大塚角満の ゲームを“読む!”
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日曜日。俺が暮らすさいたま市の桜が満開になった。
前日の酒が多少残った寝ぼけ頭を強引に覚醒させて布団から抜け出し、忙しくてほとんど遊べていない『2nd G』の入ったPSPを手に取る。まだ発売されてから3日しか経っていないのに、「自分はものすごく出遅れているのではなかろうか……?」という確信に満ちた焦燥感に駆られる。電源を入れたら、まだマフモフ装備から一歩も抜け出せていない我が分身が、ポツンと寂しそうに佇んでいる姿が画面に映るだろう。……なんだかとても怖い。『2nd G』の人気が爆発的であるがゆえに、先を行く無数のハンターの姿が脳裏に閃いて焦ってしまうのだ。効率やスピードとは対極にあるプレイスタイルを貫いているつもりだが、多くのベテランハンターが話題にしているG級クエストや新モンスターのことを俺も語ってみたい! そう思ってしまうのである。でも、データ引き継ぎをせずに、イチから始めようと決めたのは自分だ。コツコツとがんばっていくしかない。俺は瞬時に思考を切り替え、薄曇りの春の空を眺めた。ま、とりあえず今日のところは……。
「花見に行くかー!!」
俺は親類の大学生、S君らに声をかけ、大きなレジャーシートを自転車のカゴにぶち込んで、ルンルルルンとハミングなんかしながら一路、大宮公園へと疾走した。
大宮公園は、さいたま市近郊ではいちばんのお花見スポットである。何本あるのか知らないが、とにかくたくさんの桜の巨木が「わー! わー! わー!」と大騒ぎしながら一斉に花を咲かせているようなところで、その風景は「壮観!」のひと言に尽きる。この花の香に吸い寄せられるようにたくさんの出店も立ち並んでいて、今度はこの出店の匂いに吸い寄せられるように無数のお花見客も殺到して、この時期の大宮公園はまさに”花のカーニバル”と化すのである。酒を飲むことと出店で買い食いすることに言い知れぬ快感を覚える体質の俺は、毎年欠かさず、この時期の大宮公園に足を向ける。そして、飲み食いしまくる。その証拠に、自分がこっそり書いている個人ブログの4月の欄にこんな記述があったのでコピペしておく。
"歩き疲れて駐輪場に戻ったときには、じゃがバター、焼きソバ(目玉焼き付き)、チヂミ、玄米パン(あんこ入り)、ジャンボフランク、クレープ(プリンアラモード味。出店のクレープとは思えないくらい激ウマだった)が、俺の胃の中で暮らすようになっていた。俺は「ああ……、空腹のころが懐かしい……」と自責の念にかられてつぶやきながら、ちょっとやそっとでは返せない莫大な摂取カロリーに思いを馳せ、「ご利用は計画的に」と自分で自分に言い聞かせるのだった−−"
さあ今年も食いまくるぞ。
大宮公園は花見客でごった返していた。ちょうどこの週末が満開のタイミングで、しかも翌日(つまり今日ですな)から雨が降ることが確実視されていたので、「花見をするならいましかない!!」と思った人々が殺到しているようだ。まあ俺もそのひとりだがね。例年どおり、たくさんの出店が軒を連ねている。俺は究極のウキウキ状態に突入して、持参した巨大なビニールシートを桜の木の下に設置した。そしてS君に陣地番をさせておいて、焼きソバ、骨つきフランクフルト、チヂミ、道産子焼き(初めて見た。いわゆる大阪焼きに似ているが、中に大量の裂きイカのようなものが入っていた。激ウマでビックリ)、じゃがバター、たこ焼き、シシケバブーを購入。ついでに人数分のビールも手に入れて、ベースキャンプへと帰還した。
そして、協力プレイが始まった……(苦笑)。
とりあえずビールで乾杯したあと、俺とS君はやおらPSPを取り出し、最近合言葉になっている「ひと狩りいこうぜ!!」を合唱したあとに電源を入れた。さっきまであんなに感動していた美しい桜の花々は、早くも目に入らなくなっている。桜にかまっている場合ではないのだ。まだマフモフ装備から抜け出せずにいる俺ひとりでは、立ち塞がっているドドブランゴを狩れないんだよ!! 「そんなことだったらわざわざ花見をしながらやらずに、家で狩っていればよいのではないか」と思う向きがあるかもしれないが、それではあまりにも風情がないではないですか。
そして無事、満開の桜の下で、立ち塞がっていたドドブランゴの狩猟に成功した。……もちろん俺はほとんど何もせずに、S君がひとりで狩ってくれたんだけど(苦笑)。S君は当初、俺がデータ引き継ぎをしないことを聞いて、「僕もイチから始めようかなぁ」と言っていたのだが、すぐさま俺に「ぜひデータを引き継いで俺のクエスト手伝ってくれ!!!」と必死に懇願されて、「わかったよ〜」とデータを引き継いでくれたのであります(笑)。
ドドブランゴ討伐を果たした直後から雨がパラパラと降ってきてしまったので、俺たちは出店の料理をビールで流し込んで大宮公園を後にした。正直、明るい屋外だと画面が見づらくなるので狩猟には向いていないのだが、この時期しか体験できない”花見プレイ”を堪能できて、俺はじつにじつに満足したのでありました。
あ、せっかくだから証拠写真を。なかなか”いとおかし”な感じでしょう?
▲桜の花とPSPがけっこうシュールでしょう。恥ずかしいので、写真は小さめに。
全国のハンターの皆さん、狩ってますか……? 狩ってるんでしょうね。そりゃあもう、修羅のごとく。G級クエストとか、やっちゃってるんだろうなぁ……。いいなぁ……(シミジミ)。「そんなこと言って、どうせオマエも仕事そっちのけでクエストしまくってんだろ?」と思っている人が全国に120万人くらいいるかと思いますが(いないか)、じつは……まったく触れてません!!! 俺のまわり、ほぼすべての編集者がハンターとなって、「ナルガがさぁ……」、「G級のさあ……」なんてことをデリカシーのカケラもなく大声でくっちゃべってるのですが、”『モンハン』伝道師”を標榜するこの俺は、まだ1ミリもゲームに触れていないんだよおっかさん!! と言いつつ、じつは昨夜は我がエンターブレインが主催するSNS”efigo”の仲間が集まっての”『2nd G』オフ会”が開かれ、俺も「ここだけヨ♪」と言いながらデータ引き継ぎをしたデータを使って仲のいい人々と協力プレイに明け暮れておりました。しかしこれはあくまでも表向きのもので、プライベートでのプレイで出会った出来事を綴るこのブログとはあまり関係のないもの。このブログで書くべきことを得るためのプレイは1ミリも遊んでいないのです(ホントか?)。
そもそもここに何かを書くためには、まず最初にひとつの決断をしなければいけないのだ。
それは、『2nd』のデータを引き継ぐかどうか。
もう何度も何度も飽きもせずにいろんなところで書いてきたテーマだが、いよいよ決着をつけなければならない。そして、俺はついに決めた。昨日、SHIBUYA TSUTAYAで行われたカウントダウンイベントのあとで次長課長の井上聡さんと話をして、彼が「やっぱりまたイチから、バキバキに遊び倒したいやないですか!」と目を輝かせながら言ったのを聞いて、”天啓に導かれた!”と思ったのだ。
そう、俺は。
データ引き継ぎを行わない!!
データは引き継がず、再び裸一貫で雪深いポッケ村に降り立って、新たな相棒(オトモアイルーのことね)とともにイチからハンターの道を歩き始めるのだ。もう、迷いはない。「『2nd』を遊んだ650時間のデータが無駄になるじゃん」と思われるかもしれないが、そこで得た知識や技術、そしてスピリットは無に帰すものではないのだ。もしかしたら、ベテランハンターの皆さんが見たらいままで以上に何の役にも立たないヌルいプレイ日記になってしまう恐れもあるが、しばらく温かい目で見守ってもらえたら……。
あ、でもやっぱり……。
せせせせっかく『2nd G』から『2nd G』へのデータ引き継ぎという手段があるのだから、これにしようかな……。やっぱりお金たくさんあったほうが心強いし……。
というわけでワタクシ、大塚角満は、”第3の手段”である”『2nd G』のキャラクターを引き継いだ状態”からゲームを始めたいと思いまスー……。
うーん我ながら、何たる往生際の悪さ……(苦笑)。でもがんばって、今回も連載100回を目標に書きまくっちゃうので(オイオイ……)、よろしくお願いします!
2008年3月27日深夜1時。都内各所の量販店を巡ってみた。新ハードや大作ソフトの発売前日には必ず行う”深夜の巡回”だが、『2nd G』の発売日につながっているこの日の夜の空気は、いつものそれとはまったく違う匂いがした。なんと言うか、張り詰めているというか、緊張しているというか……。とにかく、俺の心を落ち着かなくさせる何らかの因子が含まれているとしか思えないほど、この夜の空気は俺を震わせた。ライダースの革ジャンの隙間から入ってくる冷気に顔をしかめながら、俺は心の中で(どうやら俺は、ワクワク感の向こう側の世界に足を突っ込んだらしい)と確信した。
深夜の都内量販店の前にできた行列は、深夜1時〜2時くらいで新宿が約15人、池袋が約20人、秋葉原が約20人、渋谷が15人といったところ。ただ、警備の関係などで行列を作ることを遠慮してもらう店舗もあり、店の近くには明らかに『2nd G』の購入を目的としていると思われる人が各地とも何人も見られた。この時間帯に行列に並んでいるハンターはまさに氷山の一角。潜在的な購入目的者は、現在の何倍もいることだろう。早朝5時30分のSHIBUYA TSUTAYAで、それは証明された。
5時30分。取材担当となったSHIBUYA TSUTAYAに到着。カウントダウンイベントが行われる店舗だ。イベントのリハーサルが行われている店内を覗き見ながら、SHIBUYA TSUTAYAの行列形成地点である店舗の階段を見上げる。すると、ほんの2時間ほどまえまでは15人だった行列が、いつの間にか70人を超える規模に膨れ上がっているではないか! しかもこの行列、電車が活発に動き始めるとともにさらに規模を拡大して行き、ついに午前6時20分の段階で200名オーバー。カウントダウンイベントに参加できる先着100名が店内に案内され、SHIBUYA TSUTAYAの1階フロアはハンターの熱気でむせんばかりの状況となった。
SHIBUYA TSUTAYAの店内は、『2nd G』一色だった。カウントダウンイベントが行われる特設ステージはもちろん、店内のあらゆる箇所にポスターが張り巡らされ、『2nd G』関連商品も数多く展示されている。それらをぼんやりと眺めながら、俺は頭の中で初代『モンスターハンター』が発売された4年まえの3月11日の風景を思い出そうとした。しかし、いくら頭を回転させてもその日の景色は思い浮かんでこない。まあそれもそのはずで、初代『モンハン』の発売日はふつうにソフトを買いに行っただけで、発売時の店頭風景の取材など行わなかったのである。発売日の風景を取材するのは、”確実に行列ができる、ニュースになる”と確信を持てたハードやソフトに限られる。つまり4年まえの初代『モンハン』は、発売日に行列ができるタイトルではなかったのだ。オリジナルタイトルがなかなか日の目を見ないこのご時世、それは致し方ないことなのだが、逆に言えばこの4年で『モンハン』というブランドは、新聞、雑誌はもとより、テレビクルーが何チームも発売日取材に訪れるタイトルに成長してしまったのである。
「すごいシリーズになっちゃったんだなぁ……」
多くのハンターと取材陣でごった返す店内の様子を眺めながら、まるで老兵のような気分になってそんなことをシミジミと思う。”なっちゃった”ってのもヘンな言い草だが、なんとなく、いままで自分の手のひらにすっぽりと納まっていた小さくていとおしい生き物が、巨大な翼を広げて雄々しく飛び立って行く姿を目の当たりにしたような、そんな気分にさせられてしまった。ものすごくうれしいんだけど、心のどこかでちょっと寂しい。複雑な男心。こんなことを書いていると「恋する女学生かおまえは」と言われちゃいそうだが、いまの俺の心理は、やっぱりどれだけ文字数を使っても表現しきれるものではないんだよな。でも何となくハンターの皆さんなら、このフクザツな男心、わかってくれるんじゃないかなと思っている。
SHIBUYA TSUTAYA内の特設ステージでは、『2nd G』の辻本良三プロデューサー、テレビCMに出演している次長課長の井上聡さん、麒麟の川島明さんが登壇して軽妙なトークショーを展開していた。このイベントの詳しい模様は、まもなくアップされるニュース記事に詳しいので割愛させていただく。でもひと言だけ書くと、”人気有名人だから”ではなく、”一般ユーザーと変わらない純粋無垢のハンターだから”ということに重きを置かれて起用されたと思われる井上さん、川島さんというキャスティングの妙は、今回のイベントでも大いに活きた。ふたりが展開する非常にマニアックなモンハントークは、全国のどんなハンターが聞いても爆笑し、「納得!」と思えるものだったと断言しておく。とくに「CM収録時は643時間だった『2nd』のプレイ時間が、最近、800時間を超えてしまいました」という井上さんの突っ走り気味のトークを、川島さんが「ちょっと井上さん、何ひとりでしゃべってるんですか」と冷静に突っ込むシーンなど笑って笑って仕方がなかった。来場した人たちはおしなべて、「この人たち、”素”でモンハンが好きなんだなあ(笑)」と納得したことだろう。
そんな楽しいカウントダウンイベントが終わったあと、楽屋から出てきた井上さんと立ち話をした。にこやかに笑いながら「また今回もガンランスですか?(笑)」と言う井上さんに「当たり前です! ガンランス一筋です!」と返し、ついでに聞きたかったことも聞いてみた。俺がこの達人に聞きたかったこと。それは『2nd G』のデータを引き継ぐかどうか……(苦笑)。井上さんは俺の質問を受けて「そう! 問題はそれなんですよ!」と言ったあと、いかにもストイックな彼らしい答えを返してくれた。井上さんは笑いながら、こんなことを言った。
「僕もすごく悩んでいるんです。確かに800時間やりつくしたデータはありますけど、やっぱりまたイチから、バキバキに遊び倒したいやないですか! なのでデータ引き継ぎはしないで最初からやるかもしれませんね。……でも、まだ悩んでますけど(笑)」
自分と同じようなことをこの達人さんも考えていたことを知り、いいようのない安堵感を抱いて俺は井上さんと別れた。
そして最後に、俺は辻本良三プロデューサーと向き合った。いつものおバカなやり取りではなく、マジメな取材として(笑)。ちょっとそのやりとりをここに再現しよう。
大塚 『2nd G』、ついに発売されましたね。どうですか? この日を迎えた心境は。
辻本 いままでこういったカウントダウンイベントってやったことがなかったので、今回はやっぱり、ちょっと特別な印象を受けましたねえ……。いちばん先頭の方なんて、夜の12時から並んでくれていたって言うし。今日、かなり寒かったんですけど……ホント、ありがたいです。
大塚 イベントの開始時点で200人並んでましたよ。
辻本 ホントですか!? ……うれしいなぁ。
大塚 プロデューサー的には、感無量?
辻本 いやあ……まだまだ、かな。僕的にはやることがいろいろ残ってますから。モンスターハンターフェスタもこれからですしね。”スタート”って言ってもいいんじゃないですかね。
大塚 発売前日の昨夜って、どんな感じでした? やっぱり緊張してました?
辻本 昨日はねえ……。このカウントダウンイベントが控えていたので夜の10時にはホテルの部屋に戻ったんですよ。寝ようと思って。でも、まったく眠れず(苦笑)。
大塚 あはは。そっかぁ〜。
辻本 緊張してる、っていうよりも、気持ちが昂ぶっちゃって眠れないんですよ。
大塚 うん、じつは僕もそうでした(苦笑)。
辻本 あははは! そうだったんや〜。
大塚 なんかね、我が子の旅立ちを見守るときのような不安な気持ちに苛まれて……。
辻本 と言いつつ、ホントはメチャメチャ寝てたんやないすか?(笑)
大塚 んなことないっすよ!!(笑)
辻本 ウソウソ(ニヤリ)。だっていま、お互い目が真っ赤やもんね(笑)。
大塚 ホントにね(苦笑)。でも、ここからですね。
辻本 そうですね。発売したあとも、いろいろやりたいと思ってますから。フェスタもあるし、夏にも何かやりたいね、なんて思ってますし。これからですね、本当に。
大塚 本数はどれくらいいくんですかね。
辻本 やっぱり、前作以上を狙いたいな、って個人的には思っています。
大塚 うん! 期待してますよ!
辻本 がんばります! ありがとうございました!
……なんか途中、いつもの調子のやりとりが混入していますがね(苦笑)。でも本当に自信を持ってこの作品を世に放ったんだなぁ……ということが、彼の表情や口調から強く伝わってきました。
人気シリーズになればなるほど、ユーザーが求めるレベルは高くなる。爆発するように『2nd』が大ブレイクした『モンハン』も、その例外ではない。4年まえに初代が作った強固な土台の上に、丹念に積み上げられてきたシリーズの結晶。それが今回の『2nd G』だ。”ミリオンタイトル”という看板は、制作チームにとってはそれはそれはプレッシャーだったろう。でも彼らは、ゲーム制作にかける情熱と、何よりも熱い”モンハン愛”でそれを乗り越え、集大成とも言うべき作品を作り上げた。そんな作品にいま出会えていることに、俺は心から感謝したい。
さあ、狩りにいこう。オトモアイルーや、狩り仲間とともに。また今年も、”眠れない春”になりそうだよ(苦笑)。
では皆さん、ご唱和を。そう、あのセリフです。
「ひと狩りいこうぜ!」
いま、2008年3月26日の午後8時。『モンスターハンターポータブル』シリーズの最新作である『2nd G』が発売されるまで、残り11時間となった(カウントダウンイベントが行われる渋谷TSUTAYAの発売が午前7時なので)。なんだか不思議なくらい、居ても立ってもいられない。どうしちまったんだろう俺。いまここに何かを書こうとしているのも、自分のそわそわした心の動きを見なかったことにするために、ただ闇雲にキーボードを引っ叩いている……。そんな感じだったりする。
少年時代の俺はご多分に漏れず、遠足や旅行のまえには大いにはしゃいだクチだ。家族で海水浴にいく前々日にうれしさのあまり高熱を出し、「このままでは海水浴が中止になる!!」と子供心に大いにアセって、その翌日には気合で熱を平熱に戻してしまったくらい、イベントごとの直前は心ここにあらずで暴れまくるタイプである。やっぱりうれしいもん。待ちに待っていた出来事が、ようやく自分のところに「お待たせ〜♪」と手を振りながらやってきてくれる瞬間に遭遇するのは。ってこんなの俺だけじゃなく、みんな同じだよなー。
で、いまの俺の気持ち。
なんだか不思議なくらい心が落ち着かない。「うれしすぎて」という部分ももちろんある。しかし、どこかが違うものも含有されている。……はっきり書いてしまうと、じつはちょっと不安なんです。この微妙な男心、文字にして説明するのはかなり難しいのだが、あえて書いてみる。
例えて言うならこれは、好きで好きでたまらなかった高嶺の花のような異性に告白したときに似ている。高嶺の花なので告白したところで、よくて「あんがと」と言われるくらいで、フラれるのは目に見えている。でも告白しないのも苦しいのでダメもとで気持ちを伝えたところ、衝撃的にあっさりと「いいわよ。付き合いましょ」と言われてしまい、「ちょっと! どうすんだ俺! 困った困った!!」となったときの気分に似ている。……自分で書いていて(こいつ、いま相当混乱してるナ)と客観視して見てしまうくらいどうしようもない例えだし、そんな経験をしたことはいっさいないのだが(苦笑)、本当にそう思っているのだから仕方がない。
大好きな『モンハン』の最新作が出てくれることは、いまの俺には最上級にうれしい出来事だ。しかし、いまだに『2nd』のデータを引き継ぐか、引き継がないかも決められないのに、数時間後には手元に『2nd G』がやってきてしまうのである。そして今回はおそらく、爆発的な『モンハン』人気の追い風を受けて、『2nd』のとき以上にたくさんのハンターが一斉に狩猟を開始することだろう。いまや老兵とも言うべきこの俺は、若くて血気盛んなハンターたちについていくことができるだろうか? ひとり取り残されはしないだろうか……? そんなことまでついつい考えてしまうのである。まあ俺は初代『モンハン』の時代から「楽しければ何でもいい!」をテーマに狩りを続けているので、ほかのハンターに後れを取ろうが気にしなかったのだが、ナゼか今回は焦ってる……。
でもこんな気持ちでいられるのも、あと11時間だけなんだよな。実際にソフトを手に入れたら、「サア狩るぞぉぉぉ!! 相手はクックかレウスかナルガクルガか!!! いくぞ!! 我が友、オトモアイルー!!!」てなことになって、センチな気持ちを抱いているいまの自分など存在しなかったかのごとく振舞うに決まっているんだけどネ。なのでこのコラムは、「じつは俺もかわいいとこあんのよ」ってことを後の自分に読ませるために書いているようなものなんだろうな。
はあ、でも。
いろいろと書きなぐっていたら気持ちが落ち着いてきた(苦笑)。夜中になったら、都内各所の行列スポットを巡回してこよう。そして俺と同じように『2nd G』の発売を待ちわびている熱心なハンターたちと時間を共有するんだ。
では皆さん、店頭でお会い(?)しましょう。
いよいよ『モンスターハンターポータブル 2nd G』の発売週に突入!! えーっと、今日が3月24日だから……もうあと3日しかない!! 3日後には『2nd G』が手元にあって、オトモアイルーやらG級クエストやらナルガクルガやら、さらにはあんな要素やこんな要素も堪能できてしまうのよ!! いやあコーフンするなあはあはあはあ!! ……と、のっけから暑苦しいオヤジパワー全開の大塚角満です。でもさあ、俺が年甲斐もなく興奮しちまったとしても仕方ないと思いませんか? だって昨年9月の発表以来、半年間待ち続けた『2nd G』が、3日後には発売されちゃうんですよ? ここぞとばかりにハイテンションになって、いつもお地蔵さんのように無表情な新人記者、小竿キモ次郎に、「やあオハヨウ! オザオくん! 今日もテンション低いね!!」と、出社早々バンバン肩を叩いて挨拶したこともある種しようがないと思うでしょう。いやあホント、3日後が楽しみですなあ!
さて、なぜ俺はいきなり、フライングのようにここでコラムを書き始めたのでしょうか? 当初の予定では、『2nd G』が発売になる3月27日から正式スタートする予定だった”『モンスターハンターポータブル 2nd G』プレイ日記”なのですが、ちょっといまだに悩んでいることがあって、この想いを読者の皆様と共有したくなったのです。その悩みとは……、
データ引継ぎをするかどうか
これですよコレコレ。ちょっとまえに週刊ファミ通で連載している”大塚角満のモンハン研究所”というコーナーでまったく同じことをテーマにコラムを1本ぶちまけたわけだが、じつは『2nd G』の発売を3日後に控えたいまでも、「引き継ぐべきか、引き継がぬべきか」で悩んでいるのだ。ホント、どうしようかな……。データ引き継ぎを行えば、650時間を費やして集めた『2nd』時代の武具やあらゆる素材、アイテム類を初期から身につけることが出来、それはそれはセレブな状態で『2nd G』に向き合うことができる。俺もただ単にゲームで遊ぶだけなら、迷うことなく”引き継ぎ”を選ぶであろう。しかし、俺はここで『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記を書くことを、かなり重要なライフワークとしている。そのスタンスを考えると、引き継ぎなどせずにイチからゲームを始めたほうが圧倒的に正しい気がするのだ。そのほうがオトモアイルーのありがたみをより強烈に味わうことができるだろうし。……うーん、困った困った。
ここでコラムを終わりにしてしまうと、週刊ファミ通で書いたものから1歩も前に進んでいない、”ただ字を書きたかったから”という理由で書いただけの、字を覚えたての幼児が書きなぐった意味のない文字の羅列にしかならない。あえて今日、ここで文章を書き始めたのにはそれなりに理由があるのだ。そう、”引き継ぐ”、”引き継がない”という二択ではない、”3つ目の選択肢”を見つけてしまったのである!! どちらかというとこの方法は”引き継ぐ”ほうにちょっと天秤が傾いているのだが、まあちょっと聞いてくださいな。
第3の選択肢とはズバリ、”もっている武器、防具、素材、アイテムをすべて『2nd』上で売っ払ってしまい、お金だけ『2nd G』に持っていく”という、コロンブスの卵的な方法なのだっ!! 所持金以外は、すべてまっさら。そうこれ、『モンスターハンターポータブル』から『モンスターハンターポータブル 2nd』にデータコンバートするときに、『ポータブル』での持ち物がすべてお金に換金された状態で『2nd』に移行されたのと同じ手法なわけです。金の余裕はあるものの武具はイチから作らなければいけないし、それを作るための素材もひとつもない。これなら、データ引き継ぎをせずに『2nd G』を最初から遊ぶハンターと、かなり近いところからゲームを始められるってわけだ。いやあ我ながら、よくぞこの方法を思いついたものだ……。
よーし、思い立ったが吉日。すべての思いを断ち切るために、さっそくいま俺が持っている武具を片っ端から売ってしまおう。まずは……そうだ、これを売ろう。大好きな炎のランス、ブループロミネンスを。このブループロミネンス、名前の響きが大好きで、どの作品でも必ず作ってきた武器だ。……そうそう、製作するためには蒼リオレウスの尻尾が10本も必要で、何回も何回もくり返し蒼リオレウス討伐に出向いては尻尾集めをしたっけ……。蒼火竜の尻尾ってそんなに出にくい素材じゃないのに、物欲センサー発動しまくりでぜんぜん集まらなかったんだよな……。それでもどうにかこうにかがんばって、10本目の尻尾をゲットしたときは「やったやった! 尻尾が出たでた!!」と会社の椅子の上で飛び跳ねたんだよなあ……。まさに、俺の努力と愛の結晶。なんて思い出深い武器なんだろう。こんなステキな武器、売り払えるわけがない。俺は青く光るブループロミネンスを武器庫の奥に大事に仕舞い直して、つぎの武器を物色した。そして、銀色に輝く1本のガンランスを手にとった。
ヨシ、コレを売っちゃうか。
ガンチャリオット。
俺がいちばん好きなガンランスだ。それまで、もっとも使用頻度が高いと言われる龍属性武器が存在しなかったガンランスに、初めてこの属性を導入してくれた記念碑的な武器。どんなモンスターにも立ち向かえる武器としての性能もさることながら、ガンチャリオットという名前の響き、そして銀リオレウスの素材から作られた鈍く光る銃身とデザインは、多くのガンランサーを魅了してやまない。間違いなく、俺が『2nd』でもっとも頻繁に使っている武器だ。強大な上位リオレウスを狩るときも、圧倒的な存在感を放つ古龍を相手にするときも、つねに俺の傍らにはガンチャリオットがいた。この相棒さえいてくれれば、どんなに強いモンスターが相手でも負ける気がしなかった。いまや俺とガンチャリオットは、一心同体と言ってもいいかもしれない。こいつを強引にオノレの身体から引き剥がして、売ることができるだろうか? いやできない。売れるわけがない。俺は手にしたガンチャリオットをキレイに磨いてから、武器庫のいちばん奥にうやうやしく設置しなおした。
……自分の好きなランス系にこだわるから売れないんだ。やっぱり最初は、違うカテゴリーの武器を片っ端から売っていくしかない。……よし、こいつだこいつだ。これなら高く売れる。俺は大剣のコーナーから、巨大な刀身に”咬剃”と不気味な刻印が施された禍々しい剣を取り出した。そう、毒の大剣”クロームデスレイザー”だ。
クロームデスレイザーという武器、じつは俺の中では”憧れの存在”だったりする。初代『モンハン』のころから毒属性武器が大好きで、その当時もっとも遠いところにあった武器がクロームデスレイザーの前身である”クロームレイザー”という大剣だったのだ。初代『モンハン』では最強の激レアアイテムだった火竜の逆鱗、雌火竜の逆鱗を両方使って生産するという、まさに選ばれし者だけが手にすることを許された武器として、多くのハンターから羨望のまなざしで見られていたものだ。なので俺は初代『モンハン』の時代から、必ずこの毒の大剣は生産するようにしていた。昔ほど生産するときの苦労はなくなったが、『2nd』でも武器を揃えるときのひとつの指針として、「大剣はまず、クロームデスレイザーを作ってから」という標語(?)が頭の中にあったくらいだ。いまでも俺は、ガンランスやランスではなく別の武器でクエストに行きたいなぁ……と思ったら、真っ先にクロームデスレイザーを手にする。抜群の攻撃力と凶悪な毒属性で、屈強な飛竜たちをポコポコの毒状態にして喜んでいるのだ。……こいつを売ってしまったら、間違いなく俺の心にポッカリと大きな穴が空く。例えるなら、初代『モンハン』のころからの憧れであるクロームデスレイザーは、初恋の人みたいなものなのだ。そんな甘酸っぱい武器を、このロマンチストの俺が手放せるわけがない!! 俺はなぜか怒り心頭に発し、「売ったりしないからね!」と涙ながらにクロームデスレイザーに訴えかけ、武器庫の中にそっと、禍々しい毒の大剣を立てかけた……。
こんな感じで、「じゃ、じゃあつぎは海王槍リヴァイアサンを……」、「え、えっと、まずはキングテスカブレイドから……」、「ももも、もうこうなったら大鬼槍ラージャンを……」てな具合にとっかえひっかえいろんな武器を手にしてみましたが、それぞれに必要以上の思い入れが詰まっていて何ひとつ売り飛ばすことができませんでしたとさ……。
あ、でも……。
確か『2nd G』では、『2nd G』のキャラクターを引き継いでゲームを新たに始めることができるはず。……記事によると、”性別や名前、容姿は新たに設定可能で、レア度が1〜3のアイテムはすべて引き継ぎができる。レア度が4以上のアイテムと装備品は換金され、その一部を初期所持金として引き継げる……”とある。つまりわざわざ『2nd』で装備品を売り飛ばしてからデータ引き継ぎを行わなくても、この方法を採れば万事解決ってことになるわけだ……。なるほどなるほどそうかそうか……。
まあでも。
この方法を採るかどうかも、いまの俺じゃ決められないけどネ……(優柔不断)。
こういう仕事をしていると、思いがけない幸運に遭遇することがある。今回の僥倖が、まさにそれだった。カプコンさんからある日、「Webメディアの方を対象にした『モンスターハンターポータブル 2nd G』の体験会を行おうと思うのですが、ファミ通.comの記者の方も参加しませんか?」との案内が届いたのであるっ!! 資料を見ると、クイーンランゴスタ討伐やら大連続狩猟も体験できる……とある。2月8日に行われた『2nd G』の発表会のデモ映像でもっともインパクトが強烈だったクイーンランゴスタを狩猟でき、さらに発表会のあとに行われた体験会で玉砕した大連続狩猟にも挑戦できるという。ぬおおおお! このチャンス、逃してなるものか!! というわけで俺は、ファミ通ニュースチームの同僚である中目黒目黒、女尻笠井、江野本ぎずもという、”逆鱗日和ファミリー”を連れて新宿にあるカプコンのオフィスに乗り込んだ。
さあさっそくプレイ開始だ。今回はクエストに出向くことだけが目的なのではなく、村でのやりとり(アイテムの売買、アイルーキッチン、ポッケ農場などなど)をほぼすべて、体験可能だという。これはまさに、発売直前の疑似体験! よーし、いろいろいじくりまくろう。まずはアイテムボックスを覗いてやれ。……ほうほう、ふむふむ……アレ? こ、これは……!
すべてのアイテムが1枠99個単位で保存できるようになってる!!
たとえばモドリ玉は、いままでは1個でアイテムボックスの1枠を使っていたが、『2nd G』では1枠に99個まで入れることができるようになっているのである。ハチミツも、いままでは10個で1枠だったのが、こちらも99個まで1枠に収納可能。これにより、アイテムの収納数が大幅にアップすることは間違いない。『2nd』を限界までプレイして、とっくの昔にアイテムボックスがパンパンになってしまったデータを引き継いでも、『2nd G』ではかなり余裕を持ってスタートできるに違いない。うーん、これはありがたい。このほかアイテム関係では、
・アイテムボックス内でのページ切り替えがL・Rボタンで可能に(いままでは△ボタンでページを進めるだけだったのが、L・R操作が可能になったことでページを戻すこともできるようになったのだ!)
・装備のマイセット登録数が増加した
・アイテムボックス内で調合することが可能になった!
・アイテム屋や行商ばあちゃんからアイテムを購入したとき、直接アイテムボックスに品物を送れるようになった!
・アイテム屋などでアイテムを売却したあと、ポーチ内のアイテムを整理できるようになった。
こんな感じで、痒いところに手が届きまくり!! 以前、プロデューサーの辻本さん、ディレクターの一瀬さんに、「『2nd』は究極ってくらいユーザーフレンドリーな作りだったので、『2nd G』ではいじるところないんじゃないの?」と言ったことがあるのだが、そのときふたりは声を揃えて、「改めて『2nd』を俯瞰して見ると、いろいろと改良すべき箇所が見えてきたんです。どのへんをいじったのか、楽しみにしていてください」と言ってニヤリと笑っていたのだが、なるほどなるほど、こういうことだったのか……。
でも納得するのはまだ早かった。『2nd G』の細やかな気遣いはこんなものでは終わらなかったのだ。
続いてアイルーキッチンに突入。キッチンアイルーとオトモアイルーが、狭い室内を跳び回っている。ネコ好きの俺はとたんに相好を崩し、「お〜〜〜^^ よちよち、かわいいでちゅね〜〜〜^^^^」とにわかムツゴロウさん化しかけたが、いまはそんなことをしている場合ではない。ちょっといろいろと物色させていただこう。何を置いても、まずは食事。キッチンアイルーが5匹いるので、いつもの黄金芋酒と幻獣チーズを注文。そして長年のクセで、思わずセレクトボタンを押して調理シーンをすっ飛ばしてしまった。ここで『2nd』だと、ハンターが料理をがっつく食事シーンになるのだが、『2nd G』ではいきなり立ち上がって、食事の効果を表示する場面に! つまりアイルーキッチンでの食事時間がかなり短縮されたってわけだ。細かいことのようだが、実際にやってみるとその爽快さを確認できると思う。こういう気遣いって、うれしいんだよねー。このほか、アイルーキッチンや村の施設で気づいた改良点を列挙すると……。
・キッチンアイルーにアイテムを要求されたとき、ポーチに所持していなくてもアイテムボックス内にあればその場で渡せるようになった。
・ポッケ農場の釣りで、エサの残り回数がわかるようになった。
・武具屋で装備を強化するとき、強化に必要な鎧玉の種類がひと目でわかるようになった。
なんかほかにもいろいろあったような気がしたんだけど(オトモアイルーのトレーニングとかね……)、あまりにもプレイするのが楽しくてメモを取りきれていない……。というわけでポッケ村をあとにして、クエストに出発することにします。まずはやっぱり、オトモアイルーを連れてのひとりプレイ! さあて、どのコを連れて行こうかな。我がアイルーキッチンにいたオトモアイルーは、大きく分けて”近接攻撃系”、”回復系”、”爆弾系”がいるようだ。どのコも魅力的で捨てがたいが、ここはやはりアイルーってことで、爆弾系を連れて行くことにしよう。俺は「遠慮なく、ボンボン爆発してくれよ」という願いを込めながら、ネコートさんクエスト★7の”極秘依頼 眠鳥を狩れ!”のクエストを受注した。ちなみに、村長の後ろに佇むネコートさんに話しかけるのもこれが始めてだったので、かなりドキドキしたことを付け加えておこう。
クエストの舞台は”樹海”。『ポータブル』シリーズ初登場のフィールドにして、『2nd G』を象徴するフィールドでもある。討伐目標はヒプノック。このモンスターもシリーズ初登場となるモンスターだ。まわりを見ると、俺とまったく同じタイミングで目黒、笠井、江野本の3人もこのクエストを受注したようだ。オイオイ、これじゃあまるでタイムアタックではないか。”世界一のガンランサー(笑)”と、(笑)付きながらも敬われる俺が、ここで部下どもに遅れを取るわけにはいかぬ。(こいつらよりも早くクエストをクリアーせねば……)と緊張しはじめる俺。それを見た目黒がニヤニヤしながら、「大塚さん、僕たちよりもクリアーするのが遅かったり、ましてや昇天したりしたら立つ瀬がありませんなあ」などと余計なことを口走る。カプコンの広報さんたちもニヤニヤ笑って、「いやあ、まさかあの大塚さんがそんなことにはならないでしょう!」と目黒の意見に乗る。余計なプレッシャーをかけられながらも俺はメラメラと燃え始め、「キサマら見ておれよ。爆弾アイルーと俺のガンランスの相性のよさを見せてやるぞ!」とツバを撒き散らして喚きまくった。
それにしてもこのオトモアイルーって、ホントにかわいいのな……。俺の傍らから離れず、ちっちゃい身体をピョンピョンと躍動させながら一生懸命走ってくっついてくる。俺が道に迷っていつまでもヒプノックに遭遇できなくても文句ひとつ言わず、つねにピタリと寄り添ってくれる。いまどき恋人でも、ここまで尽くしてくれないのではなかろうか! そんな感動に打ち震えていると、目の前にヒマを持て余したヒプノックが現れた。
狩場でも、オトモアイルーは大活躍だった。ヒプノックは睡眠ガスを吐いてハンターを執拗に眠らせてくるのだが、ハンターが寝たとみるやオトモアイルーは一目散にご主人様のもとに駆け寄ってきて、「とっとと起きるニャ!」とばかりにポコンと1発カツを入れてくれる。爆弾の使いかたもなかなか巧みで、大タル爆弾を見事に脚に当ててヒプノックを転倒させることもあった。……まあ、俺が持っていたのがガンランスだったので、砲撃や竜撃砲で爆弾ごとオトモアイルーを吹っ飛ばしてしまうこともたびたびあったけどな! それでも、いままでたったひとりでモンスターに立ち向かっていたひとりプレイにおいて、これほどかわいくて頼りになる相棒が誕生してくれたことは、何事にも勝る『2nd G』からのプレゼント、って気がした。
しかし残念なことにクエストクリアーの順位では、双剣を装備していった女尻笠井に負けてしまった。ま、まあこれは腕の違いというより、武器の違いによるタイム差だろうナ……。結局、2番目に俺がヒプノックの討伐を果たし、俺をバカにしていた目黒は見事に1オチして3番手でゴール。女剣士の江野本も4番手ながらヒプノック討伐を果たし、無事に村に帰郷した。
で、気づいたのが報酬を受け取る場面。ここではクエストで得たゼニーやポイントなどが表示されるわけだけど、『2nd』に比べて表示スピードがやたらと速くなっているのだ。スピード感を文字に表すのは非常に難しいのだが、『2nd』が「パッ、パッ、パッ、パッ」という感じだとすると、『2nd G』の報酬画面は「パパパパパッ!」って感じ。わかってもらえるかなあ。それと、狩猟中にオトモアイルーが手に入れてくれた素材も、この報酬画面でもらうことができる。この要素も、「おまえはあの厳しい狩猟のさなかに、そんなことまでしてくれていたんだなぁ……(涙)」と、オトモアイルーのいとおしさアップにつながること間違いなしだ。
このあと俺たちは予定どおり、クイーンランゴスタ討伐クエスト、キングチャチャブー討伐クエスト、大連続狩猟と、『2nd』にはなかったクエストをたっぷりと遊ばせてもらった。村でのこととオトモアイルーのことを書いていたらやたらと長くなってしまったのでこのへんで筆を置かせてもらうが、いろいろと遊んでみて俺が思ったのは、「完全な新作のつもりでこのゲームに臨む必要がある」ということだ。それくらい、『2nd G』の充実度と求心力はズバ抜けている。
”拡張版”という位置づけでは収まりきらない『2nd G』の懐深さを体感できる日まで、あと数日だ!
※いっしょに行った逆鱗日和ファミリーもプレイリポートを書きましたが、「公開するのが恥ずかしい!」とか言っているため、しばらく後にアップすることになると思います(苦笑)。
▲どうですこの大きさ……。てらてらと輝くボディーがうねうねと動くのを見るだけで卒倒しそうなクイーンランゴスタ。
▲こちらはキングチャチャブー。キングのまわりには当然、通常のチャチャブーも……。お、おっかねえ……。
左にさりげなく、怪しい窓が新たに設けられましたが……そう! ワタクシ、大塚角満の2冊目の単行本となる『『モンスターハンター』プレイ日記 本日ももっと! 逆鱗日和』が発売されることとなりました! 早くここで宣伝……じゃなくて紹介しようと思ってはいたのですがなかなかタイミングがつかめず、今日の今日まで先延ばしになっておりました。でも、無事に完成したので正式にご報告します。
今回の『もっと! 逆鱗日和』は、ここで長いこと連載していた”『モンスターハンターポータブル 2nd』プレイ日記”を中心に、『2nd』に関するコラムばかりを集めた単行本となります。前作『本日も逆鱗日和』よりも厚くなったのにも関わらず、中身はぜーんぶ『2nd』関連のもの。よくぞこれだけ書いたな……と書いた自分が呆れるほどなのですが、裏を返せばそれは、それだけ『モンスターハンターポータブル 2nd』というゲームが充実していた、ってことでしょう。噛んでも噛んでも味が消えることなく、いまだに遊び続けてしまうというスルメ度(?)は、ちょっとほかのエンターテインメントでは並ぶものが思いつかないほど。じつは今日も僕は、知り合いのタレントさんとそのマネージャーさんとで、4時間も『2nd』で遊んでしまいましたからねえ……(実話)。
もうすぐ新作『モンスターハンターポータブル 2nd G』が発売となりますが、このソフトの原点である『2nd』のプレイ日記を読み返してもらって、『2nd G』に向き合うモチベーションをさらに高めていただけたらうれしいなあ。ちなみに今回も、ゲームの攻略にはまったく役に立ちませんから^^; ……え? 知ってる!? そうですか……。
拙著『本日ももっと! 逆鱗日和』は、『2nd G』と同じ2008年3月27日発売です。価格は998円[税込]。記事のボリュームが大幅にアップしたのに併せて、カバーイラストと挿絵を描いてもらっているぽん吉さんに無理を言って、本文中の挿絵も前作以上の数になっています。「角満の文章はどうでもいいけど、あのかわいいイラストをもっと載せてくれ」という方にも喜んでもらえるはず! と思っております。
書店やゲーム販売店などでお見かけの際は、ぜひぜひ手に取ってみてくださいなー。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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