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【MHP 2nd G】第48回 緑色のテオ

 ”寝オチ”って言葉があるでしょう。とくにネットゲームを遊んでいるときに使うことが多いけど、要するに”ゲームをやっている途中で寝てしまう”っていう状況を指す言葉ですな。なんでネットゲームで使うことが多いのかといえば、たとえば夜中にロビーやら集会所やらでチャットをしているとき、急に無言になってこちらの言葉にいっさい反応しなくなる人がたまーにいるのです。こういう人の95パーセントくらいは寝てしまっているので、そういうときに「あ。こいつ、寝オチしてる」って使うわけですねえ。「んじゃ、残りの5パーセントの人は何をやってるんだ?」と疑問を呈する人がいるかと思うので解説しておくと、その5パーセントはたいがい、チャット相手の言うことと自分の思いが噛み合わず、ボーゼンとしているのです。

 さてこの寝オチ、いままで俺はほとんど経験したことがなかった。『みんなのGOLF オンライン』で明け方までチャットしているときもへっちゃらだったし、プレイステーション2の『モンハン』シリーズを遊んでいるときも、夜中だろうが朝だろうが元気一杯でフィールドを駆け巡っていたものである。どうやら不規則極まりない編集者という職業柄、俺は年がら年中時差ボケのような状態になっているらしく、ちょっとくらいの夜更かしではまったく眠気が襲ってこない。それはもう、ラオシャンロンがランゴスタにプチュっと刺される程度にも感じないものなのである(意味不明)。

 ところが先日、こんなことがあった。

 馴染みのバーでジンやウイスキーを飲みながら、『2nd G』談義に花を咲かせていた。時間は朝の5時すぎ(仕事帰りだとこんな時間になるのです)。店には俺とマスター、そして毎度おなじみ”逆鱗日和ファミリー”の江野本ぎずもしかいない。ちなみにこの店のマスターは、モンハン伝道師を勝手に名乗る俺が店に来るたびに呪文のように『モンハン』の話をするもんだからすっかり洗脳されてしまい、いつしか頭は『モンハン』でモンモン(?)に。けっきょく、奥さんを拝み倒して新型PSPと『2nd G』を手に入れ、店にお客さんがいない隙を狙ってはカウンターの裏でコソコソと、イャンクックやゲリョスを狩っているのである。

 俺と江野本が扉をくぐったこの日も、マスターはカチャカチャとPSPのボタンを押してティガレックスに挑んでいるところだった。ニヤニヤと笑う俺と江野本を認めたマスター、バツが悪そうに「お待ちしてました^^;」と苦笑い。俺と江野本、ニヤニヤ笑ったままカウンターの席に腰をかけ、好きな酒を注文して1杯、また1杯とハードリカーを飲み干し続けた。

 3人でくだらなかったりマジメだったりする話を1時間ほどしたころだろうか。自然と「ひと狩りいこうぜ!」ということになった。俺はもちろんだが江野本も、カバンにはつねに『2nd G』が装着されたPSPが入っている。俺たちのほかに客もいないことだし、マスターを加えた3人でいろいろと狩りまくっちゃおう! という流れになったわけだ。

 しかし、ここで問題が起こった。

 猛烈に眠くなってしまったのである。

 正直に書くと、「ひと狩りいこうぜ!」という話になったころから俺の記憶は不鮮明で、何のクエストに行くための準備をしているのかさえもよくわからない状態。遠くで江野本が「下位のクエストを片っ端から片づけて、マスターを上位にしちゃおー!!」と元気に宣言しているのを聞いたような気もしたが、あまりにも遠くから聞こえたので(実際は隣の席)、本当に江野本がそう言ったのかどうかはいまもって定かではない。しかもあとで江野本に「あんとき、バーで何のクエストに行ったの?」と確認したのだが、「記憶がぶっ飛んでるのでわかりません。テヘ♪」と臆面もなく言われたので真相は藪の中なのであります。

 しかしこれくらい眠い状態で何かをやろうとするとロクなことがないよね。たとえば受験勉強なんかで夜中まで勉強していると、どうしても疲れと睡眠不足のせいで眠くなってくるでしょう。そうすると(俺はいま何の教科を勉強してるんだっけな……)ってことに始まり、最終的には(NOーとにはナにを蚊いて板んdaっ毛な……)と完全寝ぼけ頭の混乱状態に陥って、朝気がついてノートを見ると、日本語なのか火星語なのかもよくわからない呪い文字がグニャグニャと羅列されていた……ってことになったりする。これと同じような現象が、深夜のバーでひと狩り行こうとしていた俺に襲い掛かってきた。

 気がつくと俺たち3人は、テオ・テスカトルの狩猟に出かけていた。見ると、場所は森丘である。「へぇ〜。テオって森丘にも出没するんだねぇ」なんてことをフニャラ声で江野本にささやく。さっきよりもさらに遠くから江野本が、「テオ? 何言ってんスか!?」と言ってたような気もするが、三途の川の向こうくらいから聞こえたので、ホントに彼女がそう言ったのかどうかは定かではない。

 森丘のテオ・テスカトルは、緑色をしていた。しばらく見ないうちに、かなりスリムになった印象である。そうかそうか。3ヵ月で10キロ減量した俺を見習って、テオもダイエットしたんだな。その影響が体表に出て、ミドリ色になってしまったんだねぇ。タイヘンだったねぇ……。そんなことをブツブツと、アードベックというシングルモルトをナメながらつぶやく。すると再びガニメデ星雲くらいの遠くから、「大塚さん、何の狩猟に来てるかわかってんの?(苦笑)」という松浦亜弥っぽい声。「わあってるわあってる。テオれしょテオ」と返す俺。あややっぽい声はいささか憤慨して「違いますよ! レイアでしょ!?」と絶叫する。何が違うのか、まるでわからない。そんな俺に向かって、緑色のテオがボワンと炎を吐いた。

 「ほーら。テオらテオら。火ぃ吐いた火ぃ吐いた

 真っ暗な深淵から「ダメだこの人。ほとんど寝てる」という女性の声が聞こえたような聞こえなかったような……。俺はバーのカウンターでPSPを持ったまま、安らかな眠りに落ちた。

※なんで俺がテオとレイアを間違えたのかというと、この前日、俺はひとりでG級のテオ・テスカトルに果敢に挑んでボコボコにされていたのだ。どうやらそれが脳に刷り込まれて、眠り間近のフニャフニャ頭に蘇ってきてしまったんだと思われます。

投稿者 大塚角満 : 12:22

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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