大塚角満の ゲームを“読む!”
« 2008年05月 | 大塚角満の ゲームを“読む!”のホーム | 2008年07月 »
『2nd G』になって、ガンランスの種類が大幅に増えた。まあ増えたのはガンランスだけじゃなく、各武器カテゴリーごとにいろんな種類の武器が追加されたわけだが、基本、ガンランス縛りの俺はほかの武器を見ている余裕はない。……いや、ほかの武器を見てしまうとついつい欲しくなってしまうのでなるべく見ないようにしているという噂がありますが本当でしょうか?(何が言いたいんだ) まあとにかく!! 新しいガンランスがたくさん導入されてうれしいうれいいワーイワーイという話を、これからここに書くわけです。
これまでいろいろなところで書いてきたが、俺が『2nd』でいちばん好きだった武器は龍属性のガンランス”ガンチャリオット”だった。『2(ドス)』では龍属性が存在しない武器カテゴリーだったガンランスに、革命というか黒船というか未知との遭遇というか、とにかく有史以来人類が長きに渡って待ち望んでいた共通の夢として導入されたのが龍属性ガンランス・ガンチャリオットだったんですねぇ(ちょっとオーバーかナ)。しかもこの武器、龍属性という性能もさることながら、熱血青少年にとったら170キロド真ん中直球な”ガンチャリオット”という名前の響き、そしてリオレウス希少種の素材から作る銀色の高貴なルックスも相俟って、「……ハイ? ガンランス?(冷笑)」と頭からガンランスをバカにしていた大剣使いや双剣使いも「……まあガンチャリだったら作ってやってもいいかな……」と言わざるをえなくなる妖艶な魅力を秘めていたのである。
今回、俺が『2nd』からのデータ引き継ぎをせずに『2nd G』に臨むにあたり、最初の目標として設定したのがこのガンチャリオットだった。ガンチャリオットを製作することを『2nd G』における最初のマイルストーンとし、これを起点に龍属性が弱点の飛竜を狩りまくってG級を始めとするさらなる高みを目指そう。俺は「まあとりあえずはガンチャリガンチャリ!!」と、まるで居酒屋に入るやいなや「まあとりあえずはビールびーる!!」とがなるオッサンのようなセリフを密かな座右の銘とし、日夜オトモアイルーとともに狩場を駆け巡っていたのである。
そしてめでたく4月7日にガンチャリオットが完成した。……なんで正確に日付がわかるのかというと、こういう記念碑はキチンとノートにメモってあるからだ。このときの俺の喜びようったらなかった。『モンハン』人生の中でもっとも愛していた愛機が手に入ったのである。これが躍り上がらずにいられるものか。
しかし待てよ……。これだけ新しい武器が追加されているんだから、もしかしたら究極兵器と信じて疑わなかったガンチャリオットもさらに成長するのかも……。『2nd G』の武具の最高ランクは”レア10”だ。よく見るとガンチャリオットのレア度は、比較的ありふれている”8”ではないか。やっぱり、この上があるんだ……。俺は勢い込んで武具屋に駆け込み、武具屋オヤジの胸倉を掴んで「ここここのガンチャリオットのははは派生を調べろ調べろ!!」とギャースギャースとわめきまくった。すると……。
ガンチャリオット→ガンチャリオット改
やっぱり成長するーーーーっ!! しかもこれはまだ”改”だ。俺の脳ミソの『モンハン』データベースによると、”改”を最終形態とする武器はほとんど存在しない(相当怪しいデータベースだがね)。つまりガンチャリオットは、最低でもあと2段階は成長すると思って間違いないってことだ!! 俺は喜びのあまり武具屋のオヤジの両手を取って「ランラララン♪」とダンスを踊り、”ガンチャリオット最終形態製作作戦”の足がかりとなるガンチャリオット改への強化素材を調べた。すると、……ふむふむナルホド。見たことのない素材ばかりだ。つまりこれ全部、G級素材ってわけね。このとき、俺はまだ上位の後半あたりでウロウロしていて、G級になるために越えなければならないハードルは山ほどあった。しかし、もっとも愛する武器の成長を早く見たい男のモチベーションたるや凄まじく、4月9日に俺は、かつて一度も成し遂げたことがなかったソロ(もちろんガンランス)による上位グラビモス亜種の討伐に成功し、翌4月10日にはガンチャリオットで上位ディアブロス亜種を屠り去っている(このあたりのこと、よっぽどうれしかったらしくすべてメモに書いてある(苦笑))。俺にとって、いやガンランスにとって鬼門とも言うべき上位グラビモス亜種と上位ディアブロス亜種をソロで越えられたことで、俺はガンチャリオット最終形態を手にする資格を手にした気がした。こうなると体育会系の男は強い。鬱陶しいくらい強い。ウザいくらい強い(自慢げにこういうことを書いている時点でウザい)。我が勢い、まるで衰えず残りの上位クエストもソロでクリアーしまくり、ついには最後の壁であるアカムトルムも撃破し(参考記事その1、その2)、晴れてG級ハンターの仲間入りを果たしたのであった。
そして始まったハンターたちの天上界、G級でのハンティング生活。すでにG級の世界で生活していた女尻笠井から「G級はとにかくモンスターの攻撃力がハンパないので防具を強めることをオススメします」とさんざん言われていたのだが、とにかくガンチャリオット改に心奪われてしまっている俺には暖簾に腕押しの柳に風。笠井の助言も「ふぅん……。あっそう。……それよりもリオレウス希少種のクエストに連れてけ連れてけ!!」と焼肉屋に行ったら肉しか食べない食いしん坊のような発言で打ち消ししまくり。それでも笠井は辛抱強く「それとモンスターが凄まじく硬いので心眼のスキルをつけることを考えたほうが……」と上司の俺に助言を試みるも、ガンチャリオット改のおかげで心ここにあらずの俺は「ふうん……。あっそう。……それよりもとっととリオレウス希少種のクエに連れけ!!」と傍若無人な発言をくり返すばかり。最終的には笠井も折れて「……もう、どうなっても知らないスよ」とブツブツ言いながら俺をG級のリオレウス希少種討伐クエストに連れていってくれたのでした(笑)。ちなみにこのときの俺の防御力、わずか283(苦笑)。ガード性能+1とガード強化というガチガチの防御系スキルに身を守られ、何とかこれで上位クエストを駆け抜けたのである。まあこんな防御力の俺だから、笠井がG級のリオレウス希少種のクエストに連れて行くことを躊躇したのもよくわかるってもんです(笑)。
そして、リオレウス希少種を狩り続けて幾星霜。ついに俺は夢の第一歩、ガンチャリオット改を製作することに成功する。
「うおおおおし!!」と俺は吠えた。冷静沈着をウリとする俺にしては珍しい行為である。そしてすぐさま俺は武具屋のオヤジににじり寄り、「こここ、このガンチャリ改を成長させることはできるのかっ!?」とわめいた。すると……。
ガンチャリオット改→エンデ・デアヴェルト
あああああ>< やっぱり成長させることができたんだぁ……>< レア10ってことは、これがおそらく最終形態であろう。嗚呼、しかもこの名前……。な、何語……じゃなくて、なんてかっちょいい響きなんだろう(涙)。意味はわからないけど、この語感は間違いなくドイツ語であろう。エンデ、ってのは”終わり”っていう意味だった気がする。よし、さっそく調べよう。俺はドイツ語の辞書を引っ張り出してきて、文字通り首っ引きになって手当たり次第に思いつくスペルで意味を調べ始めた。そしてついに、エンデ・デアヴェルトの意味するところに到達したのである。
”エンデ・デアヴェルト”をドイツ語に当てはめると”Ende der Welt”。これを英語に置き換えると”End of the world”。つまり”エンデ・デアヴェルト”とは”世界の終わり”という意味なのだ!
俺は震えた。心から奮えた。これは要するに、”世界を終わりに導くような究極の武器”という意味であろう(と勝手に思う)。なんて勇ましい……。正直、俺は心の中で「ガンチャリオットを超える名前はそうそう現れないだろう」と思っていたのだがとんでもない。『2nd G』を作った神様たちは、キッチリとガンチャリオットの上に君臨する最上級の名前を用意してくれていたのである。
後日、俺は『2nd G』のディレクターである一瀬泰範さんに会ったとき、喜色満面でこう言った。
「エンデ・デアヴェルト、最高にかっちょいい名前っすね!! ガンチャリオットの上の武器にこの名前を使ってくれて、ありがとうございます!!」
これを受けた一瀬さんはニッコリと笑い、ギャーギャーとわめきまくる俺に向かってこんなことを言った。
「”すごくいい名前がある”と担当者に言われて資料を見たときにあったのが、このエンデ・デアヴェルトなんです。最上級の名前だと思ったので、いずれ何かの武器で使いたいと思っていたんですけど、最終的にガンチャリオットの上の武器につけよう、ってことで落ち着いたんですよねー」
大切に使わせてもらいます、エンデ・デアヴェルト。……作るの、とてつもなくたいへんだけど……(苦笑)。
『ニャンと! 逆鱗日和』の編集が大詰めを迎え、毎日毎日深夜まで原稿書いたり校正したりと多忙な日々を送っている。3冊目ともなればちょっとはスムーズにコトが運ぶだろう……と思うなかれ。ノウハウが蓄積されてきているのは確かだが巻が進むごとに新しいことやおもしろい企画を盛り込みたくなるわけで、そうなるとそれらの作業はイチからってことになるからたいへんさは1巻目、2巻目を作ったときとたいして変わらなくなるのである。そして俺以上にいろんな作業に忙殺されているのが編集担当の江野本ぎずもだ。誌面の校正はもちろん、デザイナーとのやりとり、宣伝や営業との打ち合わせ、さらには著者である俺のケツを蹴飛ばして原稿を書かせたりと、そりゃあもうデカい目がグルグル回ったあげくに3つに分裂して増えちまうんじゃないかってくらい(意味不明)、忙しい日々を過ごしているのであります。
しかしあまりにも詰め込みすぎると俺も江野本もパンクしてしまうので、打ち合わせの間隙を縫っては「ひと狩りいこか」ってことでクエストに出かけている。江野本も一応、ハンターランク9なので、数字のうえでは立派な”熟練ハンター”だ。俺もこう見えて”世界一のガンランサー(笑)”と称される熟練中の熟練。ベテランハンターがふたり揃えば、『2nd G』の中にあるどんなクエストもクリアーできるはずである。なので俺はここぞとばかりにG★2やG★3のヤバそうなクエストをバンバン受注し、そのたびに江野本が「ぐぎゃーーーーっ!!」とリアル絶叫してオチていくのを腹を抱えて笑いながら眺めているのでありました。
さてこの江野本、メインの武器は一応片手剣ってことになっているようだが、最近頻繁にライトボウガンを背負ってくるようになった。聞くと「攻撃力が高いおっかないモンスターには近寄れないので、ライトボウガンで行くことにしてるっす」とのこと。よって、出てくるモンスターすべての攻撃力が高いG級クエストのときは自動的にライトボウガンになるわけで、彼女は愛機・繚乱の対弩を持ってえっちらおっちらとG級モンスターの息吹吹き荒れる狩場を駆けずり回っているのであった。
そんなある日、江野本が妙なことを聞いてきた。「大塚さん、ゲネポスの麻痺牙の底値っていくらですか?」と。確か行商ばあちゃんの半額セールで売られるアイテムのひとつなので、そこが底値であろう。俺は答えた。「40ゼニーだったと思うよ」。江野本、これを聞いて明らかに眉をひそめてこう言った。「うーん……。40ゼニーかぁ……」と。たったの40ゼニーで、なぜそんなこの世には神も仏もないものか的な暗い表情をするのだろか? 不思議になって俺は尋ねた。「なんでそんなにブルーになってんの?」と。これに対する江野本の答えは単純にして明確だった。「お金がぜんぜんないんス」。
またか!! と俺は思った。じつは江野本はことあるごとに「お金がない。まったくない」と口走っているのである。その分、装備に多大な投資をしているのだろうと思って彼女の防具を見てみると、いつまでもまったく同じ、剣士装備はフルフルUを基本にしたものを、ガンナー装備はアカムトルム系をもとにしたものを着たきりスズメ状態でまとい続けている。武器も、ボウガンは先の繚乱の対弩オンリー、メインの片手剣も、彼女がデスパライズ以外のものを使っている姿はほとんど見たことがない。「ホントはいろいろ隠し持っているんでしょ?」と聞いても「いえ、これしか持ってないです」と真顔で言う。最高のハンターランクである9になるころになれば、レア度が9とか10の武器、防具をいくつか持っていても不思議ではない。持っていないとしても、その人は目指している武器や防具があってそのために貯金していることがほとんどで、江野本のように”武器・防具は何も持っておらず、お金もまったくない”というハンターはかなり稀少なのではないかと思われる。聞くと、このときの江野本の所持金は「32ゼニーです……」とのこと(笑)。……っておまえ、それじゃG級クエスト”素材ツアー”しか受注できねえじゃねえか!! うまい棒も3本しか買えないぞ!!! うーん、こいつはなかなか壮絶な逼迫具合ではないか。
しかしこいつはあまりといえばあんまりな数字である。高い装備を買ってしまったあとならともかく、さっきも書いたが江野本のキャラクターはしばらくまえから着たきりスズメなのだ。こんなに逼迫するわけがないのである。こいつはおかしい。何か秘密があるに違いない。俺は江野本に言った。「ちょっとキミのPSPを貸して、持ち物をチェックさせなさい」と。江野本は先生に叱られる直前の小学校3年生のような顔になり、それでも素直に「はい……。どうぞ……」と言って純白の新型PSPを差し出してきた。さあチェックだチェックだ。
さっそく江野本の自室に飛び込んで室内を物色する。一瞬、自分がイヤらしい中年オヤジになってしまったのではないかという錯覚に襲われたが、まあ江野本の部屋のアイテムボックスなので気にせず引っ掻き回すことにしよう。
まず最初に俺の目に飛び込んできたのは大量のペイントボールだった。数えると……161個もあるではないか! 俺は江野本に言った。「えのっち、なんでこんなにたくさんペイントボールを持ってるの?」。ケロっとした顔で江野本が答えた。「クエストに行くといつも大塚さんや目黒さんがペイントボールを投げてくれるので、あっしはほとんど使ったことがないんです。でも支給品ボックスからはもらうようにしているので、こんなに貯まっちゃいました」。あ、そですか……。
続いて俺の目に止まったのは、数多く保管されているハチミツだった。数にして、約400個。かなりの量である。……しかし、これは解せない。ガード命を貫き、ほかの人よりもダメージを受けることが少ないと自負している俺もハチミツには苦労させられていて、いち時期は30個ほどにまでストックが激減してしまっていたのだ。それを、しょっちゅうオチるし、ダメージも食らいまくりのはずの江野本がなんでこんなにたくさん持っているのだ。俺は聞いた。「えのっち、なんでこんなにたくさんハチミツ持ってるの?」。江野本、確信に満ちた口調で答える。「じつは回復薬グレートって、ほとんど使ったことがないんです」。俺は驚いて、勢い込んでたずねた。「マジで!? すげえな!! よくそれでやっていけるな!!」と。すると江野本、急に暗い顔になってしぶしぶと返す。「……回復薬グレートを使う間もなく、攻撃を食らうとたいがい1発で昇天するからです……。なので秘薬はたくさん使いますよ……」。俺、葬式帰りのようなシュンとした気分になり、「そ、そっか……。悪いこと聞いちゃったね……」と江野本の目を見ずに答えた。
こんな感じで江野本のアイテムボックスの中を徹底的にチェックしていったわけだが、とくに目立っておかしい部分はなかった。強いて挙げれば、カクサンの実やらペイントの実など、ポッケ農場の畑で採れる植物系のアイテムがたくさんあったくらいで、不審な点は何もない。大型モンスターから剥ぎ取る素材も、意外なほどふんだんに放り込まれている。うーん、どうなっておるのだ……。少々困惑しながら、俺は江野本に言った。
「けっこう素材持ってるし、なんでえのっちが貧乏なのかよくわからないよ。まあでも、大型モンスターの素材をちょこちょこ売ればすぐに貧乏からセレブに昇格できるので、たくさん持ってるナルガの素材とかいくつか売っちゃうよ?」
すると江野本、いきなりギズモからグレムリンに姿を変え、口の先からチロチロと怨嗟の炎を噴出させてキシャーキシャー! と叫び、怒気をふんだんに含んだ声で絶叫した。
「ちょっと!!! ダメですよ売っちゃあ!! せっかく剥いできた素材を売るなんてことができるわけないじゃないですか!!」
……ん? ちょっと待てよ。その言いようだと”自分はモンスターの素材は1回も売ったことがない”って言ってるように聞こえるんですけど……。
「当たり前じゃないですか。モンスターからもらった素材は、1回も売ったことなんてないですよ。大事にとっておくんです。売っちゃダメです♪ ていうか、みんなそうでしょう?」
……ハイ、なんでアナタが貧乏なのか、理由がよくわかりました。
いろんな方からいただいたギルドカードの枚数が、晴れて76枚になった。とてもキリがいい枚数なので(どこがだ)、昨日しげしげとカードを眺めておったのよ。うーん、じつにおもしろい。このカードを見ているだけで、「ああ、この人は生粋の大剣使いなんだな」とか、「この子はやたらとドスギアノスが好きらしい」、「おお……。6連続でオチてる……」なんてことまで見てとれ、そのカードをくれた人の顔まで思い浮かんできてしまう。なんてステキなのギルドカード……。俺は飽きることなくいつまでも、ファミリーレストランの禁煙席で76枚のギルドカードを眺め続けた。
そして、1枚のカードが目に止まった。逆鱗日和ファミリーの一員であり、7月24日発売の単行本『本日もニャンと! 逆鱗日和』の担当編集(宣伝したいがためにわざわざ名前を出す俺)である江野本ぎずものカードだ。見ると”称号”の欄に”キノコ時々キノコ”と入っている。この称号というのはハンターが自分でつけられるキャッチフレーズのようなもので、相当な量の単語が用意されているのでかなーり自由に編集することが可能だ。それにしても、キノコ時々キノコか……。なかなかステキではないか……。これをきっかけに、俺はほかの人の称号も片っ端からチェックしていった。そしてこれがじつにおもしろかったので、いくつか紹介したいと思って筆を取ったというわけである。
まずはわかりやすいところで、逆鱗日和ファミリーの称号から。中目黒目黒は”お手伝いさんのかけだし”。連続オチで有名(?)な目黒にピッタリな、なかなか殊勝な称号ではないか。続いて女尻笠井は”デレデレの大富豪”。オノレの白昼夢をそのまま文字にしたような、じつに味わい深い称号である。
では、俺の76枚のカードの中から、とくに愉快な称号を紹介していこう。
●ナナ色のこしかけ
きっとすばらしい七色の腰掛を持っておられるのであろう。
●時々機械仕掛け
機械伯爵に機械の身体にしてもらったのかも……ということが覗える。
●ポッケにキノコ
松本零士さんのマンガに”サルマタケ”というパンツに生えるキノコが出てくるが、それを思い出してしまった(笑)。
●ドリームジャンボ
当たるといいね(ニヤリ)。
●アイルー不足
雇いなさい(苦笑)。
●ナルガクルガなるガルルガ
舌かむわ!!(笑)
●チキンかつサンド
これ、ある有名プレイヤーの称号です。こんなところでもキレ味抜群だなぁ(感心)。
●モデルはムシ
意味が……(笑)。
●アイルー限定プロフェッサー
これ、猛烈なネコ好きのリアル友だちの称号。これを筆頭に、”アイルー”を称号に使っている人はとても多い感じです。
●ポッケとモンスター
……ノーコメントで(苦笑)。
●デレデレしテオ
これは、すんごい有名な人の称号です。ダジャレに凝っているのか、ふつうにしゃべっててもこういうこと言いますこの人(笑)。
●ハニー★ソウル
じつに女性らしい称号。もちろん、持ち主は女性です。
●撃墜王ガンランス
自分がメインで使っている武器を称号に組み込んでいる人も多いですなあ。”ハンマーにヒトメボレ”とか。
●こしぬけ募集中
俺と中目黒目黒でどうですか?
●機械仕掛けのお手伝いさん
これは、このブログの読者だったら誰もが知っている方の称号です。
こんなところでしょうか? あくまでも俺が持ってる76枚のギルドカードに限った話だけど、傾向として”へたれ”や”チキン”といった自虐系(?)、”アイルー”、”オトモ”、”キノコ”あたりを使っている人が目立つ。もちろん、”レジェンドオブヴァルキリー”、”狂乱の英雄”といった、少年チャンピオン的な熱血バリバリのかっちょいい称号をつけている人もたくさんいて、これらの方の顔を思い浮かべるとやはり、若くて血気盛んな若者(もちろん男性)が多い。
ちなみ現在の俺の称号は、”ガンランス色の旅人”。”色の”ってのが詩的で気に入ってます。
読者の皆さんは、どんな称号をつけていますか? ちょっと気になる雨の水曜日。
どこかで「俺は寝オチなんかしたことねえ!」と豪語していたような気もするが、最近『2nd G』で遊んでいるとところ構わず寝るようになりました。もう、ひとりで遊んでようが協力プレイ中だろうが眠たくなったら即寝り!! という迷惑千万な方針のもと、日々マイペースで狩りを続けております。最近寝オチをぶっこいた場所は、行きつけのバー、長野のとある温泉、自宅(って、自宅はいいのか)、そしてデパートの中……。ホントに、「おまえは赤ん坊か!!」とドッペルゲンガーになって居眠りしている自分を蹴飛ばしに行きたいくらい、無邪気にそこらじゅうで眠っているのです。寝ながらやってるとこのコラムではないけど、何のモンスターを討伐に来ているのかもよくわからぬまま、虚空に向かって「うりゃー、おりゃー」と武器を振り回すだけでいいことなどひとつもない。結果、藤岡要ディレクター、小嶋慎太郎プランナーという全国のハンターが見たら垂涎のメンバーといっしょに狩りに行きながら、5連続オチという醜態をさらすハメになるのである。藤岡さん、小嶋さん、ごめんなさい(土下座)。
さて、いま挙げた最近の俺の寝オチシチュエーションの中でも、異彩を放っているのが”デパート”ってやつである。
とある休日、俺は身内の女性の買い物に付き合うかたちでさいたま市にあるデパートに足を踏み入れた。俺はこの日の明け方まで仕事をしていた関係で睡眠時間はほとんどゼロ。でも、自分も買い物がしたかったので「いくいく」と行ってついてきたのだ。
統計を取ったわけではないので俺の偏見に基づく分析だが、基本的に男性は買い物が早く、女性はゆっくりだと思う。……ていうか、圧倒的に男のほうが買い物は早い!! この方程式から導き出される結果は”男性=永遠の待機”で、俺もご多分に漏れず買い物に行くときは120パーセントの確率で長々と待たされている。コーヒーを1杯飲んだくらいじゃまったく追いつかず、書店でゆっくりと立ち読みした結果何冊かの書籍を購入して再び喫茶店に入り、2杯目のコーヒーを「これ以上ゆっくり飲むことは不可能!」ってくらいのんびり飲んでも相方の買い物は一向に終わらない……って感じなのであります。
でもいいんだ。いまの俺には『2nd G』があるから。
その日も俺は、肌身離さず持っているPSPを小脇に抱え、ウキウキしながら安住の地を求めてデパートの中を彷徨い歩いていた。おそらく余裕で、5、6回はクエストに行くことができるであろう。キョロキョロとあたりを見回すと、都合よく休憩スペースが近くにあり、ふんわりとした大きめのソファーがしつらえてある。よし、今日の狩場はあそこにしよう。俺はバフン! とソファーに腰を下ろし、ふんぞり返りながらあるクエストを受注した。クエスト名は”死に至る眠り”。そう、旧密林を舞台にしたヒプノック1頭討伐クエストである。ヒプノックの素材を使ったガンランスを作ろうと思って、その素材採集に来たというわけだ。
ヒプノックと対峙するときに注意しなければならないのは、とにもかくにも”睡眠ブレス”である。G級モンスターの中では比較的狩りやすいと思われるヒプノックも、この睡眠ブレスにハマりだすととたんに手の負えない”イヤな”モンスターに変貌する。しかしそこは、ガード性能+1とガード強化という”最強ガードスキル”をまとったガンランサー。がっちりガードを固めてさえすれば、ヒプノックは怖い相手ではない。俺はガンランスを出したり引っ込めたりしながら果敢にヒプノックに挑みかかり、あっと言う間に屠り去ってくれた……と思った。思っていた。ところが……。
気がつくと俺の分身は、ひたすらポケーっとしながらキャンプにたたずんでいた。?? 何が起こったんだ? ゲームが巻き戻ってしまったのか? 俺の記憶にあるのは、ガンランスの砲撃をものの見事にヒプノックの顔面にお見舞いしたところまでである。それが何で急に、キャンプにたたずむシーンに切り替わっているのだろうか? 見ると我が分身の体力とスタミナが、ノーマル値に戻っている。俺はキツネにつままれたような気分のまま、再びヒプノックがいるエリアへと走っていった。
ところがここで、再び巻き戻し(?)が起こった。全力でヒプノックに駆け寄ったはずが、またまた俺のキャラはキャンプにたたずんでいるのである! 見ると今度はスタミナが激減していて、腹をグーグーならしながらヘロヘロになっている。??? ヒプノックには時間を操る力があったのだろうか……? もしかして時間超人!? 俺はタイムスリップをくり返しているような妙な気分になりながらも「なんのなんの……」と心を鼓舞して、三度、ヒプノックのもとへ駆け寄っていった。そして俺の記憶は、またしてもそこで途切れた……。
「ちょっと! 起きなよ! 風邪ひくよ!」
俺を揺り動かしながら、必死に起きろ起きろとくり返す女性の声が聞こえた。重いまぶたを強引に上げると、そこには呆れ顔の身内の女性……。あ、あれあれ? ここはどこだ……? 俺は旧密林でヒプノックと戯れて、そんでそんで……。俺は状況がまるで理解できず、寝ぼけ声で身内の女性に聞いた。
「あ、あのあの……。ヒプノックは……?」
身内の女性は”呆れ顔、ここに極まれり”という表情を作りつつ、ケラケラ笑ってこういった。
「何言ってんの(苦笑)。ここはデパートだよ? ヒプノックの睡眠攻撃で自分が寝てれば世話ないね(笑)」
うーん、なるほど……。ゲーム中ではたいしたことないと思っていたヒプノックは、じつはリアル睡眠攻撃でプレイヤーを眠らせることがあるのか……。
眠れない夜は、ヒプノックに限る。
いまからここに書くこと、はっきり言って99パーセントくらいゲームと関係ありません。まあこれまでもそういうコラムはいくらでも書いてきたわけですが、これほどの確信に満ちてゲームと関係ないことを”プレイ日記”と銘打って書いたことがかつてあっただろうか? いやない! と断言できるほどゲームと関係ありません。純粋な『2nd G』プレイ日記を読みたい(ふつうそうか……)という方はすっ飛ばしたほうがいいかも……。……でも書きたいので書く!
現在、『逆鱗日和』シリーズ第3弾となる『本日もニャンと! 逆鱗日和』を鋭意編集中。6月24日現在、収録すべきコンテンツ(書き下ろしもたっぷり!)をほぼ書き終わり、あとは校正などのもろもろのチェックを残すのみとなった。まあここからが長いわけだが、登山でいう八合目くらいはすぎたんじゃないかな、と思っている。
まあそれはどうでもいいんだった。
この『ニャンと! 逆鱗日和』の編集を担当しているのはおなじみ、逆鱗日和ファミリーの紅一点・江野本ぎずもなのだが、ここ1ヵ月くらい頻繁に、単行本の内容を詰めるための打ち合わせを彼女としている。……まあ、マジメな話8割、くだらない話2割くらいの、比較的ゆるーい感じでの打ち合わせではあるがね。この”くだらない”部分は本当にくだらなくて、たとえば”ビールに合うつまみベスト3は何だ”とか”若手記者・キモ次郎(そういう記者がいるのです)のロンゲをどうやって切らせるか”とか、そういうわけのわからないことを真剣に話していたりするのである。その中で、”子供のころに流行った遊び”という興味深いテーマが議題に上ったことがあった。江野本は俺よりもけっこう年下で(やさしい配慮)、生まれ育った土地も違う(俺は群馬で江野本は埼玉なのだ)。そういった異文化がぶつかるところには必ずギャップが生まれ、そのギャップが大きいほど話はおもしろくなっていく。ありがたいことにこの日は、極めつけにギャップの大きい日であった。俺は言った。
「俺が群馬にいた20年くらいまえまではまだ川がキレイで、水も豊富だったので、夏になると川に潜って魚をとっ捕まえてきて、焚き火であぶってモシャモシャ食ってたよ」
江野本、顔の半分くらいある目をクワっと見開き、失礼千万なことをのたまう。
「マジっすか!? さすがコラムで自分のことを”群馬の山猿”と称するだけのことはありますね!! いやあ、あっしのような都会育ちにはうかがい知れない世界だわぁ」
なーにが都会育ちだ! 群馬県人はみんな、自分は標準語をしゃべってて、都市の発達具合も東京と大差ないと思ってるんだぞ!! ……まあだからどうした、って話ではあるが、どっちかっつーと埼玉よりも群馬のほうが都会だと思っているんだ!! そんな埼玉県人の江野本にバカにされたまま引き下がるわけにはいかない。興奮した俺は群馬弁でまくしたてた。
「埼玉出身のおまえだって、似たようなモンだんべ!! 夏はカブトムシ採ってきて飼ってたべや!」
しかし江野本、俺の言った意味がわからなかったのか「??」という表情を作って、不思議そうにこんなことを言う。
「カブトムシなんか飼ったことないですよ」
む? そんなバカな。少年少女時代は誰しもが、カブトムシを飼育するものじゃないのか? ああでも、こう見えて江野本も女の子だからな。そうかそうか。そうだろうな。ひとり納得して俺は言った。「それはえのっちが女の子だからでしょ?」と。しかし江野本はブンブンと首を振り、つぎのように言って俺の顎を外した。
「違いますよ。あっしのまわりではカブトムシじゃなくて、”ゾウムシ”を飼うのが流行ってたんですよ。全員、筆箱を開けるとかわいいゾウムシがうねうねと動いていましたよ♪ 大塚さんも飼ってたでしょ?」
……ハイ?……ゾ、ゾウムシ? ゾウムシってあの、コウチュウ目(鞘翅目)ゾウムシ上科に分類される、鼻の長い虫のこと?
「そうですそうです。鼻の長いゾウムシです。みーんな飼っていましたよ♪」
俺は江野本がカブトムシの何かと勘違いしているのかと思ってそのとおりのことを聞いてみた。「えのっち、それってカブトムシのことじゃないの?」と。これに対して江野本はいかにも「憤慨しました!」という表情を作り、つぎのように語った。
「違いますよ! ゾウムシはゾウムシです! 大きいゾウムシを持っていることがステータスだったんですよ! あ、ゾウムシよりもステータスの高い虫にカナブンがいました。カナブンを持っている子はモテモテだったんですよ♪」
カ、カナブンなんて、夜中に網戸に5匹も10匹もへばりつく、鬱陶しいだけの虫では……。俺は担当編集とのあいだにマリアナ海溝もかくやという深い深い溝があるのを実感し、冷や汗を流しながら最後の質問をした。「じゃ、じゃあえのっちの中では、カブトムシはどういう存在なの?」と。江野本は「なんて恐れ多いことを聞いてくれるんだ!」という心の内を顔に表しながら、衝撃のひと言を発した。
「カブトムシなんて見たこともなかったですよ!! 一生に一度会えるかどうかという稀少な存在です!! そういう意味では、カブトムシは古龍みたいなモンですっ!!!」
!!!!? 夏の夜に外灯の下に行けば10匹も20匹もカブトムシが拾え、山に入ればノコギリクワガタやらミヤマクワガタも採れた俺と、どれだけの格差があるんだ……。俺は言った。「カブトムシなんて、うじゃうじゃ採れたよ……?」と。すると江野本は「ふ(冷笑)」と冷酷な笑みを浮かべ、トドメとばかりに言い捨てた。
「ウソばっかり。古龍がそんなにうじゃうじゃいるわけないじゃないですか。すぐそういうウソを言う。騙されませんよ♪ 子供はみーんなゾウムシを飼ってたんです。大塚さんもカブトムシと思いながら、じつはゾウムシを飼っていたんですよ♪」
そう言われると、子供時代に自分がカブトムシだと思って飼っていた虫がすべてゾウムシだったんじゃないかと思えてくる……。……って、そんなわけねえだろ!! 俺が飼っていたのは断じてカブトムシだ!! 信じてくれえええ!!
……ね、ゲームとまったく関係なかったでしょ。
※えー、このコラムを読んだ江野本本人がさっそくクレームを入れてきました(苦笑)。「ステータスが高かったのは、大きいのじゃなくて、パンダゾウムシですよ? パンダゾウムシはかわいかったなあ。あこがれでした……」だそうです。……どっちでもいいわ!!
某週末。モンハン4人衆の一角である藤岡要ディレクター、小嶋慎太郎プランナーとアレやコレやといろいろなことをしてきた。プライベートで。プライベートな出来事なのでコラムにするかわからないが、もしかしたらそのうち、何か書くかもなー。
でね。
途中で(どこのだ)藤岡さんと別れ、俺と小嶋さんのふたりは日曜の夕方に東京に戻ってきたわけだが、ここで小嶋さんがじつに魅力的な提案をしてきた。「大塚さん、ちょっとどこかでひと狩りいきませんか?」と。目をギラリと光らせる俺に向かって小嶋さんが続ける。「何人かメンバー集めますので、賑やかにやっちゃいましょう!」。
さあ狩りだ狩りだ。狩猟の時間だ。小嶋さんは手早く何人かの狩り仲間に連絡を取ってニヤリと笑い、「僕の同期入社組を中心に、5、6人は集まりますよ」と俺に告げる。で、俺と小嶋さんが新宿駅に到着するのを目処にパラパラと狩友が集結し、じっくりと狩りができる狩場へと歩みを進めた。メンバーは、俺、小嶋さん、アリフネさん(男性)、カナさん(女性)、ミトさん(女性)、ギンジさん(男性)。その後、アヤさんという女性が加わり、計7人での狩猟会である。アリフネさん、カナさん、ミトさんはカプコンの人だ。ちなみにカナさんはカプコンのネットショッピングサイト”e-CAPCOM”で”プチカプ!”というブログを連載している”あの”カナさんです。
狩場に落ち着いて飲み物などを注文して、すぐに我々6人は「ひと狩りいこうぜ!」と合唱した。テキトーにメンバーを決めて、黙々と狩り始める。俺はまず小嶋さん、アリフネさんと組んで、アリフネさんに出ていたG級の緊急クエストのお手伝い。俺は相変わらずのガンランス、小嶋さんとアリフネさんは弓を持って、風船のような巨大古龍を難なく討伐した。
そして早くもメンバーチェンジ。俺のパーティーから小嶋さんが抜けてギンジさんが加入。小嶋さんは女の子チームに混ざって、どうやらリオレウス希少種、リオレイア希少種の討伐に出向くようである。俺たちはアリフネさんのリクエストでディアブロス亜種2頭討伐クエストに。俺、心の中でG級のディアブロス亜種にビビりまくりながらも、なんとか1オチもせずにこのクエストをクリアーすることに成功。なんとも言えない安堵の空気が、俺たち3人のあいだで流れる。しかしそのとき、狭い狩場にうら若き女性の悲鳴が轟いた。
「なにこのカバン! 超生臭いよ!」
悲鳴を発したのはカナさんである。ナンダナンダ? 間違えてカバンの中にネコのエサでもぶちまけてしまったのか? 固唾を呑んでカナさんを見つめる男性陣。カナさんが続ける。
「砥石はどうしたの砥石は!?」
見るとカナさんは、ミトさんのPSPを手に持ち、彼女がクエストに持ち込んだアイテムリストを見て悲鳴を上げたようである。いったい何が、彼女たちのあいだで起きているのだろうか? 我慢しきれずに俺は聞いた。「どどど、どうしたんですか?」。するとカナさんは「よくぞ聞いてくれました!」と端整な顔の表情で語り、つぎのようにまくしたてた。
「ミトが”砥石”を使ったことがない、って言うんです!」
む。ミトさんは生粋の太刀使いである。どうやったら砥石を使わずに狩猟できるのだろうか……? 俺が知らないだけで、斬れ味ゲージが全部紫の天上界的な太刀が存在するのか……? 困惑する俺を見ながら、カナさんが続ける。
「大塚さんが不思議そうな顔をするのもわかります。私も不思議に思っていま、彼女の持ち物を見てみたんです。そしたら……」
ゴクリ、とツバを飲み込む俺。神妙な顔のまま、カナさんが爆発した。
「砥石の代わりに”キレアジ”が10匹いるんです!! なんでわざわざキレアジを!? カバンが生臭くなるでしょう!! あなた、女の子なんだから!!」
俺はゲラゲラゲラと腹を抱えて笑い、生臭いカバンを持ち歩くミトさんに向き直って「なんで砥石を使わないんすか?(笑)」とたずねた。するとミトさんは(なんでみんな、そんなに不思議がるんだろう?)という心の内を隠さないキョトンとした表情のままこんなことを言った。
「えー。だって砥石って、ポッケ農場でろくに出てこないじゃないですかぁ。キレアジだったら、たくさん釣れるもん」
え。ということはミトさん、砥石を店で購入したことは……。
「ないよー。だって、お金もったいないじゃないですかあ。ポッケ農場でお魚釣ればいいんだもん」
そういえば俺のまわりには「回復薬を買ったことがない」っていう女性が何人かいた。そういう人がどうしているのかというと、クエストに行くたびに薬草とアオキノコを一生懸命集めて調合し、回復薬を自家生産しているというのだ。男性ハンターでこういった節約術を実践している人はどれくらいいるだろうか? 何となくここまでマメな作業ができるのは女性ハンターだけのような気がするのだが、どうでしょうか? まあ、今回の”生ぐさカバン事件”はそれとはちょっと違うのかもしれないが、俺はミトさんの天使のような自然さに大いに心癒された。
そして翌日、俺は事の次第を同じ女性ハンターの江野本ぎずもに話して聞かせた。「砥石じゃなくて、キレアジがカバンにパンパンに入っててカバンが超生臭くなってるんだってー!!(爆笑)」と。しかし江野本、まったく笑わず、腹を抱えて笑う俺をキョトンとした顔で見ている。俺は自分の話しかたがそんなにつまんなかったのかと瞬時に落ち込み、江野本にたずねた。「……いまの話、おもしろくなかった?」と。すると江野本はデカい目をギョロギョロと動かしたあと、つぎのように発言して俺にトドメを刺した。
「えーっと。……キレアジって、何に使うんですか?」
天然ハンター、最強です。
昨日アップした”覗かれプレイ・究極”の続き。
電車を降りてテクテクと、いつもの家路を足早に歩く。車内でサラリーマンふたりに覗かれながら対峙していたイャンガルルガは、まだPSPの中に留まったままだ。
月のきれいな晩だった。
梅雨の雲がちぎれたように漂う薄明かりの空に、白く輝く上弦の月。そういえば、いま俺のPSPの中でイャンガルルガが孤独にたたずむこのクエストの名は”月に吠える”だったな。
俺はいつも歩く道を逸れて、住宅街を縫うように走る小さなわき道に足を踏み入れた。100万都市のさいたま市だが俺が住む地域は古くからの住宅街で、空き地や緑も思いのほか多い。ちょっと道を逸れれば趣のある用水路や公園があり、住宅街を抜けた先にはちょっと驚くくらい広い田園風景も広がっている。
俺は月明かりをたよりに住宅街でうねる小道を歩き続け、小さな公園にたどり着いた。桜の巨木が屋根のように覆いかぶさる都会の忘れ物のような公園で、気まぐれをおこしてときたま行う休日のウォーキングの休憩ポイントとして、ふらりと立ち寄ることが多い。
そまつなベンチに腰をかけて、途中のコンビニで購入した缶ビールのプルトップをプシュっと引く。そのまま、迸る炭酸の液体を叩きつけるように口の中に流し込み、喉で噛むようにゴキュゴキュと、ほろ苦い金色のしずくを身体の奥に流し込む。あーウマい。6月とはいえこの時間帯はまだまだ肌寒いが、公園でひとりで飲むには缶ビールがいちばん似合う気がするよ。
「ふぅ」と缶ビールの吐息をついてから、カバンの中からPSPを取り出す。電源スイッチをスライドさせると、暗い樹海の夜にたたずむ黒狼鳥の姿が見えた。ボタンを押して、ゲーム再開。樹海の中では唯一視界が開けているエリア4には、月明かりもよく届いた。
誇り高く闊歩しながらも、どこか憂いを含んだイャンガルルガ越しに見えるのは、いま俺の頭上でやさしく輝いている上弦の月よりも大きい真ん丸な満月。月特有の青くて寂しい光が、なんとこの黒狼鳥に映えることか……。俺もひとり、ガルルガもひとり(?)。ここはひとつ孤独なものどうしで、お互いの月を見ながら戯れようじゃないか。
こんな夜も、たまには悪くない。
最近、とある作業で深夜帰宅が続いている。とある作業というのはまあアレのことで、詳しくは6月の後半あたりに正式に告知させていただくことになると思うので、読者の皆様しばしお待ちを。
でだ。
たまには夜の電車があるうちに家に帰ろうと思って、雨の名残が残る重い空気の中をテクテクと歩いて、京浜東北線の最終電車に乗り込んだ。時間は深夜1時近く。「んな時間じゃ電車に乗るヤツなんていねえだんべえ」と群馬に暮らす俺の実家の住民たちはそう思うところだろうがナンノナンノ。東京では終電間近の駅構内は戦場のようなものだ。「これを逃したら自腹タクシーだ!」という思いが重くのしかかるために、ほぼ間違いなく、ベッドタウンとなっている都市の駅を過ぎるまでは電車の中はギュウギュウのすし詰め状態になるのであった。
昨夜も、そんな感じだった。それでも俺は運よく、目の前に座っていた女性が席を立ってくれたおかげで電車に乗っている道程の半分くらいのところで着席することに成功。さすがに満員電車に立ったままで遊ぶ気にはなれなかったPSP(=『2nd G』)をやおら取り出し、毒のガンランスを作るためにどうしても必要なイャンガルルガの素材を手に入れるために樹海に足を踏み入れたのであります。
そしてここで、思いがけないことが起こった。ゲームの中で起こったわけではなく、電車の座席に座って『2nd G』で遊ぶリアルな俺に、いささか芝居がかった妙な出来事が舞い降りてきたのだ。さっきからやたらと、座っている俺の左横に立っている40〜50代の男性サラリーマンふたりがPSPの画面を無遠慮に覗き込んでくるのである。覗く、っていうより、ギロギロと凝視している、って感じ。まあそれだけだったらよかったのだが、明らかに泥酔しているおっさんふたりは俺を肴に、”大声で”ナイショ話を始めたからタマラナイ。
「アレ!! このにいちゃん、狩りしてるよ狩り!!」
メガネが若干ズレた、絵に描いたような酔っ払いサラリーマンA氏がガチョウのような声でわめいた。これに、A氏よりもいくぶん若作りのサラリーマンB氏が応える。
「おう!! ホントだホントだ!! 狩りだ狩りだ!! いま流行ってんだよねえ、これ!!」
言っておくがこの会話は、乗車率150パーセントの京浜東北線最終電車でなされているものだ。しかし傍若無人の唯我独尊状態になっている酔っ払いには、ここが満員電車だろうが郊外の墓地だろうが関係ない。サラリーマンA氏はさらに続ける。
「うっほ! なんかこのにいちゃん、ヤバそうなでっかいのを相手にしてるよ!!」
確かに、さっきから俺をケトばしまくっているこのイャンガルルガはやたらと大きい。ヘタすると、銀冠くらいはつくかもしれない。どう考えてもイャンガルルガなんて知らないくせに、「こいつはデカい!」と見破るあたり酔っ払いの超能力もバカにできないというものである。A氏に向かって、B氏も大声でささやく。
「これさあ、なんてゲームだっけ?? まあそいつはいいけろ、欲しいんだいねー、コレさあ!」
いくら欲しいと言ってもあげないぞ! と目を吊り上げる俺の顔はまったく見えないようで、A氏、ムチ打ちになるんじゃないかと思うくらい激しく首を前後させて「うんうん!」と頷く。そして「そう! 俺も欲しいんよ! ボーナス出たら買おうかなあ!!」と隣の車両に乗っている人にも聞こえるくらいの大声でささやいた。
しかしここまで騒がしくされて、いくら善良でおとなしい俺でも黙っているわけにはいかない。思わず俺は口走った。「ぷっ!(笑)」と。こんな大声のナイショ話を聞かされて、笑わずにいられるものか。
俺の吹き出し笑いを聞いた泥酔サラリーマンコンビ。「えへえへ……」というまるでかわいくないテレ笑いを浮かべたあと、顔を見合わせながらこんなことを言った。
「このにいちゃん、笑ったで」とサラリーマンA。そりゃ笑うわ。サラリーマンBがこれに応える。「うん、なんか俺らの話、聞かれてたみたいだな。よく聞こえたなあ」。ってそりゃ聞こえるわい!! 聞こえないって思っていたことのほうが驚きだわ!!
結局ふたりと親しくなれぬうちに、電車は俺が住む街の駅に到着してしまった。もしもこのふたりと最寄り駅がいっしょだったら、「いやあハンター予備軍ですか! いいですなあ! 一杯いきますかあ!」ってことで居酒屋にくり出していた気がする(笑)。
このふたり、本当に『2nd G』買ってくれたかなぁ……。……ってもしかしてこのふたり、辻本流の新しい宣伝活動のために放たれた仕掛け人だったのか!? そう思ってしまったくらい、絵になるふたりでありました(笑)。おしまい。
ある日、毎度おなじみ逆鱗日和ファミリーの中目黒目黒、女尻笠井、江野本ぎずもとともに、塔を舞台にしたリオレウス希少種の討伐に出向いた。
塔が舞台のクエストは、基本的にベースキャンプにメンバーが集まったところからゲームがスタートする。つまり、スタートラインはふたりでやろうが4人でやろうが同じってわけだ。
え? そんな当たり前のことを言い出してオマエは何を書こうとしているのか? ですって? まあまあ、慌てずに読んでくださいな。
ベースキャンプから始まるクエストに出向いたとき、どういう行動をとるかはハンターそれぞれの判断に委ねられるところだ。真っ先に支給品ボックスに取り付いて地図やら応急薬やらをバッグに詰め込む人もいれば(これがほとんどだと思うけど)、持ち込んだ生肉を焼き始める人もいる。またこれらの作業を敢然と無視して、討伐目標のモンスターがいる地点まで脇目も振らずに駆け出すハンターもいる。今回のメンバーで言うと、目黒は肉焼きタイプ、江野本がアイテムボックス取り付きタイプ、そして俺と笠井が脇目も振らずダッシュタイプ、という感じになる。そしてそのとおり、俺と笠井はアイテムボックスの存在をガン無視して、一心不乱に塔のてっぺんを目指して走り出した。
最初は、何事もなかった。
俺と笠井のキャラは仲良く肩を並べるようにパタパタと駆け続け、ほぼ同時にエリア1に飛び込んだ。
エリア1もほぼ同時に駆け抜けた俺たちの間にかすかな亀裂が生じたのが、エリア2に侵入した直後。笠井のキャラのスタミナが尽きたらしく、ガクンとスピードが落ちたのだ。笠井はいつもアイルーキッチンで食事をするとき、”肉+野菜”を組み合わせて食事をする。この食事の効果は体力+40と攻撃力アップ[大]だ。対して俺は、”酒+乳製品”。体力+50にスタミナも+50である。この差が出た。スタミナに余裕のある俺が、笠井のキャラの前に出ることに成功したのだ。この状況を見て、俺は条件反射のようにボソっと言った。
「よし、もらった」
2メートルほど先の席に座っていた笠井が、俺のつぶやきを聞いて「ビクッ」と身じろぎをしたのがわかった。顔を上げて見ると、いつになく真剣な表情で眉間に皺を寄せている。しかし、笠井はひと言も発しなかった。
俺が若干のリードを保ったまま、ふたりのキャラはエリア3からエリア4に入るわずかに道がカーブしたゾーンに差し掛かった。すると笠井のキャラは道の右側に位置取りをし、コーナーの内側を舐めるようにカーブを曲がるではないか! 俺はこのとき、道の左側を走っていたので若干ながら大回りでコーナリングをしたことになる。これにより僅かにできていた俺と笠井の差がほとんどなくなってしまった。2メートル向こうの席から、笠井の信じられない声が届く。
「よし、追いついた」
!!! こんにゃろ!! いつの間にレースになってたんだコレは!! オマエがそう出るならこっちにも考えがあるぞ!! ままま、負けるもんか!! 思いっきり心のうちではレースをしていたくせに、実際に相手に反応されると感情的になるのが大塚角満という男なのである。俺はついに、声に出して笠井に言った。「負けねえぞ! 俺がさきにゴールしてやるっ!!」。単細胞の笠井、これを受けて声を荒げた。「僕だって負けませんよっ!!」。
ふたりともいいトシこいて感情むき出し。コーナーというコーナーは、シューマッハーかバレンティーノ・ロッシかというインにインを突く最短距離の見事なコーナリングで走り抜ける。それでもやはり、スタミナ的に有利な俺のキャラが、ジワリジワリと笠井のキャラとの距離を開けていった。よおし! もらった! 俺の勝ちだ俺の勝ちだ!
そして差し掛かったエリア8。ここで初めて、ふたりのガチンコ勝負に第三者が介入してきた。そう、”空飛ぶペッペ鳥”ことガブラスである。ほかのエリアでもフラフラと飛んでいたが、なんだかエリア8のガブラスは挑戦的なたたずまいである。
「おい……。なんかガブラスが猛っているぞ……」
と俺は言った。そう言ってるあいだも、指はきっちりRボタンを押してキャラをダッシュさせている。何となく、イヤな予感がする。笠井も笠井で空を見上げて忌々しそうに嘆息し、「イヤな予感……」とのたまう。そのときだった。
ガクン!
いきなり笠井のキャラがヒザをついた。「あっ!」と短い悲鳴をあげる笠井。どうやらガブラスの狼藉にあったようである。これを見て、俺は快哉を叫んだ。「しめた! これで俺の勝ちだ! ウケケケケ!」。
しかしそうそううまくいかないのが『モンスターハンター』というこのゲーム。喜び、バカ笑いする俺のキャラの背後に何やら怪しい影が接近してきた。影、いきなり速度を上げたかと思ったら俺のキャラに急接近し、「ぺっぺ」と毒ツバを吐きかけてきやがったではないか!! ものの見事に我が分身の背中に直撃する紫色の忌まわしい液体。そして当然のようにヒザから崩れ落ちる哀れなガンランサー。紫泡ポコポコのオマケつきである。これを見た笠井は「ぎゃはははは!!」と大爆笑。ついでに「もらった!!」と快哉を叫んだ。しかも勝負の天秤は笠井に傾いたのか、俺のキャラの頭上で飛び回っていたガブラスの狼藉は止まらず、怒り心頭に発した俺が「うぬぬぬ!」と憤怒の形相で立ち上がるのと同時に、再びガブラスは「ぺっぺ!」と破廉恥な毒ツバを吐きかけてきたのである! 「あっ!」なんて叫んでももう遅い。オロカなガンランサーはこの攻撃もお約束のように食らって再び転倒。ついに笠井との間に決定的な1馬身の差がついてしまった。
その差を保ったまま、俺たちは最終コーナー(?)を回って最後の直線であるエリア9に雪崩れ込んだ。やばい……。笠井のスタミナはまだ十分残っているようだ。このままでは負けてしまう……。2メートル先の席で破廉恥な名前の男が「勝った勝った♪」とハミングしている。ま、負けたくねえ……。直線も残り半分。いま何か手を打たないと取り返しがつかない! 俺は無意識のうちに△ボタンを強打し、走る笠井のキャラ目掛けて攻撃をくり出した。俺の無想転生のようなこの攻撃、見事笠井のキャラに直撃。ついでとばかりに俺は○ボタンを押して、放射型砲撃の巨大な火炎で笠井のキャラを包み込んだ。怒髪天を突いて、笠井が怒りまくった。
「ききき汚ねえ!! ガンランス汚ねえ!!」
俺、笠井の言うことなどまったく聞く耳持たずに「けけけ!」と笑い、トドメとばかりにR+△+○ボタンを押してガンランスのリーサルウエポン・竜撃砲の体勢を作る。怒りに燃えて突っ込んでくる笠井に放たれた竜撃砲の凶暴な炎。これをまともに食らい、「ぎゃーーーーっ!」と断末魔の悲鳴を上げながら遠く、遠くに笠井のキャラが吹っ飛ばされていった。そして悲劇は起こった。
「あ」(笠井)
「え」(大塚)
竜撃砲に包まれた笠井のキャラがもんどり打って運ばれていったのは、古塔のてっぺんのエリア10。つまり……。
「やったー! ゴールだゴールだ! 先に着いたぞ!! いやあ、お力添え、ありがとうございますガンランス(ニヤニヤ)」(笠井)
あまりにもベタベタな結末に言葉を無くし、俺はエリア9でいつまでも呆然とたたずむのであった。
※注意※ 今回は極めつけに、全面的にお酒の話です! 未成年のみんな、お酒はハタチになってからね!
というわけでさっそく、デパートのチーズ専門店に行ってしこたまチーズを買い込んできました。店にいたプロフェッショナルのチーズソムリエにいきなり「芋焼酎に合うと思われるチーズくだちゃい」と (・_・;)←こんな顔をされる難題を突きつけるも、ソムリエはすぐに気を取り直していろんなチーズを試食させてくれた。「最近、焼酎にチーズを合わせる人は多いんですよ」とソムリエ青年。しかし俺たちは焼酎うんぬんの話などすっかり忘れて「うめえうめえ」と価格の張る高級チーズに舌鼓。けっきょく、10種類近く試食させてもらった結果、以下の5種類のチーズを購入した。
●ミモレット……フランス原産のオレンジ色のチーズ。原料は牛乳。ちょっと歯ごたえのある、ハードタイプのチーズだ。”西洋のからすみ”と称される。……が、俺と江野本は本物のからすみを食ったことがない。
●ベルエトワール……フランス原産の白カビチーズ。これはカマンベールチーズかな? このへんの分類、いろいろ調べてるんですけど複雑でよくわからず……。
●ペコリーノロマーノ……イタリア原産のハードタイプのチーズ。”ペコリーノ”とはヒツジの乳から作ったチーズのことらしい。ものすごく”塩”が際立っているチーズで、好きな人にはタマラナイだろうなあ。
●パルメジャーノレッジャーノ……イタリア原産の牛乳チーズ。ハードタイプ。この中ではかなりポピュラーかな? 行きつけのバーのマスターが「焼酎と合う」と推薦した一品。口に入れるとアミノ酸の結晶がジャリジャリとつぶれる。たまらん!!
●ロックフォール……何を隠そう、俺がいちばん好きなチーズ。"ブルーチーズの王様"と呼ばれるアオカビチーズの高級品だ。なんでも、特定の洞窟で採れたアオカビを使って熟成させないと”ロックフォール”の冠をつけることは許されないそうだ。激ウマですよ!
購入金額は7000円弱。「これは仕事だから……」という思いを胸に抱いて、金額を考えずに購入してみました。さあ試食だ試食だ!
俺と江野本はヨダレまみれになってチーズを眺めながら、「まあとりあえず!」と言ってオン・ザ・ロックにした黄金芋酒を口に含んだ。じつはこのお酒をもらった直後にひと口だけ試飲したことがあったのだが、かなり芋の香りが主張していてクセの強い酒だなぁ……と思っていたのだ。が、いま改めて、キンキンに冷やしたものを飲んでみると……。
「うめぇーーーーーっ!!」
俺と江野本は同時に叫んだ。クセ、まったく強くなく、むしろほのかに香るナイーブな芋の香りが格好のアクセントになっていて、これなら芋焼酎が苦手な人でもスイスイと飲めてしまいそうだ。うーん、こいつはタマラン。いくらでも飲めちゃうぞコレ。一瞬で1杯目の黄金芋酒を飲み干して新たに2杯目を注ぎ足そうとする俺。ところがここで、江野本が声を荒げた。
「大塚さん!! 酒ばっか飲んでないでチーズですよチーズ!! ていうか、あっしにもおかわりください黄金芋酒」
そうだそうだ。チーズ食わなきゃ。よし、まずはミモレットから……。ムシャムシャムシャ……。こここ、こいつはうめえ……。噛めば噛むほど、味に深みが出てくるぞ。チーズ単体でいくらでも食えちゃいそうだ。でもここはひとつ、咀嚼してぐちゃぐちゃになったミモレットが口の中にあるうちに黄金芋酒を流し込んで……。おおお? まったく違和感ないぞコレ……。むしろ、黄金芋酒があったほうが両方の味が際立つ感じ。へぇぇぇ、こいつはいいカップルだなあ(感心)。
てな感じで、5種類を食べ比べてみた感想は以下のとおりになります。それぞれに”幻獣チーズ度”という尺度を設けて採点してみました。あくまでも、大塚角満の独断と偏見に基づく評価であります。(★は1点、☆は0.5点。5点満点)
●ミモレット……前述のとおり。口に入れた瞬間の印象はそれほど強くないが、噛めば噛むほどミモレット特有の香りが口に広がる。これに黄金芋酒を合わせると、より味に深みが増す。ミモレットと黄金芋酒が交じり合った混合液体を喉の奥に流し込んだ瞬間の感動は「!!!」に尽きる。
幻獣チーズ度 ★★★★★
●ベルエトワール……とってもまろやかでやさしい白カビチーズでした。感覚的には、クリームチーズに近いかも。ものすごく淡白で敵を作らない感じが特徴なのかな、と思ったが、黄金芋酒を相手にするとその淡白さが物足らなくなる。やっぱり白ワインで食べたい。
幻獣チーズ度 ★★☆
●ペコリーノロマーノ……これはとてもおもしろいチーズでした。とにかく”塩味”なのよ。すごくシンプルなので、どんな酒にも合う印象。でも、あえて黄金芋酒じゃなくてもいいかな、って感じはぬぐいきれなかった。芋焼酎より、ジンが飲みたくなった。
幻獣チーズ度 ★★★☆
●パルメジャーノレッジャーノ……マスターイチ押しのチーズだったが……確かにいいよコレ! このチーズはまえから好きだったけど、味も香りもすごく独特なので「芋焼酎にはどうかな……?」と内心思っていたのだ。でも、すごくいい! 相性抜群かも! ただ、ミモレットと比べるとどうしても、チーズの主張が強い感じはする。主役が黄金芋酒じゃなく、チーズになってしまうような……。
幻獣チーズ度 ★★★★☆
●ロックフォール……じつはものすごく期待して黄金芋酒といっしょに食べてみたわけだけど……。うーん……。なんか、合わないな(苦笑)。ちょっと俺、期待しすぎてたのかな……。
幻獣チーズ度 ★★
しかしこのロックフォールについては事前にマスターから、「もしもブルーチーズを食べて”焼酎にはちょっと……”と思ったら、これをかけてください。劇的に何にでも合う味になりますよ」と”ハチミツ”を託されていたんだった! さっそく、高級チーズにハチミツをかけてドキドキしながら口に放り込む。すると……。
「うまぁーーーーーっ!!」
これだったらブルーチーズも、十分に芋焼酎と合わせられるぞ。うーん、さすがマスター……。(ハチミツをかけると、幻獣チーズ度 ★★★★)
ちなみに江野本にもレビューをさせてみたが、感想はほとんど俺といっしょだった。上位にきたのはやはりミモレットとパルメジャーノレッジャーノ。本当にこのふたつは、黄金芋酒によく馴染んだ。
しかしこのあたりから、俺も江野本もすっかり酔っ払ってきた。見ると、黄金芋酒の大ビンはほとんど空っぽ。次第にロレツも回らなくなってくる。
「えのっち、どうらった? どのちーずがいちばん、黄金芋酒になじみまひたか?」
グビグビと黄金芋酒をあおりながら、江野本が応える。
「えーっとれすねえ、最初は、みもれっとがいちばんよかったんれすけど、なんかお酒が回ってくると、ぱるめじゃーのれっじゃあのの強さにひかれてくるんれすよねー」
そうなのだ。じつは俺もさっきから、黄金芋酒と抜群に融和するミモレットよりも、口の中でガチガチと酒の香りとぶつかり合うパルメジャーノレッジャーノの”強さ”に惹かれ始めていたのだ。言うなれば、口の中で大喧嘩しているけど、じつはやっぱり仲がいい、って感じ。俺がそう感想を漏らすと、江野本は我が意を得たりとばかりにブンブンと首を縦に振り、「そうれす!! そのとおりれすよ!!」と激しく肯定した。(パルメジャーノレッジャーノ、酔っ払った状態で食うと幻獣チーズ度 ★★★★★+α)
そして、黄金芋酒はあっと言う間に底をついた。まだぜんぜん飲み足らない。そこで俺は、さきほどのデパートで江野本にバレないようにこっそりと購入しておいた赤ワインの中ビンをカバンの中から取り出す。ナンダカンダ言って、やっぱりチーズを食うときは赤ワインだよナ。さあワインだワインだ。酒だ酒だ。
この赤ワインを見た江野本、目を真ん丸く見開いて驚愕の表情を作り、俺を睨みつけて声を荒げてきた。
「ちょっと!! いつのまに赤ワイン買ったんすか!!」
江野本、さらにキレまくる。
「あっしにもくださいよっ!!!!!」
これを聞いた大塚角満、キレる江野本のさらに上を行くブチ切れ状態となり、天の声とも言うべき威厳に満ちた声を轟かせた。
「これが赤ワインだとぉ……? ……未熟者め!!!」
わざとらしくひと呼吸おいてから、俺はトドメのひと言を江野本に浴びせた。
「これは赤ワインじゃねえ!!! ブレスワインだ!!!」
『モンスターハンター』のワインと言えば、やっぱりブレスワインである。俺の発言を聞いて江野本はわざとらしくのけぞり、そのわりにはケロっとした顔でこんなことを言った。
「な、なるほど……。これはブレスワインだったのか! 言われてみれば確かに……。まあそれはどうでもいいです。早くあっしにもワインください」
俺たちはちびりちびりとブレスワインを舐めながら、「うまいうまい」と高級チーズを食べ続けた。やっぱり幻獣チーズには、ブレスワインだなあ^^
しかしここで、江野本が急に我に返って衝撃的なひと言を発した。
「大塚さん、ブレスワインが食卓に出てくるのはキッチンアイルーが4匹のときです。ということは、ブレスワインといっしょに供されるチーズは”ロイヤルチーズ”ではありませんか?」
「!!!」と衝撃を受ける俺。な、なるほど……。確かにその通りだ……。江野本が続ける。
「まあでもいいです。早くワインのおかわりくだちゃい」
ブレスワインの宴は続く……。って、なんか当初のテーマと違くね……? ま、いいか(苦笑)。
※注意 ここからの2話、全面的にお酒の話です! 未成年のみんな、お酒はハタチになってからね!
突然ですが皆様。キッチンアイルーが5匹揃っている状態で「クエストまえにネコメシ食っとくかあ!」ってなったとき、どの食材を選択しますか? ほうほう、あなたは”肉+野菜”の組み合わせですか。逆鱗日和ファミリーの女尻笠井とおんなじだ。体力+40と攻撃力アップ[大]のオマケつき。確かにいいよね、コレ。俺もたまーに食します。お? そこのアナタは”魚介+穀物”? そんなの食ったことないけど……おお! 体力+40に防御力+20とな!? こりゃあいい。今後の選択肢に加えさせていただきます。……え? そこの御仁は”肉+果実”? それも食ったことないけど……って、体力−40とスタミナ−25じゃん!! ハイハイ、マゾの人なのね。どうか身体には気をつけて……。って、このままいくと全27パターンについてダラダラと解説しちまいそうなのでこのへんでやめておきますね。ていうか、何が言いたいんだっけ俺?
ああ、そうだそうだ。思い出した。キッチンアイルーが5匹揃っているときにもっとも頻繁に食べられている食材は前述のものではなく、間違いなく”酒+乳製品”だと思うのよ。つまり、”黄金芋酒+幻獣チーズ”ね。これで、体力+50にスタミナ+50。もう鼻血ドバドバのマックスドーピング。俺などはG級クエストだと、この初期状態じゃないとクエストに行くことすら躊躇してしまう。それくらい、黄金芋酒+幻獣チーズの恩恵は大きい。
「現実世界にもこれくらい強烈に効果があるメニューがあったらいいのになぁ」
黄金芋酒と幻獣チーズをがっつく我が分身を眺めながら、俺は日々そんなことを考えていたのである。
飲みたいなぁ〜、黄金芋酒。"芋酒"というからには、これは芋焼酎なんだろうな。芋焼酎、目に入れたら痛いけどでも痛くないと思ってやらないでもないくらい大好きなんだよネ(回りくどい)。ちなみに、”ミスターモンハン”こと藤岡要ディレクターや小嶋慎太郎プランナーも、芋焼酎には目がありません。いっしょに飲みに行くと、徹底的に芋焼酎です。
食べたいなぁ〜、幻獣チーズ。おいしいんだろうな、きっと。俺は無類の酒好きなので、最高の酒の肴であるチーズにはうるさいです。家で晩酌するときは(って毎日だが)必ずと言っていいほど、その日の酒に合わせたチーズがテーブルに乗っています。簡単に書くと、赤ワインを開けるときはブルーチーズ系、白ワインのときは淡白なカマンベールチーズなどが好み。ビールのときには、自分で燻製したスモークチーズなんかがピッタリだ。
でも待てよ? 改めて考えてみると、焼酎(とくに芋焼酎)でチーズっていう組み合わせについてじっくりと考えたことがなかったな。そもそも、焼酎にチーズって合うのか? 酔っ払うとツマミの味がよくわからなくなって目の前にある食材をデリカシーなくバクバクと食い始めてしまうので、焼酎とチーズをマジメに合わせたことがない。この疑問を、行きつけのバーのマスターに話してみた。この人、酒好きが高じてバーのオーナーになったってくらいの人なので、ツマミについても人一倍うるさい。率直に、俺はたずねた。
「ねえねえマスター。芋焼酎に合うチーズって何かあるかねえ?」
俺の問いかけにしばし無表情を作っていたヒゲのマスター。突然弾けたように驚愕の表情を作り、「そうきたかぁ〜!」と芝居がかったセリフを吐いた。苦渋の声でマスターは続ける。
「僕は仕事がら、どの酒にどのツマミが合うのか、ということは日々研究しています。でも焼酎って非常に懐深いお酒で、どんなツマミも合うんですけど、どんなツマミも決め手に欠けるんです。なのでチーズを合わせることも難しい。個人的には、パルメジャーノレッジャーノなんかがピッタリかと思うんですけどね……」
ナルホドナルホド。確かに、ビールに揚げ物、赤ワインにブルーチーズのような、”鉄板”の組み合わせを焼酎では思い浮かべることができない。でもコレ、逆にすごく興味深くない? こういったお酒だから、「芋焼酎に合うチーズは何だ?」なんてテーマに沿って研究している人も絶無に等しいであろう。ヨシ、捜してみるか芋焼酎に合うチーズを!
俺はここまでの流れを、俺に匹敵する酒好きである『逆鱗日和』シリーズ3巻目の編集担当(超さりげない初告知)、江野本ぎずもに話して聞かせた。とたんにデカい目をクワっと見開き、ヨダレをたらさんばかりの表情を作る江野本。嬉々として彼女は言った。
「いいですね!! 捜しましょう捜しましょう! 黄金芋酒に合うチーズを! もしも見つかったらそれを、"大塚角満認定・幻獣チーズ"としましょうよ!」
しかし残念ながら、黄金芋酒がどんな味の芋焼酎なのかがわからない。ひとくちに芋焼酎と言っても、味は本当に千差万別なのである。この不安要素を聞いた江野本、「呆れた」という思いを隠しもしない顔を作って松浦あやや声でこう言った。
「大塚さん、本物の黄金芋酒、持ってるでしょう? 発表会でもらったじゃないですか。もう飲んじゃったの? だったら、あっしのを提供しますけど」
……は!! そうだった!! 2008年2月8日に開催された『2nd G』の完成披露会でのお土産として、”非売品・狩人組合 黄金芋酒”をもらっていたんだった! もったいなくて封も切らず、編集部に飾ってあるヨ!! これは紛れもなく、『モンハン』制作チーム認定の”本物の”黄金芋酒だ。つーことは、いろいろとチーズを買い込んできて黄金芋酒と合わせてみて、衝撃を受けるほどしっくりくるチーズを捜し出すことができれば、それを”大塚角満認定・幻獣チーズ”と決めつけてしまってもいいのではなかろうか!? いや決めつけるっ!!
俺と江野本はさっそく、デパートのチーズ売り場へと直行した。目指せ! 幻獣チーズ!!
バタバタしてたらエライ時間に……。なので本日はざっくりと、俺の近況をさらしてみたい。タイミングよく、本連載の回数が50を超えたところだしネ。さらすにはピッタリの時期でしょう。……書くネタがなくなったわけじゃないぞ!! ……え? 誰もそんなことは言ってないだろ? ス、スンマセン、最近この言葉に過剰反応しがちで……。
ではズラズラと書き連ねます。
●総プレイ時間……400時間16分
なんとちょうど400時間を突破したところだった! いやあビックリ。『2nd G』の発売から2ヵ月半で400時間か……。どんなペースなのかさっぱりわかりませんが、なんとなくキリのいい時間をさらせたのでボクは満足です。
●クエスト回数
・村長下位 95回
・村長上位 64回
・集会所下位 91回
・集会所上位 142回
・集会所G級 175回
・トレジャー 0回
・訓練所 27回
たくさんクエストをこなしているようだけど、中身を見るとけっこう偏ってるかも。最近になってようやく、未クリアーのクエストを精力的にこなすようになったけど、ちょっとまえまでは本当に、特定のクエスト(レウスとかレイアとかね)ばかり行ってたような気がする。まあ『モンハン』をプレイするといつもそういった感じになるんだけどね、俺……。
●武器使用頻度
・大剣 24回
・太刀 0回
・片手剣 0回
・双剣 6回
・ハンマー 0回
・狩猟笛 0回
・ランス 0回
・ガンランス 558回
・ライトボウガン 6回
・ヘビィボウガン 0回
・弓 0回
もうホント、このシステムは恐ろしい……。見事に俺をガンランスに縛りつけております。でも、以前このデータをどこかで公開したときはライトボウガンの使用頻度が”5”だった気がするが、そのときより1回増えていたりします。では何のクエストでライトボウガンを持ち出したのか? じつはすごくはっきりと覚えている。先日ラスベガスに行ったときにカプコン広報の萩原さんが「ラオいきましょラオ!」と言い出して、カプコンのガンランサー、神田さんと3人で行くことになったのです。萩原さんが大剣で、神田さんはもちろんガンランス。これで俺までガンランスだと明らかに火力不足だろうな……と思って、ついついこっそり作っておいたここには書けないような恐るべきライトボウガンを持ち出してしまったのです!! ……この事実、お墓まで持っていこうと思っていたのに勢いで書いてしまいました。テヘ♪
●おもなモンスター狩猟数
・イャンクック 52
・イャンガルルガ 2
・ゲリョス 30
・ヒプノック 14
・リオレイア 77
・リオレウス 72
・フルフル 32
・バサルモス 15
・グラビモス 20
・モノブロス 8
・ディアブロス 24
・ティガレックス 24
・ナルガクルガ 21
・ドスガレオス 4
・ガノトトス 27
・ヴォルガノス 9
・ダイミョウザザミ 37
・ショウグンギザミ 22
・ドスファンゴ 19
・ババコンガ 44
・ドドブランゴ 26
・ラージャン 5
・キリン 14
・クシャルダオラ 10
・オオナズチ 4
・ナナ・テスカトリ 6
・テオ・テスカトル 16
改めて見ると、おもしろいなコレ。苦手意識がもっとも強いキリンを14頭も狩っているし、しょっちゅう狩ってるイメージがあるバサルモスは15頭で止まってる。ババコンガの討伐数が多いのは、モンハンフェスタのタイムアタック大会に出場するために練習したからだ。リオレウスとリオレイアの討伐数が抜きん出ているのは、ほかのハンターも同じ気がする。もっとも少ないのは……ラージャンじゃなくてイャンガルルガか!! 2回しか狩っていないけど、『2nd G』のイャンガルルガ、ガンランスだとめちゃくちゃ手こずった気がして、恐ろしさが先に立って避けて通ってるんだよなぁ……。
こんな感じでしょうか? こんなのを公開されても読者の皆さんが喜んでくれるとは思えないのですが(だったら出すな)、何かの参考にでもなれば……。
そうそう、最近のトピックスとしては、
良三さん(辻本良三プロデューサー)からもらったオトモアイルーが、まったく俺に懐いてくれない。
これくらいでしょうか(苦笑)。
気がついたらこの『2nd G』日記も今回で50回目。なかなかどうして、順調に書き進んでいるではないか。いい感じいい感じ。まだまだ書きたいことは山ほどあるし、この調子だったら目標の100回にも余裕で到達するゾ。……え? 何か忘れてないか? ですって? ななな何かあったっけな……。ま、まあマイペースで今後も書き続けますので、皆様よろしくお願いします……。
さて。
初代『モンスターハンター』の時代からの人気モンスターに”フルフル”がいる。ハイ皆さん、知ってますネ。沼地やら雪山に生息する、怪しい妖しいメタボなアイツです。このフルフル、男の俺から見ると「むむむ。なかなかヤルではないか」という存在なのだが(意味不明)、女性ハンターから見ると「きゃー! かわゆいー!」と叫びたくなるモンスターらしい。逆鱗日和ファミリーの一員、江野本ぎずも(♀)も「『モンハン』に出てくるモンスターの中でかわいいのは、ダントツでフルフル亜種」と言ってはばからない。どっからどう見ればかわいくなるのか本気で詰問したくなるのだが、そう言うと「どっからどう見てもカワイイ」と身も蓋もないことをピシャリと吐き捨てられるのがオチなので、あえて聞かないようにしています。
「それにしても……」と感心するのが、こういった特異な形態、生態をしたモンスターを生み出すクリエーターの才能だ。どんなところにアンテナを伸ばしていれば、フルフルのように個性の際立った”生き物”を思いつくのだろう。しかもフルフルは、”雌雄同体、単為生殖の生き物である”、”生きたものしか食べない”、”生き物の身体に卵を産みつけ、子供は孵化すると宿主の身体を食い尽くしてから飛び出してくる(それがフルフルベビー)”などという、じつに細かくて理にかなった設定の上に成り立つモンスターだ(モンハンフェスタ`08札幌大会の”教えて藤岡先生!”のコーナーより)。つまり単なる思いつきで作られたものではなく、体型、性格、色、行動などにはすべてきっちりとした理由があり、生き物として成り立つために必要なことを盛り込み尽くしたうえで誕生したモンスター、ってことになる。
そういった学術的な視点でフルフルを眺めると、かわいいかどうかは別にして、神が作りたもうたとても高貴な生き物に見えてくるから不思議だ。とくに、青白い電気を体内発電させてバチバチと放出している様子なんてじつに凛々しい。
でもこの姿、どこかで見たことあるんだよなぁ……。こいつを思い出せれば、フルフルを生み出したクリエーターが何からこのモンスターの着想を得たのかがわかる気がする。うーん、何だっけなぁ……。
最近、著しく記憶力が減退してきた脳ミソで「なんだっけなんだっけ」と考えながら、旧密林のエリア3でバチバチバチと体内放電しているフルフルを眺めていた。この時期のこのエリアは、巨大昆虫・ランゴスタがやたらと飛び交っている。光るフルフルのまわりをランゴスタが飛び回っている様は、夏の夜の外灯に虫が群がる風景のようだ。狩りということを忘れて、風情すら感じさせるこの景色。いいですわねぇ、日本の夏……。そんなことをノンキに考えていると、放電を続けるフルフルの身体にプィ〜ンプイ〜ンとランゴスタが、1匹、また1匹と軽薄に接近していくではないか。そのたびに当然のごとく、「バチュン!」、「バチュン!!」という破裂音とともに砕け散っていくランゴスタ。それを見た瞬間、俺は「はっ!!」と大きな声を出していた。そうか、思い出したぞ……。
フルフルは夏の日の殺虫マシンに似てるんだ!!
夏の夜になるとスーパーやコンビニの店先に設置される、青い光を放つ電気殺虫マシン(正式には何て言うんだろうか?)。その光で虫をおびき寄せ、猛る電気でバチュンバチュンと蛾やらカナブンやらを撃墜する、あの電気殺虫マシンにソックリなんだ……。
このコラムを読んだ人は俺と同じく、夏の夜に電気殺虫マシンを見るたびに言うに違いない。
「あ。フルフルがいる」
と。
……それにしてもこのコラム、”『2nd G』日記”じゃなくてもいいような……。
拙著『本日も逆鱗日和』に収録しているコラムのひとつに”もしもテオをペットにしたら……”というお話がある。お話……っていうか、妄想!? でしかないのだが、あまりにもバカバカしいことに加えてゲームをするときには極めつけに役に立たない内容で、それでも自分ではけっこう、お気に入りのコラムだったりする。
このコラムを書いてから1年9ヵ月の時が流れた2008年5月3日。俺はモンスターハンターフェスタ`08の会場である札幌コンベンションセンターに佇んで、ステージイベントを見ながら「ふむふむ。ナルホドナルホド」としきりに頷いていた。ステージでは、『モンスターハンター』の世界観を監修する”ミスターモンハン”こと藤岡要ディレクターが”先生”となり、知られざるモンスターの生態を解説する”教えて藤岡先生!”のコーナーが展開。これがまたじつにタメになるコーナーで、俺ごときの浅はかな妄想では及びもつかない『モンハン』世界の深さ、世界設定の細かさを垣間見ることができて、いつも俺はステージに向かって「ははーっ!」、「へへーっ!!」と地面に頭をこすりつけん勢いで平伏していたのである。
で、この札幌大会で藤岡先生に寄せられた来場者からの質問の中に”フルフルが大好きで夢にも出てくる勢いです。将来ぜひ、フルフルを飼ってみたいと思っているのですがそのためは何を用意すればいいですか?”というじつにイカした内容のものがあった。これを受けた藤岡先生は明らかに苦笑して、「と、とにかく新鮮なエサを……」、「小屋は広いほうがいいです。天井があるととても喜びます」なんて答えていたが、俺はうれしくてうれしくて会場の片隅で小躍りする勢いだったヨ。だって「モンスターをペットにしてみたい」って考えている人が俺だけじゃなかったんだから。”妄想なくしてクリエイティブの成長はあり得ない”と考えている俺にとって、同じ”妄想族”の存在を知ることができた札幌大会は僥倖以外のナニモノでもなかったのであります。
と、長々と都合のいい前フリができたところで、今日のメインテーマについて書かせていただきます。表題にあるとおり今日のテーマは”もしもナルガクルガをペットにしたら”というもの。もう俺、こんなことばっかり考えてんのよ(苦笑)。
●ナルガクルガをペットにしたらどうなるか?
近所のペット屋から「新商品が入ったから見に来い見に来い」と連絡があった。このペット屋からは先日、「ホラ、裏ルートから仕入れたオトモアイルーだ。メラルー模様をしているけど、れっきとしたアイルーだヨ」と言われてネコを1匹購入。しかしそいつがまんまとメラルー模様をしたメラルーで、一夜にして家のものを根こそぎかっぱらわれるという悪夢に見舞われたばかりである。しかし”新商品”と聞いてしまっては引き下がるわけにもいかない。俺は「すぐ行くよ」とメッセージを返し、数分後にはペット屋で怪しい店主と対面していた。見ると店主は、メラルーに盗まれた俺のTシャツとソックリな服を着てニヤニヤと笑いながら黒いベールに覆われたちょっと大きめのケージを指差す。「ホラ、あれがナルガクルガだ」。
俺は頭の上にビックリマークを30個ほど飛び出させて、「ホホホホントかっ!? ホントのホントにナルガクルガなのかっ!!?」と店主に詰め寄った。店主の顔に俺のツバが20滴ほど引っかかったのが確認できる。店主、そんなことは意に介さず冷静に俺の手を振り解き、狡猾そうな笑みを浮かべてこう言う。「紛れもないナルガクルガの幼体だよ。特別なルートから入ってきたんだ。まだアンタにしか知らせてないけど、広告出したらすぐに売れちゃうだろうな」。俺がこういったモンスターに目がないのを知ってて挑発しているのだ。こういう状況に陥った俺に選択肢は残されていない。俺は一瞬の逡巡もなく店主の挑発に乗ることに決め、「買う買う! いま買うすぐ買う! もってくもってく!!」と喚いた。店主、してやったりの表情を隠そうともせずに「毎度ありぃ〜」と臭い息をはいた。
俺が店主から「ナルガクルガを飼うときの注意点」として聞いてきたのは、”野性のモンスターなので無理に姿を見ようとしないこと”、”鬱蒼とした樹海に棲む生き物なので部屋はなるべくゴチャゴチャさせておくこと”、”とにかく素早いモンスターなので、万が一逃げてしまったときはすぐに連絡すること”という3点だった。ナルホド、もっともな言い分ばかりである。俺は素直に「うん、わかったわかった」と店主に頷き、さっそく注意を無視してケージを覆っている黒い布を取ろうとした。しかしその瞬間、「アンタ! ナルガクルガは暗闇を好むんだ! こんな明るいところで見ようなんて言語道断だよ!!」と店主は大激怒。俺、店主の剣幕に驚いたのと”無理に見ようとしない”という注意点のひとつをさっそく忘れてしまったことを大いに恥じ、「悪かったよ」と言って黒い布から手を離した。店主、それを認めてウンウンと頷き、「そうそう、このナルガクルガは本当に幼体なので腕のブレード状の翼はまだ生えてないから。ま、だからこそ安心して飼えるんだけどネ」と付け加えてくれた。ナルホド。それなら斬り裂かれる心配をせずに飼育することができるぞ。
俺はウキウキしながらナルガクルガの入ったケージを家に運び入れ、カーテンを閉めて真っ暗にしてから本棚やらクローゼットやらをメチャクチャに引き倒して樹海を思わせる鬱蒼とした環境を作った。そこにおもむろにナルガクルガのケージを置き、恐る恐る出入り口を開ける。そっと覗くと、なるほどこいつがナルガクルガか。暗闇の中で目を光らせる、一見メラルーのような生き物がうずくまっている。初めてナマでナルガクルガを見た俺は狂喜乱舞し、「さあ、何を食べるんだい? ポポノタン? リュウノテール? それとも生肉?」と声を押し殺しながら必死に小さなモンスターに話しかける。しかしナルガクルガの幼体は怯えているのかケージの奥にうずくまったまま動かない。俺はちょっとガッカリしながらも、この部屋にいればいつでもこの子に会うことができるという事実に恍惚となり、「またあとで来るからね♪」と言い置いて寝室に向かった。喜びすぎて、ドっと疲れてしまったようだ。俺はベッドですぐに眠りに落ち、一度も目を覚まさぬまま朝を迎えた。
そして。
朝起きると、金も服も武器も食料も、とにかく家の中にあったものがすべて無くなっているという異常事態に見舞われたことに気がついた。慌ててナルガクルガの部屋にいくと、そこもすっかりもぬけの殻。いったい俺の身に、何が起こったのだろうか……。
◆◆◆
ってこれ、ぜんぜんナルガクルガの話じゃないし!! 書いてたら止まらなくなって、気がついたらこんな内容になってたヨ……。
そもそも何で俺がナルガクルガのことを書こうと思ったのかを、いまさらながら説明しておこう。
昨夜俺は風呂あがりに家の飼いネコに擦り寄られ、「なんだオマエ、気まぐれ起こして甘えてきやがって♪」とか言いながら身体を撫でてあげていたのである。するとアホネコ、しだいに俺の手に甘噛をしてくるようになり、かわいいもんだからそれを振り払わずに「やめろやめろ♪」と言っていると次第にネコは本気になってガブガブと噛み出してきた。俺、右腕にかなりの痛みを感じて「オイ。いい加減にやめろやめろ」とネコを引き剥がそうとする。しかし何がきっかけだったのかアホネコは完全に臨戦態勢となり、いわゆるキックボクシングの首相撲の体勢となって俺の手首をガッチリとホールド。そのまま寝技に誘い込むように後ろに倒れて、後ろ足による猛烈なネコキックをズバズバと浴びせてくる! 俺、完全にブチ切れて、「てめえ! 調子に乗って何やってやがんだ!! 痛い痛い! やめろやめろやめろ!!」とネコをブチリと振り払う。しかしこの段階でのブチ切れ具合は圧倒的にネコのほうが上で、「ウニャーーーーッ!!」と吠えながら腕に飛びついてくる。結果、俺の右腕にはいまだに消えない、ネコの引っ掻き傷が残っているのであった……。
まあこんなこと、ネコやイヌを飼っていればしょっちゅう遭遇することではある。でも俺は思ったのだ。(ナルガクルガをペットにしても、こういうことが起こるんだろうな)と。たまたまこのアホネコが黒を基調とした毛色をしているからそう思ったのかもしれないけど、大きな俺と対等に渡り合う凶暴な飼いネコを見て、(こいつがナルガだったら、傷はこんなもんじゃ済まないんだろうな……)とちょっとマジメに思ってしまったのであった。
”寝オチ”って言葉があるでしょう。とくにネットゲームを遊んでいるときに使うことが多いけど、要するに”ゲームをやっている途中で寝てしまう”っていう状況を指す言葉ですな。なんでネットゲームで使うことが多いのかといえば、たとえば夜中にロビーやら集会所やらでチャットをしているとき、急に無言になってこちらの言葉にいっさい反応しなくなる人がたまーにいるのです。こういう人の95パーセントくらいは寝てしまっているので、そういうときに「あ。こいつ、寝オチしてる」って使うわけですねえ。「んじゃ、残りの5パーセントの人は何をやってるんだ?」と疑問を呈する人がいるかと思うので解説しておくと、その5パーセントはたいがい、チャット相手の言うことと自分の思いが噛み合わず、ボーゼンとしているのです。
さてこの寝オチ、いままで俺はほとんど経験したことがなかった。『みんなのGOLF オンライン』で明け方までチャットしているときもへっちゃらだったし、プレイステーション2の『モンハン』シリーズを遊んでいるときも、夜中だろうが朝だろうが元気一杯でフィールドを駆け巡っていたものである。どうやら不規則極まりない編集者という職業柄、俺は年がら年中時差ボケのような状態になっているらしく、ちょっとくらいの夜更かしではまったく眠気が襲ってこない。それはもう、ラオシャンロンがランゴスタにプチュっと刺される程度にも感じないものなのである(意味不明)。
ところが先日、こんなことがあった。
馴染みのバーでジンやウイスキーを飲みながら、『2nd G』談義に花を咲かせていた。時間は朝の5時すぎ(仕事帰りだとこんな時間になるのです)。店には俺とマスター、そして毎度おなじみ”逆鱗日和ファミリー”の江野本ぎずもしかいない。ちなみにこの店のマスターは、モンハン伝道師を勝手に名乗る俺が店に来るたびに呪文のように『モンハン』の話をするもんだからすっかり洗脳されてしまい、いつしか頭は『モンハン』でモンモン(?)に。けっきょく、奥さんを拝み倒して新型PSPと『2nd G』を手に入れ、店にお客さんがいない隙を狙ってはカウンターの裏でコソコソと、イャンクックやゲリョスを狩っているのである。
俺と江野本が扉をくぐったこの日も、マスターはカチャカチャとPSPのボタンを押してティガレックスに挑んでいるところだった。ニヤニヤと笑う俺と江野本を認めたマスター、バツが悪そうに「お待ちしてました^^;」と苦笑い。俺と江野本、ニヤニヤ笑ったままカウンターの席に腰をかけ、好きな酒を注文して1杯、また1杯とハードリカーを飲み干し続けた。
3人でくだらなかったりマジメだったりする話を1時間ほどしたころだろうか。自然と「ひと狩りいこうぜ!」ということになった。俺はもちろんだが江野本も、カバンにはつねに『2nd G』が装着されたPSPが入っている。俺たちのほかに客もいないことだし、マスターを加えた3人でいろいろと狩りまくっちゃおう! という流れになったわけだ。
しかし、ここで問題が起こった。
猛烈に眠くなってしまったのである。
正直に書くと、「ひと狩りいこうぜ!」という話になったころから俺の記憶は不鮮明で、何のクエストに行くための準備をしているのかさえもよくわからない状態。遠くで江野本が「下位のクエストを片っ端から片づけて、マスターを上位にしちゃおー!!」と元気に宣言しているのを聞いたような気もしたが、あまりにも遠くから聞こえたので(実際は隣の席)、本当に江野本がそう言ったのかどうかはいまもって定かではない。しかもあとで江野本に「あんとき、バーで何のクエストに行ったの?」と確認したのだが、「記憶がぶっ飛んでるのでわかりません。テヘ♪」と臆面もなく言われたので真相は藪の中なのであります。
しかしこれくらい眠い状態で何かをやろうとするとロクなことがないよね。たとえば受験勉強なんかで夜中まで勉強していると、どうしても疲れと睡眠不足のせいで眠くなってくるでしょう。そうすると(俺はいま何の教科を勉強してるんだっけな……)ってことに始まり、最終的には(NOーとにはナにを蚊いて板んdaっ毛な……)と完全寝ぼけ頭の混乱状態に陥って、朝気がついてノートを見ると、日本語なのか火星語なのかもよくわからない呪い文字がグニャグニャと羅列されていた……ってことになったりする。これと同じような現象が、深夜のバーでひと狩り行こうとしていた俺に襲い掛かってきた。
気がつくと俺たち3人は、テオ・テスカトルの狩猟に出かけていた。見ると、場所は森丘である。「へぇ〜。テオって森丘にも出没するんだねぇ」なんてことをフニャラ声で江野本にささやく。さっきよりもさらに遠くから江野本が、「テオ? 何言ってんスか!?」と言ってたような気もするが、三途の川の向こうくらいから聞こえたので、ホントに彼女がそう言ったのかどうかは定かではない。
森丘のテオ・テスカトルは、緑色をしていた。しばらく見ないうちに、かなりスリムになった印象である。そうかそうか。3ヵ月で10キロ減量した俺を見習って、テオもダイエットしたんだな。その影響が体表に出て、ミドリ色になってしまったんだねぇ。タイヘンだったねぇ……。そんなことをブツブツと、アードベックというシングルモルトをナメながらつぶやく。すると再びガニメデ星雲くらいの遠くから、「大塚さん、何の狩猟に来てるかわかってんの?(苦笑)」という松浦亜弥っぽい声。「わあってるわあってる。テオれしょテオ」と返す俺。あややっぽい声はいささか憤慨して「違いますよ! レイアでしょ!?」と絶叫する。何が違うのか、まるでわからない。そんな俺に向かって、緑色のテオがボワンと炎を吐いた。
「ほーら。テオらテオら。火ぃ吐いた火ぃ吐いた」
真っ暗な深淵から「ダメだこの人。ほとんど寝てる」という女性の声が聞こえたような聞こえなかったような……。俺はバーのカウンターでPSPを持ったまま、安らかな眠りに落ちた。
※なんで俺がテオとレイアを間違えたのかというと、この前日、俺はひとりでG級のテオ・テスカトルに果敢に挑んでボコボコにされていたのだ。どうやらそれが脳に刷り込まれて、眠り間近のフニャフニャ頭に蘇ってきてしまったんだと思われます。
最近、身内の女性が『2nd G』を始めた。4年越しの説得がついに実を結んで、ようやく始めてくれたのである。思えば、初代『モンスターハンター』の時代から盛んにプレイするように薦めて、ときたま遊ばせていたのだが、この女性はゲームの3D空間だとまっすぐ前に進むことすらままならなかった。それでも強引にネット世界に引きずり込んで俺のネット友だちと協力プレイをさせたのだが、「ここで鉱石が掘れるよ!」と教えてもらっているのにまるであさっての方向に突き進んで行ってしまい、「あ、行っちゃったぁ」と苦笑される始末。以来、それがトラウマになって彼女は『モンスターハンター』から遠ざかっていたのである。
しかしあれから4年の月日が流れて傷が癒えたのか、急に「あたしも『モンハン』やる」と宣言。真新しい新型PSPに『2nd G』を装着し、4年ぶりに狩場に復帰を果たしたのである。不思議とPSPはしっくりくるらしく「おもしろいおもしろい」とはしゃぎながら日夜レイアやフルフルを追い回している。
でもこう言っちゃナンだが、彼女は非常に恵まれたプレイ環境で『2nd G』を楽しんでいると思う。「手伝ってよ」とひと言言えば俺はもちろんのこと、最近たびたび当コラムに登場している大学2年生のS君も、「ほいほい」と言いながらクエストに参加してくれるのだ。知識と実力に秀でた若きハンターと老練な渋いガンランサーに守られているので、どんなに手強いモンスターが相手でも何とかなってしまう。おかげで彼女は基本的な知識やスキルが身につくまえから、強力なキリンX装備に身を包み(多くの女性がそうであるようにキリン装備に心奪われて、事あるごとに「キリンいこキリン!」と言っていたのだ)、手にはキリンの大剣やらラオシャンロンの片手剣などといった武器を持つことに成功したのである。
とはいえ、恵まれた環境にあるとは言ってもそうそう3人が揃うこともないので、ふだん彼女はコツコツと、ひとりで村クエストを消化している。徐々に操作にも慣れてきて、最近ではレウスやレイアが相手でも「ひとりで狩れるようになった!」と豪語するようになった。
しかしあるとき、彼女が顔を曇らせてこんなことを言ってきた。
「あなたたち(俺とS君)みたいに、上手に捕獲できないんだけど」
なるほどなるほど。新米ハンターが必ずぶつかる壁のようなものだネ。モンスターが弱っているかどうかを見極めるのは、最初は難しいものなのヨ。俺は言った。「じゃあ後ろでプレイを見てるから、捕獲狙いでレイアに行ってみてよ」。
彼女がプレイしているのを背後から覗き込んでいると、プレイヤースキルがかなり上昇しているのがよくわかった。だいたいちょっとまえまで、大剣で斬っても回避行動をいっさいせずに、1回斬るたびに「やっこらせぇ」とのんびりと剣を持ち上げていたので、レスポンスが悪いこと甚だしかったのだ。それがいまはキチンと回避行動を行っているし、レイアとの間合いもよくわかっている様子。俺は言った。「おお。なんかうまくなってる!」。彼女はテレくさそうに「そっかなあ^^;」と言って微笑んだ。
そのうちリオレイアが足を引きずる動作をし、エリア移動を敢行した。さあ捕獲のチャンスである。俺は彼女に叫んだ。「捕獲いけるよ! シビレ罠シビレ罠!」。彼女も素早く反応してエリアチェンジをし、レイアの着地点にシビレ罠を設置する。計算どおり、これにリオレイアがハマった。もう完璧だ。捕獲用麻酔玉を2個ぶつければジ・エンドである。さあ投げろいま投げろ。捕獲だ捕獲だ!
ところが。
彼女のキャラはピクリとも動かない。どうした? 捕獲用麻酔玉を忘れちゃったのか!? 見ると、彼女は緊張の面持ちで画面を凝視している。どうしたどうした!? 何が起こったんだ!!? そのうち、シビレ罠の効果が消え、レイアが再び暴れだした。それを見た彼女は「はぁ……」とため息をつき、俺に向き直って衝撃のひと言を発した。
「ホラ。また捕獲失敗。いっつもシビレ罠の効果が消えて逃げちゃうのよ。もっと痛めつけないとダメなのかな……?」
(・_・)
(・_・;)
(・_・;;)エーット……
……はあ!!? あのあの!! シビレ罠にハメただけじゃモンスターは捕まらないんですけど!!! どうやら彼女、罠にハメさえすればモンスターは捕まるものだと思い込んで、いままでずーっと、ビリビリと痺れて悶絶するモンスターをジーっと眺めていたらしい。俺は驚きのあまりはしたなく混乱し、「捕獲用麻酔玉をぶつけないと捕まえられないよ!!」と彼女に告げた。
「うそー。あなたたち、いつもそんなことしてたの?? ……ていうか教えてよ! わからないじゃない!!」
俺はなぜか「ス、スンマセン。俺が悪かったです……」と謝るハメになり、なんとなく釈然としないまま彼女の背後から離れた。
俺はここ3年くらい、”肉焼き”で失敗したことがない。おそらく最後に失敗したのは初代『モンスターハンター』か『モンスターハンターG』の時代だと思うのだが、いささか判然としない。っていうか失敗したシーンをまるで思い出せないので、もしかしたら『モンスターハンター』をプレイし始めて以来、1回も失敗したことがないのかもしれない(んなわけはない)。それくらい、俺は肉を焼くのがうまい。ところがリアルで焼肉屋に行くとカルビやらハラミがキチンと焼けるまで待っていられず、「もう焼けた! いま焼けた! とっくに焼けた!」と箸を振り回して焼き網から肉を引き上げ、何の躊躇もなく肉を口に放り込んでしまう悲しき腹ペコ入道。当然のように中心部がまだ冷たい、血の滴る激レア(貴重、っていう意味じゃないヨ)ミートを咀嚼して、「これ、上手に焼けてねえじゃん!!」とひとりで憤慨していたりする。このようにリアルとバーチャルの世界では、悲しいほど見事に齟齬が生じるものなんですねぇ。
で、俺は何を書こうとしていたんでしたっけ? 先日、藤岡要ディレクターと行った大阪某所の焼肉屋が、何もしてないのにラージャンが怒髪天を衝いてしまうってくらいうまかった(意味不明)って話だっけな? ……って違いました。ゲーム内における肉焼きで俺様は達人だった、って話でした。
ところがだね。
『2nd G』ではアイルーキッチンにいるアイルーに生肉を渡すとまとめて肉を焼いてくれる、うれしいうれしい”よろず焼き”のシステムがあるでしょう。ぶっちゃけ、俺はマックスのレベル9まで育ったアイルーどもよりも肉を焼くのがうまい自信があるのだが、1回クエストに行っているあいだにまとめて肉を焼いてくれる便利さから、肉焼きは『2nd』の時代からアイルーにまかせっきりになっていた。よって、もうかれこれ1年くらいは、フィールドで肉を焼いていなかったのではあるまいか。
しかしあるとき、フィールドでどうしても肉を焼かないといけない自体に陥った。オオナズチ討伐に出向いたのに肉を忘れ、よりによってこういうときに限ってナズチの疲労ブレスを食らって腹ペコ状態に突入し(この攻撃を食らうとスタミナ値が最小になってしまうのだ)、いっしょに行った狩友(トモ)に高級肉焼きセットを借りて肉を焼こうとしたんです。前述のとおり、俺は肉焼きの達人だ。天才、と言ってもいいかもしれない。なので、失敗などするわけがないのだ。完璧にこんがり肉どころか、こんがり肉Gだって焼けちゃうのだ。
が、この必要以上の自信、というか過信が、俺にプレッシャーをかけてきた。”失敗などするわけがない”がいつの間にか”失敗するわけにはいかぬ”に変わり、続けて”肉焼き成功の連続記録を途切れさせるわけにはいかない”となり、これが極まって”失敗=死”なんてことまで考える有様。高級肉焼きセットを持つ手がプルプルと震える。軽妙な肉焼きの音楽が、次第にレクイエムに聴こえてきた。
(ああ……。どのタイミングでボタンを押すんだっけ……? もう過ぎたんじゃねえかな、こんがり肉のタイミングは……。じゃあこんがり肉Gを目指すか……。いや、まだじつは生焼け肉のタイミング……??)
こんなことを、肉焼きソングが奏でられている数秒間で考える天才児。しかし、俺が天才を名乗っていられたのはここまでだった。
ポヨヨン
聞いたことのない効果音が鳴り響くと同時に、ガックリと肩を落とす我が分身。え? これはいったい何? 何が起こったの?? そう思っていると、画面に謎のメッセージが表示された。
コゲ肉になりました。
コ、コゲ肉って何だ……? ももももしやいま、俺の肉焼きパーフェクト記録が途切れてしまったのか……? 4年にわたって守り続けた”肉焼き天才児”のプライドが、ガラガラと崩れ落ちる音を遠くで聞いた気がした。ああ……。やっちまった……(涙)。終わってしまった……(号泣)。
でも、まだ間に合うのではないか? オノレのプライドを守る方法があるのではなかろうか……? ……そうだあるぞ!! 方法はこれしかない!!
俺は唐突に、いっしょにクエストに来ていた狩友に告げた。
「あ。トイレ行きたい。このクエスト、ナシってことで」
そして友だちが「ええ? ちょ……」と言い終わらぬうちにリタイアを選択。ひとりで村に戻ってきた。そしてセーブもせずに電源をオフ。俺はホッと胸を撫で下ろした。
「これで俺が肉焼きを失敗した事実を葬り去ることができた」
天才の威厳は守られた。
これが最後のラスベガスネタかな? 違うかな? ……まあどっちにしても、今日は軽めに。二日酔いなので(苦笑)。
すでにファミ通.comに記事がアップされているが、今回俺がラスベガスにやってきたのは、”CAPTIVATE08 メディアサミット”というカプコンの新商品説明会を取材するためだ。なので、夜な夜なカプコン広報の萩原さんやマーケティング部の神田さんと『2nd G』で遊んでいても少しもおかしくないんですねぇ。あーよかったよかった。
ラスベガスといえばどの建物に入ってもカジノがあり、いたるところで美人のおねえさんがウロウロし、夜になればネオン瞬くさまざまなホテルでショーやイリュージョンの数々が見られるという欲望と歓喜が渦巻く街である。……とまあ、したり顔で書いているけど俺がラスベガスに行くのは今回が初めてで、いま書いたようなことは事前に勝手に想像していたことである。でも行ってみたら本当にイメージしていたとおりの街で驚くやら呆れるやらで目が回りそうだったよ。
そんな、自分の固定観念を写真に撮って地面に貼り付けたのではあるまいか……ってくらいラスベガスはラスベガスだったわけだが(意味不明)、ちょっと「むむむ?」と思うことがあった。飛行機に乗って上空から眺めたときのラスベガスは、完全に砂漠の中に忽然と現れたオアシスだったのである。もちろんこれも、知識としてキチンと刷り込まれていたことだったのだが、いやはやこれほどまでにクッキリとしたコントラストで砂漠部と都市部が切り離されているとは思わなかった。これもう、完全に『シムシティー』の世界だよ。上空でゲーム機の決定ボタンをポンと押せば、ホテルやら噴水やらモニュメントやらを砂漠のあちこちにボコボコと建立できるのではあるまいか……と、ちょっとリアルに想像してしまいました。
そんな風変わりな都市・ラスベガスに入った翌日、ほぼ丸一日体が空くことになった。街中を歩いているだけで十分すぎるくらい楽しい都市なのだが、俺はせっかくなのでラスベガスのもうひとつの顔である”大自然”を堪能するツアーに出かけることにした。じつはラスベガスは世界屈指の大秘境・グランドキャニオンのすぐ近くにある都市で(と言っても大きなアメリカの尺度で、だが。行って帰ってこようと思ったら丸一日かかるくらい遠い)、ホテルを起点にした見学ツアーがいくらでもある。俺は今回の旅の同行者、週刊ファミ通のサンフランシス小山が得意の英語筆談でツアーチケットを購入するのを見届け、数時間後にツアーバスの車上の人となった。俺たちが向かったのは都市部からもっとも近くにある岩の砂漠、レッドロック・キャニオンだ。クルマで片道45分。到着した俺たちの目の前に広がっていたものは……!
レッドロック・キャニオンは見事なまでに、『モンスターハンター』の世界だった。赤い巨岩がゴロゴロと転がる雄大な景色の中に、ぽつぽつと申し訳程度に緑が落ちている。空気、どこまでも乾燥して澄み渡り、遠くの丘や山並みをくっきりと浮かび上がらせる。うーんコレハコレハ……。まるっきり『モンスターハンター』の”砂漠”フィールドではないか。雄大な景色に当てられて涙を流しそうになりながら、俺はしみじみと思ったよ。「人間の想像力って、すげえな」と。『モンスターハンター』を作ったクリエーターたちはこういう風景を見て、砂漠というフィールドを作り、そこで生を営むさまざまなモンスターに息を吹き込んだんだろうな……。
赤い巨岩の中にいたら、「ここにアプケロスがいないほうがおかしい!」と思ってしまう。砂漠の丘を見ていると、いまにもディアブロスが砂を突き破って地上に飛び出してくるのではないか、と想像する。同じく、風が吹き渡る砂の大地を見ていると、「ズザザザザ!」とダイミョウザザミが静寂を破るのではないかと確信する。そして岩陰を見たら、ヒョイとドスゲネポスがかわいい顔を覗かせるのではないかと思ってニヤリとする。さらに、もしもこの景色の中に水場があったなら、ガノトトスがマヌケに飛び出してビタンビタンとのた打ち回るのではないかと思い浮かべてニヤニヤする。
なんだかものすごくリアルに、大好きな世界観の中に飛び込んでしまったような気がした。そして自分がそんなことを克明に想像できていることが、うれしくてうれしくて仕方がなかった。
リアル砂漠の真ん中で、俺はそっとPSPを取り出して『2nd G』を起動した。出向いたのは旧砂漠フィールド。赤い岩の世界で、ディアブロスにでも遊んでもらおう。今日もいい狩りができそうだ。
▲ホラ、いまにもディアブロスが飛び出してきそうでしょう。サンフランシス小山に撮影してもらいました。
▲こんな景色が広がっていました。いま改めて見ても、キレイだなー……。
……天気よすぎて、画面がまったく見えなかったけどな(苦笑)。
今日もラスベガスでのお話。
相変わらずヒマを見つけてはカプコンの名物広報、”ほろ酔いのハギー”こと萩原さんと、カプコンマーケティング部の”ミスターガードマン”、神田さんとの狩りに繰り出していた”世界一のガンランサー(笑)”、大塚角満。3人ともG級ハンターということで、選択するクエストは当然のように屈強なG級クエストばかり。このG級クエストの連戦、緊張感に満ちていておもしろいったらないのだが、なかなか一筋縄ではいかないものなのです。
一筋縄ではいかない最たる理由が”アイテム不足”だ。とくに、ハチミツの消費が異常なほど激しい。G級モンスターはあのイャンクックでさえ、ちょっと油断するとアっと言う間に息の根を止められてしまうほど強烈な攻撃力を秘めている。なので俺はG級クエストに行くときはつねに、回復薬、回復薬グレート、秘薬という”回復3点セット”に加えて、薬草、アオキノコ、ハチミツをそれぞれ限界数持って行くことにしている。いつもの回復3点セットを使い果たしてしまったときに、まず薬草とアオキノコを調合して回復薬を作り、この回復薬にハチミツを混ぜて回復薬グレートを作り出す。こうでもしないと、とてもじゃないけど荒ぶるG級の狩場で生きていけないのです。そしてまんまと俺は、持参した回復薬グレートと現地調合した回復薬グレートをいとも簡単に使い果たしてしまう。となると、もう考えるだけで恐ろしいのだが、俺という男は1回クエストで確実に20個のハチミツを消費していることになり、そして実際そのとおりのペースで”ハチミツ貯金”は消えているという、「おまえはクマさんか!」的な異常で異状なハチミツ消費量。俺はいまにも底をつきそうなアイテムボックスの中のハチミツスペースを眺めては、「いつまでも、あると思うな親とハチミツ」と赤いため息をつくのだった。
このハチミツと並んで積極的にアイテムボックスから消えていっているのが”光蟲”だ。そうです、素材玉と調合することでモンスターの目を眩ませることができる”閃光玉”を生み出せる、ステキなステキな虫のことです。前述したとおりG級モンスターは攻撃力があまりにもハンパないので、できるかぎり距離をとらせていただき、可能であるならあまりお近づきにはなりたくない存在である。そんなときに絶大な威力を発揮するのが閃光玉で、こいつをパーンと光らせれば屈強なリオレウスだろうがナルガクルガだろうがピヨピヨと目をまわして視界を失ってくれるのだからタマラナイ。あまりにも使い勝手がいいので、俺も萩原さんもクエストに出向くたびにこいつを放り投げ、ピカピカピカピカと壊れた蛍光灯のようにめったやたらと画面を明滅させているのである。
こんな使いかたをしているとハチミツと同じように、アイテムボックスから光蟲がパタパタと消えてなくなっていくのは当たり前すぎる話。俺はそれでも100匹以上のストックがあったのでしばらくは安泰だが、本当に逼迫していたのが萩原さんだ。彼は歌舞伎町的なネコなで声(どんな声だ)を出してこんなことを言った。
「大塚さん、もしよかったら光蟲を分けてもらえませんか?」
もちろん、俺に否はなく「いいですよ〜。とりあえず10匹あげますね」と言って萩原さんのキャラに10匹の光蟲を献上した。萩原さんはうやうやしく「ありがとうございますっ! 恩に着ます!!」と喜び、続けて「カンちゃんも余ってたら光蟲ちょうだい」と神田さんに向き直って懇願した。これに対し、非常に純朴な好青年の神田さん。ニコニコ笑いながら「いいですよ!」と元気よく答え、「いまボクのアイテムボックスには80匹もの光蟲がいます。なので10匹あげます!」と萩原さんに10匹の光蟲を渡したのが見えた。
ところがここで萩原さんが「あっ!」と短い悲鳴をあげた。ナンダナンダ、ドーシタンダ? と思いながら様子を見守っていると、萩原さんはマジメな顔を作りながらとんでもないことをのたまったのだ。「カンちゃんからもらった光蟲、逃げちゃった!!」と。もちろん、彼のいつものいたずらである。
しかしこれに驚いたのが純朴青年の神田さん。「え!! そんなことがあるんですか!!」とまるで真っ昼間に幽霊に出くわしてしまったときのような驚愕の表情を見せる。神田さんはその顔のままロボットのようにギクシャクと俺のほうを向き、「大塚さん! 光蟲逃げちゃったって!! そんなことがあるんですか!!?」と大声で確認してきた。俺、腹を抱えて笑いながら神田さんを見つめて、「ああ、マレにそういうことがあるんですよ。ポッケ農場に帰っちゃったんですね」とテキトーこの上ないことを神田さんに告げた。これを聞いた萩原さん、ベッドでのた打ち回りながら大爆笑し、「そうやそうや(笑)。ポッケ農場に行って虫あみ振るっていると、いま逃げた10匹の光蟲が手に入るで!」と、都市伝説にもならない極めつけにテキトーな作り話を神田さんに吹き込んだ。
それ以来、クエストから戻るたびに神田さんはポッケ農場に直行し、バサバサと虫あみを振るっては逃げていった10匹の光蟲を探している。「今回も出ませんでした……」、「なかなか捕まらないなあ、あの10匹……」とつぶやきながら……。
神田さんへ。逃げちゃった光蟲10匹、今度ボクがあげますね(笑)。
時間が空くときを見計らっては萩原さんが宿泊する部屋にこもり、『2nd G』の協力プレイに没頭していた俺たち(前回の記事参照)。ここに「ぜひごいっしょさせてください!!」と言って参戦してきたのがカプコンマーケティング部の神田さんだ。神田さんは俺と同じく生粋のガンランサーで、最初は「とても世界一のガンランサー(笑)の大塚さんにお見せできるデータじゃないんで!!」と言ってギルドカードの交換を拒んでいたほどの純粋無垢な青年である。
この神田さんを加えたトリオで、俺たちはひたすら狩りをしまくった。神田さんは誰の影響か知らないがめったやたらと”ガード”をしまくる人で、笑って笑って仕方がなかったよ。神田さんはまだG級に上がったばかりということで防具がとにかく貧弱で、レウスやレイアの攻撃はもとより、イャンクックの尻尾が当たっただけでも瀕死になってしまうくらい防御力が低い。そのせいで、ってこともあるのだが大型モンスターがいるエリアに入ると、どんなにモンスターとの距離が離れていようがお構いなしに彼はガード体勢になるのだ。そして、移動はつねにガード体勢のままのにじり寄り(笑)。さんざん萩原さんに、「カンちゃん!! モンスターと100メートルくらい距離離れてんのにガードすることないやろ!!(笑)」と突っ込まれていたが、神田さんは頑なに「ダメです!! このモンスターは危険すぎます!! ガンランスはガード命なんです!! これでいいのです!!」と聞く耳持たず。いつしか俺と萩原さんは神田さんを”ミスターガードマン”と呼ぶようになり、CHAGE and ASKAの『Sailor Man』のメロディーに乗せて「ガードマァン♪ ガードマーン♪」と大合唱(俺と萩原さんはCHAGE and ASKAが”我が青春のアーティスト”なのだ)。その歌声を聴きながら神田さんはニコニコと笑い、モンスターがいなくなったエリアでひとりうれしそうにジリジリとにじり歩きをするのだった。
この3人である晩、ヴォルガノスから始まる大連続狩猟に出向いた。このメンバーだと、そりゃあもうとてつもない苦労が予想されるクエストである。
俺と萩原さんは珍しく真剣に相談し、罠系アイテムをフルセット(落とし穴ひとつ、シビレ罠を3個)と爆弾を持てるだけ持ってクエストに出向くことに決めた。そして、最初のヴォルガノスを討伐しないことには先に進めないので、「罠も爆弾もここで使いきる覚悟で行きましょう!」と気合もろとも言い放ち、この日の勝利を誓い合った。
さあヴォルガノスだヴォルガノスだ。溶岩竜だ溶岩竜。ガノトトスを髣髴とさせるヴォルガノスだが動きはさらにトリッキーで、例のズリズリ攻撃に追い回された日にはどんだけ体力があっても追いつかなくなる。俺と萩原さんは「とにかく先制攻撃だ!」と叫んで、さっそく火山の焼け焦げた地面の上にシビレ罠を設置。首尾よくそこにヴォルガノスを誘導してハメることに成功する。火山の10のエリアに、俺と萩原さんの合唱が轟いた。
「よし! 爆弾いくぞ爆弾!!」
言うと同時に、ヴォルガノスの顔の左右に慣れた手つきで大タル爆弾Gを設置する36歳コンビ。息がピッタリ合った、流れるような連携プレイである。自分たちの美しい動きにホレボレとしていると、背後からミスターガードマンが相変わらずのニコニコ声で36歳コンビに声をかけてきた。「あのー、竜撃砲を撃ってもいいですか?」と。この発言に対して萩原さんが、「いま爆弾置いたからちょっと待ってな! これを起爆したら撃って……」といい終わらぬうちに、俺と萩原さんがせっせと設置した4個の大タル爆弾Gが大爆発! 爆風に飲まれて、ふたりの分身がヒラヒラと宙を舞った。何が起こったのかわからず、1.7秒ほどポカンとする同級生タッグ。カオスな空気が、ラスベガス某ホテルの26階117号室に充満する。しかしこの沈黙がいつまでも続くわけもなく、おっさんふたりは堰を切ったようにギャーギャーとわめきだした。
「カンダー!! いま爆弾置いてる言うたろが!! 竜撃砲を撃つとは何事だ!!」(萩原)
「ちょっと神田さん!! もうちょっと我慢しろや!!」(大塚)
これに慌てたのが悲しきガンランサーの神田さん。必死になって言い訳をしてきた。
「いやいや! ボクじゃないですよいまのは!! まだ竜撃砲、撃ってないですもん!! 濡れ衣だ濡れ衣だ!!」
と言われても、いま火山の10のエリアには俺、萩原さん、神田さん、そして痺れて動けなくなったヴォルガノスしかいない。しかしあまりにも必死になって神田さんが容疑を否認するので、俺も萩原さんも毒気を抜かれて「じゃあいまのは、火山ガスの噴出が原因で誤爆したのかなぁ……?」と言うようになった。神田さんは安堵の声で「そうですよ。ボクがそんなことするわけないじゃないですか」と言い、ホっと胸を撫で下ろした。
しかしけっきょくこのクエストは失敗に終わる。まあ想定の範囲内といえば範囲内ではあったがね。俺たちはどんな自信に裏付けられての発言かは皆目見当がつかないが「つぎはいける!」、「つぎは余裕!」と言い合いながら、それでもナゼか「気分を変えて別のクエストに行こう」ってことになって、理由はわからないながらもグラビモス単体のクエストを受注して再び火山に出かけていった。
相手が変わったとはいっても、手強いことにはヴォルガノスに引けをとらないグラビモス。となると作戦はヴォルガノス狩猟のときとまったく同じく、罠にハメての爆弾攻め。これしかない。そして俺たちは華麗にシビレ罠にグラビモスをハメることに成功し、前回と同様に俺と萩原さんは左右に分かれて大タル爆弾Gを設置する。今度こそ成功だ! そう思った刹那、俺の真横にいた神田さんの分身が、何を思ったのか俺が設置した大タル爆弾Gに向かって思いっきり砲撃したではないか!
「わああああ!!!」
と絶叫しながら爆風に吹っ飛ばされる俺の分身。見ると萩原さんの分身も、炎に包まれながら宙を舞っている。俺は充血した目をこれでもかと吊り上げて、神田さんに向かってわめきにわめいた。
「みみみ見たぞ見たぞ!! 今度は見たぞ!! おおお俺の爆弾に砲撃した砲撃した!! 犯人は神田さんだ!!! さっきのもやっぱり神田さんの仕業だったんだ!!!」
しばらく呆然としていた萩原さんも我にかえり、神田さんを指差しながらギャンギャンと吠える。
「”犯人は現場に戻ってくる”っていうたとえどおりや!! もう逃げられないで神田ぁ!! さっきのもオマエの仕業やろ!!」
これに青くなったのが神田さん改め神田容疑者。前回と同じように必死になって言い訳してきた。
「い、いやいや! いまのは確かにボクのガンランスが暴発したために起こった事故ですけど、さっきのはボクじゃないですよ!! ホントですって!! 信じてくれえええ!!!」
しかしさすがに今回は俺も萩原さんも聞く耳を持たず、そのわりには3人揃って腹を抱えて「ぎゃははははは!!!」と大笑いしながら、萩原さんのベッドの上でのた打ち回るのであった。
皆様、お久しぶりでございます。大塚角満です。この1週間、ブログをサボ……じゃなくて更新できなかったわけですが、その言いわ……じゃなくて理由を書かせてください。じつはカプコンの名物広報、ほろ酔いのハギーこと萩原さんとのタイムアタック勝負に敗れ去り(参考記事その1、その2、その3、その4、その5)、ミスター歌舞伎町の異名をとるこの男にあんな店やこんな店で奢らされることを恐れ(勝負に負けたほうがご飯をご馳走する取り決めだったのだ)、なんと国外逃亡を計っていたんですねえ。
そんな俺が逃げに逃げてやってきたのは欲望と快楽の都、アメリカはネバダ州のラスベガス!! 追っ手からは逃れたことだし、ここはひとつ、昼間はグランドキャニオン観光、夜はカジノで一攫千金狙いの大勝負とシャレ込もうではないか! さあやったるでぇ〜♪ と思いながらラスベガスの空港でヨダレをたらしていると、背後から聞き覚えのある声が……。
「大塚さん、ワイから逃げ切れると思ったら大間違いでっせ。へっへっへ」
そそそそのススキノの底から響くような関西弁は……ほろ酔いのハギーその人!!! ななななんでこんなところに!!
「大塚さん、なんだったらココ、ラスベガスであんな店やこんな店でご馳走してくれてもかまいまへんで?(ニヤリ)」
こんなところでミスター中洲にたかられたらエライことになる。俺は動揺する心の内を悟られないように努めて冷静を装い、ニヤニヤ笑う萩原さんに向かってこんなことを言った。
「ままままあ、ご飯は日本に帰ったときにでもゆっくりと……。ウチの社員食堂でもおごろうかと……。それよりもせっかく出会ったことだし、ひと狩り行きませんか?」
ここのところやたらと『2nd G』にハマってる萩原さん、とたんに目を輝かせる。
「いいですね!! 僕もそのつもりでしたよ!! じゃあさっそく、夕飯食ったら僕の部屋でやりましょうや!!」
というわけで、異国の地を舞台にした36歳コンビによる狩猟合宿が始まった。この”狩猟合宿”っていう表現、まったく誇張じゃありませんよ? ていうか、ホントにアホみたいですよ? だってそれまでゼロだった萩原さんとの個別友好度が、ラスベガスから帰国したいま見ると”20.52”になってますから(苦笑)。我ら36歳コンビに付き合わされたカプコンマーケティング部のガンランサー、神田さんとの個別友好度もゼロから17.52に。どんだけ俺らがラスベガスで『2nd G』に熱中していたかがよくわかるってもんだ。
……ってこんなふうに書くと、俺と萩原さんがホントにラスベガスくんだりまで遊びに行っていたように見えてしまうが、そんなことはありません。キチンと仕事に行ったんですよ! それは、数日内にアップされる記事を読んでもらえればわかります。マジです。
まあ仕事のことは置いておいて(置くのか)、狩猟合宿のことを書こう。書きたいことが山ほどあるのだ。
萩原さんが泊まっていたラスベガス某ホテルの26階117号室が、その日から我らの溜まり場となった。ちなみに俺は23階の117号室だったので、わずか3階分を駆け上がるだけで狩猟の現場に到着できるのだから便利な世の中になったものである(意味不明)。俺が部屋に到着するやいなや、萩原さんがニヤリと笑いながらこう言った。「とりあえずこの1週間で、やっていないクエストを総なめにしてやりましょうや」。むろん、俺に異論はない。俺は「やろうやろう! 何でもやろういまやろう!」とやかましくわめき、「じゃ、とりあえず……」と言いながら萩原さんが貼ったクエストを受注した。クエスト名は”密林の嵐作戦”。密林を舞台に、ダイミョウザザミ亜種、ゲリョス、リオレイアを狩る大連続狩猟だ。俺もまだ大連続狩猟はほとんど手付かずなのでまことに都合がよろしい。ちなみに武器は、俺がガンランス、萩原さんは大剣である。
それにしても大連続狩猟って、武器の選択に迷うよねえ。今回のターゲットはダイミョウザザミ亜種、ゲリョス、リオレイアだから、有効な属性がてんでんバラバラでしょ? こういった場合、全国のハンターたちはどのモンスターにターゲットを絞るのだろうか? 自分が苦手とするモンスターに有効な属性武器を持っていく? それとも属性はあえてシカトして攻撃力がもっとも高い武器を選択? ちょっとこのへん、全国のハンターさんたちに聞いてみたいなあ。ちなみに俺がこの大連続狩猟に持って行ったのは、強力な火属性のガンランスだ。現れる3頭の中でもっともイヤらしい攻撃をしてくるのがゲリョスなので(俺的に、だけど)、もっともゲリョスに有効な火属性で行くことにしたのである。ダイミョウザザミ亜種とリオレイアはそれこそイヤっていうほど狩っているので、まあ現場でどうにでもなるだろう。萩原さんは全方位的武器として無属性の大剣を選択(萩原さんは生粋の大剣使いなのだ)。あえて武器の名前は書かないが、とにかく攻撃力に特化した武器を選んだようだ。これなら大して苦戦することもなく、クエストをクリアーすることができるだろう。
さあて、まずはダイミョウザザミ亜種だ。かなりトリッキーな動きをしてくるが、遅れをとる相手ではない。俺と萩原さんは果敢に、このG級モンスターに挑みかかった。
やってみるとこのガンランス+大剣というコンビ、悪くない。意外なほどお互いの攻撃が干渉しなくて、攻めやすいのだ。しかも気心しれた体育会系の同級生コンビ、何かをやるごとに大声で確認しあえるのがいい。
萩原 「大塚サン、爆弾置くから気をつけて!」
大塚 「ほいさ!」
大塚 「萩原サン、竜撃砲いくよ!」
萩原 「ほいさ!」
萩原 「粉塵飲みます!」
大塚 「あざっす!」
大塚 「秘薬あげるよ!」
萩原 「あざっす!」
こんな感じ。非常にレスポンスがよろしくて、それだけで楽しくて楽しくて仕方がない。
しかしだからといって簡単にG級モンスターが倒せるかといったらそんなこともない。まず萩原さんがダイミョウザザミ亜種の突き上げを食らって1オチ、続けて俺も油断しまくっていたところにボディープレスを食らって2オチ、さらに萩原さんがG級攻撃の背後ダッシュ(でいいのか?)を食らって3オチとなり、狩猟合宿しょっぱなのクエストで壮絶な敗北を喫してしまったのだ。まさか大連続狩猟の1頭目で3オチを食らうとは思っていなかった36歳コンビ、あうあうあうとホエザルのように口をパクパクさせるばかりで言葉が出てこない。大連続狩猟の1頭目に3オチってことは、柔道の抜き試合の先鋒に5人抜きされたようなものである。こんな屈辱はない。俺たちは神妙な表情で顔を見合わせ、口々に言い合った。
「大塚さん、どうやら最初のクエストにして最大のライバルが現れたようですよ、ダイミョウザザミ亜種」(萩原)
「ホントですな……。ていうか、俺たちにとっての最大のライバルは、ダイミョウザザミ亜種っていうよりもここまでに飲んだ大量の酒では……」(大塚)
じつは俺と萩原さんはラスベガスの繁華街で一杯引っ掛けてから、この合宿に臨んでいたのである。ただでさえ反射神経が鈍り始めるお年頃なのに、酒まで回っていたのでは満足な狩猟は望めないであろう。しかしそこは酒が入って気が大きくなっているふたり。一瞬の絶望などすぐに忘れて前へ前へと進んでいく。俺たちは「まあ我々でもこういうことはあらあな」と言いながら再び同じクエストを受注。最大のライバルと目されたダイミョウザザミ亜種を、萩原さんの1オチだけで退けることに成功した。おつぎはゲリョスである。俺はこのときのために、火属性のガンランスを持ってきているのだ。
「萩原さん、ここは俺に任せておけば大丈夫っすよ!」
自信満々で俺は吹いた。G級とはいえ、ゲリョスごときに遅れをとる気はまったくしない。ふたりとも”心眼”のスキルが発動しているので、堅いゲリョスが相手でもおもしろいように攻撃が食い込むので楽しいったらない。狩るのも時間の問題だろう。俺と萩原さんはサドな笑いを顔に浮かべながら、ザクザクとゲリョスを斬りまくった。
そのうち、ゲリョスが怒りながら吐いた毒液を萩原さんが浴びた。恐ろしいスピードで彼の体力が減っていく。猛毒だ!! 余裕の表情を一瞬で消し飛ばして萩原さんが焦りまくる。
「おおおオオツカさん!! 猛毒浴びた猛毒浴びた!! やばいやばい!!」
どうやら解毒薬を持ってきていないらしい。しかもパニくって立て続けにゲリョスの狼藉にあって回復薬も飲めなくなっている。俺、何とか助けようと生命の粉塵をアイテムボックスから探そうとするも、萩原さんの焦りが伝染してなかなか選べない。「わああ!! 粉塵どれだどれだ!! オチないでオチないで!!」。しかも恐ろしいことに、ゲリョスは瀕死の萩原さんに満足したのかターゲットを切り替え、俺に向かって毒液を吐いてきた! まんまとそれを食らう哀れなガンランサー。当然ながら、こちらも猛毒である。
「はははハギワラさん!! 猛毒浴びた猛毒浴びた!! やばいやばい!!」
そのうち、「うぎゃーーーーっ!!」という絶叫を残して萩原さんが二度目の昇天。そしてそのあとを追うように、解毒薬を持ってきていなかった俺も「うわあああああああ!!」という悲鳴を残して密林から姿を消した。先鋒のダイミョウザザミ亜種を何とかクリアーしたと思ったら、今度は次鋒のゲリョスに足元をすくわれてしまった。いつになったらこのクエストをクリアーできるんだ……。ポッケ村に強制送還された36歳の泥酔コンビは口々に言い合った。
「大塚さん、どうやら最初のクエストにして最大のライバルが現れたようですよ、ゲリョス」(萩原)
「ホントですな……。って、なんかつい最近、同じようなセリフを聞いたような……」(大塚)
アホな中年コンビの、ラスベガス狩猟合宿は始まったばかりだ!
次回に続く(苦笑)。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
最近のエントリー
バックナンバー
- 2017年06月
- 2016年06月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年05月
- 2015年04月
- 2015年03月
- 2015年02月
- 2015年01月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年09月
- 2014年02月
- 2013年05月
- 2013年04月
- 2013年03月
- 2013年02月
- 2012年07月
- 2012年06月
- 2012年03月
- 2012年02月
- 2012年01月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年09月
- 2011年08月
- 2011年07月
- 2011年06月
- 2011年05月
- 2011年04月
- 2011年03月
- 2011年02月
- 2011年01月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年09月
- 2010年08月
- 2010年07月
- 2010年06月
- 2010年05月
- 2010年04月
- 2010年03月
- 2010年02月
- 2010年01月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年09月
- 2009年08月
- 2009年07月
- 2009年06月
- 2009年05月
- 2009年04月
- 2009年03月
- 2009年02月
- 2009年01月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年09月
- 2008年08月
- 2008年07月
- 2008年06月
- 2008年05月
- 2008年04月
- 2008年03月
- 2008年02月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年09月
- 2007年08月
- 2007年07月
- 2007年06月
- 2007年05月
- 2007年04月
- 2007年03月
- 2007年02月
- 2007年01月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年09月
- 2006年08月
- 2006年07月
- 2006年06月
- 2006年05月
- 2006年04月
- 2006年03月
- 2006年02月
Movable Type 3.21-ja