大塚角満の ゲームを“読む!”
« 2008年03月 | 大塚角満の ゲームを“読む!”のホーム | 2008年05月 »
『モンハン』フリークでごったがえす福岡会場の片隅で、辻本良三プロデューサーとざっくばらんな世間話をしていた。彼を始めとするモンハン4人衆の面々(藤岡要ディレクター、一瀬泰範ディレクター、小嶋慎太郎プランナー)はじつに気さくな人ばかりで、来場者が渦を巻いているイベント会場にも頻繁に顔を出しては、ファンと気楽にコミュニケーションを図っている。つねに真摯で真っ直ぐ。彼らの最大の魅力は、こういった人間性にある。
で、良三さんとの会話。話題はいつの間にか、俺がここで書いているコラムのことになった。ありがたいことに『モンハン』開発チームの面々は頻繁にこのコラムを覗いてくれていて、「今回の、すごくおもしろかったですよ!」なんて声をかけてくれる。とくに良三さんは「大塚さんのコラムはほぼ全部読んでますよ」と言ってくれるかなりヘビー(?)な読者で、よく我がコラムを肴にしてゲラゲラと笑いあっているのである。そんな良三さんが、俺に言った。
「しっかし今回もすごいペースで書いてますよね。いま何回くらい行ってます?」
良三さんの目を見て俺が答える。
「25回くらいかなあ? 確かに我ながらすごい勢いだなぁと思いますけど、書きたいこと、いくらでもあるんですよね。今回も100回書くつもりですけど、わりとすんなり行っちゃうかも」
それを聞いた良三さん、キラーンと目を光らせる。明らかに何かを企んだ顔だ。
「ねえ大塚さん」
目の端をニヤリと吊り上げる良三さん。そのまま言葉を続ける。
「おかげさまで『2nd G』の出荷本数が200万本を突破したんですよ」
いきなり何を言い出すんだこの人は。俺は『モンハン』伝道師以前にファミ通のニュース担当記者なので当然その事実は知っている。でも口に出しては「うんうん、行きましたねダブルミリオン。おめでとうございまスー」とフニャラ声で答える。そんな俺に、良三さんがわけのわからぬ提案をしてきた。
「この際だから大塚さんのコラム、『2nd G』の出荷本数に合わせて書きません? つまり、100万本だったら100回でいいけど、今回は200万本だから200回書くの(笑)」
……。
………。
…………。
……………はあ!? 何を言い出すんだこの人は!! だって現時点でこそ200万本だけど、日に日にこの本数は増えているわけで!! 俺は猛然とダブルミリオンプロデューサーに抗議した。
「ちょっとちょっと! 簡単に言ってくれちゃって(苦笑)。つまり250万本いったら250回、300万本いったら300回書くってことでしょ? それもう、ギネス級だから!」
しかし良三さんはまったく悪びれた風もなく、ニヤニヤと笑ってこう言った。
「でも内心、(それ、ちょっとおもしろくね?)って思ってるでしょ」
!!!! た、確かにいま俺の心の中に、(そういうの、『2nd G』と追いかけっこしているみたいで楽しいかも……)という思いが芽生え始めてた! さすがダブルミリオンプロデューサー、人身掌握術(?)に長けている……。俺は良三さんに向き直り、ちょっと真剣な表情を作ってこう言った。
「提案を素直に受け入れるのもシャクですが、ちょっとおもしろそうなので心に止めておこうかな(笑)」
本当に300回も書けるとは思えないけど、今回は”100回”という自分中での区切りを作らずに、行けるところまで行ってみよう。何となく、道半ばで斃れる気がするけどね(苦笑)。
そんな会話をしている俺たちふたりの前に、小学生と思われる少年が近づいてきた。良三さんに向かって少年は言った。
「辻本ぷろでゅーさー! いつも読んでます!!」
少年はそう言うと、じつに複雑な笑い顔を作っている良三さんに握手をせがみ、「ありがとうございました!」と言って去って行く。その姿を見送っていた良三さんは、必死になって笑いを堪えている俺に向かって極めつけの苦笑でこう言った。
「最近多いんですよ。「いつも読んでます」って言われること……(笑)。完全に大塚さんのコラムの読者ですよ。書いてるの、大塚さんなのに(苦笑)。あのコラムの登場人物として、キャラが立ってきたんだなぁ……(笑)」
俺は「あはははは!」と大笑いしながらポンポンと良三さんの肩を叩き、「これからもよろしくお願いしますね(笑)」と心を込めて言った。
「あ! 大塚さん! ちょっとこっちこっち!」
モンハンフリークでごった返す福岡会場の片隅でウロウロしていると、聞き覚えのある声がしきりに俺を呼んでいるのが聞こえた。声のほうを見ると、『2nd G』のプロデューサー、辻本良三さんが、明らかに何かを企んでいる怪しいニヤニヤ笑いを浮かべながらしきりに手招きしているのが見えた。彼に近づきながら俺は言った。「なになに? どうしたの?」。
見ると良三さんの脇では、ご両親といっしょにこの会場に来た、小学校低学年と思われる腕白を絵に描いたような坊主頭の少年ふたりがギャースギャースと喚きながら暴れまわっていた。このふたりを指しながら、良三さんはニヤニヤ笑いをさらに強めてこんなことを言う。「いまからこのふたりを交えて、いっしょにクエストに行きまひょ(ニヤリ)」。
聞くと、このふたりは良三さんの姿を会場で見つけるやいなや飛んできて、「つじもとぷろでゅーさー!! いっしょにクエストしようよ!!」と挑みかかってきたのだそうだ。で、「こりゃおもしろそうだ」と思った良三さん、俺の姿を捜し出して声をかけてくれたのだという。とたんに俺も良三さんと同じニヤニヤ笑いを顔に浮かべて、「そりゃあおもしろそうだ。行きましょ行きましょ」と言った。ちなみに4人でいっしょに行くクエストは、会場でイベントのひとつとして行われているナルガクルガ2頭討伐のチャレンジクエストにするという。これを聞いて、急にビビり始める俺。先日このブログで思い入れたっぷりにナルガクルガのことを書いたが、そうそう連続で何度も挑戦できる相手ではないので、俺が狩ったナルガクルガの数は記事で書いたときの1頭だけとなっている。そう、あまりにも経験値が低すぎるのだ。(こいつはエライことになった)と俺は心の中で思った。(歯に衣着せない少年どもと、よりによって良三さんの前でオチたりしたら、一生言われ続けるぞ……)。俺は全身にイヤな汗をかきながら、暴れている少年Aを見る。すると少年Aはピタリと立ち止まり、不思議そうな顔で俺を見たあと「ところで、おじさんは誰?」と言った。俺はニヒルな顔を作りながら「辻本プロデューサーの友だちの、さすらいのガンランサーさ。ふふふ……」と答える。しかし言い終わらぬうちに少年Aは俺にすっかり興味を失くしたらしく、再び少年Bと暴れ始める。俺と少年Aの不毛なやりとりを見て、良三さんが「あはははは!!」と大笑いした。
まあとにかくクエストスタートだ。チャレンジクエストなので、装備は用意されているものの中から選ぶことになる。残念ながら選択武器の中にガンランスはなかったので、俺は以前メイン武器として使っていたランスを選択。良三さんはいつもどおり弓を、少年Aは片手剣、少年Bが俺と同じくランスを選ぶ。「お。キミはランサーなのか」と少年Bに話しかける俺。しかし少年Bは「ランスって、どうやって使うんだっけ?」なんて言っている。俺、若干の不安を覚えながらも「まあテキトーでいいよ! 思うように使ってくれ!」と少年Bを激励して、勇躍、ナルガクルガの待つ大闘技場へと足を踏み入れた。
チャレンジクエストではそれぞれの装備ごとに、いくつかのアイテムを所持している。これの使いかた次第で、狩猟は楽にも苦にもなるからおもしろい。ただ狩猟のセオリーとして、シビレ罠や落とし穴を設置して手ごわいモンスターを足止めして攻撃をする……という手段はここでも当然当てはまる。このセオリーに則って、少年A、Bが手早く、大闘技場の中心付近にシビレ罠を張り巡らせたのが目の端に見えた。しかし俺はこのとき、迫り来るナルガクルガの攻撃を防御するのが精一杯でシビレ罠に誘導する余裕がなかった。そんな俺の姿を見た少年Aは容赦がなかった。
「ちょっとランスの人!!」と少年Aが俺に言った。「シビレ罠作ったんだから早くこっちに来てよ!!!」。
俺、とたんに平身低頭となり、「す、すんません(苦笑)。い、いま行きますです……」とか細い声で平謝り。このやり取りを見ていた良三さん、弾けたように「あははははは!!!」と大笑いし、「言われてやんの!!(爆笑)」と腹を抱えた。
しかしこの数分後、弓で遠くから攻撃していた良三さんにナルガクルガが大激怒。怒りモードに突入したかと思ったら猛る長い尻尾でバシーン! と良三さんのキャラをぶっ叩いた。「あ!!」と叫ぶ良三さん。見ると、体力ゲージが一気に1ミリまで減っている。これに恐怖した良三さんは「もう怖くて近寄れない!!」と弱音を吐いて、ますますナルガクルガから距離をとって逃げ惑うようになった。これにキレたのが少年Bだ。
「ちょっと! ぷろでゅーさー!!」と少年Bが良三さんに言った。「逃げてないで攻撃してよ!!!」。
良三さん、とたんに平身低頭となり、「す、すんません(苦笑)。が、がんばります……」とか細い声で平謝り。俺、ここぞとばかりに「あはははは!!!」と大笑いし、「言われてやんの!!(爆笑)」と腹を抱えた。
チームワークもへったくれもなく、傍若無人に暴れまくる4人のハンター。それでも俺は何とかクリアーしたかったので、まだ慣れていないナルガクルガの動きを必死で目で追いながら懐に潜り込んで、ツンツンツンとランスの切っ先で攻撃をくり返した。しかしそのとき、背中に強烈な痛みを感じたと思ったら、俺のキャラはナルガクルガを飛び越えて壁際まで吹っ飛ばされてしまった。「なんだなんだ!」と思って振り返ると、少年Bがランスの突進で突っ走っている姿が目に入った。「あ、ごめん!」と少年B。まあランスを使っていればそういうこともある。俺はやさしく「気にしない気にしない! 突進はランスの華だ! ガンガン行け!」と吠えた。
その後。
突進で壁際に吹っ飛ばされること7回(苦笑)。
「おい待てコラ!!」と俺は暴走機関車のような少年Bにピシャリと言った。「突進ばっかすんじゃねえ!! 吹っ飛んでかなわんわ!!」。すると少年B、まったく悪びれた様子もなく「ぎゃはははは!!」と大笑いしたあと、「突進はランスの華だ!!」と意味もわかっていないくせに俺の口真似をして言い放った。それを聞いてた良三さん、再び腹を抱えて「あはははは!! めっちゃおもろい!!」と大爆笑。俺は良三さんを睨みつけて、「良三さんは弓だからいいんだよ! 突進食らわないからさあ!!」と思いっきり苦笑いをした。
しかしこんなことをやっていたのではクエストクリアーなんて夢のまた夢。俺と良三さんは「ここは手を組もう」と一致団結してナルガクルガをシビレ罠に誘導し、そのまわりに支給用大タル爆弾をズラズラと並べ始めた。「よし! 良三さん、早く離れて起爆を!」と俺が言い終わるかどうかというところで、巨大な爆風が俺と良三さんのキャラを包み込んだ。見ると、ランスを抱えた少年Bのキャラもゴロゴロと転がっている。爆破の犯人を知り、良三さんが叫んだ。「コラ! 爆弾置いてるのに突進するなや!!(笑)」。「福岡の暴走ランサーだ!!」と俺は悲鳴をあげた。
これでリズムを崩したのか、良三さんがやたらとナルガクルガに追い回されるようになった。ほうほうの体で逃げるも、良三さんの体力は目に見えて激減していく。「大塚さん!! 生命の粉塵で助けて!!」と絶叫するプロデューサー。俺、慌てて「飲むよ飲むよ! オチないで!」と言いながら生命の粉塵をゴクゴクとふたつ飲む。これで手持ちの粉塵はなくなってしまった。しかし、良三さんの何が気に入らなかったのかナルガクルガは攻撃の手を休めない。せっかく俺がナケナシの粉塵で体力を回復してあげたのに、再び良三さんの体力は残り1ミリとなってしまった。「大塚さん大塚さん!! 粉塵粉塵!! 助けて助けて!!」と悲鳴を上げるダブルミリオンプロデューサー。しかし俺は冷たく「もうねえよ!! 自分でなんとかしなさい!!」と言い捨てる。結果、腕白少年ふたりと腹黒編集者の目の前で、敏腕プロデューサーは天に召されてしまった。
「なにやられてんだよぷろでゅーさー!!」と少年A。
「あーあ! やられちゃった!」と少年B。こういうとき、年齢が低いハンターほど手厳しくなるのは世の常だ。俺などは「あはははは!!」と笑っているだけで何も言わず、逆に心の中で(やった!)と快哉を叫び、(良三さんが俺よりも先にオチた! これでひと安心だ!)と胸をなでおろしていた(苦笑)。
結局このチャレンジクエストは、暴走ランサーの少年Bが2オチしてクエスト失敗(笑)。でも結果なんかどうでもよくて、俺は久しぶりに自由気ままな狩猟風景に出会えたことに、意外なほど感動していた。少年の坊主頭を掴みながら、俺と良三さんは笑いながら言い合った。
「なんか、ものすごく楽しかったですよ。なんていうか、懐かしい感じがして」
と俺。ちょっとだけ、何をやっていいのかわからずに無我夢中で遊んでいた初代『モンスターハンター』のころを思い出していた。良三さんも「うんうん」と頷いたあと、
「型にはまった遊びも楽しいですけど、こうやって勝手気ままに遊ぶのも間違いなく『モンスターハンター』なんですよね。これくらいの年齢の子たちはふだん、いまみたいにぎゃーぎゃー言いながら楽しんでくれてるんだなぁ……ってことがわかって、途中からうれしくてうれしくて仕方なかったですよ」
とちょっとまぶしそうな表情でつぶやいた。思いがけない偶然から見ることができた『モンスターハンター』の原風景。こういった出会いも、モンスターハンターフェスタならではなんだろうな。俺は胸を熱くしながら、良三さんの肩を叩いてこう言った。
「でもね、良三さん。俺と少年ふたりの前でオチた事実は消えないから(笑)」
これを受けた良三さんは極めつけの苦い表情を作り、
「雰囲気ブチ壊すこと言う人やなあ(苦笑)。もう最悪の人の前でオチてもうたわ……」
と言って笑った。
またまた我々3人の前に現れたティガレックス。今度は上位で、しかも2頭も討伐しなければならない。装備がへっぽこだったとはいえ、俺たち3人は下位の、しかも1頭討伐のクエストで4回も失敗している落ちこぼれ軍団だ。苦戦することは大いに予想される。しかしなぜか、俺たちは強気だった。フルフル亜種討伐では失敗したものの、その後は連戦連勝だったので気が大きくなったのかもしれない。
「かつては苦汁を飲まされたティガレックスだけど、じつはもう余裕でいけるんじゃないかね」
と俺は言った。その目は大志を抱く少年のように光り輝いていたことだろう。中目黒目黒が続く。
「そっすよ。俺たちは成長しましたから。それどころか早く討伐しすぎて、拍子抜けするかもしれませんね」
目黒、ギラリと眼鏡の奥の目を光らせる。完全に野心に満ちた革命家の目だ。調子に乗って、江野本ぎずもも追随する。
「あっしも自分がオチるイメージが浮かびません。やってやりましょう!」
江野本、早くもギズモからグレムリンに変身し、キシャーっと吊り上げた口の端からチロチロと炎を噴き出させる。3人とも気合十分である。こいつはもう、男子三日会わざれば刮目して見よという諺をティガレックスの身体中に刻み込んでやるしかないではないか。しかも今回は万全を期するために、前半からシビレ罠、落とし穴を全開で使い、大タル爆弾G、大タル爆弾も惜しげもなく投入して徹底的にダメージを与えるという作戦も決めた。まったく敗北する要素が見つからない。俺たちは「ひと狩りいこうぜ!」と鬨の声を上げて、勇躍ティガレックス2頭が待つ雪山へと赴いた。
しかしこのとき空に北斗七星があったなら、俺たちは間違いなく、その傍らで寄り添うように瞬く死兆星を見ていたことだろう。
まあとにかく狩猟開始だ。俺はふたりに「最初、エリア1に1匹いるからそこに集合してボコボコにしてやろう!」とベテランハンターらしい助言をする。とにかくこのクエストはティガレックスが2頭同時に同じエリアに現れることがいちばん恐ろしいので、立ち回りしやすいエリア1で、1頭目にできる限りのダメージを与えておくのが得策なのである。
俺たちは当初の作戦どおりにエリア1にシビレ罠を設置し、見事ティガレックスを誘導してビリビリと痺れさせることに成功する。これを合図に俺と目黒は、ティガレックスのまわりに大タル爆弾Gをズラズラと設置。並び終えたところで俺は叫んだ。
「よし! 起爆は派手に、俺の竜撃ほ……」
ボボボボボボンッッッ!!!!!
PSPの画面が真っ赤に染まるほどの爆風を浴びて、俺と目黒のキャラクターがヒラヒラと宙を舞う。顎が外れそうになるほど驚愕しながら体力ゲージを見ると、満タンだった体力が大タル爆弾Gの容赦ない洗礼により半分にまで激減しようとしていた。俺、何が起こったのかわからずに江野本のほうを見ると、(@_@;) ←こんな顔して呆然としている女性ガンナーと目が合う。俺の視線を受けて、江野本が弾けたように絶叫した。
「す、すんません!!! 弾を装填しようとしたんですけど、ナゼか撃っちゃいました!!! テヘ♪」
俺と目黒は江野本の弾丸に込められた殺意を敏感に感じ取り、全身の肌を粟立たせた。と同時に、このクエストにどす黒い暗雲が垂れ込めたことも確信した。
そして、ものの見事にクエスト失敗(苦笑)。しかも仲良く、3人それぞれが1回ずつオチての敗北である。俺たちは、連戦連勝で得た自信とプライドがそれはそれは儚いものだったことを知り、同時に緊張の糸がプツンと切れた音を確かに聞いた。
で。
3回連続クエスト失敗……。ホント俺たち、ティガレックスだめだわ……。相性どうこうではなく、どうやらティガレックスは俺たち3人共通のトラウマモンスターになってしまったようある。あのティガレックスの猛る眼光に射すくめられると、手は震え、汗は噴き出し、ついでに精神に恐慌を来たして笑いが止まらなくなる有様。こんな状態でまともな狩りができるわけもない。
まあでも、いまG級に上りつめた目黒の姿を見ると、どうにかしてこのクエストも3人でクリアーしたようではある。しかしいったいどんな必殺技を使ってこの恐ろしいモンスターを3人で退けたのか、記憶が封印されてしまっていてまったく覚えていません(苦笑)。目黒も江野本も無我夢中だったようで、そのときのことはほとんど覚えていないようだ。まあきっと、俺が修羅か仁王か正義の味方かっていう獅子奮迅の活躍をみせてひとりで倒して退けたのであろう。書き手の特権で、そう断言させていただく(笑)。
しかし長かったなアカムトルムに到達するまで……。一足飛びでいきなりアカムトルムとの壮絶なしばき合いのことを書いてもよかったのだが、やはりこいつは特別なモンスターだ。そこに至る過程もしっかりと書いておきたかったので、かなりの焦らし感はあったものの詳しく書かせてもらった。さあつぎはいよいよ、『2nd』の時代から書きたくて書きたくて仕方のなかったアカムトルム討伐の模様を書く!!
と思ったら、明日からモンスターハンターフェスタ`08が始まりますネ。となると、本職がニュース担当記者の俺はそっちのリポート記事に全精力を傾けることになるわけで、果たしてこのブログを更新できるかどうか……。もしかするとアカムトルムのことを書くのは遠い未来のことになるかもしれませんが、皆さん忘れずに待っててくださいね。……こんなことを言いつつ、ふつうに月曜日に更新しているかもしれないので油断しちゃダメだヨ(笑)。
アカムトルム討伐を夢見てせっかくコブシを振り上げたのに、中目黒目黒がハンターランク6に達していないことが判明(アカムトルムのクエストに行けるのはハンターランク6以上)。俺、中目黒目黒、江野本ぎずもの新・へっぽこ3人組は、振り上げた両手のやり場に困って「エライこっちゃエライこっちゃ」とヤケクソ気味に踊り始めた。しかしいくら手をヒラヒラさせても何の解決にもならないので、「こうなったら目黒をとっととハンターランク6にしてしまおう!」ってことで、我ら3人は手を携えて集会所★7のクエストを片っ端からこなすことに決めた。
「よし、まずはフルフル亜種を片づけよう」
俺の発言に頷くふたり。すぐに準備を整えて、目黒が貼ったクエストを素早く受注し、俺たちは沼地に降り立った。
沼地は、とっぷりと日が暮れていた。
不気味な沼地の風景が、ぼんやりとした月の明かりの下でよりいっそう凄みを増している。……うーんしかし、★7のフルフル亜種って、夜のクエストだったっけなぁ。俺が密かに頭の中で(???)とクエスチョンマークを3つほど瞬かせていると、江野本がボソりと不吉なことを言った。
「あの……。連打でクエスト受けちゃったんですけど、一瞬だけ目に入ったクエスト名、見たことのないものだったんですが……」
言われてみると俺も、目黒が貼ったクエストが何だったのかをよく確認しないまま、連打で受注してしまっている。イヤな予感……。すると目黒がフニャフニャした声でのんびりとこう言った。
「大連続狩猟って初めてなんですけど、どうすればいいんですかねえ?」
大連続……大連続……大連続ぅ!!? 大連続狩猟のフルフル亜種を狩ってもハンターランク6になれねえ!!!
「なんだこの”紅色の雷、菫色の刃”っていうかっちょいい名前のクエストは!! これじゃねえよ!!!」
と俺は喚いた。江野本も「だまされた!!!」と憤慨している。大連続狩猟もとても楽しいクエストなのだが、とりあえず今日は、とっとと目黒をハンターランク6にするのが先決だ。俺は「おっかしいなあ」とつぶやいている目黒の首根っこをつかんでポッケ村に引きずり戻し、「オマエがいま貼るのは”沼地に降り立つ赤い影”ってクエストだわい!」と噛んで含んで教えてやった。
そして仕切りなおしの2回目。
……3オチ(苦笑)。
まず、ライトボウガンを背負っていった江野本が「ぎゃーーっ! ごめんなさい!!」とリアル絶叫しながらフルフル亜種の電撃ブレスをあびて昇天。続いて目黒が「あれ?(苦笑)」と言いながら体内放電→ボディープレスという必殺コンボをあびて壮絶オチ。そして復帰した江野本がすぐにフルフル亜種の怒りの放電ボディープレスを食らって即死……。3人とも上位にはなったものの、スキル的にはひとつも成長していないことを世間にひけらかすにはピッタリのクエストとなった。俺は腹を抱えて笑いながら、「新・へっぽこ3人組ここにアリ! を宣言する壮絶なクエストだな」と言ってふたりに睨みつけられた。
しかし、最初のクエストに失敗したことがかえって好影響したのか、その後のふたりの立ち回りは見違えるようだった。そもそも目黒は、1週間まえよりも格段に防具が上等なものになっており、少々の攻撃を食らったくらいではオチなくなった。江野本は「怖いモンスターにはライトボウガンで行く」をモンスターが跋扈する荒んだ荒野で生きていくうえでの”お守り”としたようで、モンスターの攻撃が飛んでこない安全な距離からプチュンプチュンとライトボウガンの弾をぶっ放している。これによりふたりがオチる確率が目に見えて減り、俺たちは順調にフルフル亜種、ガノトトス亜種、バサルモス、ドドブランゴ2頭などを屠り続けた。そしてついに、”あの”クエストが俺たちの前に現れた。
「さあて……」と俺は言った。「立ち塞がってきましたよ、またこやつが……」。声、若干高くなり、目黒と江野本を見つめる目は明らかに潤んでいたと思う。いまや頼もしい”相棒”に成長したふたりも、あの日の悪夢(参考記事 その1、その2、その3、その4)が鮮明にオーバーラップしたのだろう。不安に満ちたその目はすでに、小鹿のようになってしまっている。しかし、ここで止まっていたのではいつまで経っても3人でアカムトルムの前に立つことはできない。俺たち3人は声を揃えて叫んだ。
「上位ティガレックス2頭を倒しに行こう!!」
……ってまだそんなところの話なのかよ!!(自らツッコミ)
えーっと……。いつまで経ってもアカムトルム討伐の話が始まりません(苦笑)。このまま行くとモンスターハンターフェスタ`08のドサクサにまぎれて、新・へっぽこ3人組とアカムトルムの壮絶な生存競争の模様をお伝えするのは6月初旬に……なんてことになったりして……。
そうならないことを筆者自身も祈りつつ、明日に続きます(笑)。
『2nd』のブログを書いていた時代から、一度でいいからテーマとして扱いたいと思っていたモンスターがいる。それが”覇竜”アカムトルムだ。しかしアカムトルムについて触れるまえに『2nd』プレイ日記は終焉を迎え、まるで俺が一度もこのモンスターを倒したことがないかのように締められてしまっているがナンノナンノ。じつは我が自慢のガンランスとアカムトルムは抜群に相性がよく、逆にアカムから見たらガンランスは最悪の兵器で、俺がガンチャリオットを担いで決戦場に出向くたびに、覇竜はその巨体をブルブルと震えさせていたに違いない。……と、俺がアカムを狩っているところを誰も見たことがないのをいいことにココゾとばかりにデカい口を叩いていますが、言うほど余裕で立ち回っていたわけではありません。でも俺がガンランスでこのモンスターを狩っていたことは紛れもない事実なんですよぉ!! ……後半、なぜか必死になっていますが、俺の腕でもなんとかなりました。これはホントです。
このアカムトルム、当然ながら『2nd G』にも登場する。集会所上位の最後の緊急クエスト”起源にして、頂点”で、その禍々しい姿を現すのだ。じつはしばらくまえから俺にこの緊急クエストが出ていて、いつ行こうかいま行こうかと悩んでいたのである。『2nd』時代の経験があるから、よっぽど特殊な攻撃が追加されていない限り俺ひとりでもなんとかなるだろう。しかしそれでは、あまりにもおもしろくない。俺はふたつ隣の席で仕事に没頭していた新・へっぽこ3人組のメンバー、江野本ぎずもに話しかけた。
「えのっち、俺にアカムトルムの緊急クエストが出たから、いっしょに行こうよ」
これを受けた江野本、明らかなしかめっ面を作ってアウアウアウと言葉を発した。
「……あかむ? あかむとるむって、何ですかい??」
どうやら俺の放った言葉の意味がまるでわかっていないらしい。俺は江野本以上のしかめっ面を作って、ポカンとしている女ハンターに低い声で言った。
「何ですかい? というのは、存在というものに対する哲学的な意味を聞いているのですかい?」
江野本、極めつけの渋面を作って「違いますよ!」と言ったあと、「あかむ、っちゅーのはモンスターですよね?」とファミ通の編集者とは思えない発言をした。俺、般若のような形相になりながらも内心で(しめた!!)と快哉を叫び、口に出しては渋い声で「そうそう。集会所上位の最後の緊急クエストで、アカムトルムっちゅーわりと大きなモンスターが出てくるんよ。それにいっしょに行きませんか? とお誘いしているわけです」と言った。ちなみに江野本は、アカムどころか古龍ともラージャンとも対峙したことがない。俺がここで「しめた!!」と叫んだのは、(こやつといっしょに行けばハプニングだらけでおもしろいことになるに違いない)と確信したからである。でもせっかくの機会だから、江野本と同じく、アカムトルムなんて存在していることすら知らない新・へっぽこ3人組のメンバー、中目黒目黒もいっしょに連れて行きたい。しかしこのとき、目黒はアメリカに出張に行っていた。日本には1週間ほど戻ってこない。なので俺は目黒が帰ってくるまでアカムトルム討伐は封印することに決め、江野本には「まあそんなたいしたモンスターじゃないから、事前に予習なんてするなよな」とキツく言っておいた。
そして1週間後。目黒がアメリカ出張から帰ってきた。俺はさっそく、荷ほどきも済んでいない目黒に話しかける。
「目黒、俺にアカムトルムの緊急クエストが出たから、3人で行こうよ」
これを受けた目黒、何もわかっていないくせに嬉々としてこう言った。
「いいですね! 行きましょ行きましょ! やってやりましょう! で、あかむとるむって何ですかい??」
思ったとおりの反応が帰ってきたので俺は大いに満足し、「まあ、そんなに気にせずに、閃光玉とクーラードリンクだけ持ってついてきたまえ」と言った。
さあアカムだアカムだ。集会所の俺たちの溜まり場に飛び込み、ウキウキしながらクエストを貼る。何気に慎重な江野本は「何となく、近接武器で行くとひどい目に遭いそうだからガンナーで行こーっと」と言ってライトボウガンを抱えている。女のカンとはかくも恐ろしい。俺は心のうちで(ちっ)と舌打ちをしながらも、これから展開する地獄絵図を想像して「うけけけけ」と気味の悪い笑い声をもらした。しかしここで、クエストボードの前にいた目黒が素っ頓狂な声を上げた。「あれ? なんか条件を満たしていないって言われるんですけど(笑)」。
しまった!! アカムって、ハンターランク6以上のクエストだった!! じつは目黒はまだハンターランク5の人間だったので、いっしょにアカム討伐になど行けるわけがなかったのである。お、俺としたことが……。そういう基本的なことが完全に頭から抜けていた……。
で、振り上げたコブシの行き場に困った俺たちは、「覇竜への道は1日にしてならず!!」とわけのわからないことを喚きながら、目黒をハンターランク6にするためのクエストをこなすことにした。しかしそこには、先日さんざんここで苦労話を書いた(参考記事 その1、その2、その3、その4)ティガレックスクエストの上位バージョンも……。それも2頭討伐……。
……はたして俺たちは、アカムトルムに到達できたのでしょうか? 次回に続く〜。
ナルガクルガとの激闘を終え、少々放心気味の大塚角満です。なので本日は軽めのコラムで……。
最近、女性ハンターと頻繁に遊ぶようになった。と言っても、その大半は新・へっぽこ3人組のひとりである江野本ぎずもやリアルの友だち、それと身内の女性あたりなんだけどね(……書いて思ったが、それ以外にどういう関係の女性がこの世に存在するのかと問われると答えようがないネ)。でもそれ以前の、初代『モンスターハンター』、『モンスターハンターG』、『モンスターハンター2(ドス)』の時代でも、俺は多くの女性ハンターに囲まれて生活してきた。こう書くと、まるで自分がモテモテのウハウハ状態のように思えてきて自己暗示にかかりそうだが、実際はそんなことありません。たまたま、俺が遊ぶ環境下に女性が多いだけです。
で、初代『モンハン』の時代から、こういった女性ハンターと遊んでいるときに密かに思っていたことがあるんです。でも、「俺の気のせいかなあ……」と思っていたのであまり口に出しては言ってこなかったのだが、最近「やっぱり俺の思ったとおりだ!」と確信したのでここにご報告したいと思います。それは、
”女性ハンターはクエストに出発するまでに時間がかかる”
というものですね。もちろん、すべての女性ハンターがそうなのではなく、そりゃあもう、ナルガクルガか怒れるキリンか、ってくらい素早く準備を整える女性ハンターもいる。でもそういう女性はかなり例外的な存在で、基本的にクエストから帰郷して「さあつぎ行こうつぎ!」となったときに、「待って待って! これから準備するから〜」となるのはたいがいが女性ハンターだと思うのだ。もちろん、全国津々浦々の女性ハンターと遊んで集計を取ったわけではないので、あくまでも俺のまわりでの話になるけどね。たとえば、いちばん身近な江野本ぎずもの様子を見ても、彼女はそれほど凄まじく準備に時間がかかるほうではないのだが、俺や中目黒目黒がすっかり準備を整えて集会所で酒をあおって待っていても、なかなか約束の場所に現れない。で、「何してんの?」と江野本の画面を覗くと、ポッケ農場の畑でのんびりと、「何を植えようかなぁ〜」なんて悩んでいたりする。身内の女性の例を見ても、いつまで経っても集会所に現れないので「何やってんの?」と画面を見ると、ネコメシで何を食べるか本気で悩んでいる。俺は当然のように「そんなの、いつも食べてるヤツでいいじゃーん」と言うのだが、そうすると「そんな毎日同じものを食べていたら飽きるでしょ」と真顔で言い返されたりするのだ。まあでも、こういった狩猟に出るまえの牧歌的な雰囲気は大好きなんだけどね(笑)。全国の女性ハンターの皆さん、心に思い当たるフシはないですか? まあ、男性ハンターでもこういう人はいるだろうけどねー。
しかし、ここで俺は思い出した。『2(ドス)』を夢中になって遊んでいたとき、『逆鱗日和』に頻繁に登場する達人女性ハンター・Wちゃんが、やはり準備に時間のかかる人だったことを。で、俺は一度だけ言ったことがあるのです。「Wちゃんって、クエストに出るまでに時間がかかる人だよねー(笑)」と。イヤミではなく、達人でも入念に準備をしていると時間がかかるものなのだなぁと少々感心したので言ったんだけどね。するとWちゃんは俺の軽口に対し、少々憤慨しながらこう言ったのだ。
「女は出かけるまえのしたくに時間がかかるものなのよっ!!!」
これ、名言だと思いませんか?
意思を持った刃のような黒い疾風に翻弄されながら俺は思った。ナルガクルガは怒っている、と。樹海に君臨する自分のナワバリを冒そうとする、俺の存在そのものに激怒している、と。しかし俺もハンターの端くれだ。「出て行け!」と言われて、おめおめと尻尾を巻いて出て行くわけにはいかねえだろ! 俺はナルガクルガの怒気に負けぬよう必死に心を鼓舞して、徹底的に固めたガードの隙間から新たな好敵手の動きを目で追った。ちょうど、我が愛するオトモアイルー、オリガミちゃんを追い回しているところだ。風のように俊敏な動きと、長く、しなる凶器のような尻尾でもって、オトモアイルーをきりきり舞いさせている。しかもあの黒に近い身体の色が、木々が生い茂る樹海の風景にイヤらしく溶け込んで動きが判別しづらくなっている。目で追いにくい色と、飛竜の中でもトップクラスと思われる速い動きに対して、この重いガンランスでどう対抗すればいいのか? 何度かナルガクルガの攻撃の雨にさらされたときに、じつはその答えは出ていたのだ。俺がこの迅竜に対抗する手段はコレしかない。俺は樹海にこだまする大きな声で叫んだ。
「やられるくらいなら守る!! 徹底的に守る!!」
と。少なくとも攻撃をガードし続けることができれば、時間切れはあってもこっちが倒れることはない。それにガードの隙間から覗き見ることで、ナルガクルガの動きも見えてくるようになるに違いない。つまりこれは、”守りのための守り”ではない。”攻撃のための守り”なのだ!
……と、いまでこそかっこつけて書いているが、じつはこのとき、俺はとんでもない事実に気づいて焦りまくっていた。恐ろしいことに、ゲームを一時停止することができなかったのだ。「PSPの調子が悪くてできなかった」、なんていう理由ではなく、初めて対峙したナルガクルガの動きがあまりにも速く、そして動きの読めない怖さから、スタートボタンを押してメニューを出してリストから一時停止を選んで押す……という、ふだん何の気なしに行っている行動に移ることができなかったのである。「メモも取れねえよお!」と俺は喚いた。こんな経験、怒れるラージャンを相手にしたときですら記憶にない。
こんな感じなので俺はナルガクルガと向き合っているあいだ、ほとんど武器をたたむことができなかった。ナルガクルガの動きが止まったときも、いきなり何をされるのかわかったものじゃないから、いつでもガードができるように武器を構えたままジリジリとにじり寄る有様。怒ったネコが相手を牽制するようにナルガクルガがピクリと動くと、情けないことに俺はそれに反応しまくって「うわわわ!!」とガード姿勢。ナルガクルガも攻撃の合間にこちらの動きを窺うように距離をとることがあり、そのときも俺はガード姿勢を崩さなかったものだから、狩猟していた25分の大半は、ナルガクルガと俺のあいだに非常に緊張した沈黙の時間が流れていた。この無言のにらみ合いが、なんとも言えず怖かった。こっちが動いた瞬間に鍛え抜かれた迅竜の爪が襲い掛かってきそうな気がして、PSPを持つ俺の手は汗まみれになってしまった。
それでも、どんなにチキンと言われようとも、ファーストコンタクト時にガードに徹する作戦は決して間違いではない。とくにナルガクルガは動きが尋常じゃなく速いので、ガードができなければ俺などは、「いったいいまの風は何だったんだ?」とポケーっとしているうちに昇天させられていたに違いない。でも、今回は守り抜いた。黒い疾風が脇を通り抜けたと思ったら、瞬時に吹き抜けた風の方向に向いてがっちりガード。案の定、そこに攻撃が飛んできて冷や汗をかく。距離が開いていても安心はできない。中間距離からガード姿勢のままジリジリとにじり寄ると、いきなり長い尻尾の鞭と、棘の雨が降り注いできたりする。それをバキン! とガードして、やはり冷や汗をかく。こんな調子だから、ガンランスの必殺技である砲撃も竜撃砲も撃つことなんてできやしない。何とか懐に入ってガード突きをツンツンツンとお見舞いするのが関の山で、運良く砲撃できたところで今度はリロードする隙が恐ろしくて弾丸を補充することができない。「どこまでチキンなんだ」と思われてしまうことを承知で書いているのだが、それくらい「どんな攻撃をしてくるかわからない」という事実は恐ろしいことなのである。
それでも、俺は楽しかった。ナルガクルガの攻撃を受けながら、俺は「こいつは完全に格闘マンガの世界だ!」と思ったのだ。疾風のように回り込んだ死角からの攻撃を読みきり、見えない方向に向かってガード。しっかりと受け止めたところでナルガクルガにガード突きを見舞い、これを嫌がって距離を取られても、決して油断せずに武器は出したまま。刹那の逡巡もなく再び風になって侵略してくる黒い怒気のカタマリを受け止め、懐に潜り込んで砲撃を1発。相手が怯んでも深追いはせず、再びガード姿勢……。オノレを守り続けることのおもしろさと快感に身を委ねながら、拮抗した力と技のぶつかり合いに心を奮わせた。そして、相手が長きにわたるライバルになるとわかっていながらも、「最高だおまえは!」とナルガクルガを賞賛した。
俺とナルガクルガの生存競争が始まってから15分。俺はこの狩猟で初めてとなる竜撃砲を放った。前述のとおり、対峙しているときは砲撃すらままならない緊張世界の住人となるので、竜撃砲なんてとんでもない話。でもどうしても撃ちたかったので、ナルガクルガがエリア移動を敢行したのを見逃さず、先に着地点で待ち伏せして特大の1発を見舞ったのだ。さらに20分すぎ。ナルガクルガがオトモアイルーに気を取られて俺に背中を向けている隙に「たたた頼むからいまこっちに気づいてくれるな……」とドキドキしながらもう1発。凶暴な火焔に焼かれるライバルの姿を呆然と眺めながら、「オトモアイルーよくやった!!」と、『2nd G』を始めてから最大級の賛辞をオトモアイルーに投げかけた。結局、俺が今回の狩猟において竜撃砲を放てたのはこの2発きり。本当にギリギリの状況下でナルガクルガと向き合っていたことがよくわかる。
そして25分すぎ。じりじりと焼けるような緊張感に包まれた生存競争も終わりに近づいていた。あの生命力に溢れた黒き疾風が、ズルズルと足を引きずり始めたのだ。それを見て、なんとも言えない寂寥感に包まれるガンランサー。今回は確かに俺が勝った。しかしこれだけ力が拮抗していると、いまボロボロになって足を引きずっているのが俺だったとしても、少しもおかしくない。むしろ、俺が一度もオチずにここに立っていることのほうが奇跡と言える。でもこれは、お互いの全存在を賭けた男と男の勝負だったのだ。情けをかけることは許されない。俺は万感の気持ちを込めてナルガクルガにトドメを刺そうとした。しかしそのとき、我が愛するオトモアイルー、オリガミちゃんがパタパタとナルガクルガに駆け寄って行き、その頭にポカンと1発マンガのような一撃! そして画面に、
”目的を達成しました−−”
の文字が……。ドラマのクライマックスで涙を噛み締めながら「つぎはもっと強くなってこいよ!!」と叫ぶ熱血ヒーローになりきっていた俺を、強引に現実世界に引き戻してくれたオトモアイルーの強烈な一撃。二の句が告げなくなり、「お、お、おまえなんて空気の読めないことを……」と震えながらオトモアイルーを眺めていると、彼はすっかり得意顔で「ダンナ、トドメ刺してきたニャ! ホメてくれニャ!」と言いながら主人のもとに駆け寄ってくる。それを見てすっかり毒気を抜かれ、俺は、
「まったく、おまえってヤツは……」
と苦笑しながら相棒の頭をくしゃくしゃに撫でるのだった。
村長上位クエスト”極秘依頼 樹海の迅竜!”を始めて受注し、その狩猟の模様を綴った汚い字のメモ書きがある。そこに俺が書いた最初のひと言。それは、
「メチャおもろい!!!!」
だった。『2nd G』を象徴する新モンスター・ナルガクルガとの激闘は、ともすると忘れがちだった『モンハン』世界の根底にある土台、つまり”牙を持つ者どうしの生きるための競争”という絶対的な真理を、俺の心に呼び戻してくれるものだった。狩るか、狩られるか。ほとばしるナルガクルガの生命力が、俺に狩猟の怖さを思い出させてくれた。
異種格闘技の世界においては、初めて対戦する格闘技ほど怖いものはないらしい。相手がどんな攻撃をしてくるのか? スピードはどうなのか? そもそも攻撃力はどれくらいなのか? いくら研究しても実際に肌を合わせないことには何もわからないから、対戦まえはとにかく、頭の中でクエスチョンマークが渦を巻いているという。
ナルガクルガ討伐に出かけるまえの俺が、まさにこれだった。俺は心からこのゲームを楽しみたいと思っているので、攻略本や攻略サイトはなるべく見ないようにしている。ナルガクルガについてもいくつか知っていることはあったが、どんな属性が効くのか、はたまたどんな攻撃をしてくるのか、具体的なことは何も知らなかった。でも、それでいいんだ。ナルガクルガだって、俺がどんなアイテムを使って、どんな攻撃を仕掛けてくるのかまったく知らないんだからさ。もちろん今後、いろいろなところから情報が入ってきて、さらに何度も肌を合わせるうちに有利な立ち回りも覚えていくのだろうが、ファーストコンタクトのときくらいは、俺はモンスターとフェアでありたいと思っている。
だから、準備は万全を期した。とにかく狩場で使えそうなものは片っ端から持って行こう。だってこのゲームの”象徴”と言えるモンスターが、目一杯アイテムを持った全力の俺よりも戦闘力が下回っている、なんてことはあるわけないんだから。俺はカバンに回復薬、回復薬グレート、薬草、秘薬、ハチミツ、大タル爆弾、シビレ罠、落とし穴、トラップツール、閃光玉などを限界数詰め込み、武器に水属性のガンランス”海王槍リヴァイアサン”を持って、ナルガクルガの待つ樹海へと足を踏み入れた。ほかにも火属性や雷属性のガンランスも持っているし、そもそもなぜ、もっとも頻繁に使っているガンチャリオットで行かなかったのかというと、ナルガクルガのルックスから、これらの属性は効果がないのでは……と思ったから。かといって水属性が有効なのかどうかいまだに知らないのだが(マジです)、なんとなーく、いちばん効くんじゃないかなぁ……と思ってこの武器を選んだのである。だってウチのネコ、身体洗うのすごく嫌がるし!! ……まあ根拠はそれだけなんだけどネ。つまり、カン!! ちなみに防具は、ガード性能+1のスキルが発動している。やっぱりこれがないと、安心してモンスターの前に立てないんだよねぇ……。
そして始まったナルガクルガとの生存競争。まず、ナルガのナワバリに足を踏み入れてしまったときに流れるデモ映像に度肝を抜かれる。なんだこいつの動き……。空気の中を泳いでるのか……? ここで、いつもの俺だったら大いにビビるところだが、なんだか無性にワクワクが止まらなくなっていた。「この風と、戯れてみたい!」。そんなくさいセリフを、心の中で叫んでいた。
ナルガクルガは、まさに”風”だった。この動きとスピード……。こいつは紛れもなく、木々の間を抜ける一陣の黒き疾風だ。警戒度をマックスにした猫のように唸り声を上げて、突然の闖入者に牙を剥き出して襲い掛からんとするナルガクルガ。しかし正面からは向かって来ず、風のように俺の横にまわりこんだと思ったら、完全な死角から強烈なアタック! どんな攻撃をされたのかもわからず、俺はただただ人形のように草むらを転げまくる。な、何が起こったんだいま……。
どんな攻撃をされるのかわからないことって、こんなに怖かったんだ……。俺の脳裏に、初めて対峙したときのリオレウス、クシャルダオラ、ティガレックス、そしてラージャンの顔が閃く。そうだった……。あいつらもみんな、そうだった。その後”好敵手”となるモンスターたちは、みんなそうだったんだよな。恐怖と歓喜に貫かれながら、相手の一挙手一投足を見逃すまいと全神経を集中して、とにかく”生きること”に全力を傾けた。そんなライバルたちとの激闘の日々が、唸るナルガクルガの攻撃を必死になってガードする俺の思考の中を駆け巡った。こいつはとんでもねえヤツだ。あまたの好敵手たちに匹敵する、強さと魅力を併せ持ったモンスターだ!!
ナルガクルガとのファーストコンタクトの結末はつぎのコラムで。お楽しみに!
いい加減本日は、くだらない前フリはナシで、ガチンコでプレイ日記を書く!! 俺の前フリファンの方、ゴメンナサイ(いねえだろ!)。
最近の俺のトレンドは、村長下位クエストに出てくる”炎王龍”ことテオ・テスカトルを追い回すことだ。もう『2(ドス)』の時代からの古い付き合いなので、お互いのことを「カドちゃ〜ん♪」、「テオくーん♪」なんて呼び合うような仲になってもよさそうなものだが、手練ハンターと炎の古龍にそんな馴れ合いは許されぬ。狩場で出会ったが最後、それがどんなに顔見知りのモンスターであろうとも、”狩るか、狩られるか”の生存競争がスタートしてしまうのだ。それが、”想い強きモノが生き残る”という『モンハン』世界の厳然としたルールなのである。……って、俺は何を言ってるのでしょうか?
俺がテオ・テスカトルを追い回している理由はただひとつ。ヤツの尻尾から剥ぎ取ることができる”炎王龍の尻尾”という素材をゲットするためだ。……なんか俺、しょっちゅう何かの尻尾を追い求めている気がするが、気のせいだろうか。
さて問題のテオ・テスカトルだが、村長下位クエストという、この『2nd G』のクエストカテゴリーの中ではもっとも格下の場所から出てくるものではあるが、決して油断できる相手ではない。ていうか、十分強い!! さすが百戦錬磨の炎の古龍、ちょっと気を抜こうものなら、粉塵爆発、炎のブレス、猛ダッシュといった多彩な攻撃で簡単にハンターの息の根を止めてくれる。体力もたっぷり備わっているので、現在の俺の装備では苦戦するのは当たり前なのである。
それでも俺は、彼の尻尾が欲しかった。そこにどんな苦難が待ち構えていようとも、「尻尾、どうしても欲しい!」というダンコたる決意を持ってテオ・テスカトルの前に立ったのである。だってテオの尻尾がないと、ナナ・テスカトリの素材をもとに作る炎のガンランスを強化できないんだもん!! もういい加減、フルフルやドドブランゴ、ゲリョスなどに代表される火属性に弱いモンスターに、ガンチャリオットや海王槍リヴァイアサンといったまったく違う属性の武器で臨むことに疲れた……。現在、炎のガンランスは第一段階の”ナナ=ハウル”は持っているのだが、斬れ味ゲージがイマイチなのでこいつで狩猟に行く気にどうしてもなれない。でもこれをがんばって”ナナ=ロア”に育てることができれば青ゲージが出現するので、いきなり使えるガンランスに”化ける”ことになるのである。で、このナナ=ハウルを育てるためにテオの尻尾が2本必要になったんですねぇ〜。
それにしても、”物欲センサー”とはよく言ったものである。俺が発明した言葉じゃないので、最初に言い始めた人に敬意を表して土下座をしたいくらいだ。いまの俺がまさに、物欲センサー大感染中の状態であり、何度尻尾から剥ぎ取っても、炎王龍の尻尾が出てくれない……。ホラ、包み隠さず書くとこんな感じになってるのヨ。以下、俺がテオの尻尾から剥ぎ取って得た素材だ。
・1回目……炎王龍の甲殻
・2回目……炎王龍の甲殻
・3回目……炎王龍の甲殻
・4回目……古龍骨
・5回目……炎王龍の甲殻
・6回目……古龍骨
……どんだけ出ねえんだよ尻尾ぉぉ!! どの素材がどういった確率で出るのか知らないが(マジで知りません)、尻尾から剥ぎ取っているわけだからあっさりと「炎王龍の尻尾を手に入れた」のメッセージが流れてもよさそうなものではないか!! 実際、似たようなモンスターであるナナ・テスカトリの尻尾からはワンサカと尻尾を剥ぎ取ったと記憶している(俺の願望が見せている白昼夢の可能性アリ)。それがなんで、欲しくなったとたんにその素材が出なくなるのであろうか……。
ていうか俺、そもそも尻尾に呪われてるんだよな……。もう何度もこのプレイ日記で書いているが、俺はリオレウス亜種の尻尾を欲しがる性癖があって(ブループロミネンスという炎のランスを作りたいからだけど)、どの『モンハン』でも必ず”物欲センサー・蒼火竜の尻尾バージョン”に感染するのだ。『モンハンポータブル』のときは100本以上の尻尾を切断したっけ……。じつは最近もリオレウス亜種の尻尾が欲しくてネ。先日、一般の人といっしょにプレイする機会があったのだがそのときに「大塚さんが欲しい素材を取りに行きましょう」と言われたのでここぞとばかりに「あ、蒼レウスの尻尾欲しい!!」と言って「また蒼レウスの尻尾っすか!? 『逆鱗日和』の話とおんなじだ!!(爆笑)」と爆笑されてしまった……。
とまあこんな感じでいま俺は、物欲センサー大フィーバー中で欲しい素材がまったく手に入らない状態となっている。いつになったらこの病は完治するのだろうか? 今日も俺はテオの赤い尻尾から古龍骨を剥ぎ取っては、ピキピキとコメカミに青筋を浮かべるのだった……。
いやあ、昨日はヒドい目にあった……。べつにここに書く必要はまったくないんだけど、どうしても書きたいので書かせて(苦笑)。あ、『2nd G』とはまるで関係ないので、純粋にプレイ日記だけを読みたい方はどうか後半まですっ飛ばしてください……。
最近、財布を紛失しました。
どこで行方不明になったのかもよくわからず、でも「無くした!」ってことだけはドラゴンデストロイで頭をぶん殴られたときのように強烈な痛みを伴って突き上がってきて、「やばいやばい! カード止めて警察に連絡してえっとえっと!!」ってことになっていたんですここ数日。財布を無くしたことってそれが初めてだったから、それだけで十分すぎるくらいの悲劇だったわけですね。
で、昨夜。
キャッシュカードもクレジットカードも手元にないので頼りになるのは現金のみ。まあ会社に来てしまえば社員食堂で給料天引きで食事はできるので、いつも「1000円持ってれば生きていける!」と思ってここ数日、生活してきたのである。昨日もそうだった。朝、自宅で「(臨時の)財布に1000円札が1枚入っているのを確かに見た」というナゾの確信を持って出社し、いろんな業務をこなしたあと、帰宅のために会社を出たのが確か夜の8時半。ポケットにいくばくかの小銭が入っていたのでそのお金で地下鉄に乗り込み、いつも乗り換えで立ち寄るJRの駅を目指した。しかし、ナゼかこみ上げてくる不安と焦燥。冷や汗を流しながら俺は思った。(ホントに財布に、1000円入ってるか……?)と……。さあこうしちゃいられない。俺は混みあう地下鉄の車内でジタバタと暴れながら財布を取り出し、焦る手で留め金をパチリと外す。恐る恐る覗き込むと……。
「わああ! 1円も入ってねえええ!!」
そっからがもうたいへん。ポケットの小銭をかき集めてみたけどあったのは220円のみ。JRだと家まで290円かかるので、かなり手前の駅までしかいけない。俺は突如襲い掛かってきた不安と孤独感からエンターブレインが運営するSNS”efigo”の日記に思わず「誰か助けて!!」と日記を書いて、読んだ方々から「美人はやさしいから話しかけてお金を借りるといいですよ!」やら「モドリ玉を使って会社に戻ってきてください!」などなど、非常にタメになるコメントをたくさんいただいて寂寥感を紛らわせていたのであった。結局、俺はふたつ手前の駅で降り、暗い夜道をテクテクテク……。埼玉県の2駅はそりゃあもう星空のディスタンスってくらい長い長い距離があって、それを少しでも緩和したいものだから、「こっちのほうが近そう」、「これはたぶんショートカットの道」とテキトーに路地をグネグネと行ったり来たり。しかし、ふいに目の前に現れたのはさっき降りたばかりの駅のネオンで、思わず、(・_・;) ←こんな顔になって、(俺はもしかしたら、この迷宮から出られないのかもしれない……)なんて思い始める始末。しかし! そんな俺に身内から1通のメールが!! なんとちょうど、俺が迷い込んだラビリンスを電車で通過したばかりだという。俺はすさまじいスピードで「遭難してる!! 助けて!!」とメールを打ち、15分後に無事、150円を貸してもらって、大迷宮から脱出したのであった。おしまい。
あースッキリした。
こんなアホなことをやりながらも、俺は電車の中ではもくもくと、『2nd G』で遊んでおりました。最近、またまたポッケ農場の農作物栽培に凝っていて、いろんなものを作っては「やっぱり土をいじるのって楽しいなあ^^」なんて思っていたのである。で、昨夜初めて、俺は畑の畝に”黄の種”なるものを蒔いた。『2nd』で畑に植えるものは赤の種、緑の種、あとは薬草くらいと相場が決まっていたので、この新登場の黄の種にはドキドキと胸を躍らせるものがあった。お値段がけっこう高い(250ゼニーもする!)のも、俺のドキドキに拍車をかける。つねにお金に困っていながらも志だけは高い”清貧”そのものの生活が続いてはいたが、たまには奮発しちゃおう。俺はウキウキしながら黄の種を畑に蒔き、ワクワクしながらクエストをひとつこなして、ウハウハしながら畑の作物を収穫していった。そして”オオモロコシ”という、ナゾの作物が実っているのを発見したわけである。初めて見る名前だ。察するに、トウモロコシのようなおいしい作物なのであろう。しかしこのゲームでは、虫や植物から武器、防具を生成することは日常茶飯事。もしかしたらオオモロコシを元にした武具を作ることができるのかもしれない!! 俺は少々緊張しながら武具屋のおっさんに話かけ、武器リストを丁寧にチェックしていった。すると、我が愛するガンランスの欄に……。
「わあああ!! なんだこりゃあ!!」
なんかうまそうなモロコシがある!! そうこれ、モロコシの形をしたガンランス、その名も”砲モロコシ”だったのです!! うわあ……。なんてステキなデザイン……。盾がデカい麦藁帽子ってのがまた最高にイカす。……なに俺、こんなにときめいてるんだろう(笑)。そのルックスを見ただけでこれだけ心が躍りあがったことが、かつてあっただろうか? しかもこれ、ガンランスだし! 俺の脳裏に、武器のデザインを担当した若きクリエーターの顔が浮かぶ。ありがとう神様! ぜひ使わせてもらいますよ!!
俺は電車の中で必死になって砲モロコシを作るための素材を集め、ついに! そのステキなステキなガンランスを手に入れたのである。持ってみると、意外なほど大きい。それがまたいい!! 武器の説明文もこれまたイカしていて、”農業に対する爆発的な想いがガンランスへ昇華した。こうみえて使える”なんて書いてある。めっちゃシュール。こういうセンス、大好きなんだ俺(笑)。俺は砲モロコシを手にしたことがうれしくてうれしくて、さまざまな角度からこの武器を装備した姿を見たくて自室の中でウロウロ。うーん。どっからどう見てもカッコイイ!!
さんざん眺めたあと、「さっそく試し斬りだ!」と叫んで下位のリオレイア討伐に出向いた。砲モロコシは無属性の武器だが斬れ味ゲージの緑の部分が非常に長く、攻撃力が414、砲撃タイプは拡散で砲撃レベルが3と、まさに”こうみえて使える”を地で行く性能を持っている。しかも! 攻撃をくり出しているときの音が最高にかわいくて、文字で表現するのは非常に難しいのだが、「ぽひぃ!」やら「ほひゅー!」というじつに気の抜けた音を発するのだ。狩るか、狩られるかの緊迫した狩場にあって、巨大なモロコシが「ぽひぃぽひぃ!」と奇声をあげているのを聞いたら、百戦錬磨のリオレイアもそりゃあたじたじってものである。いやあもう、すっかり砲モロコシの大ファンになっちゃったね、俺は。そして、型にはまりきらず、我々に付け入る隙というかツッコミどころをたくさんゲームの中に潜ませてくれている『モンスターハンター』の制作陣の遊び心に、感謝と敬意を改めて覚えるのであった。
※さて、昨日ここにどさくさに紛れて書いた”あなたのゲームライフについて教えてください”アンケート。たくさんのご回答、ありがとうございます! でも、まだまだ集めておりますので、興味のある方はぜひぜひご協力を! アンケートの結果は、4月25日発売の週刊ファミ通ニュースページに反映されます。どうぞよろしく! アンケートはこちらから!
2008年4月15日現在の、大塚角満の『2nd G』進行度。
・村長下位……82回
・村長上位……12回
・集会所下位……49回
・集会所上位……50回
・集会所G級……0回
じつはもう上位では最後の緊急クエストが出ていて(例のでっかいアイツです)、そこで止まっている感じ。”止まっている”というか”待っている”だな。この緊急クエストとG級に上がるときに対峙するモンスターについてはぜひとも新・へっぽこ3人組で挑んでみたいと思っていて、彼らといっしょに挑める日まで”待っている”って感じなのです。「じゃあとっととやってみろ」と言われそうだが、いま3人組のひとりである中目黒目黒が海外出張に行っていて、物理的に行きたくても行けないんですねぇ。さすがに江野本ぎずもとふたりで、ってわけにはいかないので、しばしG級はお預け。……でも考えてみると、先日シツコイくらい書いたティガレックス討伐にしてもオチるのはほとんど目黒なので、かえってふたりで(もしくはひとりで)出かけたほうがすんなり倒せるような気も……。まあでも、新・へっぽこ3人組におけるスラップスティックのほうが俺自身が見ても圧倒的におもしろいので、気長に3人が揃う日を待つことにします。
というわけでまだまだしばらく、当コラムでは下位やら上位のことを書き続けますので、皆様どうぞ飽きずに読んでやってください(笑)。
さて今日は、まだまだ上位や下位をウロウロしている分際で、まるで真理を見たかのようにエラそうに、あるモンスターの行動について書かせていただきたい。それが表題の炎の女帝”ナナ・テスカトリ”なのです。なぜナナのことを書くのか。じつは下位と上位をひととおり遊んでみて、いちばん度肝を抜かれたのがナナ・テスカトリの動きだったからだ。本来こういうことは、G級やネコートさんクエストをこなしまくって初めて書いていいのだろうが、ナナちゃんの動きにひどく感銘を受けたのでそのことを書かせてください。
ナナ・テスカトリは村長の下位クエストに登場するが、じつはつい最近まで狩猟していなかった。というのも、この”皇妃座すは炎の宮殿”というクエスト(関係ないけどこのクエスト名、シリーズの中でも1、2を争うほど好きです)、詳しくは書かないけど採集にもってこいだったので、限界まで利用してやろうと思っていたのだ。でも、ナナの素材で作る火属性のガンランスが欲しくて欲しくて我慢ができず、ついに先日、ナナ・テスカトリ討伐に出向いたのだ。
久しぶりに会ったナナ・テスカトリは、相変わらず顔色が悪かった。パっと見、ルックス的な変化はなさそうだ。……でももしかすると、”ナナLOVE”の人が見たら「いやいや。最近痩せてキレイになったんだよ」なんて言うかもしれないが、それほどボクは彼女のことを愛してはいないので、微妙にキレイになったところで確認できません(何を言ってんだ)。まあそんな感じで、少なくとも俺が見た限りでは『2(ドス)』の時代からいるナナ・テスカトリそのもの。というわけでさっそく俺は油断満載状態になった。じつは俺はナナの素材から作るガンランスはもとより、”エンプレス”シリーズの防具デザインが大好きなので、『2(ドス)』でも『2nd』でもナナ・テスカトリは狩りまくっていたのである。要するに俺のフィルターを通して見たナナ・テスカトリは”勝手知ったる”モンスター。つまり”余裕で狩れる相手”ってことですね。
しかし狩猟がスタートしてすぐに、俺は「あれ?」と思った。目の前にいるナナの動きに、かすかな違和感を感じたのである。なんと言うか、昔好きだった女の子と数年ぶりに出会って、「あれ? なんか昔よりキレイになった……?」って思った瞬間に似ている気が……。ていうか俺、こんな比喩ばっか使ってるな……。まあそれはどうでもよくて、どうやらナナのいくつかの細かい動作が、俺を戸惑わせたようだ。
たとえば突進。まるで怒ったメス猫のように、走り出すまえに「うぎゃ!」って感じに雄たけびをあげて上体を反らすようになった。これ丸っきり、我が家のメス猫がオス猫の狼藉に怒り狂って飛びかかるときと同じ動きである。また前方に飛んでくる”飛びかかり”攻撃のまえに、一瞬だが”タメ”が入るようになった。これもまた、ウチのメス猫と同じ動きである。そして炎のブレス。これは動作自体は『2(ドス)』や『2nd』のナナと変わりはないが、怒り時のブレスのリーチが尋常ではなくなっている。これもウチのメス猫とそっくり……って、そんなわけはないですね。そうですね。
こういった”進化”が随所で見られるナナ・テスカトリだが、俺がいちばん「!!!」となったのは怒り時の尻尾振り攻撃だ。なんとチラチラと粉塵のようなものが舞い散ったかと思うと、それに着火するように振り回されたナナの尻尾の周囲がボンボンボン!! と爆発するようになったのだ。こいつには驚いた。ずっと以前、『2nd G』のプロデューサーである辻本良三さんと話をしていたら、ふいに彼が「今日、ナナの新しい攻撃でオチました」と言っていたことがあるのだが、この爆発する尻尾を見て「これのことだな!!」と確信した次第である。
こうした新しい攻撃やモーションを見て心から感じるのが、この『モンスターハンター』シリーズのモンスターを担当しているクリエーターたちの”愛情”と”観察眼”である。モンスターをきっちりと、『モンスターハンター』という世界観の中で”生きる存在”として捉え、「この形、この性格だったらこういう動きをするはずだ」と考えつくしたうえで、彼らに命を吹き込んでいる。熟考のうえで動きを紡ぎ、モンスターを生きた存在にする。今回のナナ・テスカトリを見て俺はしみじみと「『2nd G』のモンスターの攻撃は愛に満ちている!」と思ったのである。そして同じことを、ヒプノックを狩ったときにも強く思った。ヒプノックはその名のとおり”睡眠攻撃”を得意とするモンスターだが、『2nd G』のヒプノックは滅多に睡眠攻撃をしてこない。これはきっと、ヒプノックにとって睡眠攻撃は切り札であり、最後の砦でもあるので、「ここぞ!」ってときじゃないと使わないのであろう。要するに、ガンランスの竜撃砲と同じだ(そうか?)。こういったところにも、モンスターを”立たせよう”とするクリエーターの愛と、付け入る隙を残すことでハンターのモチベーションを上げるという、我々ハンターに対する確かな愛を感じる。……と言いつつ、G級に上がったら自分がどんな感想を漏らすのかまるでわからないけどね(苦笑)。
……しかし今日のコラム、意味わかるかな……。
※そうそう、いま週刊ファミ通のエクスプレスというニュースコーナーで、”あなたのゲームライフを教えてください”と題したアンケートをとっているんです。このコラムを読まれた皆様、ぜひぜひお暇なときに覗いてみてください。そして、いろいろと教えてください^^; アンケートはこちらとなっております。ご協力を〜。
というわけでナゼか始まってしまった、フルフルを相手にしたタイムアタック大会。なんでこういうことになったのか? については前回の日記を読んでネ。
まあでも、前回の日記に書いたとおり俺はフルフルを狩ることは得意中の得意。正直、目黒ごときに負けるわけがない。ガード性能+1が発動したこの防具と、宝刀・ガンランスを持ってさえすれば上位だろうがG級だろうがフルフルにはやられる気がしません。がはははは!
それにしても。
こういうのを”油断”というのだろうか。
このときの俺の装備で、フルフル相手に気をつけねばならないことは口から発射される電撃ブレスくらいのもの(これだけはガード強化のスキルがないと防げないから)。なので俺は基本的にフルフルの足のまわりにまとわりついて、ツンツクツンとガード突きを足や腹に浴びせ続ける。しかし余裕だとは思っていても、誰かと競い合っているという状況が俺にほんの少しの”焦り”を注入してきて操作を甘くさせる。(一刻も早く狩らねば!)と思っているからかどうにもガード突きという地味な攻撃にイラ立ちを覚え、攻撃力が大きい踏み込み突きなどをお見舞いしたくなってしまうのだ。おかげで、普段はフルフル相手に滅多にやらない踏み込み突きをやろうとしたとたんにビリビリと体内放電が始まってそれが哀れなガンランサーに直撃し、それだけで体力の半分近くを持っていかれる。食らったことのない放電の威力にド肝を抜かれ、ゲーム中のキャラクターではなく操作する俺自身が「……」と呆然と佇む。見ると、緩慢に起き上がって武器を構えた我が分身に向かって、「いままでよくも……」とポーカーフェイスに青筋を浮かべたフルフルが電撃ブレスを発射しようとしているではないか!!
「!!! やべえ!! やめてくれやめてくれ!!」
恥も外聞もなく絶叫する俺の姿を見て、「いいぞいいぞ! フルフルがんばれ!」とメタボ飛竜に声援を送る中目黒目黒。俺、なんとか電撃ブレスを避けようと×ボタンを連打するも、ガンランサーのやることと言ったらヒョコヒョコとバックステップをくり返すだけ(当たり前)。そうこうするうちに青白い電気の束がサメの背びれのように雪の上を這ってきて、ものの見事に俺を天国へといざなった。
「ぐはあ!! フルフル相手にオチちまった!!!」
血反吐を吐かん勢いで嘆息する俺。フルフルに屠り去られたのって、いつ以来だろう……。俺の慟哭を聞いて、ゲラゲラと笑い転げる中目黒目黒。「よし、もらった!!」とすっかり勝者の顔だ。ところがさすが中目黒目黒。俺がオチたほんの1分後くらいに「ぐはあ!!!」と絶叫したかと思ったら、「で、電撃ブレスが当たってオチちゃいましたよ!!」と俺とまったく同じ道をたどって昇天。勝負、まったくわからなくなってきた。
そして、ここで困ったのが手に持っているアイテムである。今回俺は、前回の日記で書いたとおりフルフル相手に完全試合を演じたばかりということもあって、回復薬はもちろん、ホットドリンクも捕獲セットもすべて、自室のアイテムボックスにぶち込んできてしまったのだ。ここまで自信過剰になるってのもスゴイが、そういうときに限ってまんまとオチるってのもネタ用にわざとやってるんじゃないかと思えてイヤだよネ(もちろん、本気でやってる結果ですよ)。
まあでも、それなりにダメージは与えているはずなのでほどなく討伐することができるはず。俺はホットドリンクを持たない凍えた身体で再びフルフルと対峙し、「今度こそ慎重に!」と心の中で叫びながらガード突きを見舞いまくった。
ところが……。
パーフェクトが途切れたピッチャーってのは得てしてこんなものなのかもしれない。
慎重に相手をしてはいたのだが、寒さの影響で刻々とスタミナの限界値が減っていくものだから、ガード性能のスキルがうまく機能しなくなっていく。ガードできたところでスタミナはガクンと減るわけで、減ったところに追撃を食らうと甚大なダメージを受けるのは『モンハン』世界の常識ではないですか。まさにこのとおりのことをフルフルに実践されてしまい、怒りの放電ジャンプをガードしたまではよかったのだが、2回目の当たり判定は受け止めきることができず、思いっきりダメージを食らう。しかも食らった場所がたまたまガケのすぐそばで、我が分身はフルフルの腹の下でゴロゴロと転げまくる有様。こうなると悪いことは重なるもので、俺を腹の下に敷いたままフルフルは体内放電の構え。「やめろやめろ!」という俺の訴えなど聞いてくれるわけもなく、俺はバチュン! という凄惨な音とともに2度目の昇天を達成した。
「信じられん……。フルフル相手に2オチした……」
これを聞いた中目黒目黒は喜色満面となり、「よぉぉし!! 今度こそもらった!!」と会心の勝利宣言。しかし、本当にネタでもなんでもないのだが、この直後に目黒は「!!!!!!!!」と声にならない悲鳴を上げて、「やばい!! 俺も2オチしちゃいましたよ!!」と笑撃のカミングアウトをした。
「さあ、おもしろくなってまいりました!(笑)」と俺。「ちっともおもしろくないっすよ!(苦笑)」と目黒。ヘタレふたりがカッコつけて”タイムアタック勝負”なんておっ始めるからこういうことになるのである。
さあもうオチることは許されない。俺はエリア3に飛んで行ったフルフルを追いかけて、相変わらずの凍えた身体でフルフルに最後の勝負を挑んだ。竜撃砲の火焔と、執拗なガード突きの雨にさらされてバタバタと転びまくるメタボ飛竜。「いける!!」。俺はそう、確信した。
ところが……(何度目だ)。
ここが勝負どころと焦ったガンランサー、体力が少々減少しているのも構わず、横倒しになったフルフル目掛けて踏み込み突きを見舞っていく。しかしこのエリア3にはギアノスが棲みついていて、俺とフルフルの一対一の真剣勝負にさかんにチャチャを入れてくるのである。俺はギアノスの狼藉に怒り狂い、フルフルそっちのけでこの白いトカゲを追い掛け回す。すると、いつの間にか怒り心頭のご様子で立ち上がったフルフルが、青い光をほとばしらせたまま大ジャンプ!! 白くてブヨブヨしたその身体が、我が分身を直撃した。
「あっ!!!!」
と思ったときはもう遅い。残り1ミリとなった体力が続く体内放電に耐えられるわけもなく、信じられないことにフルフル相手にハットトリック……。こいつはとんでもない悪夢を見たものだ。
これはあえて言うなら、完全試合を目前にしたピッチャーが9回裏のマウンドに立ち、簡単に2アウトを取ってから油断をしたのか不運のデッドボール。パーフェクトの夢が潰える。ピッチャー、「あは。あはあは……」とテレ隠しの苦笑いを浮かべつつも「まだノーヒットノーランがある!」とばかりに気合を入れ直しつぎのバッターと対峙。ところが続くバッターが打った打球はフラフラとセカンドの後ろに落ちるアンラッキーなポテンヒット。ついにノーヒットノーランの夢も砕かれ、ついでに心も砕かれ、続くバッターにバックスクリーンに飛び込むサヨナラ3ランホームランを浴びて、パーフェクトピッチャーになるはずが気が付いたら負け投手になっていた……という状況に似ている。
しかし、話はここでは終わらない。なんと俺が3オチした直後にまたまた目黒が「あああ!!」と叫び、「ま、また電撃ブレス食らって落ちちゃいました!!!」と目黒は目黒でハットトリックを献上。なんとも締まらないタイムアタック大会の幕切れとなった。
さすがにうなだれて村に帰ってきた俺と目黒。
「俺たちふたりして、1匹のフルフル相手に”6オチ”ってことだよね……」(大塚)
「そっすね……。恐らく、世界記録なみの快挙かと……」(目黒)
はっきり言ってこのエピソード。
コラムで書きたくありませんでした……(苦笑)。
皆さんには、「こいつにだけは絶対に負けねえ!」と心から思えるモンスターはいますか? ホラ、せっかくの機会ですからよく考えてみてください。きっといるはずなのです、そういうモンスターが。ちょっと考えただけでも、ハンマー使いのダイミョウザザミ、ショウグンギザミに対する上から目線、ラオシャンロンに対するガンナーの余裕ぶっこきぶり、双剣使いがシェンガオレンに向き合ったときのニヤニヤ笑いなんてのが簡単に思い浮かぶでしょう。
で、俺はどうなのか。ガンランス、ランスをメインに使っている俺に、そういう上目線になれるモンスターはいるのであろうか。
いるんですよじつは。そういうモンスターが。限界まで不利な状況を思い浮かべたうえでも、「やっぱこいつには負ける要素がねえよなぁ(苦笑)」と、部下をいじめる上司のようなイヤらしい苦笑いまで浮かべてしまいたくなる、”絶対有利”のモンスターが。
何を隠そう、そいつは”フルフル”です。もちろん、亜種もしかり。もともとの防御性能に定評があるランス、ガンランスにガード性能+1のスキルを発動させたら、フルフル得意の体内発電時でもほぼ攻撃し放題。隙が大きい竜撃砲も動きが緩慢なメタボ飛竜には余裕すぎる態度でぶっ放すことができるので、フルフルを狩猟しているときのガンランサーは必ず(やっぱ俺のガンランスって最強の武器なんじゃね?)と勘違いさせられるのであった。
そんなフルフルの狩猟に、新・へっぽこ3人組の一員である中目黒目黒と出かけることになった。「電撃袋が欲しいのでゲリョスに連れて行ってください」と、相も変わらず知識もへったくれもないテキトーなことを言っているのを「電撃袋は上位のフルフルだからね、メグロちゃん」とやさしく諭して雪山に連れ出したのである。……いまさりげなく”上位”という単語を使ったが、じつは数日まえに俺、目黒、そして江野本ぎずもからなる新・へっぽこ3人組は、無事揃って上位に昇進したのである!! 出世出世!! そのときの顛末も、近い機会にここで書かせてもらおう。
で、フルフル討伐。俺は例のごとくガンランス(なんとガンチャリオットがすでに我が手に! これが完成したときのエピソードも近々ぜひ!)、目黒はハンマー(デッドリボルバー)を持っての出発だ。今回は素材目当てのクエストなので、あまり遊ばずにスピーディーに回したい。なのでシビレ罠セットもしっかりと準備。まったく抜かりはない。
そして思ったとおり、俺たちはあっと言う間に上位フルフルの捕獲に成功した。時間にして5分強。ほぼ完璧な立ち回りができたと思う。その証拠に、俺は持って行った回復系アイテムがひとつも減っていなかった。……それどころか、体力が1ミリも減少していないのだ。こ、これはもしや……。
「おいおい、俺、今回1回も攻撃受けなかったぞ」
俺のまわりの席で、「おぉ〜!」という歓声が上がる。そうこれ、いわゆる”完全試合”。もう4年もこのシリーズを遊んでいるが、こうもあからさまなパーフェクトを演じた記憶はほとんどない。さっそく俺は得意の絶頂に達し、「ふふふ。見たか見たか。ガンランスは最強なのだ!! 俺はじつは手練なのだ!! がはははは!!」と怪気炎を上げた。
しかし残念なことに物欲センサー発動しまくりの目黒は、必要数の電撃袋を得ることができなかった。なので再び、上位フルフル討伐に出発。超短時間で、しかも完全試合を演じた余裕から、俺はホットドリンク1個、シビレ罠ひとつ、捕獲用麻酔玉2個のみという究極の軽装で雪山に赴いた。
この回も途中までは非常に順調にクエストが回った。相変わらずいっさいのダメージを受けず、フルフルを攻撃しまくるガンランサー。ところが、「こいつは前人未到の2試合連続のパーフェクトか!?」なんて考えたのがいけなかったのか、フルフル怒りの帯電ジャンプをガードしきれず、微妙にダメージを食らってしまった。
「あ。パーフェクトが途切れた」
多少残念ではあったが、こういう記録はいつかは止まるものだ。俺は若干の苦笑いを浮かべながらも気落ちはせず、執拗なガード突きをフルフルに食らわせ続けた。今回も簡単に、こいつを料理することができるだろう。
しかし、そのときだった。
目黒が「あ!!」と頓狂な声を張り上げた。画面を見ると、目黒のキャラクターは微動だにせずに佇んでいる。攻撃を食らったそぶりもない。俺は不思議に思って、「なになに? どうしたの?」と向かいの席で”ムンクの叫び”のような表情で固まっている目黒に声をかける。すると目黒は「あうあうあう」とあえいだあとに、「スンマセン! 充電切れで画面が真っ黒に!!」と信じられないことをのたまった。それとハモるように、画面には”目黒が離脱しました”というメッセージが。なんか最近、同じようなことがあったなぁ……とぼんやり考えながらも、そもそもこのクエストは目黒が「電撃袋が欲しい」と言ったから来たのであって、俺はフルフルには特別な用事はない。
「しょうがねえヤツだなあ。じゃあ俺もリタイアするわ」
当然のようにそう告げてクエストリタイアを選ぼうとすると、再び目黒が「あ!!」と声を張り上げる。続けて「アダプター刺したら復活しましたよ!! ……大塚さんのキャラがいないけど……」とバイオリズムの頂点と底を思わせる発言をした。まあヤツが復活したところで俺がフルフルに用がないのは覆しようのない事実なので、俺は冷たく「あっそ。んじゃがんばって」と告げて再びクエストリタイアを選択しようとする。すると目黒はギラリと目を光らせてつぎのような提案をしてきた。
「大塚さん、せっかく同じ状態のフルフルがお互いの目の前にいるんですから、どっちが先にこいつを屠り去れるか、タイムアタック勝負しましょうよ!!」
おおお? ……生意気な!! この”完全試合男”に挑戦してくるとはいい度胸だ!! 俺は「がおぉぉぉ!!」と獣のように吠えたあとに「いいだろう。受けて立つ!!」と男らしく宣言し、ここに大塚角満vs.中目黒目黒の”上位フルフル討伐タイムアタック勝負”が始まったのであった。
……って長えよ俺!! そんなに引っ張るほど大した話じゃないので1話完結にしようと思っていたのに、あまりにもここまでが長すぎたので続きは来週の月曜日ってことで……(苦笑)。
週末は自分の文章の計画性のなさを反省して過ごしたいと思います。
いやあ飲んだ飲んだ……。
ここのところ連日、”会食”という名の”飲み会”にくり出して都内各地で管を巻いているわけですがね。昨日飲んだ相手は「いよいよラージャン登場か!?」と言いたくなるようなスゴ腕(なんのだ?)の御仁で、そりゃあもう楽しいのなんの。俺とその人は同い年なので、仕事やプライベートで置かれている立場が非常に似通っていて、お互いが何かを話すたびに「わかる!!!!!」、「そうなんですよね!!!!!!」と、ビックリマークをいくつつけても足りないくらいの同意度で、気がついたら30回くらい握手してました(笑)。
でね。
ぜんぜん『2nd G』と関係ないんだけど、その飲み会の席で「こんにゃろ……」と思ったことがあったので、なぜか読者の皆さんにご報告を。
2軒目に行った、女の子と話をしながら飲むという最近流行りのバー(非常にユニークな飲み屋です)で、やっぱりいい年したおっさんが行くと「俺って有名人で言うと誰に似てる!?」っていうどうでもいいアホな話になるわけです(読者の皆さん、ドン引きしないで)。で、いっしょに行ったその人は男前なので「あー! 俳優の○○に似てるー!!」とか言われてご満悦になってるわけだ! まあそうなると俺も俄然張り切るわけで、「じゃあ、俺は俺は!?」ってなるでしょう。すると俺の真向かいにいた女の子が、「あ!」と言い、期待と不安でドキドキしている中年男に向かってつぎのような衝撃のひと言を発したのです。
「アレアレ! 相撲に詳しくて髪が長くて、メガネかけたヒゲの人に似てる!!」
……おまえそれ、やくみつるさんだろ!!!!! ヒゲとかメガネとか、部品だけで判断すんじゃねえ!! こういうところでお客さんにそう聞かれたら社交辞令200パーセントでもいいから、「アイドルの○○クンに似てるー!」とか、「俳優の××さんに激似〜♪」とか言いなさい!! 確かに俺は相撲に詳しいけど、なんでそれ知ってんだキミは!! とかなんとか、わけのわからぬ説教を30分ほどその女の子にしてあげました(苦笑)。あ、でも俺は同じ好角家として、やくみつるさんは尊敬しております。マジです。
いやあ我ながら、なんでこんなこと書いてるんだろ……。以下からマジメな『2nd G』日記となります。
中目黒目黒の緊急クエストで失敗しまくってすっかり心が折れかかってはいたものの、「こんなところで立ち止まってしまったらご飯が食えなくなる!」と奮起して、自分に出ていた下位の緊急クエスト”迫り来る仙高人”を受注した。そう、シェンガオレンの討伐クエストである。シェンガオレン討伐は何かと手間がかかるので、本来だったら何人かの仲間で挑みたいところ。でもせっかくだから最初はひとりで出かけてみることにした。武器はロクなものを持っていなかったので、苦肉の策で当時持ってたガンランスコレクションの中でいちばん攻撃力が高かった”ティガバースト”を持って行くことにした。しかしどう考えてもガンランスがシェンガオレンに向いている武器とは思えなかったので、大タル爆弾G、大タル爆弾を限界数持っての出撃となった。
さあ始まりましたシェンガオレン討伐。ガンランスでこの巨大モンスターに挑むのは、おそらく初めてだ。さあて、どうなることやら……。お、きたきた巨大カニ。相変わらずデカイなおまえ……。さっそく、迫り来たうまそうなカニ足目掛けてティガバーストの切っ先を向けた。
しかし。
当たらない……。
ガンランスはその武器特性から、手数が非常に少ない。1発外しても手数の多さで補える片手剣や双剣とは真逆に立つ武器だ。つまり1回攻撃を外すと、それを挽回するのがとても難しいんですね。しかもシェンガオレンはひたすら前へ前へと進もうとするわけで、重くて機動力が欠如したガンランスで追いかけるのはひと苦労。しかも(しつこい)、データ引き継ぎをしなかった俺が”耐震”スキルの発動した防具など持っているわけもなく、1発攻撃を外すたびにユラユラと揺れる我が分身の身体と地盤の緩んだ砦の地面。当然、「むきーーー!」とムカついたときにはすでにカニの脚は遥か彼方でヒョイヒョイと動いている。こうなるとガンランサーの行き着く先は砲撃と竜撃砲しかないわけで、「よくも恥をかかせてくれたな!! そういう悪い子には竜撃砲だ!!」ってことで、脚に向かって竜撃砲の体勢をとる。ところが、「ふしゅー」とかっこつけた種火をチラチラとほとばしらせているうちに、またまたシェンガオレンの脚はずんがずんがと前に進んで行く。「あ!!」と思ったところで走り出した竜撃砲の火焔は青春時代の恋愛のようにとどまることができず、何もない虚空で「ぼわん」と虚しく空気を焼くばかり……。オノレのアホな行為に本気で赤面しながらも、「俺にはまだ、大タル爆弾がある!!!」と無理に強がって、シェンガオレンが止まったところで足元に大タル爆弾Gを設置していく。「さあ食らえ!!」と思って起爆用の小タル爆弾やペイントボールを探してみたが、「シェンガオレン討伐には必要ないよナ」ってことでそういったアイテムはすべて、自室のアイテムボックスにぶち込んでしまったことをふいに思い出す。結果、「わああ!! もうダメだあ!!!」とばかりに愛と悲しみのローキックで大タル爆弾Gを起爆し、体力の大部分をオノレの無意味な行為で奪われ、立ち上がりざまにシェンガオレンの無表情な16文キックをかまされて、俺は本当に何もせぬまま天に召されたのであった……。
このバカバカしいクエストで得た教訓は、”やっぱり武器とモンスターの相性は重要だナ”っていう、ベテランハンターらしからぬものだけでありました。完。
ここのところ毎日のように新・へっぽこ3人組の愚行を書いていたら、すっかり疲弊しちまったよ……(苦笑)。この新・へっぽこ3人組のシリーズを読んだ身内からも「あんたらのあまりのアホさに、笑う以前に泣けてきた」って言われるし……。……まあいいけどね! 楽しければね!
この、4回にわたって書いた中目黒目黒の緊急クエスト”絶対強者”をクリアーしたあとも、俺たち3人は早く上位になりたい一心で集会所の★5のクエストを精力的に消化していった。まあそのときも、ハプニングというか自業自得というかヘタレプレイというか……とにかく作りではない素のおバカプレイが続発したので、読者の皆様は楽しみにしていてください。でも、いまはちょっと休憩を(苦笑)。
……って、本当に”休憩”ってことでここで終わりにする手もあるのだが(ないか)、今日はちょっと趣向を変えて、この大塚角満のギルドカードの中身を覗いてみたい。というのもこの『2nd G』は、眺めているだけで半日くらいは時間が潰せちまうってくらいギルドカードが大パワーアップされており、先日などは夜の12時にギルドカードチェックを始めたらまんまと夜が明けて出勤時間になっていた……ってくらい、実生活に影響を及ぼすほどの成長を遂げているのだ(ウソです)。
で、今回のギルドカードで俺的にもっとも気になっている……というか、「むむむ」と思ったのが”武器使用頻度”のページだ。読んで字のごとく、そのハンターがどの武器カテゴリーをどれだけ使っているのかが視覚的に一目瞭然となっているページである。
さて、俺は『モンスターハンター2(ドス)』の時代から、「我こそは生粋のガンランサー! ガンランス以外の武器はほとんど使わぬ!」ということを、このブログはもとより、ファミ通コネクト!オン誌や週刊ファミ通誌上で臆面もなく公表してきた男である。”ほとんど”ってのがどれくらいの大きさを指すのか、それは個々の判断に任されるところではあるが、使用割合が”ガンランス<ほかの武器”という状況であったなら、よっぽど厚かましい神経を持ち合わせていない限り”ほとんど”という言葉は使えまい。しかし実際のところは、俺がどういう頻度でどの武器カテゴリーを手にしているかは、頻繁にいっしょに遊びでもしない限りブラックボックスの中となっており、読者の皆様方におかれましては「ガンランスガンランスって言ってるけど、本当はそんなに使ってないんじゃないの?」とか「自分を特徴づけるためにガンランスを連呼しているだけに決まっている」と思われる向きもあるのではないでしょうか?
で、このギルドカードだ。こいつを覗くと本当に赤裸々に、自分がどの武器カテゴリーを使っているかが一目瞭然となってしまっている。しかもギルドカードを交換すると、交換した相手の行動状況もすべて見えてしまうので、俺からすると大ピン……じゃなくて、非常におもしろいことになるのです。穿った見方をすると、これは角満のガンランス縛りのために導入されたシステムではあるまいか!? なんて思っちゃったりもするのだが、それは自意識過剰というものですね。そうですね。
さて、いい具合にたくさん文字を書いたところで、2008年4月9日現在の、大塚角満の武器使用頻度を公開しよう。赤裸々に、以下のとおりとなっている。
●大剣……0
●太刀……0
●片手剣……0
●双剣……2
●ハンマー……0
●狩猟笛……0
●ランス……0
●ガンランス……135
●ライトボウガン……3
●ヘビィボウガン……0
●弓……0
どうよコレ!! すげえガンランサー度!!! これなら”大塚角満=ガンランサー”っていう公式が余裕で成り立つ!! ガンランスが『モンハン』に導入されてから苦節数年。ついに数字の上でもはっきりと、「俺はガンランサーだっ!!」と声を大にして言える日が来た……(涙)。え? 「最初からそういう数字になっていることをわかっていたから姑息に公表したんだろ?」ですって? zzz……。
ちなみに、ガンランス以外の武器を使ったのはたったの5回なので、かえってそのときの記憶のほうが鮮明に頭に残っていたりする。双剣とライトボウガンを持ち出したのは、自分の緊急クエストで出てきたラオシャンロン、シェンガオレン討伐のクエストと、中目黒目黒、江野本ぎずものシェンガオレン討伐クエストを手伝ったときだ。やっぱ彼らは、ランス系の武器では荷が重い……。
またちょっと進行したら、ここで赤裸々にしたいと思います。
「もういい加減おまえらのヘボい失敗談は読み飽きた」なんて言わずにもう1回だけお付き合いください。今回で、大塚角満、中目黒目黒、江野本ぎずもによるティガレックス討伐(下位だけどな!)のお話は完結です。
新・へっぽこ3人組のひとり、中目黒目黒が出した集会所下位の緊急クエスト”絶対強者”。『2nd』の象徴と言われるティガレックスを討伐することが目標のこのクエストに、上記の3人で挑んだわけだ。しかし! ファミ通のニュース担当記者が3人がかりで襲い掛かってもティガレックスはどこ吹く風。見事、3回連続で”クエスト失敗”となったのであった。
で、4回目。
「もう背水の陣! これでダメだったら目黒の『モンハン』人生はここまでだったってことで!」(大塚)
「今度こそ本気でやるので大丈夫です! まったく自分がオチる映像が思い浮かばない!」(目黒)
「そういう目黒さんがやられなければクリアーできるんだから死ぬ気でやってよ!!」(江野本)
ってな感じで3人とも気合入りまくり。とっととこのクエストをクリアーしないと3人で先に進めない、ってのもあるが、何よりも早いところ片づけて家に帰りたいという思いが強かったので、そりゃあ気合も入るってものである。
そして始まった4回目の”絶対強者”。武器は俺がガンランス(マリンフィッシャー)、目黒が大剣(フルミナントソード)、江野本が片手剣(ヴァイパーバイト)を装備し、それぞれがシビレ罠や閃光玉といったアイテムを山ほど持っての挑戦である。
3回目と同様このときも、勝敗の天秤は我々サイドに傾いていたと思う。経験の少ない目黒、江野本も、さすがにこんだけやってりゃティガレックスとの距離感もつかめてきて、なかなか巧みに立ち回っている。その証拠に、これまでの狩猟では一向に麻痺るそぶりを見せなかったティガレックスが、江野本のヴァイパーバイトの一撃でビリビリと麻痺ったのである! これに驚いたのは麻痺った当事者のティガレックスではなく、俺と目黒だ。
「!!!! ええええのっちの攻撃でティガが麻痺った! 奇跡!!」(大塚)
「ホントにえのっちの攻撃による麻痺なんすか!!? 奇跡!!」(目黒)
無遠慮に素で驚く俺たちの姿を見て、ラージャンのように毛を逆立てる江野本。
「奇跡って、どういうことッスか!! むきーーー!!」
こういった奇跡に守られて、俺たちは尻尾切断と部位破壊に成功。いよいよ勝利が見えてきた。しかし、「もう完全に失敗する要素がない」ってところできっちりと仕事をするのが中目黒目黒という男。相変わらずの学習能力のなさをひけらかして、怒りティガレックスの回転アタックを食らって1オチ、さらに復帰したとたんに怒り突進を食らって2オチ。俺と江野本がお地蔵さんのような(−_−メ)という表情になったとして誰に責められようか。
「おまえこのクエスト、クリアーしたくないんじゃないのか!?」(大塚)
しかし、トラブルメーカーの目黒がキャンプに強制送還されたところで、再び江野本の”奇跡の麻痺”が炸裂。「でかしたえのっち!! 竜撃砲いくぞ!!」という掛け声とともにマリンフィッシャーから凶暴な炎が噴き出して、ティガレックスの顔面を焼いた。これを合図に、ズリズリと足を引きずり出すティガレックス。俺と江野本は同時に叫んだ。「ティ、ティガが足を引きずってる!!!」。
さあいよいよ最終決戦。モンスターの巣穴である3のエリアに乗り込んで捕獲をするだけだ。この瞬間のために、キチンとシビレ罠をひとつ残してあるのはさすがベテラン大塚角満。しかしアホなことに、ティガレックスが降り立つ地点を完全に勘違いしていて、実際の着地点と対角線上のいちばん遠いところにシビレ罠を作ってしまった。でもまあ、これは誘導すれば解決する問題。エリア3にノコノコと現れた目黒もいっしょになって、シビレ罠越しにティガレックスを挑発した。「ホレホレ! こっちに来いティガ!」と。ここで目黒が珍しく、戦略上でじつにためになることを俺たちに言った。
「こういった遠距離で怖いのは、投石だけですよ! それさえ食らわなければついに決着ですよ!」
うん、確かにこの距離だったら、危険な攻撃は投石だけだ。見るとちょうど、ティガレックスがバックスイングをして投石しようとしているところである。
「うわ! 本当に投石くる!!」
あまりのタイミングのよさにパニックになる3人。その刹那、バヒュン! と糸を引きながら3個の大岩が飛んできた。江野本のキャラが咄嗟に緊急回避する姿が目の端に映る。それにならって俺も、緊急回避で岩をかわした。そのときだった。
”目黒が力尽きました−−”
というナゾのメッセージが画面に流れた。
「え」(大塚)
「え」(江野本)
「あ」(目黒)
永遠とも思える0.5秒ほどの空白の時のあと、俺と江野本が喉も割けよとばかりに絶叫した。
「メグロォォォォォ!!! 自分で言っといて投石でオチるなーーーーっ!!」(大塚)
「ちょっとーーーーっ!!! なんでこの土壇場でオチるのよーーーーっ!!」(江野本)
銅像のように固まっていた目黒は酸欠の鯉のようにパクパクと口を動かし、うわごとのように「い、岩が……岩が……」とくり返すだけであった……。
結局俺たち3人は4回連続でクエストに失敗し、その日は「もう疲れた……。やるなら明日な……」とぼそぼそとつぶやきあって会社をあとにした。そして、喉元過ぎれば熱さ忘れるじゃないけど、4連続失敗の傷が癒えた3日後に5度目の挑戦をし、かなり余裕でクエストをクリアーすることに成功した。
あー長かった(苦笑)。これにて、新・へっぽこ3人組のティガレックス討伐話は終了です。それにしても、情けない失敗談を4回続けてコラムにしておいて、”成功した”っていう話はたったの70文字で済ませてしまうところが俺らしいというかなんと言うか……(笑)。
えーっと、どこまで書いたっけな……。
ここまで2回続けて書いてきた中目黒目黒の下位緊急クエスト”絶対強者”のお話ですが、本当に返り討ちに合い続けて、(いったいあの出来事は何回目の挑戦で起こったことだったっけな?)と、メモを見ながらも記憶がこんがらがってくる有様です。それくらい俺たちはティガレックスの前に累々たる屍を築きあげてしまったのであります……。
さて、今日は何を書けばいいんだっけな。前回自分が書いたコラムを読むと……2回目のクエスト失敗のことまでは書いてある。つーことは今回は、あのアホらしい3回目の惨状をここに晒さなければいけないわけか(苦笑)。本当はここらで「3回目にして壮絶な狩猟にケリをつけた!!」というような記事を書きたいんだけど、現実がねぇ……(シミジミ)。前フリはこれくらいにして、本日もいってみましょー。
2回続けてティガレックスに屠り去られ、意気消沈する新・へっぽこ3人組の面々。こうなってくると、3人が3人とも疑心暗鬼のカタマリと化す。
(こいつらはまったくアテにならん。俺がひとりで狩らなければ!)(大塚)
(俺の緊急クエストだからってふたりともテキトーすぎる! やっぱり俺がひとりでやらねば!)(目黒)
(男どもが頼りにならないのがよくわかった! ここはあっしがひとりで!)(江野本)
間違いなくそれぞれがこう思っていたことだろう。
それでも俺たちは表面上では「どんまい! もう1回やろう!」、「気にしない気にしない! つぎこそ本気で!」、「今度は罠とか閃光もたくさん持っていきますよ!」とお互いを励ましあい、3度目の雪山登山を開始した。
この3回目の挑戦、非常にうまく回った。さすがにこれだけやってりゃティガレックスの動きも読めてきたのか、目黒も江野本もなかなか巧みに立ち回っている。俺も前半からとばしまくり、携帯用シビレ罠と持参したシビレ罠をふたつ使い(調合素材を持ち込んで現地で3つ使えるようにしてある)ティガをハメまくってやった。尻尾の切断や部位破壊も難なく成功。「いける!!」と俺たち3人は声を揃えた。
しかしそうなってくると簡単に油断するのが目黒という男なのである。例のごとく、「オマエそれ食らうの何度目だ!?」と目を剥きたくなるような緩慢な動きで怒りティガレックスの回転アタックを思いっきり食らい、あえなく即死。そして復帰したと思ったらまたまた怒りティガレックスの猛烈なタックルを連続で食らいあっと言う間に2オチしやがったではないか!! こうして目黒は、まるで学習能力のないことを赤裸々に見せつけ、俺と江野本を"1死クエの恐怖"に叩き込んだのである。当の目黒は、自分が連続オチしたことなどお構いナシにふにゃら声でこんなことを言った。
「さあこれで1死クエですよ! 緊張感が高まってきましたね!!」
俺と江野本は同時に「おまえが言うな!!!」と声を荒げ、ますます(ひとりでなんとかしなきゃ!!!)の思いを強くしたのであった。
俺は目黒に期待することをいっさいやめ、それまで以上に果敢に攻め込んでいった。防御力はペラペラの装備だが、ガード性能+1のスキルが発動しているのでティガレックスの攻撃はほとんど完璧に防御することができる。俺はガードの姿勢のままティガの眼前ににじり寄り、「うりゃうりゃ」とガード突きを食らわせ続けた。この攻撃を露骨に嫌がる雪山の強者。勝利を確信し、「おい! いい感じだぞ!」と俺は目黒と江野本に告げた。
ところがこうなってくると、簡単に油断するのが大塚角満という男なのである。調子に乗ってガードを続けているうちにスタミナゲージが真っ赤っか。この状態だとガード性能も何もあったものじゃない。「あ!!」と思ったときには怒りティガレックスの回転アタックを食らい、さらに狩猟のドサクサで発生したブランゴに小突かれて、なんと壁際でピヨピヨ状態になってしまったではないか!! やばい!! やられる!! 俺は深夜の編集部で本気で絶叫した。
「きゃーーーーっ!!! 目黒ォォォ!! えのっちーー!! 助けてくれえええ!!!」
残り1ミリとなっている俺の体力ゲージを見て、目黒も江野本もビックリ仰天。「いいいいま閃光投げますから!!」と目黒。「ああああ!! 何とか逃げてください大塚さーん!!」と江野本。ふたりの切羽詰った声が、俺をさらに焦らせる。「わーーー!! もうダメだあ!!」。絶叫しながら、俺はPSPのボタンをガチャガチャガチャガチャと押しまくった。
そのとき、妙なことが起こった。俺のPSPの画面がいきなり真っ暗になったのである。「???」と頭の上にクエスチョンマークを飛び出させる俺。見ると、目黒と江野本の頭の上に「!!!?」という記号が飛び出している。ふたりが絶叫した。
「ちょっと大塚さん!! なんで離脱するんすか!!」(目黒)
「あっしの画面でも大塚さん離脱だって! どうしたんですか!?」(江野本)
へ? 離脱? ガチャガチャといじくっているウチに光が戻った画面を見ると、俺じゃなく、目黒と江野本のキャラが離脱した旨がメッセージとして流れているところだった。俺は大いに憤慨しながらふたりに言った。
「何言ってんだ。離脱したの俺じゃなくて、目黒とえのっちじゃ……」
そこで俺はハっと気づいた。ももももしかして俺は……。
「あ……。ゴメン……。ティガに追い詰められて興奮して、電源スイッチをスライドさせて離脱しちゃった……(苦笑)」
このカミングアウトを聞いた目黒と江野本の怒りようったらなかった。「いちばんやっちゃいけないミスじゃないっすか!!」、「あなた、シロウトじゃないんですからね!!」、「本当に大塚角満ですか!?」と言いたい放題。俺はひたすら「しぃましぇん……」とうなだれつつも、狩場で期せずしてふたりっきりになってしまったティガレックスの捕獲を試みた。するとあっさり捕獲成功。俺は嬉々としてふたりに告げた。「おいおまえら! このティガ、もう捕まえられるぞ! いま試したら捕まった!」。とたんに顔を青くする目黒と江野本。ふたりは同時に叫んだ。「捕獲セットがないです! 討伐します!!」。それを聞いた瞬間、俺は確実なる死の予感を覚えた。
そして予想通り、ティガレックスが逃げ帰った3のエリアでまたまた目黒が壮絶な昇天(苦笑)。これで3回連続で、同じクエストを失敗したことになる。上位のティガレックスならまだしも、これはあくまでも下位のクエストだ。もう、”壁になる存在”としてティガレックスを生み出した制作陣の術中にハマりまくりすぎで、呆れ果てるしかない。そんな、呆然とする俺(じつは腹を抱えて笑っていたのだが)に向かって、江野本が信じられないことを言った。
「あっしが毒らせた(今回、江野本は毒片手剣で挑んでいた)ティガを離脱した大塚さんが持っていっちゃった……。毒ってるほうがウチらのほうに来れば倒せたのにナァ」
どうやら遠まわしに、離脱した俺を非難しているようだ。俺、再びうなだれて、「し、しぃましぇん……。もう1回お願いします……」と涙声でつぶやいた。
※開き直って、へっぽこ3人組のティガレックス討伐、もう1回書いてやる! もうちょっとだけ、お付き合いください。アホらしすぎて、書くことがたくさんあるんす……(苦笑)。
というわけで結成された、新・へっぽこ3人組(大塚角満、中目黒目黒、江野本ぎずも)。目黒に出ていた集会所下位の緊急クエスト、”絶対強者”に挑む。相手は『2nd』の象徴と言われる猛者、ティガレックスなわけだが、なんだかんだ言って下位のモンスターだし、その気になればひとりでも、いまの装備で十分倒せるレベルと思われる。なんたっていちばんキャリアの浅い女ハンター・江野本ですら、このクエストはクリアーしているのだ。それを3人がかりでアナタ。しかも我々、ゲーム雑誌週刊ファミ通の記者ですよ! 失敗する理由が見当たらない!! というわけで何の作戦も立てないまま、3人とも「余裕余裕♪」と口笛を吹きながらティガレックスの待つ雪山へと赴いた。
それでも俺は一応、ベテランハンターなので、それなりの準備はキチンとしてきた。シビレ罠は、支給品の携帯シビレ罠を合わせて4つ作れるように調合材料も持参。ピンチのときに投げるように閃光玉も5つ携帯している。怖いのは俺以外の目黒、江野本がティガに昇天させられることだが、ふたりともガードができる武器(前回参照)だし、そうそうヘマはしないだろう。見ると、俺や目黒の前を、江野本のキャラが元気に走っている。おお。なんか気合入っているなあ。そんな江野本の姿を見て、目黒が不吉なことを言った。
「まるでえのっち(江野本のニックネーム)がリーダーのように、俺や大塚さんの前を走っています。なんだか非常にイヤな予感がします」
それを聞いた江野本、すぐさまギズモからグレムリンに変身し、「ちょっと!! どういう意味っすか!!」と大逆上。俺、ゲラゲラ笑いながら「まあがんばんべ(笑)」と群馬弁で答えた。
雪山のエリア8に行くと、いましたいましたティガレックス! さっそく「バォォォォ!!」と吠えてらっしゃる! それを見て目黒が、「わああ! なんかおっかねえ!!」と叫ぶ。どうやらこの男、ティガレックスとまともに対峙するのはこれが初めてのようだ。それでも生来のテキトー男・中目黒目黒。何の危機感もないままノコノコとティガレックスに接近し、思ったとおりティガの回転アタックをまともに食らって1発で昇天した。
「わあ! 1発でちんだ!!」
確かまえにもこんなシーンがあったなぁ(参考記事)……とぼんやり考えながらも、驚異的にあっけない昇天劇に俺は笑いが止まらない。「アホか! 簡単にやられすぎだ!!(爆笑)」。しかしあまりにも笑いすぎてると操作がお留守になるのは当然で、執拗に追い回してくる怒りティガレックスの猛攻をかわしきれない。俺は大いに慌て、「うわわわわ!」と笑いを驚きに変換して逃げ惑うもスタミナゲージはとっくの昔に真っ赤っか。「きゃーーーー!」と女のように叫んだころには、俺は目黒と仲良くベッドを並べてキャンプに転がされていた……。開始僅か数分。「装備はへっぽこだけど腕はへっぽこじゃない」と豪語していたベテランふたりがアっと言う間にノされてしまった。この惨状に、誰よりもブったまげたのが生き残った江野本である。
「ちょっとぉぉ!! 何ふたりして呆気なくやられてるんスか!! 頼りにならないなあもー!!」
俺と目黒、何の反論もできず「し、しぃましぇん……」と平身低頭。結局このクエストは、尻尾を斬って剥ぎ取りをしたまではよかったが、復帰した目黒がまたもやティガレックスの回転アタックをまともに食らってジ・エンドとなった。
村に戻ってきた俺と目黒、これ以上はないってくらいの苦笑いを浮かべながら「ま、まあ1回目は様子見、ってことだったからネ……」、「そ、そうですよね。まずはティガがどんな動きをするのか見ないと……」と口々に慰めあう。江野本は呆れ顔で「へぇ〜。そんなこと言ってましたっけねー」とすっかり俺たちを軽蔑した様子だ。こここ、これはいかん。ファミ通の副編集長とデスクが、こんなところで部下からの信用を失くしてはならぬ! 俺は言った。
「今度はダンコたる決意を持ってティガに挑むことを誓います! つぎこそこのクエストをクリアーしようではないか!」
目黒が応える。
「そうですとも! つぎは僕も本気でやりますよ!!」
というわけで、2回目のティガレックス討伐作戦がスタートした。今回はさすがの目黒も、不用意にティガに接近しようとはしない。ていうか、すっかりビビって「怖くて近寄れない……」なんてブツブツ言っている。どうやら本格的に、ティガレックスは目黒のトラウマモンスターになったようだ。そしてこれに追い討ちをかけるように、怒り状態になったティガレックスが放った岩が目黒を直撃! 当然のように1発昇天である。
「……」(大塚)
「………」(江野本)
「…………」(目黒)
まあ目黒の昇天は計算のうちである。俺はシビレ罠をフル活用してティガレックスの動きを封じ、ガンランスの竜撃砲、砲撃で頭と爪を破壊し、尻尾の切断にも成功した。「いけるかも!」。そう叫んだところで、今度は江野本がティガレックスの突進をまともに食らって壮絶に昇天した。
「ぐぎゃーーーー!! ごめんなさい!!」
と深夜の編集部で絶叫する江野本。これを見た俺と目黒はなぜかホっと胸をなでおろし、ニヤリと笑いながらそっと目配せした。俺の心に、目黒の心の声が流れ込んでくる。
(やっとえのっちがオチてくれましたよ!!)(目黒)
(これで俺たちの威厳が保たれるな!!)(大塚)
結局このクエストも、復帰した目黒があろうことかまたまた回転アタックを食らって昇天。いいところなく終了となってしまった。
……しかし長いなこの話!!(苦笑) じつはまだまだ続きがあるんですけど、これ以上読者の皆さんに読ませるのは心苦しいので、続きは月曜日に……。ぶっちゃけ、次回がいちばんおもしろいと思います(笑)。
ではまた来週〜。
初代『モンスターハンター』を遊び始めてすぐのころ、部下の中目黒目黒、ネット友だちのBの3人で、リオレイア討伐に行ったことがある。まだ3人とも初期中の初期の装備で、しかもリオレイアに挑むのはこのときが初めてなものだから、モンスターがどういう動きをするのかもさっぱりわからない。結果、そりゃあもういいようにボコボコにされて、「『モンスターハンター』にはこのような強大な相手がいるのか!!」ということを強烈に印象付けられることになったのである。このときの出来事があまりにもおもしろかったので、のちにブログで”へっぽこ3人組の挑戦”というタイトルのコラムを書いた(拙著『本日も逆鱗日和』に収録)。
で、現在。
このブログの読者の方々は知っていると思うが、俺は『2nd』のデータ引き継ぎを行わず、イチから『2nd G』に向き合っている。俺の会社の席のまわりで最初からプレイしている人間に前述の中目黒目黒がいて、ことあるごとに「弱っちいふたりで協力して生きていきましょう」という話をしていたりするのだ。
そんなある日、目黒が「大塚さん、なんだかヤバそうなクエが出たんですけど、いっしょに行ってくれませんか?」と懇願してきた。見ると、集会所下位の緊急クエスト”絶対強者”が出ているではないか! そう、『2nd』を象徴するモンスターであるティガレックスを討伐するクエストだ。ちなみに俺はこのクエスト、親類の大学1年生・S君に付き合ってもらってクリアーしている。俺は即座に難色を示した。
「ティガ討伐か……。俺たちのしょぼしょぼの装備だと、相当な気合入れないと難しいかもよ……」
俺はこのとき、なんとか強引にガード性能+1を発動させた装備を作ったばかりで、恐ろしいことに足はまだマフモフのままだった。防御力の合計はちょうど100くらい。驚くほどのペラペラ度である(いま気づいた。”このとき”じゃないや。いまでもそうだ……)。ちなみに目黒は、初代『モンハン』のころから愛用しているボーン装備で身を固めている。総防御力はやっぱり100ほど……。こんな画用紙装備のくせに、当の目黒は妙に自信まんまんである。
「大丈夫ですよ! 何とかなるはずです! でもふたりだと確かに不安なので、えのっちを連れて行きましょう」
えのっち、というのは、我がファミ通ニュースチームの紅一点・江野本ぎずものニックネームだ。しかしここでの目黒の論理はおかしい。江野本が加わったら昇天する可能性が高い人間がひとり増えるだけで、より早く村に帰ってくる確率を高めるだけではなかろうか。彼女は一応、『2nd』を軽くプレイしていて、データの引き継ぎも行っている。しかし見せてもらったデータは「おまえ、ホントに引き継ぎしたの?(笑)」と言う程度のもので、ぶっちゃけ、イチから始めている俺や目黒と大差はない。でもこのパーティー、結構おもしろいかも。俺は瞬時に冒頭の”へっぽこ3人組”のことを思い出して、ニヤリと笑いながら目黒に言った。
「うん、そいつはおもしろそうだ。ぜひ、新・へっぽこ3人組を結成してティガレックスに挑もうではないか」
さっそく江野本に「えのっち、目黒の緊急ティガ行くから用意して」と命令する。江野本はギズモのように目を見開いて、「マジっすか!! 行きます行きます!」とデカい声を出した。そんな江野本に向かって目黒は、「我々3人で新・へっぽこ3人組を結成するから。ただし、俺と大塚さんはイチから始めた影響で装備がへっぽこなだけであって、腕がへっぽこなキミとは違うから」と慈悲もへったくれもないコメント。怒り心頭に発した江野本はとたんにグレムリン化して、「んなことないッスよ!! こう見えて、あっしも結構やってるんですからね!!!」と猛抗議。俺と目黒はゲラゲラと笑いながら、「ま、行ってみるかね(笑)」とかなりゆるーいモードで雪山へと赴いた。ちなみに武器は、俺がガンランス(マリンフィッシャー)、目黒が大剣(フルミナントソード)、江野本が片手剣(ヴァイパーバイト)。……じつはいま江野本に「えのっちが持ってた片手剣って、デスパライズ(かなりの麻痺精度をほこる片手剣)だったよね?」と確認したら、「いえ……。素材がなくてデスパライズの前で止まってるんです……」と言われてしまった。じつはこれから書こうとしている一連のティガレックスクエストの最中、俺と目黒はいつ江野本が麻痺らせてくれるのか期待していたのだが、まったくと言っていいほどティガは麻痺状態にならなかった。その理由がいまになってわかりました(笑)。
長くなっちゃったので、続きは明日にしますね。
※追加※
このコラムを読んだ江野本ぎずもが「ひどい!」と抗議してきました。「何回か麻痺ったじゃないですか!」と(笑)。江野本の活躍っぷりは、月曜日にアップ予定の”新・へっぽこ3人組の挑戦 その3”で書かれる……はずです!! たぶん(笑)。
これで機嫌を直してくれるといいのですが……。
それにしても、初期装備のハンターは弱い。もう驚異的なくらい、小型モンスターの攻撃で青色吐息となる。そういうのも『モンハン』シリーズの楽しみのひとつではあるのだが、それにしたって弱いっすなー……。
まあでも、それを補って余りある存在が『2nd G』にはいる。そうです。あの、”オトモアイルー”ですよ皆さん!! もうかわいくてかわいくてタマラナイ(涙目)。ソフトの発売以前から何度かオトモアイルーを体験プレイさせてもらってはいたのだが、やっぱり自分のデータでイチから育てているこいつのかわいさは、ちょっと頭抜けて凄まじいものがある。体験プレイでは、ここまでのかわいさはわかりませんでした……。
というわけで最初のオトモアイルー、その名も”オリガミ”ちゃんを連れてドスガレオスを討伐するクエスト”大地を泳ぐモンスター”に出かけてみた。このオリガミという名のオトモアイルー、打撃メインでおもに武器による攻撃をするという性格をしているのだが、そういった性癖が気に入って採用したわけではなく、単純に名前がかわいいから我が友に選ばれたのであります。やっぱり名前って重要だよねー。このコだったら、大型モンスターをガン無視してアプケロスだけを攻撃していても全部許せます。とにかく、つねに傍らにいてくれさえすればいい!! ネコ命の俺は、狩猟を優位に進めるとかいうベクトルではなく、ソロプレイ時の寂しさを払拭してくれるパートナーとして、オトモアイルーの存在を捕らえているのでありますね。ま、こういったハンターがひとりくらいいてもいいべ。
で、ドスガレオス討伐なんだけどね……。
ドスガレオスなんてアナタ、『2nd』をプレイしていたときはブループロミネンスやらクロームデスレイザーやら、とにかくこの世のモノではないだろう的な凶悪な武器をもってして5分とかからず討伐していた”最弱”クラスの大型モンスターですよ。でも、いまの俺にとってはかなり強大な存在。相変わらずマフモフから一歩も先に進めていない防具で、武器もようやくマリンフィッシャー(水属性のガンランス)になったところ。まあ武器はいいとしても、マフモフの”6”という信じられない防御力では、ドスガレオスの尻尾ビンタに1発当たっただけで昇天しかねない。俺は傍らのオリガミちゃんに「このクエストをクリアーできるかどうかは、キミの手腕にかかっているからね」と本気で語りかけながらクエストに出発した。
それでもやっぱり、初代『モンハン』の時代から数えたら5000時間は下らないプレイ時間を誇るこの俺。ドスガレオスの性格というか行動パターンも、まるで恋人のソレのように熟知している。オリガミちゃんもそこそこ活躍して、回復薬もほとんど使わずにドスガレオスをボコボコにすることができた。
途中までは、ね……。
ドスガレオス討伐クエストには、当然顔でゲネポスが出現する。それは初代『モンハン』の時代から続いている慣例のようなもので、ゲームがある程度進行すれば、そうそう気にする存在でもない。実際、『2nd』をプレイしていた時代は「あー……。またゲネポスがいるねぇ」ってな具合に、砂漠の風景の一部でしかなかったのだが、いまのこの、マフモフ全開の装備で出会うとこんなに鬱陶しい存在はおりませぬ。とくに今回はひどかった。こっちが真剣にドスガレオスと対峙しているところに遠くからゲネポスの野郎が大ジャンプしてきて、それがことごとく俺にヒットして毎回毎回麻痺状態にさせられる。なんとこのゲネポスの麻痺コンボ、4回連続で続いたうえに、今度はドスガレオスが砂中から飛び出してきて俺にタックル。恐ろしいことにこれにも麻痺の効果がついていて、なんと俺はただ立っていただけなのに5回連続で麻痺状態にさせられてそのまま昇天しましたとさ……。
これが、『2nd G』における初めての昇天です……。「レウスと向き合うまで昇天することはなかろう」とベテランハンターっぽく確信していたんですが、よりによってドスガレオスとは……。
もうホント、ゲネポスさんカンベンしてください……。
『2nd』の650時間分のデータが入ったメモリースティックは封印しました。長年使い込んできた旧型PSPといっしょに、「いままでご苦労様でした!」という気持ちを込めて、自宅の机にそっと祀ってあります。
そういうわけで本当に、『2nd』時代に集めた装備をすべて捨てての新たなハンティングライフが始まった。1年数ヵ月ぶりに、マフモフ装備でポッケ村に佇む我が分身を見て、懐かしいやら寂しいやら、一種独特なフクザツな気分に苛まれる。マフモフ装備の防御力は……うは、合計で6か……。ファンゴに突進されただけで重傷負うぞ……。でもしばらくは、これで生活していくしかない。俺はアイテムボックスに入っていた初期中の初期の武器でボロボロのガンランス”骨銃槍”を手にして、「またこいつからか……」と少々うんざりした。しかし、俺ほどの経験と知識があれば、アレヨアレヨと言うまにクエストをクリアーし、いまの妙な敗北感など遠い昔の甘酸っぱい思い出に成り果てるであろう。俺は、栄華を誇っていた『2nd』時代の自分を思い出しては「はぁ……」とため息をつき、でもそういうことばかり考えているとまったく前に進めなくなるので、無理矢理セレブ時代の自分の姿を頭から締め出して、クエストへ出発するための準備を始めた。以前ここに書いたが、俺は『2nd G』からのデータ引き継ぎをしているので、ハチミツや回復薬といった消耗品と、いくばくかのお金は持っていた。そういった”セレブの名残”をカバンに詰め込み、一路、ギアノス討伐を果たすために雪山に赴いたのであった。
今回のクエストは、ギアノスを倒すのはもちろんなのだが、クエスト時間の大部分を”採集”にあてようと思っていた。とりあえず斬れ味ゲージが壊滅している骨銃槍じゃどうしようもないので、一刻も早く緑ゲージが出現しているガンランスを製作しなければならない。まず俺が狙いを定めたのは、氷属性のガンランス”スノウギア”。これならば、ギアノスの素材と鉄鉱石がいくつかあれば作ることができる。これを、緑ゲージがそこそこ長く、放射型の砲撃ができる水属性のガンランス”マリンフィッシャー”まで成長させよう。そうすればしばらくは、安定した狩りができるはずだ!
こういったことを頭の中で考えていると、無性にワクワクしてくる。イチから装備を構築することを最初は面倒に思っていたが、こういった思考こそが『モンハン』シリーズの原点なんだなと改めて気がついた。虫あみを片手にフィールドを駆け巡り、「やった!! セッチャクロアリ出た!!」、「ららら雷光虫!! 超ラッキー!!」ってな具合に、素材の”引き”に一喜一憂する。極めつけは鉱石採集で、円盤石や氷結晶といった「あなたたちはそんなに出てくれなくていいから^^;」的などっちでもいい素材ラッシュのあとに、キラリと蒼く光るマカライト鉱石が出てくれたときには我が世の春とばかりに飛び上がった。もう涙を流さん勢いで、「うおお!! マカが出たぞマカマカマカ!!!」とこの世の幸せ独り占め的な大げさな喜びようでありました……。……あれ、これってまさに、『2nd G』のオープニングムービーで謳われている風景じゃないか。なんて人間くさいことをしているんだろう俺……。この刹那、俺は確実に自分が『2nd G』の世界観の一部になれていることを実感して、静かに静かに感動した。これこそがまさに、『モンスターハンター』の原風景なんだよな……。
と、雪山の3のエリアでひとりニヒルに感動していると、ぷぃ〜んと1匹、我が分身に近寄ってくる影が。あ、ランゴスタだ。でもまあランゴスタは、言ってみれば雑魚中の雑魚なので、多少わずらわしいくらいで我が狩猟生活に多大な影響を与えるものでもない。俺はランゴの飛来など意に介さず、ピッケルを振り上げて鉱石採集をしようとした。するとその瞬間、ブチュンと1発ランゴの尻針が我が背中に突き刺さったではないか。見ると……。
ギュイーン!
なんて効果音はしなかったけど、とにかく思った以上に大量の体力が我が分身から奪われていく。そそそそうだ俺、マフモフ装備だったんだ!! 防御力6じゃ、ランゴの攻撃も”死の接吻”みたいなものじゃねえか!! ほうほうの体で3のエリアから飛び出し、別のエリアに移動。見ると遠くで、ガウシカどもが角を構えて行ったり来たりしている。い、イヤな予感……。その予感どおり、目の前をゆっくりと、なるべく刺激しないように通過している俺に向かってガウシカは例の「おうおうおう!」状態に突入し、ナゾの集団タックル。なんなのこいつら……。俺が何したっつーのよ(涙)。俺だってな! データ引き継ぎさえしてればもっと強いんだぞ!! おまえらなんかに負けないんだぞ!!! 本当は強いんだぞ!!(号泣)
安心できるエリアがほとんどないペラペラの紙狩人の、ハンターライフに幸あれ(自分で言うな)。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
最近のエントリー
- 【MHP 2nd G】第28回 ”MHフェスタ番外編” プロデューサーとの約束?
- 【MHP 2nd G】第27回 ”MHフェスタ番外編” 福岡の暴走ランサー
- 【MHP 2nd G】第26回 ティガレックスの彼方に
- 【MHP 2nd G】第25回 遥かなるアカムトルム
- 【MHP 2nd G】第24回 覇竜への道 −序章−
- 【MHP 2nd G】第23回 女は時間がかかるのよっ!!
- 【MHP 2nd G】第22回 そのとき、樹海に黒い風が吹いた その2
- 【MHP 2nd G】第21回 そのとき、樹海に黒い風が吹いた その1
- 【MHP 2nd G】第20回 尻尾物語
- 【MHP 2nd G】第19回 これを”恋”と言うのだろうか…… 〜砲モロコシの章〜
バックナンバー
- 2017年06月
- 2016年06月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年05月
- 2015年04月
- 2015年03月
- 2015年02月
- 2015年01月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年09月
- 2014年02月
- 2013年05月
- 2013年04月
- 2013年03月
- 2013年02月
- 2012年07月
- 2012年06月
- 2012年03月
- 2012年02月
- 2012年01月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年09月
- 2011年08月
- 2011年07月
- 2011年06月
- 2011年05月
- 2011年04月
- 2011年03月
- 2011年02月
- 2011年01月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年09月
- 2010年08月
- 2010年07月
- 2010年06月
- 2010年05月
- 2010年04月
- 2010年03月
- 2010年02月
- 2010年01月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年09月
- 2009年08月
- 2009年07月
- 2009年06月
- 2009年05月
- 2009年04月
- 2009年03月
- 2009年02月
- 2009年01月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年09月
- 2008年08月
- 2008年07月
- 2008年06月
- 2008年05月
- 2008年04月
- 2008年03月
- 2008年02月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年09月
- 2007年08月
- 2007年07月
- 2007年06月
- 2007年05月
- 2007年04月
- 2007年03月
- 2007年02月
- 2007年01月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年09月
- 2006年08月
- 2006年07月
- 2006年06月
- 2006年05月
- 2006年04月
- 2006年03月
- 2006年02月
Movable Type 3.21-ja