大塚角満の ゲームを“読む!”

« 2008年09月 | 大塚角満の ゲームを“読む!”のホーム | 2008年11月 »

【MHP 2nd G】第131回 モンハン沖縄ツアー密着リポート! 2日目(3)

 ”『モンスターハンターポータブル 2nd G』開発スタッフと行く〜 沖縄やんばる地方〜リアル密林フィールドをめぐる旅”の追跡リポートも、今回が最終回……かな? えーっと昨日は……2日目の夜に行われた懇親会の冒頭まで書いたのか。では続きを書きましょう。

 プライベートビーチに隣接した屋外イベントスペースで行われた沖縄最後の夜の懇親会。食事はビュッフェ形式で、お世辞抜きにおいしい沖縄料理を好きなだけ食べることができた。しかもさすが『モンハン』のイベントだけあって料理の名前にひとつひとつ工夫が凝らされていて、メニューを読むだけでニヤリとさせられた。そのいくつかを列挙しちゃおう。

・イャンクックのソーセージ(自家製ソーセージ)
・島野菜とケルビ肉のチャンプルー(島野菜、島豆腐のチャンプルー)
・スライスサボテンチャンプルー(ゴーヤーチャンプルー)
・ギガントミートラフティー(三枚肉ラフティー仕込)
・ナルガクルガの耳(ミミガー)

 こんな感じ。こういった細かいところまで手を抜かずに、『モンハン』世界を感じさせる演出を施してくれたあたり、参加者も大満足だったのではなかろうか。


▲肉に野菜に沖縄そばと、非常にバラエティーに富んでいたこの日のメニュー。すべての料理に『モンハン』的な名前が当てられていて、おもしろかった。

 そしてこの日の懇親会のメインイベントは、モンハン4人衆の辻本良三プロデューサー、一瀬泰範ディレクター、小嶋慎太郎プランナーによる”Q&Aコーナー”。お三方、白衣を着ての登場である。どうやらこれ、今年のモンハンフェスタで話題騒然となったコーナー”教えて藤岡先生!”を沖縄の夜に復活させちゃって、『モンハン』に関するハンターたちの素朴な疑問に答えてしまおう、という催しのようだ。それにしても皆さん、白衣がよくお似合いでらっしゃる^^ ちなみに、ツアー最後の夜にこのようなコスプレ(?)をするハメになった辻本プロデューサーは、「まさか最後の夜にこんな格好するとは思わなんだ……」と苦笑い。これに対して小嶋プランナーは「皆さんの質問に答える、ってなったら、やっぱりこの格好でしょう」とニヤリ。一瀬ディレクターは「ふつうの格好で出るものだとばっかり思っていたのになぁ……」とブツブツつぶやいておりました(笑)。

 というわけでさっそく、質問コーナーの詳細をお伝えしちゃおう。間違いなく、爆笑必至っす。


▲とても幻想的な雰囲気の中で行われた懇親会。おいしい料理にさわやかな海風、そして爆笑トークと、じつに贅沢な時間が流れていた。

Q.世間では”金レウス”、”ウカムトルム”、”ナルルガ”など脳内変換された単語が存在しますが、開発者でありながらもモンスター名を間違えてしまったことはありますか?

辻本 ありますねえ! いちばんひどかったのは、僕、『2nd G』が発売されるまえにウカムのことをしゃべっちゃったんですよ。
小嶋 ……ていうか、それ、別問題でしょう!!(会場爆笑)
一瀬 だいぶマズイですよそれ(苦笑)
辻本 (批判をガン無視して) 思わず「ウカムが……」って言ってしまった瞬間に(やべえ!!)って思って、「ウ……アカムがね」って言い直しました(笑)。あれは危なかった!!
一瀬 『2nd G』が発売される1ヵ月くらいまえにお披露目のイベントをやったときですよね。
辻本 我がことながら、(アカムがいてくれて本当によかった!!)って思った(笑)。
一瀬 いやぁ〜、舞台裏にいたら一瞬「ウカム」って単語が聞こえて、「アレ!? なんかウカムって聞こえたような……でも、アカムって言ったな。俺の聞き間違えか」って納得してたら、あとで良三さんに「ウカムって言っちゃった」って言われて(苦笑)。
辻本 完全に”ウカム”って言いました。
小嶋 もう、ヘンな汗出まくりでしたよ……。「何いうてんのこの人!?」って。
辻本 でもこれ、質問の答えになってんの?
小嶋 まったくなってませんよ!!
一瀬 良三さんの、ただの失敗談じゃないですか。そういえば”ナルガクルガ”って名前をつけた当初は、開発の人間みんな、舌を噛みまくってましたよね(笑)。
小嶋 バサルモスのときはなぜか”バルモンス”とか言われてたりしましたよね(苦笑)。誰だよそれ!! って感じでしたけど(笑)。

Q.シェンガオレンの脚を攻撃すると赤くなるのはナゼ? またシェンガオレンの素材から作る大剣”ガオレンズトゥーカ”などが溜め攻撃のときに赤くなる仕組みを教えてください。

一瀬 く……(苦笑)。
小嶋 難しいところを聞いてくれるねぇ……。
辻本 ま、脚が赤くなるところから答えよか。
小嶋 そうですね。
辻本 ……痛い、んかな。
会場 (爆笑)
小嶋 間違ってはいないんでしょうけど、求められている答えとは違うと思いますよ(苦笑)。もっとこう、生態系に絡めて何か……。
辻本 あー、そゆことね……。
小嶋 ダメージが蓄積されるとガオレンの体液の流れが変化してしまって……って、良三さん、携帯鳴ってますよ。

※ここで辻本プロデューサーがポケットから携帯を取り出し、ステージ中だというのに会話を始める。

辻本 モシモシ……。いまステージ中なんですよ……(蚊の鳴くような声で聞き取れず)。
宇佐美 だれだれ?
ナゾの声 こんばんは。
宇佐美 え? あー! 藤岡さん!?

※というわけでここで、モンハン4人衆最後のひとり、”ミスターモンスターハンター”こと藤岡要ディレクターが登場! この、完全なるサプライズに会場は騒然となった!


▲『モンハン』のイベントには、やっぱりこの人がいないと!! ミスターモンハン、藤岡要ディレクターの登場に、会場は沸きに沸いた。

小嶋 教えて藤岡先生! はモンハンフェスタで”さよなら! 教えて藤岡先生!”となりましたが、今度は”帰ってきた! さよなら! 教えて藤岡先生”となったわけですね!(ややこしい) というわけで、藤岡要ディレクターです!!

※会場から割れんばかりの大拍手。そして、質問コーナーの続きが始まった。

宇佐美 じゃあ、質問コーナーの続きですね。シェンガオレンの脚の色が変わるのは、痛いから、ってことですよね。
藤岡 あはは! まとめすぎやろ!
小嶋 人間も血の巡りがよくなると赤くなったりするじゃないですか? 飲みすぎると血管が浮いたりとか。武器が赤くなるのも、職人がその性質を利用して作ったから、ってことですね。
一瀬 ……それとまあ、かっこいいから、ですね。
会場 (爆笑)
宇佐美 藤岡先生、間違いないですか?
藤岡 間違いないです!!(笑)

Q.ダイミョウザザミとその亜種では生態がよく似ていますが、どのようにして身体の色が変わったんですか?

一瀬 ……カニばっかすね!!
藤岡 カニ大好きなんですねえ……。まあ亜種ですので、成長の過程で色が変わったってわけじゃなく、もともと違う色をしているんです。
小嶋 一般のカニと同じように、赤いやつが突然青くなったりすることはないじゃないですか? それと同様で種類が違う、ってことですね。
藤岡 なかには時期によって色が変わるものもいますけど、これはもとから色が違うわけですね。

Q.古龍種なのに、なぜキリンだけ25分で逃げないんですか?
会場 (爆笑)
藤岡 なんでしょうねこの質問は(苦笑)。
小嶋 でもこれは「なんとなく」でそうなったわけじゃないんですよね、藤岡さん。
藤岡 古龍って、ひと括りにされているものじゃないんですよ。非常にナゾの多い生き物なので、”そういう種もいる”ってことなんです。キリンはそうだ、というだけですね。
一瀬 ヤマツカミもそうですしね。
藤岡 細かく分類しにくいモンスターを古龍としているので。キリンも、ダオラとかと比べると4本脚でわかりやすそうですけど、生態自体はナゾに包まれているんです。
小嶋 ギルドが”古龍”というカテゴリーにしているだけなんですよ。
宇佐美 なるほどー! ほかの古龍がたまたま25分で逃げるものが多いだけ、ってことかー。
小嶋 そういうことですね。

Q.開発スタッフの中で、『モンハン』がいちばん上手なのは誰ですか?

小嶋 これ、結構みんな、自信あるんじゃないですか? 僕はあるけど。
一瀬 え。俺もあるけど。
藤岡 えー……。俺はないな(苦笑)。
小嶋 でも藤岡さん、ランスだったら”俺がいちばん!”って思ってるでしょ?
藤岡 まあ、ランスは好きだけどね。
小嶋 いっちゃん(一瀬さんのこと)、狩猟笛でしょ? 俺も太刀はちょっと自信あるし。藤岡さんはランス。
辻本 ……じゃあ、オレもオレも。
小嶋 いやいやいや(苦笑)。
辻本 ……って、ダチョウ倶楽部やないか!! 「どうぞどうぞ」といっしょで(苦笑)。
会場 (爆笑)
小嶋 ……すみません、またくだらない茶番をやってしまいました。
会場 (爆笑)
藤岡 まあでも、何をもってうまいのか、ってのが人によって違いますから。アクションがうまい人もいれば、知識がすごい人もいる。”それぞれの得意”がたくさんありますから。
一瀬 攻撃がすごく上手な人もいれば、サポートに長けている人もいますからね。
藤岡 ゲームの性質上、いろんな人が渾然一体となってひとつの目標に向かっていく、というものなのでね。けっきょく、自信があるだけでぜんぜんうまくないかもしれないし(と言って良三さんを見る)。
宇佐美 この質問の紙には”もしかして最強は良三さん?”みたいなことが書かれていますけど。
藤岡 ハイハイ。ある意味……やってる姿、楽しそうに見えるからね(笑)。
小嶋 そうですね。うまいかヘタか、って言うより、ある意味最強?(笑)。
辻本 じゃ、最強はオレってことで!!

Q.ランポスの身体の色が派手なのは、かつては毒を持っていたりしたからでしょうか?

藤岡 トラとかも結構派手じゃないですか? じつはあの縦縞、迷彩になるんです。派手に見えますけど、トラの棲む環境には馴染んでいるわけです。なのでランポスも同じです。派手ですけど、その環境においてはランポスの色も迷彩になり得るんです。人の目から見たら派手に見えるだけですね。たとえば、パンダとかも迷彩になっていますしね。
宇佐美 へぇ〜! そうなんですか!
辻本 へぇ〜(素で感心)。
小嶋 初代『モンハン』を作っているときに、モンスターはどういう色がいいか、って話し合ったんです。で、恐竜の皮膚の色を見ていくと、やっぱり茶色とかが多い。でも最新の学説で”派手な色のものも多かった”というものがあって、それをすぐに取り入れたわけです。

Q.新しい武器やモーションを考えるうえで、苦労する点と注意する点。

藤岡 もっとも注意するのは”遊びが被らないこと”です。この武器とこの武器、遊びかたが同じだよね、ってなったときに考え直します。『モンハン』って自分はこうしたい、僕はこうする、って感じで、いろんな武器を持って自由に遊びたいじゃないですか? サポートに徹したいとか、モンスターに接近して立ち回りたいとか。そういう、いろんな局面に特化させて作っていくので、プレイヤーの皆さんに馴染むのはどういう武器なんだろうって想像するんです。新しいモーションを入れるときもそうですね。こういう局面でこういうことしたいよね、っていう想いが強いモーションが生き残るんです。
一瀬 数が増えてきたら逆にゲームの幅を出していくのが難しくなるんですよね。
小嶋 よくぞ11種類も導入したな、って感じですよ。
藤岡 11種類の遊びがある、ってことですからね。
一瀬 違うゲームを11本作っているようなものですわ。
小嶋 それはまた極端だけどね(苦笑)。ちなみにモーションを作る人とかは、パソコンの前に座っていろんなポーズをとってますよ。
宇佐美 え! 実際に動きながらやってるんですか?
藤岡 モーションを作る人はみんなそうですよ。どういうモーションを入れたらプレイヤーが気持ちいいのか、っていう部分はすごく吟味します。だからモーションをつける人は、すごくたいへんです。
小嶋 モンスターの動きもそうですね。ティガレックスを作っているときは、「もっと肩をぐりぐり動かして」とか、さんざん注文しましたし。
藤岡 恐そう、とか、強そう、ってのを動きだけで伝えなきゃいけないですからね。
一瀬 そういうのが言葉だけじゃ伝わらないときは、実際に自分でそのポーズをやってみせるんです。みんなでヘンなポーズをとりあって、「こう?」、「こっちのほうがいい?」とか言い合っています。
小嶋 2、3人の開発者が地べたを這いずり回ったりしてましたよ(笑)。
辻本 アレを見るとビックリしますよ。俺、扉を空けた瞬間に閉めようと思いましたもん。「ヤバいところに来た!」って(笑)。
一瀬 やってる本人は本気なんですけどね。「だから違うって!」とか言いながら、さらにヘンなポーズになっていたり。
藤岡 傘を振り回してモーションを調べたりね。ちょうど傘を使って武器のモーションを作っていたときに辻本が部屋に入ってきたんですけど、何かを察して無言のまま出ていきました(笑)。
会場 (爆笑)。
辻本 モーション、動きにこだわりを持つゲームなんで、そのへんはかなり時間をかけて作っています。

Q.クリエーターにとってもっともたいせつなことは何ですか?

一瀬 ……これ、ガチで答えるんですか?(笑) いやあ難しいなあ。ひと言で説明できたとしても、絶対に伝わらないし(苦笑)。
小嶋 ……ホント難しいな(苦笑)。長くなりそうなんで、このあとの集会所で語るわ(笑)。質問くれた人に、個人的に話します。
辻本 ……個別対応しているのに、ひと言で終ったら怒られるかな(笑)。
小嶋 「健康第一!」とかね。
会場 (爆笑)

Q.激昂したラージャンは、なんでいつも怒ってるの?

一瀬 うは! そうきましたか……(笑)。
小嶋 あー……(苦笑)。
辻本 まあ、機嫌が悪いんやろな! たぶんね!
藤岡 出番が少ないからちゃうの?(笑)
辻本 あはははは!!
会場 (爆笑)
一瀬 尻尾斬られてるから怒ってるんやないんですか?
藤岡 リミッターが外れてしまってるんですよ。
小嶋 自分で制御しきれなくなってるんですよね。
藤岡 そもそもラージャンって、怒るとバーンってパワーアップするじゃないですか。それでもやっぱり肉体の限界があって、それ以上暴れると危険なんです。ラージャン自身が。防衛本能が働いてそれを制御しようとしているんですが、激昂したラージャンはそのリミッターが外れてしまっているんですよ。なので、つねに力を抑えきれなくなっていて、怒っている状態になってしまったんです。
小嶋 力は強いですけど、身体の守りのほうが気にならなくなっちゃってるんですよね。
藤岡 一説によると、激昂したラージャンは寿命が短いと言われますね。
小嶋 数が少ない、とも言われますね。ある説によると。
辻本 出番が少ない、とも言われてますね。ある説によると(笑)。
小嶋 「俺を出せー!!」ってね(笑)。
一瀬 まあ、それはあるかもしれませんねえ。
小嶋 うそーん(苦笑)。

Q.『モンスターハンター3(トライ)』に出てくる海竜・ラギアクルスの名前の由来は?

4人衆 おおおお(笑)。
小嶋 これはもう、藤岡さんに答えてもらうしかないですよね。
藤岡 ……『2nd G』のイベントなのに、『3(トライ)』のことしゃべってええんかな(苦笑)。
小嶋 いいんですよ! みんな『モンハン』が大好きなんですから!
藤岡 えー……。皆さん、『3(トライ)』って知ってます?
辻本 そっからかい!!(笑)
藤岡 だって、ラギアクルス知らん言われたら答えようが(苦笑)。
辻本 じゃあ、『3(トライ)』を知らない人、手をあげてー!

※会場の後方で、ひとりだけ手を上げている男性がいる。

小嶋 ちょっと!! 奥の人!! カプコンの人!!(笑)

※ハギー(カプコンパブリシティーチームのボス、萩原さん)が手を上げていた(笑)。

藤岡 まああの人はほっといて(苦笑)。『3(トライ)』はいまWiiで作っている、『モンスターハンター』シリーズの次回作ですね。そのメインモンスターが”ラギアクルス”です。名前の意味は、まあもじっているのでもとの意味はあとで調べてほしいんですけど、”ラギア”のあたりには”光を放つ”という意味があります。”クルス”のあたりは”大渦”という感じの意味です。現地の人が光を放つ渦を見てこの名前をつけた……ということを考えて”ラギアクルス”と命名しました。
宇佐美 そういう命名をされたモンスターって多いですよね。
藤岡 そうですね。なるべく意味を持たせたいと思っているので。未確認生物が発見されたときって、最初のインパクトで言葉が生まれるじゃないですか? で、そこから名前がつけられる。この流れって、すごく好きなんです。
小嶋 恐竜とかも、すべてそういう意味づけがされていますからね。
一瀬 ラギアクルスだけじゃなく、ほかのモンスターもすべて、なんらかの意味づけがされていますもんね。 
藤岡 そうだね。また機会があれば解説したいと思います。

辻本 会場の質問はこれで終わりですけど、よく『2nd G』のダウンロードクエストはもう終了ですか? って聞かれるんよね。
小嶋 そう、よく言われますよね。
辻本 一瀬、もうないの?
一瀬 毎週何かを配信する、っていうのは終ったんですけど、じつはまだ予定しています。
辻本 これ、言っていいんかな。……10月30日に配信します。すごく手強いクエストが欲しい、っていう声を聞いていたので、作りました。
小嶋 ドMさんたちがたくさんいらっしゃるから(笑)。
一瀬 そういうクエストが欲しい、って言われたんですけど、そのときに「……開発ではもう、クリアーする自信がまったくありませんけど、本当にそれでもいいんですね!?」って言って、1週間も良三さんと話し合ったんです。でも、「うん、作って」って言われたので作りました(苦笑)。

 ここで語られたクエストはもちろん、10月30日に配信された史上最凶クエスト”双獅激天”のこと。大闘技場に最初から2頭の”激昂したラージャン”が鎮座しており、闘技場に入ったその瞬間から、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開する(ちなみにさっそく、俺と江野本ぎずものふたりでこのクエストに挑戦してみたのだが、結果は……! 近日中にここで書こうかな)。”開発チームでもクリアーする自信がない”という一瀬ディレクターの発言に会場はどよめき、ツアー参加者はよりいっそう、この新クエストへの期待感を膨らませていた。

 Q&Aコーナーのあとは、この日の日中に古宇利島のビーチで行われた採集クエストをもとにしたプレゼント抽選会が行われた。ハズレのない、参加者全員が何かしらのプレゼントがもらえる太っ腹な抽選会で、プライズ用に作られた非売品グッズやレアなフィギュア、Tシャツや湯飲みなどの人気商品が大盤振る舞いされた。


▲ハズレなしのプレゼント抽選会はやっぱり楽しい。ちなみに俺も、タオルやリストバンド、PSPケースなどをもらっちゃった♪

 そして、プレゼント抽選会のあとはモンハン4人衆によるサイン会。このツアーでは参加者全員に旅のしおりが配られていたのだが、その後半4ページはメモ帳がわりに使える白紙のページだった。じつはここ、このサイン会用に設けられていたページで、4人衆はここに、それぞれのサインを記したというわけだ。ちなみに、筆者もサインが欲しかったのでサイン会の列に並んだのだが……!!!(これについては、明日書きます)


▲ツアー参加者の全員が、4人衆にサインをもらっていた。

 ……しかし今回も長げえな!! 沖縄ツアーの様子を綴るのは今回が最終回のつもりだったのに、さすがにこれ以上の長文を読者の皆さんに読んでもらうことに無理を感じる(苦笑)。なので続きは明日、”番外編”としてアップします。……まあ、しょうもない内容になるのは目に見えているんだけどね……。

投稿者 大塚角満 : 20:52

【MHP 2nd G】第130回 モンハン沖縄ツアー密着リポート! 2日目(2)

 ”『モンスターハンターポータブル 2nd G』開発スタッフと行く〜 沖縄やんばる地方〜リアル密林フィールドをめぐる旅”の2日目の続きです。

 バーベキューでは”こんがり肉”を中心に肉をたらふく食べた。とにかくひたすら、肉を食べた徹底的に、肉を食べた(しつこい)。これがまた用意されていた肉がどれも極上においしくて、「ちっくしょー……。痩せなきゃいけないのにこんなうまい肉を出しおってからに……」とか何とかブツブツギリギリと歯軋りしながら、それでも顔にはニッコニコの笑みを浮かべて、バクバクガツガツと肉を食いまくった。しかもまたご丁寧に、にわか肉焼き師となったハギー(カプコンパブリシティーチームのボス、萩原さん)が男料理の極めつけ的な絶妙の塩梅で”極上肉の塩コショウ炒め”なるものを即席で作り、それがまためったやたらとうまかったものだから必要以上に肉を摂取してしまったではないか。

 しかしこれだけ肉ばかり食べていると、いかな肉好きの俺でも野菜が食いたくなってくる。そこで俺は辻本良三プロデューサーをとっ捕まえて、「良三さん、緑色のものが食べたい」とかわいらしく懇願した。これを受けた良三さんはにっこりと微笑み、周囲の美しい自然に視線を振り向けながらこんなことを言った。

 「いいですよ!! ……ホラ、まわりにたくさん草が生えてますから、好きなだけ食べてください!

 ……ってそれ雑草じゃんか!!!

 けっきょく雑草サラダを食することもなく(当たり前だ)、我々はつぎなる目的地”古宇利島”(こうりじま)目指してブロロンロンとバスで移動した。

 古宇利島は、これまた美しいところだった。キメの細かい真っ白な砂に、透明度が抜群に高い穏やかな海。陽射しは真夏のそれのように強烈で、ジリジリと肌を焼いた。うーん、泳ぎたい……。もう何年も海水浴をしていない身体に、この美しすぎるビーチのなんて蠱惑的だったことか……。そんなことを考えながら遠浅の海を眺めていたら、ツアー参加者の一部が波打ち際でざわざわとざわめいている。ナンダナンダと近づいていくと、いきなり数人の若者が上半身裸になって、海に飛び込んでいったではないか!! どうやら、ウッフンアッハンと手招きする美しきヴィーナス(海のことね)の誘いに抗うことができず、吸い寄せられるように海に飛び込んでしまったようだ。見ると、にわか海人となってしまった若者は全部で4人で、あろうことか全員、俺の知り合いである。俺は彼らの躍動を遠目から見つめ、「ガンバレヨ」とやさしく声をかけてその場を離れた(笑)。


▲古宇利島に到着したら、さっそくみんなで記念撮影。


▲砂浜のあちこちに、アイルーの足跡がついた。じつはツアー参加者にアイルーの足跡がつくビーチサンダルがプレゼントされ、皆こぞってペタペタと足跡をつけまくっていたのだ。


▲美しい海から顔を出す4人のハンター。海のあまりの美しさと焼け付く陽射しに我慢ならなかったのか、彼らは迷わず、飛び込んでおりました(笑)。若いっていいなぁ。


▲採集クエストスタート! 全員に何らかのプレゼントが当たる抽選券が手に入るということで、皆気合がみなぎっていた。


▲カプセルは砂浜に埋まっているものもあれば、木の上に乗っかっているものもありました。

 このビーチでは”採集クエスト”と題して、砂浜に埋められたカプセルを見つけ出すお手軽なイベントが行われた。カプセルの中には番号の書かれたチケットが入っており、これは夕食時に行われるプレゼント抽選会の引換券になっているという。プレスの我々も参加してオッケーとのことだったので、俺はわざとらしく松の小枝のあいだに挟まっていたカプセルをもぎ取り、スタッフに手渡した。俺の番号は”30番”であった。

 ……と、まるでこの30番にからめて衝撃的な事件でも起きそうな書きかただが、いっさいそんなことはないので気にしないでください。

 ビーチを後にした我々はこのあと、世界文化遺産となっている”今帰仁城跡”(なきじんじょうあと)を見学。そしてホテル・ムーンビーチに帰還し、ツアー2日目の懇親会会場へと移動した。この日の懇親会は、ホテルのプライベートビーチに隣接したキレイな屋外イベントスペースで開催されるのだ。


▲ツアー一行は世界文化遺産に指定されている今帰仁城跡に。波打つように詰まれた石壁の存在感は圧倒的でした。


▲今帰仁城跡の頂上から見える景観は、見事というほかなかった。あまりの景色の美しさに、思わず黄昏る辻本プロデューサーをパチリ。

 ……と、このあと抱腹絶倒のステージイベントが展開され、さらにはツアー1発目のコラムに書いた、夜のビーチにおける大塚角満平身低頭事件が起こるのだが、非常に長くなるのは間違いないので、とりあえずここで区切っておきます。


▲モンハン沖縄ツアー、最後の晩餐が始まる!

投稿者 大塚角満 : 18:52

【MHP 2nd G】第129回 モンハン沖縄ツアー密着リポート! 2日目(1)

 ”『モンスターハンターポータブル 2nd G』開発スタッフと行く〜 沖縄やんばる地方〜リアル密林フィールドをめぐる旅”の2日目。

 この日は、朝の6時に起床した。なんだかんだで夜中の2時過ぎまで起きていたので、頭が重い。しかも前日も、週刊ファミ通の校了を終えてそのまま沖縄に来たようなものだったので、かなりの寝不足状態である。しかも(しつこい)、ここ2週間くらいずっと、新刊『本日もサヨナラ! 逆鱗日和』の作業に忙殺されているので平均睡眠時間はヒドイことになっている。……と、最後の一文は『サヨナラ!』を宣伝したいがために意図的に付け加えました。姑息でゴメンナサイ。

 さて、ツアー2日目にこのような早起きをしたのには理由がある。本ツアーのメインイベント、”やんばるの森”でのトレッキングが、いよいよ行われるのだ。今回のフィールドトレッキングの行程は、往復で180分(!)を予定。沖縄でもっとも落差のある”比地大滝”の見学を目標とし、奥深いやんばるの森を歩き回るのだ。

 となれば、まずは朝飯である。トレッキングは体力を使う。キチンと腹に何かを入れておかないとフラフラになるのは間違いないであろう。

 レストランに下りて見ると俺と同じ考えの人はたくさんいたようで、ほぼ満席という盛況ぶりである。ざっと見た感じ、150人以上の人がいるようだ。今回の一般ツアー参加者の人数は約30名、スタッフやマスコミを入れても、モンハンツアー関係の人間は70人ってところだろうから、こいつはとんでもない気合の入りようではないか(意味不明)。レストランのおっちゃんに導かれるままに混雑する店内を泳ぐように移動していくと、窓際の4人席で一瀬泰範ディレクターと小嶋慎太郎プランナーが食事をしている姿が目に飛び込んできた。

 「おはよーございます〜」

 と、まずは寝ぼけ声で挨拶。長身を折りたたむようにして白米を食べていた一瀬さんが俺に気づき、「おはよ〜ございます〜〜」とのんびりした声で返してくれた。そのまま彼らの席にお邪魔して、ビュッフェ形式の朝食を食べながら談笑。すると小嶋さんが「大塚さん、さっき早朝のビーチで撮影した写真を見てくださいよ」と言いながら、デジカメで撮った写真をピコピコと見せてくれた。わざと逆光で撮影し、椰子の木がシルエットになっている写真や美しいビーチの風景の数々。そんな中に、グラビアアイドル風に木の陰からひょっこりと顔を覗かせた、かわいらしいポーズの一瀬さんの写真があった。それを見て、冷静に俺は言った。

 「なるほど。このポーズを見て思うことは、”被写体がウサミス(このツアーのMCさん)だったらどれほど幸せだったか……”ということだけですね」

 撮影した小嶋さんと、さらに被写体の一瀬さんもウンウンと頷き、「じつは僕らも、まったく同じことを話していました」と真顔で声を揃えた。

 そして午前8時。我々一行は比地大滝を目指して、ブロロロローとホテルを出発した。比地大滝がある奥深いやんばる森は、ベースキャンプのホテルから2時間ほどバスで走ったところにあるという。俺たちプレス軍団は「コレ幸い!!」と心の中で快哉を叫び、バスガイドさんのアナウンスを子守唄に速攻で眠りに落ちた。若者が多いツアー参加者はともかく、平均年齢38歳くらいと思われるプレス軍団にとって、往復180分のトレッキングはヘタすると敗北と絶望の行軍になるかもしれないのだ。ちょっとでも体力を温存しておかないと、ハブに噛まれるまえに「き、筋肉痛で足が動かねえ!!」、「は、肺が苦しい!」、「りょ、両足が攣った!!」なんてことになって緊急ヘリコプターを呼ぶことになりかねない。皆、口に出してそう言うことはなかったが、俺を含めて絶対にそう思っていたとここに断言しておく(笑)。

 トレッキングポイントの入り口に到着し、ガイドさんの簡単な説明を受けたあと、まずはプレス軍団からやんばるの森に足を踏み入れることになった。俺はこう見えてずっとスポーツをやっていたし、じつはトレッキングも趣味のひとつだったので「しんがりは俺に任せろ!」と言わんばかりに20人ほどのプレス軍団の最後尾に陣取った。(骨は拾ってあげますよ!)と前を行くプレス軍団の背中に向かって合掌しながら、心の中でそんなことを思った。


▲不吉な看板に、プレス軍団の顔は曇った。

 やんばるの森は、じつに神秘的なところだった。もう完全に、『もののけ姫』の世界。非常に緑の色が濃く、本州……というか、少なくとも俺が生まれ育った群馬の森では見たことないような木々が、折り重なるように山を覆いつくしている。木が豊富にあるから水も豊かで美しく、俺が少年時代にはそこらじゅうにあった”正しい自然の姿”を、30年ぶりくらいに見せてもらった気がした。無数にある木のうちの1本を見れば、大きなザトウ虫やキノボリトカゲがウロウロ。しつこいくらいあった”ハブに注意!”の看板も、すっかり自然に魅せられてしまった俺の目には飛び込んでこなかった。


▲これ、キノボリトカゲ。めっちゃかわいかった!!

 と。

 かっこつけて書いてみたが……。

 ……すげえアップダウンで看板見るどころじゃなかった!!!!

 ひーーーーー! 何この急な階段は!! 歩き始めて15分も経たないうちに俺のヒザはゲラゲラギャハハハと笑い始め、重力に負けないように太腿を上に持ち上げようとするだけでひと苦労、ふた苦労……。しかし上り以上に辛かったのが下りの階段で、どちらかの足に体重が乗るたびにヒザが「ガックン!!」と抜けそうになる。オイオイ……、どんだけ運動不足なんだよ俺……。見ると、最初は元気だったプレス軍団も俺と同じように足を震わせ、重い身体を引きずるようにどうにかこうにか前に進んでいるような状態。でも、そりゃあそうである。基本、デスクワークで毎日のように酒を飲み、つねに時差ぼけのような寝不足状態で、俺は吸わないけど多くの記者はタバコも吸う。身体の曲がり角をとっくの昔に通り過ぎて、付着した脂肪はまったく落ちなくなり、逆に筋肉は無遠慮に落ち続けるという理想と現実が逆になってしまった世界で生きているのだ。これが辛くないわけがない。カプコンパブリシティーチームのボスであり、俺の飲み友だちでもある”ホロ酔いのハギー”こと萩原さん(俺と同い年)が息も絶え絶えに、「な、なんでこの道、アップダウンさせる必要があるねん……。直線で結べそうなのに……」と絶望混じりの声でつぶやいていたが、そう言いたくなるほど、この道のアップダウンはきつかった。


▲ハイ、上って……。


▲下って……。

 それでもどうにかこうにか喘ぎながら、目的地の比地大滝にたどり着いた。大ダメージを被っている姿を、他のプレスの人たちはともかく、一般参加者にさらすわけにはいかないので、とりあえずシャンとしようと心掛ける。一般参加者はここで、滝をバックに記念撮影。さすが若者が多いだけに、皆元気そのものに見えた。俺と比べると、スタミナが真っ赤でヘロヘロになったハンターと、強走薬グレートを飲んだばかりで元気満点のハンターくらい差があったのではなかろうか……。


▲これが、比地大滝。なかなかの景観でした。


▲滝の前で、記念撮影。場所が限られていたので、10人ほどの小グループが交代で撮影しました。

 そのまま、ほんのちょっと休憩して俺たちは山を下り始めた。帰りは山道ではなく、滝から流れ落ちてくる清流を下る”沢下り”のコースを選ぶ。じつは俺、沢下りこそ得意中の得意種目で、少年時代は本当に毎日のように、このやんばるの森と同じような沢を上り下りしていたのだ。

 実際、沢下りは楽しかった。10人ほどの小グループに分かれてジャブジャブバサバサとキレイな水をかきわけるように沢を下っていったのだが、ほとんどの人が滑る川床に足をとられて「きゃーーー!!」、「うわああ!」という悲鳴とともにズッコケてびしょ濡れになって行く中、俺は余裕の境地にいた。まったくコケる気がしない。どうしてもヒザ上くらいまで水が迫ってくる箇所があったのでジーンズは多少、濡れてしまったが、むしろそれが気持ちいいくらいだった。(この沢下りで、俺はもっとも濡れない男になるぞ!)と俺は心に誓った。


▲沢下りは波乱に満ちていたが、水がとにかくキレイだし、アップダウンはないしで(笑)、俺は圧倒的に行きよりも楽チンだった。

 そんなことを思いながら合流地点で待っていると、一瀬ディレクターがいつものひょうひょうとした姿で現れた。なんとなく、その顔には余裕がある。俺は一瀬さんに向かって言った。

 「多くの人がびしょ濡れになる中、俺は余裕でしたよ。恐らく、このトレッキングツアーでもっとも濡れなかった男でしょうね」

 得意顔の俺に向かって一瀬さんはニヤリと笑い、対抗するようにこんなことを言う。

 「アレ。じつは僕もまったく同じことを考えていましたよ。間違いなく、僕のほうが大塚さんより濡れていないです

 なぁにぃ〜! こんなところに俺と同じような沢下り自慢の男がいるとは! それから俺と一瀬さんは「いーや! 俺のほうが濡れてない!」、「僕はズボン、ここまでしか濡れてないですよ!」、「俺の濡れ面積なんてこんなもんすよ!」と子供のような言い争い(苦笑)。まあ何にせよ、ケガする人や虫に刺される人もなく、無事に戻ってこれてよかったよかった。

 そしてトレッキングのあとは、やんばるの森の入り口に設えられたバーベキュー広場で豪華な昼食。なんと、『モンハン』の世界から飛び出てきたような”こんがり肉”も各テーブルに配られ、グループごとに鉄板で調理をした。おいしそうに焼けたら、肉を上に持ち上げて「じょうずにやけました〜〜〜!!」と合唱。そのほかに用意された食材もどれもことごとくうまくて(お世辞抜きです)、トレッキングで疲弊した身体をやさしく癒してくれましたとさ……。


▲豪快に焼かれるこんがり肉。


▲あやしい的屋のおっさん(笑)が転がしているのが、各テーブルに配られたこんがり肉です。


▲全員で、かんぱーい!! 日光がさんさんと降り注ぐ、最高のバーベキュー日和だった。

 ……しっかし俺、放っておくと本当にダラダラといつまでも書いてしまうな……。あまりにも長いので、今日はこのへんでカンベンしといてやるか(苦笑)。続きはまた次回〜。

投稿者 大塚角満 : 21:18

【MHP 2nd G】第128回 モンハン沖縄ツアー密着リポート! 1日目

 最初に言っておきます。この記事、ちょ〜〜〜長いっす(苦笑)。覚悟して読まれよ。

 行ってきましたよ沖縄!! ”『モンスターハンターポータブル 2nd G』開発スタッフと行く〜 沖縄やんばる地方〜リアル密林フィールドをめぐる旅”にくっついて!! ……いやあ、なんて楽しい2泊3日だったんでしょう。もうホント、東京に戻ってきたくなかったわ……。と言いつつこのリポートの最後は、俺がヘコんで深夜の砂浜で平身低頭で謝りまくっているシーンになると思われることを、いまから予言しておきます(意味深)。なんでそんなことになったのかを江野本ぎずもあたりに知られるとグレムリン化されるのは間違いないので、なるべくなら書きたくないのだがね。なので、書かないかもしれません。書くかもしれません。でもまあとりあえず今日は、楽しい楽しいツアー初日のことなんかを書いちゃおうかね!!

 2泊3日の短い旅だが、アレやコレやと余計なものを詰め込んだおかげでやたらとリュックが重くなってしまった。さすがに水中メガネやシュノーケルを持参するほどレジャー気分満点だったわけではないのでそのようなものは持ち込まなかったが、3日分の着替えにノートPC、現地で仕事をするための資料なんかをぶち込んだ結果、(このリュックには鉄のカタマリでも入っているのではなかろうか……?)と思ってしまったほど、ずっしりと重くなってしまったのである。しかしリュックとは正反対に、俺の心は軽かった。沖縄に足を運ぶのは10年ぶりくらいなのだ。これがワクワクせずにいられるものか。ちなみに前回沖縄に行ったときの思い出は、現・逆鱗日和ファミリーの中目黒目黒、女尻笠井と夕方から翌朝まで飲んだくれに飲んだくれて、3人仲良く記憶喪失になったことくらいである。そのときの悪夢を葬り去るために、今回は健全で楽しい沖縄ツアーにするのだ! 爽やかですがすがしい気持ちのまま毎日を過ごすのだ! じつは密かにそのような決意を持っての出撃だったのである。

 10月25日の土曜日、午前11時に羽田空港に到着。集合場所に接近していくと、ひと目で「あ。モンハンツアーの人たちだな」とわかる集団に出くわした。なんですぐにわかったのかを説明するのは難しいのだが、ハンターが放つ一種独特の雰囲気というか、シンパシーを感じる電波をその集団から受け取ったのである。見ると、大塚角満出張狩猟企画の折りに青森でお世話になったRさんの顔がある。モンハンフェスタで何度も話をさせてもらった方もいる。そして、『ニャンと! 逆鱗日和』の発売記念イベントに来てくれた方も何人も……。『モンハン』を共通言語に話す人々というだけでなく、すでに見知った人が何人もおられるという、言ってみれば大塚角満だけが感じられる贅沢な安心感に包まれて、俺は機上の人となった。


▲今回のツアー参加者に配られた資料など一式。この中には、ネームホルダー、旅のしおり(仕掛けアリ)、バッジ、そしてリアルギルドカードなどが入っている。宝の山です。

 沖縄は、いい天気だった。気温も30度近くあるという。東京で羽織っていたジャージを脱ぎ、速攻で腰に巻きつける。空気は完全に、亜熱帯のものだ。本当に来ちゃったんだなぁ、沖縄……。取材でしょっちゅう海外に行っているが、圧倒的に今回のほうがドキドキワクワクとしている。まだ沖縄に着いたばかりで何もしていないというのに、楽しくて楽しくて仕方がないぞ。こういうときは、自分の年齢など気にせずはしゃいじゃおう。わーいわーい! と、到着口に向かう通路で少年のようにスキップしていると、「大塚さん、今回も来ちゃいましたね」と背後から声をかけられた。振り向くと、そこにいたのは小嶋慎太郎プランナー。今回のツアーでもMCをするモンハンフェスタでおなじみの宇佐美友紀さん(通称・ウサミス)や、カプコンの顔見知りの人もたくさん現れた。「いやあ小嶋さんこそ、今回も来ちゃいましたね」と当たり前のことを返す俺。そんな俺に小嶋さんは「めっちゃ楽しみですよ、今回のツアー」と素の笑顔で応えてくれる。(また今回もこの人たちと、ステキな旅ができるんだなあ)と小嶋さんの笑顔を見て実感する俺。あちこちから聞こえてくるモンハンツアー参加者の笑い声や嬌声も、俺のステキな予感に拍車をかけてくれた。さあ、楽しむぞー!


▲これ、先の資料一式に入っていたバッジ。描かれているのは、シーサーアイルー!! 断言する。いままで見てきたさまざまなアイルーの中で、いっっっちばんかわいい!!

 ツアー最初の目的地は、恩納村にある”琉球村”だ。ここは沖縄の文化・芸能・自然を見たり、体感したりできるテーマパークで、10年まえに沖縄に来たときも立ち寄った記憶のある場所だったりする。今回ここで行うのは、沖縄の有名な守り神”シーサー”に色を塗ってオリジナルシーサーを作成する”絵付け”というアトラクションだ。絵付け作業を行うテーブルには見本が置かれていたのだが、どうやらコレ、アイルー模様に塗られているようだ。なるほどなるほど。そうやってこのツアーで行われることは『モンハン』に紐付けられて行くのか。さあて、俺はどんな模様に塗ろうかな。色も限られていることだし、悩むではないか。どうしようどうしようと頭を抱えていると、琉球村で合流した一瀬泰範ディレクターがフラリと俺の前に現れて、「大塚さんはもちろん、大好きなテオ模様に塗るんですよね?」とニヤニヤ笑うではないか! この人は俺がこの間、ブログで書いてきた”テオ物語”というじつにくだらない妄想話に絡めて、俺をからかっているのである(”テオ物語”は11月20日発売の新刊『本日もサヨナラ! 逆鱗日和』に収録)。一瀬さんの挑発(?)に対し、俺は「テオなんか作りませんよ! 今回の俺のテーマは”イタリア”です!」と、言った本人もよくわからないナゾの言葉で返す。しかし、言った手前引っ込みがつかないので、限られた色の中からイタリアっぽい色を抽出して、見るも無残な”原色事故”とでも呼びたくなる珍獣を創造してしまいました(写真参照)。


▲琉球村に到着したツアー一行。まずはみんなで記念撮影。今回のツアーでめぐった場所では、毎回このような記念写真が撮影された。


▲最初のアトラクションはシーサーへの絵付け。テーブルごとに置いてあった色が違うので、皆、かなり苦労していた模様。オイラも……!


▲ぶっちゃけ、公開したくありませんでした。

 琉球村を後にして、ツアー一行は今回の旅の拠点となるホテル”ムーンビーチ”にやってきた。ひと休みしたのちに、ホテルの近くにある沖縄料理屋で夕食を兼ねた懇親会が開かれるのだ。今回のツアーは我々マスコミと一般参加者は基本的に切り分けられていたので、とりあえずマスコミ用に用意された席に着席して開会を待つ。するとすぐ横の席に浅黒く日焼けした辻本良三プロデューサーが現れて、「お疲れ様っす!」と元気な声で話しかけてきた。俺は辻本プロデューサーを見て心から「良三さん、沖縄似合いますよね」とニコニコしながら応える。これに対し辻本プロデューサーはうれしそうに微笑み、「あ、ホントに? うれしいなあ。でも、なんで?」と俺に向き直る。俺は軽く頷いてから辻本プロデューサーの目を見て、「レジャー焼けしてるから」とボソリ。辻本プロデューサー、瞬時に笑顔を失い「ちょっと。そういうこと言うのやめてもらえます? 地黒だっちゅーの(苦笑)」と思いっきり苦笑い。俺たちはゲラゲラ笑いながらガッチリと握手をして、「今回もよろしくお願いします!」と言い合った。

 そんな辻本プロデューサーの乾杯のあいさつでスタートした懇親会は、しみじみと楽しいものだった。参加者の各テーブルを辻本プロデューサー、一瀬ディレクター、小嶋プランナーが回り、『モンハン』談義に花を咲かせている。今回のツアー参加者が何よりも楽しみにしていたのが彼ら『モンハン』開発チームとの親睦で、それがいきなりツアー初日に実現しているのだから、これが盛り上がらないわけがないのだ。もちろん、ツアー参加者どうしも『モンハン』という共通言語があるおかげであっと言う間に打ち解けた様子で、貸切の店内は笑い声と話し声で飽和状態になっていた。そして俺も、ウサミスの「大塚さーん! こっちこっち!」という声に導かれて一般参加者のテーブルに。そこには、東京からいっしょにきたRさんたちのほかに、狩猟ツアーの下関編でお世話になったクマさんや、モンハンフェスタ'08優勝チーム”もうゲネポ”のMASAKI君と、その友だちでありモンハンフェスタ'08名古屋代表”狩魂T”のたけちよ君の姿も! このブログで掲載したロングインタビュー以来、プライベートでもすっかり仲良しになったMASAKI君の横に取り付いて、まわりの人たちとも談笑。そこにいた皆さんは俺がクエスト”モンスターハンター”を27回目でやっとクリアーしたことやガンランスの使用回数が1000回を超えたことを知ってくれていて、なんと「大塚さんのこれらの偉業を称えて乾杯しましょう!」って流れで盛大に乾杯することに(笑)。俺、恐縮しながらもじつにうれしくなり、「ありがとうございます! ありがとうございます!」と、選挙カーに乗ってるような気分になりながらアリガトアリガトを連発した。


▲辻本プロデューサーの「モンハン!」の掛け声のあと、全員で「やろーぜ!!」と合唱してかんぱーい!! 賑やかな宴が始まった!


▲これ、今回のツアーのために用意されたビール。中身は沖縄限定のゴーヤービールだったのだが、このラベルが貼られているだけで、お土産として持ち帰る参加者が後を絶たなかった。ちなみにゴーヤービール、意外なほどおいしいです!

 懇親会ではこのあと、沖縄の楽器”三線”を使って琉球サウンドを奏でるバンド”ティダカンパニー”によるミニライブが行われた。そこではアレンジされた沖縄の民謡やオリジナルソングが披露されたあと、最後に三線で『モンスターハンター』のテーマが奏でられるというサプライズも。 ティダカンパニーの方は「何度も練習したのに本番で間違えちゃった」とテレていたが、シンプルな三線の音で紡ぎだされたテーマはいつも聴く以上に心に響いて、俺などは鳥肌が立ちまくって仕方なかったです……。

 懇親会ですっかり心もお腹も満たされたハンター一行はこのあと、ホテルのスイートルームに用意された”リアル集会所”に移動して自由に協力プレイ。俺もここに混ぜてもらって、武神闘宴やらダイヤモンドダストやら、ややこしいクエストをこなしまくった。ちなみにダイヤモンドダストに出向いたメンバーは、俺、辻本プロデューサーという”テキトー悪友コンビ”と、アスリート中のアスリート、MASAKI君とたけちよ君というじつに両極端な取り合わせ(笑)。実際、クエストもヒドいもので、俺と辻本プロデューサーがお互いを罵倒しながらガンランスと弓で撃ち合っている隙に、悪魔の子ふたりがG級ティガレックスとラージャンを瞬殺。クリアーに要した時間は、なんとたったの6分でした(苦笑)。


▲リアル集会所の様子。ソファーに上がりこんで後ろのパーティーにちょっかいを出しているのは小嶋プランナーです(笑)。隣は、真剣な表情でPSPの画面を眺める辻本プロデューサー。

 このあと、俺は小嶋プランナーとふたりで夜のビーチに散歩に出かけた。見上げれば、巨大なオリオン座が幅を利かせた美しい星空。そして足元からは、穏やかな波にもてあそばれたサンゴのカケラたちが奏でる「キラキラキラ……」というやさしい音が流れてくる。これ以上ないくらいロマンチックなシチュエーションで、女性とふたりで来たら間違いなく恋に落ちてしまいそうな状況だが、じつはこういう雰囲気の中でこそ、気の置けない男どうしでしんみりと話し合うのが好きだったりするのだ。波の音をBGMに、小嶋さんとあれこれといろいろなことを話す。小嶋さんの言葉の端々から感じられるのは、満足感以外のナニモノでもない。まだツアー初日が終ったばかりだが、小嶋さんは「ファンの皆さんの満足そうな顔を見られて、本当にここまで来てよかったと思いますよ」としみじみと言う。開発者ではない俺ですら、参加者のうれしそうな顔を見ていると熱いものがこみ上げてきそうになるのだ。当事者の彼らにしたら、それはそれはたまらないことだろうなぁ……。そんなことを話しながらふたりで波の音を聴いていたら、背後から「おーい」という聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと、コンビニのビニール袋を抱えた良三さんが、足早にこっちに来ようとしていた。じつは小嶋さんとふたりでビーチに来るとき、コンビニに行くという良三さんとすれ違っていたのだ。俺と小嶋さんがビーチに行くと聞いて、良三さんはよく冷えたオリオンビールを買ってきてくれたというわけだ。さすがプロデューサー。粋な演出をしてくれる。

 俺たちは砂浜にあぐらをかいて、「ま、とりあえず」と言いながら乾杯をした。冷えたオリオンビールが、胃の中に落ちていくのがわかる。良三さんはチュウハイをうまそうに噛み締めたあと「はぁ!」と強く息をはき、「ホントにこのツアーをやってよかったー!」と小嶋さんと同じことを言った。そして、「いま、最高に幸せですよ、大塚さん」としんみりと言葉を継ぐ。いつもの笑顔は、充実感でさらに深みを増しているようだ。俺も感動しながら「うん。俺もいっしょに来れてよかった」とふたりに言った。それはもう、心の底から出た言葉だった。

 そんなとき、小嶋さんが「しまった!」と素っ頓狂な声を出した。ナンダナンダと見守っていると、小嶋さんは「流れ星が見えたのに、一瞬すぎて願い事ができなかった!」と痛恨の表情をしているではないか(笑)。確かに、降ってきそうな満天の星だもんなぁ。俺はゲラゲラと笑いながら、今後また、小嶋さんが流れ星に出会ったときのためにじつに参考になる知恵を授けてあげることにした。

 「小嶋さん、そういうときは一瞬の迷いもなく”金! 金! 金!”って言えばいいんですよ」

 この言葉に小嶋さんは腹を抱えて笑い、「気分をぶち壊すこと言わないでくださいよ! これから大塚さんのこと、”大塚金満”って呼びますよ!」と爆笑。良三さんも「あはははは!」と弾けたように笑い、「いいですね、大先生(笑)。これからはカネマンでいきましょう(爆笑)」とヒザを叩いている。言われた俺も身体を折り曲げながら大笑い、「ちょっと! そういうこと言うのやめてもらえます?(苦笑) ホラ! 明日は朝早いんだから、もう寝ますよ!」と言って、ふたりの肩をポンポンと叩いた。

2日目に続く〜。


※『逆鱗日和』緊急告知!※
本文中でも触れていますが、現在『本日も逆鱗日和』シリーズの第4弾を急ピッチで制作しております!! 第4弾の書名は……『モンスターハンタープレイ日記 本日もサヨナラ! 逆鱗日和』で、発売日は2008年11月20日! 本書の内容についてはこの場にてじょじょに、明らかにしていこうと思ってます。お楽しみに!


▲『本日もサヨナラ! 逆鱗日和』のゲラ。俺も江野本も本気で寝食を惜しんで、制作に没頭しておりますよ!


投稿者 大塚角満 : 23:26

【MHP 2nd G】第127回 言い間違えててゴメンナサイ

 先日、大食いチャンピオンとして有名なジャイアント白田さんが『2nd G』を持って編集部に遊びに来た。週刊ファミ通の巻頭にある”FACE”というインタビューページに登場していただいたとき、インタビュアーの江野本ぎずもがゲーム好きの白田さんに『2nd G』の楽しさを刷り込みまくり、ついでに『本日もニャンと! 逆鱗日和』も手渡して見事、大食い界のカリスマを狩人にすることに成功したのであった。以来、白田さんはすっかり『2nd G』のトリコになり、ついでに『逆鱗日和』のヘビーな読者にもなっていただき(笑)、その縁で我々のもとに遊びに来てくれた、というわけだ。

 この日は基本、上位ハンターの白田さんの未クリアークエストをこなすことに時間を割いた(そのあと、白田さんたっての希望でラージャンやら古龍に出撃したけど(笑))。俺と江野本、ふだんはヘッポコさばかりが際立っているがさすがにG級ハンターだけのことはあり、上位のモンスターはものともしない。巧みな白田さんの立ち回りもあって、非常に順調に上位モンスターを蹴散らすことができた。G級だろうが下位だろうが、何人かでワイワイと楽しめるのが『2nd G』、いや『モンスターハンター』の最大の魅力だ。俺たちは時を忘れて、エンターブレインの会議室でクエストをこなしまくった。しかし我々はお互いが仕事を持つ身。本当に時を忘れてしまうととんでもないことになってしまうので、「つぎのクエストをラストにしましょうか」ということになった。最後のお相手に選ばれたのは、白田さんが「見たことも聞いたこともない」と言うリオレイア希少種にした。

 黄金色の身体を躍動させるリオレイア希少種を見た白田さんの驚きようは、俺を感動させて止まないものだった。「レイアだ!!」、「金色だ!!」と当たり前のことに感嘆符を飛び出させる彼の様子を見て、『モンスターハンターG』で初めてリオレイア希少種を見たときの自分を思い出す。ガンランサーに密かな感動を植えつけながらもクエストは順調に進行し、尻尾もきちんと切断したうえで、リオレイア希少種は捕獲用麻酔玉の虜となった。さあさあ、尻尾から剥ぎ取ろう。何が出るかな何が出るかな……。喜び勇みながら尻尾に取りつく3人のハンター。雌火竜の紅玉でも出れば儲けものだ。ドキドキしながら剥ぎ取りをしていると、大食い界のカリスマがいきなりガバっと顔を上げ、大きな声で衝撃の発言をした。

 「”べにだま”が出たーーーーーっ!!!!」

 べにだま……、べにだま…………って、それって”めすかりゅうのこうぎょく(紅玉)”のことかぁあああ!!! 俺と江野本、座っていた椅子から本気でズッコケ落ちて、腹を抱えて笑いながら白田さんをたしなめた。

 「白田さん!! それ、”べにだま”じゃなくて”こうぎょく”っすよ!!(笑)」

 言われた白田さん、しばしキョトンとしたあと、悲しそうな表情を作ってこう言った。「えええ……。ずっーとべにだまべにだま言ってましたよ……。でもこのゲームって、読み間違いしている素材とか武器ってたくさんありそうですよねえ」。

 そう。そうなのである。”べにだま”については確信を持って間違いだと思ったのでたしなめることができたが、じつは俺や江野本も言い間違いだと気づかずに、大声で間違った呼び名を叫んでいるかもしれないのだ。

 そういえば先日、仲のいいご夫婦とお酒を飲んだときに”『モンハン』における言い間違い”の話になり、ご主人が奥様が犯した爆笑ものの言い間違いを教えてくれた。

 「ディアブロスの素材で”ねじれた角”ってあるじゃないですか? (奥様を指して)この人、それが欲しかったらしく大声で”ねじれたかどを取りに行こうよ!!”って(笑)。ね、ねじれててかどになってて……ってなんや!? ってこっちが混乱しましたよ(苦笑)」

 そういうのって、あるんだよなー!(笑) 初代『モンハン』の時代からいっしょに遊んでいたネット友だちのaちゃんという女の子は、ガノトトスのことを一生”ガトノノス”と言っていたし、俺も滅龍弾のことを”げんりゅうだん”と読んでいた(テレビの解像度が悪くて”滅”が”減”に見えていただけだからね!)。このほか、有名どころ(?)では、ハンマーの”鬼鉄””キテツ”と読んでいる人は多いだろうし(正しくは”オニノクロガネ”)、炎龍の塵粉”エンリュウノフンジン”と読み間違えている人はゴマンといるだろう(正しくは”エンリュウノジンプン”)。俺のまわりでは最近、江野本がライトボウガン”金華朧銀の対弩”を作ったのだが、これを俺と江野本は”キンカオボロギンノツイド”と読んでいたし(正しくは”キンカロウギンノツイド”)、さらに江野本は雌火竜の秘棘”メスカリュウノヒトゲ”じゃなく”メスカリュウノヒキョク”と知って、「ずっと”ヒトゲヒトゲ”っていろんな人の前で言ってたよ!! 恥ずかしいよお!!」と絶叫して本気で顔を赤くしていた。

 と、人の間違いを好き勝手にあげつらっている俺ではあるが、じつはもっととてつもない過ちを、最近犯してしまったのである。

 下にもちょっと書くが、じつはいま『逆鱗日和』シリーズの4巻目を必死こいて作っているのだが、その中に入れる脚注で俺はこんなことを書いてカプコンさんにチェックに出した。

◆ゲネポスの麻痺牙
“麻痺牙”の部分、正しくは”まひが”のはずだが、”まひきば”と読む人は非常に多い。江野本ぎずももそう読んでいる。

 数日後、カプコンからチェックが戻ってきた。

 「まことに申し上げにくいのですが……”まひが”じゃなくて”まひきば”が正しい読みかたでして……。大塚さんではなく、江野本さんのほうが正解で……」

 これからはちょっとでも読みかたがアヤシイものについては、「ハイハイ、”ゲネポスのまいああ”ネ。了解了解」てな具合に、極限まであいまいな発音をして読みたいと思います(苦笑)。

投稿者 大塚角満 : 13:39

【MHP 2nd G】第126回 祝! 1000回!

 いまだまったく飽きもせず、『2nd G』で遊び続けている”ガード命ガンランサー”改め”躍動の飛燕ガンランサー”、大塚角満です。ナルガX装備に身を包んで以来、ピョンピョンズシャズシャヒラリヒラリとモンスターの攻撃をかわしまくっております。

 そんな飛燕ガンランサーからご報告があります。

 なんと、ワタクシめのガンランス使用頻度がついに、1000回に到達しましたーーーっ!!! パチパチパチパチパチ!! まあ、武神闘宴にチャレンジしていたときに幾度となくリセットしたので、本当はもっとまえに1000回に到達していたのは確か。でもそれは言っても仕方のないことで、キチンと数字上で1000という文字が刻まれたいまこそ、皆様にご報告しようと思った次第であります!!


▲ホラホラ! 紛れもなく1000回! 大剣の24回が悔やまれる……。

 データを見ると1000回に到達したのは……一昨日か。つまり10月21日。『2nd G』の発売日が3月27日だから、本当に丸々7ヵ月かけて、俺は1000という高みに到達したことになる。ちなみに、メインキャラ(意味深)のほかの武器使用度は、大剣が24回、双剣が6回、ライトボウガンが6回で、その他はゼロのままだ。となると、俺がこのゲームでガンランスを使う割合は……じつに96.5パーセント!! いやあ、我ながら凄まじいガンランサー度であるなあ。エライエライ。

 ガンランス1000回目のクエストは、なぜかソニー・コンピュータエンタテインメントさん(SCE)にお邪魔したときに記録していた。「『2nd G』がらみの案件でSCEに用があるのかね」と問われると「zzzzz……」と答えざるを得ないのだが(ていうか、答えになってない)、理由はどうあれとにかく、SCEさんにお邪魔したときに1000回目を記録したのだ!! これは覆しようのない事実だわい!! いいじゃんか!! SCEさんの会議室でなぜかわからぬが協力プレイしちゃったんだよぉ!! しかもギルドカードの”狩人生活日記”を見ると、1000回目を記録したときのメンバーに江野本ぎずもの名前がある。つまりノコノコとふたりしてSCEさんに乱入し、その会議室で記念クエストを行ったってわけだ。ここで鼻の利く人ならば「……なんか犯罪の匂いがする」と思うところだろうが(そうか?)、そのうち、なんでこういう意外なところで俺と江野本がクエストに赴いたのか、理由を語れる日が来るかもしれません。来ないかもしれません。

 ちなみにガンランス1000回目のお相手はG級のクシャルダオラだった。俺と江野本、そしてSCEが誇るハンターさんふたりというメンバーだったので「なんでもいけるぞ!!」と思い、しばらくまえから古龍の大宝玉が欲しかったこともあって「G級の古龍行きたい!! 古龍古龍!!」とわめいて、お三方にお付き合い願ったというわけだ。しかも都合がいいことにこの日は江野本の”当たり日”で、彼女自慢のライトボウガン”金華朧銀の対弩”から放たれる強力な弾丸はクシャルダオラの顔面にヒットしまくり。麻痺弾、毒弾も非常によく効き、その甲斐もあって俺たちはたったの10分ほどで、屈強なG級クシャルダオラを屠り去ってくれた。ガンランス1000回目のクエストは、拍子抜けするほどあっさりと終わったというわけだ。


▲日記に事実が刻まれると、この上なくうれしいものだねぇ……。画面の下のほうに俺と江野本がオチている記述があるが気にしなくていいヨ。

 で、それから2日後のいまになって、「あ!!! 俺のガンランスの使用頻度が1000になってる!! めでたいめでたい!!」と大騒ぎしてこのコラムを書いているというわけ。本当にたまたまギルドカードを覗いたので1000回を記録した瞬間を目にすることができたが、調子に乗ってクエストを回していたら「げ!! ガンランスが1009回になってる!! 1000回目を逃しちまった!!」ってことになりかねなかった。危なかったぁ……。

 まあ今回は”ご報告”ってことなので、ここらあたりで筆を置かせていただきます。

投稿者 大塚角満 : 14:04

【MHP 2nd G】第125回 ”静”から”動”へ

 なんだかすっかり、不定期更新が板についてきました。いち時期は「1日にコラムを2本以上アップするぞうららららぁぁああ!!!!」と気持ちが悪いほど気合をみなぎらせてビシビシバシバシとキーボードを引っ叩いておりましたが、モンスターハンターもクリアーしたし、武神闘宴も撃破したし(ふたりがかりだけど)ですっかりオイラはリラックスモード。「今日もいい天気だなホゲェ〜」、「お腹減ったなぁホゲェ〜……」と、やたらとホゲホゲしながらのんびりと生活している次第であります。

 そんな余裕ができた俺だから、『2nd G』でやることもゆとりに満ちている。最近になってようやく、ガード性能、ガード強化といったガンランサー絶対必携スキル(俺だけか)を捨てて、いろんなところにアンテナを伸ばして防具を作り始めた。たとえば、”砲術王”を発動させて砲撃のみでモンスターを討伐したり、属性攻撃強化をつけてとくに属性攻撃に弱いモンスターをいびり倒したり。”ガード”じゃなくて”攻撃”に視線を振り向けるだけで、同じガンランスでもこんなに遊びの幅が広がるんだといまさらながらに感心した次第である。

 そんな、多方向に触手を伸ばした俺をしても、「……こいつだけは、ガンランサーには不必要だろうな」と思っていたスキルがある。それが”回避性能+2””回避距離UP”だ。前者は回避行動をしたときの無敵時間が長くなり、後者は回避時の移動距離が1.5にもなる、というもの。ナルガクルガの素材で作る”ナルガX”シリーズを揃えればこのふたつのスキルを発動させることができるので、持っている人も多いかと思う。このスキルを身につけた片手剣使いや双剣使いの動きは圧倒的に”忍者”そのもので、猛るモンスターの攻撃もヒラリヒラリゴロンゴロンとガードなしでかわしまくっている。「そこだ!」と思って勢い込んで吐いたブレスの先に、1秒まえまでは確かにいたナルガハンターの姿が消えているのを確認し、「あれえ!? 一瞬まえまでいたのに!! どこいったどこいった!!」と歯軋りしたモンスターさんも多数おられるのではないでしょうか(なんのこっちゃ)。また、攻撃を食らわないことを前提にした立ち回りが求められるガンナーにも非常に人気のあるスキルで、生粋の弓使いである辻本良三プロデューサーもナルガXに身を包んでうれしそうにピョンピョンとフィールドで跳ね回っておったよ。

 しかしご存じ……かどうか知らないが、俺が使い続けているガンランスは回避行動とは無縁の存在だ。武器を構えた状態で回避行動をすると、マヌケにピョンとバックステップをしてしまうだけなのだから。回避行動をするくらいならガッチリとガードを固める。死んだじいちゃんに「男は守りを固めてナンボだ!」ときびしく言われて育ったので、俺はいまでも、この教えを実践しているというわけである(ホントか?)。

 そんなある日、いつもの馴染みのバーでマスターと『2nd G』談義に花を咲かせていた。テーマはいつしか防具やスキルのことになり、何を発動させるのがいいか、どの組み合わせがステキなのか、というところでお互いの意見を交換しあっていたのである。そんな中でマスターはキラリと目を光らせ、「大塚さん、これをちょっと操作してみませんか?」と言って手に持った物体を俺に差し出してきた。手渡されたのは、マスターのPSP。画面を覗くと、ナルガX装備で身を包んだ男性ハンターが佇んでいる。持っている武器は……ガンランスだな。俺が「水と油の組み合わせ」と言って憚らない相性の悪い組み合わせを、なぜマスターは身にまとっているのだろうか……? 俺の疑念を読み取ったマスターはニヤリと笑い、「まあ食わず嫌いせずに、試しに操作してみてくださいよ」と言って強引にクエストを受注。目をパチパチと瞬いているガンランサーに向かって、「フィールドに降り立ったらとりあえず、ガンランスでいつもどうりの動きをしてみてください」とやさしく指示を出した。マスターが俺に何をやらせたいのか皆目見当がつかなかったが、とりあえず言われたとおりにしてみよう。俺は見慣れないナルガXに身を包んだガンランサーを操って武器出し攻撃をし、いつもの癖で横向きにステップを踏んだ。そしてその瞬間、若干の睡魔に侵されつつあった脳ミソが一気に覚醒した。俺は叫んだ。

 「なんだこのステップの距離は!! ガンランサーが、超躍動してるーーー!!

 スキル”回避距離UP”は、ランスのステップにも適用される。ステップを踏んだときの移動距離は1.5倍ほどもあるので、いつものステップが「よっこらせ」という感じだとすると、回避距離UP付きのステップは「ズヒュンッ!!」 って感じでモンスターの視界から消える印象なのだ。驚きまくる俺をニコニコしながら眺めながら、マスターは「ね、おもしろいでしょう」と言って笑った。

 翌日、俺はすぐにナルガX装備を整えた。あの”ズヒュンッ!”を再び味わうために。幸い、ナルガクルガの素材は山ほどあったので瞬時に装備は完成。あっと言う間に、”回避ガンランサー”は誕生した。そしてすぐに、クエスト受注。最初こそ「とにかくやたらとステップして攻撃をかわしたい!!」と必要以上にステップに頼って攻撃を食らいまくり、あっさりとクックあたりにも屠り去られたりしたが、慣れてくるとこれほど楽しい立ち回りもなかなかないと思えた。いままでの自分の立ち回りを”静”とするなら、ナルガXに身を包んだいまは間違いなく”動”のガンランサーとなっている。”静”から”動”へ。ガードを捨てた新生・アグレッシブガンランサーのハンティング生活が始まった。

投稿者 大塚角満 : 14:19

【MHP 2nd G】第124回 武神の名のもとに 最終章

 挑戦回数が27回を過ぎたころから、数を数えるのをやめてしまった。積み重なっていく数字が「またクリアーできなかった……」、「もう無理かもしれない……」といういらぬプレッシャーに変換されて、隙あらば俺と江野本を押しつぶそうとしたからだ。

 とは言いつつも、俺たちは楽しかった。失敗はくり返していたが、必ず1回、1回のクエストから新しい発見を持ち帰って、つぎのチャレンジへ組み込むことができたから。「つぎは落とし穴に落ちたら睡眠弾を撃ちます!」、「ティガには閃光玉は3発まで使って大丈夫そうだ!」などなど、歩みは遅いながらも確実に前に進めている実感を得ることができたので、俺と江野本がめげることはなかった。「つぎはもっと詰められる!!」。これが、武神闘宴に挑み続けているときの、俺たちの合言葉になった。

 挑戦回数が30回を越えたころ、江野本が誤ってデータをセーブしてしまった。キッチンスキル”ネコの火薬術”が発動したところでセーブしておき、クエストに失敗したらリセットする作戦だったのだが、間違えてクエストが失敗したところで上書きしてしまったのである。江野本のキッチンアイルーからは奇跡のような確率でしか発動しないスキルなだけに、俺たちの落胆は大きかった。そして思ったとおり何度ネコメシを食べても、江野本の分身にネコの火薬術が発動することはなかった。

 ところがある瞬間に、江野本のキャラに”ネコの調合術[大]”が発動した。調合確率が上がるこのスキルがあれば、調合書を1冊減らすことができる。そのぶん、アイテムポーチに1枠の空きができるので、ネコの火薬術が発動したときよりも有利な戦局に導けるものを、クエストに持ち込めるかもしれない。

 俺たちは考えた。江野本の武器はライトボウガンなので、強力な弾丸を追加で持ち込むのも悪くない。トラップツールをふたつ持って、罠を増やすこともできるぞ。……でも、なぜかしっくりこなかった。何かを見落としてはいないか? もっと冷静に、俯瞰して自分たちの持ち込みアイテムを見直したほうがいいのではないか。そんなとき、江野本が言った。

 「大塚さんのキャラは、火薬術が発動しているんですよね? それをもっと有効に使えないのかな?」

 あ……。そうだ!! その手があった!! 俺は「がおおお!!」と一発気合を入れて吠え、勢い込んで江野本に言った。

 「えのっち! 1枠空いたところに”大タル”を入れてくれ! 俺も切り詰めて1枠空けて”爆薬”を持っていく! そうすれば大タル爆弾Gを10個も追加できるんだよ!」

 江野本は躍り上がった。

 「それ、ものすごい火力アップですよっ!! それでいきましょう!!」

 そして挑んだ30数回目。俺たちの作戦はついに、大将・ラージャンを追い詰めるところにまで極まった。序盤から遠慮なく大タル爆弾Gを使いまくり、ナルガクルガを44分残し、ティガレックスを34分30秒残し、グラビモス亜種を24分残し、ディアブロス亜種を13分30秒残しで退けることに成功。必要十分と思われる時間を残して、最後のラージャンの前に立つことができたのだ。「これでいける!!」と俺と江野本は力強くうなずき合った。

 ところが、それでも俺たちに勝利の女神は微笑まなかった。ラージャンが激昂すること4回。捕獲用麻酔玉があれば、余裕で捕獲できるところまでラージャンの体力を減らせていたと思う。しかし、無情にも時間切れ。もしかしたらあとひと突き、あと1発の弾丸が当たっていればクリアーできたかもしれない……。時間はすでに、深夜3時過ぎになっていた。俺たちは深くうなだれながら「明日、なんとかしたいな……」と言って、人もまばらになった編集部をあとにした。

 そして失意を胸に抱いたまま、俺と江野本はある人物と対面した。芸能界随一のハンター、次長課長の井上聡さんである。『2nd G』のプレイ時間はとっくに1000時間を超え、この武神闘宴も単独クリアーを成し遂げている”『モンスターハンター』の求道者”は、情熱に満ちた目で「僕なんて、まだまだです。もっともっと突き詰めて、自分の限界を知りたいんです」と熱い口調で語った。真剣極まるアスリートの言葉に、俺と江野本が刺激されないわけがなかった。

 その夜、俺と江野本は強烈な決意を持って顔を合わせた。手にはもちろん、PSP。静かに電源を入れながら、俺は江野本に言った。

 「えのっち、必ず今日、クリアーするぞ

 気合が入りすぎたためかちょっと目を潤ませながら、江野本が力強く頷いた。

 「はい。井上さんの言葉を聞いた今日、絶対にクリアーしたいですもんね!!

 そして始まった何度目かもわからぬチャレンジ。失敗をくり返し、何度も何度もチャレンジしたからこそ得ることができたスムーズな立ち回りで、俺たちは最初のナルガクルガを翻弄した。そして開始8分。討伐。回復薬も、ほとんど使用していない。

 2頭目のティガレックス。じつはこのモンスターが、武神闘宴の序盤の山なのだ。防御力の低いガンナーの江野本は、ティガレックスの怒り攻撃をくらうと、体力が満タンでもほぼ確実に息の根を止められてしまうのである。なるべく、最後のラージャンまではオチないで行きたい。そのためには、1秒でも速く危険なこのモンスターを屠り去る必要があった。

 俺たちは会話も交わさぬまま、アイコンタクトだけでいつもどおりの動きをした。30回以上同じ作戦で臨んでいるのだ。言葉などなくとも、お互いがやるべきことはすっかり刷り込み済みなのである。まず江野本が、ティガレックスが登場するときの着地地点に落とし穴を設置。ここに、ふたりして4個の大タル爆弾Gを並べる。首尾よく、俺たちの落とし穴に落下してきたティガレックス。ガンランスの怒りを固めたような竜撃砲という名の凶暴な火の玉と、大タル爆弾Gの巨大な爆炎がティガレックスの全身を包み込む。それを合図に、江野本は睡眠弾を連続発射。俺は江野本の弾丸が当たらない位置に大タル爆弾をふたつ、風のような勢いで並べた。もちろん、ネコの火薬術が発動しているから大タル爆弾は自動的に大タル爆弾Gとなる。俺が2個の爆弾を並べ終わるのと同時に、江野本の睡眠弾でティガレックスは深い眠りの世界へ。俺、「起きろ!!」とばかりにガンランスの砲撃でこれを起爆し、ティガレックスに大ダメージを与える。さらに、落とし穴からティガレックスが飛び出すまえに1個の大タル爆弾Gを轟竜にお見舞いする。大成功だ。序盤で与えられ得る、最大のダメージをティガに刷り込むことができたぞ!!

 そして32分を残して、ティガレックスは闘技場の土となった。惜しくも江野本が1オチを計上したが、俺たちはまったく落ち込まなかった。「絶対にこの回でクリアーする!」という決意が、落ち込むことを許さなかったのだ。

 勢いに乗って、グラビモス亜種、ディアブロス亜種を難なく撃破。大将・激昂ラージャンに残せた時間は……12分30秒だ。14分残しても、歯が立たないこともあった。1オチもしていなくても、ラージャンで3オチしたこともあった。でも、今回は違う。30数回失敗してようやく、俺たちはラージャン用の作戦も携えた状態で、怒れる牙獣王の前に立つことができるのである。俺は江野本に言った。「今度こそ決着つけよう!!」と。江野本も元気に応えた。「はい! ラージャンを撃破して、井上さんに報告しましょう!」。

 そして始まった最後の決戦。終わったあとにどちらが立っていたのだとしても、この日はこれが最終クエストと決めていた。

 俺と江野本はラージャンがこちらに気づくまえに、闘技場に落とし穴とシビレ罠を設置。罠が設置されたのを見届けてから、ガンランスの武器出し攻撃と砲撃で会戦の銅鑼を鳴らした。プライドの高い牙獣の王は俺の狼藉を許さず、丸太のような腕をブンブンと振り回してくる。そんなラージャンに向かって、江野本はシビレ罠の向こうから麻痺弾をボンボンボン……。これに気づいたラージャンが突進し、首尾よくシビレ罠にかかったところで、俺は素早く大タル爆弾G2個を鼻っ面に設置した。そしてこのときのために溜め込んでいた竜撃砲を、爆弾の炎とともにラージャンにプレゼント。いいぞ。作戦どおりだ!!

 このあと、俺たちの攻撃に怒り心頭に発したラージャンが予想よりも遥かに速い時間で激昂。無残にも落とし穴を壊されてしまう。しかし、俺たちはめげない。「激昂が解けたら、もう1個落とし穴行くから!」と俺が言えば、江野本は「シビレ罠を設置したのでハマったら爆弾お願いします!!」と元気に告げる。大将のラージャンを屠り去るために30数回の失敗の末にたどり着いた”罠+爆弾”作戦を完遂するために、俺と江野本は大闘技場の中をドタドタと走り続けた。

 しかし、時は無情に過ぎてゆく。もうずっと昔に、画面上に「残り時間5分」の表示が流れた気がした。左上にある時計も、いつのまにか真っ赤になってしまっている。もう、残り時間は1分を切っているのかもしれない。でもこのラージャン、まだ3回しか激昂していないよ……。焦りに満ちた早口で、江野本が言う。

 「大塚さん! もしかしたらもう1回、麻痺弾で麻痺するかもだから、麻痺弾撃ちます! 麻痺ってくれたら、残りの爆弾をお見舞いしてください!」

 確かに、俺はまだ大タル爆弾Gを2個も残していた。こいつをもっと速く使うことができていたら、クリアーしていたのかもしれないのに……。俺は江野本を上回る早口で「うん、わかった!」と返事をしながらも、そんなチャンスは巡ってこないだろうな……と思っていた。もう余計なことは考えず、時間の限り攻めるしかない。武神のようなラージャンの攻撃で俺の体力は3分の1ほどにまで減っていたが、回復薬を飲んでいる時間も惜しかった。俺はそのままの体力で、猛り狂う武神に突っ込んで行く。それを見て江野本が「大塚さん!! 回復してくださいっ!!」と悲鳴を上げるも、もう時間がないのだ。俺は江野本に向かって怒鳴った。「時間がねえんだよ!! 回復するヒマがあったら、一撃でも多く攻撃を食らわせないと!」。しかし江野本は1歩も引かず、怒った口調でこう叫んだ。

 「危ないよぉ!! あっしが麻痺らせますから!! オチちゃダメ!!」

 俺を助けようとして江野本が放った麻痺弾レベル2の黄色の帯が、激昂するラージャンの身体に着弾したことを俺に教えた。そしてその瞬間、視点操作もしていないのにカメラが勝手に俯瞰視点になり、崩れ落ちていく牙獣の王の身体を映し出した。ポカンとする俺と江野本。そんなふたりのPSPの画面には、「目的を達成しました−−」の文字が流れた。江野本が呆然とした表情のまま、震える声でささやく。

 「えっと……。これは、大塚さんが、オチたの? なんでカメラが、切り替わったの……?」

 刹那、俺も完全に思考が停止して何が起こったのかわからなかったのだが、俺の分身は元気に、闘技場にたたずんでいる。そしてそのうしろに、動かなくなったラージャンの亡骸。と、いうことは……!!! 俺は喉も割けよとばかりに大声でわめいた。

 「ええええのっち!!!! やったんだよ!!! クリアーしたんだよ俺たち!!

 呆然としていた江野本、俺の絶叫でようやく現実世界に戻ってきたのか瞬時に顔を紅潮させ、俺以上の大きな声で快哉を叫んだ。

 「ホントに!? クリアーできたの!!? わーいわーい!! やったやったーーーー!!! やったんですね、あっしたち!! ついにこのクエストを制覇してやったんですねっ!!

 2008年10月15日26時30分。武神闘宴、クリアー。残り時間、わずか36秒の激闘だった。

 すぐに俺は次長課長の井上さんに連絡し、武神闘宴をクリアーしたことを報告した。まもなく返ってきた『モンハン』求道者からの返事には、こんなことが書かれていた。

 「おめでとうございます! ……でも大塚さん、本当の狩りは、これからですよ

 井上さんの言うとおり、モンスターハンターをクリアーしたときに感じた「これが始まりなんだよな」という思いは、武神闘宴を乗り越えたいま、より強く感じるようになった。

 そう。

 『モンスターハンターポータブル 2nd G』の旅は、まだ始まったばかりなのだ。今日もガンランスを片手に、フィールドを駆け巡るぞー!

<完>

投稿者 大塚角満 : 00:02

【MHP 2nd G】第123回 テオ物語 最終章

 ついにこいつをアップする日が来たか……。

 毎回このシリーズをアップするときには書いていますが、絶対にこのコラム……というか妄想を読むまえに、『テオ物語 その1』『テオ物語 その2』を読んでくださいね!! じゃないと、ただでさえ「こいつ、大丈夫か……?」っていう文章なのに、その1その2を読んでいないと、「大丈夫か?」に拍車がかかってしまうのだよ!! まあそんな危険な文章だったらアップしなきゃいいのだが、一部に「テオ物語が大好きです!」と言ってくれる奇特な方もいらっしゃるので、恥ずかしさを堪えてアップしよかなと……(笑)。

 というわけで、『テオ物語』はこれにて完結です。覚悟して(何を?)読んでくださいね。

◆◆◆

 ああ……。何時間歩いたんだろう……。もうフラフラでまわりをまったく見られなかったけど、ここはいったいどこだ? なんかやたらと暑いんですけど……。ん? あそこに流れる赤い河はなんだろう。近づくごとに気温が上がってるみたいだけど。ああでも、暑いほうが落ち着くなボク。何でだろう。まえは暑い夏は大嫌いだったのに。これも思春期の……って、もういいや。そうに決まっているんだから。ヨシ、河のほとりまで来たぞ。なんだろう、この赤い液体は。一見して溶岩だけど、なんだか無性に触りたいや。うん、触ってみよう。やけどしたらそのときだ。

 ジュ!

 お? あったかくて気持ちいいな。ここは草津か湯布院か……じゃなくて、じつにちょうどいい加減だ。でもこれ、やっぱりどう見ても溶岩だよな……? ……ああ、そうか! いまボク、とてつもない高熱が出てるからそれが溶岩の温度と相殺されて、ちょうどいい湯加減になってるんだ。そうだそうだ。そうに違いない。

 しかしここ、見渡す限り剥き出しの岩石に覆われ、あまつさえドロドロの溶岩まで流れてる物騒なところだっていうのに、なんて居心地がいいんだろう。この場所にいるだけでなんかこう……身体のうちから燃えるものがこみ上げてくるんだよな!! あああ! 燃える! かかか、身体から火、火ぃ出そうだ!!

 チラチラチラ

 ん? またボク……いやオレの身体のまわりに火の粉が舞ってるぞ。さっきから、なんなんだこれは。……ああ、溶岩から飛び散ってる火の粉か。さっき街で見たときは黄色かったけど、今度はオレンジ色してるな。なんでかわからんが、この火の粉を見てるとやたらと噛み付きたくなるぜ。ガルルルル……。か、噛み付いてやれ!!

 カチッ!

 ボボボボボボン!!

 うわ! また爆発した!! いったいさっきから、オレのまわりで何が起こってんだ!! まあここは火山地帯みたいだからいきなり爆発もあるのかもしれねえけど、まったく危なっかしくてたまんねぇや。

 ……ん? なんか遠くに、青い色をしたデカいモンスターがいるぞ。あれは……ナナ・テスカトリか。炎妃龍ってやつだな。初めて見たけど……へぇ、キレイな色してるもんだなあ。って、何を落ち着いているんだオレは。ナナ・テスカトリっつったら、泣く子も黙る炎の古龍。ふつうの人間だったら、名前を聞いただけで全速力で逃げ出すような、そんなモンスターだろう。なのになんで、オレは恐怖心を感じないんだ。むしろ、もっと近くで見てみたいと思っている……。も、もっとお近づきになりたい……。

 あ。向こうもこっちに気づいたぞ。さすがにヤバイか……? 攻撃されるのか? ……ってアレ? なんかあのナナ・テスカトリ、オレを見てモジモジしてるぞ。か、かわい……じゃなくて、年のころは17〜20歳ってところか。うーん、オレとちょうどいいなあ。よよよよし、オレのほうから接近してみよう。胸が高鳴ってたまらねえ。当たってくだけろだ!

 バオォォオオォオオ!!!

 おお……。近くで見ると、このナナ、たまらなくかわいいな……。顔色、どこまでも青く、広がった鼻とえぐるような獰猛な視線は、雄を猛らせてしかたねえだろな……。お、オレも猛ってきた。か、身体が熱い!!

 ボボボボボボ……

 熱いと思ったら、身体から火が噴き出してるぞ。すげえ勢いだ。足元の石がカンカンに熱くなってる。おお? そんな俺を見てナナも興奮して、やたらと尻尾を振ってるじゃないか。

 ヒュンヒュンボンボンッ!!!

 おお! 尻尾から火が出るほど興奮してるのか! なんていい女なんだ!! オレ、このナナと結婚しよう!! 古龍の繁栄のためにも、それがいちばんいいだろう!! このナナも、口から火を吐き出して喜んでる。さあ結婚しよう! いましようすぐしよう!

 「手雄ちゃーーーーん!!」

 ……ん? なんかボロボロになった人間の女が、こっちに来ようとしている。ハンターか? いや、それにしちゃみすぼらしいな。武器も防具も身につけていねえ。泣きながら、なんかわめいていやがるし。誰だこいつは。……でも、どこかで見たことが……。

 「あなた、手▲ちゃ※なんでし×%? お母さ$#よ! わ△※るでしょ!?」

 なんだ? 何を叫んでるんだ?

 「お母&$んにΩ!@るのよ! さあ、帰◆□ま※ょう。あな×が○母さん※◆である%&は間違い#+んだから! さあ!」

 ぐがぁぁああ……。何を言ってるのかさっぱりわからねえけど、なぜかあの女の声を聞くと心が痛い……。で、でも思い出せねえ……。絶対に、見覚えも聞き覚えもあるのだが……。ああああ……誰なんだ……。……あれ? 泣いているのかオレは。炎王龍、テオ・テスカトルともあろうものが、なんで涙を……!!

 グガオオオオォオオオォォォ……!!

 俺は人間の女に向かって猛然と突進した。まるで子供が母親の胸に飛び込んでいくかのように。そして人間の女は、駆けてくる子供を受け止めるようにかすかな笑顔を浮かべて、手を広げて待っている。怖くないのか? テオ・テスカトルだぞ俺は!!

 そのとき、一陣の風が吹いた。火山に風が吹くなんて、珍しいことがあるものだ。その風に乗って、人間の女から懐かしい匂いが漂ってくる。ああ……この香りは……。ずっと昔にお母さんに抱きしめられたときに嗅いだのと、同じ匂いだ……。歩みを止め、クンクンと空気の匂いを嗅ぐ俺。そんな俺に向かって、人間女が叫んだ。

 「手雄ちゃん! そうよ! 私はアナタのおかあさんなのよ!!」

 さっきまで何を言っているのかわからなかったが、いつの間にか人間が話す言葉の意味がわかるようになってきた。お、お母さんだって? この人間が? どうやってボクを産んだんだ……? ボクはだんだんわけがわからなくなってきて、小さな声で「ぐ、ぐるるるる……」とつぶやいた。そんなボクに無遠慮に近づいてきたおばさんは「熱っ!」と小さく悲鳴を上げたあと、ちょっと睨むような目をして鋭く言った。

 「まあ! 手雄ちゃん、熱があるじゃないの!! 火山の夜は冷えるのよ。さあさあ、早く家に帰って、布団に入って寝なさい! あなたの布団、燃えちゃったけど、まあいいわ。さ、帰るわよ!」

 お母さんは毛むくじゃらのボクの手を取ると、海辺へ向かって強引に歩き出した。お母さんは昔から、ちょっと自己中心的なところがある。仕方ない。逆らっても始まらないから言うとおりにするか。

 そのとき、我々の安っぽいホームドラマを呆然と見ていたナナ・テスカトリが猛烈な勢いで怒り出した。

 「ちょっと!!!」

 とナナは吠えた。さっきまでのかわいらしい表情がウソのように、その顔は怒りに燃えていた。

 「あんたマザコンだったの!!? さっき結婚したばかりだってのに、なんなのこの仕打ちは!!!」

 うはあ……。面倒なことになったなあ。ナナのまわり、炎が舞ってるよ……。相当怒ってるなこいつ……。ボクは辟易としながら、新妻に猫なで声を出した。

 「まあまあ……。ナナちゃん堪えてよ。お母さんが強引だってことは話しただろ? うまくやってくださいよ。これから長い付き合いになるんだから……」

 これを聞いたお母さん、烈火のごとく怒り出した。

 「ちょっと手雄ちゃん。強引ってどういうこと? お母さんはよかれと思ってやっているのよ。それに何よ、このアバズレは。口の聞きかたも知らないのね。お母さん、こんな女との結婚を許した覚えはありませんよ。すぐに別れなさい!!

 お母さんの舌鋒にもひるまず、ナナがやり返す。

 「お母さん!! いいい、言っていいことと悪いことがあるんじゃないですか!? よよよ嫁に向かってアバズレなんて!! ひどいわ!! ねえ、テオ!! あなたどっちの味方なの!? あたしなの? お母さんなの!?」

 まったくこれだから女は面倒なんだ……。もうどっちでもいいよ……。

 夜の火山にはいつまでも、女ふたりの怒声と泣き声が轟いていた。こんなことで、うまくやっていけるのかなぁ、ボク……。

投稿者 大塚角満 : 11:44

【MH3】第4回!? 辻本プロデューサーと『3(トライ)』を語る

 10月11日、ついに始まった東京ゲームショウ2008の一般デー。すでにファミ通.comでもニュースになっているが、本当に大勢の人が大挙して詰め掛けたブースがある。彼らが入場ゲートをくぐって、足早に殺到したのは、何を隠そうカプコンブース。そして、『モンスターハンター3(トライ)』だ。今年のゲームショウで最大の話題作と断言できるこのソフトを、多くのハンターが”討伐目標”としていたわけだ。

 そんな『モンハン3(トライ)』のステージイベントが始まる直前、同ソフトのプロデューサー、辻本良三さんとメシを食いながら話をした。一般デー初日のもっとも忙しい時間に体を開けてくれて、本当にありがたいありがたい。いつものようにちょっとおバカなやりとりもあるが、そのへんは「ハイハイ、毎度のことね」と笑い流してください(笑)。

●触ってみたい!!

辻本 せっかくなんで、メシでも食いながら話しません? そこにレストランあるし。
大塚 いいですけど、俺、財布持ってないよ。……おごって(笑)。
萩原(カプコンパブリシティーチームのボス。通称・ほろ酔いのハギー) あ! 俺も財布持ってない! おごって(笑)。
辻本 ええですよ……って、なんで「貸して」やなくて最初から「おごって」なのよ(苦笑)。ご馳走する気もなくなるわ(笑)。
大塚 ご馳走様です(笑)。それにしても今回、取材要請がめっちゃ多いんじゃないですか?
辻本 そうなんですよ。とくに海外のメディアから問い合わせが殺到して。いままでじゃ考えられないですねえ。
大塚 何でなんですかね? やっぱり、これだけ日本のファンに注目されていると放っておくわけにいかない、ってことになるんですかね。
辻本 うん、そうだと思いますよ。
大塚 ……いったい海外のメディアに、何を聞かれるんですか?
辻本 「どんなゲームなんだコレは」から(笑)。
大塚 そこからか!!(笑)
萩原 基本から教えなきゃいけないんですよ。
大塚 なんでこんなに人気があるんだ? ってことも?
辻本 そうそう。でも『モンハン3(トライ)』はネットワーク対応ってことで、海外のメディアにもフックしたみたいですね。「どんな仕様になるのか?」って聞かれるのは海外のメディアのほうが多いです。
大塚 それにしても、『モンハン3(トライ)』のブースはエラいことになってますね。すでに個人のブログなんかにもプレイした感想とかバンバン書かれているし。そういう評判みたいなものは、もう耳に入ってきてます?
辻本 まだですね。……逆に、どんな感じですか?
大塚 いろいろ見ましたけど、皆興奮して書いている感じ。あと、ファミ通.comもそうですけど、プレイ動画をアップしてるじゃないですか? それを見て「めっちゃやりたい!」っていう書き込みが多いかな。
辻本 よかった! 今回、多くの人がヤキモキしていた操作方法を公開したじゃないですか? それが心配だったんですよ。雑誌の記事とかで「このボタンはこうで」みたいなのを書いてもらってもなかなか伝わらないけど、実際に遊んでもらったうえで体験記を書いてもらえればダイレクトに届くと思っていたので。
大塚 僕もビジネスデーの初日に遊ばせてもらって、真っ先に操作系のことを書きましたよ。やっぱりみーんな気になっていたらしく、ファミ通.comが重くなるくらい、アクセスが殺到しました。
辻本 へぇ〜(感心)。
大塚 2日目に、例の逆鱗日和ファミリーを引き連れて4人で体験プレイしたんですね。でもね、正直心配だったんですよ。彼らがどういう反応をするのか。まあ蓋を開けてみたら、「これおもしろい!!」っていう絶賛の嵐だったけど(笑)。
辻本 あはは(笑)。よかったぁ〜。
大塚 クラシックコントローラーに対応することも発表されましたけど、俺はWiiリモコンで遊ぶだろうなあ。
辻本 Wiiリモコンとヌンチャクって、自分の体勢的な自由度が高いじゃないですか? だからこーんな姿勢(椅子にふんぞり返って足を組み、ヌンチャクを持つ手を椅子の背に引っ掛けるようなポーズ)でも楽に遊べる。従来のコントローラーだとひとつの姿勢に固まって遊びますけど、Wiiリモコンとヌンチャクは自由な体勢で遊べる。これも魅力のひとつだろうなあって思ってます。気楽にできる。
大塚 でもこの操作系を知った当初は、その自由な体勢が心配だったんですよ。左右の手が離れるじゃないですか? そうすると脳からの命令伝達にタイムラグができてやりにくいんじゃないかなって(笑)。
辻本 あはは!
大塚 まあ、ぜんぜんそんなことはなかったわけだが(笑)。3回やりゃ慣れるね(笑)。
辻本 うんうん(笑)。
大塚 でもその3回目にライトボウガンを持ったら、まったくダメでしたけどね(苦笑)。
辻本 あはは! ライトボウガンを3回使わにゃダメですよ(ニヤリ)。
大塚 そっかあ(笑)。でも、話戻りますけど、一般デー初日の今日、ものすごい人が殺到しましたね。
萩原 もう、ビジネスデーでの反応で、こうなることは予想できましたけど、もうどうにも……。
辻本 「触りたい!」って思ってくれてた人が本当に多かったんだなぁ……って実感できました。文字や写真の情報だけじゃなく、やっぱり触ってみたい、って思ってくれる人が多いんだなぁ……って。入場規制で入れない人には、本当に申し訳ないんですけど……。
大塚 確かに……。

●据え置き機の”アナログ感”

萩原 今回いろんな人に言われてすごく印象に残っているのが、「大きい画面で見るとぜんぜん違いますね!」という意見。
大塚 PSPの『ポータブル』シリーズしか遊んでいないってことか。
萩原 そう。
辻本 据え置き機は、いまそういう立場にいるんですよ。これには危機感を感じているんです。
大塚 そうかあ。俺らくらいの世代だと、ゲーム機といえば据え置きだったけど……。いまはまったく逆になってるんですよねえ。
萩原 PSP版をまったくやっていない、っていう人もいるんですよね。そういう人は喜んでくれるんじゃないかな、と。
大塚 どういう位置づけなんですか? 携帯機の『モンハン』と据え置き機の『モンハン』は。
辻本 『2nd』を作っているときに言いましたけど、『ポータブル』シリーズは”携帯機としての『モンスターハンター』を追及する”なんです。で、今度は”据え置き機としての『モンスターハンター』を追求する”
大塚 うん、わかる。昨日、ラギアクルス(『モンハン3』を象徴するモンスター。通称”海竜”)と初めて対峙したとき、怖かったですもん。PSPでも、ラージャンやアカムトルムに出会ったらそりゃ怖いですけど、怖さの質が違うんですよね。なんていうんだろう。PSP版は瞬発力的な怖さで、『モンハン3(トライ)』はジワってくる怖さと言うか……って、何言ってるかわかります?(苦笑)
辻本 うんうん(笑)。携帯機は携帯機としてのゲームのサイクル……テンポがあるじゃないですか? サクサク進む、っていう。言ってみれば”デジタル”な感じ。それはそれですごくよくて、顔をつき合わせてワイワイ遊ぶという独特なプレイスタイルを生み出しましたよね。それに対して据え置き機の場合は「どっしり構えてやりたい」って思えるジャンルなので、”アナログ感”を追求できるんです。
大塚 実際にラギアクルスと出会ったあとだから、その言葉の意味がすごくよくわかるわ。昨日も、海に潜ったら遠くのほうでラギアクルスがウネウネとうねっていたんです。それを岩陰からじーっと見ていたんですけど、怖くて近寄れないんですよ。すごく「生きてる!」って感じがして。
辻本 それが”アナログ感”ですね。ゆったりと流れる時間の中で表現していると言うか……。
大塚 PSP版の最大の特徴であり、魅力である”テンポのよさ”というものが、据え置き機だとそれほど感じない。でもそれが、なんだろう……余裕に繋がっている、って言うのかな?
辻本 南の島に来たときのような感じじゃないですか? 時間がゆっくり流れているような。
大塚 そうそう! そんな感じ! 改めて、携帯機版と据え置き機版の『モンハン』って違うんだなあって思った。
辻本 コンセプトはいっしょなんですけどね(にっこり)。感覚が違うんです。
大塚 あんなに違うものなんですねえ。
辻本 両方のハードの特性を活かす。それをやらなきゃいけないんです。とくに、同じシリーズのゲームを出すときはね。

●「こいつ、何をしよるの?」

大塚 そういえばクラシックコントローラーへの対応が発表されましたけど、あれはかなりの決断が必要だったんじゃないですか?
辻本 いや、そこに意地になる必要はないんです。幅を広げたあとは、ユーザーのチョイスじゃないですか。やっぱりクラシックコントローラーのほうがいい、って人はそれで遊んでもらえばいいし、新しいのに触れたいっていう人はWiiリモコンで遊んでもらえればいい。個人個人の感覚でいいと思います。
大塚 幅が広くなったと言えば、世界観も幅が……っていうか、深くなりましたね。
辻本 ずっとやりたかったことが、ゲーム中でできるようになってきたんですよね。いままでって、「モンスターを見てくださいね」、「行動を見てくださいね」って言ってきましたけど、全部攻撃に対する行動だったんですよ。どういう攻撃をしてくるのか、とか、どの時間がチャンスだ、とか。”攻撃に対する観察”ですね。『モンハン3(トライ)』でもそれは見ないといけないんですけど、それに加えて今回は”生態”にも色々な要素が仕込まれているんです。「こいつはこういう生態をしているから、つぎの行動はこれかな?」っていう具合に。これがゲーム性にも絡んでいるんで、より観察眼をしっかり持つと、さらに楽しくなりますよ。
大塚 もう、学問の世界だなあ。これだけ生態系がしっかりしてると、”『モンハン』生態学者”なんてのが出てくるんじゃないかな(笑)。
辻本 あはは! こっちが教えを請いに行ったりね(笑)。
大塚 でも、よくあそこまで深まりましたねえ。まえから聞いてたじゃないですか? 良三さんや藤岡さんに。もっと世界観を深めて、それこそ生態系を作りたいって。
辻本 イチから作れたからこそ、ですね。いままでのシステムで作っていたら、これは実現不可能でしたから。
大塚 俺が知らないってだけで、まだまだ奥が深そうですね。
辻本 まだまだ(ニヤリ)。大塚さんが知らないことは山のようにありますよ。
大塚 アクションの部分も楽しみなんですけど、俺くらいのマニアになると生態系の深まりこそ楽しみですよ。
辻本 それが、ワクワク感、なんですよね。「こいつ、何をしよるの?」っていう。攻撃だけじゃなく、急にいなくなったと思ったら、ハンターがいないところで食事してたりね(笑)。
大塚 昔から、本当にリアルに描かれた世界観があって、プレイヤーはあくまでもその一部にすぎず……っていうゲームを夢想していたんですけど、それがたぶん、『モンハン3(トライ)』なんだろうな……。
辻本 うん、そうかもしれない。
大塚 ホントに、優秀な人たちが集まっているんだなぁ、『モンハン』のチームって……。
辻本 そうですね。……いい意味で、ややこしいヤツばっかですけど(笑)。
大塚 柔軟、なんでしょうね。
辻本 柔軟だけど、こだわれる。そういう人間の集まりです。
大塚 いまファンに言いたいことってなんですか?
辻本 一部の情報しか出していないってことは、まだまだたくさん、みんなに驚いてもらえるものを用意していますよ、ってこと。初代『モンハン』のときと同じように、あれを見ても驚く、これを見ても驚く、というのを感じてほしいんです。そして、そういうふうに作っているつもりです。早く情報出して、っていう意見もあるでしょうけど、もうちょっと待っててください。まあ今回、情報を出せたのでホっとしています。いまがスタートラインですね。
大塚 いつまでも待ちますよ。『2nd G』を遊びながらね(笑)。もうホント、一生遊べるわコレ(笑)。
辻本 あははは! よろしくお願いします(笑)。

投稿者 大塚角満 : 20:58

【MH3】第3回!? 海竜は躍動する

 東京ゲームショウ2日目の今日も、カプコンブースに噛り付き。『モンスターハンター』制作チームの面々に、「大塚さん、ほかのブースまわらなくて平気ですか……?」と真顔で心配されたくらい、カプコンブースにしがみついていました。でも、オノレの名誉のために言っておきますが、キチンとほかのブースを巡って、気になっていたゲームを遊ばせてもらいましたよ! さらに、いろんなクリエーターの方からさまざまなお話をお聞きしました。それも少しずつ、ファミ通.com上で発表させていただきます。東京ゲームショウは、こうでなくっちゃねえ。

 それでも、最大の時間をカプコンブースに割いていたのは事実。そして、(我ながらシツコイなぁ……)と思わなくもなかったが、またまた『モンスターハンター3(トライ)』を遊ばせてもらった。今回はなんと、我らが逆鱗日和ファミリー(中目黒目黒、女尻笠井、江野本ぎずも)が勢ぞろいしての協力プレイだ。これほど頼りがいがあり、同じくらい頼りにならないパーティーがほかにあるだろうか?

 東京ゲームショウの会場がオープンするのと同時に、俺を先頭にカプコンブースを目指す逆鱗日和ファミリー。その様子を客観視した笠井がボソリと「大塚さんを先頭にして4人で歩いていると、(こいつら100パー、『モンハン』遊びに行くんだな)といろんな人に見抜かれそうで、なんか恥ずかしいっす」と失礼千万なことを言いやがる。俺、笠井をにらみつけて、「ホントに『モンハン』やりに行くんだから恥ずかしがることねえじゃねえか!」と言い、肩で風を切って混み始めた東京ゲームショウの会場を闊歩した。

 カプコンブースは今日も、東京ゲームショウ会場でいちばんの混雑となっていた。『モンハン3』に『バイオハザード5』、『逆転検事』、『ストIV』、『バイオニックコマンドー』や『タツノコvs.カプコン』までプレイアブル出展されているときたら、そりゃあ混むってものでしょう(しかもこれでも書ききっていない)。そんな、大作や名作が林立しているカプコンブースの中にあって、今日もダントツの人出となっていたのが『モンスターハンター3』だ。

 待っているあいだに、4人で顔を突き合わせて作戦会議をした。挑みたいのはやはり、『モンハン3』の象徴・”海竜”ラギアクルスだ。ビジネスデーの2日間、この偉大な新モンスターを討伐してのけたパーティーはほとんどいないらしい。こいつは千載一遇のチャンスだ。俺たちがいちばん最初にラギアクルスを屠り去ることができたら、長年の俺のコラムで染み付いてしまった”ヘタレ軍団”の汚名を一気に吹き飛ばすことができるぞ。俺は3人に言った。

 「もっとも手強い海竜に挑みたいんだけど、覚悟はいいかね?」

 相変わらず何も考えていない目黒が元気に応じる。

 「当然です!! やってやりましょう! 狩ってやりましょう! ……で、かいりゅうって何ですか??

 目黒のテキトー発言をいつものようにスルーし、俺はつぎの言葉を発した。

 「みんな、武器は何でいくの?」

 東京ゲームショウバージョンの『モンハン3』では、大剣、片手剣、ハンマー、ライトボウガン、ヘビィボウガンの中から武器を選択できる。俺は大剣と片手剣は体験済みなので、「今回俺は、ライトボウガンで行くね」と宣言。それを受けた結果、目黒は大剣を、笠井はハンマーを、江野本は片手剣を選択する。従来の操作系であればまったく問題ない組み合わせのパーティーだが、これから挑むのはWiiリモコンとヌンチャクに操作が割り振られた『モンハン3』だ。全員がバラバラの武器で、本当に大丈夫なんだろうか……? と、大いに不安を覚えたフリをしてみたが、心のウチの(こいつはおもしろいことになりそうだ)という思いが顔に出たらしく、右隣で真剣に操作方法が書かれたパネルをチェックしていた江野本ににらまれてしまった。

 さあて、逆鱗日和ファミリーによる『モンハン3』初プレイだ。討伐目標は当初の予定どおり、象徴・ラギアクルス。当たり前だが、相手にとって不足はないぜ!

 キャンプに降り立った逆鱗日和ファミリーは、おのおのが勝手なことを始めた。Wiiリモコンによる操作があまりにも新鮮で、「うおお! なんだコレは!(笑)」(目黒)、「やべえ!! 楽しいかも!!」(笠井)と子供のようなハシャギようである。江野本などはキックのボタン(−ボタン)を発見して、キャッキャ言いながらやたらと俺を蹴飛ばしてくる。俺もライトボウガンで散弾でもぶっ放して反撃しようと思ったのだが、そもそもライトボウガン自体触るのが久しぶりだったので基本的な動作がわからねえ(苦笑)。俺、「こ、こんにゃろ……」とうめくのが精一杯で、いつのまにか江野本に逃げられてしまった。

 そんなこんなで新しい操作方法を無邪気に楽しんでいたら、「残り時間10分でえす」の文字が画面に表示された。逆鱗日和ファミリー、皆一様に「!!!!!」と頭の上からビックリマークを飛び出させて驚愕の表情を作る。は、早く現場に行かないと討伐するどころの騒ぎじゃねえ!! 俺たちは「あうあうあう!」と慌てふためきながら狩場へと直行した。

 海に潜ると、いましたいましたラギアクルス!! 青い海の中で、うねうねと妖艶にうねっている。この、美しい蒼色のモンスターをひと言で言い表す文字は”荘厳”であろう。人が住まわぬ海を統べる、圧倒的な存在感。荘厳が意味する”別の世界に引きこむような何か”を、このモンスターは持っている。さすが、『モンハン3』の象徴。こいつとも、長い付き合いになるんだろうなぁ……。そんなことを考えながら海の中でポケーっとしていたら、あっと言う間に間合いを詰められ大迫力のタックルを思いっきり食らってしまった。いかんいかん。狩猟に集中しなければ! ちなみにライトボウガンの操作は、右手のWiiリモコンをブルっとひと振りすると武器を構え、Aボタンで弾丸発射。リロードは−ボタンで行う。スコープモードにするにはZボタンをひと押し。弾丸の種類はCボタンを押しながら+キーの上下で選択する。こんなところかな? Bボタンで回避行動、+ボタンで武器を収めるのは近接武器と同じだ。

 そうだ、せっかくだから水中での操作もわかる範囲で書こう。基本的には陸上とそんなに変わらず、ヌンチャクのアナログスティックの操作で勝手に泳いでくれる。速く泳ぎたいときはZボタンを押しながらアナログスティックを倒せばいい。陸上で走るのと同じだ。決定的に違うのは、水の中での上昇と下降だろう。これを行うには、Wiiリモコンのカメラを操作する必要がある。具体的に書くと、カメラを上目線にしてアナログスティックを上に倒せば上昇、下目線にしてアナログスティックを上に倒せば下に向かって泳ぐ。この操作はさすがに若干の慣れが必要だが、それでも”若干”程度。「3回くらいクエストやれば問題ないな」と俺が思ったくらいなので、ベテランハンターだったらもちろん、逆にまったく『モンハン』に触れたことのない人のほうがすんなりと扱えるかもしれない。ちなみに海に入ると”酸素ゲージ”と言える目新しいゲージが画面に出る。このゲージが減ってきたら海から顔を出すか、海底のところどころでポコポコと湧いている酸素地点に行く必要がある(もしくは、酸素玉というアイテムを使用するといいらしい)。酸欠になったときにどうなるのか……は聞き忘れたので書けません(ごめんなさい)。

 逆鱗日和ファミリーとラギアクルスの生存競争は凄絶を極めた。操作を確認しながら立ち回っているので忙しいったらないのだ。左右にいた目黒と江野本から、「お、大塚さん、どうすりゃいいんですか!?」という声が飛んできていたが、俺も慣れないライトボウガンをガチャガチャやるので精一杯。とても助言できる状態ではない。けっきょく、海の中で目黒が1オチ、ラギアクルスが陸に上がったところで江野本が1オチ。まったく歯が立たぬまま、15分のクエスト時間が終了となってしまった。

 それでもやっぱり、気の置けないこのメンバーでフィールドに飛び出すのは楽しい。これがまた、新しい世界、新しい操作体系だからおもしろさに拍車がかかって、俺はもう、クエストのあいだじゅうワクワクが止まらなくてしかたなかった。逆鱗日和ファミリーの面々も顔を紅潮させて、いつもより1オクターブ高くなった声で口々に感想を言い合っている。

 「すげえ楽しい!! 僕的には圧倒的にWiiリモコンで遊ぶほうがおもしろいっすよ!! いやあ新鮮だったなぁ〜」(笠井)

 「たまんないっすねコレは! 水中はたいへんそうだなぁ……って思っていましたけど、めっちゃおもしろかった!」(目黒)

 「楽しかったっす〜!! ラギアクルス、けっこう固かったなぁ。もうちょっと武器を頻繁に砥いで……って、眠れなくなりそう(笑)」(江野本)

 こうやって仲間と、初代『モンハン』に初めて触れたときと同じような会話をしていると、藤岡ディレクターが言っていた「もう一度イチから、『モンハン』を作りたくなったんです」という言葉がさらに心に響く。5年まえに『モンハン』に出会ったときと同等の感動を覚えながら、俺はいつまでも逆鱗日和ファミリーと、いまのクエストの反省会を行うのだった(笑)。

投稿者 大塚角満 : 23:18

【MH3】第2回!? 『モンハン3』の中で、モンスターたちは確かに生きている

 今年のゲームショウ、ヤバい……。ニュースが多すぎる……。しかもぜんぜん関係ないけど、”ニュースの巣”となっているカプコンブースと、俺らファミ通ニュースチームがファミ通.com用のニュース記事を作っている作業エリアが離れすぎ……。30分ごとに新発表がなされるので、そのたびに200メートルくらいはあると思われる通路を猛ダッシュ。こりゃあ痩せるぜ!! と、ちょっとハイテンションで枕詞を書いたところで本題です。

 前回の記事で書いたとおり、東京ゲームショウ2008のカプコンブースにはWii用ソフト『モンスターハンター3(トライ)』の体験コーナーが展開されているが、これを補完するような形で辻本良三プロデューサー、藤岡要ディレクターによる『モンハン3』のプレゼンテーションも実施。世界観のより深い部分や、モンスターに関する新要素なども語られた。それらの言葉も引用しつつ、いまわかっている『モンハン3』の情報をつまびらかにしてしまおう。

 『モンハン3』のコンセプトについて藤岡ディレクターは、「このシリーズも5年目を迎え、ユーザー層もどんどん広がっていきました。そういったユーザーからたくさんの意見を頂戴し、それらをじっくりと見て、”『モンスターハンター』をもう一度作り直そう”と思ったんです。システムもすべて、イチから作り直しています。コンセプトは”もう一度、『モンスターハンター』を作ろう”です」と語る。実際、先の記事でお伝えしたとおり、グラフィックも操作系もこれまでの『モンハン』から一新。しかし俺は『モンハン3』でもっとも変わったもの……というか深まったのは”思想”の部分だと思った。

 もっともわかりやすいのが、モンスターの行動だ。クルペッコの、鳴きマネをして他のモンスターを狩場に呼び寄せる……という目立った部分だけではなく、本当に細かいところまで、制作陣の思想が貫かれているのだ。たとえば、アプトノスの行動。これまではひとつのエリアで草を食み、大型モンスターが現れると別のエリアに逃げてそのまま消えてしまったが、『3』のアプトノスは各エリアを”周回”している。現実世界の動物、魚などが自分のテリトリーを巡回するのと同じように。実際、アプトノスを蹴っ飛ばすと隣のエリアに逃げていくが、それを追いかけるとキチンと、アプトノスの群れが隣のエリアから現れる。草食竜たちもキチンとその世界観の中で”生きている”ってわけだ。それと『3』では新たに、モンスターにも”スタミナ”という値が設けられた。攻撃を受けたり、行動することでこの数値は減ってゆくらしく、たとえば大型モンスターがタックルをしてきたとき、スタミナがたっぷり残っているときはズザザーッと倒れこんだりしないが、スタミナが減っているとモンスターも足腰に来るのか、ズザッと倒れこむ。またスタミナが減ると罠にかかっている時間も長くなるので、ハンターにとっては新たに、モンスターのスタミナを減らすことを狙う立ち回りをするのも有効な手段となり得るらしい。

 ではスタミナは減り続けるだけで回復しないのか? じつはキチンと世界観に沿った約束事の上で、モンスターのスタミナも回復する。スタミナが減ると大型モンスターは飛び立ち、自分が捕食しているモンスターがいるところに直行してそのモンスターを捕らえ、食べるのだ。こうすることでスタミナは回復し、再び元気にハンターに襲い来るようになる。”モンスターがモンスターに複雑に絡む”という、いままで以上に深まった生態系の中でモンスターたちは生きているということだ。

 ともすればプレイヤーの行動とは関係なさそうな世界観の深まりだが、これこそが”ミスターモンハン”、藤岡要ディレクターが突き詰めたかったところなんだろうな、と素直に思う。なぜ素直になれるのかと言えば、実際にこの世界観の中に放り込まれたときに、モンスターたちが見せる本当に細かい一挙手一投足が”この世界で生きるために必要なこと”と手応えとして伝わってくるからだ。彼らは確実に、『モンスターハンター3』という”地球”の中で生きようとしている。そんな彼らと絡むことで、ハンターも「生きているんだ」と実感できる。『モンスターハンター3』の世界は、そういう場所なのである。ゲームがきちんと呼吸しているということを、東京ゲームショウの会場で『モンハン3』を遊んだ人にはきっと伝わるはずだ。

投稿者 大塚角満 : 23:40

【MH3】第1回!? 『モンスターハンター3(トライ)』、体験しちゃいました!

 えーっと、何から書きゃいいんだ!! 書きたいことがありすぎてありすぎて、大人気なく大混乱しております。そう、『モンスターハンター3(トライ)』ですよハンターの皆さん! 東京ゲームショウ2008の会場で体験できちゃうんですっ!

 というわけで、睡眠時間30分ほどの重い身体を引きずって、やってきました幕張メッセ! そしてわき目も振らずに並びましたよカプコンブースの大行列に!! 先に書いてしまいますが、カプコンブースの『モンハン3』体験コーナーは4時間待ちになっております……。

monhun4jikan.jpg
▲ビジネスデーだというのに、この段階で4時間待ち。俺が確認した限りでは、4時間30分待ちまで行列は伸びていた。

 そんな中、さっそく体験させてもらいました『モンハン3』! 冒頭の大混乱は、『モンハン3』をやった結果、あまりにも書くべきことがたくさん出てきてしまったがために発せられた”うれし悲鳴”だったわけですな。

 ドキドキしながら待っていると、ブースのお姉さんがやさしく、Wiiリモコンとヌンチャクを手渡してくれた。ホ、ホントにWiiで『モンハン』やるんだ……と、当たり前のことに震える俺。そしてその手。いよいよ、待ちに待った『モンハン3』で遊んじゃうんだ!

 今回の東京ゲームショウバージョンで選べる武器は、大剣、片手剣、ハンマー、ライトボウガン、ヘビィボウガンの5種類。もう、片っ端からとっかえひっかえして遊び倒したい心境だったが、4時間待ちの行列ができているのでそうもいかぬ。とりあえず「『モンハン』の基本は大剣!」と叫んで、大きな剣を手にした。

 さあ、全国250万人のハンターが待ち望んでいた、Wiiの『モンハン』の操作系を公開しちゃおう。とりあえず、サンプルは大剣ね。さあ想像してください。右手にWiiリモコン、左手にヌンチャクを持ちましたね? では、『モンハン3』の世界にご案内しましょう。

monhuntritaiken.jpg
▲最初はWiiリモコンの操作に戸惑いがちだが、すぐに慣れる!

 いちばん奇抜であり、またWiiの『モンハン』らしさが全開となっているのが”抜刀攻撃”だ。なんと納刀した状態で右手に持ったWiiリモコンを「ブルッ」と振ると、ハンターは抜刀を行う。これを、ダッシュした状態で行うと大剣を振りかざしての抜刀攻撃となるのだ! そのままAボタンをポンポンと押すと通常のコンボがつながる。基本はこれ。「じゃあ、狙って薙ぎ払いや斬り上げ攻撃をやりたいときは?」というクエスチョンが飛んでくるまえに答えてしまうが、たとえば薙ぎ払いをお見舞いするときは、Wiiリモコンを内側に軽く傾けてAボタンを押す。そして斬り上げは、外側にWiiリモコンを傾けてAボタン。これだけだ。このほか、溜め攻撃や新しいモーションの攻撃もあるようだが、夢中になって剣を振り回していたので、そのへんの詳細はつぎのリポートでお伝えしたい。少なくとも、Wiiリモコンとヌンチャクをブンブンギャンギャンと振り回す操作は存在しません。

 そのほかの動きも解説しちゃおう。まず移動は、ヌンチャクのアナログスティックで行う。これは、従来の『モンハン』シリーズを踏襲した操作だ。視点変更はWiiリモコンの十字キー。回避行動(前転)はBボタン(Wiiリモコンのトリガーね)。納刀は+ボタン。ダッシュしたいときはヌンチャクのZボタンを押しながらアナログスティックを操作。アイテム使用はヌンチャクのCボタンを押しながら十字キーで使いたいアイテムを選択し、Cボタンを押しながらAボタンを押す。採集や剥ぎ取りを行うときはAボタンでもいいが、ヌンチャクを「ブルッ」と振ることでも同じ動作をする。あと、移動中や戦闘中のカメラ視点のリセットは、Cボタンでした。

 えーっと、基本操作はこんなところかな? では俺が挑んだクエストの様子を振り返りながら、操作系のことなどをさらに突っ込みたい。

 今回のカプコンブースでは、4人協力プレイで『モンハン3』を楽しめる。俺たちのパーティー(もちろん、知らない人ばかり)の討伐目標に選ばれたのは、『モンハン3』で初登場となる鳥竜種”クルペッコ”だ。クルペッコは非常にトリッキーでユーモラスなモンスターながら、じつに多彩な攻撃を仕掛けてくる。特徴は、他のモンスターの鳴きマネをして面倒なモンスターを呼び寄せる能力と(バサバサとレイアが飛んでくることも!)、ひょうきんなステップを踏んで自分やまわりのモンスターの攻撃力をあげたりすること。またカチカチと火打石を鳴らして、火属性の攻撃も仕掛けてくる。ね、とっても多彩でしょう。

 俺はWiiリモコンをこねくり回しながら、ひととおりの操作を試してみた。いままでの『モンハン』にはなかった操作なので、当然ながら最初は戸惑った。(だ、ダイジョブかな俺……)と思った。(まともに立ち回れるだろうか……)とも思った。でもそれ以上に、「早くこの操作で、大型モンスターに立ち向かいたい!」と強く強く思った。やっぱり新鮮な操作は、これ以上ないワクワク感をもたらしてくれるのだ。

 そしてついに、クルペッコとご対面。俺、一瞬の躊躇もなくダッシュでクルペッコに接近し、「ブルッ」とWiiリモコンを振る。非常にレスポンスよく、画面の中の俺の分身が抜刀攻撃をお見舞いした。そのまま、Aボタンをポンポン……。小気味よくコンボがつながる。そしてBボタンで回避行動してクルペッコとの距離を取る……。すべてのシーン、アクションが違和感なく、俺の中に流れ込んできた。もちろん、あたふたした場面も多々ある。視点変更がうまくできずにモンスターを捉えきれなかったり、納刀用の+ボタンを押し慣れていなくてついつい画面から目を離してWiiリモコンを見つめてしまったり。『モンハン』をやり込んでいる人こそ、俺と同じような戸惑いを覚えるだろう。

 それでも、まったく新しい『モンスターハンター』はとてつもなくおもしろい!! 戸惑うかも、と書いた操作も、2、3回遊んじゃえば”このシリーズ、もとからこの操作だったよな?”と思えるのに違いないと確信した。戸惑いよりも新しい感動の波のほうが圧倒的に強烈で、もっともっと、もっともっともっと遊んでしまいたくなった。

 このシリーズを5000時間以上遊んでいる俺が断言する。

 『モンスターハンター3』は、操作こそ一新されたものの間違いなく”モンスターハンター”だ。会場で実際に遊んだ人は、この言葉の意味を深く知ってくれると思う。

 追加で書くことがあったら、また更新しますね!

投稿者 大塚角満 : 11:25

【MHP 2nd G】第122回 武神の名のもとに その2

 俺と江野本ぎずもによる”武神闘宴”の歴史は、苦難と挫折と絶望の歴史と言っていい。自分ひとりで、マイペースにできた”モンスターハンター”のときと違い、今回はふたりのスケジュールを合わせて時間を作る必要があった。でも、やろうと思ったら50分間はこのクエストに縛られることを覚悟しなきゃいけないので、どちらかに何か予定が入っていたり、ニュースが入ってくることが予想される日などは「今日はちょっときびしいね」ってことになってしまう。クエストに行けたころで3回も4回も連続で挑むことはほぼ不可能なので、クエスト中に何かを得たとしても「……悪りぃ、今日はこれ以上は無理だ」、「スイマセン、取材行ってきます……」てなことになって、つかみかけたコツやリズムは平気でスルスルと手の中から逃げていってしまった。想像していた以上に、ふたりで挑む武神闘宴の壁は高かった。

 それでも挑戦し始めのころは、「まあふたりなんだし、どうにでもなるべ」と、どっからその自信が湧いてきていたのか皆目わからないが、かなーりナメた態度でクエストに臨んでいた。なんたって、1回目に俺が持っていた武器は大砲モロコシで、江野本がライトボウガンの繚乱の対弩。どちらも悪くはないが、”究極のクエスト”に挑むにはちょっと気合不足と言われても反論のしようがない。当然これではまったく歯が立たず、1頭目のナルガクルガで俺が1オチ、2頭目のティガレックスで江野本が連続オチ。……って、ここらへん、よく読むと”武器が弱いから3オチした”という結論になっているが、オチることと武器が弱いことは直接関係はないですね。自分で言ってりゃ世話ないですね。そうですね。で、2回目で俺は武器をヘルブリザードにチェンジしたがまったく起爆剤にはならず、またまたティガレックスまでに3オチを計上。ここで初めて俺たちは、「ぶ、武神闘宴、侮りがたし……」と思ったのである。

 俺たちは、装備の見直しを余儀なくされた。そりゃあそうである。5頭の大型モンスターを討伐しなきゃいけないのに、俺たちは2頭目で3オチして村に強制送還されているのだ。武器の面でもスキルの面でも、ここで抜本的な改革をしなければとんでもないことになってしまうぞ……。

 とくに、根本からテコ入れをしなきゃならないのは江野本ぎずもの装備だ。まず武器。江野本も自分の攻撃力のなさにはショックを受けたようで、「繚乱じゃキツイのかな……。つぎは片手剣で行ってみます」と神妙な表情。しかしその片手剣にしても、最終段階まで育っている強力なブツがほとんどなくて、「うーん……」と頭を抱えている。そんな江野本からPSPを強奪し、彼女が持っている武器リストを眺めると、毒属性の”クイーンローズ”を持っているではないか。これを最終段階の”ロイヤルローズ”に育てられればかなりの戦闘力アップになるはずだ。俺は言った。

 「えのっち、ロイヤルローズを作っちゃいなよ。毒はかなり有効なはずだから」

 江野本、キョトンとした顔で応える。

 「そんな金ないっす。だって、12万ゼニーもかかるんだもの」

 俺、目を丸くして「それくらい、素材を売ればすぐだべ! 金作れ金作れ!」と上司の威厳たっぷりに命令。俺の剣幕を見て江野本はしぶしぶとアイテムボックスを覗き込み、すぐに「あ! これなら売れる!」と顔を輝かせた。彼女は言った。

 「カラの実がたくさんあるー。これ売ろーっと♪」

 俺、グラビモスのように口から火炎を吐き出しながら激怒した。

 「んなもの、何の足しにもならねえよっ!!!!!!!

 こういったくだらないやりとりが、このあと何回あっただろうか(苦笑)。あーでもない、こーでもないとふたりで喧々諤々と騒ぎながら装備と立ち回りを突き詰めていったが、どうにもうまくいかない。3頭目のモンスターとして現れるグラビモス亜種がとてつもなく強く、どうにかこれを討伐しても残り時間は3分とか、よくて5分程度しか残らないため、4頭目のディアブロス亜種であっさりと時間切れになってしまうのだ。

 武神闘宴にチャレンジすること8回目。最初の転機が訪れる。江野本が、苦渋の表情で清水の舞台から飛び降りて断腸の思いで(シツコイ)金を作り、超強力なライトボウガン・”金華朧銀の対弩”を完成させたのだ。長年使っていた繚乱の対弩に別れを告げて、ついに最強クラスのライトボウガンを手にすることに成功したのである。この、金華朧銀の効果は思いのほか大きく、武神闘宴に挑戦すること10回目でついに、最後に控えるラージャンを引きずり出すことに成功する。……まあ、残り時間1分30秒しかなく、ディアブロス亜種の亡骸が消えたとたんに時間切れになって、ラージャンの姿を拝むことはできなかったんだけどな(苦笑)。それでも、本当にわずかながら希望の光が見えた気がした。

 そして11回目、今度は俺が自分の装備にテコ入れをした。いままで頼り切っていたスキル”心眼”を捨てて、新たに”斬れ味レベル+1”を発動させて、斬れ味に紫ゲージが出現するガンランスで勝負しようと決意したのだ。ついでに、マイナススキルの”挑発”も発動させる。防御力の低いガンナーの江野本に、ちょっとでも攻撃が向かないようにする配慮であった。

 15回目。現在も続く”最終装備”がここで完成を見る。あまり頼りたくなかったのだが「もうこれしかないヨ!!」とプライドを捨てて、爆弾軍団を狩場に持ち込む決断をしたのだ。しかもたまたまなのだが、キッチンスキルで”ネコの火薬術”が発動したのを見て「これだっ!!」といきり立ち、間髪入れずに「これでセーブして一生上書きしねえ!!」とわめいて速攻でセーブしてくれた。これで何度失敗しても上書きセーブしない限り、つねにネコの火薬術が発動した状態でクエストに挑戦することができるぞ。江野本も、荷物が多くなるガンナーながらなんとか切り詰めて、可能な限りたくさんの爆弾を持つことに成功。「爆弾を有効利用して、今度こそ武神闘宴をクリアーしてくりょう!!」と俺たちは充血した目で誓い合った。

 しかし悲しいことに、この作戦も決定打にはならない。ナルガクルガ、ティガレックス、グラビモス亜種までは順調にタイム短縮できたのだが、副将として待ち構えるディアブロス亜種でどうしても時間を使ってしまうのである。ひーこら言いながらなんとかディアブロス亜種を葬り去っても、残り時間は5分〜7分といったところ。これでは最後に控える激昂したラージャンには歯が立たない。俺と江野本は顔をつき合わせて「うーんうーん」と唸りあった。江野本が言う。

 「なぜディアブロス亜種に時間を使ってしまうのか? それは、やたらと走り回ったり地面に潜ったりされるからです。なんとか足止めできるといいんですが……」

 ディアブロス亜種を足止めする手段として有効なのは、言わずもがなだが音爆弾と閃光玉だ。しかしディアブロス亜種は体力が減ってくるとやたらと怒りまくり、そうなると音爆弾がいっさい効かなくなるので、頼みの綱は閃光玉だけとなる。しかし閃光玉はナルガクルガやティガレックスにも有効なので、ここでタイムを縮めたいがために、俺は全部で15個ある閃光玉をほぼありったけ、ティガレックスまでで使い切ってしまっていたのだ。わざとらしく眉間に皺を寄せながら、俺は言った。

 「序盤で閃光玉を温存して、ディアに全部使う覚悟で臨んでみるか……。ナルガやティガは、閃光玉がなくてもなんとかなるさ!」

 江野本もこれに応え、「はい! それで行きましょう!」と目を輝かせる。この作戦が機能しなかったら、またイチから考え直さなければいけないだろう。いわば俺たちは、背水の陣を敷いたのだ。

 24回目の挑戦。最初のナルガクルガを8分半で、ティガレックスを11分半で討伐。グラビモス亜種は、残り時間20分ちょうどくらいで屠り去った。俺たちふたりにしてはまずまずのペースだ。使った閃光玉は、1個だけ。まだ14個も残っている。でも問題はここからだ。ディアブロス亜種を、閃光玉で縛ることができるのか!?

 俺は「もうずっとピヨってろ!!」とばかりに閃光玉を投げ続けた。これによりディアブロス亜種は、闘技場に現れてからほぼ休むことなく(?)目が眩んでいたのではなかろうか。閃光玉で動きを止めたら、ひたすら頭を攻撃。江野本はディアブロス亜種に有効な氷結弾を、顔面から叩き込んでいる。「これならいける!!」とふたりが確信したとき、拍子抜けするほどあっさりとディアブロス亜種が地面に崩れ落ちた。「うわ! 早いな!」と俺。「マジっすか!? ビックリした!」と江野本。見ると残り時間は13分30秒とある。武神闘宴に挑戦して以来、最高の持ち時間をラージャンに残すことに成功したのだ。

 「いけるかもー!!」

 俺たちふたりは同時に叫んだ。13分あれば、ふたりがかりだったらなんとかなるはず!!

 しかし残念ながら、大将・激昂ラージャンに翻弄されて俺たちは3オチを計上してしまう。それでも、俺と江野本の顔は明るかった。ようやく、ラージャンとまともに渡り合うことができる土俵に立つことができたのだ。江野本は笑いながら、こんなことを言った。

 「大塚さんは27回かかって”モンスターハンター”をクリアーしたんですよね? 武神闘宴は絶対に、27回以内にクリアーしますよ!!」

 こんだけ叩きのめされているのにそれだけ前向きでいられたら、クリアーする日も遠くないだろうな。俺も明るく笑いながら短く、「そうだな」と言った。


※追記※

 10月9日から東京ゲームショウ2008が始まりますね! いやあ、楽しみ……よりも今年はニュースがたくさんありすぎて怖ええ!! もう10年以上、ファミ通のニュース担当記者をしていますが、こんなにドキドキする東京ゲームショウは初めてです。

 でね。

 今年も週刊ファミ通は小さいながらもブースを展開し、クリエーターさんを呼んでのトークショーやいくつかのイベントを行うのです。そこで、まことに僭越ながら……大塚角満イベント(!)も行うことになりました! ひー、恥ずかしい!

 拙著『逆鱗日和』シリーズに関するとある告知と、ちょっとしたイベント(?)を企画しております。開催予定日時は、10月12日(日)の午後3時から。閑散としていると泣いちゃうかもしれないので、興味のある方はぜひ、ファミ通ブースにいらしてください!! よろしくお願いします!!!

投稿者 大塚角満 : 19:58

【MHP 2nd G】第121回 武神の名のもとに その1

 ネコートさんの最終クエスト”モンスターハンター”をクリアーしたハンターのまわりには、じつにアンニュイな時間が流れる。(もう、あわてなくていいんだー)と思い、(これからは齷齪せずにのんびり行こう)とも思う。俺もその例外ではない。すっかり日向ぼっこが似合う心涼しいセミリタイアした戦士のようになり、やり残していたクエストを消化したり、採集に励んだり、トレジャーハンターに出向いたりと、何に追われるでもない自由な風となってフィールド駆け抜けるようになった。ある意味、これはハンターの行き着く理想郷でもあった。

 ところがそんなある日、事件は起こった。

 二日酔いの頭で大阪出張から帰ってきたその日、江野本ぎずもが俺を見つけるやいなやギャーギャーとわめきまくり、決死の表情でこう告げたのだ。「おおお大塚さん!! とんでもないダウンロードクエストが配信されましたよっ!!!」と。その声を聞いた瞬間、血中に溜まっていたアセトアルデヒドが瞬時に消し飛び、一気に血液が濃くなるのを感じた。そうか……。ついにあのクエストが配信されたのか……。目が眩むような事実に打ちのめされ、ただただ天を仰ぐ老境のガンランサー。そんな俺に向かって、江野本はこう言った。

 「大塚さん。もう一度本気で、ガンランスを手にするときが来たんじゃありませんか?」

 ……おまえ、悠々自適な毎日を送っていた俺に挑戦しろと言ってるのか? このクエストに何が出てくるのか、知らないわけじゃないだろう……? 俺は戸惑いながら江野本に向き直り、「……俺がクリアーできると思ってんの?」と少々謙遜しながら素の声で尋ねた。そんな控え目な37歳に、『逆鱗日和』の編集者は容赦がなかった。

 「いえ、無理でしょうね」

 あまりにもはっきりと言われ、二の句が告げなくなって「むぐぐぐぐ……」と唸る俺。まったく、河合リエかオマエは。そんな、ダメ出ししたガンランサーに向かって、江野本はこんなことを言った。

 「ソロでやってもいいと思いますけど、大塚さんとガンランスのコンビではまず不可能です。なのでこのクエストに関しては、あっしがお供しますよ! ふたりでクリアーしてやりましょうよ!!」

 な、なるほど。そうきたか……。じつはこのクエストが配信されるまえから、「えーっと、俺とガンランスの戦力を考えると3頭目まではなんとかいけるかもしれないけど、そっからそっから……うーん……」といろいろと脳内シミュレートしていたのだが、どう贔屓目に考えても、俺ひとりでこのクエストをクリアーする絵が浮かんでこなかった。ネコートさんの”モンスターハンター”はソロ限定の村クエストだったこともあり、「村クエストなんだからどんな武器カテゴリーでも絶対にひとりでいけるはず!!」と確信に満ちたセリフを自分に叩きつけられたので、モチベーションを維持することができた。しかし”こいつ”は集会所のクエストで、しかも参加条件は”ハンターランク9であること”。この事実は噛み砕けば、”ハンターランク9のツワモノ複数人で挑むことが望ましい”と言ってるようなものだ。そんなクエストにひとりで挑むことを考えたら、いくら俺がずうずうしくても、余裕でクリアーする絵なんて想像できるわけもないのである。

 しかし勇気か無謀か、この恐るべきクエストに挑むためのパートナーとして江野本ぎずもが名乗りを上げた。俺のコラムではズッコケシーンばかりが描かれる彼女だが、一応これでも、ハンターランク9の現役ハンターである。確かに江野本が付き合ってくれれば、戦力が2倍……とはいかないまでも1.65倍くらいにはなるであろう。

 ……よし行くか、もう一度あの狩場に。悠々自適のセミリタイア生活は確かに居心地がよかったが、俺はやはり、根っからのハンターなのだ。武器庫の隅に立てかけておいた屈強なガンランスを手に持ち、つぎつぎと襲い来るライバルたちと渡り合うのだ!!

 「行こうか、えのっち。大闘技場に!!

 モンスターハンターを上回る絶望と困難が待っている気がしたが、なあに、何とかなるさ。「はい!!」と元気に応える相棒の顔を見て、俺は勝利を確信した。

 武神闘宴−−

 大闘技場で俺たちを待つこの至高のクエストは、その難易度の高さから畏敬の念を込めて”真・モンスターハンター”とハンターたちに呼ばれている。とてつもない強大なクエスト。俺たちの、”最後の挑戦”が始まった−−!

※追記※

 10月9日から東京ゲームショウ2008が始まりますね! いやあ、楽しみ……よりも今年はニュースがたくさんありすぎて怖ええ!! もう10年以上、ファミ通のニュース担当記者をしていますが、こんなにドキドキする東京ゲームショウは初めてです。

 でね。

 今年も週刊ファミ通は小さいながらもブースを展開し、クリエーターさんを呼んでのトークショーやいくつかのイベントを行うのです。そこで、まことに僭越ながら……大塚角満イベント(!)も行うことになりました! ひー、恥ずかしい!

 拙著『逆鱗日和』シリーズに関するとある告知と、ちょっとしたイベント(?)を企画しております。開催予定日時は、10月12日(日)の午後3時から。閑散としていると泣いちゃうかもしれないので、興味のある方はぜひ、ファミ通ブースにいらしてください!! よろしくお願いします!!!
 

投稿者 大塚角満 : 16:41

【MHP 2nd G】第120回 フィールドのジュヴナイル

 悲願だったネコートさんの最終クエスト”モンスターハンター”をクリアーし、悠々自適のハンターライフに突入した俺。村クエスト、集会所クエストともにすべてクリアーマークもついて、目を血走らせた齷齪した日常から、ついに開放された。

 ところが、そう思った瞬間に新たな目標ができてしまうのが『モンスターハンター』というゲームの不思議なところであり、数百時間、数千時間とアクションゲームとは思えないほど長大な時間遊ばせてしまう要因なのではあるまいか。ご多分に漏れず、俺のところでもモンスターハンターをクリアーした直後から、いくつもの新しい目標がニョキニョキと芽を出してきた。その中のひとつが”トレジャーハンターで遊ぶ”というものだ。

 トレジャーハンターは『モンスターハンターポータブル』シリーズの特徴のひとつとなっているクエストで、ふつうの狩猟クエストとはちょっと立ち位置が違う。集会所にいるトレジィさんからトレジャーハンター専用のクエストを受注し、フィールドにあるトレジャーを集めて納品するのが目的で、モンスターから剥げる素材も、採集で集める素材も、トレジャーハンター専用のものになるのだ。

 じつは俺、このトレジャーハンターをまったくやったことがなかった。ふたり協力プレイ専用だった『ポータブル』のときのトレジャーハンターズも、ひとりでも遊べるようになった『2nd』と『2nd G』のトレジャーハンターも、まったく手をつけなかったのである。「なんで??」と直球で質問されると返答に困ってしまうのだが、べつに何かがイヤで遊ばなかったわけではなく、本当にただ「なんとなく」という理由でトレジィさんに話しかけなかったのよ。なので俺のギルドカードの”トレジャー”の欄は、『2nd』の時代からずーーーーーっとすっからかん。ほかのページはきらびやかなのにトレジャーのところだけ数字も記号もないので、パっと見ると(何か事故があってこのページだけ消えてしまったのではなかろうか?)と思ってしまうくらいきれいさっぱりと何も入っていなかったのである。なので俺は人にギルドカードを渡すときには必ず心の中で(トレジャーのページは見てくれるな!! すっ飛ばして見てくれ〜!!)と強烈な念を送っているのだが、俺のギルドカードを持っている皆さん、トレジャーのページは見てないですよねえ? まあ、人に見られるのが恥ずかしけりゃ恥ずかしくないようにトレジャーハンターをがんばればいいのだが、何度も言うように本当になんとなく、やってこなかったんですねぇ。

 しかし、9月初旬。ついに俺は重い腰を上げる。機は熟した。すべてのクエストにクリアーマークがついたいま、俺とトレジャーハンターの邂逅を阻んでいた要因はなくなったのだ(そんなものは最初からないのだが)。よし! 出かけようではないか、宝捜しに! トレジャーをがっぽがっぽとかき集めて、ギルドカードのトレジャーの欄を派手なアイコンと文字で埋め尽くしてやろうではないかっ!!

 というわけでさっそく俺は、「えのっち、トレジャーハンターつきあってよ」と仕事をしていた江野本ぎずもを勧誘。江野本、トレジャーハンターがなんたるかをまったく知らないくせに「おお! やりましょやりましょ!」と嬉々としてPSPを取り出し、俺が待つ集会所に飛び込んできた。

 さあていよいよ、俺史上初めてのトレジャーハンターの始まりである。しかし江野本を指して”トレジャーハンターをまったくわかってない”と書いた分際でこう言うのもナンだが、じつは俺もフィールドに来たのはいいが、何をどうしていいのか皆目見当がつかない。そんな俺に向かって、江野本が予想通りの無邪気な顔でこんなことを聞いてきた。

 「で、あっしは何をすればいいんですかい??」

 そんなことを俺に尋ねられても困る。俺が聞きたいくらいだわい。しかし正直に「えっと、オイラも何やっていいか知らないんだよね……」なんて言ってしまうと上司の威厳が失墜して上下関係にひずみが生じる恐れがあったので、俺は当たり障りがないように「フィールドでトレジャーをハントすればいいだよ」とサラリと答える。しかし江野本、この答えでは納得しなかったらしく、「……んなのわかってますよ! 具体的にどうやったらトレジャーが集められるのか聞いてるんじゃないですかっ!!」と瞬時にグレムリン化して俺を追い詰める。仕方ないので俺は「まあよくわからんが、とりあえず採集できるところを探ってみよう」と言って支給品ボックスを無視し、フィールドに飛び出していった。そして15秒後に「……持ち物、なんも持ってなかった」とうなだれながらキャンプに引き返し(トレジャーハンターはアイテム持込不可なのだ)、江野本がさんざん荒らしてほとんど空っぽになった支給品ボックスから、わずかばかりの支給品を手に入れたのであった。

 やってみるとなるほど、トレジャーハンターには独特な魅力がある。

 主目的が大型モンスターの討伐ではないので派手さは低いのだが、忘れてしまっていた事柄をあるときふと思い出したときのような、ニヤリとする楽しさがある。トレジャーハンターという名前が表しているとおり、こいつは狩場というフィールドを舞台にした宝捜しだ。いっしょにクエストに行くハンターと、どっちがよりレアなトレジャーを見つけるか競うもよし、協力してトレジャーを集めまくるもよし……。人間は少年少女時代に必ず宝捜しの夢想をするものだが、散らばる宝物を捜し求めてフィールドを走り回るハンターの様子は、マーク・トウェインや筒井康隆のジュヴナイルを思い出させるものだった。

 コツがわからず、大したトレジャーを見つけられずに集会所に戻ってきた俺と江野本だったが、討伐クエストから帰還したときとは違う、ちょっと爽やかな充実感に満たされていた。笑いながら、江野本が言う。

 「派手さはないですけど、なんかいいですね、こういうの^^ たまーにやりたくなっちゃうかも」

 うんうんと頷き、俺も応じた。

 「そうだねー。討伐クエストに疲れたら、トレジャーハンターで一服するのがいいかもなあ^^」

 攻略の類を見ないでトレジャーハンターを遊んでいる俺と江野本のギルドカードのトレジャーの欄は、いまだに空っぽのような状態だ。それでも、また長く遊べるおもちゃを与えてもらったような気がして、俺は心から満足していた。

 きっと明日も、トレジャーハンター日和。

投稿者 大塚角満 : 20:58

大塚角満

プロフィール画像

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


ファンタジーライフ公式サイト