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【MHP 2nd G】第56回 上弦の月を見ながら

 昨日アップした”覗かれプレイ・究極”の続き。

 電車を降りてテクテクと、いつもの家路を足早に歩く。車内でサラリーマンふたりに覗かれながら対峙していたイャンガルルガは、まだPSPの中に留まったままだ。

 月のきれいな晩だった。

 梅雨の雲がちぎれたように漂う薄明かりの空に、白く輝く上弦の月。そういえば、いま俺のPSPの中でイャンガルルガが孤独にたたずむこのクエストの名は”月に吠える”だったな。

 俺はいつも歩く道を逸れて、住宅街を縫うように走る小さなわき道に足を踏み入れた。100万都市のさいたま市だが俺が住む地域は古くからの住宅街で、空き地や緑も思いのほか多い。ちょっと道を逸れれば趣のある用水路や公園があり、住宅街を抜けた先にはちょっと驚くくらい広い田園風景も広がっている。

 俺は月明かりをたよりに住宅街でうねる小道を歩き続け、小さな公園にたどり着いた。桜の巨木が屋根のように覆いかぶさる都会の忘れ物のような公園で、気まぐれをおこしてときたま行う休日のウォーキングの休憩ポイントとして、ふらりと立ち寄ることが多い。

 そまつなベンチに腰をかけて、途中のコンビニで購入した缶ビールのプルトップをプシュっと引く。そのまま、迸る炭酸の液体を叩きつけるように口の中に流し込み、喉で噛むようにゴキュゴキュと、ほろ苦い金色のしずくを身体の奥に流し込む。あーウマい。6月とはいえこの時間帯はまだまだ肌寒いが、公園でひとりで飲むには缶ビールがいちばん似合う気がするよ。

 「ふぅ」と缶ビールの吐息をついてから、カバンの中からPSPを取り出す。電源スイッチをスライドさせると、暗い樹海の夜にたたずむ黒狼鳥の姿が見えた。ボタンを押して、ゲーム再開。樹海の中では唯一視界が開けているエリア4には、月明かりもよく届いた。

 誇り高く闊歩しながらも、どこか憂いを含んだイャンガルルガ越しに見えるのは、いま俺の頭上でやさしく輝いている上弦の月よりも大きい真ん丸な満月。月特有の青くて寂しい光が、なんとこの黒狼鳥に映えることか……。俺もひとり、ガルルガもひとり(?)。ここはひとつ孤独なものどうしで、お互いの月を見ながら戯れようじゃないか。

 こんな夜も、たまには悪くない。

投稿者 大塚角満 : 14:47

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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