大塚角満の ゲームを“読む!”
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クマさんが運転するクルマに乗り込んで、北九州空港から下関市を目指す。山口県に足を踏み入れるのは、俺も江野本も今回が初めて。やっぱり行ったことのない土地の空気に触れることは、ドキドキワクワクと心躍るものがあるね。前回の佐賀県も長崎県も初上陸の地だったが、見たことない景色や土地の言葉、珍しい食べ物や独特な風習なんかに触れると、もうそれだけで「今回の企画を立てて本当によかったっ!!!」となってしまいますねぇ。
クマさんカーは苅田北九州空港インターチェンジから九州自動車道に入り、一路、関門海峡を目指す。本州と九州を結ぶ要所、関門海峡は、幾多の歴史の舞台となってきた文化と文明、栄華と終焉が折り重なる場所で、源氏と平家が最後の決戦をくり広げた壇ノ浦、武蔵と小次郎が決闘したという巌流島もここ、関門海峡にある。昭和33年に、関門海峡をくぐるトンネル、関門トンネルが開通。なんと歩行者も通れる海底トンネルとなっている。海の下を歩いて通るという行為にかなり心惹かれたが、我々は海峡の上にかかる雄大な橋、関門橋を渡って下関市に入った。まずは観光がてら、関門橋のたもとにある”みもすそ川公園”で休憩。ここは前述の源平合戦の古戦場であるとともに、幕末時代の下関戦争で長州藩が外国船に砲撃した舞台でもある。そのときに使われたものと同じ形の長州砲のレプリカも置かれていて、見ているだけでキュっと引き締まった気持ちにさせられる。
▲関門海峡の脇にある”みもすそ川公園”にある源義経と平智盛の像。
「帰りに、壇ノ浦のほうに寄ってみましょうか」
とクマさん。クルマの中でもそうだったが、クマさんもKEIさんも本当に誇らしげに、下関や関門海峡の歴史を話して聞かせてくれた。じつは今回の出張企画でもっとも印象的だったのが、会った人すべてが、自分の住む土地の景観や歴史をきちんとリスペクトしていて、それを外部からきた俺たちに誇りを持って紹介してくれたことだ。「本当に田舎で、何もないところなんですよー」と言いながらも「ここはこういう土地です」、「こんなものがありますー」と話してくれるときの顔は皆一様に輝いていて、とても強烈に俺の中に残った。なので出張から帰ってくるたびに俺と江野本は、「逆に俺たちが故郷に誰かを招いたとき、今回会った人たちのように誇りを持って地元を紹介してまわれるだろうか?」とマジメな顔して話し合っていのだが、残念ながら出てきた答えは「……ちょっと無理かも」という情けないもの。今回のクマさんたちを見習ってキチンとイチから生まれ故郷の歴史や文化を学ばないといけないね……と、俺と江野本は神妙に頷き合ったのであった。
▲これは長州砲。レプリカだが、大迫力。この中のひとつは、音と煙を発する。
関門橋に別れを告げた俺たちが向かった先は、海峡の程近くにある”唐戸市場”という市場である。水産物が豊富な関門地区でもとくに賑わっている市場で、その道のプロだけではなく、一般市民や観光客にも開放されているところなので、安くておいしい海産物を一年中食べることができるというのだ。じつは今回の下関行脚の中で、俺と江野本が最上位クラスに楽しみにしていたのがこの市場(笑)。ふたりとも縁日や出店で買い食いすることが大好きなものだから、クマさんから唐戸市場の情報を聞いたときはそりゃあもううるさかった。「大塚さん!! 下関の市場に連れて行ってくれるそうですよっ!! 海の幸の買い食いができますよっ!! やっべえ!! めっちゃテンション上がる!!」と江野本が言えば、「市場最高!! 来ちまったことを後悔するくらい食いまくるぞ!!」と俺が返す。にわか山岡・栗田コンビはヨダレをたらしながら、「早く行きましょ! 市場いちば!! フグだサバだウニだクジラだっ!!」とわめきまくって、クルマを運転するクマさんを盛んに急かせたのであった。まったく、何をしに下関まで行ってるんだ、って感じではありますがね。
▲いかにも市場な賑わいをみせていた唐戸市場。言うまでもなく、海産物の宝庫だ。あらゆる形に加工されたフク、関門海峡名物のサバやアジ、そしてクジラ……。どれも目が覚めるほどおいしかったっす!
というわけで下関が誇る一大マーケット、唐戸市場にやって参りました!! 休日のお昼時とあってか、ものすごい賑わいである。この混みようを東京近郊の表現で文字にすると、まるで年末のアメ横か、三が日の大宮氷川神社のようである。要するに、1歩歩くごとにゴツゴツと人にぶつかってしまうくらいの混雑で、なかなか商品が並ぶ店の軒先にたどり着けないような状態。それでも俺たちはクマさん、KEIさんの案内で下関自慢の海産物をピックアップし、手当たり次第に買い込んで、市場のフリースペースのテーブルに戦利品を並べた。俺たちが購入した食料は、以下のようなものだ。
・フクのから揚げ(※下関ではフグのことを、縁起を担いで”フク”と言う)
・フクの味噌汁
・フクのコロッケ
・フクの刺身
・握り寿司(大トロ、ウニ、アジ、シメサバ、アナゴ、白子、サーモンなどなど)
・ウニ丼(※下関はウニの名産地でもあるのだ)
▲こんだけ買い込みました。そして、すべて食い尽くしました。しかもこのあと、江野本に白い目で見られながらもハチミツ味のソフトクリームも購入しました。おいしかったです。
これに、「ぜひこれを食べてください!」と、クマさんからクジラのお寿司のおすそ分け。これらをバクバクバクと片っ端から摂取すると自然と……。
「う、うますぎるーーーーーっ!!」
という絶叫が轟くわけです(苦笑)。この、甲乙つけがたい豪華メニューの中で、俺と江野本がふたりして「これがいちばんおいしい!」と意見が一致したのは、なんとクジラのお寿司。これまでの人生でほとんど食べたことがなかった食材だったので(ど、どんな味なんだろう……)と少々ビビっていたのだが、まさかこれほどまでにおいしいとは……。極上の霜降り国産牛の刺身、もしくはトレトレピチピチの最上級中トロの刺身を食っているかのような見事な味わい。意外なまでのおいしさに限界まで目を見開いている俺と江野本を見て、クマさんは満足そうに「うんうん」と頷いたのだった。
さて、予想どおりこの市場に来たことを激しく後悔するくらい海産物を過剰摂取した俺たちを乗せて、クマさんカーはこの日のメイン会場である海峡メッセ下関に到着した。ここで、下関&北九州リアル集会所と山口県西部集会所の合同集会による毎月定例の狩猟会が開かれているのだ。前回のコラムでも書いたが、この集会はネットの掲示板を母体に複数存在した山口県の中規模団体と、大手SNSをのモンハンコミュニティーを中心に活動していた下関・北九州地区のモンハンサークルが協力して開催しているものだ。
海峡メッセ下関の会議スペースに歩を進め、クマさんのアナウンスに乗せられて会場入りする俺と江野本。と同時に、室内から割れんばかりの拍手が轟いた。ざっと見たところ、30人ほどのハンターが集まっているようだ。かなりの規模である。3〜4人のパーティーを作って時間ごとにメンバーをシャッフルし、いろんな人と遊べるような仕組みにしているとのこと。8月最後のこの日は午前10時から会議スペースを確保し、8時間から9時間におよぶロングスパンでの狩猟を行っているという。いやはや、並々ならぬ情熱だ。
▲会場の海峡メッセ下関は、こう言ってしまってはナンだが一般のサークルが借りられるとは思えないほど立派な建物だった。運営サイドが手を尽くしてこの会場を借り、さらに参加者がゆったりと楽しめるように飲み物やお菓子も準備していた。合同集会の発起人であるクマさんは「僕が規模を大きくしてたくさんの人と遊べるように動きたい、って言ったとき、相棒のKEIたちが全面的に協力する、って言ってくれたんです。それがなければ、とても実現できませんでした」と語る。身を粉にして縁の下で働く運営チームがあって初めて、こういった立派な集会は開かれているのだ。
さっそく俺たちも、パーティーに混ぜてもらった。クマさんや集会の局長であるルシアーノさんの計らいで、すべてのメンバーと遊べるよう、1クエストをクリアーしたら隣のパーティーに移動できるように手はずが整えられる。俺が最初に加わったパーティーは、女性ふたり、男性ひとりの3人パーティー。聞くと、3人のうちふたりはこの会合に参加するのが初めてで、当然のように初顔合わせであるという。初参加のふたりは普段はソロで狩りをしているのだが、どうしても協力プレイをしたいと思っていろんなところにアンテナを張って、この団体の存在を知ったのだそうだ。
「朝からたっぷり皆さんに遊んでもらって、ハンターランクも上がりました!」
と初参加の女性が言った。その目は、夢が叶った喜びと、協力プレイの楽しさを知った感動でキラキラと輝いている。うんうん。やっぱり楽しいよね、協力プレイ。本当によかったね、こういう元気な団体を見つけられて……。
その後、俺と江野本は9つのパーティーを回った。ちなみに俺がやったクエストはほぼすべて、配信クエストの”覇王烈昂”(笑)。正式配信されたのでいまでは全国のハンターが遊ぶことができるが、俺たちが下関に行った当時はモンハン夏期講習で先行配信されたものしか出回っておらず、当然ながら下関にはこのクエストを持っている人はひとりもいなかった。そこで俺は、1ミリも俺の手柄ではないのだが都会の風を吹かすがごとくふんぞり返って、「ボクね、まだほとんど出回っていないG級アカムトルムのクエストを持ってんの。いっしょに遊ばなぁい?」と自慢たらたら。この会合に来ていた人はほとんどがハンターランク9で、ひととおりの遊びはやり尽くしてしまっている人が多かったから、俺のこの誘いに皆、目を輝かせて食いついてくれた。おかげで俺は『2nd』時代からの合計討伐数よりも多い数のアカムトルムをわずか数時間のうちに狩り尽くすという快挙を成し遂げ、このクエストでだけ得ることができるレア素材”グレートストーン”も20個以上集めることに成功した(笑)。
そして午後6時。参加者の皆さんからいろいろなお土産までいただいて、俺たちは海峡メッセ下関をあとにした。名残惜しく、飛行機の時間ギリギリまで会場に居座ってしまった。
それでも帰り際に、「関門海峡と関門橋がとてもきれいに見えますよ」ということで夕暮れ時の壇ノ浦パーキングエリアに立ち寄った。遠い昔にここから、源氏や平家の武人や、維新の志士たちも同じ黄昏を見ていたのかと考えて、ちょっと胸が締め付けられるような思いに駆られる。そんな俺に向かって、強い目をしたクマさんが熱っぽい声でこんなことを言った。
「今回、大塚さんと江野本さんを我々の会合に招くことができて本当によかった……。地方だってこんなに盛り上がっているんだよ、こういうところにも『モンスターハンター』が大好きな人間がこんなにいるんだよ、ということをどうしても見てほしかったんです。僕ら一般人の力なんて本当に小さいですけど、地道に活動を続けていれば、今日みたいなことも実現できるんですよね。そして大塚さんたちが見たものをどこかで発信してくれれば、それがまた別の力になる。僕らの団体にも、もっともっと人が集まってくれるかもしれませんし」
力強く語るクマさんに、俺は言った。『モンハン』を作っている人たちに、何か伝えたいことはあるかい? と。クマさんはこれを受けて、やさしい口調でこう言った。
「伝えたいことはひとつだけです。”本当にありがとうございます”。それしかないです。僕らがこうやっていろんな人と交流できたり、大塚さんたちに会えたのも、すべて『モンスターハンター』というゲームのおかげですから……。あ、そうだ。伝えてもらうとしたら、”地方でもがんばって『モンハン』を盛り上げていますよー!”ってことでしょうか(笑)。ずっと待ってますから、ぜひまたステキな『モンハン』を作ってもらいたいですね」
俺は『モンハン』制作チームの人間じゃないけど、彼の言葉に強く強く心を撃たれた。ちょっと涙目になってしまったくらいに……。俺はクマさんに対して「うん、そうだよね……」としか言えず、そんなことしか言えない自分に戸惑いながら、隣にいた江野本に小さい声でつぶやいた。
「いますごく、藤岡さんと酒飲みたいわ……」
そんな俺を見て江野本はゆっくりと頷き、夕暮れの関門海峡に向き直りながら歌うようにこう言った。
「はい^^ いろいろ伝えたいんですね、藤岡さんに。……でも本当に、『モンスターハンター』って、すごいなぁ^^」
俺たちのまわりにある、いろいろな『モンスターハンター』の風景。すべてを見たわけではないけれど、今回の出張狩猟企画がなければ絶対に出会えなかった人や団体、家族に触れて、俺がこのゲームをリスペクトする気持ちはさらに強くなった。またいつか機会があったら、いろんなハンターに出会う旅に出てみたい。壇ノ浦の風に吹かれながら、俺は静かに、そう思った。
▲黄昏の壇ノ浦。夕焼けに関門橋がよく映えた。
※大塚角満コラム情報※
現在、週刊ファミ通のwebサイト”ファミweb”にて、この狩猟ツアーの様子を写真で振り返る”写真で見る! 全国狩猟ツアー”というフォト日記を連載しております〜。このブログや週刊ファミ通のコラム”MH研究所”では見られない狩猟ツアーの裏側を垣間見えるフォト日記。この機会にぜひ、覗いてみてくださいな。ファミwebを閲覧するには会員登録が必要ですので、トップページの注意事項をよく読んでくださいね。入れたら”大塚角満のMH研究所 写真で見る! 大塚角満の全国狩猟ツアー”のアイコンがあるので、そちらをクリックして入ってくださいね〜。
今回の出張狩猟企画を告知するまえから、熱心に俺を招致しようとしてくれていた団体があった。ただ、なかなか都合が合わず、またウチの会社の社内的な調整もつかなくてそのお誘いに乗ることができず、いたずらに幾月かの時が流れてしまっていた。それでも、その団体の代表者は根気よく俺たちに打診を続けてくれていた。「ぜひ、うちの会合に来てほしいんです!」という強烈な熱意を持って。その話を広報(この件の窓口は広報チームだったのだ)から聞くたびに、俺は(なんとかやりくりして、この人たちのもとに行ってみたいな)と思っていた。でも思いとは裏腹に、なかなか実現できずにいた。
そんなとき、『本日もニャンと! 逆鱗日和』が発売になった。このブログの読者の皆さんはご存じだと思うが、『ニャンと!』は江野本ぎずもがディレクターとなって本誌の編集や外部との交渉、告知展開やイベントのプロデュースまで行っている。いままでの『逆鱗日和』のときのように自分ひとりで作っていると、「こんなことやってみたいなぁ」と思うことがあっても忙しさと人手のなさ(ひとりだから無いに決まっているのだが)から、「時間も手段もないからあきらめよう」とすべて自分の中で消化してしまっていた。
でも、『ニャンと!』は違った。俺が漠然と(やりたいなぁ)と思っていたことやジャストアイデアも江野本に話すことでそれが膨らみ、いくつも実現にこじつけることができたのである。今回の出張狩猟企画にしてもそうだ。俺がまえまえから「都市部以外の読者の方とも交流がもてるといいな」と考えていたことを江野本に話すと彼女は目を輝かせて「ぜひ、実現しましょう!!」と言い、「こんな感じでやったらどうですかね?」とすぐに具体的なアイデアにして俺に提示してみせた。そして、この企画は実際に動きだしたのだ。
そんなときに思い出したのが、件の熱心な招致のこと。山口県の下関市でモンハンサークルを切り盛りする方からの誘いだったのだが、もしも今回の企画の告知を見て彼が応募してきてくれたなら、ぜひ前向きに考えてみたいと思ったのである。俺はそれを、江野本に話した。下関の団体から応募があったら、行く方向で考えてみたいんだけど、と。俺の提案に、江野本も賛成した。そして、「応募が来るといいですね」と言ってにっこりと笑った。
そしてある日、俺の思いが届いたかのように下関の団体からメールが届いた。「出張狩猟企画があることを知りました! ぜひこの機会に、我々のところに遊びに来てください!!」と。ただ、そのころすでに出張狩猟企画は終わりに近づいており、8月16日に決行した長崎・佐賀ツアーで今回の企画は終わりかな……と俺も江野本も思っていたのである。8月の終わりに俺たちは海外出張に行かなければいけなかったので、体が自由になる時間もほとんどなかった。正直、状況はかなりきびしい。でもどうにか調整して彼らのもとへ遊びに行ってみたいな、という思いも強烈にある。うーん、なんとかならないものか……。
そこから、怒涛の日程調整が始まった。山口県の下関市は都内から行こうと思うと驚くほど時間がかかるので、日帰りでプランを考えるときはそれなりに綿密な計画を立てないとエライことになってしまう。まあ、こういうことはすべて江野本がスケジューリングしてくれるので、俺はそれに「はいはい」と言いながら着いていくだけなのだが……。この下関ツアーの日程調整はかなり複雑で、彼女はそれこそ海外に行ってるときもあれやこれやと折衝していた。何通りもの交通手段を考え、パズルのように時間を当てはめていく……。そしてようやく納得の行くプランが作れたとき、江野本は破顔してこう言った。「これで下関に行けますよ!!」と。決行日は、夏休み最後の日となる8月31日。ちょうどこの日、下関の団体が会合を開くと言うのだ。よーし、行くか、下関に。今回の出張狩猟企画のフィナーレを飾るべく、本州の西の端に乗り込むとしようか!
というわけでやって来ました、本州の西の端っこ、下関市に! ……と言いたいところだが、俺たちが降り立ったのは福岡県の北九州空港。ここで団体の代表者と落ち合ってクルマで下関市を案内してもらったあと、この日の朝から会合が行われているという"海峡メッセ下関"という集会場所にお邪魔させていただくのだ。九州や山陽地方の地理に疎いのでまったく知らなかったのだが、福岡と下関市って、近いんだねぇ……(苦笑)。この地の利を活かす形で、今回訪問する下関の団体には福岡県や広島県のハンターも多数参加しており、その規模はかなりのもの。じつはこの規模の大きさも、俺を下関に引き寄せた大きな原動力のひとつだったのだ。
今回の出張狩猟企画では、個人(青森)、中規模団体(長崎)、ファミリー(佐賀)と、まったく大きさも空気が違う個人・団体と狩猟をともにしてきた。その中で唯一足りなかったパーツが”大規模団体”との邂逅。でも都市部だったらまだしも、ソフトの発売から半年が経過したいま、地方で大きな団体が活発に活動しているのかどうかもわからないし、あったとしてもどうやってそこに接触すればいいのかまったく見当がつかなかった。
そんなときに声をかけてくれたのが、北九州空港まで俺たちを迎えに来てくれた通称”クマ”さんだ。山口県はかつて、北部支部、中部支部、東部支部、西部支部と4つのモンハンサークルが存在し、それぞれがバラバラに活動していたそうだが、このクマさんが発起人となって現局長の”ルシアーノ”さんに協力を仰ぎ、団体をひとつにまとめあげたそうだ。これによりサークルメンバーの数は膨れ上がり、いまでも月イチペースで開催しているオフ会には30〜40人は必ず人が集まるという。メンバーの数はいまでも増え続けており、前述の福岡や広島などの近県からも『モンハン』フリークが集まる”実力派”の団体に成長。「協力プレイをしてみたいけどなかなか場所がなくて……」と途方に暮れていたこのあたりの『2nd G』ユーザーの、格好の活動拠点となった。こりゃあもう、地方の大規模団体の雰囲気を味わうには最高の環境だろう。だからこそ俺は、半ば意地になって下関までやってきたのである。
クマさんと、その相棒のKEIさんは思った以上に若かった。そのバイタリティーとメールでの落ち着いた雰囲気から、勝手に俺と同年代の人なんだろうな……と想像していたのだが、なんと彼らは、まだ25歳の青年でありました。
「来てくれて、本当にありがとうございます! これでまた、我々の団体を盛り上げることができます!!」
とクマさんは言った。メールの雰囲気そのままに、やる気と情熱に満ちた熱血漢を絵にしたような青年だ。緊張からか、クマさんもKEIさんも汗だくになっている。それでも、目を輝かせたままクルマに案内してくれるふたりの後姿をみて、俺は(今日もステキな狩りができそうだ……)と心からの笑顔で思った。
次回に続く〜!
▲北九州空港のカウンターには、『銀河鉄道999』のメーテルがいます。そんだけです(笑)。
※大塚角満コラム情報※
現在、週刊ファミ通のwebサイト”ファミweb”にて、この狩猟ツアーの様子を写真で振り返る”写真で見る! 全国狩猟ツアー”というフォト日記を連載しております〜。このブログや週刊ファミ通のコラム”MH研究所”では見られない狩猟ツアーの裏側を垣間見えるフォト日記。この機会にぜひ、覗いてみてくださいな。ファミwebを閲覧するには会員登録が必要ですので、トップページの注意事項をよく読んでくださいね。入れたら”大塚角満のMH研究所 写真で見る! 大塚角満の全国狩猟ツアー”のアイコンがあるので、そちらをクリックして入ってくださいね〜。
よくあるお話。
とある深夜。仕事帰りにひとりで行きつけのバーの扉をくぐり、うまい生ビールをグビグビと飲んでいた。この当時はまだ最凶クエスト”モンスターハンター”へのチャレンジを始めるまえで、俺の『2nd G』ライフはじつに牧歌的な空気が満ちていたのである。
このころの俺が没頭していたのは、未クリアーとなっていた集会所の下位や上位のクエストをこなすことと、G級のイャンガルルガを狩ること。もちろん、ガルルガを追い回していたのにはキチンとした理由がある。じつは俺、昔からディアブロZシリーズのデザインが大好きで、「ハンターライフに余裕ができたら絶対にひと揃いは欲しい」と思い、『2nd G』においても作れる部位から防具を作っていたのである。ところが、G級ディアブロス亜種のレア素材のひとつである”堅牢な黒巻き角”がなかなか集まってくれない。「だったら何度でもトライすりゃいいじゃんか」と言われちゃいそうだが、G級のディアブロス亜種と言ったらアナタ、タフさ、攻撃力、存在感などをひっくるめた”総合力”では、『2nd G』に登場するモンスターの中でベスト5には入ると思われる強豪中の強豪ではないですか! こやつを相手にすると俺の腕とガンランスでは絶対に討伐するのに40分以上かかり、しかも前述のとおり堅牢な黒巻き角はレア素材なので、そんだけ時間と労力を費やしても手に入る可能性ははなはだ心許ない。……まあ要するにG級のディアブロス亜種は「ひとりじゃ極力相手にしたくない」って思えるモンスターなわけですよ。
で。
そこで登場するのがG級のイャンガルルガなのです。
G級イャンガルルガの素材から作る”ガルルガX”シリーズが持つスキル系統は、じつはディアブロZシリーズが持つそれと酷似している。どちらもスキル”斬れ味”と”聴覚保護”を持っているので(部位によってはないものもあるが)、うまい具合に組み合わせるとマイナススキルを消したうえでこれらの優秀なスキルを発動させることが可能なのである。本当はディアブロZシリーズで全身を固めたいところなのだが、どうにもこうにもひとりやふたりでG級ディアブロス亜種を狩るのがツライので、「もうこの際、ガルルガで手を打とう!!」と日和ったわけである。
でもだからと言って、G級のイャンガルルガが御しやすい相手かというとそんなことはまるでない。G級ディアブロス亜種とG級イャンガルルガを並べて「サァ、好きなほうと戯れていいよ!」と言われたら、きっちり3分は悩んでしまうくらいG級イャンガルルガは手強い。でも3分悩んだ末に「うん……、まぁ、どっちか選べって言われたら、やっぱ、ガルルガかな……。ディアは潜るしタフだし……。ガルルガは吠えるし、凶暴だけど、それでもディアよりマシなんかな……」ってことでG級イャンガルルガを選ぶわけです。もう、苦渋の選択。ドスランポスあたりの防具にディアブロZと同じスキル系統がついていればいいのに……と思ったりもするが、そうすると青い装備のハンターで村が溢れかえることになるからそういうわけにもいきませんね。
で、ようやくこの話の舞台は冒頭のバーに戻り、核心に入り始める。つまり、いままでダラダラ書いてきたことは、ただの導入部分ってわけだ。はっきり言って、核心のほうが短いです(苦笑)。
バーに入って行ったとき、客は俺ひとりだった。いつもの席に腰をかけ、うまい生ビールを飲みながらマスターと四方山話をする。話題の中心はもちろん『モンハン』だ。俺はビールで喉を潤しながらマスターに言った。「いまガルルガ狩りに凝ってるんだけど、マスター、手伝わない?」と。これを受けたマスター、「それって、G級のガルルガのことですよね……?」と一瞬顔を曇らせるもすぐに目を見開き、「試したい武器があるので、お供します」とじつに頼もしいセリフを吐いた。
集会所で待っていると、片手剣を携えたマスターのキャラがヨチヨチと現れた。この人は一応、俺の一番弟子なのでメインで使う武器はガンランスとなっている。片手剣を使うなんて、じつに珍しい。俺は言った。「マスター、片手剣使えんの?」と。マスターはひと言、「まったく使ったことありません」と言い、ニヤリと笑った。
マスターが持ってきた片手剣は”ハイガノススパイク”だった。そう、睡眠属性の片手剣である。自慢げにマスターは言った。「がんがん眠らせるので、竜撃砲で丸焼きにしてやってください!」。俺、有頂天で「おお! いいねいいね!! 頼もしいね!!」とツバを飛ばしまくった。
イャンガルルガは、それはそれはよく眠った。さすが、属性攻撃に長けた片手剣である。マスター自慢のハイガノススパイクから睡眠のエフェクトが飛び散るたびに、屈強なG級イャンガルルガのヒザが「カックン」と折れる。眠っているあいだは、言ってみればやりたい放題だ。イャンガルルガのヒザが折れるたびに、俺は心の中で(いける!)と快哉を叫んでいた。
しかしやはり、マスターは片手剣使いではなかったようだ。睡眠攻めのときにやってしまいがちな”あのミス”を、くり返しくり返し、俺の目の前で展開してみせたのである。要するに、こんな感じ。
マスター 「よし寝た!! わあ、自分で起こした!!」
3分後。
マスター 「また寝た!! ……わあ! また自分で起こした!!」
5分後。
マスター 「ま、また寝た!! ……ま、また自分で起こした!!!」
さらに5分後。
マスター 「ままま、また寝た!! ……ま、また自分で起こしちゃった!!!」
呆れて俺は叫んだ。
「このバー、居眠り禁止なんか!!!」
けっきょく睡眠の恩恵をまるで受けぬまま、俺たちは力技でイャンガルルガを討伐し、半ばぐったりしながら村へ帰ってきた。やはりひとつの武器に長じるには、それなりの時間と努力を費やさないといけないんだなということを、俺はこのクエストを通じて思い知った次第だ。
その特性を活かせずただの短い剣を振り回していたマスターは、小さな声でこんなことを言った。
「片手剣の、奥は深い……」
佐賀編の続き。
一般のお客さんが帰っていったのを見届けてから、俺、江野本ぎずも、Jast25`sの4人はお店の奥にある小上がりの席に移動した。店長、スタッフのキョータロー君、ヨーコちゃんもお店の看板をそそくさと片付け、自分のグラスを持って小上がりの席にやってくる。皆、ニコニコと笑ってじつにうれしそうだ。
しかしこの際、潔くはっきりと書いてしまうが、この段階ですでに俺も江野本もかなーり気分よく酔っ払ってて、ノートにメモを取ることもおぼつかなくなっていた。「メモを取るヒマあったら遊んでしゃべろう!!」ってな感じで、いい大人が7人も揃って、ゲーム機を片手に大ハシャギ。オンライン集会所で酒盛りをしているクエスト出発まえのハンターをそのままに、飲めや狩れやの大騒ぎをしていたのである。よってこのコラムは自動的に、すさまじくあいまいな記憶のもとに綴られることになるので、読者の皆様方におかれましては十分に気をつけてお取り扱いいただけますよう、ひらにひらにお願いを……。って、ま、いっか。
居酒屋・にわか本舗は、じつに居心地のいい空間だった。20坪ほどの店内は決して新しく、小じゃれたものではなくて、それとは対極のレトロで素朴な雰囲気をまとっている。焼き鳥の煙と脂が香る店内の柱や壁はニスを塗ったように黒光りしており、それがまたそこはかとなく”昭和”な匂いを感じさせてくれたりした。10代のころに読んだ大好きな旅エッセイの中から、ふいにこの店だけ脱走して俺の前に現れてくれたんじゃないか……。酔った頭で、そんなありもしないことまで考えたりしてしまった。
俺たちがドヤドヤと小上がりに上がり込んだのを確認してから、キョータロー君とヨーコちゃんはテーブルに軽くつまめるものをいくつか並べ始めた。そして酒飲みの店長は、俺が飲みまくっていた焼酎・恋寅と、江野本が抱え込むようにしながら飲んでいた泡盛・北谷長老の古酒をロックアイスとともに運んできて、「さあ、いつでもおかわり作りますよ〜」とニヤリ。そして全員の手元にグラスが渡ったのを見極めてからおもむろに手を挙げ、元気な声でこう言った。
「今日は遠いところ、ようこそおいでくださいました! 佐賀の夜を、楽しんでくださいー! かんぱーーーい!!!」
店長に負けぬ元気な声で「かんぱーーーい!!」と応じるほかの6人。楽しくて思い出深い、佐賀の夜が始まった。
俺たちは狩りをしながら、たくさんの話をした。それこそ、「なんでみんな、こんなに『モンハン』が好きなのか?」、「どんな武器防具を作っているのか?」というハンターにとっては定番の話題に始まり、九州のファッション事情、美人が多い県、店長による焼酎の薀蓄話などなど、本当に会話のテーマは多岐に乱れ飛んだ。結論が出る話もあれば、「ま、いっか!」で終わる話題もあった。みんなで大爆笑してのたうち回った話もあったし、妙にシンミリとして心撃たれる会話もあったと思う。やたらとホッとするステキな空間の中で、同じゲームを好きになった人たちが集って共通の話題に笑い、泣き、喜び合えることがうれしくてうれしくて、俺なんて途中から(時間、止まってくれないかなぁ……)と本気で考えてしまったほどだ。
▲各人のPSPを持ち寄って記念撮影。7台も揃うと、壮観だねぇ。
もちろん、しゃべりながらクエストにも出発した。最初のパーティーは、俺、Jast25`sのkohei君、キョータロー君のチームと、江野本、Jast25`sのraven君、店長、ヨーコちゃんのチーム。……しかし、このへんから本格的に酔っ払ってきてしまったため、何のクエストに行ったのかはなはだ不鮮明(苦笑)。俺が覚えているのは、何度目かのチーム分けのあとに俺、江野本、店長、ヨーコちゃんのパーティーになり、江野本がクリアーしていなかったG級のラージャン討伐に出向いたことくらい。なんでこれだけ覚えているのかというと、クエストの途中で酔っ払った江野本がPSPの電源スイッチをスライドさせて離脱したから(笑)。自分が悪いくせに激怒した江野本が、「ちょっと!!! なんで3人揃って離脱してんスか!!!」と逆ギレして、俺たち3人は「おめえが悪いんだろ!!(笑)」と総ツッコミ。江野本、とたんにいじけて「いいですよーだ。ひとりでラージャン狩ってやるもの」と言って自慢のライトボウガン・繚乱の対弩を持って果敢にひとりで立ち向かうも、すさまじい勢いで瞬殺(笑)。俺たち3人は腹を抱えて笑いながら、「わかったわかった(笑)。もう1回行ってやるから(苦笑)」と言って、呆然とする江野本を抱えて再びG級ラージャン討伐クエストを受注し、見事これを狩ったのであった(……と、俺のおぼろげな記憶の中では最終的にラージャンを”狩った”ということになっているのですが、江野本も勝敗についてはまったく覚えていないため、間違っている可能性も多分にあります……)。
▲こんな感じで狩りをしておりました。
そんな、夢のように楽しい時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまった。時計の針は、午前3時を過ぎていたと思う。そろそろおいとましなくては。俺たちは荷物を片付け、店長、キョータロー君、ヨーコちゃんに見送られながら居酒屋・にわか本舗の扉をくぐった。外は、冷たい雨が降っていた。
「また、必ず来ますね」
と俺は言った。なんだかやたらと、泣きたい気分だった。
「はい、いつでもお待ちしてます。絶対にまた来てください!」
と店長。自宅に帰るために自転車に跨ったキョータロー君とヨーコちゃんは、寂しそうな笑みを浮かべて俺たちを見ている。そんな彼らを見ながら、俺はあることを思い出していた。去年のモンハンフェスタが終わったあと、大阪に帰っていく開発チームの面々を見送ったときに同じような感情の波にさらされたことを……。楽しいひと時が過ぎ去ったときに訪れる、独特な寂寥感。夏休みが終わる寸前に感じるような言いようのない寂しさが、この佐賀の夜にもとても似合う気がした。
そして、いま。
夢のような佐賀の夜から1ヵ月が経過し、俺も江野本もちょっと冷静になってあの夜のことを振り返ることができるようになった。こんなことを言ったら店長たちに怒られてしまいそうだが、あのときの楽しさを振り返るとき、俺たちふたりが必ず言うのが、「店長とキョータロー君とヨーコちゃん、じつはタヌキだったんじゃないかな?」ってこと。遠くからやって来た俺たちをもてなすために、佐賀の森から出てきた心優しいタヌキたちが、一生懸命楽しい夜を作り上げてくれたんじゃないかな……と、ほんのちょっぴりマジメな顔で話したりしている。
もしも1回だけタイムマシンに乗れるなら。
あの佐賀の夜に戻りたいなあ。
▲店内に飾られている、俺のサインが入った『本日もニャンと! 逆鱗日和』。
※大塚角満コラム情報※
現在、週刊ファミ通のwebサイト”ファミweb”にて、この狩猟ツアーの様子を写真で振り返る”写真で見る! 全国狩猟ツアー”というフォト日記を連載しております〜。このブログや週刊ファミ通のコラム”MH研究所”では見られない狩猟ツアーの裏側を垣間見えるフォト日記。この機会にぜひ、覗いてみてくださいな。ファミwebを閲覧するには会員登録が必要ですので、トップページの注意事項をよく読んでくださいね。入れたら”大塚角満のMH研究所 写真で見る! 大塚角満の全国狩猟ツアー”のアイコンがあるので、そちらをクリックして入ってくださいね〜。
ダメだ。明日は出張で1日中会社にいないんだった! なので”近日中にアップします”と言った舌の根も乾かぬうちに、続きを書いてしまおう。まあ、当日以上の近日はないしね! というわけで、モンスターハンター挑戦27回目、後半戦です。
■モンスターハンター:27回目(後半)
抜群のタイムでリオレウス、ティガレックスを屠り去り、いよいよモンスターハンターも後半戦。『2nd G』の象徴・ナルガクルガと、誰もが認める最凶モンスター・ラージャンを退けることができれば、ついに俺がこの世界の頂点に立つのだ!
まずは鬼門のナルガクルガだ。まともに使うことができない音爆弾は持ってきていないので(苦笑)、真っ向からのガチンコ勝負である。
うーんそれにしても、なんかこいつでっかいな……。確かナルガクルガは金冠サイズを討伐したことがあったと思うけど、いままでにこんな巨大なナルガクルガ、出てきたことあったっけ……?
デカいな……と感じたとおり、このナルガクルガの体力は尋常ではなかった。俺にしてはかなり極まった立ち回りで確実に頭部へダメージを与えていったつもりだったが、なかなかへこたれてくれないのである。止むを得ず、ここで最初の落とし穴を使用。見事にハマったところに特大の竜撃砲をお見舞いしてダメージの追加を図るが、こんなものじゃ巨大ナルガはメゲてくれず、落とし穴から飛び出したとたんにビョンビョンピョンピョンと跳ねまくる有様。俺、ウザいほど元気な巨大ナルガにディアブロス討伐時のアプケロスに送るのと同じ軽蔑光線を照射し、「もういい加減に寝てくれ!!」とわめき散らしてヘルブリザードをブンブンギュンギュンと振り回す。その間にも恐怖の尻尾ビターンや怒りタックルを食らってしまい、背に腹は替えられず回復薬グレートをゴクゴク……。ここまでほとんど回復系のアイテムを使わずにこれたのに、一気に貯金を叩いてしまった。※ちなみにこいつ、金冠更新でした……(苦笑)。
それでもなんとか、19分残してナルガクルガを討伐することに成功した。手元に残ったアイテムは、回復薬グレート7個、強走薬グレート5個、落とし穴2個、シビレ罠1個といったところ。微妙な数、と言わざるを得ない。なぜならいま以上にたくさんの時間を残し、アイテムも潤沢に持っていたときでも、俺はラージャンには敵わなかったんだから……。
でも俺はこのとき、鮮明に思い出していた。『2nd』の時代、極寒のカナダのホテルで、もっと不利な状況にありながら”最後の招待状”をクリアーしたときのことを。あのときは数分間ながら闘技場にラージャンが2頭揃ってしまい、心の底から絶望したものである。なんとか1頭目を捕獲してからも絶望的な状況は続いた。2オチし、秘薬を飲み尽くしてしまい、まだ元気なラージャンを相手にノーマルの体力で渡り合わなければならなくなったのだ。それでも、俺はラージャンの前に立った。……まあラージャンが怒るたびにモドリ玉を使ってキャンプに逃げ帰っていたのだが(苦笑)、俺が全身の勇気を総動員してラージャンとわたり合ったことは誰にも否定されるものではない。
「よーし」
と俺は言った。いま俺が手にしているヘルブリザードは、いわばラージャンのためだけに用意したリーサルウエポンのようなものだ。最後の招待状を制覇したときと同じこの武器を持って、正々堂々とラージャンの前に立ってやろう。俺とラージャンは、いまや対等だ。必要以上にビビる必要はねえ!! 武器を砥ぎ、強走薬グレートを飲み、落とし穴を作って、万全の状態でラージャンを待ち構える。さあこい! 牙獣の王よ!!
そして始まったラージャンとの最終決戦。ヘルブリザードと同様、”ラージャンのためだけ”に導入したスキル”抜刀術”を活かしてヒットアンドアウェーの攻撃を心掛ける。必ず会心が出る抜刀攻撃が当たったら、可能な限り砲撃。ヘルブリザードは砲撃レベル4の拡散タイプなので、砲撃によるダメージもかなり大きいのだ。このくり返しに、早々と怒髪天を衝くラージャン。いつもより、怒るタイミングが早い。俺の攻撃が、かなりの効果を上げているという証拠か? いやでも、油断はならないぞ。相手は百戦錬磨の牙獣の王だ。休まず、攻撃を続けなければ!!
俺はここまで温存していたふたつの落とし穴を有効に使い、着実に竜撃砲を当てることに成功する。挑みかかるように飛び出した巨大な焔に、黄金のたてがみを焼かれるラージャン。ガンランスにだけ許された必殺の火焔は、さしもの最凶モンスターをも黙らせることができるのだ。2個目の落とし穴で2発目の竜撃砲を轟かせたとき、俺はモンスターハンターへの挑戦をスタートさせてから初めて確信した。「俺のほうが強い!!!!!」と。
残り時間3分。残っている足止め用のアイテムはシビレ罠だけだ。もう迷う必要はない。これを設置してしまおう。捕獲できなかったとしても、残り時間が3分もあればいまの俺とヘルブリザードだったらラージャンを屠り去ることができるはずだ!
そして−−。
画面に、ずっとずっと見たかったあの文字が表示された。
”目的を達成しました−−−−−−”
刹那。
俺の思考は完全に停止した。画面の中で何が起こったのか、まったくわけがわからなかった。
(目的を達成した……って、なんだ?)
(ラージャン寝てるけど、また起きるのでは??)
(そもそも俺、何やってたんだっけ……???)
現実を受け入れることができず、PSPを握ったまま硬直し続ける俺。そんな俺を見て何かを確信したのか、S君とN君が同時に叫んだ。
「もしかして、ガンランスでモンスターハンターをクリアーしたの!!?」
ハッ! と我に返る俺。……ホントに? 俺、クリアーしたの? モンスターハンターを?? ホントに?? だって、ガンランスだよ? 俺が持っていた武器。そんなのでクリアーできたのか……? できたんだよね……? 本当に、クリアーできたんだよな! ずっとずっと大好きで、誰になんと言われようとも使い続けてきたガンランスで、”モンスターハンター”を制覇することができたんだよな!!!!!
「やったああああーーーーーっ!!!!!」
と俺は叫んだ。37歳を目前にしたおっさんが、ゲームの1クエストをクリアーしたくらいでこんなに喜べるんだ……と自分でビックリしてしまったくらい、俺は大声で爆発した。
「クリアーしたよ! ガンランスで!! 大好きなこの武器で、『2nd G』の頂点に立てたよ!!!」
若いふたりのハンターに「やったあああ!!」、「おめでとーーー!!」と祝福されながら、いつまでも踊り続けるガンランサー。すぐに、震える手で江野本ぎずもにメールを入れた。
「やったよ!! モンスターハンター、クリアーできたよ!!」
数分後、簡潔なメールが『ニャンと! 逆鱗日和』の編集者から届いた。
「おめでとうございます!!!! 祝杯あげましょ^^」
クエスト名”モンスターハンター”。
挑戦すること、27回。
1回の挑戦に平均40分使ったとしたら、じつに18時間を費やしての、やっとやっとの勝利だった。
……いまだったら、最高にうまい酒が飲めそうだよ。
▲証拠写真です。相棒は、”良三ネコ”ことオスカー。今回も大活躍だった。ありがとう! オトモアイルー!
◆◆◆
モンスターハンターをクリアーした俺が、その後どうなったのか。「燃え尽き症候群に襲われて仕事もせずにボーっとしているんじゃね?」と思われる方もいるかと思うがそんなことはなく(じつはそれをいちばん恐れていたのは他ならぬ俺だが)、今日も精力的に『2nd G』のクエストをこなしている。引っかかっていたものが取れたからなのかいまは非常に自然体で、クリアーしていなかった下位や上位のクエストをこなしたり、江野本といっしょにトレジャーハンターを楽しんだりしている。モンスターハンターにばかり気を取られてテンパっていたころでは見えなかった新しい風景が、一気に俺の前に開けてくれたような印象だ。
そう、ここが始まりなんだよな。
今年のモンハンフェスタではイベントのフィナーレを飾る曲として、『始まりの唄』が奏でられた。終わったのに、始まり……。なぜ、この曲なんだろう? 疑問に思う俺に向かって辻本良三プロデューサーと藤岡要ディレクターは口を揃えてこう言ったものだ。「これが終わりじゃないんです。ここから始まるんです」と……。
いま、俺は思う。
この瞬間に聴く曲はモンハンフェスタのときと同様、『始まりの唄』しかないな、と……。
なので、このブログはまだまだ続きます(笑)。いつまで書けるかわからないけどネタはいっぱいあるし、何よりも辻本良三プロデューサーとの約束もある(苦笑)。更新頻度がどうなるかわかりませんが、もうしばらく、筆者にお付き合いください。
あーでも……。
肩の荷が下りたよ……(笑)。
【MHP 2nd G】第114回 モンスターハンター 〜始まりの唄 その1〜
2008年9月6日。土曜日のこの日、久しぶりに完全オフとなった。何週間かぶりの休日……という以外は、取り立てて特徴のない365分の1の日。でも俺にとっては、ずっと忘れないであろう思い出深い1日となった。
午前10時すぎ。腹の上に乗っかって寝息を立てていた飼いネコを「うがあ!! 寝苦しいと思ったらオメエの仕業か!!」と言いながら引っ剥がし、その勢いで2階の寝室を飛び出してドタドタと階下に下りていく。居間では、俺のコラムではおなじみの大学2年生、S君と、その親友のN君が『2nd G』の協力プレイに興じていた。「おはよー」と挨拶するふたりを一瞥し、「うっほ」やら「ういー」といったあいまいな返事を返す。起きたばかりで、まだ頭が回っていない。
トイレを済まし、「ハラへったーハラへったー!」と歌を歌っている2匹のネコを蹴散らしながらいつもの座椅子にドカンと座り、やおらPSPの電源を入れる。だいぶ頭も冴えてきた。よーし、最近調子が上がってきたことだし、起きぬけにいきなりモンスターハンターとシャレ込んでやるか! とも思ったが、さすがにそれは朝から重すぎるだろうと判断して、S君、N君のパーティーに混ぜてもらっていくつかのクエストをこなした。いわばこれは、ブルペンでの投球練習みたいなものだ。
そして9月6日正午。運命のときがやってきた。俺はふたりに「んじゃ、モンスターハンター行ってくるわ」と告げてパーティーから抜け、「ヒデ君、がんばって!」、「応援してますよ!!」という声援を受けながら、4頭のモンスターが待つ27度目の大闘技場に降り立った−−。
■モンスターハンター:27回目
このときの俺の装備は、以下のようなものだ。
武器:ヘルブリザード
防具防御力:593
発動スキル:攻撃力UP【大】、心眼、抜刀術
持ち込みアイテム:
・調合書(1)入門編
・調合書(2)初級編
・調合書(3)中級編
・回復薬グレート(10個)
・回復薬(10個)
・ハチミツ(10個)
・秘薬(2個)
・力の護符
・力の爪
・守りの爪
・落とし穴(1個)
・シビレ罠(1個)
・鬼人薬グレート(1個)
・砥石(20個)
・強走薬グレート(5個)
・閃光玉(5個)
・捕獲用麻酔玉(8個)
・トラップツール(2個)
・ネット(2個)
・こんがり肉(5個)
・狂走エキス(5個)
・ドキドキノコ(10個)
・光蟲(10個)
・素材玉(20個)
以前、装備をつまびらかにしたときと変わっているのは、ハチミツ、鬼人薬グレートを新たにリストに加え、ゲネポスの麻痺牙をネットに変更した部分だ。ハチミツと鬼人薬グレートを新規に組み込んだ関係で、モドリ玉と守りの護符をリストから削った。断腸の思いだったが、持ち込めるアイテムに限度がある以上、これは致し方ないことだ。
俺の分身は、見慣れたキャンプに降り立った。まずは鬼人薬グレートを飲んで攻撃力のアップを図る。……しかしこれ、アイルーキッチンで攻撃力UP【大】の食事をしてきてしまった関係で、効果が相殺されてしまっていることにあとになって気づいた。怪力の種とかだったら効果が上乗せされるのだが、このときはそこまで頭が回らなかったのだ。なのでここはひとつ、「角満は攻撃力アップが図れる薬をキャンプで飲みたかったんだな!」と皆さんの心のうちで補完してもらい、強引にナットクしてから読み進めていただきたいと思う(苦笑)。
さて、そういう悲しみをまとった鬼人薬グレートを1個しか持ち込まなかったことと、キャンプでさっさと飲んでしまったことにはキチンとした理由がある(くどいようだが飲んでも効果はなかったが)。持ち物を限界数持ち込んだ俺だが、ここで鬼人薬グレートを飲んだことによりアイテムポーチに空きができる。そこですかさず、ドキドキノコと素材玉を調合してモドリ玉を作成。これでピンチになったときにいつでもキャンプに逃げ帰ることができるようになったわけだ。そして、アイテムウインドにはすぐに使えるように閃光玉をセット。ヘルブリザードに弾丸を装填し、大闘技場に入る直前で強走薬グレートをゴキュゴキュゴキュ……。これで”対リオレウス”用の限界装備の完成だ!
リオレウスの討伐目標タイムは5〜7分といったところ。そのためには閃光玉を惜しまずに使わなければならない。とにかく、飛び上がったと思ったら閃光玉。突進してこようとしたら閃光玉。目がチカチカするのも構わず、ビカビカボンボンと派手な光を放ち続ける。リオレウスがピヨったら、ひたすら頭を攻撃。それ以外の部位には目もくれない。尻尾を切断したくなるかもしれないが、ことモンスターハンターにおいては部位破壊することよりもスピードが最優先されるのである。なので俺は、徹底して空の王者の頭を突っつき続けた。
そして狩猟開始から6分。じつにいいタイミングでオトモアイルーがシビレ罠を設置してくれた。まんまとこれにハマるリオレウス。俺は(まだ時間もあるし、どっちでもいいんだけど、せっかくハマったんだから試してみよう)というフニャフニャした気持ちで、ひょいひょいと捕獲用麻酔玉をリオレウスにぶつけてみた。すると……。
「zzzzz……」
おおおお!! オトモアイルーのシビレ罠でリオレウスを捕獲できちゃったぞ!! なんだかすげえ得した気分。タイムも上々だし、こいつは幸先がいいぞお!!
アイテムをほぼ丸ごと持ち越したまま、俺は2頭目のティガレックスと対峙した。ティガレックスは、30〜32分残しで屠りされれば上等と言える(あくまでも俺の腕で、だからね)。戦術は、壁際に陣取っての突進待ち。「チキンめ」と言われちゃうかもしれないが、ガンランスでスピーディーにこやつを葬り去るには、これ以外の方法を思いつかなかったのだ。首尾よく、突進してきたティガの頭が壁にめり込んで動きが止まったら、その顔面を狙って威力の大きい斬り上げ攻撃をお見舞いする。だいたい1回のめり込みで3回は、斬り上げ攻撃を食らわすことができるはずだ。モンスターハンターに挑戦し始めたころは、突ける回数の多いガード突きを多用していたのだが、ガード突きはガンランスの攻撃でもっとも威力が低いことを鑑み、斬り上げ攻撃メインで攻めることにした。この効果は如実にタイムになって現れており、このときも34分残しでティガレックスの討伐を完了。回復系のアイテムも、ほとんど残したままだ。
ものすごく、いいペースだ。「い、いけるかも……」という思いが中年ガンランサーの頭をよぎる。しかし考えてみると、モンスターハンターに挑戦した27回の歴史の中で、「いけるかも」と思ったことは何度も何度もあった。ところがそのたびに、副将のナルガクルガ、大将のラージャンに返り討ちにあい、「やっぱ俺なんて……。ガンランスなんて……」と泣きながらポッケ村に帰って来ることをくり返してきたのだ。
そうだ。余裕をぶっこいている場合ではない。リオレウス、ティガレックスに挑むとき以上の気合と情熱を込めなければ、ナルガクルガ、ラージャンと対等にわたり合うことはできないんだ。いま持てるすべての力をぶつけないと、このふたつの壁を越えることはできないんだよな!!
次回、ついに……!
※本当は今日、全部書いちゃうつもりでした。なぜかと言うと、自分の誕生日だから(笑)。でもあまりにも長文になってしまうので、今回はここまで。完結編は、近日中にアップするとします。それと私事になってしまいますが、「誕生日おめでと!」というメッセージやメールを贈ってくれた皆さん、この場を借りてお礼申し上げます。こんなおっさんの誕生日を祝ってくれて、本当にありがとうございました!
改めて”モンスターハンター”に挑戦したときのメモをすべて見直すと、俺がもっとも4頭のモンスターを圧倒していたのがこれから書く20回目の挑戦のときだったとわかる。このときの俺は、本当に強かった。火力アップを狙って武器やネコメシにまでテコ入れした効果が、もっとも顕著に現れたのがこのときだったのだ。区切りの20回目ということもあって、気合の入りかたもハンパじゃなかった。ちょっと振り返ってみよう。
■モンスターハンター:20回目
このときのメモの冒頭に書いてある言葉は「やばい! イケルかも!!」。クエストの途中に一時停止をしてこの言葉を書いたようだが、あまりにも順調にクエストが進行しすぎて、少々ビビっている様子が見て取れる(苦笑)。
まず最初のリオレウスは5分で討伐。ティガレックスも、残り時間32分で討伐した。そしてナルガクルガ。定型パターンのようにここで1オチしてしまったのだがこちらの攻撃もおもしろいように当たり、なんと過去最高となる21分残しで捕獲に成功……。ラララ、ラージャン1頭に、ににに、21分も使っていいのか……。これ、本当にふっつーーーーに立ち回っていれば余裕で捕獲もしくは討伐できる時間じゃないか!!
というわけで始まったラージャンとの対決。俺は1オチしていたこともあって、「とにかく慌てず、確実に!」をスローガンにチクチクとラージャンに攻撃を当てていく。時間は潤沢にあるのだ。ちょっとでもヤバくなったらモドリ玉を使ってキャンプに戻り、体力を満タンにして闘技場に戻ろう。その際に、たとえ白ゲージが青ゲージになった程度でも、武器を砥ぐのを忘れずに。俺は時間セレブなのだ。いくらでも無駄遣いしていいのだ。がはははは!!
そんな感じでキャンプと闘技場をモドリ玉を使って往復していたら、全部で11回使用できるように持ち込んでいた素材玉とドキドキノコが残り1個ずつになってしまった。わずか10分程度のあいだに、俺は10回もキャンプに逃げ帰ったことになる。いくら21分あったとはいえ、あまりにも無駄遣いしすぎなのでは……。
残り5分。なんかこのラージャン、いつまでも元気抜群なんですけど……。キャンプに逃げ戻りながらとはいえ15分も攻撃し続けているのだ。もうちょっとこう、「いてて……」もしくは「も、もうやめろよう」的な、めげた表情を見せてくれてもよさそうなものではないか。ところがこの人(?)、俺の顔を見るたびに「ぎゃおおおお!」、「ばおぉぉおお!!」とハツラツと猛りまくるばかり。残り3分でさすがに「やべえな……」と思ってシビレ罠にハメるも、怒るラージャン、捕獲用麻酔玉などどこ吹く風。俺、「も、もう1分だけ攻めたら捕獲しよ……」と思って半分泣きながら怒涛の攻めを見せるも、シビレ罠を設置するチャンスを逃してなんとそのまま時間切れ……。シビレ罠1個、回復薬グレート3個、強走薬グレートを2個残すという、悪夢のような”余裕の敗北”である。もしも、残り3分のあたりから見せた怒涛の攻めをラージャン戦の最初から展開できていれば、まったく違った結果になっていたのだろう。でも俺は、残り時間がたくさんあったがために”慢心”状態になって上から目線でラージャンと対峙してしまった。ああ……、まさに自業自得……。
この時間切れ引き分けのあとに俺がノートに書き殴った言葉。それは、
「なんでや!!!!!!!」
だった。
◆◆◆
21分も時間があったのにラージャンを葬り去れなかったショックは、思いのほか大きかった。うなだれながら、ことの次第を江野本ぎずもに報告。「21分もあったのに時間切れになった……」と半べそかきながらボソボソと説明する俺に向かって江野本が叩きつけた言葉は「だったら、25分残してラージャンに臨めばいいじゃないですか!」という、アンタよく簡単にそういうことが言えますね的な、ドSここに極まれりなセリフであった。
でもまあシンプルな彼女の考えかたは、できるできないは別にして真理を突いていることは確かだ。とにかくラージャンに挑むまでに1分、1秒でも多く時間を稼ぐしかない。
そこで俺が導入したのが”落とし穴”だ。これまでも必ず1個は持参していたのだが、合計で3個作れるように調合用の素材も持ち込もう。ただし、トラップツールは2個しか持てないから、落とし穴を3個と計算するとシビレ罠は1個しか使用できない(落とし穴はトラップツール+ネット、シビレ罠はトラップツール+ゲネポスの麻痺牙だからね)。でもここは使い勝手のいいシビレ罠より、大きなダメージを与えることができる落とし穴に賭けよう。使いかたを失敗してナルガやラージャンに壊されたとしても(どちらも怒り状態じゃないと落とし穴に落ちてくれない。ていうか、落とし穴を壊しやがる)、落とし穴を持っていくことが正解のはずだ。ヨシ! 落とし穴だ落とし穴だ。
そしてもうひとつ、毎回苦戦させられる”あいつ”用に”音爆弾”を持参アイテムに加えることにした。”あいつ”とはもちろん、ナルガクルガのことである。音爆弾はうまく当てることができれば、かなり長時間ナルガクルガの動きを封じることができる。いやあ、なんでいままで持っていかなかったんだろうなぁ、音爆弾。こいつを持っていっていれば、こんなに20回も21回もモンスターハンターに挑戦することもなかったろうになぁ^^^^ それとついでとばかりに、さらなる攻撃力アップを狙って鬼人薬グレートも21回目から導入。……まあこれはのちのち、俺の勘違いで持っていっても無意味なアイテムだったことを知るんだけどネ……。
■モンスターハンター:21回目
というわけで始まった21回目。順調にリオレウス、ティガレックスを屠り去り、32分残しでナルガクルガの前に立つことができた。さあ、新兵器・音爆弾の出番だ。こいつを当てまくって、ナルガクルガを転がしまくってくりょう!!
しかし思えば、俺はいままでナルガクルガに音爆弾を当てたことがあっただろうか? ていうかそもそも、ナルガに音爆弾を使おう、と思ったことがあったであろうか? もちろん知識としては、ナルガに音爆弾が有効なことは知っていた。しかし実戦レベルでこのアイテムを使用したことが、かつてあっただろうか!!? いやない。まったくない。使おうと思ったことすらねえ!! となると当然……10発すべて無駄投げ(苦笑)。なんとなく、「怒ったあとに投げりゃいいんだべ」と思ってキンキンキンキンと乾いた金属音を発しながら音爆弾を投げまくったのだが、なんと1発も有効打を放てない。けっきょく途中から「いいいいつ音爆弾投げりゃいいんだよォ!!!」と音爆弾の有効利用にばかり思考が囚われてしまって、まともに攻撃すらできない状態に。いつの間にかクエストの目的は”ナルガ討伐”ではなく”いかに音爆弾を当てるか”にすりかわってしまったようである。おかげで1オチを計上した挙句にヤケクソで落とし穴、シビレ罠まで無駄遣い。結果、ぐだぐだ状態でナルガを討伐したときには残り時間は16分を切っていた。俺、「………………」と頭の上から三点リーダーを出しまくってラージャンに臨むも、モチベーションもすっかり落ちまくっていて残り時間10分でハットトリック。このときのノートにはひと言、
「慣れないことはやるもんじゃねえな……」
ちなみに22回目の挑戦も”音爆弾縛り”のまま進行してしまい、集中力を著しく欠如してナルガクルガで2オチ。そのままリタイアを選択する。
「こんなに自分の動きを縛ってくれるなら、音爆弾なんてないほうがいいわい!!」
ブチ切れた結果、たった2回で音爆弾をリストラすることに決める(笑)。
■モンスターハンター:23回目
もう音爆弾になんか頼らねえ。オノレの腕1本で4頭とも屠り去ってくれるわ!!
そこでこの回からスキルに”抜刀術”を組み込んでみた。武器出し攻撃に必ず”会心”の効果が着くという超攻撃的スキルである。ラージャンを相手にするとどうしてもヒットアンドアウェーの立ち回りになりがちなので、攻撃力の増加が図れる抜刀術を着けて、1発当てたらすぐに回避して……という忍者のような動きを心掛けようと思ったのだ。
そして始まったラージャンとの生存競争。攻撃力UP【大】、心眼、抜刀術を着けた超攻撃的ガンランサーがどうなったのかと言うと……。
今度は抜刀術に縛られて手数がまったく伸びない(苦笑)。
ふつうに突っついてりゃいいところでも「ばばば抜刀術あんだから武器をいったんしまって、んで、ちょっと距離とってえっとえっと!!」なんて考えちまうもんだから手が出ないことおびただしい。けっきょく、やたらとドタバタと走り回っているうちにラージャンに殴られまくり、あっと言う間に3オチ(笑)。何やってんだろ俺……。
◆◆◆
オノレの愚かさを再確認するためだけに存在したような21〜23回目のモンスターハンター挑戦。それでも、失敗したからこそ見えてくるものも確かに存在するのだ。……って、同じようなことを何回俺は書いているのでしょうか? でも、この21〜23回目でも得るものは確かにあった。
ヨシ、ここはひとつ冷静になって、いままでの立ち回りっぷりを分析してみよう。そして最終的な装備を組みなおせばいいのだ。
まずモンスターについてだが、問題はとにかく、最後に控えるラージャンだ。ティガレックスやナルガクルガに手こずることもあるが、それでも18分くらいは残してラージャンに挑めるくらいには俺の立ち回りも極まってきている。となれば、”対ラージャン”に思いっきり振り子を振った装備で臨むのがいちばんいいのではなかろうか。となると……。
「……持って行くべき武器はブラックゴアバスターじゃなく、こいつなんじゃ……?」
俺が手にしたガンランス……。それは『2nd』の時代に苦労に苦労を重ねて”最後の招待状”をクリアーしたときに持っていたガンランス”ヘルスティンガー”の最終形態”ヘルブリザード”だった。ガンランスの中では最強の氷属性を持つ武器だが基本攻撃力が”575”と低く、ラージャンやリオレウスにはよくてもティガレックスとナルガクルガで大いに苦戦することが予想できた。なのでこれまでは”モンスターハンターに持っていく候補”の俎上にも挙がっていなかったのだが、もしかしたら俺がラージャンを屠り去るために必要な最後のピースは”氷属性”なんじゃないかとも思えた。いや、もうそれしか考えられなかった。
そして、俺は思い出の武器であるヘルブリザードを手に取った。1年まえの11月、どうにもこうにもクリアーできなかった最後の招待状を乗り越えたときに持っていた対ラージャン用の”最強の相棒”に、再び力を借りる時が来たのだ。
俺はガンランサーのリーサルウエポン・ヘルブリザードでモンスターハンターをクリアーするために、”5回計画”というものを立てた。とりあえず最初の3回くらいは”練習”と割り切り、いかにして攻撃力の乏しいヘルブリザードでレウス、ティガ、ナルガを早く屠り去ることができるのか、その研究に充てる。この練習で首尾よく、17〜20分くらいの時間を残してラージャンに挑むことができるようになれば、必ずや闘技場のド真ん中で勝利の雄叫びを上げているのは自分となろう。
この計画に乗って、練習と割り切って挑んだ24〜26回目。俺の立ち回りも冴え渡りはじめ、平均して18分残しでラージャンの前に立てるようになった。よし、今度こそ……今度こそいけるぞ!!
そして始まった運命の27回目。
長く、そして苦難に満ちた”モンスターハンター”の旅が終焉を迎える−−!
※かなりお酒の話題が入っております! 未成年の皆様、お酒は二十歳になってからね!※
佐賀に着くころには、とっぷりと日が暮れていた。
▲JR佐賀駅前。すっかり日は落ちた。さあ宴会だ宴会だ。狩猟だ狩猟だ。
店には、一般のお客さんの足が落ち着き始める午後10時半にお邪魔することになっている。それまで1時間ほど時間があったので、とりあえず逆鱗日和ファミリーは宿泊先にチェックイン。ここまで送ってくれたJast25`sのふたりも今日はこのまま佐賀に泊まる手はずをして、いっしょに飲み食いしようということになった。とりあえず彼らは休憩がてらコーヒーを飲んでいるというので、1時間後にJR佐賀駅で合流することを約束。我ら4人パーティーはいったん解散することにした。
俺に招待メールをくれた店長さんが切り盛りする居酒屋”にわか本舗”は、JR佐賀駅の程近くにある。本場九州らしく、豊富な焼酎とおいしい焼き鳥が自慢の店で、店長が若い(27歳!)こともあってか、働くスタッフも若くて元気な人ばかりである。
そんなにわか本舗の扉を、午後10時過ぎに叩いた。本当は午後10時半に訪問する予定だったのだが、俺も江野本も……待ちきれなかった(苦笑)。もう一刻も早くにわか本舗を訪れて店長を始めとするスタッフの人たちに会い、おいしい焼酎と焼き鳥に舌鼓を打ちながらいろんな話をして、トドメとばかりに『2nd G』で協力プレイをしたくてしたくてタマラナクなってしまったのだ。
▲佐賀駅から続くガードの下に、にわか本舗はある。じつに趣深いたたずまい。この写真を撮った数秒後、店長が店のトビラを開けてくれた。
「遠いところ、ようこそ〜!!」
カウンター席の向こうで、若き店長が元気に言った。まだバリバリの営業時間だったので、店の中はお客さんでごった返している。
「本当に来てくれたんですねー!」
焼き鳥を焼いていた若者がニコニコしながら俺と江野本の顔を見た。忙しく動く彼の手元から、トリの脂がじゅわじゅわと爆ぜる小気味いい音が聞こえてくる。ふんわりと漂う、焼き鳥独特の香ばしい匂いと焼酎のツンとした芳香。あー腹減った! ちょっと前に食べた長崎皿うどんなんて、焼き鳥のフレグランスで一瞬で消化されちまったよ!! ふと、横にいた江野本を見ると、彼女はヨダレをたらさんばかりの表情で焼きあがって行く焼き鳥を凝視しており、いまにもグレムリン化しそうな勢いである。
「お、おいしそう……」
江野本ぎずも改め江野本グレムリンが、心からのつぶやきを漏らした。そんな腹ペコ娘のつぶやきが聞こえたのか、店長が笑顔のまま「とりあえずお客さんがはけるまで、食事でもどうですか? メールしたとおり、大塚さんと江野本さんが好みそうなお酒もたくさん用意してありますからね!」とじつに魅力的な提案をしてくれたではないか! もちろん、俺たちに異存などあるわけがない。俺と江野本はほかにお客さんがいるのも構わず、「食べます飲みます狩りますっ!!!」と大声で絶叫。これが、いまだ俺と江野本のあいだで「一生忘れない」とため息とともに語られる、ステキなステキな佐賀の夜が始まった瞬間だった。
いきなり秘蔵の芋焼酎を注文しようかとも思ったが、まずはやっぱり生ビールだ。ここまで俺たちを連れてきてくれたJast25`sのふたりに心からの感謝を込めて、「かんぱーい!! ホントにありがとう!!」と言いながらジョッキをぶつけ合う。にわか本舗の面々も俺たちに合わせて、笑顔でグラスを傾ける仕草をしていっしょに乾杯してくれた。それを見た瞬間、俺は(ああ……。また俺は『モンハン』をきっかけに、ステキな人たちと交わろうとしているんだな……)と予感にも近い確信を覚える。早くPSPを手にして、この人たちとゆっくりいろんな話をしてみたい。心地よく冷えたビールに喉を洗われながら、俺はそんなことを考えていた。
▲ホロ酔いのJast25`s。その向こうにいるのが、この店の女性スタッフのヨーコちゃん。
忙しく動き回りながらも、店長とスタッフの皆さんはつねに俺たちを気にかけてくれていた。それに甘えて、店長と『モンハン』の馴れ初めを聞く。
「最初のころはずっと、僕ひとりで遊んでいたんです。でもやっぱりひとりじゃなく、仲間と協力プレイがしたくなるじゃないですか? そこで『2nd』が出たときにソフトを2本買って、(スタッフの若者を指差して)こいつに”頼むからやってくれ!”と言いながらソフトを渡したんですよ(笑)」
ソフトを渡されたスタッフの”キョータロー君”、最初は「あくまでも付き合いで」って感じで『2nd』をやり始めたそうだが、すぐにこのゲームの魅力に取り憑かれる。『2nd G』が出るころには女性スタッフの”ヨーコちゃん”もハンター仲間に加わり、営業時間が終了するのを合図に夜更けまで狩りを続ける日々が続いたそうだ。うれしそうに店長が言う。
「で、まえまえから愛読していた大塚さんのコラムを彼らに紹介したら、みんな思ったとおりにハマってくれて(笑)。今回の企画に乗って大塚さんたちを招待しようって話も満場一致で決まりまして、速攻でメールを出させてもらった次第です(ニヤリ)」
かわいらしい女性スタッフのヨーコちゃんも、「最初、ふたりが何の話をしているのかわからなかったんですけど、詳しく聞いたとたん、テンションがめっちゃ上がりました(笑)」と恥ずかしそうに笑う。うんうん……。よくぞメールを出してくださいました……><
俺と江野本は、飲み物をビールから焼酎、泡盛に変えた。店長が「大塚さん、江野本さんに飲んでもらおうと思って入荷しておいた酒があります」というので、それを持ってきてもらったのだ。酒好き店長が俺の前に持ってきてくれたのは、地元・佐賀県で作られている”恋寅”という銘柄だ。見るのも飲むのも初めてである。オークの木樽でじっくりと寝かせて作られたというこの焼酎。その味わいは……。
▲ズラリとならぶ焼酎と泡盛。さすが芋焼酎の本場、九州。都内ではなかなかお目にかかれない銘柄もたくさん揃っていて、オイラは大感激だったよ……。
「う、うまーーーーっ!!」
すっきりとした甘さの中に、ツンとした独特の香りがある。かといって飲みにくいわけではなく、ふだん芋焼酎はあまり口にしない江野本もひと口飲んで「わー! おいしい! これならウチでも飲める!」と大ハシャギだった。そんな江野本のもとには、「島んちゅもオススメの逸品」という”北谷長老”という泡盛(古酒)が運ばれてきた。こいつをグビリと口に含む江野本。瞬時に目を輝かせてデカい声で絶叫した。
「う、うまーーーーっ!!」
江野本はふだん、泡盛は水割りで飲んでいるのだが、よっぽど北谷長老の古酒が気に入ったらしく「これはオンザロックで飲む!!」と言ってグビリグビリとロックで飲み続けておりました(苦笑)。お酒のアテとして運ばれてきた焼き鳥のぼんじり、皮、つくねなど、どれもすばらしくおいしくて、逆鱗日和ファミリーとJast25`sのふたりはいつまでも「うめえうめえ!!」と言いながらグラスを傾け続けたのだった。
▲右が、俺がこの日いちばんおいしいと思った鳥のぼんじり。めっちゃジューシーで味わい深かった。
次回に続く。
※大塚角満コラム情報※
現在、週刊ファミ通のwebサイト”ファミweb”にて、この狩猟ツアーの様子を写真で振り返る”写真で見る! 全国狩猟ツアー”というフォト日記を連載しております〜。このブログや週刊ファミ通のコラム”MH研究所”では見られない狩猟ツアーの裏側を垣間見えるフォト日記。この機会にぜひ、覗いてみてくださいな。ファミwebを閲覧するには会員登録が必要ですので、トップページの注意事項をよく読んでくださいね。入れたら”大塚角満のMH研究所 写真で見る! 大塚角満の全国狩猟ツアー”のアイコンがあるので、そちらをクリックして入ってくださいね〜。
【MHP 2nd G】第111回 モンスターハンター 〜熱波〜
深夜のバーで急遽始まった”モンスターハンターをガンランスでクリアーするための道を見つける絶望的な緊急会議”。参加メンバーは俺、江野本ぎずも、この店のマスターである。
まずあぶり出したいのが、俺がこのクエストをクリアーできずにいる、その理由だ。「それがわかれば苦労しねえだろ」と思われるかもしれないが、一度冷静になってじっくりと、客観的な意見を交えながら振り返ってみないことにはどうしようもないと思ったのだ。いま俺が立たされているのは、振り向いたら地獄の業火が燃え盛っている崖の突端のような場所だ。ここで抜本的な解決策を見いだし、アメーバが人間になるくらいの劇的な進化を遂げないと、俺は一生このクエストをクリアーすることは叶わないだろう。
「いままでどんな装備でモンスターハンターに挑んでいたんですか?」
とマスターが言った。この人は俺に影響されて『2nd G』から『モンハン』世界に入ってきたルーキーハンターだが、ヒマさえあれば7月末に出た『2nd G』公式ガイドブックをギロギロと眺めているような人なので、その知識レベルは”師匠”である俺を遥かに凌駕してしまっている。俺はマスターに言われるがまま、ふたりへ向けてモンスターハンターに挑むときの装備をつまびらかにした。
■大塚角満のこれまでの装備■
武器:電銃槍フルボルト
防具防御力:571
発動スキル:ガード性能+1、攻撃力UP【小】、心眼
持ち込みアイテム:
・調合書(1)入門編
・調合書(2)初級編
・調合書(3)中級編
・回復薬グレート(10個)
・回復薬(10個)
・秘薬(2個)
・力の護符
・力の爪
・守りの護符
・守りの爪
・落とし穴
・シビレ罠
・モドリ玉
・砥石
・強走薬グレート(5個)
・閃光玉(5個)
・捕獲用麻酔玉(8個)
・トラップツール(2個)
・ゲネポスの麻痺牙(2個)
・こんがり肉(5個)
・狂走エキス(5個)
・ドキドキノコ(10個)
・光蟲(10個)
・素材玉(20個)
以上が、モンスターハンターに挑戦した18回までの、偽らざる俺の装備である。これのどこが悪いのだろうか? しげしげと俺の装備品を眺めながら、江野本がふわりと言う。
「あっしにはよくわかりませんけど、この装備で時間切れにばかりなっているっちゅーことは、”火力が足らない”ってことなんじゃないですかね?」
マスター、江野本の発言に強く頷く。
「キョウスケ(このバーの手伝いをしている若手ハンター)も言ってましたよ。”モンスターハンター、オチることはなくても火力不足で時間切れになっちゃう”って。やっぱり火力の見直しを計ったほうがよさそうですね」
火力か……。しかし数あるガンランスの中から選び出した電銃槍フルボルトは、基本攻撃力が644もある。当時俺が持っていたガンランスの中では、攻撃力だけ見れば3番目に強い武器なのだ。だがじつは1本だけ、攻撃力800を超えるガンランスも存在する。その武器はラージャンに有効な氷属性だし、こいつを担いで行きさえすれば拍子抜けするほどあっさりと、モンスターハンターもクリアーできてしまうかもしれない。しかしその武器は俺に言わせたらものすごく特殊でイレギュラーなものなので、モンスターハンターに挑戦すると決めたときからきっぱりと”封印”した。なのでこれを除いたガンランスの中から、電銃槍フルボルトよりも強いブツを選び抜かなければならない。でもそんなもの、持っていたかな……。ガンランスはほぼすべて揃えているつもりだけど、これといってピンとくるものがないんだよなぁ……。俺が頭を抱えていると、公式ガイドブックを眺めていたマスターがカウンターの向こうから鋭い声でこんなことを言った。
「大塚さん、”ブラックゴアバスター”でいいんじゃないですか? これだったら、無属性ですけど電銃槍フルボルトよりも攻撃力は高いし(基本攻撃力690)、砲撃も、砲撃レベル4で放射型。おまけに防御力もプラス10されますよ。持ってるんでしょう?」
”ガンランスはほぼすべて揃えているつもり”なんて書いたシリからこういうことを言うのもナンだが、じつはブラックゴアバスター、作ってない(苦笑)。とくに理由があって作らなかったわけではなく、本当に「なんとなく」製作しないでいたのだ。でもそれだけ強いのだったら、作ってみる価値はありそうだ。作るための素材は潤沢に持っているだろうし、さっそく作ってみることにしよう。
さらに俺たちは火力をアップするためのテコ入れを行っていった。まずは防具。いままでは頑なに「ガード性能がなければ生きていけない!!」と宣言して”ガード重視”のスキルから着けていくようにしていたが、キッパリとこの考えを捨てた。最優先で着けるべきスキルは”攻撃力UP【大】”だ。これに、必要かどうかわからないが”心眼”も着けておきたい。そこで選ばれたのが”ソルZ”シリーズ。すでに頭、胴の部分は持っていたので、腕、腰、脚だけ作ればいい。これにゴチャゴチャと装飾品も装着。見事、攻撃力UP【大】と心眼を発動させることに成功する。
ついでに、アイルーキッチンでの食事も見直した。これまでは体力、スタミナをマックスにする黄金芋酒と幻獣チーズをなんの迷いもなく摂取していたが、どうせ闘技場に入ったら強走薬グレートを飲むんだし、ネコメシでスタミナをマックスにする必要はまったくないだろう。だったらここで選ぶべきは、攻撃力UP【大】と体力プラス40が発動する”肉+野菜”の組み合わせしかない。
これらの施策を施した結果、真新しいブラックゴアバスターの攻撃力は690から782まで急上昇!! 封印した氷属性のガンランスに匹敵する攻撃力を纏わせることに成功したのだ!
そして試しに挑んだ19回目のモンスターハンター。結果はまたしても時間切れの引き分けだったが、いままでにない”確かな手応え”を掴み取った感触が、確かに我が手に残った。
さあ反撃の時間だ。ここまでやってダメだったら、俺にはこれ以上前に進む資格がないってことだろう。まだまだ『2nd G』に向き合っていくために、必ずやこの装備でモンスターハンターを越えてみせようじゃないか。
新たな一歩を踏み出したガンランサーの、灼熱の反撃が始まった!
次回に続く!
長崎ハンター協会の面々と別れ、Jast25`sのkohei君が運転するクルマに再び乗り込んだ俺と江野本。つぎに目指すは佐賀県である。
じつは俺も江野本も九州の地理にてんで疎くて、最初のプランでは長崎から佐賀に電車で移動しようと考えていた。しかしこれを聞いたkohei君、「それは非常に効率が悪いけん、僕がクルマでお送りしますよ。そのほうが絶対にいいです!」と送迎を名乗り出てくれて、晴れて4人で、佐賀の熱血ハンターが切り盛りする”狩猟居酒屋”(?)に出向くことになったのであった。
JR佐賀駅前で居酒屋を営む、その名も”店長”さんからのメールは、とても心トキメクものだった。ちょいとそれを抜粋させてもらおう。
「私は佐賀駅に程近い場所で細々と居酒屋を営ませていただいているものです。お客様と夜な夜な『モンハン』……とはなかなかいかず、スタッフと営業時間後に、深夜の狩りを楽しんでおります。そんな中スタッフに大塚さんのコラムを紹介し、地方に出張に行くという企画があることを告げると、モンハン大好きスタッフ全員から「ぜひ招聘しよう!」という声があがりました。大塚さんは焼酎がお好きなようなので(笑)、呑みながら狩りをするのもオツじゃないかなと……。自分以外のスタッフは全員下戸なので、我々が酔っ払ったあとのサポートも万全かと思います(笑)。もし実現できるようであれば、おいしい焼き鳥とお酒でお出迎えしまーす!」
じつは今回の狩猟企画に寄せられた応募メールでの記述で目立って多かったのが、「私の住んでるところにはおいしいお酒があります!!」、「幻の焼酎を用意しておきますよ!!」、「ボクんとこは海の幸がめっちゃウマイ!!」、「いっしょに飲みまくって食いまくりましょう!」という、馬の鼻っ面にニンジンをぶら下げるような、”酒”、”おいしいもの”に関する単語たち(笑)。俺はこういう記述を見るたびに「俺ってそんなに、飲兵衛で食いしん坊って思われているのかなぁ……?」と江野本につぶやくのだが、彼女は「皆さんホントに、キチンと大塚さんのコラムを読んでくれているんですね。よくわかってらっしゃる♪ もしもあっしが一般読者で大塚さんを呼ぼうと思ったら、間違いなく”おいしい焼酎とチーズを用意したたくさんの美女がお出迎えしまーす♪”と書くと思いますよ」とニヤニヤ笑うだけ。俺、二の句が告げなくなり、「んなこと言ったって……。そもそも美女なんて関係ないじゃん……」とモゴモゴ言いながら、佐賀の店長から来た別のメールをそれとなく眺める。そしてそこに、こんな記述があるのを発見した。
「江野本ぎずもさんは泡盛党なんですよね? 島んちゅオススメの秘蔵の泡盛がありますので、ぜひお楽しみくださいね!」
俺、腹を抱えてゲラゲラと笑いながら、「あの、ぎずもさん(笑)。まことに言いにくいんですが、ボクと五十歩百歩の酒好き&食いしん坊だと思われてるみたいですよ(笑)」と江野本に告げる。これを聞いた江野本、とたんにグレムリン化して、「だだだ、誰のせいですか!! 大塚さんがあることないこと好き勝手にコラムで書くからでしょう!! まったくもう……。あっしだって女の子なのに……」と怒りまくる。しかし2秒後にはケロっと立ち直り、「し、島んちゅオススメの泡盛って、どんなんなんスかね……? やべえ……。めっちゃテンションあがってきた……!!!!」と、俺があることあることしかコラムに書いていないことを証明する言葉を発して、机の上でピョンピョンと飛び跳ねるのだった。
てなわけで決定した魅惑の佐賀ツアー。あ、念のために言っておくと、おいしいお酒と焼き鳥に釣られたわけではないからネ。居酒屋の営業が終わってからスタッフどうしでワイワイ楽しく狩っているという、ステキな空間を見てみたいと思ったからだからネ! 青森では個人と、長崎では中規模団体と、そして佐賀では身内だけのコミュニティーと、集まりの規模も3ヵ所すべてが違う感じになるので、バランス的にもじつに理想的だ……と思ったからだからネッ! ネ! ネ! と、いったい俺は誰に言い訳しているのだろう……と思わなくもなかったが、そんなこんなで佐賀に行くことになったのであります。
で、ようやく話は長崎に戻る。koheiカーに乗り込んだ我々が向かった先は……長崎ちゃんぽんの店!!(苦笑) 「ここまで来て本場の長崎ちゃんぽんを食べずに帰れますか!!」と、俺じゃなく江野本ぎずもが強硬に主張したため、ちょっと寄り道して小腹を満たそう……ってことになったのであります。
「じつはウチ、長崎ちゃんぽんと長崎皿うどんには目がなくて……」
食いしん坊キャラを全開にした江野本を連れて、俺たちは長崎ちゃんぽんの店に突入した。そして江野本は長崎ちゃんぽん、俺は長崎皿うどんを注文し、あっと言う間にこれを平らげ、「ああ〜幸せ……。ちゃんぽんの海で泳ぎたい……」と至福の表情を浮かべてフラフラする女をクルマにぶち込んで、俺たちはようやく、佐賀へ向かう高速道路に乗ったのだった。
次回に続く〜。
▲これが、俺が注文した長崎皿うどん。当然のように、江野本に半分食われました。
【MHP 2nd G】第109回 モンスターハンター 〜限界の向こう〜
もう、前フリもなしで書いたるわい。
■モンスターハンター:16回目
ヤケクソで帰りの電車の中からスタート。しかしヤケクソのわりには順調にクエストは進み、なんと開始6分でリオレウスを討伐してしまったではないか!! こ、こいつはすばらしい。行けるかもぉおお!!
が。
続くティガレックス、じつに”悪い”ティガレックスでした……。なんかコイツ、壁際に陣取っているガンランサーに不穏なものを感じたのか、遠くから石を投げてばかりいるのだ。遠慮しないで突っ込んできて、壁に頭をめり込ませてくれよ!! じゃないと俺の作戦はすべて崩壊するんだよっ!! ……という俺の心の叫びを聞いてしまったのか、投石ティガレックスはひたすら「なんかたくらんでやがるな」という疑念のまなざしを向けたまま、遠くで「うりゃーおりゃー」と石を投げ続けるだけ。こうなるともう、俺のほうから突っ込んで行くしかない。しかし! ワナにハメようとしていたのは俺ではなくてティガのほうだったらしく、シビレを切らして突入していったガンランサーを見て、狡猾な轟竜は陰湿な目をキラリと光らせる。そしていきなり投石をやめたかと思うと、抜群のタイミングで回転アタックをかましてきてあっさりとガンランサーの息の根を止めた……。
俺、ふだんまったく何も考えていないようなティガレックスにハメられたことを知り、「っっっっっっつつつつ!!」と言葉にならない怒声を漏らす。まだ1オチだからいくらでも挽回するチャンスはあったのだが、あまりにも頭に来たためリタイアを選択。アホなオトナの末路は、こんなものである。
■モンスターハンター:17回目
ティガレックスに騙されたことが尾を引いてか、「クリアーしたい!」という思いと、クエストに挑むときの集中力、そして指の動きが噛みあわなくなってきた。それぞれのバランスが取れて初めて最高のパフォーマンスを見せられるのだと思うが、当時の俺はクエストを遂行するために必要なものがバラバラに飛び散ってしまっていて、そりゃあもうひどい有様だった。この17回目はとくにひどく、有効なダメージを与えられないままリオレウスで1オチ、なんとか10分で捕獲するもティガレックスにもボコボコに……。どうにも立て直すことができなかったので「モドリ玉でキャンプに戻って、1回冷静になろう」と思ってモドリ玉を投げるも、その瞬間にティガレックスに噛みつかれて昇天……。「ダメだこりゃ……」と赤いため息を吐き、2回連続の序盤リタイアとなる。
もう俺、無理かもしれない……。
静かに静かに、PSPの電源を落とす。
■モンスターハンター:18回目
とにかく1回、落ち着こう。強引に勢いだけで挑んでもクリアーできないことは、17回もやってりゃわかりそうなもんだろう!!
なので俺は江野本ぎずもを連れて、なじみのバーの扉をくぐった。ここで好きな酒を飲んで、くだらない話に笑い、真剣な討論なんかもしちゃって、いつもの自分に戻ろう。そう思ったのだ。
いつもの席に腰掛け、生ビールを注文する。このバーは毎日珍しい銘柄の生ビールを用意してくれていて、最初の1杯目は必ず、「今日の生ビールくだちゃい」と言って生ビールを飲むことにしているのである。この日飲んだ生ビールは……メモってないので忘れちゃった(苦笑)。日本の生ビールだったがイギリスのエールに近い味わいでじつに俺好み。江野本も「コレおいしい!」と言いながら、1杯、2杯とグラスを空けている。そんな俺たちを慈愛の篭った目で眺めながらマスターは言った。「大塚さん、例のモンスターハンター、どうなりました?」と。俺はわざとらしく顔をしかめながらマスターに向き直る。「ぜんっぜんダメ。でもいまは気分がいいから、いけそうな気がするよ」。これを聞いた江野本、目を輝かせてこう言った。「だったらここでモンスターハンターにチャレンジしてみてくださいよ! あっしとマスターが見届け人になりますから!!」。
なにぃ〜。そうきたか!! よーし。やったろうじゃないか。確かに俺たちのほかに客はいないし、酒という名のガソリンも入った。いまいちばん好きなこの空間で挑んでくれようじゃないか。モンスターハンターに!!
そして始まった18回目。やはり気分がノっていたからなのか、意外なほど我が指が動いてくれる。8分ほどでリオレウスを捕獲。まずまずのペースだ。そして前日、さんざんいじめられたティガレックスも、残り時間30分で討伐することに成功する。おおお? 前日とは打って変わって、いい感じではないか!! なんだかステキな予感がする。いよいよクリアーできる気がする!! ここはぜひ、マスターと江野本の目の前でラージャンを屠り去り、そのまま祝杯とシャレこもうではないかっ!!!
相手がナルガクルガに変わっても、俺の調子は維持されたままだった。性懲りもなく尻尾ビターンを食らって1オチするも、15分24秒残して討伐完了。しかも手持ちのアイテムがすばらしくて、回復薬グレート9個、回復薬7個、秘薬1個、モドリ玉セット5個、強走薬グレート4個、支給用大タル爆弾2個、シビレ罠2個、落とし穴1個、閃光玉2個……と”完全防備”と言っていいほど充実していたのである。
勝利の女神も、完全に俺に微笑んでいたと思う。
ラージャンが登場するやいなやオトモアイルーがシビレ罠を設置し、これにハマったところで1発目の竜撃砲発射。攻撃も順調に当たり、ラージャンはすぐに怒り状態に突入する。これを見て素早く、闘技場の中央に落とし穴を設置する俺。ラージャン難なくこれに落ち、その鼻っ面に支給用大タル爆弾をズラズラと並べていく。起爆はもちろん、竜撃砲! 竜撃砲の容赦ない焔と支給用大タル爆弾の噛みつくような爆風に包まれ、さしものラージャンも辟易。
「いけるよみんな!!」
薄暗いバーで、マスターと江野本に向かって叫んだ。
さらに、奇跡は続いた。なんとオトモアイルーがこのクエストでは2個目となるシビレ罠を闘技場に設置したのである!! 「な、なんていいコなんだオマエは!!!」と、辻本良三プロデューサーからもらった”オスカー”に向かって投げキッスを連発する俺。さらにオスカー、俺がピンチになったところで真・回復笛まで吹いてくれて攻守にわたっての大活躍を見せる。りょ、良三さんとクエに行くより頼りになるかも……なんて思わなかったが(ホントか?)、これほどオトモアイルーが要所で活躍してくれるクエストも、そうそうないのではあるまいか。
しかし、俺はこの奇跡すら活用することができなかった。
なんとここまでやっても、時間切れの引き分け……。本当にガンランスで、俺の腕で、このクエストをクリアーすることができるのだろうか……?
この18回目のクエストをメモしたノートの最後に、俺は断末魔の悲鳴とも言えるひと言を書いている。それは……。
”ガンランスの、限界を、感じる……”
でも、諦めるわけにはいかないよな……。『2nd G』に本気で取り組んできた証として、どうしてもモンスターハンターだけはガンランスでクリアーしたいんだもの……。沈痛な表情で俺を見つめていたマスターと江野本に向かって俺は言った。「どうすればガンランスで、この難関を越えることができると思う……?」。これを聞いた江野本、無理矢理元気な声を絞り出してこんなことを言う。「3人で考えましょ? きっと打開策が見つかりますよ!」。マスターも続けた。「大塚さんの一番弟子として、協力させてもらいますよ!!」。
深夜のバーで急遽、”モンスターハンター攻略会議”が開かれることになった。
そしてこのときの会議がのちに、偉大な一歩をガンランサーに踏ませることになるとは、この時点では誰も知らなかった−−。
次回に続く。
この、コラムというか妄想というか……とにかく! ここからあとの文字の羅列を読もうという豪胆な方々、絶対にこの”テオ物語 その1”を1回読んでからこいつを読み進めてください!! じゃないと俺はもう……恥ずかしくて恥ずかしくて(苦笑)。だったらアップすんじゃねえ、と思われるかもしれませんが、すでにこの物語、4話くらい書いちゃってるので、皆さんが忘れたころにコソコソと公開してやろうと思いましてね……。でもくどいようですが必ず、コレから読んでね! じゃないと、極めつけにわけがわからないからねっ! 俺に恥をかかせないでね!! って、俺は何を言ってるんでしょうか? でもまあ、せっかく書いて取っておいてあるので、読んでやってください俺の妄想。
◆◆◆
勢いで家を飛び出したはいいものの、さてどこに行ったものか。学校に行かなきゃ……とも思ったが、やたらと熱っぽいので正直、どこかで休みたい心境だ。それよりもさきに、診療所にでも行ったほうがいいのかな。だって、なんだかとてつもなく身体が重くて、四つんばいでしか歩けないし。えーっと、このへんの診療所というとどこになるんだ? あ、女の人が歩いているぞ。聞いてみよう。あの〜……。
「ぐがおぉぉおおお!!!」
うわ! すげえ声だなボク!! とんでもないガラガラ声だ!! いよいよ喉をやられたらしいぞ。あ、僕の声に驚いて女の人が悲鳴をあげながら逃げていった。「きゃーーーっ! 手雄よーー!!」だって。なんでボクの名前を知ってるんだろう。どこかで会ったことあったかなあ? ……あ、もしかすると、このあいだハンドボールの大会で県のベスト16に残る活躍をしたから、ファンでもできたのかな。いっやぁ〜! テレるなあ。コーフンするなあ!!
チラチラチラ
ん? また身体のまわりで妙な火の粉が舞っているぞ。今度は黄色っぽいけど、こりゃいったいなんだ? ……あ、クシャミが出る。ハッハッ、ハックショイ!!
ボボボボボボボンッ!!!!
うっはあ!! なんか遠くで爆発が!! いち、にい、さん……8ヵ所爆発してるぞ! うわぁ……。かなりヒドい爆発だなコレ。ガス漏れか? 危ないなあ。幸いボクは爆発の中心付近にいたので無傷っぽいけど。気をつけてほしいよホントに。あーでも熱っぽい。なんかますます熱っぽい。どうしたもんだろうコレは……ってオイオイ、向こうに見えるのはボクの憧れの人、ナナちゃんじゃないか!! うわー、いきなり出会うと恥ずかしいなあ。テレるなあ。顔から火が出そうだよ。
ブボオオオオオオォォォ!!
な、なんかいま、ボクの口からとてつもない火柱が出たような……。いや確かに物のたとえとして「顔から火が出る」とは思ったけど、何も口から火を出さなくても……じゃなくて!! なんで火が出たんだ!! でもまあいいか。思春期の健康な男子にはそういうことも起こるんだろう。そんなことよりナナちゃんだよナナちゃん!! いつもは恥ずかしくて声かけられないけど、なんか今日だったらいける気がする。ああでも、今日は声が出ないんだボク……。でも、当たって砕けろだ。恋は突進あるのみだ!
ズドドドドド!
「きゃあああ!! テオよテオ!! テオが突進してくるわーーーっ!!」
よしよし、ナナちゃんもわかってくれてるぞ。いま手雄がいきますよ!! ……って、あれ? なんかナナちゃん、全速力で逃げていくぞ。うわ、すげえスピードだ。スタミナがまったく切れないみたいだし。強走薬グレートでも飲んでるみたいな勢いだ。ははーん。さては恥ずかしいんだな。ボクが恋の突進をしようとしたから。かわいいなあ、ナナちゃん。……アレ。いまボク本当に、ナナちゃんのことをかわいいと思ったのか? まるでモデルみたいにスリムで顔が小さいあの子を見て、じつは心の中で「うわ。なんだあの貧弱な雌は。もっとこう、血色が悪い顔の大きい獅子面じゃないと魅力感じないわ」って思わなかったかボク……? すさまじい好みの変化だな……。ま、まあこれも、思春期の健康な男子にはありがちな現象なのかも。そうだそうだ。そうに違いない。それにいまボク、めっちゃ熱があるし。病気で朦朧としているから、いつもとは違うフィルターを通して彼女のことを見てしまったんだろう。そうなるとますます、落ち着いて休めるところに行かなきゃ……。とりあえず、あてどなく歩こう……。熱っぽくて何も考えられないし……。そのうち、どこか落ち着けるところに出るだろうから……。
とぼとぼとぼ……。
そしてボクは見たこともない、”赤い大地”に降り立った。
続く……のか?
【MHP 2nd G】第107回 角満出張狩猟企画・長崎編 その3
水の都・松浦市を後にしたJast25`sと逆鱗日和ファミリー。雷神様に天誅を食らったかのような豪雨と雷のコンボに、我々4人は茫然自失状態である。でも、いつまでもショックを受けているわけにはいかない。早くどこかに腰を落ち着けて、じっくりとインタビューしなくては!!
我々は雨に追われるように松浦市を飛び出し、再び佐世保市を目指す。ところが、松浦市から峠をひとつ越えたあたりで豪雨はあっさりと沈静化。傘なしでも外を歩けるくらい、穏やかな雨滴がパラパラと舞う程度に収まってしまったではないか。
「ずいぶん小降りになったねぇ」
と俺。その顔はニヤニヤと笑っていたことだろう。
「ホント、さっきの豪雨はなんだったんでしょうねぇ」
と江野本。俺と同じようにやはり、その顔はニヤニヤと笑っている。これを聞いて慌てたのがJast25`sのふたりだ。半ば怒りながら、kohei君が言う。
「いったいどうなってんだ……。せっかく松浦市を堪能してもらおうと思ったのに!! なんで松浦だけ大雨なんだ……」
相棒のraven君も苦笑いだ。
「まだ松浦から20分も走っていないのに、こんなに天気が違うなんて……。我が故郷になにがあったのか……(苦笑)」
しかも困ったことに、落ち着いて話ができるようなファミリーレストランは豪雨から逃れるためにビバークしているファミリー層でいっぱいで、どの店も席が空いていない。そこで我々は佐世保市の郊外にある小さな喫茶店にお邪魔し、コーヒーやパフェなどを注文して、じっくりと『モンハン』トークに花を咲かせることにした。
Jast25`sのふたりは何度も書いたとおり、昨年の第一回モンスターハンターフェスタのタイムアタック大会で、見事初代チャンピオンに輝いた精鋭中の精鋭チームだ。いまでこそ”理詰め”の『モンハン』タイムアタックはふつうの景色としていろいろなところで見ることができるが、昨年の春に全国大会の舞台で初めて、詰め将棋のような突き詰めたプレイを展開したのがこのふたりなのである。もちろん、このふたりだけが数学の計算式のような突き詰めたプレイをしていたわけではないが、全国のてっぺんから「『モンハン』にはこういう立ち向かいかたもある!」とその実力で宣言した功績はあまりにも大きい。いまでもはっきりと覚えている。モンハンフェスタ`07の決勝で、狩猟笛を担いだJast25`sのふたりがEffort Cristalのシンクロプレイを髣髴とさせる息の合ったプレイで、あのラージャンを翻弄した姿を。このときのふたりの動きは伝説となり、これにインスパイアされたEffort Cristalが1年後、より極まったシンクロプレイを完成させて全国のハンターを震撼させたのは記憶に新しいところだ(詳しくは『本日もニャンと! 逆鱗日和』のEffort Cristalインタビューで確認しよう!)。そう、Jast25`sは”理詰めの『モンハン』”の先駆者なのである。
そんな、伝説的なコンビであるJast25`sは今年も、モンハンフェスタに参加した。ディフェンディングチャンピオンとしての誇りを胸に抱いて。目指すは当然、V2。春、モンハンフェスタ`08福岡大会の会場で1年ぶりに彼らと再開したとき、俺は「今年もこのふたりが全国の舞台で大暴れするんだろうなぁ」と確信したものだ。しかし……。
▲佐世保市内のマリーナで、Jast25`sのふたりにインタビュー。雨はすっかりあがっていた。
……当然ながらここからが核心なのだが、これ以上は書かない。じつはふたりへのインタビュー、1時間40分にも及んだのだが、俺の書き手魂に火をつけるには十分すぎるほど中身が濃いものだったので後日、違う形で記事にしたいと思う。Jast25`sのふたりはどんなふうに料理されるのか気が気じゃないと思うが(笑)、もうちょっと待っててね〜。
インタビューを終えた俺たちは再びkoheiカーに乗り込み、佐世保市内に舞い戻った。俺たちが長崎に来るのに合わせてkohei君が所属する長崎の『モンハン』サークル”NHK(長崎ハンター協会)”が会合を開いているというので、そこにお邪魔しようという算段だ。会場になっているカラオケボックスの大部屋に入ると……。
「お待ちしてましたーーーーーっ!!!」
「遅いよーーーーっ!!!!」
「早く早く!! ひと狩りやりましょーーーっ!!!!!」
とビックリマークの大洪水で歓迎されました(笑)。この日集まっていたのは15人ほどで、20〜30代半ばの男性ハンターを中心に、女性もふたりほど混ざっておられました。
NHKの管理人である”龍作”さんに話を聞くと、このサークルの母体は携帯ゲームサイトで、そこにハンターが集うコミュニティーを作り、徐々に規模が拡大していったという。いつの間にかメンバーは20人を大きく越え、積極的にオフ会も開催。いまでも月に1〜2回は皆が顔を合わせる機会を設けて、ワイワイギャアギャアと騒ぎながら狩りを行っているという。
それにしてもこのサークル、うるせえったらなかった(笑)。もちろん、いい意味でね。とにかく部屋のあちこちから爆笑や嬌声が轟いて、俺も江野本も笑いっぱなし。しかも感激したことにほとんどの人が『本日もニャンと! 逆鱗日和』を買ってきてくれていて、即席のサイン会までやらせてもらった。
▲カラオケボックスで『ニャンと!』にサインをする大塚角満(上)。けっきょく時間の都合で1クエしか行けなかった。討伐目標はG級のリオレウス希少種。危なげなく討伐して村に帰郷しました。
「いっつもこんな感じで、うるさく騒ぎながら狩りをしてるんです(笑)。やかましくて申し訳ないです(苦笑)」
と龍作さん。いやいや、最高じゃないですか。気の置けない仲間がこんなに集まって、好き勝手なことを言いながら楽しく狩りができるなんて。なんだかとっても、うらやましく思ったよ。キチンと団体を引っ張っていく人がいれば、ゲームのサークルもこんなに結束固く運営することができるんだなぁ……。あ、そういえば。龍作さんたちが着ているおそろいのTシャツ、どっかで見たことあるぞ。俺の視線に気づいたのか、Tシャツを着ていた何人かの人が口々に「今年のモンハンフェスタ福岡大会にこのTシャツを着て行って、Jast25`sの応援をしたんですよ!」と教えてくれた。そうだそうだ。福岡大会で敗れ去り、泣きじゃくっていたkohei君のまわりにいたのが、このTシャツを着た人々だったんだ……。テレくさそうに、kohei君がつぶやく。
「今年の福岡大会で負けたとき、本当にどうしようもないくらい落ち込みました。そんなとき、僕のまわりにいてくれたのが相棒のravenと、このNHKのメンバーなんです……。凹みまくる僕を慰め、励ましてくれたのがこの人たち。仲間って本当にありがたいものなんだなぁ……って改めて思いました」
そんな温かいNHKのメンバーと、狩りをともにした。時間がぜんぜんなくて、俺も江野本もたったの1クエストしか行けなかったけど……。そんな、かき回すだけかき回してとっとといなくなってしまう俺たちふたりに対しても、NHKのメンバーは温かかった。誰もが口を揃えて言ってくれた。「また絶対に遊びに来てくださいね!」と。「今度はゆっくり狩りをして、じっくりと話を聞かせてください!」とも言ってくれた。本当に、わずか30分ほどの滞在だったけど、NHKのメンバーとの邂逅を俺はずっと忘れないだろう。
▲NHKのメンバーと記念撮影。本当に賑やかでした(笑)。
いつまでも手を振るNHKのメンバーに見送られながら、俺たちはカラオケボックスを後にした。さっきまで小雨がパラついていた佐世保の空から、小さな光の束が濡れた地面に降り注いでいた−−。
書かなきゃいけないネタが溜まりまくりなので、しばらくがんばって2本立てで、コラムをアップしていきたいと思います。そう、早いところ”モンスターハンター挑戦記”にケリをつけたいのだ。とっととあの4頭の呪縛から解き放たれたいんだよぉぉぉおお!! というわけで、恒例の”失敗リポート”です。「んなのコピペでいいじゃん」なんて言わないで。
■モンスターハンター:13回目
あまりにも失敗続きなのでやけっぱちになり、通勤電車の中でモンスターハンタースタート。しかも座席に腰掛けることは叶わず、立ったままでのプレイである。
それでも、意外なほど健闘した。リオレウス討伐には9分かかり、ティガレックスには1オチを食らうも、27分残してナルガクルガの前に立つことができた。このナルガクルガ討伐も俺にしては順調に進行し、残り時間14分30秒で討伐に成功する。アイテムも豊富に残っており、回復薬グレート9個、回復薬6個、シビレ罠1個、強走薬グレート4個、モドリ玉6個分などを持ったままラージャンに挑めることになった!!
残り時間10分48秒ってところでラージャンは最初の怒り状態に突入。なんでこんなに具体的にタイムが書けるのかというと、ラージャンが怒った瞬間にメニュー画面を出し、いちいちタイムを確認しているからだ。しかし当たり前のことだが、そんなことしてりゃ隙ができるに決まっており、マヌケに残り時間を見ていた俺に向かって怒りラージャンはピギャーと一閃、強烈なブレスを吐く。なんとこいつがまともに当たり、我が分身は壮絶な1発昇天を果たしたではないか!! 俺、自分の危機意識の低さにほとほと呆れ果て、このクエストに賭けるモチベーションが激減。けっきょく残り時間3分ってところでローリングアタックを食らい、自業自得の3オチを計上して村に強制送還されたのであった。
■モンスターハンター:14回目
ここからの2回、俺に”狩猟の神”が憑依した。雷属性のガンランス”電銃槍フルボルト”を持つ雄々しい姿は、まさに雷神そのものであった。
14回目、1頭目のリオレウスは8分足らずで討伐。続くティガレックスも30分残しで討伐だ。討伐・討伐と来たので、回復薬グレートは満タンの10個残し、シビレ罠、落とし穴も使っていない。もう万全の備えでナルガクルガに挑むことができるってわけだ! さすが神様な俺。我に触れんとするものは、この雷神の銃槍で焼き尽くしてくりょう〜!!
しかしそういうときに限って、ナルガクルガに苦戦するんだよネ。もうなんなの、このモンスター配置の妙は……。せっかくティガまでに作った貯金をナルガで一気に吐き出してしまって、討伐したころには残り時間15分を切っていたじゃないか……。うなだれる神。しかし回復薬グレート、回復薬ともに7個、シビレ罠2個、閃光玉5個、強走薬グレート5個と残してあるアイテムは悪くない。まだまだ行けるはず!!
俺、怒れる神となってラージャンに挑みかかる。しかしラージャン、俺を上回る怒髪天度で猛りまくり、残り6分ってところで神に1オチを食らわせる。しかもそれだけでは飽き足らずバチ当たりなラージャン、復帰した1分後に神に黄金のブレスをお見舞いしてきたではないか。お賽銭のつもりかっ!! 神、一命を取り留めるも焦りまくり、思わず秘薬をゴキュゴキュ……。でもこうやって体力を回復したとたんにでっかい攻撃をモロに食らうってのは『モンハン』世界の不文律みたいなもの。神は怒りタックルをもらったあとに追撃の回転アタックまでご丁寧に頂戴し、復帰したわずか2分後に2オチ目を計上してしまった。しかも、さきほど勢い余って最後の秘薬を飲んでしまったため、復帰しようにも体力を増加させる手段がない。俺、しかたなくヤケクソでノーマル体力のまま怒れるラージャンに対峙し、当然のようにボロキレのように扱われ残り2分ってところで3オチになってしまった……。
この一部始終を、俺よりもよっぽど神に近い”ファミ通モンハン四天王”がひとり、スレイブ間々田が目撃していた。間々田は俺の背後でわざとらしくため息をついたあとボソッと、「……なんであのとき、秘薬を飲んじゃったんですかねぇ……(軽蔑)」と言い捨てて、肩をすくめながら自席に帰っていったのだった……。……お、俺だって飲みたくなかったわい!! でも、怖かったんだよおお!!
■モンスターハンター:15回目
やはり俺は神だった。
リオレウスは閃光玉を積極的に使って屠り去り、ティガレックスは壁に頭を突き刺させて動きを封じ、徹底的に頭ばかり攻撃して討伐してくれた。残り時間、じつに32分!! 加えてナルガクルガ討伐も順調で、回復系アイテム満タン、シビレ罠3個、強走薬グレート4個などを残し、しかもノーミスのまま19分を残してラージャンと対決できることになったのだ!! いくらラージャンと言えども19分もあれば、ふつうに立ち回っていれば余裕で屠りされるに違いない。いよいよ俺が、モンスターたちの頂点に立つときが来たのだあああ!!!
でもね。
この神、極度の緊張屋で、自分が有利な状況に立てば立つほど手が震え、前に進めなくなるんです。前に進めないっつーことは攻撃がまるで当たらなくなるってことで、余裕でたくさんあった時間の貯金は無残にも食いつぶされていくだけ。それでも神は、「まだ焦る時間じゃない」と陵南の仙道を気取ってつぶやくも、残り時間はとうの昔に5分を切ってて十分アセっていい状況に突入している。しかしこの神、自分に叩きつけた「焦る時間じゃない」というセリフが効果テキメンに効いてしまい、その後も落ち着いて立ち回りまくる。けっきょく最後まで効果的なダメージを与えられないまま、大闘技場に「タイムアーップ!」の声が轟くのであった。神、最後まで1オチもすることのない余裕の立ち回り。余裕過ぎて時間切れ。まるで湿気ったマッチのような、なんとも言えないムナシイ怒りが充満する闘技場で、神はラージャンと顔を見合わせたまま「……またね」とつぶやくのだった。
……しかし、徐々に1回のクエストに充てるテキスト量が減ってきていることに、著者の疲れを感じずにはいられません(苦笑)。
【MHP 2nd G】第105回 角満出張狩猟企画・長崎編 その2
8月16日午前9時。羽田空港に到着した俺と江野本ぎずもはお互いの顔を見るなり「腹減った〜! コーヒー飲みてぇ〜!」と子供のように絶叫。何気にフライト時間がギリギリに迫ってきてはいたが空腹には勝てず、「とりあえず朝食をいただきましょか……」とか言いながらハンバーガーショップに突入した。ここでお互い、ハンバーガー1個とアイスカフェオレをバクバクゴキュゴキュと摂取。腹、十分に満たされ、ついでに気持ちもゆったりと満たされ、俺たちは安心して高度10000メートル上空を移動していった。……しかし数時間後、こんなところで誘惑に負けてハンバーガーを食っちまったことを激しく後悔するハメになるとは、この時点では俺も江野本も夢にも思っていなかった……。
さて、皆さんの記憶にも新しいかと思うが、このころの日本列島はやたらと天気の変動が激しい時期だった。カラっと晴れたと思ったつぎの瞬間には、天空からイヌとネコの大群がワンワンニャアニャアと大騒ぎをしながら降ってきたのかと思ってしまうほどの集中豪雨に見舞われ、各地にさまざまな爪あとを残した。我々が長崎に到着した8月16日がまさに「ヘンな天候ここに極まれり!」って感じの日で、出島の上にぽっかりと浮かんだ長崎空港のまわりには、マンガに出てくるようなドヨドヨモクモクとした不穏な雲が充満しておりました。
しかし天候の不安など、このふたりの笑顔を見た瞬間に吹っ飛んでしまったよ。空港到着口のトビラをくぐった瞬間に現れた懐かしい顔……。モンスターハンターフェスタ`07の優勝チーム”Jast25`s”のふたりが満面の笑顔で待っていてくれたのです!!
「おおお〜っ!! 久しぶり〜っ!!」
と言いながら右手を差し出す俺。ガッチリと、Jast25`sの”kohei”君、”raven”君と握手を交わす。久しぶり、と言いつつ、今年のモンハンフェスタの会場でもたびたび顔を合わせて話はしていたから、会うのは2ヵ月ぶりくらいである。しかしフェスタが終わってからの数ヵ月間、俺と江野本は『本日もニャンと! 逆鱗日和』の編集作業やら発売記念イベントの企画・運営などに追われて本当に1日も休みなく突っ走ってきたので、モンハンフェスタが行われていた春の出来事は遠い昔のことのように思えて仕方がないのだ。そんな俺たちの脳裏に、さまざまなドラマがあった熱い春の場面場面が瞬時にフラッシュバックする。今年の春も、いろんなところに行って、たくさんのステキな人たちに出会ったなぁ……。Jast25`sの心からの笑顔が、2008年春の思い出の扉を開ける格好の引き金になったようだった。
挨拶もそこそこに、俺と江野本はkohei君の運転するクルマに乗り込んだ。「今日のために、親父にクルマを借りてきました(笑)」とテレくさそうに笑うkohei君。相棒のraven君とふたりで、どうやって我々を歓迎すればいいか、かなりまえからプランを練ってくれていたようだ。そんな彼らの後姿に、後部座席から感謝の意を込めて頭を下げる俺と江野本。青森のRさんもそうだったが、本当に今回の狩猟ツアーで出会う人々はステキなハンターばかりだ。
▲長崎随一の観光スポット、ハウステンボスの脇をクルマで通過。
koheiカーは長崎空港が浮かぶ箕島をブロロロローと突っ走る。この長崎空港は大村湾に浮かぶ箕島を埋め立てて作った世界初の海上空港で、ナルホド、空港と内地を結ぶ経路は1本の橋しかない。この橋の上を通過するとき、なんとなく巨大な航空母艦の上から発射される艦載機に乗っているような気分になって、ちょっとだけニヤリとする。しかしタイミングが悪いことに俺がニヤリと瞬間をバッチリと江野本に見られてしまい、「何をニヤニヤしてんすか? 気持ち悪いなぁ」と軽蔑光線を照射されてしまった。俺、若干慌てて「い、いや、なんか天気が不穏だなあ……と思って」とモゴモゴと言い訳。実際、車窓から見える長崎の空は目まぐるしく顔が変わり、いつ泣き出してもおかしくない……というくらい腫れぼったく見えた。「ひと雨来そうですね」と助手席のraven君。海岸線を走るクルマの外は、正午とは思えないほど薄暗くなっている。でも、『長崎は今日も雨だった』という有名な歌があるくらいだから、きっと長崎は雨が似合う土地なのだろう。ひと雨降られるのも、悪くないではないか。そんな俺の心を読んでか、江野本も車外を眺めながら「でも、旅先で雨に降られるのって、嫌いじゃないですよ。ちょっと寂しそうな雰囲気が、旅情っぽいじゃないですか^^」とにっこり笑う。そんな俺たちを乗せて、koheiカーは海岸線を走る国道34号線を北上して一路、佐世保市を目指した。佐世保市で今回の長崎ツアー最初の目的である”昼食”を食べようという算段なのだ。気持ち良さそうにクルマを走らせながら、kohei君が言った。
「これから佐世保市に入って、昼食を購入します。じつはもう注文してあって、受け取るだけになっております。時間が少ないので、クルマの中で食べられるものを……と考えて、今回の献立にしました」
おお! すばらしい手際ではないですか! ちょうど小腹が空いてきたところだし、じつにいいタイミング。俺は聞いた。「いいね! で、メニューはなんですかい??」。kohei君、ニヤリとして答える。「ふふふ。長崎名物、”佐世保バーガー”ですよ!!」。
さ、佐世保バーガー!! ここ何年かで首都圏にも進出してきた、佐世保市発祥の名物ハンバーガーのことか!! もちろん、知識として佐世保バーガーのことは知っていたし、じつは俺が住むさいたま市にも佐世保バーガーを提供するお店はある。しかしなぜかいままで食べる機会がなくて、最近では佐世保バーガーのノボリを見るたびに(きっとこのまま食べることなく、俺は一生を終えるのだろうな……)なんて思ってもいた(オーバーだナ)。そんな佐世保バーガーが、まもなく我が手元にやってくるというのだ。これが興奮せずにいられるものか。
▲佐世保バーガーを手にする大塚角満。ヨダレをぬぐっているわけではない。
しかし冒頭で書いたとおり、俺と江野本は空腹に負けて羽田空港で思いっきりハンバーガーをがっついてきたばかりである。そんなハンバーガー摂取のベテラン(?)に、佐世保バーガーはどれほどのインパクトを与えてくれるのだろうか!? 聞くと、これから寄る佐世保バーガーの専門店は、長崎のガイドブックなどでは紹介されていないながらも、地元の人からは「いちばんおいしい店」と崇め奉られている名店だそうで行列が絶えないという。うーん、そいつは楽しみだ。受けて立とうではないか。ハンバーガーベテランコンビと佐世保バーガーとの邂逅に天も震えたのか、いつの間にか外は土砂降りである。しかし到着した店の前には大雨にも関わらず何人もの人が並んでおり、自分の注文した佐世保バーガーが完成するのをいまかいまかと待ち構えている様子。そんな行列の間を縫って、kohei君は事前に注文しておいた商品を難なくゲットしてクルマに戻ってきた。受け取った佐世保バーガーはズシリと重く、直径約15センチとじつに大柄な体躯をしている。うーむ……。とりあえず見た目の迫力は、舶来の巨大ハンバーガーと真っ向勝負ができるくらい堂々としている。重さも横綱級だ。姿だけを見ると、柄は大きいが味は大味な海外の巨大料理に見えなくもない。しかし、見た目だけで判断するのはイクない。さっそく、いただくとしよう。ガブリ。モシャモシャモシャ……。おお……。こ、こいつはしかしなんという……。俺と江野本は口に佐世保バーガーの一片を頬張ったまま、本気でデカい声で絶叫した。
「う、うま、うますぎるーーーーーーっ!!!!!」
ナニこれ、マジでうますぎなんですけど!! 断言する。俺が36年の人生で食いまくってきたハンバーガーの中で、ダントツでいちばんうまい!! ていうか、ハンバーガーって、こんなにおいしく作ることできるんだ!! 知らなかった!!
▲これが佐世保バーガーだ! かぶりついたあとの写真も個人的に撮っているので、後日それもアップするかも(笑)。
調べによると佐世保バーガーにはこれといった定義はなく、”佐世保市内で売られる”、”作り置きをしない”、”手作りのこだわりハンバーガー”を指す総称だそうで、中に入っている具も店によってさまざまなんだそうだ。kohei君の説明によると唯一の共通点としてあるのは”甘めのマヨネーズソース”とのことで、確かに俺たちが食べた店の佐世保バーガーにも、独特な甘みのあるマヨネーズソースがたっぷりと入っていた。具は、直径15センチの大きなパティ(かなり平べったく成型されていた)、薄く延ばした玉子焼き、タマネギ、レタスなどの野菜、ベーコンといったところ。ここに、例のマヨネーズソースと、黒胡椒がたっぷりとふられていた。具と肉を挟んでいるバンズもふんわり柔らかくて風味があり、じつに内容物と馴染んでいた。これを、すべての具がいっぺんに入るように、ランポスのように大口を開けてかぶりつく。ジュワっと広がるマヨネーズソースとさまざまな具から染み出す複雑な味。これがマズかろうわけがない!! 前述のように相当デカいハンバーガーだったが、俺も江野本もあっと言う間に食べつくしてしまい、「あと1個食え、と言われても余裕でいける!!」とわめく始末。俺たちのあまりの感激ぶりにkohei君もraven君もホっとしたようで、「喜んでもらえたようで、本当によかったです!」と胸を撫で下ろしておりました。ただ俺と江野本は、「空港で空腹に負けてハンバーガーなんか食わなければ、もっとおいしく佐世保バーガーを堪能できたかもしれないのにっ!!」と心の内で激しく後悔したのでした(苦笑)。
我々を乗せたクルマは佐世保市を抜けて、高速道路に乗った。「僕らの故郷である松浦市に来ていただこうと思って」とkohei君。松浦市は佐世保からクルマで40〜50分ほどのところにある海に面したこじんまりとした都市で、Jast25`sのふたりはここで、高校を卒業するまでともに過ごしたのだという。地図で見るとよくわかるが長崎県は非常に複雑な地形の上に立つ土地で、直線距離で結べばそれほど距離がなく見える佐世保と松浦も、実際に行き来するとなるといくつかの急な峠を越える必要がある。しかも松浦市に抜ける峠に入ったとたん雨脚が強くなり……っていうか、そんな言葉じゃ補いきれないほどとんでもない集中豪雨に見舞われて、クルマのワイパーもまったく用を成さないような状態に。松浦市に入ると雨はさらに強くなり、まるでナイヤガラの滝の下をクルマで無理矢理走っているのではないかと錯覚してしまうほど猛烈な”激雨”にさらされてしまったのであった。俺、少々呆れながらJast25`sのふたりに向かって言った。
▲フルパワーでワイパーを稼動させるも、あまり意味を成さず……。
「いやあ、すごいところだねぇ。松浦市って、こんなに雨が激しい土地なんだねぇ」
クルマを運転していたkohei君、バックミラーに映る顔を青くしながらあわてて反論する。
「いやいやいや!! いつもはこんなんじゃないですけん!! もっと静かでキレイな土地なんですよ!!! なんで今日に限ってこんなに雨が!!」
冷静なraven君も呆れ笑いをする。
「さっきの佐世保も雨は強かったですけど、松浦のほうが圧倒的ですね……。信じられない……。これじゃ当初のプランが……」
ふたりの計画によると、川と海が交わる汽水域にある小さな公園で海でも眺めながら、4人でじっくりとモンハントークに花を咲かせる予定だったらしい。試しにその公園に行ってみたが、何しろ前方3メートルすらはっきり見えないってくらいの集中豪雨。クルマの中からだと、公園に建っているという東屋の姿も亡霊のようにしか見えない。雨音も凄まじく、これじゃ録音したところで「バシャバシャ今日バシャシャシャシャはよろビャシャシャしビチャチャバシャシャくお願バシャバシャバシャいしまビッシャッシャッシャす」って程度にしか声を聞くことはできないであろう。
▲車内から見えるのは、ひたすら水だけ。これもまた旅情。
俺たちはわずか15分ほどクルマの中から、上空より落ちてくる水の束を眺めただけで松浦市をあとにした。ふたりは自分たちの原点である松浦市でじっくりと話をしたかったようだが、俺と江野本にはこれ以上ないってくらい強烈な”印象”が残ったよ。俺は言った。
「いやぁ〜、ふたりはガッカリだろうけど、俺たちは間違いなく松浦市のことは一生忘れないと思うわ。すごい雨が降る土地として……」
江野本が続ける。
「ホントっすねー。これだけの雨を見る機会は滅多にないっす。そういう意味で、松浦市には貴重な体験をさせていただきました」
俺たちの感想を聞いて、運転席のkohei君が飛び上がった。
「そんな、魔界を見るような目で見ないでくださいよ!!(泣) ホントにいい土地ですけん、今度写真送りますから!!」
というわけで後日、ホントにkohei君が写真を送ってくれました(下)。いやあ、まるで違う土地の写真みたいだわ(苦笑)。
次回に続く〜。
▲後日、kohei君が美しい松浦市の写真を送ってくれました〜。
アワモリ改めアオモリから帰郷した俺と江野本ぎずもは、つぎの出張狩猟の行き先を決めるための協議を開始した。北の地は堪能したので、ここはやはり単純に南の土地を目指したい。……とまあ、そんなに簡単な理由で選定したわけではないのだが、とりあえず最初に結論だけ書いてしまおう。俺たちが青森のつぎに「行ってみよう!」と決めた土地。それは”九州”であった。
何を隠そう、今回の企画に対する応募が目立って多かったのが九州だったのです。その中でも突出していたのが福岡と長崎。福岡は100万都市なので統計学的に見ても『モンハン』人口は多いだろうし、毎年モンハンフェスタの地区大会も行われている場所がら『モンハン』熱がとくに高い場所だというのはよくわかる。しかし誤解を恐れずに言うと長崎からの応募が多かったのはとても意外で、それゆえに非常にココロ惹かれるものがあった。
「えのっち、長崎に行ってみない?」
と俺は江野本に提案した。なんだかとっても気になったのだ。俺のこの発言に対して江野本はデカい目をキラリと光らせ、プリントアウトした1枚のメールを俺に差し出す。彼女は言った。「これ、ちょっと読んでみてください」。言われるままにメールを読み始める俺。おお、これも長崎からの応募か。なになに……。おおお、なんだかとても熱いことが書いてある。このメールの差出人が、俺にすごく会いたがってくれていることがその文面からヒシヒシと伝わってきた。いやぁ、これはうれしいなぁ。ぜひともこの人のもとに行ってみたいよ。俺は嬉々として江野本に言った。
「この人、熱くていいね! ぜひ会ってみたくなったよ」
これを聞いた江野本、ニッコリと笑ってこんなことを付け加えた。「大塚さん、ちゃんと差出人の名前まで読んでくださいね♪」と。
ほう? どれどれ。差出人さしだしにん……。……!!! こ、この名前は……!! 俺の顔を見て「してやったり」の表情をした江野本、うれしそうに結論付けた。
「そうですよ^^ モンハンフェスタ初代チャンピオン”Jast25`s”からのメールなんです♪ 大塚さん、ずっとまえから”このふたりとじっくり話をしてみたい!”って言ってましたよね。そのチャンスが、ようやくやってきたんですよ! 決まりましたね、つぎの目的地が。長崎に行きましょうよ。ウチも大塚さんが”Jastのふたりは、ホントにスゴイんだぞ!”って我がことのように自慢するのを聞かされてきたので、ずっと会いたいと思っていたんです」
というわけでつぎの目的地が決定した。モンハンフェスタ`07の覇者、Jast25`sのふたりが待つ長崎県に乗り込んでやる!!
しかしここは微妙な判断が絡むところである。Jast25`sは全国的に有名なハンターコンビだ。今回の狩猟企画への、ほかの一般ハンターからの応募とはちょっと意味合いが違う部分も含まれていると言える。選ぶ俺の心情的にも、ね。なので俺は江野本に言った。
「Jast25`sが待つ長崎に行くのは非常にうれしいけど、微妙に今回の企画主旨とズレる可能性もあるね」
これに対して江野本は「うんうん」と力強く頷き、つぎのように言った。
「ウチもそう思います。なのでJast25`sのふたりとはべつに、長崎近辺でほかのハンターさんも選出させてもらいましょうよ。九州ツアーは、その2本立てで行くということで♪」
俺たちはJast25`sと連絡を取り合う傍ら、長崎近辺からのメール、はがきをもう一度精査していった。そして長崎の隣県である佐賀県で居酒屋を経営しているという男性から、「居酒屋の営業が終了した夜半から、従業員といっしょに狩りをしています!」という非常に魅力的なメールが届いているのを発見し、俺と江野本は同時に「これだ!」と快哉を叫んだのであった。
さあ長崎・佐賀ツアーの始まりだ。俺と江野本は8月末に海外出張が入っていたため、決行できる日は8月16日、17日の2日間しかない。そう、お盆の連休の最終日にぶつかる日程である。当然のごとくスケジュール調整は困難を極めたが、そこは根性娘の江野本ぎずも。ひーこら言いながらも各方面にあたって調整しまくり、なんとか1泊2日の長崎・佐賀ツアーを組み上げたのであった。
次回からまず、長崎狩猟ツアーの詳細をお届けします。お楽しみに〜。
▲せっかくなので旅の始まりを予感させる写真を……。って、いきなり長崎空港に到着でえす(笑)。
【MHP 2nd G】第103回 物欲センサー・リターンズ
えーっと……、どこまで書いたっけな”モンスターハンター”挑戦の話……。どれどれ、コラムを見てみよう。……ゲゲゲ! ま、まだ12回目までしか書いてねえのか! しかも前回のコラムで「しばらくモンスターハンターのことは封印する」とか書いてるし。まったく、行き当たりバッタリだなあ。誰だこれ書いてるの。オレオレ。じゃなくて、ものすごくたくさんネタが溜まっちまってるというのに、「封印」とか書くな金曜日の俺!!
と、独り芝居に満足したところで今日のお話です。
この間の俺がモンスターハンターに挑戦する傍ら、マカルパ(マルパカじゃないヨ)装備を目指して春夜鯉を捜し求めていたことは前回のコラムで書いた。じつはこれと並行して行っていた作業がもうひとつあって、それがあまり大きな声で言いたくないのだが”ゲリョス狩り”なんですねぇ。ゲリョスのことが憎くて憎くてたまらなくて意味もなく追い掛け回していた……ってわけではなくて、彼がもたらす最大の福音(?)、”狂走エキス”を求めて狩り続けていたわけです。「ガンランス使いがモンスターハンターをクリアーするには、狂走エキスが必要不可欠!!」と確信しての行動だったのですが、これがまた意外なほどタイヘンだった……。
じつはこのゲリョスツアーと並行して(いろいろ並行しててややこしいが)俺が求めていたのが”素材玉”で、これは行商ばあちゃんが売り出してくれるのを待って、大量に購入しようと思っていた。素材玉、十分にストックがあると思っていたのだが、1回モンスターハンターに挑戦すると閃光玉で10個、捕獲用麻酔玉で最低2個は消費するためその減りかたが尋常ではなかった。ストック、アッと言う間に底をつき、狂走エキス同様、素材玉を大量購入することが急務になってしまったのである。
しかし、皆さん経験があるかと思うが、たまーに欲しいものがあるときに限って、行商ばあちゃんはそれを売ってくれないのである。何度話しかけても「あーい。だらずほんだら……」とかなんとか津軽弁でしゃべるだけで、販売リストは半額になった薬草やら大タル爆弾が並んでいるのみ。「ばあちゃん、わ(私)、素材玉が欲しいんだけんども」と覚えたばかりの津軽弁を駆使しようとも、ばあちゃんは相変わらずにこやかな顔で「あーいだらず」と言うばかり。俺は仕方なく、「んじゃ、オラはゲリョス狩ってくるはんで、づぎ来だどぎには素材玉売ってくんろ」と言い置いてゲリョス討伐に行ってくるわけだが、つぎに会ったときも行商ばあちゃんが見せてくれる販売リストには生肉、不死虫、マンドラゴラといった魅力的な商品は並んでいるが、素材玉がある気配はない。「ばあちゃん、これじゃなくて、”今日はこの村じゃ手に入んねぇモノば仕入れできたよ〜。欲しいモンがあったら言ってけろな”パターンで素材玉持って来てくんさい」と再度お願い申し上げて再びゲリョス討伐。帰郷してすぐに行商ばあちゃんに話しかけると、俺の願いを聞いてくれたらしく「今日はこの村じゃ手に入んねぇモノば仕入れできたよ〜。欲しいモンがあったら言ってけろな」と発言するではないか!! 俺、嬉々としてリストを眺めると、そこではビチビチバシャバシャとカクサンデメキン、バクレツアロワナ、はじけイワシといったお魚軍団が飛び跳ねているだけ。当然、素材玉なんてあるわけもない。ガンランサー、半ばキレかかって「ばあちゃん頼むよ!! ぼちぼち素材玉売ってよ!! 倍額でも買うからさあ!! つぎこそお願いネ! ネ! ネッ!」と地面に頭をこすりつけんばかりの勢いで願い倒し、泣きながらゲリョス討伐に出向く。そして帰郷し、恐る恐る行商ばあちゃんに話しかけると……。
「今日は色んなモノば安ぐ仕入れできたはんで、半額で売ってやらど〜。欲しいモンがあったら言ってけろな」
……むっきーーーーーっ!! そうかいそうかい!! 俺には意地でも素材玉売らないつもりだなばあちゃん!! あーそうですかそうですか。わかりましたよわかりましたよ。素材玉なんか……素材玉なんか……い……ります!! どうしても必要なんですよぉぉおお!! 売ってくださいぃぃいいイイイ!!
しかし、いくら願おうが拝もうが土下座しようが、なぜかばあちゃんダンコとして「あんたにゃ売ってやんね」と頑なに素材玉の販売を拒否。そのたびに俺はゲリョス討伐に出向くわけだが、このゲリョスがまたムカつくことに狂走エキスをまったくと言っていいほど出しやがらない。下位のゲリョスだったら3分程度で討伐できるのでクエスト自体は非常に回しやすいのだが、狂走エキスが剥げなければまったく意味はない。おかげでフィールドでゲリョスに会うたびに、俺は「またテメエか!!!」とゲリョス討伐に来てるんだからゲリョスに会うのは当然の成り行きなのに、理不尽すぎる罵声を浴びせて毒怪鳥を困惑させるのであった。
しかもだね。
狂走エキスについては、トレニャーさんに沼地捜索をお願いすれば時たま持って帰ってきてくれることを知っていたので、帰郷するたびにポッケ農場に出向いてトレニャーさんを沼地に派遣していたのである。しかし信じられないことに沼地で何かあったのかトレニャーさんは、なんと4回連続で船着場に倒れているではないか!! トレニャーさんが倒れていると素材の出が悪いのは世界の常識なので、持ち帰ってきたものを眺めても当然ながらそこに狂走エキスはない……。
行商ばあちゃんは素材玉を売ってくれない、ゲリョスから狂走エキスは剥げない、トレニャーさんも狂走エキスを持って帰ってこない、ついでに釣り場でも春夜鯉がまったく釣れない……。
こんなときに我々ハンターが思い出す言葉はただひとつ。
「物欲センサー、恐るべし……」
読者の皆さん。いい加減、俺のヘボい”モンスターハンター挑戦日記”、飽きませんか? なんだか毎回毎回同じことをくり返し書いているような気がして、さすがの俺も気恥ずかしくなってきた……(苦笑)。なんて言うか、上着は毎回違うものを着ているけど、パンツはいつも同じものを履いているような(意味不明)。とにかくこのままいくと本当に、10回も20回も連続で”モンスターハンター失敗日記”を書き重ねることになりそうなので、このへんでちょっと冷静になり、かつ力を抜きたいと思います。よって、しばらくモンスターハンターのことを書くことは封印!! てなわけでしばらくは、ノーマルな(?)プレイ日記を書きますネ。
最近俺がモンスターハンター攻略と同時に進めていたのが、”錬金術”のスキルがついた防具を集めること。消耗の激しい鳴き袋やハチミツも、錬金術さえ身についていれば調合で生産することが可能になるのだ。なんでいまごろになって錬金術が欲しくなったのかというと、やっぱりきっかけはモンスターハンター。バカ正直にクエストが失敗してもすべてセーブしているので、ここ最近のアイテムの消費量が異常に増えてしまっていたのだ。錬金術ですべてが補えるとも思っていないが、かなりの足しにはなるはず。そう思って日々、「錬金術を作るにはコレだ!!」と狙い定めた防具を作るためにコツコツと素材集めをしているのである。
俺が狙いを定めた錬金術装備。それは”マルパカ”シリーズである。『モンハン』世界には昔からあるおなじみのシリーズなので、こいつに調合系のスキルポイントが割り振られていることは知っていたのだ。えーっと、『2nd G』のマルパカは……おお? レア10の欄に”マルパカZ”があるぞ。これだこれだ。間違いない。スキルを見ると……やっぱり、”調合成功率”ってのがついてる。こいつを揃えれば錬金術が発動するに違いない。よーし。マルパカZのコンプリートを目指して、素材を集めよう!
しかし、マルパカZコンプリートを実現させるには幾多の苦難があった。とにかく素材が足らないのだ。なんといっても苦労したのが、レアな魚”春夜鯉”を生産素材としてたくさん使用すること。魚釣りなんてめったにやらないし、ポッケ農場の投網マシーンもネットをケチりたいものだからほとんど使ったことがなかった。アイテムボックスを見ると、件の春夜鯉は3匹ほどしかいないではないか。こいつは面倒なことになった……。でも、マルパカZを作るためにがんばらないとな!
そんなこんなで何とか、じつに数日がかりで春夜鯉をコツコツと釣り集め、マルパカZシリーズを揃えることに成功した俺。やったやった! 努力は報われるのだ!! よーし、さっそく試着を……。うん、見た目的にはまるで俺の好みではないな。でもいいんだそんなこと。錬金術士になれるなら、格好なんてどうでもいいのよ!! さあ着たぞ着たぞ。スキルをチェックしよう。どれどれどれ……って、あれ?? スキルの欄に”調合成功率+25%”ってあるけど、これが錬金術のことなんかな? ……なんかおかしい。もしかしてコレ、読んで字のごとく調合成功率が向上する、ってだけのスキルなのでは……? イヤまさか、レア度が最高の10で、しかも春夜鯉やらいちばん高い調合書なんかを素材として求めたマルパカZに錬金術がついていない、なんてわけが……。で、でも一応、もう1回武具屋のリストを見てみよう。ほかにもマルパカシリーズがあるのかも。……あ、なんか”マルパカU”ってのがある。でもこれ、マルパカZよりもレア度が低いけど……。ま、まさかこれに錬金術が……。恐る恐るマルパカU防具のスキルをチェックする俺。すると……。
「錬金術はマルパカUのほうだったーーーーっ!!!」
な、なんたる勘違い……(涙)。しかもマルパカUも生産するためには、集めるのがたいへんな春夜鯉を大量に使うし……。もう、なんでちゃんと確認しないでマルパカZを作っちまったんだよぉぉおお!!
……という話を、取材に向かう電車の中で江野本ぎずもに話して聞かせた。「もうさ、大ショック。マルパカショック。しばらくマルパカは見たくないよ」ってな感じで。ところがこれを聞いていた江野本、なぜか顔を赤くしながらモジモジしてじつに落ち着きがない。俺とも目を合わせず、俯いたまま恥ずかしそうにしているではないか。俺、ズボンのチャックでも開いているのだろうか? それとも、彼女を恥ずかしくさせるようなことを言ってしまったのだろうか? 俺はちょっとおどおどしながら江野本に確認した。「俺、なんかヘンなこと言った? マルパカの話、つまらんかった?」と。すると江野本、いきなり「ぷーーーーーっ!!!」と吹き出し、それなりに混んでいた電車の中で「あはははははは!!!」と大声で笑い出したではないか!! なんだなんだ! どーしたんだ!? 俺は江野本の大爆笑に面食らいながら、それでも気を取り直して彼女に聞いた。
「あ、あの。なにがそんなにおかしいの? そんなに笑うほど、俺の勘違い話はおもしろくないでしょ……?」
これを聞いた江野本、目から涙を流さんばかりに破顔し、笑い声のままこんなことを言った。
「お、大塚さん、勘違いしてる!!(爆笑)」
だからさっきから、勘違いしちゃったんだよねー、って話してるじゃないか。そんなおもしろくないだろう。俺は言った。「だから、そう言ってるべ」と。すると江野本、足をじたばたさせながらのた打ち回り、衝撃のひと言を発した。
「違うよーー!!(爆笑) 大塚さん、ずーっとマルパカマルパカって言ってるけど、マルパカじゃないから!! マカルパだから!! もう、ずっとまえからマルパカマルパカって言ってたの気づいていたんですけど、指摘するのもかわいそうなので聞かないフリしてたのに……。もうダメ!!(爆笑) お腹痛い……(笑)」
えええ? マカルパだって? 俺ずっと、マルパカだと思っていたんだけどな。俺は言った。
「そんなバカな。じゃあさ、首が長くてラクダみたいな顔をしたあの動物は、アカルパ??」
江野本、「ひーーーーっ!!」と悲鳴をあげたあと、
「それはアルパカでいいのっ!!!(爆笑) ……こんな笑けたの久しぶり……。頼むからもう笑わせないでください……(笑)」
と言って、いつまでも笑い転げる。それでも数分後には立ち直り、まだ笑い含みの顔を俺に向けて違う話題を振ってきた。江野本は言った。
「そういえば、このあいだ狩猟ツアーで行ったアワモリのRさんから”ブログ100回おめでとうございます!”ってメール来てましたよー♪」
俺、もちろん聞き逃さない。
「あの、ぎずもさん。それ、アワモリじゃなくてアオモリじゃ……(笑)。いくら自分が泡盛好きだからって、それはないでしょう。ていうか、俺の間違いと五十歩百歩ですよそれ……(笑)」
これを聞いた江野本、顔を赤くしてアタフタするもすぐに気を取り直し、久しぶりにグレムリン化して食ってかかってきた。
「あああ、あっしのいまのはただの言い間違いです!!! 大塚さんの恥ずかしい勘違いといっしょにせんといてくださいよっ!!」
いいオトナが、日々こんなバカな話をしているのであった。
なんの感動もドラマもない100回目だったというのに、「100回到達、おめでとう!」という祝福メールを贈ってくれた皆様、この場を借りて「ありがとうございます!」と言わせてください。でも……本当に心から……「モンスターハンター、クリアーしましたっ!!」っていう報告を100回目でしたかったよぉぉー!!
でもまあ、江野本に命令されて100回目を書いてしまったわけですが……。
……いやあ、すげえスッキリした(笑)。
じつは区切りの100回目がものすごく重い重石になってて、しかも勝手に「モンスターハンターをクリアーするまでは書かない!」って思ってしまったこともプレッシャーになって、前に進めぬまま呼吸困難な状態になっていたのです。でもサラリと100回目を、いつものヘタレな内容で使ってしまったことが好影響したらしく、なんだかとっても身軽になりました。もうこうなったら一生、「モンスターハンター、クリアーできませんっ!!」って内容で日記書き続けてやるわい!! ……と、そこまで開き直らなくてもいいダロってくらい開き直って、今後もヘボいおっさんのドタバタ日記を書き続けていこうと思います。不束者ですが、末永くよろしくお願いいたします(何言ってんだ)。
さて、モンスターハンターです。相変わらず、読んでるほうが「な、なにをやってんだ!! むつつつつ!!!」と身もだえしたくなるようなテンパったプレイをくり返して、いまだクリアーできていません。でも自分的には、ちょっとずつだけど前に進んでいる気がしております。
■モンスターハンター:11回目
レウス、8分で捕獲。本当は討伐したかったのだが少々手こずってしまったため、時間節約のために捕獲を敢行した。続くティガレックスで1オチ。でもめげずにがんばって27分残しでナルガクルガに挑めることになった。ナルガ戦をまえに手元に残っていたアイテムは、回復薬グレート8個、回復薬9個、シビレ罠2個、落とし穴1個、強走薬グレート2個って感じ。これをほとんど消費せずにナルガクルガを討伐することに成功し、回復薬グレート8個、回復薬5個、シビレ罠2個、落とし穴1個、強走薬グレート2個などを持ったままラージャンの前に立てることになった。残り時間は13分強。いける!!
そして運命のラージャン戦。残り時間10分を切ったところで最初の怒り状態に。これを見て素早く、闘技場の中央付近に落とし穴を設置する。ここに落ちたら我が全身を焔と化して、特大の竜撃砲をお見舞いしてやるのだ!! さあ落ちろ!! いま落ちろすぐ落ちろ!!
しかしラージャン、何を警戒しているのか闘技場の隅っこに陣取ってピギャープギャーとブレスを吐き続けている。なーにをやってんだラージャン!! 早く闘技場の真ん中までやってきて穴に落ちやがれ!! じゃないと俺の計画があ……!! こんなガンランサーの切なる願いもラージャンにはまったく届かず、彼はひたすら闘技場の隅っこでブワンブワンとブレスを吐くばかり。俺は落とし穴を前に呆然とその様子を眺めていたわけだが、ラージャンの顔には明らかに「うっはあ。今日は邪魔が入らず、景気よくブレスを吐ける日だなー♪」と書いてあるように見えてならない。俺、痺れを切らせて「はよこっち来いや!!」と突撃するも、その瞬間にラージャンは「シュン」となって怒りが収まったノーマル状態に。俺、慌てて「こここ、こっち来んな!! とくに、穴に近づくな!! 怒ってから来い!! いまは来るな来るな!!」とわめき散らすも、ラージャンは「???」という表情でノコノコと落とし穴に接近。ノーマル状態のラージャンは落とし穴を壊す力を持っているが、思いっきりこの土壇場でその能力を発揮され、俺の切り札は無残にも闘技場の地面から消え去ってしまった……。
けっきょくこの11回目は落とし穴消失ショックから立ち直れず、思ったようにダメージを与えることができなくて50分時間切れ……。俺はノートに赤い文字で「心折れそう……」と書くのが精一杯だった……。
▲11回目、12回目の模様を綴ったノート。デジカメの電池がなくなってしまったため、携帯電話で撮影しました。汚い画像&文字でスミマセン^^;
■モンスターハンター:12回目
この回から、持って行くアイテムの見直しを図る。ここまで11回連続で惨敗を喫してはいるが、これだけやってみた人間だからこそ見えてくることもあるのだ。俺のようなたいした実力のないガンランサーがこういった極強のクエストに挑むときの”最重要”なアイテムは”強走薬グレート”だと気づいた。強走薬グレートは通常、クエストには5個までしか持ち込めないが、こんがり肉と狂走エキスを持ち込めば現地調合して使うことができる。そこで俺は、ここまでほとんど使っていない薬草を切り捨て、その枠に狂走エキス5個を当てはめた。これで序盤から遠慮なく、強走薬グレートを飲みまくることができる!!
てなわけで始まった12回目。リオレウスは8分、ティガレックスは残り時間27分で討伐を完了する。よし! 順調だ!!
しかし、ナルガクルガに苦戦……。
どうして序盤がいいときに限って、伏兵のナルガクルガに手こずるのだろうか? なんとか討伐を果たしはしたが、残り時間は11分15秒しかない。でもまだ、シビレ罠は3個、落とし穴も使わずに取っておいてある。これらを駆使すればなんとかなるはずだ!!
そしてすぐに、ラージャンは怒り状態に突入。いまこそ落とし穴にハメて、巨大な竜撃砲をお見舞いしてくりょう!! えーっと、落とし穴おとしあな……。あ、あれ? なんか落とし穴が見当たらないんですけど……って、アイテム見直しをしたときに、どさくさに紛れて家に置いてきちまったらしい!! そりゃ持ってねえんだから使えねえよな!!! ……な、なんという失態でしょう……。
それでも、俺はがんばった。オトモアイルーもがんばった。残り時間7分を切ったところで辻本良三プロデューサーからもらったオトモアイルー”オスカー”が闘技場の端っこにシビレ罠を設置! 見事これにラージャンがハマり、俺は間髪入れずに竜撃砲をお見舞いする。その後も、3つ持ってたシビレ罠を駆使してラージャンに的確にダメージを与えるガンランサー。いままでいちばん、ラージャンに攻撃が入ってるよダンナ!! たぶん、あとちょっとでラージャンは轟音を立てて崩れ落ちるはずだ!! 攻めろ攻めろぉぉおお!!!
しかし……。
2回連続の時間切れ……。
もしも俺が落とし穴を忘れなければ、違った結果になっていたかもしれない。最初の落とし穴に落ちたときに与えられるダメージは絶大だから……。
いや、落とし穴があったところできっとダメだったろうな。気持ちを切り替えて、再度チャレンジするしかないや……。
でも、さすがにめげそうだ……。ここのところ順調にラージャンまではたどり着いているので、50分の制限時間をフルに使って立ち回ってばかりいる。長時間、気持ちを切らずにいることがこんなにツライとは……。無意識のうちに、俺は近くにいた江野本にグチを言った。
「今回ばかりは、さすがにめげそうだよ……」
江野本、ちょっと真剣な表情で俺に向き直り、挑発的なことを言った。
「さすがの”めげない男”も、降参しちゃうんだ」
俺、うなだれていた頭を持ち上げて江野本を睨み、言い返す。
「……いや、やっぱりめげるのヤダ」
これを受けた江野本、我が意を得たりとばかりにっこりと笑った。
「うん、ですよね^^ だったら、がんばるしかないじゃないですか♪」
よし! やったろじゃないか! 俺の心は折れないぞ!
次回に続く〜。
記念すべきコラム100回目を目前にしてなんでブログを更新しないんだ? とお思いの読者の方々がかなりいるかと思います。「”モンスターハンターをクリアーしました!”と書けるようになるまで更新しないつもりなのでは?」とお思いの方もいるでしょう。そう、そのとおりでございます。ようやく到達した100回目は絶対に、「モンスターハンター、クリアーじだぞぉぉおお!!」という絶叫でスタートしたかったのです。それまでは意地でもブログを更新するつもりはなかったのですが本日、編集担当の江野本ぎずもに言われてしまいました。「そんなこと言ってると永遠にブログが更新されなくなるので、いいかげん書きなさい」と。続けて江野本は言いました。「前回のコラムでは挑戦8回目のことまで綴られていますけど、いったいいま現在、何回失敗しているんですか?」。俺は目に本気涙を浮かべながら言いました。
「15回デス……」
そう……。15回連続でモンスターハンターに弾き返されているんだよぉぉおおぉおお!!!! もうホントに泣くぞ!! いいのか泣いても!! いいか!? 泣くぞ!? わーんわーん!! と、いい歳こいてゲームをクリアーできなくて本気で泣くのもどうかと思うが、これほど心から「クリアーしたい!」と強く思い、時間と手間をかけて戦略を練ってから挑んでも、こうも見事に弾き返してくれるクエストが存在したとは……。じつは初めてモンスターハンターに挑むまで、俺はこのクエストは「まあ1発でクリアーできるだろうな」と高を括っていた。それが、この体たらくだ。もうぶっちゃけ、万策尽きたよ……。
でもせっかくだから、モンスターハンターに挑戦するたびにこまめにメモってきたノートをもとに、この間のモンスターハンター挑戦の模様を振り返ってみたい。
■モンスターハンター:9回目
最初のリオレウス、2頭目のティガレックスともに、なぜか異常に焦って1回ずつ捕獲失敗(苦笑)。さらに1オチずつ計上してしまったため、記憶を封印する決意をする(リタイアした、ってこと)。
■モンスターハンター:10回目
このあたりから俺の立ち回りが極まってきて、非常にいい感じでクエストが回るようになる。とくに、この10回目はよかった!!
最初のリオレウスを7分で捕獲。このころから「閃光玉はレウスとティガで使いきろう!」という方針を戦略に組み込んだのだが、これがじつにうまく機能する。なんと続くティガレックスは、31分残しで討伐成功! 突進で壁にぶつかると動きが一定時間封じられるティガレックスのウィークポイントを利用して、強走薬グレートを飲んで壁際に陣取り、ティガが壁に突き刺さるたびにその頭に徹底的に攻撃を加えたのだ。ランス、ガンランスの最大のセールスポイントであるガード性能の高さをフル活用したこの作戦は、無駄なダメージを食らうことを極限まで減らしてくれるので、つぎのナルガクルガには回復薬グレート9個、回復薬9個、シビレ罠2個、落とし穴1個、強走薬グレート3個とアイテム的にもほぼ万全の状態で挑めることになった。しかも今回は、1オチもしていない!!
しかしこういう”絶対有利”の状況になると、とたんにキンチョーするのが大塚角満という男なのです。瞬間的に自分が何をやっているのかわからなくなり、ナルガが登場するまえに回復薬を1個ゴキュゴキュゴキュ……。なんで体力満タンなのに回復薬飲むんだ俺!! しかも混乱はまだ続き、「ま、また回復薬飲んじゃったらどうしよう!」と思たばっかりに手がワニワニと震えだし、なぜか誰もいない虚空に向かってボコンと1発無駄な砲撃。俺、あまりと言えばあまりの錯乱ぶりに本気で赤面し、「……落ち着け36歳」と自分に言い聞かせてなんとか平常心を取り戻したのであった。
平常心になった俺は強かった。ナルガが登場する着地点に陣取って、竜撃砲でド派手なお出迎え。30分針で”尻尾ビターン!”を食らって1オチするも、残り14分34秒を残して討伐することに成功する!! しかも残ったアイテムは、回復薬グレート8個、薬草9個、シビレ罠3個(大闘技場の隅っこで携帯用シビレ罠を1個拾った)、落とし穴1個、強走薬グレート2個、鬼人薬グレート3個(こんなにいらない)と、いまだ万全の状態。これだけのアイテムと14分もの時間があれば、ふつうに立ち回りさえすればラージャンも撃破できるのではなかろうか!!
というわけで始まったラージャン討伐も、序盤はハンターサイドに女神が微笑んだ状態で推移する。残り時間10分を切ったところでラージャンは最初の怒り状態に突入し、これを見た俺は迷わず落とし穴を設置する。ラージャン、ものの見事にこれにハマり、それと同時にガンランスの切っ先からは竜撃砲がドッカン!! ボワンという巨大な焔に顔面を焼かれ、さすがのラージャンも心が折れた様子である(希望的観測)。勢いに乗る俺は残り時間7分44秒で最初のシビレ罠を設置。まんまとこれに捕まるラージャンを見て、2発目の竜激砲を発射。もう、順調すぎ!! 負ける要素が見つからないわっ!!
ところが残り時間4分を切ったところですっかり油断し、怒り状態のローリングアタックをまともに食らって1発昇天。あまりにも不用意&ラージャンをナメきったオノレの行動に、本気で腹を立てる。しかもこの無駄な昇天で”ガンランサーのリーサルウエポン”と言われる(誰にだ)強走薬グレートが底をつく。うーん……。徹底したガード戦法がこれで使えなくなったわけだ……。でもまだ時間はある! 一気呵成に攻め込まなければ!
そして残り時間1分30秒。もう間違いなく捕獲することができるだろう! と確信できるくらい、ラージャンに多大なダメージを与えた手応えを得る。ででででももう、時間がないヨ!! は、早くシビレ罠を設置してとっ捕まえないとっ!!! ヨシ、いまの俺の体力、半分くらいに減っちゃってることに加えてオトモアイルーが離脱状態、しかもラージャンは怒髪天を衝いて怒りまくってるけど、深く考えないでシビレ罠作っちゃえ。ゴソゴソゴソ……。何を思ったのか我が分身、怒りラージャンの直線状に並んだ状態にあったというのにシビレ罠の設置作業を開始。当然ながらこんなのをラージャンが見逃すわけもなく、「当社比1.5倍増!!」ってくらい強烈な電光を口から照射し、オロカすぎるガンランサーの息の根を止めた……。
その瞬間、きっかり3秒は心臓が止まってしまった俺は真っ青な顔で立ち上がり、小さく小さくつぶやいた。
「またあの3頭を相手にしなきゃなんねえのか……(泣)」
あまりにも長くなるので、続きは明日ってことで……。
しっかし、締まりのない100回目になったなぁ……(苦笑)。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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