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【MHP 2nd G】第141回 史上最凶のクエスト

 先日配信された”史上最凶”の呼び声高い悪夢のクエスト”双獅激天”。配信が始まった1分後くらいに「ええええのっち!! 双獅激天の配信が始まったぞ!! 急げ急げ! 遊ぶぞ遊ぶぞ!!」と大騒ぎしてダウンロードし、さっそくふたりで激昂したラージャンが2頭も解き放たれている大闘技場に向かった。そして2分後、ふたり揃って本気で(・_・; ←こんな顔になって、茫然自失のまま村に強制送還。ラージャンから見たらおそらく、飛来したランゴスタをバッキャンと殴り潰すくらいの何気ない動きをしただけで、俺と江野本は粉々に砕け散ってしまったのである。風にさらされるオノレの分身の屍を見ながら俺は思った。(こいつはエラいことになった)と。もう5年も『モンスターハンター』にドップリと浸っているが、クエストに出かけてこれほどまでに手応えを感じなかったことが初めてだったのだ。江野本も「あうあう」と酸欠の金魚のようにもがきながら、「これはしかし、努力してどうこうなるものじゃないんじゃないスかね……」と身震いしながら声を絞り出す。なんとか武神闘宴をクリアーした俺と江野本のコンビだったが、この双獅激天だけはふたりの力でどうにかできるとは思えなかった。

 そこで俺たちは「頭数さえ揃えばなんとかなるのでは!」の思いのもとにいつものバーの扉をくぐり、マスターと、我々がそこに行くと99パーセントの確率で同じ席に座っている常連さんを連れて大闘技場に足を踏み入れた。しかし数が揃うっつーのは戦力がアップする効果があるだけではなく、オチることができる人間も増える、ということである。結果、俺たちは闘技場に足を踏み入れた2分後に見事に3オチし、ただただ茫然自失の人間を倍に増やしただけで村に強制送還されたのである。

 うーん、やっぱコレ無理だわ。あまりにも事故が多すぎるんだもの。クエスト”モンスターハンター”や”武神闘宴”は討伐対象となるモンスターは1頭ずつしか出てこないので、そいつの動きに集中さえしていれば”事故オチ”することはまずない。しかし、2頭同時討伐のクエストは基本的にすべてそうなのだが、1頭の動きに目を奪われていると、もう1頭がハンターの死角からブレスやタックルお見舞いしてきてそれが直撃し、「!?」と言葉にならない驚きのセリフを発しているあいだにオチてしまうことがママある。これが、いわゆる事故オチだ。

 で、双獅激天である。このクエストは舞台が狭い大闘技場で、相手となるのは最凶の呼び声高い激昂したラージャンだ。スピードも攻撃力も圧倒的な存在が、あの狭い空間に同時に解き放たれているのだ。そりゃあ「!?」、「!?」、「!?」と3回「!?」と打っているうちに全滅したところで誰にも責められるものではないのである。

 「いやあ、こんな激マゾクエスト、ひとりでクリアーできる人間がいるとは思えないなぁ〜」

 度重なる瞬殺を経て、俺は”双獅激天=ソロ無理クエスト”という答えを導きだし、「ソロ無理クエストだったら俺がクリアーできなくてもしかたねえしかたねえ」とひとり納得して、バリバリとポテトチップスを齧りながら苦いビールを喉に流し込んだのであった。

 そんなある日、仲良くさせてもらっている超有名人ハンターからメールが届いた。さっそく空けてみると……。

 「双獅激天、ソロでクリアーできましたよ! いまタイムを縮めているところで、大剣で15分を切ったところです。大塚さんは、どんな調子ですか?」

 ……。

 ………。

 …………ソロでクリアーしてるーーーー!!

 ま、まあこれは想定内のことだったけどネ。この人はテレビで見ない日はないってくらいメチャメチャ忙しい人なのに、睡眠時間をマジ削りしてでも『モンハン』を極めんとしているゲームアスリートだから……。でも、彼が使った武器は大剣だ。大剣じゃあしかたがない。だって俺が導き出した答えは確か”双獅激天=ソロガンランス無理クエスト”だったもの。うんうん、そうだそうだ。そうだったそうだった。なので俺がクリアーできなくてもしかたないのだ。俺は再び震える声で「しかたねえしかたねえ」とつぶやき、口に放り込んだピーナッツを焼酎のロックで流し込んだのであった。

 そして翌日。とある悪魔の子の日記が更新されていたので覗きに行くと、そこには……。

 「ガンランスで双獅激天クリアーできました!!」

 という記述が……。

 ……。

 ………。

 …………ガンランスでクリアーしてるーーーー!!!

 ちょっと、どうなってんだ!! ソロガンランス無理クエストじゃなかったのかよ!! って、俺が勝手に決め付けてただけだけど……どうやりゃガンランスのソロでこれをクリアーできるんだよーーー!!

 ……つーことはこれ、どうにかすれば俺ひとりでもクリアーできるってことなのか? でも、ガード性能+1、ガード強化というガチガチスキルを発動させたうえに強走薬グレートを飲んですら、俺は瞬殺されたんだよ? このスキルではどうやっても、双獅激天をクリアーできるとは思えない。となると……ヨシ、あの装備でやってみるか。

 俺は久しぶりに”飛燕ガンランサー”に変身する決意をした。全身ナルガXの忍者装備である。現状、この防具では回避距離UPと回避性能+2を発動させてあるが、まだ装飾品をたっぷり着けることができたので、ここぞとばかりに”罠師”と”砥石使用高速化”も発動させてやった。ヒラリヒラリと激昂ラージャンの攻撃をかわしまくり、ヒットアンドアウェイを徹底していれば、いつしか2頭とも屠りさることができるのではなかろうか? そういう淡い期待を抱いての挑戦だったのである。

 そして結果は……クエストがスタートしてから13分が経過したところで3オチ!! こいつはものすごい進歩である。数字だけを見てしまうと3オチという結果はこれまでどおりなのだが、クエスト中の手応えがまったく違った。ナルガXの持つ回避系のスキルをフル発動させたことにより、適当に前転やら回避行動をしているだけで、おぞましい激昂ラージャンの攻撃をヒラリヒラリを避けまくることができたのだ。実際に途中、「これ、このままいけるんじゃね……?」と思ってしまったくらい。これでも事故オチの恐怖から完全に逃れられたわけではないが、飛燕ガンランサーの立ち回りを突き詰めていけば、俺でも双獅激天をクリアーできるんじゃないか……。そんな期待を抱かせる本クエストであった。

 でも、激昂ラージャンを2頭相手にするのは疲れるので、モンスターハンターや武神闘宴のときみたいに目を三角にして出撃しまくる、なんてことはしないけど。

 いつか読者の皆さんに、すばらしい報告ができるといいなあ。

※『サヨナラ! 逆鱗日和』情報※


投稿者 大塚角満 : 12:18

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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