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【MH3】第28回 提灯は今日も光ったか その2

 いつぞやの続きです。

 チャナガブル討伐クエストの舞台は“水没林”であった。高温多雨の熱帯雨林を思わせる鬱蒼とした木々に覆われたフィールドで、その名のとおりエリアの大部分が水没してしまっている。すでにこのフィールドでは何度かクエストをこなしているが、沼だか川のワンドだかわからないが、とにかく海とは明らかに違う淡水っぽい水中の風景に、俺はまた魅せられてしまっていた。ちょっと濁っていながらも、酸素が豊富で、水草や微生物も元気に繁栄している様子が手に取るようにわかる水中を駆け巡りながら、俺はいつも思うのだ。

「こいつは、アクアテラリウムだ……」と。

 アクアテラリウムというのは、ひとつの水槽の中に水中部分と陸地部分を混在させてレイアウトし、その中で動植物を飼育する環境のこと。おもに淡水の水辺の風景を再現させたものが多いので、この水没林のたたずまいはまさしく、アクアテラリウムそのものという感じなのである。なんで俺がアクアテラリウムなんてものを知っているのかというと、かつて熱帯魚飼育に興味を持っていろいろと調べていたところ、原生林の水辺をそのまま切り取ってきたかのようなアクアテラリウムの存在を知って「いつかこいつを、我が部屋に!!」と思ったのだ。まあけっきょく、かなりの熟練と日々の手間がかかりそうなアクアテラリウムの環境をキープするのは難しいと判断して、いまではふつうに、無限に増えるグッピーを育てている(“ミリオンフィッシュ”の異名のとおり、グッピーはテキトーに飼っているだけでめったやたらと子供を産んで増えるのだ)。

 ……と、また脱線しちまった。とにかく俺は、アクアテラリウムの中に飛び込んだかのような水没林の風景がしみじみと大好きだ、と言いたかったのです。

 さて。

 初めてのチャナガブル討伐で何をどうしていいのかさっぱりわからない俺と目黒は、とりあえずいつものとおり、女子大生ハンターのKちゃんの後ろにくっついて走り出した。するとKちゃんは「こっちー」と言って、エリア2に我々をいざなう。そして、エリア4との連絡口付近にしゃがみこんでゴソゴソと何かを採取しながら、俺と目黒のふたりに向かってこう言った。

チャナ、釣る?? だとしたらここで、釣りカエルを捕まえてね♪」

 おお……。チャナガブルは『モンハン』シリーズの名物魚竜“ガノトトス”と同様に釣り上げることができるのか!! そういえばこのクエストのサブターゲット欄に“チャナガブルの一本釣り”なんて書いてあったっけ。そうと聞いたら、釣り上げないわけにはいかぬ! こう見えて俺も目黒もいち時期、ブラックバス釣りにハマっていたことがある釣り師なのだ!! さあさあ、まずは釣りカエルだ! エサがなければ話にならねえからな! どれどれ……。ゴソゴソゴソと、足元の泥を探る俺と目黒。しかし……。

「めめずばっかw」

 と目黒が言った。“めめず”とはもちろん(?)、“ミミズ”のことである。じつは俺も先ほどから捕れるのは釣りミミズばっかりで、釣りカエルはいっこうに出てきていなかったい。おかげで俺のアイテムポーチはいまや、ぐねぐねうねうねと不気味に蠢く釣りミミズで飽和状態となっている。かつて作家の開高健が「最近は魚を釣るまえにエサを釣ることから始めないといけない」と、エサとなるミミズの減少をエッセイの中で嘆いていたが、それをそのまま実践してしまっている感じだ(ミミズは山ほど捕れたけどな)。

 それでも、釣りミミズを持ちきれなくなってしまったころにようやく、1匹の釣りカエルをとっ捕まえることに成功した。よーし、釣るぞ釣るぞー。俺はさっそくKちゃんに「カエル、捕まえたよ!!」と元気に報告。これに応えてKちゃんは「じゃ、こっちに来てー」と言って、お隣のエリア4へと入っていった。そして「ここで釣れるよ♪」と言って、川岸に突き出た突端部分を指差す。俺は「了解!!」と言って頷きながら釣りカエルをボチョンと川に放り込み、にわか釣り師と成り果てた。すると、ユラリと水面が揺れたかと思ったら、あまりにも怪しすぎる黒い影がじんわりと足元に広がったではないか! な、なんかキタ!! デデデ、でっかい影が俺の下にぃ!! したにぃ〜! したぁにぃ〜〜!!

 目黒とふたりで本気になって「なんかいるよ!!」、「やべえ!! おっかねえ!!」なんて言っていたら、我が愛しの釣りカエルがスッ……っと吸い込まれるように水面下に消えていった。すると……!!

 バッシャーーーーンッ!!!

 巨大なオタマジャクシというかチョウチンアンコウというか、とにかくいままでに見たことのない異形の存在が水の中から飛び出してきて、バウンバウンと地面でのたうちまわり始めたではないか! ななな、なんだコイツは……。いままでの『モンハン』シリーズにはまったく存在しなかった、太古の巨大魚を思わせるその風貌……。あまりにもナマナマしい存在感に圧倒されて、俺と目黒はしばしのあいだ言葉を失ってしまう。しかし3秒後には我に返り、俺たちは向かいの席で顔を合わせながら同時に叫んだ。

「か、かっこいーーーーー!!!」

 と。

 そのルックスだけで「このアクアテラリウムに根を下ろしてたくましく生きとるど!」ということを強烈に主張していることがわかり、さらにツルンとした背中に男の歴史すら感じて、無性にこのサカナ型のモンスターがかっこよく見えてしまったのだ。

「なんか、じつにいい味出してますねこのモンスター!」

 と目黒。ホント、俺もそう思うわ……。これぞ、イチから構築し直された『3(トライ)』という新世界だからこそ生まれたモンスターなんだろうなと、バクバクと大きな口を開け閉めするチャナガブルの憎めない顔を眺めながら思ったりした。

 そんなチャナガブルは、しばらくのあいだ陸上で暴れたあと、ジャブンともといた水中に戻っていった。どうやらチャナガブルとの生存競争は、陸地、水中の両方で展開されるようだ。さあ、大好きな水中での立ち回りだ。意気揚々と、水中に飛び込もうとする俺と目黒。すると突然、その目の前に、植物の茎と蕾を思わせる妙な物体がニョキニョキと芽を(?)出してきた。ん?? これはいったい、なんだ? 初めてみる植物だナ。っていうか、植物なのか?? 向かいの席から、目黒ののんびりした声が届く。

なんか生えてきましたねぇ。いったいコレはなんスかねえ」

 さっぱりわからず、俺も目黒と同様の危機感のない声で応える。

「なんだろうねぇ。でもよくわからないけど、おもしろいねぇ

 しかしこれは、リアルな会話でのやりとり。この間、ゲーム中の俺と目黒のキャラは謎の植物の前に佇んだまま、木偶のように呆然として動いていなかった。それを見たKちゃんはビックリ仰天とした様子で、「あ! あぶな……」と何かを言いかけた。しかしKちゃんが言い終わるのを待たずにいきなり、謎の植物の先端が「バチッ!!!」とじつに嫌な音とともに爆ぜやがったではないか! それを見て「え!!」と驚きの声を漏らす俺と目黒。しかし植物の先端のエクスプロージョンは止まらず、続けて「バチッッ!!」、「バチッッ!!」と強烈な電気音が……。そして……!

 ピカーーーーーーーーーン!

 げえええ!! 閃光だ!! ゲリョスと同じ、閃光じゃねえかあああ!! あまりにも突然な光に目をつぶされ、わけがわからずに「なんだなんだ!!」、「何が起こったんすか!!」と会社のデスクでドタバタと暴れまわる中年ハンターふたり。すると先ほどの植物に引っ張られるようにドバッシャアア!! と、水中からチャナガブルが飛び出してきたではないか! どうやらいまの発光は、チョウチンアンコウが頭の提灯を光らせて小魚を集めて捕食するのと同じく、チャナガブルが頭の提灯を光らせたもののようだ。その閃光を不用意に、俺たちふたりはジャストミートしてしまったわけである。

「おふたり、モロに食らいすぎ!!www

 とKちゃん。制作者の術中にハマり、あらゆる仕掛けにかかりまくっている俺と目黒の狩猟風景(なのか?)がおもしろくて仕方ないらしい。ぐぅぅぅ……。な、なんたる屈辱……。よよよよくも女子大生の前で恥をかかせてくれたなチャナガブル!! ここから逆鱗日和ファミリーの、怒涛の反撃が始まるど!!

 長くなったので、以下次回〜。

投稿者 大塚角満 : 14:52

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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