与えてやるど。
エリア3ではいつものとおり、2匹のブルファンゴがブヒブヒと鼻を鳴らしていた。そして我が分身の姿を見つけるやいなや、ズドドドドッとバカのひとつ覚えな突進をくり出してくる。それをヒラリと華麗にかわし、脚を止めたブルファンゴのケツにハンマーの重い一撃を食らわす。1発、2発……。そして3発目が当たると同時に、ブルファンゴは「ブヒィィィン!」という断末魔の悲鳴を残して地面に倒れ付した。討伐完了である。その痛々しい亡骸を眺めながら、俺はポツリとつぶやいた。
「……俺の2010年最初の狩りは、ブルファンゴか……」
なんとなく釈然としないままもう1匹のブルファンゴを討伐したころには、上空からリオレウスの雄々しい影が地面に投射されていた。さあ前座は終わりだ。『モンハン』の象徴と、新年初対決だ!!
旧火山のエリア3に降り立ったリオレウスに、俺は容赦なく閃光玉を浴びせまくった。ガンランスと違ってハンマーはガードができないので、この武器を持ってリオレウスと対峙するときは基本的に短期決着を目指すことにしているのだ。初日の出のご来光のように、ビカビカギラギラと炸裂する閃光玉のまばゆい光。しかしどうしたわけかタイミングが合わず、やたらとリオレウスが尻を向けたときにばかり光が発射されてしまうではないか。でも俺は外すことなんて夢にも思っていないので、閃光を投げると同時に「わー! 攻めろ攻めろ!!」と叫んでリオレウスに接近を図る。ところが当のリオレウスはいっさい目など眩んでいないので、無警戒に突っ込んでくるマヌケなハンマー使いをズジャジャジャジャと轢き潰しまくった。そして……。
「力尽きました」
………………。
「ぐはあっ!!!」
と俺は絶叫した。血といっしょに吐き出したかのような、悲痛極まりない叫び声であった。ちょっとちょっと……。新年最初の狩りで、G級とはいえリオレウスに1オチを食らったのか俺は……。信じられん……。そのころには風呂から上がっていたS君は、布団の上でのた打ち回る俺を見て事の次第をすべて把握し、「あれww もしかして、初狩りでオチちゃったの?ww」と言って笑っている。な、なんたることだ……。オチるなんて、まったく考えていなかったわ……。
俺は画面にメニューを出し、静かに“クエストリタイア”を選択。「ハイ、新年初リタイア……っと」と濡れた声でつぶやき、それでも毅然と顔を上げてS君に向かって「新年初狩りにいこうよ」とクエストへの同行を促した。そして「今年は寅年だからティガレックスがいいんじゃない?」というS君の意見に「なるほど、それはもっともだ」と首肯し、「やっぱり初クエはガンランスだよな!」と力強く叫んで電銃槍フルボルトを手にしてクエスト“絶対強者”を受注。S君とふたりで危なげなく雪山の虎を成敗して勇躍ポッケ村に帰郷した。村について俺はひと言、
「新年初狩りでティガレックス討伐に成功か。今年もいい狩りができそうだ」
と晴れ晴れとした声でつぶやく。それを聞きとがめたS君の「あ、あれ? さっきのリオレウスはどこ行っちゃったの??」と言うセリフは、まったく耳に入ってこなかった。
というわけで2010年も、バカバカしい狩りで幕を開けてしまいました(苦笑)。本年もこういったドタバタ劇を書き続けますので、どうぞよろしくお願いいたします!
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大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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