大塚角満の ゲームを“読む!”
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『フロンティア』にログインし、いつものように大老殿に駆け込んで、緑色のじいさんに話しかけてフロンティアクエストのリストを見せてもらう。
(なんか目新しいクエストないかな……)
最近、そんなことばかり考えている。現在の俺のハンターランクは66なのだが、どうやらこれくらいのポジションが、なんと言うか、こう……中間管理職的というか、上からの圧力、下からの突き上げ(同じか)というか、倦怠期というか端境期というか……。……もう回りくどいのではっきり書くと、ようするにいちばん中途半端なポジションなのである。
だってそうでしょう。
ハンターランク51から行けるようになるイャンガルルガやティガレックス、銀レウス、金レイアなどとはひととおり遊び尽くし、つぎの最大のお楽しみはハンターランク71から行けるようになるピーーーー(規制音)であろう。61から秘伝メモのクエストに行けるようになるが、これは既出のモンスターをいままでと同じ戦略で狩猟すればいいので、”目新しさ”という点で語れるものではない。やっぱりこう、パっと見ただけで「!!!?」となるようなクエストに出撃したいではないか。
そんな想いを胸に秘めながら緑じいさんに話しかけたわけだが、パラパラパラとリストをめくるうちに、見慣れない名前のクエストがあることに気がついた。
アルビノの伸縮
なんだこれ……。
説明を読むと、”モンスターには個体差がある。フルフルはその中でも、とりわけ特殊な部類に入るため、比較的このような個体が見られやすい……”なんていう思わせぶりなコメントがあるではないか。ここまで読んでベテランハンターの俺は(さては、あのフルフルだな)とピンと来たのだが、見た目のインパクトに飢え、渇いていたハンターに、こういったクエストの配信は砂漠のオアシス、深酒のミネラルウォーターってくらいタマラナイものなのである。
さっそく、フルフルに有効な火属性のランスを背負って沼地へと出かけてきました。で、伸縮フルフル(?)に出会ったときの感想は、
ラブッ……りー……かな……?
というものであります。初めてこのフルフルに会う人はもちろん、ベテランハンターでも久しぶりに見ると「おおお!w」となること請け合いです。
さあみんな、沼地に行こう(笑)。
業務連絡のような内容になってしまうことを、最初に宣言しておきます。
本日、『モンスターハンター フロンティア オンライン』を遊ぼうと思ってランチャーを立ち上げ、いつもの調子でほとんど画面も見ないままIDとパスワードを入力し、カチカチカチと3回ほどマウスをクリックしてメゼポルタ広場に降り立った。今日も『フロンティア』は雲ひとつないいい天気。いつにも増して、我が分身の名前の緑色が光り輝いておるわい……って、なんか名前の緑色が必要以上に明るく輝いているんですけどっ!! これって、ハンターランク30までの人がつけている色じゃん!!! よよよよく見ると、背負っているガンランスが明らかに古ぼけたものになっているし、装備も何をどうしたことか、非常にシンプルなものになっている……。ここここれって、ランポス装備では……。もしかして、何かの拍子に知らない人のIDを入力し、奇跡的にパスワードも合致してしまって、どこのどなたか知りませんが、まったくの赤の他人の分身を召還してしまったのではあるまいか!!? そんな有りもしないことをリアルに考えてしまい、俺の全身にある汗腺からイヤな汗がどっと噴き出した。しかし充血した目でキャラクターを確認すると、明らかに俺の分身の名前がそこに刻まれている……。こいつは間違いなく、俺のキャラクターだ。となると、こ、これは他人のキャラを呼び出したどころの話ではない。ステータス画面を見ると、なんとハンターランクは6になってしまっているのである。
「おおお俺のキャラデータが巻き戻っちまったあああ!!」
編集部に響き渡る大声を出して、36歳になったばかりのガンランサーは慟哭した。な、なんたることだ……。
すると俺の目の前の席に座っている中目黒目黒が顔をしかめて、「それ、選ぶサーバーを間違ってるだけですよ」とのたまった。な、なにぃ。この俺がそんなミスを犯すわけが……。しかし目黒の言うことも可能性としては否定できないので、俺は泣きながらログアウトして再びランチャーを立ち上げた。見ると、サーバーを選ぶウインドに、いつも俺が遊んでいる場所とは違う見慣れない数字が表示されているではないか!! ロクに確認もしないで違うサーバーを選んでしまった痕跡が、ここにはっきりと残っていたわけである。俺はドキドキしながらいつものサーバー番号を選んで、慎重にIDとパスワードを入力。数秒後、メゼポルタにアクセスすると、いつものダークグリーンに彩られた名前に、どこの星の生き物かもわからないヨロイを纏った見慣れたハンターが立っていた。俺のキャラはしっかりと生きていたのである!!
って、思わず長々と書いてしまったが、後半部分はほとんど蛇足だ。俺が言いたかったのは、間違えてログインしてしまったサーバーにいた、ハンターランク6のキャラクターについてなのであります。
じつはこのキャラは、『フロンティア』のサーバーが3つに分裂するまえに育てていた、”フロンティアにおける我が分身第1号”なのでありますね。当時、ここまで育てたキャラを捨てて別のサーバーに引っ越すことは苦渋の決断を伴ったわけだが、より快適に遊べる環境を求めて泣く泣く”第1号”はあきらめたのである。なのでこのキャラクターに会ったのは、じつに数ヵ月ぶりのことになるわけだ。
予期せぬ出来事だったとはいえ、久しぶりに第1号を復活させてしまったワタクシ。見ると画面の右上に、チカチカとメールが到着したことを知らせるアイコンが光っているではないか。ナンダナンダと思いながらさっそく開封。するとそこに、じつに15通もの新規メールが届いていたのである。すべて、知らない方からのメールだ。ちょっとドキドキしながら、一通一通開けてみる。そこに書いてあったのは……。
”コラム読んでます! お友だちになってください!”
”連載、がんばってください!”
”今度いっしょに遊んでください!”
などなど、じつに熱い励ましのメッセージばかり……。これにはビックリしたのと同時に、しみじみと感動させられてしまった。
それにしても、知らなかったこととはいえ何ヵ月も返事を出さずにメールを放置してしまってごめんなさい……。この場を使って、サーバー1の俺のキャラにメールを送ってくださった方々にお詫びいたします。
僕の現在のキャラは、別のサーバーで今日も元気にモンスターを追い掛け回しておりますよ。今後とも応援、よろしくお願いしまーす♪
緊急メンテナンスの壁に阻まれて、ガンチャリオットに龍属性が付与された事実だけを確認して不貞寝してしまった昨夜の俺(根性ナシ)。しかし本日はドンドルマに快適な時間が流れているようなので出社してすぐに仕事のメールも確認しないまま『フロンティア』を起動したのでありました。
「しかし……」という不確かな不安が、俺の脳ミソの右斜め45度あたりの位置をコチョコチョとくすぐる。
「確かに昨日は確認できた龍属性のガンランスだが、”やっぱ分不相応なので剥奪することにしました”とかなんとか因縁つけられて、泡沫のごとく消えてしまったのではなかろうか!」
根拠に乏しいそんな不安に苛まれるのも、俺が生粋のガンランサーだからである。ガンランサーは気難しいのだ。仕方ないのだ。
でも安心したことに、前述のような俺の不安は夢幻の如く消失して、昨日見たまま、我が自慢のガンチャリオットには龍属性280が付与されたままでありました。よかったよかった。さっそくこいつを担いでいって、弱体化したと噂のメス古龍、ナナ・テスカトリを「うりうり、おらおら」といぢめてやるのだウヒヒヒヒ。
というわけでさっそく、ナナ・テスカトリハンティングに出かけることにした。ナナのクエストは今回、塔を舞台にした”炎妃龍の宿りし塔”と、砂漠を舞台にした”砂に堕ちた太陽・撃退戦”のふたつから選ぶことができるようになっている。難易度はどちらも★4つ。どこが違うのかと言うと、砂漠のほうはある程度のダメージを与えればナナのほうが逃走してくれる”撃退戦”になっているところだ(討伐もできるようだが)。きっと砂漠のほうが楽なんだろうなぁ〜と思ったのだが、いまの俺には究極兵器・龍属性のガンランスがある!! ってことで、迷わず塔のクエストを選択。しかし自信満々のわりには、回復薬、回復薬グレート、秘薬という回復3点セットに加えて、シングルクエストなのにこっそりと生命の粉塵までもちこむ念の入れようで、相も変らぬチキン野郎と化して塔に向かった。
塔におけるナナのクエストでは、まず最初に5のエリアで、怒れる爆炎女王と一戦交えることになる。ここである程度のダメージを与えるとナナはフラリフラリと飛び立って、塔のてっぺんを目指して上昇していくのだ。ハンターはこれに唯々諾々と従って、えっこらよっこらと塔を上って行くことになる。
じつはこれが辛い。
たまーに塔の短縮マップを舞台にしたクエストに出向くことがあるが、このナナクエストでそびえる塔は、エリア10まであるフルマップである。もちろん、フルマップの塔に上るのはナナのクエストだけではないのだが、やっぱりコイツは堪える。心が折れそうになる。しかも早くナナに会いたい一心で一生懸命走っている俺に向かって、ペッペ鳥ことガブラスの野郎が「誰に断ってここにいやがんだえー!! オラオラ、目障りだぺっぺ」と毒ツバを吐きかけてきやがるもんだから、俺の怒りは臨界点。そもそもこのガブラスが上空から吐きかけてくる毒ツバ、異様に命中率が高いと思いませんか? とくにエリアが切り替わる直前にピューっと飛んで来てぺっぺと吐いてくる吐き捨て御免的な毒ツバ攻撃は命中精度がよすぎる!! と、ガブラスごときに文字数を使っていると肝心のナナのことを書くのは1週間後……なんてことになりかねないのでこのへんで止めておきます。
ガブラスの毒ツバを2回も浴びながらも(マジ)、なんとかかんとか塔のてっぺんまで辿り着きました。龍属性ガンランスの初陣である。まず狙うのは顔。顔にウラウラオラオラと龍属性攻撃を浴びせ続け、角を破壊してやるのだ。俺はガードを固めたままジリジリとナナ・テスカトリに近づいていった。相も変わらず、神も仏もないものか的な恐ろしいルックスをしておられる。女系モンスターといえばほかにリオレイアがいるが、何となくではあるがリオレイアには、女性らしいしぐさと言うか色気というか、ただ単に猛々しいだけではない”母性”のようなものを感じるでしょう。感じる、ってことにしといてください。しかしナナ・テスカトリには残念ながら、1ミリの色気も感じない。なので俺の攻撃に躊躇はない。俺はナナの鼻っ面までジリジリとにじりより、そのままチョコンチョコンと顔面を突っついた。ガンチャリオットの切っ先からは、夢にまで見た龍属性のエフェクトがほとばしっている。これなら行ける!!
結果、途中で1オチしながらも、25分ほどでナナ・テスカトリを屠りさることに成功した。顔は約15分ほどで破壊することに成功。翼を破壊し、尻尾も切断しての完全(1オチしているので完全じゃないか)勝利である。うん、この性能なら古龍が相手でも使えるぞ。俺はガンチャリオットの熱い銃身を撫でながら、ニヤニヤとほくそえんだ。
▲ホラホラ、角が壊れてるでしょ!! ガンランスでも、やろうと思えばできるのだ!
しかしガンランスでは25分で屠り去ることができたナナ・テスカトリだが、ほかの龍属性武器だとどうなるのだろうか? やめときゃいいのにそう思ってしまった俺は武器を龍属性の大剣・ペイルカイザーに持ち替えて再び塔に降り立った。
結果。
わずか10分で顔破壊に成功し、その勢いのまま15分程度で討伐に成功……。
で、でもまあこれは、ガンランスのときに対峙したナナがやたらと大きかったせいだな。1オチもしちゃったし。うんうん、きっとそのせいだそのせいだ。
俺は三度武器を持ち替え、塔に出撃した。大剣の記録を抜くまで、ナナを狩り続けてやるぞ……。
▲動きの速いナナにはかなりイラつかされるが、ガードで固めて突っつけば意外と楽に倒せる!?
『モンスターハンター フロンティア オンライン』、11月のリファインアップデート完了!! 今回のアップデートは、俺的にうれしい事項が多すぎる!! ってことで、さっそくログインして我がハンター生活がどれほど豊かなものになったのかを確認してきた。
まず、もっとも楽しみにしていた”龍属性のガンランス”について!!! さっきからやたらとビックリマークが多いが気にしない!! うれしいから仕方ないっ!!!!! はぁはぁ。やかましいのでちょっと冷静になりますネ。
ガンランスを使わないごく稀な人にとっては「ふうん」的な改良点になるかもしれないが、龍属性が唯一存在しない武器として迫害(?)を受けてきたガンランサーにとって、今回の”龍属性導入”ほどうれしい出来事はないわけで。俺が本日ログインして真っ先にマイハウスに駆け込み、龍属性が実装されるという”ガンチャリオット”の性能を確認したことを誰が責められようか。いや責められない。しかし本当に、あのガンランスに龍属性が付与されたのだろうか? じつは全国のガンランサーを驚かせる大規模なドッキリなのではあるまいか……? あまりにも冷たくあしらわれてきた(被害妄想)がためにすっかり疑心暗鬼になった36歳のガンランサーは、「ま、ドッキリだったらそれでいいんだけどネ。もう俺、驚かないもんネ」となぜか知らぬがすっかりいじけモードになってガンチャリオットのステータス画面を開いてみた。そして、椅子ごと後ろにひっくり返った。俺の頭の上に「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と、18個のビックリマークが飛び出した。
「ガガガ、ガンチャリオットに龍属性が付いているぞぉぉぉ!!!」
ななななんとなんと、龍属性が280も振り込まれている!! 28じゃなくて、280!!! これ、ほかのカテゴリーの龍属性武器と比べてもまったく恥ずかしくない、かなりの性能なのではあるまいか! こいつでもってツンツクツンと古龍の頭なんか突っついた日には、ボカンボカンと角を破壊できちゃったりするんじゃないでしょうか!? わーいわーい! やったやった! これで野良で古龍に挑むときにガンランスを持っていっても、「アラおたく、ガンランスなの? 別な武器、ないの?」と冷たくあしらわれることもなくなるはず! 古龍の頭破壊はガンチャリオットを背負った俺にまかせろ!! はあはあはあ。
というわけでさっそく、本日から配信となったナナ・テスカトリ(いち時期の凶悪な強さはなくなり、弱体化したそうな)に挑むことにした。龍属性をまとった俺のガンランスに、ナナもさぞかしビビることであろう。ふふふふふ。
そう思い立ったのが、17時25分のこと。
そしたらアナウンスのテロップが流れました。
17時30分から緊急メンテナンスだって……。
さて今日は『ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲』について。会社では『モンスターハンター フロンティア オンライン』を遊ぶ傍らで『忌火起草』をコツコツと進めているのだが、帰宅してから就寝するまでは『ゴッド・オブ・ウォーII』を夢中になって遊んでいるのであります。前作『ゴッド・オブ・ウォー』が世界的に評価されている優秀なアクションゲーム、っていう知識は当然持っていたし、俺のまわりの編集部員でも熱心に遊んでいる人間はいたのだが、なぜか自分で操作するには至らず、今日まで歩んできた次第である。
それでもずっと、『ゴッド・オブ・ウォー』の存在は気になっていた。ある女の子のことが好きで好きでたまらなくて毎日のように電話やメールで口説き落とそうとしていながらも、なぜかわからぬがもうひとりの女の子が心のどこかに引っかかっている……ってことがあるでしょう? え、ない!!? うん、俺もナイ。よく考えたらなかった。……ないけどでも、俺にとっての『ゴッド・オブ・ウォー』はそういう存在なのです。あ、もちろん、好きで好きでたまらない女の子ってのは『モンスターハンター』ね。書くまでもないですね。
さてそんな”心に引っかかっていたゲーム”の続編が10月25日に発売されてしまった。はっきり言って、これは由々しき事態である。心に引っかかっていながらも声すら掛けられなかった女の子に、それに匹敵する美貌を備えた妹が現れたようなものではないか。……我ながらまるで意味のわからない例えなのだがこうなったら仕方がない。とりあえず前作『ゴッド・オブ・ウォー』は置いておいて、いきなり『II』から始めてやれ!! いささか乱暴な手段だとは思ったが、俺は嬉々として10月25日にソフトを購入した。ついでに書くとこの日に、Wii用ソフト『宝島Z』も購入した。あ! 『忌火起草』も10月25日だった。すごいな2007年10月25日!
まあそんなわけで首尾よく『ゴッド・オブ・ウォーII』を手に入れて自宅に持ち帰ったわけです。しばらく相手をしてあげなかったプレイステーション2にソフトを放り込んで電源をオンに。取り扱い説明書には目もくれず、がちゃがちゃとスタートボタンを押してゲームを始めてしまった。
やってみて驚いた。このゲーム、すんげえおもしれえ!! かなりテキトーにボタンをパシパシと押しているだけなのに、びよーんばひょーんと伸びる武器”ブレイズ・オブ・アテナ”の攻撃がコンボとなって、「なんか俺ってウマイかも!」と思わせてくれる。なんと言うか、非常に気持ちいい。「このままいつまでもボタンをパシパシと押していたい!」と思ってしまうのである。アクションゲームの雄、『モンスターハンター』とはまったく違うアプローチで精錬された、もうひとつの純粋無垢なアクションの結晶。最大級の賛辞を、惜しげもなくこのゲームに捧げてしまいたくなる。
そして、このゲームのグラフィック精度はどうだ。ホントにこれプレイステーション2の映像か!? と疑ってしまうくらい背景もキャラクターも美しいのである。このゲームは固定カメラなので”自由度”という点においてはフリーカメラのゲームとは比べるべくもないのだが、そもそもそういう点を比べることがおかしい。『ゴッド・オブ・ウォー』は固定カメラながら、場面場面でもっともゲームが”映える”位置にカメラが移動してくれるので、視点についてストレスを感じることはほとんどないと言える。逆に、固定カメラについてまわる遮蔽物の陰(いわゆる死角)などに宝箱が隠してあったりして、欠点を謎解きに利用する巧妙さも見え隠れするのである。そしてこの謎解きの難度も絶妙で、前作をやり込んだ人に言わせると「かなりフレンドリーな難易度になった」ということらしいのだが、「?」と思って立ち止まってしまっても、5分くらいアレコレと考えていると「!」と閃く程度に難しさが抑えてあって、こちらの自尊心をくすぐってくれるんですねぇ〜。しかも(まだある)、このゲームの舞台はギリシア神話の世界ではないか。もうホントに何をいまさら的な発言で申し訳ないのだが、俺は小学生の時代からギリシア神話が大好きな人間なので、『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズの舞台設定はまさに”大好物”だったのである。序盤、人類に火を与えてゼウスの怒りを買い、山に張りつけになって生きたまま内臓をハゲタカに啄ばまれているプロメテウスを見たときは、思わずドキリとしてしまったよ。プロメテウスは不死なので、食われても食われても死ぬことができない。それを主人公が助けるわけだが、このミッションを遂行しているときは、ガキの時分から夢だったギリシア神話の世界に入り込んだような感覚を覚えて、ちょっと恍惚としてしまいました……。
もう早いところ仕事を片づけてとっとと家に帰り、『ゴッド・オブ・ウォーII』を起動したくてタマラナイ。自分がいまどのへんまでゲームを進めたのかまるでわからないのだが、毎晩30分から1時間程度、好きなお酒を片手に『ゴッド・オブ・ウォーII』を遊んでいる時間が、何気に至福の時だったりします。『II』が終わったら前作も遊ぼーっと。それくらい惚れこんでしまったのでありました。
いま、とあるゲームにハマっている。「どうせ『G』の発売時期が発表されたからってことで、『モンスターハンターポータブル 2nd』とでも言うつもりだろう」と思われるかもしれないが、そうではない。何を隠そう、プレイステーション3用ソフト『忌火起草』と、プレイステーション2用ソフト『ゴッド・オブ・ウォーII』にドップリなのである。
『忌火起草』は今年の5月15日に行われたセガの発表会”セガ コンシューマ新作発表会2007 SUMMER”で初お披露目されたのだが、これの取材担当だった女尻笠井が帰社するなり血相を変えて、「大塚さん、ヤバいゲームが出ますよ!!」と、目ん玉が飛び出さんばかりの勢いで報告してくれたタイトルだ。笠井は俺が無類の怖いモノ好きということを知っていて、この日見た『忌火起草』に危険な匂いを感じとり、記事を書くよりもさきにその詳細をリポートしてくれたのであった。身振り手振りを織り交ぜた笠井の説明に、俺は震え上がった。チープな表現で恐縮だが、(『忌火起草』は心臓を鷲づかみにされるような恐怖を味合わせてくれるかもしれない)、とこのとき思ったものだ。
9月に行われた東京ゲームショウ2007で、俺は真っ先に『忌火起草』をプレイするためにセガブースに走った。しかし俺が行ったときにはすでに『忌火起草』の特設ブースには大行列が発生していて、遊ぶまでに何時間かかるかわからない。さすがに東京ゲームショウ期間中は取材が立て込んでいるので、そうそう長い時間ひとつのブースに張り付くわけにもいかぬ。そこで俺はプレイステーション3用のソフトが軒並みプレイアブル出展されているソニー・コンピュータエンタテインメントのブースに走り、『忌火起草』を捜した。すると首尾よく、こちらにあった体験台は10分ほど待てば遊べるということだったので俺は嬉々としてSCEブースの『忌火起草』のコーナーに張り付き、おとなしく前に並んでいる人がプレイし終わるのを待ち続けた。
そしてついに、俺に体験プレイの順番が回ってきた! なんでも、3つのコースからどれかひとつを選んで、7分間ほどの体験プレイができるという。俺は体験台に張り付いていた『忌火起草』担当とおぼしきコンパニオンのおねえさんに目をやり、「おねえさん、この3つの中でどれがいちばん怖いのですか?」と幼児のようなおねだり光線を照射した。そんな俺をコンパニオンのおねえさんは苦笑全開で見やり、そして急に声を潜めて「この"駐車場"ってやつ、怖いよ……」と芝居がかった台詞を吐いた。俺はゴクリとツバを飲み込み、早くも震える手でコントローラーを握って”駐車場”と書かれたシナリオを選択し、画面に没入していった。
しかし残念なことにSCEのブースは、40タイトルものプレイステーション3用ソフトがズラリと並んでいる中に『忌火起草』もあったので、まわりから響いてくる轟音や歓声、賑やかな雰囲気をさえぎるものがない。なのでヘッドホンと画面でいかに恐ろしいオーラを中てられても心の底からビビることができず、俺は消化不良のままSCEブースをあとにすることになったのであった。それでもなんとなく、たった7分の体験プレイではあったが、(うん、このゲーム、怖いかも)という手ごたえだけは得ることができた。「発売されたら必ず買おう!」と俺は誓った。
そして10月25日。ついに『忌火起草』が発売された! さっそく俺はソフトを入手し、プレイを始める。
……ふむふむ。
……なるほどなるほど。
画面に現れる文字と映像、そしてそれを補完するように耳から入ってくる台詞と効果音のシンクロがじつに心地いい。俺がいままで遊んだゲームの中でもっとも恐怖を感じたのはダントツでスーパーファミコン用ソフト『かまいたちの夜』なのだが、それとはまた違った、リアルな恐怖を感じる。ネタばらしになってしまうので詳細は書けないが、ある種荒唐無稽な展開になっても”映像”、”文字”、”音声”の三位一体ぐあいが絶妙なため、ゲームに引き込まれてしまうのだ。うん、楽しい楽しい。サウンドノベルは突き詰めるとパラレルワールドのおもしろさになる。(もしもあのとき、右じゃなく左に曲がっていたら!)、(これじゃなく、別の選択肢を選んでいたら!)という、現実世界でも頻繁に現れる分岐点に簡単に立ち戻り、あのときとは別の道を歩む自分の姿を見せてくれる。「いったいどれが本当の自分なんだ!?」と戸惑い、「ひとつ選択を違えただけでこんなに人生変わるのか!?」と驚くこともあるが、パラレルワールドは着地点が遠くなっても、「ま、そういうのがあってもいいか」と思えてしまうからおもしろい。
現在、シナリオの読了率は71パーセント。かなり夢中になって遊んでいるのであります。
でもひとつだけ「失敗した!」と思うことがある。
じつは俺は『忌火起草』を会社でプレイしているのです。私物のプレイステーション3を会社のデスクに設置してあるからなのだが、無理してでも家に持ち帰ってプレイすべきだった。というのも、やっぱり会社というところは程度の差こそあれ、それなりにやかましいところだと思うのだ。本来こういったゲームは、シンと静まった丑三つ時に、灯りを消した和室に独りこもって、高性能のヘッドホンで外の音もすべてシャットアウトしたうえでプレイするのがベストであろう。そういった環境に自分を置いて初めて、目は血走り、歯の根は合わなくなり、手はひたすら汗ばむという『忌火起草』ならでは恐怖を味わえるのではなかろうか。
でも正直、このような完璧な環境で俺が『忌火起草』を遊べるかと言うと、まるで自信はない。ここだけの話、賑やかな会社だったからこそ、俺はスムーズにプレイできているのだと思う……。そう、俺は怖い話大好きだけど、大の苦手でもあるのです……。俺のような人、けっこうたくさんいると思うのだ。そういった方にぜひ、遊んでもらいたいと思いました。
『ゴッド・オブ・ウォーII』については、また今度。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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