大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MHP 2nd G】第185回 た、卵運びで勝負だ! その1

 書くことがたくさんありすぎて、まったくブログを更新できません。毎日チェックしてくれている皆様、ホントにスミマセン……。でも、いい加減何か書かないと本気で忘れられてしまいそうなので、サラサラと書ける軽いネタを1本だけ投下しておきます。……って、軽いネタのつもりで書き出して本当に軽く納まったことなんて1回もないんだけどな。

 先日、とある理由から今年のモンハンフェスタの狩王決定戦で上位に食い込んだモンハンアスリートの面々と酒宴をともにする機会に恵まれた。そこで話したことについては、まもなく発表できるであろう×××××××××××に詳しく掲載する予定なので、ここでは割愛。ヘタなことを書くと江野本ぎずもにブルドッキングヘッドロックをされて頭をかち割られるので、これ以上は書けないのであります。

 でも、雑談で出た話題ならば書ける。

 こういう面子で話をするのだから、話題の中心は当然ながら『モンハン』のタイムアタックのことになる。彼らはふだん、ネットやリアルで交流していて『2nd G』や『3(トライ)』のタイムアタックで切磋琢磨しているのだが、その対象となる種目はチャレンジクエストや個人演習と言ったガチンコクエストばかりではない、という。なんと『2nd G』の訓練所にある“初心者演習”でもタイムアタックを行っているというのだ。

 初心者演習とはその名のとおり、『モンスターハンター』シリーズの初心者が操作の基礎を学ぶ場所だ。武器の扱い、肉の焼きかた、採取や調合についても実践形式で試すことができるので、ルーキーハンターは何も言わず、最初はここに飛び込んだほうがその後の狩猟生活が潤うに違いない。

 でも俺は初代『モンハン』の時代からこのシリーズを遊びまくっているベテラン中のベテランなので、ルーキーハンター御用達の施設にはまるで用がなかった。この『2nd G』に初心者演習などというものが存在したこと自体、今回の酒席で誰かの口から単語が飛び出すまで忘れていたくらいである。

 そんな、ベテランハンターはなかなか近寄らない施設に用意されたクエストで、じつにおもしろいタイムアタックができるという。誰かが言った。

「初心者演習の“基礎訓練”にある“運搬”が、じつは非常に熱いのです」

 ほほう……。運搬でタイムアタックとな! なるほどなるほど。タイムアタックには、そういうアプローチの方法もあったのか。確かにそいつはおもしろそうだ。

 聞くと初心者演習にある運搬クエストは、雪山を舞台に肉食竜の卵をひとつ運んでくるだけのシンプルな内容で、だからこそなかなか奥が深いのだという。さらに調査すると現時点で“日本最速”のタイムを持っているのは、今年の狩王決定戦で優勝したartiesのゴッディで、彼曰く「我ながら、これはとてつもないタイム」なのだという。まわりにいたツワモノたちもゴッディの台詞に同調し、「生半可なことでは抜けない」、「信じがたいタイム」、「驚異的」と完全に脱帽しているではないか。彼らの様子を見て、俺と江野本はさらに運搬クエストタイムアタックに興味を持った。まあ、そりゃあそうでしょう。だって、こんな手練ハンターたちが打ちのめされるほどのタイムを、もしも俺たちが破っちまったらとんでもなく痛快だもの。モンスターを狩猟するタイムアタックでは耳で逆立ちできたところでアスリートには敵わない俺たちだが、運搬クエストだったら何とかなるかもしれない。俺と江野本は無言で顔を見合わせ、同時に強く頷いた。

 で、昨日の深夜−−。

 俺と江野本は久しぶりに馴染みのバーに顔を出した。いろいろと決めなければいけないこともあるので、「打ち合わせも兼ねて軽く飲もう」ということになったのである。

 マスターが半ば趣味で作ったおでんを頬張り、激ウマビールのバス・ペールエールで流し込んでいるうちに打ち合わせは終わって、さあなんかして遊ぼうということになった。そこで江野本が数日まえのアスリートたちとのやりとりを思い出し、俺の真横でドデカい声で、にゃあにゃあ!! とわめきまくったのである。

大塚さんっ!! アレをやりましょうよ! 運搬のタイムアタック!! ゴッディが持っているという日本記録を抜いちゃいましょ!!

 耳に突っ込んだ人差し指を抜きながら俺は「おお!」と言い、「やろうやろう! 抜いてやろう!!」と絶叫した。なあにが日本記録だ。俺は初代の時代から5年間も卵を運び続けているのだ。動体視力では若きタイムアタッカーに及ばないかもしれないが、運搬クエストに関するコツと蓄積では絶対に俺が有利に違いない!! 俺は江野本に言った。

「よし、えのっち!! ゴッディに宣戦布告メールを送ってやるのだ!! 俺たちがおまえの記録をブチ抜いてやるってな!!」

 これを聞いた江野本、「おっしゃ!! まかせとけ!!」と元気に応じてカチャカチャと携帯電話でメールを打ち始める。深夜1時すぎにこんなくだらないメールを送りつけられるゴッディのことを思うと気の毒でならないが(いまさらだが)、“打倒・狩王”を掲げた酔っ払いコンビは燃えに燃えてしまっていたのだから、これはこれでしかたがないのである。

 よし、やろう! 運搬タイムアタックだ!! 気合のあまり震える指をおさえながらPSPを操作し、訓練所に飛び込む。そこで俺は、ちょっと気になっていたことを江野本にたずねた。

「ところで、ゴッディの日本記録って何秒って言ってたっけ? 聞いたけど、忘れちゃったよ」

 江野本は一瞬「はっ」とした表情を作ったがすぐに思い出したらしく、ジントニックで口を潤してからサラリとこう言ってのけた。

「確か、28秒って言ってたー。それって、どんくらい速いんかな??」

 に、にじゅうはちびょう……?? ホントかオイ……。そ、そんなことが人類に可能なのか……? でも俺はまったく覚えていなかったので、ここは自信満々の表情をしている江野本の言を信じるしかない。俺は言った。

「た、確かに28秒で卵を運んでこれるなら、それはすごい記録だと思うわ……。よよよよし、行ってみようか」

 江野本が「はい!!」と応じ、逆鱗日和ファミリーのふたりは「いっせーのせっ!」で雪山の人となった。さあ抜かせるのか? 日本記録の28秒を!

 雪山を舞台にした運搬クエストではターゲットの肉食竜の卵はエリア3にあるはずなので、とりあえず俺はエリア1→エリア4→エリア5→エリア3という“右回りルート”を、江野本はエリア1→エリア2→エリア3という“左回りルート”を選択して卵を目指すことにした。しかし、エリア1でふたつめの高台に取り付いたとき、俺は「どう考えてもおかしい……」と気づき、おずおずと江野本に進言した。

「あの……ぎずもさん。差し出がましいのですが、どんなにがんばっても28秒じゃ卵に触ることすらできないと思うんですけど……」

 言われた江野本も「どうもおかしい」と思ったらしく「うーーーん……」と低い声で唸ったが、それでもしぶとく「でも、とりあえず1個運んでみるまでわからないじゃないですか! さあ運んだ運んだ!」と俺を急かしにかかった。俺は「28秒じゃ無理だと思うけどなァ……」とか言いながらも(確かに一度やってみるまでわからんナ)と思うことにして、ワッセワッセと卵をひとつ納品ボックスまで運んでみた。結果……。

記録:2分32秒

 ……って、28秒で運べるわけねえだろがっ!!! ゴッディがいくら神速ハンターだからって、そこまで速くてたまるかっ!!!

 俺よりも数秒速くゴールしていた江野本は俺の叫びなど聞いておらず、「あ、やっぱり28秒は間違いですね♪ てへっ♪」とまったく悪びれた様子はない。まったくこの女は……。俺は呆れながら、江野本に言った。

「ちょっと、ゴッディにキチンと記録を聞いてよ。明確な目標がないと、モチベーションが上がらんわ」

 これを聞いた江野本は「了解っ!!」と元気に言い、すぐさま携帯電話でゴッディにメール。するとすぐに、最強ハンターから返信が。携帯の画面を眺めながら、江野本が言った。

「ゴッディのタイム、2分16秒ですってー。……なんか、すぐに抜けそうな気がするんだけど、ゴッディは“抜くのはきびしいと思いますwww”だって。そんなにすごい記録なんですかね、コレって」

 2分16秒か。ふーん……。よくわからんけど、俺たちは1回目から2分30秒前後のタイムが出ているんだ。ここから2分16秒まで詰めるなんて、わりとすぐにできるんじゃね?? 俺は江野本に言った。

「いやあ、ぜんぜんいけるでしょう! ついにゴッディを追い抜くときがきたんだよ! ガンランスのモンスターハンター勝負では惜しくも勝利を逃したが、今回は絶対にブチ抜くぞ!!」

 そして、深夜のバーを舞台にした決死の卵運びタイムアタックが行われたのだが……その結果は、次回にしよう……。でも、ひとつだけ。

 狩王の名は、伊達じゃねえ……。

 ……と、書いて記事を更新したところで、件のゴッディからメールが!!

「卵運びの最速記録は僕じゃなく、Juice(モンハンフェスタ`09決勝大会進出チーム)の方ですw 自分の最速記録は“生肉の納品”なんですけど、その記録が28秒なんですよwww」

 うは!!! 話の時空が捻じ曲がってた!!!

 えーっと、これは要するに“28秒”、“ゴッディが基礎訓練で最速を持っている”、“運搬のタイムアタックはおもしろい”という3つのキーワードがゴチャ混ぜになり、酔っ払いのイタい脳内変換によって「ゴッディが運搬タイムアタックで28秒の記録を持っている」ってことになったんだな……。

 関係各位に多大なご迷惑を……と言ったところで、俺たちが“打倒・狩王”を掲げて卵運びのタイムアタックをやっちまったことは事実なので、次回も同じテンションで書きます……。何をやってんだ俺は……。


投稿者 大塚角満 : 20:12

【MH3】第73回 イビルジョー恋物語

 山口県下関市の巨漢ハンター“クマさん”は、恐暴竜・イビルジョーをこよなく愛する男である。最近の彼がロックラックで発する言葉はすべてイビルジョー関連のもので、ちょっとでもチャットに隙間ができれば、「嗚呼……。イビルジョーが好きすぎる……」「ジョーにだったら喰われてもいい……」「いっそイビルジョーになってしまいたい!!」とひとりでボソボソとしゃべっているのだ。いつしかクマさんの発言の語尾はすべて“ジョー”になってしまい、

「おひさしぶりだジョー。角満さん、何かクエストに行きまジョー。ジョーが出るクエストを希望するジョージョー談じゃなく、僕はジョーが大好きだジョー!

 ってな感じだ(ちょっとオーバーではある)。誰かが何気なく「イビルジョーがさ……」と言いかけようものならすぐさまこの発言に恐暴竜並みの狂暴さで食らいつき、「なになに!? ジョーの話題!!? ジョーがどうしたんだジョー!? 嗚呼……ジョーよ……。なんであなたはイビルジョーなの……><」と狂おしいばかりに「ジョー……ジョー……!」を連発してロックラックの酒場でのた打ち回っているのだ。あまりにもあんまりなのめり込みっぷりではあるが、その一途で切ない恋の道は、涙なくしては見ることができないのである。

 そんなクマさんとロックラックでイビルジョーの話をしているところに(って、クマさんが一方的にジョーへの想いをぶちまけていただけだがw)、いつものメンバーがやってきた。江野本ぎずもと茨城フォー(ゴッディ、ジャッ君、ヒロ君、ハルス君)の面々である。この面子が揃えばどんなモンスターが出てきても怖くないってことで、まだしゃべり足りなそうなクマさんを「どうどう!」と制して、俺たちは2チームに分かれてクエストに出向くことにした。

 さて問題は何のクエストに行くかだ。茨城フォーやクマさんはハンターランクが高いので、ここは行けるクエストに制限がある俺と江野本を中心にクエストを選択しなければいけない。見ると、我がクエストリストには“<<高難度>>ボルボロスの狩猟”なるクエストがあるではないか。俺は言った。

「高難度のボルボロスが出てるんだけど、これはなんで高難度なの??」

 俺の質問に対し、茨城フォーの寡黙な仕事人・ハルス君が答えた。

「確か、イビルジョーが現れるんです。それで高難度なんだと思いますよー」

 あ!! ハルス君、いまイビルジョーって言っちゃったな!? これはエライことになるぞ……と思ったとたんに、チャットウインドでクマさんが暴れだした。

いいい、いまイビルジョーって言いましたね!? 僕もそのクエストに行きたいです!!! 嗚呼、ジョー……。待ってろよジョー><」

 すると意外なことに、茨城フォーの最強ハンター・ゴッディも“イビルジョー”という名前に反応して「ジョーが出るなら、僕も行きたいです!」と発言。さらにヒロ君もこれに乗っかって、けっきょく俺、クマさん、ゴッディ、ヒロ君の4人で“<<高難度>>ボルボロスの狩猟”に出かけることとなった。

 フィールド“砂原”に到着し、まずはボルボロスのもとへ。哀れなボルボロスはすぐに最強の男に発見されて、ここには書けないようなおぞましい強さのランスでもってツンツクツンと小突き回されはじめた。そこに、クマさんとヒロ君も到着。最後に俺がボルボロスのもとに駆けつけたときにはすでにゴッディ、ヒロ君による茨城軍団伝統の地獄ローテーション(間髪入れずに落とし穴やシビレ罠に捕らえ続けてモンスターをボコボコにする必殺フォーメーション)が始まっており、そこにゴッディと同じランスを持ったクマさんも加わって、ボルボロスは一糸まとわぬ姿にされておりました(身体中のドロを落とされてしまっていた、ってことね)。茨城ツーの連係はそれはそれは見事で、クマさんも立ち回りながらしきりに感心して「ホントにすごいなこの人たち……」とつぶやいている。エンジン全開になったゴッディとヒロ君の猛攻は止まらず、けっきょく5分足らずでボルボロスは砂原の土に還ってしまった。もう、圧勝もいいところだ。このツワモノたちが通ったあとには、ペンペン草の1本も生えてないのではなかろうか。

 しかし、と俺は思った。何かがおかしい。……ていうか、何かを忘れている気がする。俺は勝ち鬨を上げる3人のハンターに接近し、疑問に思ったことを素直に口にしてみた。

「あのぉ〜……。差し出がましいのですが、当初の目的だったイビルジョーはどうなったんでしょか……?」

 3人はビクンと反応し、いっせいに声を上げた。

「あ……」(ヒロ君)

「あw」(ゴッディ)

「ああああああっ!!!!」(クマさん)

 ボルボロス討伐に夢中になり、3人とも完全にイビルジョーのことは忘れていたらしい(笑)。まあゴッディとヒロ君はいいとして、あんなにイビルジョーに会いたがっていたのに、ボルボロスにうつつを抜かしてけっきょく会えずじまいとなってしまったクマさんの嘆きようは、見ているこっちが腹を抱えてワラ……じゃなくて、心が痛くなるほどでありました。クマさんは大きな身体を丸めて慟哭し、「ジョー〜! 嬢〜〜!! 会いたかったよぉおおお!!」といつまでも嘆き悲しむのであった……。

 強すぎることはときに、こんな悲劇を生むのです。合掌(笑)。

投稿者 大塚角満 : 16:12

【MH3】第72回 虫を喰らう!

 『3(トライ)』に帰ってまいりました。

 生き物の生態表現がより深まった『3(トライ)』では、大型モンスターに新たに“スタミナ”という数値が設けられた。特定の行動をしたり、ハンターにスタミナを減らす攻撃を受けたりするとじょじょに減ってゆき、ついに底を突くと“疲れ”状態になって能力が著しく低下する……というものだ。疲れ状態になるとモンスターは動きが遅くなったり、ブレスが吐けなくなったり、閃光玉や罠の効果時間が長くなったりするのでハンターにとっては絶好の攻めどき。スタミナ減を狙う立ち回りは、『3(トライ)』の世界で生存競争を勝ち抜くための重要な手段となっている。

 では、疲れ状態になったモンスターが討伐されるそのときまで「ゼィゼィ……ハァハァ……」と青息吐息になっているのかといったら、もちろんそんなことはない。キチンとスタミナを回復するための行動を取る。それが、

“食事”

 だ。大好物の食材を摂取することによってカロリー・栄養補給をし、疲れた身体にムチを入れる……ってわけですな。じつに理にかなっていてわかりやすいサイクルではないですか。

 モンスターの食事風景で代表的なのは、アプトノスを喰らうリオレイア、エピオスを食すチャナガブル、ラギアクルス、屍肉をがっつくドスジャギィ、ギギネブラといったところか。しかし、あの色っぽくも儚いエピオスに襲い掛かるチャナガブルとラギアクルスは言語道断な野郎だな。今度会ったらチャナガブルの尻尾にラギアクルスを直列つなぎにして、ラギアの電気でチャナの提灯をペカペカに光らせてやるど(意味不明)。

 しかしやはり、猛々しいモンスターたちのお食事風景というものはどこか人間離れしていて風情がない(あたりまえだ)。血のしたたる生肉にヨダレをたらしながらかぶりつく……ということをなかなかする機会がないので、ついつい「うわぁ〜……」と思ってしまうのだと思う。

 ところが、こんな野性味溢れるモンスターの中にあって、1頭だけ親近感を覚えずにはいられない食事を展開するモンスターがいる。非常にいかつく、キレイ好きとはほど遠い生活態度をとりながら、食事のときだけはどこかかわいらしささえ感じさせる“ギャップ萌え”な存在……。そのモンスターとは……そう! “土砂竜”ことボルボロスだ。

 ボルボロスはあんな岩みたいな顔をしているくせに、疲れても草食種を襲って食べたりはしない。もしかしたら、たまの週末休みには奮発してステーキとかを食ってるかもしれないが、少なくとも外敵との生存競争でスタミナを減らし、疲れきってしまったときにボルボロスが食べるものは肉や魚ではない。彼らはなんと、“虫”を食べるのだ。

 オーストラリアの原野を歩いているとときたま、人間の身の丈以上もある巨大な“土の城”に出くわす。これがいわゆるアリ塚で、その中では何億という数のアリどもが立派な社会を形成して暮らしている。……ってこのへんの記述、まるで俺がオーストラリア通でアリ塚についても一家言あるかのように読めますが、じつはまったくそんなことはありません。知ったかぶって書きたかっただけです。

 さてそんなアリ塚は、この『3(トライ)』の世界にも存在する。巨大甲虫・オルタロスの巣がそれで、フィールド“砂原”のエリア4、エリア8に立派な城となって佇んでいるのである。

 ボルボロスは疲れると、このアリ塚を襲う。巨体を活かした体当たりでこれを崩し、中にいるオルタロスどもをバクバクと喰らうのだ。平和に暮らしていたオルタロスとしたらたまったものではなく、家は壊されるわ仲間は食われるわ自分も食われるわで、文字通りこの世の終わりといった騒ぎであろう。

 しかし一転、ボルボロス側からこの行為を眺めると、彼らはじつに理にかなった行動をしていることがわかる。

 すべての虫がそうなのかどうかは知らないが、俺の知る限りでは虫というものは基本的に栄養価が高い。たんぱく質のカタマリが歩いているようなもので、ビタミンやミネラルも多く含んでいる。実際、虫を食する風習がある国や地域はたくさんあり、日本でもハチの子やイナゴなどを食べることは珍しくもなんともない。そういう意味では、疲れきったボルボロスが、体力回復と滋養強壮のためにもっとも即効性の効果がありそうな虫(オルタロス)を食することはセオリーどおりの動きで、あんな屏風岩みたいな顔をしていながら頭の中では、「エネルギー効率と吸収性に優れ、高たんぱく低脂肪を実現しているオルタロスは非常食にピッタリである」なんていう小難しいことを考えているのである。

 それにエネルギーだとかたんぱく質なんていう話は抜きにして、そもそもオルタロスってじつにうまそうだと思いませんか? 思うよね?? ……って、いま多くの女性読者が「うええええっ!! か、角満さん、上品そうなお顔をしているのにそんなこと言うの!?」と幻滅の悲鳴をあげたような気がしたが、よく考えてごらんなさいよお嬢さん。パンパンに膨らんだオルタロスのお腹には、いま吸い込んだばかりの大量のハチミツが「これでもか!」と詰まっているわけですよ。こいつをやっこらせえと持ち上げて、たれるヨダレを堪えながらガブリとむしゃぶりついた日にはアナタ!! つぶれた外殻からほとばしる大量のハチミツで、口の中はいっぱいになっちゃうから。うーん、なんたる至福。ハチミツ好きにはたまらないシチュエーションではないか。

 ……え? オルタロスはハチミツばっかりを溜め込んでいるわけじゃない? キノコの木にもとりついて腹をパンパンにしてるじゃないか、ですって?? うーん……。言われてみれば確かにそのとおりだ……。となると、間違えてキノコオルタロスを捕まえてきてガブリと腹にかぶりついた日には、ハチミツの代わりに若干消化された腐れ半分の特産キノコや、勘違いしてオルタロスが食っちまった毒テングタケやマヒダケもムシャムシャと食わされるハメになるのか……。うーむ……。そいつは恐ろしい……。

 まあいいや。

 虫食で思い出したが、俺の親友に昆虫を好んで食べることで有名な地域出身のKという男がいる。

 20代だったころ、彼の家をたまり場に毎日のように酒を飲んでいた。社会人になりたてで金がなく、ツマミもないままに安焼酎を飲んで悪酔いをする……なんていうことを何度もくり返していたのである。若かったなあ。

 その日も俺は金がなく、でもお酒は飲みたいからわずかな資金を投入して1本の安酒を買った。そして「今日もツマミなしで飲むだけか……」と少々げんなりしながらトボトボと歩き、Kのボロアパートに赴いたのである。

 アパートのドアを開けて靴を脱いでいると、1DKの奥の部屋からKが勢い込んで飛び出してきた。そして、手に持ったふたつのタッパーウェアを上空に突き上げてから「大塚! 今日はいいツマミがあるぞ!! さっき実家から届いたんだわ!!」とわめいたのである。ふだん、比較的物静かなKにしては珍しいハシャギっぷりで、俺はその様子を見ただけで目を丸くした。そして、実家から届いたというタッパーウェアを眺めてヨダレをたらし、「やった!! オフクロの味が食えるのか!! でかした!!」と絶叫した。

 さあさあ、何が出てくるんだ? 野菜の煮物か? 自家製チャーシューか?? 期待に胸を膨らませながらドタドタとキッチンに上がりこみ、Kが容器の蓋を開けるのを待つ。「俺、これ大好物なんだよなー♪」とK。わかったわかった。早く開けて食わせろや。もったいつけるようにしずしずと口を開けていった容器の蓋が、パカンという軽薄な音とともに取り外される。さあ、何があるんだ? 見せてみろ!! しかし、そこにズラリと居並ぶものどもを見て、俺は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

!!!? お、おいK……。これって……」

 そのひとつをヒョイとツマミ上げて口に放り込み、ポリポリとうまそうに噛み砕きながらKが言った。

「うん、蚕の蛹(かいこのさなぎ)の佃煮だよ。自家製なんだぜ。保存もきくので、しばらく酒のツマミには困らないなあ^^」

 容器にビッシリと詰まった蚕の蛹を見たのは初めてだったのでさすがに面食らったが、食べてみると甘辛い味付けに香ばしい蛹の風味(だったのかな)がよく馴染んで、確かに酒に合う味であった。そしてその後、Kの家には週末ごとにイナゴの佃煮や蜂の子の炒め物なんかが実家から届き、俺たちはしばらくのあいだセレブな晩酌を楽しむことができたのである。

 なので俺は、ボルボロスに親近感を感じるのです。

投稿者 大塚角満 : 12:22

【MHP 2nd G】第184回 モンスターハンターで勝負だ! その5

 “勝者ナシ”というなんとも締まらない結果となった“勝手に最強ガンランサー決定戦”だが、徹底して勝負にこだわるタイムアタッカーたちがこんな結末で納得するわけもなかった。俺が無残にもラージャンで3オチしたのを見届けるやいなや、コレ幸いと熱烈な“再戦コール”が湧き起こったのである。もちろん俺とて、「なんとなく、俺がいちばん最強に近かったかなぁ〜……?」なんていう曖昧な結果はヨシと思っていなかったので、全力でこれに応えることにした。

「おおおし! つぎこそ決着つけたるど!!」

 と。これに、不本意な3オチを喫したツワモノどもは大喜び。「つぎは超本気っすよ!!」と唯君が言い、ジャッ君も「スキルから見直すかな」と完全な臨戦態勢。そして最強ハンターと目されるゴッディもガチンコモードになってつぎのように発言した。

「質問です!! ガンランスって、どの攻撃がいちばん強いんですか!?」

 こいつ、ホントの本気で勝ちに来ていやがるな……。……ていうか、そういった基本も曖昧なままで1回目のタイムアタックに臨み、ガンランスを1500回近く使っている俺に肉迫するタイムを出していたのか……。やはり、この男は恐ろしい……。でもここでゴッディの能力を恐れるあまり、「ガンランスはガード突きがいちばん強いヨー^^」という嘘八百を並べるわけにもいかない。なので俺は言った。

「攻撃力が高いのは、やっぱり斬り上げだね。リオレウスなんて、頭に斬り上げを当てることしか狙ってないよ」

 ガンランスでの立ち回りにも定評がある唯君が、「うんうん」と頷いて俺の意見に賛同する。するとゴッディは目を輝かせて「ありがとうございます!!」と言ったあと、彼だけに許される“あの台詞”を吐いた。

「優勝、ありがとうございます!!w」

 とたんにほかの参加メンバーから「デター!!」、「負けねえ!!」、「そう簡単にはいかんぞ!!」といった、対抗意識メラメラの言葉が飛び出す。俺も、ガンランスを愛し続けてきた矜持に火がつき、ついつい「出たなコンニャロ!w 全員まとめて叩きのめしてくれるわ!!」とデカいことをほざく。まあこの雰囲気だからな。乗らなけりゃな!!

 というわけで、ガンランスによるモンスターハンタータイムアタックの2回目だ。若干、装備をいじった参加者もいるのでざっと紹介しておこう。

●ゴッディ 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+3、耳栓、斬れ味レベル+1

●唯君 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+3、耳栓、斬れ味レベル+1

●ジャッ君 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+2、斬れ味レベル+1、耳栓

●ヒロ君 武器:ベナムデパルファン スキル:見切り+1、耳栓、斬れ味レベル+1、業物

●大塚角満 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+3、耳栓、斬れ味レベル+1

 そんなこんなで始まった最強ガンランサー決定戦の取り直しの一番だが、俺はどうやら1回目の奇跡の大活躍で“押してはいけないスイッチ”を押してしまったらしい……。最初に対峙するリオレウスで、俺がまだまともに攻撃をくり出してもいない序盤の序盤に、立て続けに3人のハンターが声を張り上げたのだ。

「ハイィィ!! レウス討伐っ!!」(唯君)

「よっしゃあ!! レウス終わった!!」(ヒロ君)

「おっし!! レウス終了〜!」(ジャッ君)

 時間はまだ、4分も経っていない。ヒロ君なんて、相変わらずブランゴの毛が足らなくてデゼルトスリンガーが作れず、攻撃力で劣るベナムデパルファンで挑んでいるというのに……。俺は、いきなりエンジンが全開になったタイムアタッカーたちの“本気”にたじろぎ、我ながらかわいそうなくらい取り乱す。結果、心の弱さを存分に発揮して攻撃を外しまくり、閃光玉も無駄遣いしまくった挙句、なんとレウスで1オチ……。

「わああああああああ!!!!」

 奇跡の快進撃を演じたガンランサーは、もうそこにはいなかった(苦笑)。ちなみにゴッディはこのとき、調合書を忘れたということでリスタートが認められ、ほかの参加者から3分ほど遅れて闘技場に入っている。それなのに、俺がなんとかリオレウスを討伐した30秒後に「レウス狩りました!!」と宣言しやがったではないか!! なんと、リオレウスに要した時間はわずか3分20秒。この時点で、ツワモノ5人がほぼ横一線に並んだわけである。お、俺のガンランス使用回数1500回は、いったいなんだったんだ……。

 もうここからは、俺などいないも同然だった。本気になった彼らの能力はやはりズバ抜けており、まず唯君が10分程度で2頭目のティガレックスを捕獲。ジャッ君とヒロ君はここで1オチを計上するも、12〜13分ってところでティガレックスを討伐してのけた。そして俺は、憑依していたガンランスの神が完全に去ったことを告げるかのように、いつもどおりティガレックスにボコボコに(苦笑)。俺が2オチしたのと同じタイミングで、3分遅れのゴッディがティガレックスを捕獲し、俺の後ろには誰もいなくなってしまう。それでも「まだこいつらに食らいつきたい!!」と心を鼓舞し、どうにかこうにかティガレックスを討伐。ホッとして「ティガ、いけた!」と声を張り上げると、それを打ち消すように唯君がつぎのように叫んだ。

「ナルガ討伐しました!!www」

 1周400メートルのトラックを舞台にした800メートル走で周回遅れを食らった時のような気分になりました。

 唯君に続いてナルガを突破したのは、ベナムデパルファンのヒロ君だ。2オチ目を計上したが、攻撃力の弱さを補う立ち回りで唯君に食らいつく。そして、ひとり遅れてスタートしたゴッディもナルガに1オチを食らうが、あっと言う間にこれを討伐。この段階でゴッディは、タイム的にヒロ君、ジャッ君をぶち抜いたようだ(俺は言わずもがな)。続いて、4番手でナルガクルガをクリアーしたのはなんと俺。ジャッ君はここで意外なほど手こずり、優勝争いから1歩後退することとなる。

 さあ、いよいよラージャンだ。今回は参加者全員が生き残って、最終決戦の場までたどり着いている。タイムで見たときの優勝争いは、完全に唯君とゴッディに絞られている感じ。しかし1回目のタイムアタックのときのように、有利と見られていたハンターがラージャンで3オチして、まさかの“ノーコンテスト”となることもある(俺のことだがな)。まだまだ、何が起こるかわからないぞ!

 しかし、モンハンフェスタチャンピオンの称号を持つこのふたりの、土壇場での強さは圧巻だった。何を隠そう唯君とゴッディは、昨年の11月に行った“『サヨナラ! 逆鱗日和』発売記念イベント”“銀河最強の不協和音”というチームを結成し、圧倒的な強さで優勝した過去を持つ。俺は猛るラージャンを相手にしながらもそのときのことをシミジミと思い出し、ついつい(このふたり、本気出したらホントにすげえな……)と憧憬のまなざしを向けてしまう。でも、そんなことしてりゃ集中力が途切れるのはあたりまえで、俺はあっさりとラージャンの猛攻にさらされて3オチ目を記録。ひとり違う武器でがんばっていたヒロ君も無念の3オチとなり、優勝争いから脱落した。そして、ナルガクルガでのタイムロスが響いたジャッ君も、最終的にラージャンで3オチ。これにより、銀河最強の不協和音のふたりに優勝争いが絞られたわけだ。

 最初に雄叫びをあげたのは、唯君だった。ラージャンで1オチしながらも終始安定した立ち回りを続け、ついにこれを討伐!! そしてゴッディも、ラージャンで2オチ目を喫しながらも力でねじ伏せ、唯君に遅れること数分ってところで「ラージャン終了!!」と声を張り上げる。さあ、問題はタイムだ。ゴッディが遅れてスタートしているので、どちらが勝ったのかまったくわからない。固唾を飲む6人。さあ、結果は……!!

●唯君 討伐タイム:28分16秒
●ゴッディ 討伐タイム:27分21秒

 じつにわずかな差で、ゴッディが優勝!!! しっかしこやつら、持ってる武器がガンランスだというのに、わずか28分程度でモンスターハンターをクリアーしおってからに……。

 こうして、勝手に最強ガンランサー決定戦は幕を閉じた。突発的な企画ではあったが、意外な伏兵の活躍あり(俺のことだが)、抜き抜かれつのデッドヒートありと、異常なほど盛り上がることができた。改めて、やっぱり楽しいなあ、『モンスターハンター』は……。

 しかし俺にはどうしても、ここに居並ぶタイムアタッカーたちに言っておきたいことがあった。確かに、ガンランスの扱いについては俺に一日の長があるかもしれん。使用回数が圧倒的に多いのも事実であろう。しかし……!

 俺はゴッディ、唯君、ジャッ君、ヒロ君の顔を均等に睨みつけ、江野本に泣きそうな表情を振り向けてから声の限りに絶叫した。

「おおおおまえら、おじさん相手に本気出すんじゃねえよおおおお!!!w」

 上野の夜に響く「あはははは!!」という若きタイムアタッカーの大爆笑に、おじさんガンランサーは呆然と身をゆだねるのだった−−。

投稿者 大塚角満 : 00:00

【MHP 2nd G】第183回 モンスターハンターで勝負だ! その4

 ガンランスによる“モンスターハンター”タイムアタックも後半戦に突入した。俺、ゴッディ(Effort Cristal、arties)、唯君(もうゲネポ)、ジャッ君(Effort Cristal、捨てられた狩人の反撃)、ヒロ君(はらペッコ)の5人によるガチンコバトルだが、リオレウス、ティガレックスが終わった時点で唯君、ヒロ君という強豪ふたりが壮絶に轟沈し、勝負は俺、ゴッディ、ジャッ君の3人に絞られたところまで前回のエッセイで書いた。今回はその続きである。

 クエスト・モンスターハンターで3番目に登場するモンスターは、樹海の疾風・ナルガクルガだ。動きの速いこのモンスターに重い武器の代表格であるガンランスで対抗するには、閃光玉と音爆弾を有効活用するのが近道である。……って、ほかのどんな武器でもナルガクルガを相手にするときは閃光玉と音爆弾を使いまくると思うが、まあ機動力に劣るガンランスのときにはとくに威力を発揮するってことですな。

 でも改めて、俺が初めてモンスターハンターをクリアーしたときの様子を綴ったエッセイを読むと(拙著『本日もサヨナラ! 逆鱗日和』に収録)、“音爆弾の使いどころがさっぱりわからないのでハナから持っていかない”なんていう記述を見る。そう、当時の俺はナルガクルガを相手にしたときにどのタイミングで音爆弾を投げればいいのかがまったくわからず、「音爆弾を持つとアイテム枠がひとつ減るだけだ。無駄ムダむだ」とか言ってこの便利なアイテムを使っていなかったんですねぇ。いま考えると、よくぞ音爆弾ナシでナルガクルガを乗り越え、モンスターハンターをクリアーできたものだと感心してしまうが、人間、その気になればどうにかできるものなんだねぇ……(しみじみ)。

 しかし今回は、1分1秒を争うタイムアタック勝負である。若かった当時を懐かしんで音爆弾ナシで挑む……なんてことには当然ならず、ナルガクルガには閃光玉と音爆弾をしっかり使って対抗する。ナルガクルガに閃光玉をキメ、バックステップをしたら音爆弾。怒り状態になり、閃光玉をキメてバックステップをしたら音爆弾……。キンキンキンキン……と、俺が持つPSPから小気味いい金属音が鳴り響く。そのたびに、コテンとかわいらしく横に倒れるナルガクルガ。その脳天を目がけて武器出し攻撃から中段突きを2回食らわせ、砲撃を1発。そして追撃の中段突き。このコンビネーションだとコンボを切ることなくいつまでも攻撃を続けられるのだ。でも、ナルガクルガは永遠に転がってくれているわけもないのでいいタイミングで武器を収め、再度の音爆弾チャンスをうかがう。その素振りが見えないときでも慌てず、ナルガクルガの疾風の動きが途切れる瞬間を見計らって接近し、頭部に斬り上げ攻撃を食らわせてやった。そんな俺の様子を見ていたもうゲネポの唯君が、感嘆の声を漏らす。

「角満さんのPSPから音爆弾のいい音が絶え間なく聞こえてくる……。ていうかやっぱり、ガンランスに関しては一日の長がありますね……。いい動きしとるわ……」

 江野本も、唯君の意見に同調した。

「そうなんよ! なんか、大塚さんのガンランスには余裕が感じられるというか、動きがスムーズ! ……じつはガンランスの利点とかよくわからずに使っているくせに、やっぱり使用回数が多い分、蓄積はすごいんですね!!」

 素直に喜べない、ツッコミどころ満載のコメントではあったが、オーディエンスが俺の躍動に感動のまなざしを送ってくれていることは確かなようだ。

 そしてここで、またまた事件が起こった。なんとジャッ君がナルガクルガの必殺技・尻尾ビタンをまともに食らって壮絶に昇天してしまったのである! これでジャッ君は3オチ。ついに突発的最強ガンランサー決定戦は、俺とゴッディのタイマン勝負になったのである!

 さらに!! またまた事件がっ!! クエスト開始から20分が経過したころ、なんと俺がナルガクルガを見事に捕獲してくれたのだ!! モンハンフェスタ`09で優勝した日本最強ハンターと言われる男に先んじて、38歳の中年ハンターがナルガクルガをクリアー……。

「ナ、ナルガを捕獲したよっ!!」

 目の前にあったビールのジョッキにツバをぶつけながら、自分でも信じられない快挙の報告を行う。その瞬間、地鳴りのように轟いた「うおおおおおおっ!!」という大歓声。間髪入れず、脱落した傍観者の口からつぎつぎと驚きの言葉が漏れた。

「大塚さんがゴッディを抜かすなんて!! 奇跡!!」(江野本)

「大番狂わせが起こるかも!! 奇跡!!」(唯君)

「信じられない……。奇跡!!」(ジャッ君)

「どうなってるんだこれは……。奇跡!!」(ヒロ君)

 おめえら、奇跡キセキってうるせーんだよ!!! あまりにもあんまりなオーディエンスのコメントに、怒り心頭に発して俺は叫んだ。

「ハンマー使ってもこんなに速くナルガクルガを越えたことなんてないのに……。奇跡っっっ!!!

 自分で言ってりゃ世話がない。

 突発的な狩場となった上野の焼肉屋の個室は、興奮の坩堝と化した。ゴッディも俺に遅れること1分ほどでナルガクルガを討伐し、追撃の体勢に入ったのである。「すごいことになってきたなあ!w」と唯君が言えば、「このまま角満さんが勝ったら、まさに快挙ですよ!」とヒロ君も言う。そして江野本も興奮しながら、「しかも、ゴッディが1オチしていることに対して、大塚さんは一度もオチずにここまで来てるんよ!! やー、もうどうしよ!」と大騒ぎ。ガンランスの使用回数に圧倒的なアドバンテージがあるとは言え、やっぱりこのメンバーでタイムアタックをして俺が勝ったら、それは大事件だからな。でもここで江野本がちょっと冷静になり、俺の顔を覗きこみながらこんなことを言った。

「しかしいくらゴッディに勝ったところで、誰にどう自慢するの?w このややこしい勝負をw」

 ドッと笑いに包まれる焼肉屋の個室。しかし、俺はそんな笑いをかき消すように大声でわめいた。

「何を言っていやがる!! 俺には読者がいるんだ!! この快挙、必ずお伝えしますっ! 待ってろ読者!!!

 俺のこの発言を受けて、唯君が悲鳴を上げた。「うわーーーーっ!! 書くつもりやこれ!!ww」

 そして始まった最終決戦。モンスターハンターのボス・ラージャンの登場だ。俺はもう使えるアイテムはほとんど残っていなかったが、約1分の時間的ハンデと、まだ1オチもしていないという圧倒的なアドバンテージのおかげもあって心の余裕が生まれ、この怒れる牙獣の王を相手にしても冷静な立ち回りを続けた。順調にラージャンの怒り回数が積み上がってゆく。俺のラージャンが3回目の怒り状態になったとき、ゴッディのラージャンはまだ2回しか怒りになっていなかった。怒りの回数は、ラージャンの体力が消耗している目安だ。やはり、俺がリードしている! しかし、時計の針が25分を指したころ、ついに俺が1オチを計上してしまう。

「ああ〜……」

 というため息が誰からともなく発せられた。ところが……!

「やばい!! オチた!!」

 なんと、俺に釣られるようにゴッディもラージャンに屠られ、2オチ目を計上してしまったではないか! これでもう、ゴッディはあとがない。しかもしばらくまえから回復薬が切れてしまったらしく、「もうダメだ! 完全に負けた!!」と敗北宣言まで飛び出している。ついに、俺が頂点に立つときがきたのか!?

 しかし、そうそう簡単に負けないからこそ、この男は日本最強のハンターなのだ。2オチのショックから瞬時に立ち直ったゴッディは怒涛の反撃を見せる。しかもこのあたりからラージャンがやたらと脚を止めて、気光ブレス(ビームやね)を連発しだしたようなのだ。この状況を見て、冷静なゴッディが珍しく雄叫びを上げた。

「よし! またビームだ!! ありがとう!! ありがとうビーム!! ありがとうビイィィィム!!

 最強ハンターをも狂わせる何かが、このときのこの空間には確かにあった(笑)。

 そして、この“ありがとうビーム”攻撃で俺は動揺を来たし(笑)、なんと2オチ目を計上。いよいよ勝負はわからなくなってきた。

 しかし、やはり回復薬が切れたことは大きかったのだろう。追い上げを見せていたゴッディもついに力尽き、「あああ! 終わった!」という断末魔の悲鳴とともに昇天してしまう。これで、3オチ。俺を除くすべてのツワモノが、クリアーを果たすことなく散っていった。つまり……!

「うおおおおお!! もしかして、俺の勝ち!?」

 喉も裂けよとばかりに、俺は絶叫した。ガンランス縛りというムチャな設定ながらも、このメンバーを相手にタイムアタックをして俺が勝利できるなんて、本当に奇跡としか言いようがない。江野本が興奮しながら言葉を継ぐ。

「あとはゆっくり、ラージャンを料理すればオッケーっすよ!! いやあ、まさかこんな奇跡が起こるなんて……! 信じられなーい!」

 そう、あとはラージャンを片付けるだけだ。すでに俺も2オチしているが、秘薬が残っていたので体力はマックスだし、冷静に立ち回れればなんの問題もないだろう。

 しかし、俺はここで予期せぬ心理状態に陥った。ラージャンを追い詰めているこの段階で、まだ時計の針は25分を指している状態。このペースで討伐完了となれば、信じられない好タイムを叩きだせるのは間違いないであろう。それに、こんなすごいメンバーの頂点に立つのだ。中途半端な記録では、のちのち後悔するはず。ヨシ! 守りに入らずに最速を目指そう! 攻撃は最大の防御だ。体力が削れまくっているいまのラージャンならば、ほどなく討伐できるに違いないっ!!

「よーし! 攻めるぞおおおお!!」

 そう決意したとたん、怒り状態のラージャンが振り回していた腕が「ぱこーん」という感じで我が分身の身体にぶつかった。

「あれ?」

 と思って眺めていると、その一撃で優勝目前のガンランサーの体力は半分以下に激減。そして、

「むむ?」

 と思いながら見ていたらラージャンはその場でグルリと回転し、なんとそれが俺の身体に直撃……って、ちょっと……!!

「ぎゃああああああああああああ!!!」

 この世の終わりのような悲鳴を上げて、その場で昏倒する俺。江野本が「あああああ!!! オチたああああ!!」と叫んだのが、三途の川の向こうから聞こえた気がした。そう……。ここまでやっていながら、なんと俺は3オチ……。ラージャンだけで3オチ……。目前に迫っていた最強ガンランサーの称号はスルリと逃げ落ち、この勝負はあろうことか、

“勝者ナシ”

 という結果になってしまった……。

 その後、なんとか息を吹き返した俺に浴びせられたのは江野本を筆頭とする傍観者たちの痛烈な非難の声であった。

一生に一度のチャンスだったのに!! なんでそれをモノにできないのよ!!」(江野本)

「この土壇場でオチないでください!!ww」(ヒロ君)

「もうこんな奇跡、二度とないっスよ!!www」(唯君)

「あそこまでいっておきながらオチるのは、ある意味神業です!!www」(ジャッ君)

「いまのノーカンですよね!! さあもう1回やりましょう!!」(ゴッディ)

 しかし彼らの言葉を聞いているうちに、俺の頭は妙に冷静になっていった。確かに、このチャンスをモノにできなかったことは悔しい。惜しすぎる!! そうは思うが、まあコレはコレで……。俺は落ち着いた口調になり、まわりの連中を諭すようにこんなことを言った。

「でも、ここであっさり勝てているような人間だったら、俺はあちこちで『モンハン』日記を書いていないと思う……」

 この言葉に、6人は深く頷いて声を揃えた。

「うん、それは間違いないwww」

 そして、2回目のタイムアタックが始まる−−。

投稿者 大塚角満 : 13:11

【MHP 2nd G】第182回 モンスターハンターで勝負だ! その3

 昨日の続き。

 クエスト“モンスターハンター”の最初の相手はリオレウスだ。俺の経験上、こやつはガンランスでも5分以内に討伐することができる。でもいま俺が戦っている相手は、artiesのゴッディ、もうゲネポの唯君、捨てられた狩人の反撃のジャッ君、はらペッコのヒロ君という猛者中の猛者である。5分以内に討伐できればいい……なんていう悠長なことを言ってる場合ではない。どんな手を使ってでも最速タイムで先に進まないと、この4人は俺ごときは余裕でぶっちぎる能力を秘めた怪物どもなのだ。でもガンランスを手にしている以上、俺も簡単に負けるわけにはいかないぜ!

 というわけでさっそく俺は、闘技場に入る直前で強走薬グレートをグビグビと飲み干した。アイテムは使い惜しみせず、先行逃げ切りの状態を作ってしまおうと思ったのだ。というのも、彼らはここのところ『3(トライ)』でばかり遊んでいたわけだし、何よりもともとガンランスをそれほど使い込んではいないので、操作に慣れるまで若干の時間を要するはず。彼らがクセのあるガンランスの扱いに四苦八苦しているうちに、リードを広げてしまおうと目論んだわけだ。

 強走薬グレートの効果でいくらガードしてもスタミナゲージが減らないガチガチの鋼鉄ガンランサーになったところで、俺はリオレウスの前に立った。このモンスターをガンランスで手早く料理するには、閃光玉を惜しまず使ってひたすら前後不覚の状態にしておき、攻撃力の高い斬り上げ攻撃を顔面にお見舞いする。これがいい。そして俺は、このとおりのことをやろうと試みた。ところがリオレウスは、1発目の閃光玉の効果が消えるやいなやバサバサと上空に飛び上がり、なんとそのまま降りてこずに気持ちよさそうに旋回を……!

「ワ、ワールドツアー始めやがったよ俺のレウス!!!」

 と俺は絶叫した。この、上空を飛び回るレウスの状態を“ワールドツアー”と呼ぶのだ。しかしよりによってタイムアタック勝負をしているときに、もっとも時間を消耗するワールドツアーに出やがるとは……。

「大塚さんのレウス、ワールドツアーに出たってーwww」

 江野本がうれしそうに、俺の身に起きた不幸をほかの4人にアナウンスした。「あはははは!」とヒロ君。「よし!!www」と唯君。焼肉屋の個室が明るい歓声で包まれる。ところがその瞬間、実力ナンバーワンハンターと言われるゴッディが「あ! やばい!!」と鋭く叫び、つぎの瞬間「しまった!! オチた!!」と断末魔の悲鳴を上げた。そう、優勝候補の筆頭と目されていた男が、慣れないガンランスのおかげで最初のリオレウスで1オチを計上したのである!! さらに、続けてジャッ君が「おし!!」と言い、「レウス、討伐しました!!」と言ったからタマラナイ。どの武器も満遍なく使うモンハンアスリート界の陰の実力者が、わずか3分半でリオレウスを仕留めてみせた。でも、俺だって“世界一のガンランサー(笑)”と言われた男だ。そうそう簡単に後れは取らねえぜ!!

「よぉぉぉおおし!! 俺もレウス狩ったどーー!!」

 ワールドツアーから帰還したリオレウスを怒りにまかせてしばきまくり、ジャッ君に遅れること30秒で討伐することに成功したのである。そしてその30秒後にゴッディが「レウスいけました!」と討伐完了報告。1オチしていながら4分30秒でまとめるあたり、さすがと言わざるを得ない。さあ残るは唯君とヒロ君だが、信じられないことにこのふたりは立て続けに「!!!!!」と声にならない悲鳴を上げ、「レウスにやられた!!」とカミングアウト。なんと1オチずつを計上してしまったではないか。結果、唯君は5分10秒でレウスを討伐、ヒロ君はさらに遅れて5分53秒かけてなんとかレウスをクリアーした。いやあ、のっけから波乱含みでおもしろいではないですか!!

 さあおつぎは、ガンランサーの天敵と言われる(そうか?)ティガレックスが相手である。俺は本当にこのモンスターでオチることが多いので、リオレウスを相手にするとき以上に、アイテムを惜しげもなく投入する作戦だ。具体的には、ティガレックスが現れる着地点に落とし穴を設置し、そこに大タル爆弾Gを2個置く。まんまとティガがこの罠にハマったら躊躇なく竜撃砲をぶっ放して豪快に起爆! 序盤にできる限りの大ダメージを与えることに心血を注ぐのである。その後はひたすら壁際に陣取ってティガレックスが壁にめり込んで動けなくなるのを待ち、首尾よくこの状態になったらその頭に斬り上げ攻撃。オチるリスクを回避し、攻撃力の高い斬り上げを確実にお見舞いするために到達したのが、この作戦なのである。

 そして作戦どおり順調に、俺はティガレックスにダメージを与え続けた。このティガレックスはじつにいい子で、とにかく闇雲に突進してきて壁にめり込みまくってくれるのである。あまりにも素直な行動をくり返すためしだいに愛おしくなってきて、攻撃するのが躊躇われたくらいだよ。しかもそうこうするうちに、リオレウスを1位で抜けたジャッ君が「あ!!」と短く叫び、さらに復帰してすぐに「い!?」とより簡潔な悲鳴を上げて立て続けに2オチしたことを告げたではないか!

「うわああ!! 混沌としてきた!! メッチャおもしろい!!」

 と傍観者の江野本。どこかウキウキしながら、「じゃっく、てぃがで2おち」とメモ帳に書き込んでいる。そして、場の混乱をさらに強めることを実力ナンバーワンハンターと言われる男がやってのけた。

「ティガ、討伐しました!!」

 時間は、クエストスタートから10分が経過したあたり。ティガレックスを5000頭以上狩っているゴッディが、もっとも得意なこのモンスターで一気にスパートをかけた。しっかし、いくらふだんカモにしているからって、不慣れなガンランスでティガレックスを5分程度で討伐しちまうとは……。やっぱりこの男は恐ろしい……。

 ゴッディが調子を上げてきたのとは裏腹に、唯君とヒロ君はなかなかエンジンがかからない。「なんかぜんぜん、ガンランスの扱いを思い出せない……」と言いながら立ち回っていた唯君はティガレックスの猛攻に遭ってあえなく2オチ目。しかも、俺がゴッディに遅れること30秒でティガレックスを討伐したことを告げた直後に「やばい!!」と悲鳴を上げたと思ったら、そのまま「ああああああ!!!」と叫んで衝撃の3オチ! なんと下馬評をひっくり返して、神ランサーと呼ばれるもうゲネポの唯君が最初の脱落者となってしまった。

 さらに!! 猛るティガレックスの恐ろしさを証明するかのように、ヒロ君もドミノを倒すようにパタパタと2オチ、3オチを計上して屠り去られてしまったではないか!

「どうにも打開策がなくて大タル爆弾Gをこいつに5個も使ったのに、まったくへっちゃらなんですもん!!」

 とヒロ君。その直後、ジャッ君が苦労してティガレックスを討伐して、勝負はゴッディ、俺、ジャッ君の3人に絞られた。さあつぎは、ナルガクルガだ!!

 次回に続く!

投稿者 大塚角満 : 18:28

【MHP 2nd G】第181回 モンスターハンターで勝負だ! その2

 がんがんアップしちゃいますぜー!

 というわけで始まってしまった、突発的“勝手にナンバーワンガンランサー決定戦”。ネコートさんの最終クエスト“モンスターハンター”にガンランスで挑戦してクリアータイムを競う、というなかなかにして熱い戦いである。縛りはとくになく(ガンランスオンリーってところで十分な縛りだが)、好きなガンランス、好きな防具で挑んでいいことにした。当然、スキルも自由。唯一、オトモアイルーを連れて行くことは禁止にしたけど。……ってじつは、俺がオトモアイルーを連れて行こうとしたらほかの連中に、「ネコなんてダメですよ!!」、「オノレのスキルだけの勝負っすよ!!」と烈火のごとく怒られたんだけど……(苦笑)。

 では勝負の詳細を書くまえに、まずは出場選手のプロフィールなんかを紹介しちゃおうかな。こういうの書くのが大好きなので、俺(笑)。

●ゴッディ(Effort Cristal、artiesのGod君)
言わずと知れた、いま日本でもっとも腕の立つハンターのひとり。通称“タイムアタックの絶対神”。モンハンフェスタ`08の名古屋大会で披露された大剣・大剣によるシンクロプレイの考案者としても有名だ。その後も、驚異的なテクニックと視野の広さを武器にタイムアタック界で数々の伝説を打ちたて、モンハンフェスタ`09で悲願の全国制覇。名実ともに“実力ナンバーワン”の称号を手にする。得意武器はハンマー。『2nd G』でのガンランス使用回数は111回

●唯君(もうゲネポ)
溢れるセンスでモンハンフェスタ`08を制した、もうゲネポのチームリーダー。初代『モンハン』の時代からランスを得意武器としており、当時から“西の神ランサー”と呼ばれていた。ランスの派生武器であるガンランスの扱いにも長けており、昨年秋に行った“サヨナラ! 逆鱗日和発売記念イベント”で彼が見せたガンランスでの立ち回りを、その後大塚角満が模倣していることはあまり知られていない。武器はなんでも器用に使いこなす。ガンランス使用回数は160回

●ジャッ君(Effort Cristal、捨てられた狩人の反撃のJack君)
ゴッディの相棒としてシンクロプレイの完成に貢献し、モンハンフェスタ`08で全国2位の好成績を収める。圧倒的な実力者である相棒についていくために血のにじむような努力をして、いつしかソロでもトップクラスのハンターとなった。結果、ゴッディと別チームになった今年もモンハンフェスタに参戦し、名古屋大会で優勝。次長課長の井上さんは、密かに彼のファンだったりする。武器はオールマイティーに使いこなす。ガンランスの使用回数は216回

●ヒロ君(はらペッコ)
ゴッディ、ジャッ君の幼馴染み。茨城フォーのひとり。『モンハン』を始めたのは『2nd G』からという後発組だが、もともとのセンスと、幼馴染みにゴッディがいるという恐るべき環境(?)のおかげもあって、めきめきと実力をつける。非常にやさしく、気のいい茨城のあんちゃんで、この日も「何かあったときのために」とPSPを2台持参し、まんまとPSPの調子が悪かった大塚角満に1台貸してくれた。得意武器はハンマーで、ガンランスの使用回数は80回。ちなみにはらペッコでの相棒であるハルス君は“茨城最強の狩猟笛使い”として恐れられている。

●大塚角満(逆鱗日和)
“世界一のガンランサー(笑)”の異名を持つこの記事の制作者。モンハンフェスタでの実績は、2008年は東京大会予選落ち、2009年は福岡大会で9位。実績ではほかの4人に若干ながら劣るものの、ガンランスの使用回数はぶっちぎりの1432回! この武器のすべてを知り尽くしていることを最大のアドバンテージとして、タイムアタック界の頂点に君臨する4人をまとめ斬りすることを目論む。

 うひゃー! こういうの書くと、ワクワクしてくるなあ!! 当然、俺はこの勝負の結果を知っているわけだが(あたりめーだ)、それでもこんなにドキドキワクワクとしている。このことからも、突発的に行われた今回の勝負がじつにおもしろかったことがわかるではないか!!

 ではボチボチ、本題に入るかな。まずは全員の、このときの装備を発表しよう。

●ゴッディ 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+1、耳栓、斬れ味レベル+1、業物

●唯君 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+3、耳栓、斬れ味レベル+1

●ジャッ君 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+1、罠師、斬れ味レベル+1、業物

●ヒロ君 武器:ベナムデパルファン スキル:砥石使用高速化、罠師、状態異常攻撃強化、心眼

●大塚角満 武器:デゼルトスリンガー スキル:見切り+3、耳栓、斬れ味レベル+1

 付け加えると、今回はネコのキッチンスキルにも規制は設けていないので、それぞれが何かしらのプラス要素があったと思われる。ちなみにゴッディは、ネコの調合術【大】が、唯君はなんとネコの火薬術が発動! くぅぅ……。運のいいヤツめ……。俺も火薬術が欲しかった……。そんな俺に付着したキッチンスキルは、ネコの拾い物術(笑)。「落し物、拾いまくってやるわ!!!」と俺はヤケクソ気味に絶叫した。

 さて、この装備リストの中でひときわ目を引くのがヒロ君の武器、ベナムデパルファンだろう。ほかの4人は攻撃力、斬れ味に秀でるデゼルトスリンガーを選んだのだが、ヒロ君はあえて、毒属性のベナムデパルファンを手にしている。皆この選択は意外だったらしく、しきりに感心。「パルファンか……。それ、優秀ですよね。怖いなあ」と唯君が言えば、「そういう手もあるのか……。悪くないかも」とゴッディも目を丸くする。攻撃力はデゼルトスリンガーに及ばないが、モンスターを毒状態にできたときに何かが起こる可能性があるからな。俺もヒロ君に言った。

「ベナムデパルファンを選ぶとは、シブいなヒロ君。ほかの連中に日和らず、デゼルトスリンガーを捨てるとは!」

 するとヒロ君はそっと目を伏せ、いつもの元気溌剌さからは信じられないほど小さな声でこんなことを言った。

「……僕もできることならデゼルトスリンガーにしたいんですけど、“ブランゴの毛”が足らなくて作れないんです……」

 ほかの5人はシンと静まり、それ以上深くヒロ君を追求することはやめて自分の準備に戻った(笑)。

 ……って、なかなかプレイリポートが始まらねえな!! まあでも、この手のお話はキチンと外堀を埋めてから書いたほうが盛り上がるからネ。皆さん、しっかりとついてきてネ。

 準備が整った我々はそれぞれがネコートさんに話しかけ、クエスト“モンスターハンター”を受注した。よーし、勝負だ勝負だ。ガンランス縛りとはいえ、こんなメンバーとガチンコで対戦できることなんてそうそうないぞ。全員がクエスト出発口で□ボタンに指を置き、江野本の発声を待つ。彼女の合図でいっせいに、闘技場になだれ込む算段なのだ。

 そして11月8日午後8時30分。江野本が元気に、タイムアタック勝負のスタートを告げた。

「クエスト、スタート!!!」

 ドタドタと闘技場に飛び込む5人のガンランサー。いったい、どんな勝負が展開されるのか!?

 続きは次回!

 

投稿者 大塚角満 : 17:17

【MHP 2nd G】第180回 モンスターハンターで勝負だ! その1

 久しぶりに『2nd G』のプレイ日記を書きます。あまりにもおもしろすぎることがあったので、書かずにいられねえw

 11月8日、モンハンフェスタ`08チャンピオン、“もうゲネポ”の唯君と久しぶりに会って飯を食うことになった。彼は大阪在住なのでなかなか会う機会がなく、イベントがらみの打ち上げなどを除いたら、いっしょに飯を食べるチャンスは滅多にない。そこで俺と江野本ぎずもは、いま乗りに乗っているタイムアタッカー軍団・茨城フォー(Effort Cristalのゴッディ、ジャッ君、はらペッコのヒロ君、ハルス君の幼馴染み4人組。最強茨城カルテットのこと)に連絡。「ゲネポの唯君と焼肉を食べるんだけど、参加しない?」と声をかけ、ふたつ返事で「いきますいきます!」という言質をとり、11月8日に集合することとなった(残念ながらハルス君は来られなかったが)。

 それにしてもこのメンバーの、なんて豪華であることか。唯君は前述のとおりモンハンフェスタ`08のチャンピオンだし、Effort Cristalは同年の準優勝チームであることに加え、ゴッディはチーム“arties”で今年のモンハンフェスタで優勝。ジャッ君は“捨てられた狩人の反撃”で名古屋地区大会を制し、ヒロ君のはらペッコも再三フェスタの決勝ステージに上った強豪チームだ。飯を食べているあいだの話のテーマは当然のようにすべてが『モンハン』がらみで、ディフェンディングチャンピオンながら予選で敗れた唯君からも、非常に貴重な話をたくさん聞くことができた。彼らが話すアスリートならではの言葉をひとつひとつ噛み締めながら、俺は「なんてステキな時間なんだろう……」としみじみと感動していた。

 ご飯で腹が満たされた我々は、「では、食後の運動を……」てな感じでじつに自然な流れでカバンからPSPを取り出した。これだけのメンバーが集まっているのだ。ひと狩り行かなければ狩りの神様にバチを当てられるというものである。まずは腹ごなしとばかりに、俺、ジャッ君、ヒロ君のチームと、江野本、ゴッディ、唯君のチームに分かれていくつかのクエストをこなす。タイムや効率なんて無視した気ままな狩りなので、アイテム忘れはあるわ、ゴッディや唯君といった達人もオチまくるわで、おもしろくておもしろくてしかたがない。こんなメンバーが顔を付き合わせて遊べる機会はそうそうないので、俺たちは「つぎいこつぎ!」、「はい、チームシャッフルね!」と大騒ぎしながら、さらにいくつかのクエストを消化した。

 そして2チームが同時に狩りを終えたタイミングで、俺はあることを思い出した。唯君と会って飯を食べる、という話を江野本とし始めたときから“とある勝負”を唯君としてみたいと思っていたのである。それは……!

“ガンランスによるモンスターハンターのタイムアタック勝負”

 である。

 もう1年以上まえのことになるが、俺は『2nd G』のネコートさんの最終クエスト“モンスターハンター”(リオレウス・ティガレックス・ナルガクルガ・ラージャンの大連続狩猟)に愛機・ガンランスでの挑戦を続けていた。しかしどうにもうまくいかず26回もクエストに失敗し、泣く思いで挑んだ27回目の挑戦にしてようやく、残り時間3分ってところで最後のラージャンを捕獲したのだ(このへんの細かなことは、拙著『本日もサヨナラ! 逆鱗日和』に詳しいので興味のある方はぜひ)。まさかの快挙に俺は飛び上がり、すぐさまこのブログで結果を報告。するとその数日後に唯君から、「僕もガンランスでモンスターハンターをやってみて、20分以上残してクリアーできましたwww」という、じつに大人気ない連絡が……。それ以来ずっと、俺は虎視眈々とこの悪魔の子の首を狙っていたのだ。いつかチャンスができたときに、ガンランス勝負を挑んでやりたい! と。

 で、チャンスがやってきた。俺は唯君をギロリと睨んで、低い声で挑戦状を叩きつけた。

「ついに時はきた。唯君よ、俺の挑戦を受けたまえ。どちらがよりガンランスをうまく扱えるか、モンスターハンターのタイムアタックで勝負しようではないか!!」

 これを聞いた唯君は、それまでの和やかムードから一転、その双眸に炎をたたえ、「おもしろい!! いいでしょう! 受けて立ちます!!」と即答。ここに突発的な“勝手にナンバーワンガンランサー決定戦”が行われることになったのだった。

 ところがこの場にいる連中は、誰もがずば抜けた“勝負ごと好き”にして極めつけの“負けず嫌い”でもある。まず、俺と唯君のやり取りを聞いていたゴッディが「え、なになに? なにか勝負するんですか!?」と食いつき、これに江野本が「ガンランスでモンスターハンターのタイムアタック勝負するんだってー! ……そうだ! みんなも参加しなよ!」と燃料を投下する。ゴッディ、この燃料でまんまと燃え上がり、「やりますやります!!」と急遽、タイムアタックの絶対神と呼ばれる男が勝負に参戦することが決定。するとヒロ君も「じゃあ俺も! ガンランス、持ってないけど!」と参加表明し、ジャッ君もつられて「俺も準備しよ」とボソリ。けっきょく、その場にいた男ども全員が、ガンランスでモンスターハンターに挑むこととなった。ガンランスを使ったことがない江野本は、記録係としてその場で起こったことをひたすらメモっていくと宣言。いやあ、こいつはとんでもないことになったぞ!

 というわけで、次回に続く!

投稿者 大塚角満 : 15:14

【MH3】第71回 牙は、どこに行った

 ハンター100人に対して「『3(トライ)』になって劇的に地位が向上した素材アイテムとして真っ先に思いつくものは?」と質問をしたら、どんな答えが返ってくると思いますか? これもう、俺の中での答えが決まりまくっているものなのでアレコレと思考を巡らせてもあまり斬新な回答は出てこない。なのでいつものクダラナイたとえ話はやめて単刀直入に思うところを発表してしまおう。『3(トライ)』で地位向上した素材アイテムトップ3は、間違いなく以下のものだ。

1位 雷光虫
2位 カクサンデメキン
3位 クモの巣

 これを見て数十万人の『3(トライ)』ユーザーが「うん、そのとおり!!」、「こう思っていたのは俺だけじゃなかったんだ!!」ともろ手を挙げて大賛同したに違いない。本当にこの3素材は、いきなり大貧民が大富豪に、紙飛行機がスペースシャトルにステップアップしたってくらい、驚くべき急成長を遂げた……というか、その存在価値が急上昇したのである。

 とくに、1位の雷光虫だ。こやつの地位向上っぷりはちょっと空恐ろしいものがある。ここでは便宜的に1位、2位、3位……と順位をつけているので、なんとなく「この3素材はきっとデッドヒートをくり広げているんだろうな」と思われそうだが、じつはさにあらず。1位と2位のあいだには決定的な開きがある。競馬で言ったら、2位のカクサンデメキンがようやく第三コーナーを回るころには1位の雷光虫はゴール板を駆け抜けており、「ライコウチュウ! ライコウチュウ!!」というファンの熱烈なコールに包まれながらウイニングランをしている……ってくらいの状況だ。……なんだか、たとえ話を書けば書くほど意味がわからなくなるという不思議なことになってしまっているが(苦笑)、とにかく2位以下なんてどうでもいいほど、雷光虫はぶっちぎりで存在価値を高めたのであります。

 ではなぜここまで、雷光虫は注目されるようになったのか? それまでも雷属性の武器を作るときなどにさりげなく要求され、「あれ……。雷光虫が必要なのかよ。1匹もいねえ……。しかたない、捕りにいくか」ってことになって虫あみを抱えてわっせわっせと森丘やら樹海やらを駆け回ったものだが、武器を作るときに必要となる雷光虫の数なんてたかが知れているので“雷光虫=重要素材”という公式はなかなか成り立たなかった。雷光虫なんかよりも圧倒的に光蟲のほうが素材としての地位が高く、同じ“光”を掲げる虫族の一員として雷光虫はつねに肩身の狭い思いをしていたのである。

 しかし『3(トライ)』で、素材カーストの根底はガラガラと崩れた。光蟲と雷光虫の地位を逆転させるほどに。その原因はただひとつだ。

 雷光虫がシビレ罠の素材に大抜擢されたから。

 これに尽きる。

 シビレ罠はご存じのとおり、ほとんどの大型モンスターの動きをしばらくのあいだ封じることが可能な、ハンター必携の頼りになるアイテムだ。これを生産する調合レシピは、『2nd G』までは“トラップツール×ゲネポスの麻痺牙”がモンハン世界の常識だったのだが(トラップツール×麻痺袋、ってのもあったなぁ)、あいにく『3(トライ)』にはゲネポスがいない。ゲネポスの麻痺牙なんて、ゲネポスやドスゲネポスを狩ってりゃうるさいくらい剥げるし、狩りをせずともお店にいけばじつに安価で売ってもいる。行商ばあちゃんの半額セールの日なんて1本あたり40ゼニーしかしないので、なんの躊躇もなく200本、300本といった個数をまとめ買いすることができた。どっちかと言えば1個あたり200ゼニーかかるトラップツールを見て「高ぇなぁ……」と思っていたくらいである。

 しかし、いくら便利な牙を引っこ抜こうと思っても『3(トライ)』にはゲネポスはいない。でも、ゲネポスの麻痺牙がないからって利便性の高いシビレ罠を廃止にすることはギルドの人間も調合屋のおっさんも本意ではなかったのだろう。何かしらの代用アイテムでシビレ罠を存続させなければいけない……ってことで白羽の矢が立ったのが雷光虫だったってわけだ。

 ところが……。

 雷光虫は、ゲネポスの麻痺牙ほど生易しい素材ではなかった。そう。気安く手に入らないのである! 確かに、フィールドに飛び出して虫あみを振るっていれば、毎回2匹とか3匹くらいは雷光虫をとっ捕まえることができるであろう。しかしこのペースだと、クエストに出て大型モンスターと対峙したら兎にも角にもシビレ罠を作りまくらないと安心できないチキンな俺では、すぐに雷光虫不足に陥ってしまうのだ。

 そこで、俺は考えた。なんとか楽をして雷光虫を手に入れてくれようと。まず俺はロックラックに出向き、『3(トライ)』から導入されたアイテム交換所ににじり寄って手持ちの何かと雷光虫を交換しようと試みた。しかし、俺が見た限りでは雷光虫は交換リストに上がってこなかったのであえなく断念。となれば、ここは原点に戻ってモガの村に引き返し、農場やら交易船を活用して雷光虫セレブになろうと思い立つ。が、残念ながら農場の虫箱には雷光虫は寄り付かないことが判明。唯一、交易船を利用すれば雷光虫と特産品を交換することが可能だが、雷光虫を5匹もらおうと思ったらかなりの量の特産品を渡さねばならず、いまいちレートに納得ができなかったのでこちらもあまり使っていない。うーん、こいつはどうしたものか……。

 と思っていたある日、女子大生ハンターのKちゃんに「ロックラックの素材屋でときたま、雷光虫を売っているよ」と教えてもらった。なーんだ、売ってるんじゃーん^^ 金で解決できるなら、それでいいんだよお^^ ゼニーだけは潤沢に持っているんだ。俺は雷光虫が売っている日を見定めてロックラックに突入し、「とりあえず、1000匹買ってくる!!」とKちゃんに宣言した。するとKちゃんは大慌てで「ちょっとちょっと!!」と俺を制してから信じられないことをのたまった。

雷光虫、1匹700ゼニーもするんだよ?w たまーに半額で売られているけど、それでも350ゼニー……。そんな値段やけど、本当に1000匹買うん?w」

 な、ななひゃくぜにぃ?? は、半額でも、さんびゃくごじゅうぜにぃだって???

 俺は、極端に数字に弱い脳ミソをフル回転させて、1匹700ゼニーの雷光虫を1000匹買うために必要なお金を導き出そうと努力した。しかし、数字が大きすぎて答えに到達することができず、超優秀な理系脳を持つKちゃんに助け舟を出した。

「えーっと、1000匹買ったら、いくらになるのん?? 俺、何も買わずにコツコツお金貯めてたから、けっこう持ってるよー」

 笑いを堪えながら、Kちゃんがスラスラと答えた。

「1匹700ゼニーだとしたら、1000匹買うのに70万ゼニー必要やねw 半額でも35万ゼニー。それでも、買っちゃうの?w」

 な、ななじゅうまんぜにぃ……。は、半額でも、さんじゅうごまんぜにぃ……!!

 俺はシュンとしてお財布からなけなしの7000ゼニーを出し、素材屋に「雷光虫、10匹だけくだちゃい……」と消え入るような声で告げた。そしてその日からクエストに出向く俺のアイテムポーチには必ず、虫あみと虫あみグレートがこっそりと忍ばされるようになった……。

投稿者 大塚角満 : 18:14

【MH3】第70回 エピオスの“色っぽさ”について考える

 わかる人は、きっとわかってくれる! っていう、独りよがりなエッセイを書きます。

 “エピオス”っているじゃないですか? そうそう、水中に棲息する草食種のモンスターですね。害のなさ具合で言ったら、『3(トライ)』はおろか『モンスターハンター』全シリーズを見渡してもダントツでナンバーワンになるんじゃないかと思えるほど、おとなしく、かわいらしいモンスターであります。シングルモードのモガの森にもいるし、最初の★1のクエストにも現れるので、『3(トライ)』に出てくるモンスターの中では指折りな“なじみ深い”存在……。でもなじみ深かったからこそ、ボクは自分の気持ちに気づかなかったのかもしれません。きっと最初に会ったときから、こう想っていたんだろうな。この気持ちが、芽生えていたんだろうな。自分でも気づかぬうちに育まれていた、エピオスに対するピュアな気持ち……。でも俺ってシャイだから、なかなか口に出して言えなかったんだ。しかし、健康な男子がそんなに長い時間我慢なんてできるものではない。水中で優雅に舞うエピオスの姿をヨダレを垂らして眺めながら、俺は荒い吐息でつぶやいた。

「な、なんて色っぽいんだ……」

 と。ちっともピュアでもシャイでもない、スケベな視点でゴメンなさいね。

 エピオスの色っぽさの原点にあるのは、くねくねと妖艶に動くしなやかな身体と、どこか悲しげに濡れたふたつの瞳にある。エピオスの艶やかさと比べたら、クエストカウンターで達人ビールをあおって「ぷはーっ!!」とかほざいている色気ゼロの看板娘・アイシャなど「女子高生から出直せっ!!」てなもんで、オトナの俺からしたらまったく女性的な魅力を感じないね。なので当然、エピオスと看板娘がそろって「あたしと付き合って」と告白してこようものなら迷うことなくエピオスを選……ばずに、そこは種の本能で看板娘を選びます。って、あたりめーだろ!! と、俺はなんでキレたのでしょうか?

 しかし、こと“色気”ということに関しては、本気でアイシャのような小娘ではエピオスの足元にも及ばないと思うのだよ。優雅に泳いでいるさまはもとより、孤島のエリア10の水面から首を突き出して物憂げに空を見上げている姿なんて、1枚の絵画のようではないですか。このシチュエーションで、もしもその瞳から大粒の涙がこぼれたりした日にはアナタ! 「種の壁を越えて俺と結婚してくれ!!」と思わず求婚したくなると思う。エピオスの色気とは、それほどの破壊力を秘めているんですねぇ。でも本当に結婚するわけにもいかないので、ぜひとも涙は堪えてほしいと思うけどな。

 エピオスの優雅な物腰は、どこか京都の女性を思わせるものがある。柔らかい口調で「よろしおすえ〜^^」とか「あんたはん、いけずやなぁ^^」とか「そないに好きおすなんねえ^^」とかとか、男性(ていうか俺)イチコロのステキ言葉を発する京都の女性とエピオスは、どこか通じるものがある気がするのだ。ホラ、いまにもエピオスの口から「おおきに^^ はばかりさん^^」なんて言葉が出てきそうでしょう?(このへんの言葉の記述、俺の妄想から生まれたエセ京都弁なので、京都の方は「んな言葉使わないどすえ!」と怒ってはいけないよ) さらに、貧相な発想でまことに恐縮だが、たとえば同じエリアに大型モンスターが現れてパニックに陥ってしまい、その場でグルグルと回転しているエピオスの姿は、俺には悪大名に捕まって帯をつかまれ、「あ〜〜〜れ〜〜〜」と回転している時代劇の京都の町娘に見えてならないのです。どこか放っておけない儚い色気。これが、エピオスには備わっているのだ。

 こんな感じで俺はエピオスが大好きなので、今日もデレデレの酔眼オヤジと化して彼女に接近し、「よぉよぉ〜、おねえちゃ〜ん、いっしょに飲まな〜い?^^」と酒臭い息で声をかけまくっている。この、薄暗いモガの森の水辺で見るエピオスはいつもよりもちょっと小柄で、ちょこまかと元気がいい。いつもの京女的なエピオスと比べて、このコはチャキチャキの江戸っ子娘という感じがする。でも、こういうコもかわいいんだよな。かまいたくなるんだよなぁ^^ 俺は「おーよしよし^^」と言いながら、いつもよりも低い位置にあるその頭を撫でようとした。しかしなぜかエピオスはひどく怒っており、信じられないことに「がぶり」と思い切り噛みついてきた。

「!!?」

 蒼い月明かりの下でうろたえる我が分身。いきなり噛みつくなんて、元気がいいにもほどがあるぞ!! おいコラ、顔を見せろ!! どういうつもりだエピオス!!

 クルリと振り向く小さなエピオス。しかしそこにはいつもの濡れた瞳はなく、光っているのは猛禽を思わせる獰猛な双眸。色っぽいはずの口はなぜか耳まで裂け、ギザギザの牙さえ見え隠れしている。……ってこいつは!!

「エピオスじゃなくて、ルドロスじゃねえか!!!」

 ハイ、とっくにオチがわかりましたネ。

投稿者 大塚角満 : 17:53

【MH3】第69回 だから俺は、軟らかい

 先日、ついにハンターランクが40になった。苦節3ヵ月。250時間という膨大な時間を費やして、ようやく★5のクエストを受注できる身分となりました。めでたいめでたい。ぱちぱちぱち。

 ところが、いま俺は喜んでばかりもいられない事態に陥っている。

 上位のモンスターと言えばそれはそれはとんでもない攻撃力を誇る連中ばかりなのに、いまだ俺は防具が下位のときから1歩も前に進んでいないのだ。その気になれば上位のクルペッコ防具を一式そろえるくらいのゼニー、素材は持っているんだけど、なかなか踏み切れないのである。なぜか?

 最大の理由は、ずっと身につけている現在の防具がスキルとして斬れ味レベル+1、耳栓、龍耐性+10が発動(龍耐性はお守りの効果)しているというじつにすばらしいものだから。とくに斬れ味レベル+1と耳栓は一度味わってしまうとなかなか手離せないほどの中毒性を秘めているため、どうしても「辛いけど、おまえのことはもう忘れるよ……」ってことにならないのだ。人間、長く生きていればこういう局面に出くわすこともママあるわけで、そのたびに俺などは髪の毛が抜けるほど思い悩んでいるのである。……って、妙に意味ありげなたとえ話を書いてみたが、俺が悩むことなんて「今日、どこで飲むかなぁ」とか「昨日からジョギングを始めたけど今日はちょっと寒いからどうしようかなぁ」くらいのものである。基本、信念を貫く男だからな、俺は。

 それにしたってこの防具には後ろ髪を引かれる。とくに斬れ味レベル+1なんて上位の防具ではいつ発動するのか見当もつかないので、どうしても簡単にお払い箱にすることができないのだ。

 それでもようやく、俺は新しい防具を作る気になった。きっかけは、モンハンフェスタ'09で優勝したartiesのMizunoe君とロックラックで会ったときに交わした、彼との会話にある。このとき、俺は忌まわしきイビルジョーと初遭遇を済ませたばかりで、その圧倒的な存在感と強さに打ちのめされてロックラックの片隅でカタカタと震えていたのである。で、そこに現れた日本一の天才ハンターに向かってついついこんなことを訊ねたのだ。

「Mizunoe君だったら、イビルジョーをひとりでも狩れるの?」

 するとMizunoe君はあっさりと「いけますよ〜。それなりの準備は必要ですけど」と答え、さらに「角満さんでも大丈夫ですよ」と言い、続けて「でもそれには、しっかりとした装備が必要ですけど。いま、防御力はどれくらいですか?」と逆に問いかけてきたのです。これに対し、俺はウソをつくわけにもいかなかったので開き直って「143ですっ!!」と元気に回答。するとMizunoe君は能面のような表情で(ネットだから見えないけど)チャット画面に、

「…………………………………………」

 とありったけの三点リーダーを打ち、さらにトドメとばかりにひと言、

「角満さん、毎回自害するためにクエストに行ってるようなもんですよそれは」

 と呆れ声で言ったのでした。

 この天才の言葉が俺に与えた影響は大きかった。そうか。そうだよな。草食竜であるリノプロスの前を通るときですら、「あ、スミマセン、お騒がせして^^; すぐに消えますんで、ホントにゴメンナサイ^^;;」とやたらと恐縮しているようでは先が思いやられる。上位の素材で作る"G装備"は、ジャギィシリーズやクルペッコシリーズといった作りやすいものでも、いまの俺の自慢の装備より遥かに防御力にすぐれているのである。よーし、上位防具を作るぞー!

 さて問題はどの防具を作るかだ。ざっとリサーチしたところ、ペッコGシリーズだったらいますぐにでも全身を覆うことができるし、仲間のハンターたちも「ペッコGはオススメだよ!」と推薦しているので、素直にこいつを作れば間違いはなさそうである。しかし、そんなに簡単に日和ってしまっていいのか角満よ。作るのが楽で、性能も優秀かもしれないが、それだけで手を出していいのか……? ……って、どう考えてもそんだけの理由があればあっさり作ってしまっていいんだけど、根が天邪鬼なので薦められれば薦められるほど「ペッコGはナシだな」となって、製作候補から外してしまった。こういうところが、オッサンは面倒くさい

 で、紆余曲折を経た結果、まずはギギネブラの上位防具を作ることに決めた。決め手は、見た目がカッコよさそうだったのと、あまり身につけているハンターを見かけなかったから。こういうことをきっかけに防具を作る人って、けっこう多いよねー。問題は、俺ひとりでは上位のギギネブラを狩ることが不可能なことだが(下位でもきびしい)、幸いギギネブラが10匹くらい連なって出てきてもどうにかしてくれそうなハンターがまわりにたくさんいるので、まあ心配ないだろう。俺は、そのときロックラックにいた捨てられた狩人の反撃のジャッ君、はらペッコのヒロ君に「上位のギギネブラ装備を作ることに決めた!! クエスト手伝って!!」と懇願した。ところが、ジャッ君が何気なく発したつぎの言葉で俺の心は簡単に揺れ動く。

「上位の防具かあ。大塚さんはランスがメインだから、アグナコトルの防具もいいですよね。スキルが」

 なにぃ……? ア、アグナコトルだと……? そういえば下位の時代にも、アグナコトルの防具を作ろうとしたことがあったな……。でも、うだうだしているうちに現在の斬れ味レベル+1防具ができてしまって、下位のアグナコトル防具は時空の彼方に消し飛んでしまったんだった……。ジャッ君のひと言で今度は上位ギギネブラ防具が時空の彼方にすっ飛び、俺は前言を撤回して「ギギネブラやめた!! 上位アグナコトル狩ってー狩ってー!」とふたりに言ったのである。

 そして上位のアグナコトルと初めて対峙したわけだが、まあこいつが強いこと強いこと……。ジャッ君とヒロ君はなんも苦にせずに立ち回っているのだが、俺はアグナコトルに「ジュッ」と触れるたびにとてつもない大ダメージを被って「ひぃぃぃ!!」と泣きながら回復薬グレートをガブ飲み。あっさりと1オチを計上し、その後もひたすら逃げ回って、ふたりがアグナコトルを狩ってくれるのをひたすら待ち続けるという醜態をさらしてしまったのである。うーむ……。他力本願はいまに始まったことではないが、この寄生っぷりはちょっと看過しがたいものがあるな……。

 けっきょく俺は「上位のアグナコトルは俺にはハードルが高すぎる! なのでしばらくは、いまのままでいいや!」とじつに本末転倒なことを仲間連中に宣言した。コツコツとクエストをこなしていればそのうちに素材が集まり、ステキな防具を作れるようになるべ。それにやっぱりいまの防具は、スキルと見た目では文句のつけようがないので、慌てて上位防具を作る必要もないよなぁ^^ いやあ、着慣れた防具は心地いいなぁ^^^^ 大騒ぎした挙句に、最終的にはスタート地点に戻ってしまった。このままいくと俺は一生、いまの防具を着続けるかもしれない。

 もういっそのこと、誰かがコッソリと俺のWiiの電源を入れて『3(トライ)』を起動し、いま身につけている防具を片っ端から捨てるか売るかしてくれねえかなあ。そうすればスッパリとこの防具のことは忘れて、新しいものを製作するんだけどなぁ。

 と言いつつ、この防具が消えていることに気がついた日には、「だだだ、誰だっ!! おおお俺の防具を売り飛ばしたヤツは!!! よよよよよくも俺の斬れ味レベル+1をぉおおお……>< 絶対に許さねえ!!!」と大騒ぎして犯人捜しに血眼になって、下手人をひっ捕らえたらロックラック引き回しの刑にしたうえでそいつのアイテムボックスをモンスターのフンで埋め尽くしてやるけどな……。

投稿者 大塚角満 : 17:09

【MH3】第68回 闘技王の大連続狩猟遂行レシピ!

 モンハンフェスタ`09の記事はひと段落……とか言った舌の根も乾かぬうちに、もう1本フェスタがらみのネタを書く。書かいでかっ!! でもね、これから書く文章はいつものユルいエッセイとはかなーり毛色が違います。

 先週末にファミ通.com上でモンハンフェスタ`09決勝大会の準決勝(ウラガンキン討伐)、決勝(闘技王の大連続狩猟)の動画を公開した。多くのタイムアタッカーの頂点に立つ彼らのプレイはそれはそれは見事で、何度もくり返し観てしまった人も多いのではなかろうか?(まだの方は、こちらでご覧ください!)

 この動画にあるプレイを、俺は決勝大会当日にナマで鑑賞していた。しかしこのときは頭に血が上りまくっていたため、やたらと「しゅげえ!!(すげえ)」、「かっちょいい!!」を連発するだけで冷静に立ち回りを分析することができず、当然ながらまともにメモなど取れるわけもなくて、結果、詳述から逃げまくった情けない原稿しか書くことができなかった。優勝したartiesに代表される“モンハンアスリート”と呼ばれる彼らの立ち回りにはいちいち理由……というか計算があって、本当に細かい部分まで考え尽くされている。それをキチンと、声の大きい人間が伝えてあげないと読者のほうも動画を観たところで「すげえ」で終わってしまう可能性があるので、「なんとかしたい!」と強く思っていたのだ。で、こちらにアップした優勝チームインタビューの最後に、天才・Mizunoe君からもらったメールをもとにしたartiesの鮮やかなウラガンキン討伐のレシピを書かせてもらったわけだ。

 それに続いて今回は、ゴッディ(artiesのGod君)から届いたメールをもとに闘技王の大連続狩猟でartiesがどう立ち回ろうとしたのかを公開しちゃおう。一発勝負の舞台なのでこれから書くレシピどおりには動けていない箇所もあるが、ぜひ動画と合わせて読んでいただけたらなと思う。

◆闘技王の大連続狩猟の討伐レシピ(武器は大剣とランス)◆

 このクエストにおいてもっとも重要となるのは“気絶”をキチンととること。そのためにまず、大剣を持ったプレイヤー(artiesの場合はゴッディ)が最初に闘技場に入り、エリアホストを取る。

 1頭目のモンスターはボルボロス。ここでartiesのふたりは二手に分かれて、ランス(Mizunoe君)はボルボロスに攻撃、大剣は2頭目のモンスターであるベリオロスの着地点に大タル爆弾を設置する。続けて大剣は、闘技場の端に行って閃光玉を2個入手し、その足でシビレ罠を壁際に設置する。壁際にシビレ罠を置くのは「ボルボロスは壁際のほうがやりやすいから」(ゴッディ)という理由から。大剣がシビレ罠を設置したらランスもそちらに行き、ボルボロスを誘導してこの罠にハメる。ここでようやく大剣も攻撃に参加し、シビレ罠に捕まったボルボロスをボコボコに。すると罠にかかったまま今度は麻痺状態になる(ランスの麻痺属性で)。すぐに大剣は納刀して麻痺が終わるのと同時に閃光玉を放り、続けて2個目、3個目と閃光玉をつなげる(2個目の閃光玉が効いているときに砥石を使用)。するとだいたい、3個目の閃光玉の効果があるうちにボルボロスの討伐は終わっているそうだ。

 ボルボロスを討伐したら大剣はすぐに納刀し、序盤に置いた大タル爆弾の上にベリオロスがやってくるのを確認。ここで、爆弾までの距離が近かったらこやし玉を、遠かったら麻痺投げナイフを投げて爆弾を起爆! すると、動画にあるとおりベリオロスが空中で足掻いたすえに落下してくる。

 ベリオロスが地面に叩きつけられたら、すぐさま大剣は抜刀タメ3→横殴り→納刀→抜刀タメ3→横殴り→納刀→タメ3と攻撃をつなげる。狙うのはもちろん、ベリオロスの頭オンリー! 大剣の防具にはスキル“抜刀術【力】”がついていて、これは武器出し攻撃にスタミナ減少と気絶の効果が付加されるというものだ。これで着実に気絶値をためていく。そしてランスは、ベリオロスが立ち上がるタイミングでシビレ罠を設置。さらに盾攻撃を1発頭に入れて気絶値の上乗せをする。するとつぎの大剣の攻撃でものの見事にベリオロスは気絶! 気絶中は大剣、ランスともに頭部に攻撃を集中させ、気絶が解けたら大剣は砥石を使い、さらに麻痺投げナイフをベリオロスにぶつけて麻痺させる。するとこの麻痺中にベリオロスは討伐……。

 最後にやってくるのはリオレウスだ。まず着地点を見極めて、大剣は頭部に抜刀タメ3を当てる。するとここでレウスが咆哮をしようとするので、そのまえにランスが閃光玉! その後はベリオロスにやったのと同じように、大剣は抜刀タメ3→横殴りをつなげ、ランスは盾攻撃を頭に当てて気絶値を蓄積。するとすぐにレウスは気絶状態となる。気絶したら、大剣はタメ3を1回当てたあとに麻痺投げナイフを投げてレウスを麻痺にし、ランスは麻痺の終わりに合わせてシビレ罠を置く。うまくつながればシビレ罠の効果中に討伐完了!! になるとのことだ。

 以上が、モンハンフェスタ`09決勝の大舞台でartiesのふたりがやろうとした立ち回りである。動画を観てもらえばわかるが、ベリオロス登場以降はほとんど完璧にこの作戦が実行されている。あの、痺れるほどの緊張感に満ちたステージで、これほど見事に“詰めきる”ことができるとは……。もう「脱帽!」と言うしかないわ……。

 しっかし書いてて、改めてモンスターが気の毒になりました(苦笑)。そのうちモンスターのほうが“arties討伐クエスト!”とか言って、ジエン・モーランの背中の上にイビルジョーやらウラガンキンやらを山盛り乗せて攻めてくるぞホントに(笑)。

投稿者 大塚角満 : 15:38

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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