大塚角満の ゲームを“読む!”
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突然ですがハンターの皆様。あなたは『モンスターハンター』のどこにいちばん魅力を感じていますか?
アクション性?
うん、確かにすばらしい。本当に自分自身が武器を携えて強大なモンスターに挑みかかっているような空気感は、あまたのゲームを見渡しても頭抜けていると思ってしまうね。
巨大なモンスター?
そう、大きなモンスターは『モンハン』シリーズの象徴だ。「絶対に敵わない……」と思わせるルックスとその体躯に、ハンターは恐怖を覚えるとともに身体の芯から痺れてしまう。「いつかこいつを自分の手で倒してみせる!」と思わせてしまう存在感に、ハンターは魅せられてしまうのだ。
コミュニケーション?
これなど、ものすごく共感してしまう。拙著『本日も逆鱗日和』で書き下ろしたことだが、俺などはコミュニケーションを取ってくれる友だちたちがいなかったら、これほどまでに『モンハン』にハマっていたかどうかわからないクチだ。強大なモンスターに叩きのめされてマジ凹みしているときでも、「いっしょに倒そう!」という友だちの台詞に何度救われたことか……。『2nd』はソロプレイがメインではあったが、ときに楽しむ友だちとのパーティープレイやオフ会でのワイワイガヤガヤとした中でのお祭り的な賑やかプレイはことのほか楽しかった。やっぱり『モンハン』のパーティープレイは最高だ。
ここに挙げた3つの要素、確かにかなり決定的な、『モンハン』シリーズの魅力を語るうえでの"三種の神器"のようなポイントではある。これらすべてに総合的な魅力を感じている、という人も多いだろう。しかし、ポイントはこんな大きなものだけではない。もっといろいろある。
たとえば、俺が『モンハン』シリーズに魅かれる大きなポイントのひとつに"名前"というものがある。
ここで多くの読者諸君が「お。なんか角満がカッコイイこと言いそうだな」と思ったことであろう。うんうん、そのとおり。ここからかなり学術的な話になるのだよ。名前とは、つまりアレですな。「『モンハン』に出てくる武器の名前、なんかかっちょいいよなぁ〜〜〜」ということである。
「ここまで読ませておいて、そんな子供のようなことしか言えねえのか!」と落胆された方々、それは早計ですよ!! よく考えておくれ。この"武器の名前がかっこいい"という要素、じつは多くの男性ハンターの心の拠りどころとなっているはずなのだ。
自分の人生をしみじみと振り返ってみて思ったのだが、俺はとにかくめったやたらと、名前の響きがよさげなものに惹かれまくっていたようなのである。ギャラクティカマグナムに始まり、南斗水鳥拳、スカイラブハリケーン、マッスルドッキングにダイヤモンドダストと、ピンと琴線に触れる単語に出会った瞬間に、俺はその固有名詞が出てくるコンテンツ(マンガや小説……って、ここに挙げたのマンガばっかだが……)のトリコになった。きらびやかで派手な固有名詞は、いわゆる"ジャンプ黄金世代"直撃の俺には憧れ以外のナニモノでもなかったのである。
で、『モンハン』なわけだが、無数にある同シリーズの武器名はそんな俺から見たらまさしく"宝の山"であった。インドラ、オデッセイ、リュウノアギト、ジャッジメント、ラスティクレイモア、ギルドナイトセーバー、双龍剣【天地】、デッドリボルバー、ドラゴンデストロイ、ブラックテンペスト、ブループロミネンス、封龍槍【刹那】、バベル、龍騎槍ゲイボルグ、ガンチャリオット、スパルタカスファイア、ディスティハーダ……。こんなステキな固有名詞がじゃぶじゃぶと溢れているのだ。男子のハート直撃!! なのもわかるというものでしょう。
ちなみに俺がいちばん好きだった武器名は、初代『モンハン』、『モンハンG』のときにあった"ロードオブドラグーン"という名のランスだ。この武器、こんなステキな名前ながら最終形態ではなくて、さらにもう一段階パワーアップすることができた。しかし名称のあまりのかっこよさにメロメロになった俺は最終強化をすることを拒否。ロードオブドラグーンの名前のまま、こいつを使い続けた記憶がある。その後のシリーズ作品では見かけなくなってしまって、じつは俺は寂しくて仕方がないのだが、どこかで復活してくれないものかねぇ……。
さて、ここまで書いてきた"武器の名前がかっこいいから『モンハン』に惹かれる"っていう心境、男子諸君は「確かに!!」と強く頷いてくれたと確信している。ところがこれが女性ハンターとなると話がまったく違ってくる。じつはこの"名前がかっこいいから云々"という話、何人かの知り合い女性ハンターにかなり熱く語ったことがあるのだが、そのときの彼女たちの反応は総じて「フーン(クダラネ)」というもので、いくら熱弁を振るっても心に届いていないようなのだ。これにはたまげた。ひとりやふたりだったら"好みが違う"で片づけられたのだが、5人も6人も同じような反応をするので、(これはどうやら、男と女で徹底的に求めるものは違うらしい)ということに遅ればせながら気づいた次第である。人類の誰もが、ギャラクティカマグナムという単語を見てトリハダを立てるわけではないらしい。
では女性は何に惹かれるのか。とっとと回答例を言ってしまうが、自分のまわりにいる数人の女性ハンターは声をそろえて「着せ替えが楽しい!」とのたまう。つまり武器と同様に無数にある防具をとっかえひっかえして、着せ替え人形の感覚で装備をコーディネイトして楽しんでいる、というのだ。俺も見てくれをかっこよくしたいな、とは思うが、ベクトルはどうしてもスキルや防御力の方向に向いてしまうので、心の底から「このコーディネイトかっちょいい!!」と思えるルックスを作ったことがない。見た目なんて二の次だ。でもその時点で、女性ハンターとは向いている方向が違っているようなのだ。改めて、男と女ってまるっきり違う生き物なんだなぁ……としみじみ思う。
それと、ずっとまえから思っていながらここに書くのを躊躇っていた男性ハンターと女性ハンターの違い。最近、確信を持ったので勢いで書いてしまうが、女性ハンターは非常に勇猛な人が多いです。俺のまわりにいる人を見渡すと、メイン武器にガードができない双剣、太刀を使っている人がじつに多いし、片手剣や大剣を装備している人でも、モンスターを見るやいなや修羅のごとき強さでもって立ち向かっていく。そんな姿を見るたびに、矛盾しているとはわかりつつも「なんて雄々しい……」と思って見とれてしまうよ。それに比べて男性ハンターはのんびり……というか「まあテキトーに^^;」というスタンスの人が多いような気がする。ちょっと穿ちすぎかとも思うが、俺は完全に"テキトー派"だったりします。え? 知ってる? そうですか……。
祝! 90回!!
単独のネタで、よくぞここまで書いてきたなあ……と、中途半端な90回目で感慨にふけっている大塚角満です。最終回の100回目まで、いよいよカウントダウンとなってきましたなぁ。……まあ、100回目で最終回ってのは、勝手に俺が決めてるだけですがね。そこでうまい具合にまとまるのか、自分でもよくわかってなかったりしますが。とりあえず区切りの100回まで走りたいと思います!!
さて。
先日のE3で、新型PSPが発表された。重量が33パーセント減、厚さも19パーセント減になり、より携帯性がアップされて、電車やバスの中、もしくは布団の中で両手を上に上げてプレイするときに非常に都合がよくなった。
ところで、布団に寝転んで『2nd』を遊んでいると、自分の身体の置き場に困ってモンモンとすることがありませんか? ないですか? あるよねあるよね?? うつぶせだとすぐに腰が痛くなるし(トシか!?)、横向きになると操作がママならない。じゃあ残るは仰向けだ、ってことになって上空に両手を突き上げて遊ぶわけだが、具合がいいのは最初の3分くらいで、しばらくすると両手の先の血流が悪くなり、気持ち悪いくらい両腕がダルくなってくる。で、ダルさを解消しようと思って腹の上あたりまで両手を下ろしてきて遊ぼうと思うのだが、そうすると今度は首の角度を若干鋭角に持ち上げる必要があり、これだとじきに首や肩のあたりが猛烈に痛くなり、呼吸も困難になってくる。うつぶせもダメ、横向きもダメ、仰向けもダメ、ってことになると残っている体勢は直立と逆立ちくらいしかないわけだが、それだと布団の中で気持ちよく遊ぶ……という最初のコンセプトから著しく逸脱することになるので選択するわけにもいかない。するってーと、もうどうにも自分の身体の位置を定めることができなくなって、「もうやめやめ!!」という敵前逃亡を強いられる恐怖のいじけスパイラルに陥ることになるのであった。
またわけのわからんことを長々と書きおって……とお思いの読者もいるかと思うが、今回の新型PSPの"薄く・軽く"というコンセプトは、このいじけスパイラルを解消する可能性を秘めているのである。33パーセントの重量減……ってやつ、「大して軽くなってないんじゃ……」と思う向きもあるかと思うが、実際に持ってみるとちょっとビックリするくらい軽い。じつは俺も実際に持ってみるまで、(あんま変わらないんじゃ……)と思っていたクチだが、持ってみてたまげた。「うわ! こんなに軽いんだ!」と。非常に軽かったので思わず、「これって、モックアップ(見本)じゃないんでスか?」とソニー・コンピュータエンタテインメントの超エライ人にこぼしてしまったのだが、ぴしゃりと「本物です」と言われてしまった。そして、(このPSPのように、体重の33パーセントを削り取れたらどんなにいいだろう……)と思ったりした。
でも、今回の新型PSPに関する発表でいちばんうれしかったのは薄さや軽さではない。じつはテレビモニターに出力できることが何よりもうれしかった!! これ、大げさでも何でもなく、全国のハンターたちは「キタ!!」と思ったのではなかろうか。あの美しく、迫力ある『2nd』の映像を、自宅のテレビモニターに出力して遊ぶことができるのである。こんなうれしいことはないでしょう。
みな、少なからず、こんなことを経験していると思うんよ。たとえば休日、遊んでくれとねだる子供を尻目に自分だけに見えるPSPの画面でチクチクとクエストを遂行していたら、奥さんと子供にマジギレされた……とか、ゲームをまったく遊ばない恋人が遊びに来ても自分だけPSPで狩りをしていて「何ひとりで遊んでんのよ!!」とブチ切れられたりとか……。でも、モニターに出力さえできれば、こんな諍いがなくなることは確実!! よかったですなあ、全国のハンター諸君。
あ、でも。
俺の家のテレビ、重量だけはヘビー級だがPSPからの出力には対応していないタイプだ。うーん、どうしよう。新型PSPに合わせて、テレビも新調するべきだろうか……。しばらく本気で悩みそうである。
※あ、そうそう。品切れとなっていた拙著『モンスターハンタープレイ日記 本日も逆鱗日和』の増刷が完了しました! ありがたや!! 「読んでやってもいいか」と思われた皆様、どうかお手に……。
結果見えてるかもしれませんが、せっかくなので書こう……。
高度10000メートルの上空で、最凶悪魔・ラージャンと戦うことを決意した俺。ヒマつぶしで……というにはあまりにもリスキーな相手とは思ったが、もしかすると地上とは状況が違う天空での決戦だったら意外にもアッサリと勝てるのでは……。そんな、なんの根拠も裏づけもない勝手な理屈に後押しされて、俺はクエスト”最後の招待状”を受注した。気分は完全に、スカイハイデスマッチ、である。
一戦必勝を期して、武器は自分が持っているガンランスの中でも最強と信じている”ガンチャリオット”を選んだ。ラージャンが氷属性に弱いのは知っているが、イマイチ、氷属性のガンランス”ヘルスティンガー”はルックス的に信用ができぬ。それに難関中の難関、最後の招待状を初めてクリアーするときは、傍らにもっとも信頼している武器にいてもらいたい……。そんな思いが、ロマンチストな俺の脳裏で閃いたとしても何ら不思議はない。ちなみにアイテムは、回復系フルセット(回復薬、回復薬グレート、薬草、秘薬、生命の粉塵などを限界数)、シビレ罠(最大3個作れるように調合材料も持参)、落とし穴、そしてモドリ玉(現地調合できるようにドキドキノコと素材玉も10個ずつ)などを持った。ここでポイントとなるのがモドリ玉だ。闘技場での決戦は、いったん闘技場に足を踏み入れてしまうと出入り口が塞がってしまうので、ピンチになったらエリアチェンジで逃げる……というハンターの常套戦術を使うことができない。相手がゲリョスやイャンクックだったら「いくらでも塞いでくれ」ってな強気な姿勢でいられるが、ここで対峙するのはラージャンである。動きがべらぼうに速いうえに、遠距離の攻撃も多彩な悪魔がいる戦場で回復系アイテムを使うことは、猛烈にリスクの高い行為だったりするのだ。なので本当にヤバくなったらモドリ玉を炸裂させて、悠然とキャンプのベッドで寝るか回復薬を飲む。これが闘技場で強敵と戦うときの”必勝”戦術なのである。でもモドリ玉は通常、1個しか持つことができない。たった1個じゃあまりにも心もとないので、現地で作成できるようにとドキドキノコと素材玉を持参したというわけだ。
さあ準備は万端だ。ここで会ったが5回目か6回目。今度こそ勝利して村クエにピリオドを打ってやる!! エコノミーの狭い座席でウザいほど気合をみなぎらせながら、俺は闘技場へと降り立った。
闘技場へ入ると、なんとラージャンがいる!! って当たり前なのだが、この狭い闘技場内で見ると、やたらとこの悪魔が巨大に見えるのは気のせいでしょうか? これはもしかすると、圧倒的に強い格闘家と対峙すると、たとえその人が自分より小さくてもめったやたらと巨人に見えてしまう……というのと似ているかもしれない。そんな現象、我が35年の人生で一度もお目にかかったことはないのだが、きっとそうに違いない。
しっかし本当にこのラージャンだけは、何度戦っても慣れることがない。毎回怖い。つねに怖い。
(また怒られるんだろうナ……)
(怒らせるようなことしちゃうんだろうナ……)
(あまり血圧上がらせるようなことしたくないんだけどナ……)
ラージャンの体調すら気遣いながら、俺はソロリソロリと強敵に接近。しかし(なるべく怒られないように……)という俺の思いは一瞬にして消し飛び、ラージャンは俺の存在に気がついた瞬間に「どがぁぁぁぁぁああ!!!」と大激怒した。オイオイ、そんな怒ることねぇだろ……。ままま、まだなんもしてないじゃんか……。一気に失禁一歩手前まで追い詰められながらも、俺はガンチャリオットをジャキーンと構えてラージャンと対峙した。こここ、今度こそ倒してやるぅぅ!!
はっきり言って今回は、かなり善戦した。もう、誇っていいくらい善戦した。なんたってラージャンが、「こ、この手練のハンター強い……。オレひとりじゃ手に余る……」と弱音を吐いて、戦闘開始から10分後に仲間のラージャンを呼んだくらいだからな^^ ……って、もう1匹キター!!! まあ当然わかっちゃいたのだが、このラージャン2頭が同じ場所に佇んでる絵は凶悪なんて言葉じゃ収まらない。俺の乏しい語彙から出てくるこの絵に対応する言葉は”絶望”しかない。
わずかな希望をも絶ってしまう、凶悪な悪魔の揃い踏み。1頭だけでも手に余っていたのに、この最初の1頭目よりもさらに大きく見えるラージャンが現れてしまったら、もうお手上げである。俺は”切り札”と踏んでいたモドリ玉を使う間もなく、容赦ないラージャン2頭の猛攻にさらされてズタボロにされてしまった。屈強な友だちをして「10分以内に1頭目を倒してしまわないとクリアーするのはほぼ不可能」と言わしめる史上最強タッグに、俺などが敵うわけがないのだ。俺はあっさりと3回倒され、それでもあきらめずにさらに2度、最後の招待状を受注してラージャンに挑んだのだが、ことごとく敗北を喫してしまった。さすがに3回連続で同じクエストに失敗したらやる気がなくなる。俺はうなだれながら、静かにPSPの電源を切った。
スカイハイデスマッチに敗れた俺は、傷ついた心と身体(?)を癒すために座席のモニターで映画『東京タワー』を観た。そしてラージャンにいじめられたことなどすっかり忘れ、まんまとクライマックスシーンでボロボロに涙を流した(マジ)。そしてハンカチで涙をぬぐいながら顔を上げると、通路を挟んだ斜め前の席に座っていた男性が俺と同様にハンカチで目頭を押さえている姿が飛び込んできた。よく見ると彼の座席モニターには、いま俺のモニターで流れているのとまったく同じ『東京タワー』の映像が……。
俺はほんわかと優しい気持ちになって、「きっとあの男性はいい人だ」と確信した。そして、「ラージャンもこういう映画を観ればもっと優しい男になれるのにナ……」と思ったりした。
高度10000メートル上空では、ラージャンよりも『東京タワー』がいい(意味不明)。
話が時空を飛び越えて前後しまくりで恐縮だが、本日はサンタモニカで行われたE3取材の帰りの飛行機で、俺が何をしていたのかを書きたい。行きの便で何をしていたのかについてはファミ通コネクト!オン誌で連載している”本日も逆鱗日和”で詳細を書いているのでそちらを読んでくださいぜひぜひぜひ……。……まあくだらない話だけどな!
で、帰りの飛行機です。
この男(俺ね)、残念なことに極度に寝つきが悪いため、飛行機による海外出張ではいつも苦労している。しかも昔から大の飛行機嫌いで、じつは搭乗するしばらくまえから(ああ……。また飛行機だイヤだイヤだイヤだ……)と心の中で滂沱の涙を流していたのであった。この”しばらくまえ”っての、搭乗30分まえとか1時間まえ、なんていうナマナカなものではなく、余裕で搭乗1週間まえとか1ヵ月まえくらいから(ああイヤだイヤだイヤだ……)と思い始めるからたまらない。こんな俺を哀れに思った何人かの友だちは、航空力学を優しく噛み砕いて諭すように教えてくれ、俺から飛行機の恐怖を取り除いてくれようとした。しかし頑健なる我が病は航空力学という処方箋をいっさい受け付けず、いまだ俺は出張が決まると(怖いヨ怖いヨ……)となっているのである。これはアレだ。ラージャンといっしょだ。屈強な友だちが「ラージャンなんてこうやってこうすれば余裕で倒せるよ」と教えてくれても怖いものは怖いし、モンハンフェスタの決勝で優勝したJast25'sのふたりが赤子の手を捻るように金色の悪魔を屠り去ったのを目の当たりにしてもやっぱり「ラージャンはモンハン界のマフィアだ」という思いは変わらない。俺の中では”飛行機=ラージャン”。別に何かトラウマがあるわけではないのだが、俺は幼きころより飛行機に乗ることに極度のストレスを覚える。三つ子の魂百まで……じゃないけど、この恐怖症のようなものは一生治らないことであろう。
えーっと、何を書こうとしてたんだっけな。
そうそう、帰りの飛行機だった。俺はここで例の如く、不眠症と飛行機の恐怖から目がバチバチに覚めていたのだよ。ふと横を見ると、いっしょに乗り込んだ女尻笠井と江野本ぎずもが気持ちよさそうに眠りこけている。笠井なんて、飛行機に乗り込んだ2秒後には眠りに落ちて、寝ながら荷物を収納スペースに入れたり、お茶を飲んだりしていたに違いない。江野本はしばらく起きてて映画などを観ていたようだが、俺がふと横を見たときにはすでに舟を漕いでいたので、おそらくあまり笠井と変わるまい。まったく、悩みのないヤツらはいいよな……。俺はおまえら違ってデリケートだからな……と、平和に眠る部下の顔を苦々しく思いながら眺める。しかし、いくらこやつらの顔を見ていても眠くなったり、ヒマが解消されるものでもない。こういうときはPSPを引っ張り出してきて『2nd』をするに限る! さあやろうすぐやろう、ということで、俺はPSPの電源を入れた。
問題は何のクエを遊ぶかである。いくらヒマだからといって、電池が切れるまで釣りをしているというわけにもいくまい。じゃあ普段はあまりやらない卵運びや灰水晶の運搬でも……とも思ったが、電池がなくなるまで運搬ばっかやってたら、ヘタするとこのゲームを嫌いになる恐れもある。そんなことやってたら間違いなく眠くなるとは思うが、いまは眠ることよりも元気に何かを討伐して、アグレッシブにヒマつぶしがしたいのだ。そうなると……。
「アグレッシブ、っつったら、やっぱり相手はあの野郎しかいないな^^」
俺は迷わずポッケ村の村長に話しかけ、唯一クリアーマークのついてないクエストを選択した。
クエスト名”最後の招待状”。そう、闘技場でラージャン2頭を相手にする史上最悪のクエストである。過去何度、このクエストの厚い壁に跳ね返されたことか……。というわけで俺は急遽、高度10000メートルの上空で最凶の悪魔とケンカすることになった。
スカイハイ・デスマッチの様子は、次回に書く……かどうかわかりません。だって結果は……。
7月17日に発表されたPLAYSTATION AWARDS。プレイステーション関連ハードにおいて50万本以上の出荷を記録した作品を表彰する催しで、今回は9作品(特別表彰含む)が受賞した。この中で、今回の表彰の最高賞となるプラチナプライズ(100万本以上出荷)を獲得したのが何を隠そう、我らが『モンスターハンターポータブル 2nd』。このPLAYSTATION AWARDSは毎年恒例の表彰イベントなので『2nd』がプラチナプライズを獲得するのはわかりきっていたのだが、それでも会場内に「プラチナプライズは『モンスターハンターポータブル 2nd』です!!」というMCさんの声が轟いた瞬間は全身に鳥肌が立ってしまったよ。ご存じのとおり、俺は初代『モンスターハンター』からこのゲームにどっぷり浸かっているので、"モンハン"というブランドがどのようにファンに受け入れられて育ってきたのか、その成長過程をすべて見ている。そういう意味で、ヒット作品の証明というか、人気シリーズかどうかを分ける分水嶺とも言うべき100万本を愛する『モンハン』が突破してくれたことは"感慨"以外のナニモノでもないのだ。勘違いとはわかっているが、なんだか自分が褒められているような気がして、会場で誇らしくて誇らしくて仕方がなかった。いっしょに取材に来ていた江野本ぎずもに思わず「どうだ。すげえだろ」と言ってしまったほどだ。
そして俺が何よりもうれしかったのが、表彰式の会場で『2nd』制作チームの面々と再会できたことだ。まず出会ったのが"モンハン4人衆"のひとり、ディレクターの一瀬泰範さんと、メインプランナーの江口勝博さん。一瀬ディレクターは相変わらず飄々とした佇まいで、「あ〜、大塚さん。どぅも〜」てな感じ。江口さんはうれしそうにニコニコしている。そのときはふたりが他のメディアの記者(と言っても、じつは俺の学生時代の同級生なのだが)と話をしていたので、邪魔しちゃ悪いと思い、あいさつを交わしただけで早々に立ち去る。でも去り際、一瀬ディレクターが「ほかの連中も来てますよ〜」と教えてくれたので、会場をウロつきながら他の制作メンバーを捜すことにした。PLAYSTATION AWARDSは表彰イベントなので、取材は江野本ぎずもに任せよう。俺は江野本のところに行って「きっちり受賞作品と登壇者、コメントをメモっておけよな」とエラそうに言い置き、でもさすがに(ちょっと悪いな)とも思ったので、「まあ俺もメモるけどな」と宣言した。
さてつぎに会ったのはやはりモンハン4人衆のひとり、プランナーの小嶋慎太郎さんだ。いつものラフな格好ではなく、ビシっとしたスーツを纏っている。小嶋さんを見つけるなり、女子高生のように手を振る俺。それを見て、小嶋さんは一気に破顔した。
「元気っすか?」と俺。すると小嶋さんはニヤリと笑い、「いやあ、最近はいろんなゲームをやってますよ」と返す。この人は「さすがプランナー」と感心してしまうくらいフットワークの軽い人で、忙しい合間を縫ってはいろんなゲームをプレイして、今後自分が携わるゲームに役立てようとしているフシがある。つまり、俺が毎週週刊誌を6誌も7誌も買って読んでいるのと同じだ(た、たぶん)。俺は小嶋さんに対する親近感をさらに深め、「また飲みに行きましょう!」と元気に行って別れた。
小嶋さんのもとを去ってしばらくは、マジメにPLAYSTATION AWARDSを取材。しかしすぐに"あの人"を発見してしまったため、江野本ぎずもに「あ! ちょっと行ってくる!!!」と言い捨てて取材席(俺と江野本が陣取ってた丸テーブル)を離れた。そして件の男性に接近し、背後からなれなれしくポンポンと肩を叩く。すぐに、その男性が振り向いた。
そこにいたのはモンハン4人衆のひとりにして、モンハン世界の世界観を守るシリーズディレクター、藤岡要さんだった。藤岡さんは俺を認めてニコニコと笑い、「おーーー! お久しぶりです! あ、取材で来られたんですね?」と言った。そう、俺はじつはニュース担当記者なので、こういう発表会やイベント会場こそメインの仕事場だったりするのだ。最近はドンドルマやポッケ村が職場のようになっていたが、俺もやるときゃやるのである。
俺と藤岡さんは再会を喜び合い、賑やかな表彰式の会場で大声を張り上げながら近況報告などをした。いつ会っても、藤岡さんはじつに気分のいい男だ。なので本当は表彰会場から身柄を確保して飲み屋に連行したくて仕方なかったのだが、そういうことをするとあとでカプコンの広報さんと江野本にマジギレされると確信して泣く泣く断念。そのかわりに「近々、強引にでも時間を作って飲みましょう」という約束手形を切りあって、俺は必死になってメモを取っている江野本のもとに戻った。するとすぐに、「何やってんだオッサン」と顔全体で抗議している江野本の姿が俺の視界に飛び込んでくる。俺、少々ビビリながらも、「ちゃんとメモとってっか?」と副編集長の威厳がたっぷり詰まった台詞を発した。こういう表彰イベントはけっこう矢継ぎ早に受賞作品が発表されるので、メモを取るのがたいへんなのだ(受賞者が何人も壇上に上がるからね)。俺の台詞を受けて、低い声で「取ってますよ」と江野本。ラージャン怒髪天5分まえ、って感じの江野本の眼光に射すくめられ、俺は(やばい。ちょっとマジメにメモとろう)と素直に心を入れ替えた。
しかし哀れなことにその数分後、モンハン4人衆最後のひとりを発見してしまった。そう、辻本良三プロデューサーである。俺はほんの一瞬まえの堅い決意など速攻で忘れ、「良三さーん!」と叫んでブンブンと手を振る。辻本さんはすぐに俺を認め、「ああ!! いた!!」と言いながら我が元にやってきてくれた。そして、すぐに会話スタート。俺は彼がプロデューサーであることなどお構いなしに、「アレ? 良三さんも来てたんだ(笑)」と失礼な言葉をぶつける。それを受けて辻本さんは、「あたりまえやないですか! プロデューサーですよプロデューサー(笑)」と言って笑う。辻本さんの笑顔を見て、一瞬にして熱かったモンハンフェスタのころに戻ったかのような錯覚を覚えた。
この日、辻本さんが開口一番俺に言った言葉は、「大塚さん、デスギアできたんすか?(ニヤニヤ)」というものだった。そう、辻本さんは"トレニャー頼みの悲哀"というコラムで俺が「デスギアの上位装備作りたい!」と叫んでいたのを読んで、そんなことを言ってきたのである。詳しくはコラムを読んでいただきたいが、このデスギアの上位装備は俺より先に辻本さんが完成させており、屈辱的なことに俺は彼のあとを追うような形になってしまっているのである。辻本さんは俺の顔を見ながら、「デスギア装備を作るうえでわからないことあったら、なんでもボクに聞いてくれるといいですよ(ニヤニヤ)」とのたまう。俺は(ヘッドロックかけたろか……)と思いながらも、「デデデデスギアなんて、ととととっくに完成しましたよ!!!」と震える声で宣言。すると辻本さんは「へぇ〜。そうなんだぁ〜。できたんだぁ〜」とさらにニヤニヤ笑いを強め、言葉の裏に隠れている(どうせウソだろう!)という本音をチラチラと垣間見せるのであった。……まあウソだけどな!!! 悔し紛れに書くが、辻本さんは俺のコラムを指して「大塚さんのコラムのせいで僕がズッコケキャラだと思われてしまった」と事あるごとにクレームをつけてくるのだが、それは明らかに俺のせいじゃありません。あなたの資質の成せる業です!!
そんなこんなで辻本さんとバカな話をしていたとき、急に背筋に悪寒が走った。恐る恐る振り向くと、そこにはラージャンもかくやというくらい髪を逆立てた江野本が……。俺はキモを潰して咄嗟に、「うんうんナルホドナルホド、いやあとにかくプラチナプライズおめでとうございまスー」とかなんとか、"いかにもいまコメント取りをしていました!"という絵を取り繕った(なんで副編集長の俺がこんなにビビる必要があるのか、そこのところはよくわからない)。しかし、グレムリンと化した江野本の顔には、「どうせウソだろう!」とはっきり書いてあった。
それにしてもほんの一瞬の再会ではあったが、気の置けないモンハンチームの人と話すのはことのほか楽しかった。つぎに会えるのは8月の"モンスターハンター夏期講習"かな? いまから楽しみだなあ。
「おまえはいつまでE3に行ってるんだ!」
とお叱りを受けるんじゃないかとビクビクしている大塚角満です。お久しぶりでございます。健在でございます。怪我も病気もしておりません。先週の土曜日(7月14日)に、きっちりと帰国しております。「じゃあなんでブログを更新しないんだ」と言われてしまいそうですが、聞いてくれ! 本当に忙しかったんだよぉぉぉ!! 皆さんご存じかと思うが、E3が終わったかと思ったら7月17日にソニー・コンピュータエンタテインメントがPLAYSTATION PREMIERE 2007という大きな発表会を開催。これに付随した周辺取材なども怒涛のように押し寄せてきて、「いったい、俺はいま何をやっているんだろう……」と半ば錯乱状態に。そうなってくると意外なほどパワーを使って書いている本ブログを更新することなどできるわけもなく、丸々1週間以上におよぶ異様な無更新期間ができてしまったというわけだ。
言い訳はまだある。
今回のE3はカリフォルニア州のサンタモニカで行われた。サンタモニカっつたらアナタ、西海岸でも指折りの観光スポットですよ! 海岸線に立ち並ぶ大きな椰子の木とブーゲンビリアの花々。日差し、どこまでも爽やかで、駆け抜ける風は心にたまった憂きものどもをも吹き飛ばしてくれるほど澄み切っておりました。じつはサンタモニカには毎年のように来ていて(例年、E3はロサンゼルスで行われていた。ロサンゼルスからサンタモニカまではタクシーで40分くらい)、昨年はこの美しい風と日差しに当てられた東大卒の某記者が有頂天となり、上半身裸で椰子の木によじ登って水平線に向かって「がおおおおーー!!」と吠え、現地の人々にドン引きされたほどの土地である(実話なんです)。
って、俺は何を書いているのだ。
まあサンタモニカはそういう観光スポットなので、基本的にロサンゼルスのダウンタウンのようなビジネスゾーンとは毛色が違う。だからなのか、道行く人々や街の施設も齷齪(あくせく)しているふうはなく、これに比例してどこのホテルも通信環境が脆弱(このへんの理論、しっかりしてない?)。当然のことながら我々の泊まったホテルも極めつけの壊滅状態で、"High-speed LAN"と銘打たれた紐は壁からニョロニョロと生えていたのだが、こいつをいくらPCに刺しても、インターネットのトップページを開くまでに5分も6分もかかる有様だった。しかもつながるのはまだいいほうで、俺が持っていったノートPCはけっきょく、滞在期間中は有線だろうが無線だろうが一度もネットに接続することはなかった。じつは俺は成田−ロサンゼルス間のフライトで一睡もできず、あまりにもヒマだったのでノートに手書きでいくつかコラムを書きつけていた(ホントですヨ)。で、サンタモニカでカッコよく更新してやるぜYES!! なんて思っていたのだがそれは夢マボロシとなりました。ちなみにそのとき飛行機で書いていたコラムのひとつは、ファミ通コネクト!オン誌の"本日も逆鱗日和"に掲載される予定です(宣伝)。
さて、たっぷり言い訳したところで本題に。「こういうクダラナイことを書き始めたってことはヒマになったんだろうナ」と思わせておいて、じつはまだまだテンパっております。なのでちょっと苦肉の策を……。ここから始まるコラム、じつはエンターブレインが運営する"efigo"というSNSにアップしたものだったりします。「手ェ抜くな!」と言われちゃいそうですが、読まれていないかたのほうが圧倒的に多いと思われますので、どうかご容赦を……。efigoで読まれている皆さんはすっ飛ばしていただいて構いません(汗)。
◆居酒屋の爆弾◆
先日、あるクリエーターさん、その会社の広報さんの3人でお酒を飲んだ。お店には6時間28分居座っていたのだが(お店の人、ゴメンナサイ)、まじめに話をしていたのは最初の2時間弱だけで、そのあとは延々と、『モンスターハンターポータブル 2nd』でパーティープレイをしておりました。
しっかしこのときのパーティープレイ、過去最高ってくらいおもしろかった。3人ともけっこうお酒を飲んでいたってのもあるが、とにかくひたすらバカなことを言い合いながらのプレイだから、笑いすぎて画面が見えなくなるくらい。たとえば、街を舞台にしたクシャルダオラ討伐にて、こんなやりとりがあった。
俺 「あ、ダオラ飛んだ。よし、打ち上げタル爆弾……あ、間違えた。同じ色だから支給用大タル爆弾置いちゃった」
ク 「じゃあ僕も支給用大タル爆弾置きますよ。よいしょ……」
ボボボボボボンッ!!!
けたたましい音とともに、俺が置いた支給用大タル爆弾が大爆発。俺とクリエーターさんが火ダルマになって吹っ飛ぶ。
ク 「あ、しまった!!」
俺 「何やってんすか! それ、打ち上げタル爆弾でしょう!!(笑)」
ク 「同じ色だから間違えちゃった(笑)」
俺 「なに俺と同じようなことやってんすか!(笑)」
そこに広報さんが勢い込んで登場。
広 「あ、俺も俺も! 打ち上げタル爆弾持ってきた!! よいしょ……」
広報さんの目の前に、ズズンと巨大な爆弾が現れた。
ク 「!!!? ビックリしたああ!! 斬るところだった!!」
広 「どう? 打ち上げタル爆弾」
ク 「どこが打ち上げ爆弾なんすか!!」
広 「打ち上げ……ってアレ? これ打ち上げじゃない!! 大タル爆弾じゃん!! どうすればいいんだ俺!」
俺 「だからさっきから同じ色だっつってるじゃないっすか!!(爆笑)」
ク 「なに聞いてるんすか!!!(爆笑)」
とまあこんな感じ(苦笑)。もう、テープ聞き直して(ずっと録音されていた)、笑って笑ってしかたなかった。オトナのハンターにとって、『2nd』は最高の酒の肴である。
気まぐれを起こして"デスギア"の上位防具を作ることにした。下位のデスギア装備はいくつか持っているのだが、なぜか急に「上位のデスギア、全部揃えたい!」と思ってしまったのだ。この決意の裏にはどうやら、モンスターハンターフェスタで『2nd』の辻本プロデューサーが、デスギアの上位防具を披露したことに原因があるようだ。あれを見て俺は素直に「悔しい!」と思った。俺よりもさきに、辻本さんが作ってしまうなんて。デスギアは、俺もいつか作ろうと思っていたのに! まあプロデューサーに先を越されて悔しがる、ってこと自体が本末転倒のような気がするが、俺は辻本プロデューサーにハンターとして同じ匂いを感じているので、先を越されれば悔しくなるのは当然と言えるのである。それともうひとつ、俺が『2nd』をほぼ遊び尽くしたことも、デスギア装備製作の背中を押したことは否定できない。遊び尽くしたと言っても、ひととおりのモンスターと顔合わせをしただけでまだまだやらなきゃいけないことはたくさんあるのだが(訓練所とか村ラージャンとか……)、俺の心に悠々自適の老兵のような、「最近ヒマだし、急いでやらなきゃいけないこともないから好きなモンでも集めるかのう」(群馬弁)という気持ちが芽生えたとしても、それは致し方ないことである。仕事や使命に束縛されることなく、好きなクエストに行き、好きな素材を剥ぎ、好きな武具を作る……。俺くらいやり込んだベテランハンターだけに許されるバカンスの極地。俺はハンターライフにおける、なかなか居心地のいい段階に突入したってわけだ。
さて、『2nd』から新たに導入されたデスギアシリーズは、その名のとおりパっと見は"死神"そのものである。って、「おまえはリアルな死神見たことあんのか!」と言われれば返す言葉はないのだが、人が想像するうえでの死神とは、まさにこういう風貌をしているのではなかろうか。デスギア装備の外見は、死神の名のとおり非常に禍々しい。好きか嫌いか、ものすごく好みが分かれるところであろう。何となく、男性はこういう怪しい雰囲気満載の格好には好意を持ち、逆に女性は「何この薄汚れた格好……」ってことで一瞥くれただけでその後はガン無視を決め込むような気がする。というか、そうに違いない。では俺はどうか。多くの男性ハンターと同じように、俺はデスギア装備の持つ危険な雰囲気はキライじゃない。いやむしろ、大好きである。まあ好きでなければ作ろうなどとは思わないのだが、いやはやこの装備、製作はじつに骨が折れるのだ。
なぜ作るのがたいへんかと言うと、製作するために必要な素材がものすごく特殊だから。なのでいまのいままで、「デスギア……。あ、あれはマア、そのうちヒマができたら作るってことで、いまはとりあえずゴニョゴニョゴニョ……」って感じで後回しにつぐ後回しにあっていたのである。
そして晴れて、俺にヒマができた。デスギア用の素材、集めようではないか。
デスギア装備を作るうえでネックとなるのが"禍々しい布"という素材である。非常にやっかいなクセモノ的素材である。モンスターを倒していればいつかは手に入る素材ならば、火竜の逆鱗だろうが炎龍の塵粉だろうが、「出るまで狩り続けてやる!!」という気持ちになれる。強大なリオレウスでもテオ・テスカトルでも、倒せさえすれば"剥ぎ取れる可能性がある"というだけで、ハンターは大量のアドレナリンを分泌できるものだ。
ここで問題となるのが"禍々しい布"の手に入れかただ。じつはこの素材はモンスターを倒して剥ぎ取るのではなく、ポッケ農場にいるトレニャーさん(ポッケポイントを渡すことでトレジャーハンティングに出向いてくれる冒険アイルー)がときたま拾ってきてくれるものなのだ。手に入れる方法はこれだけ。つまり"運次第"ってことだ。
じつは、これがキツイ。
前述のとおり、モンスターを倒すことで手に入れられるものならばハンターは気合の持っていきどころがあるのだが、トレニャーさんの気まぐれでしかブツが手に入らないとなると、途端にどこにモチベーションを持っていっていいのかわからなくなってしまうのだ。トレニャーさんにお渡しするポッケポイントを集めるときに気合を込めるのか、それともトレニャーさんにお願いするときに、「マガマガ、なんとか頼んます!! トレニャーさん、がんばってください!!」と念を込めるべきなのか、それすらもよくわからない。って、俺はなんでこんなにトレニャーさんに対してへりくだっているのでしょうか? それすらもよくわからない。しかし、わけのわからぬままやたらと念を発していると必ずやってくるのが"あのセンサー"で、俺はものの見事にコレに感染し、それ以来、禍々しい布はまったく手に入っていない。最近、物欲センサーってのは細菌やウイルスの類といっしょなんじゃねえかと半ば本気で思い始めているのだが、皆さん、どう思いますか? 話、まったく禍々しい布と関係なくなってしまうのだが、『モンハン フロンティア』の序盤で"盾蟹の爪"がどうしても欲しくて、"前半戦の死神"と呼ばれるダイミョウザザミをボロボロになりながら狩っておりました。ところが俺は物欲センサーに感染して5匹倒してひとつも盾蟹の爪が手に入らなかったのに、「爪、いらないけど手伝いますよ」と言ってついてきた中目黒目黒、女尻笠井はそれぞれ7個ずつゲットするというあまりにもあからさまな状況に……。ふたりはこれ見よがしに「爪、いらないんだけどなぁ(笑)」、「いっそ、売ってしまおうかなあ(笑)」と俺の目の前ではしゃぐ始末。物欲センサーの猛威は『フロンティア』でも吹き荒れているのでありました……。
って、まったく関係ない話になってしまったが、物欲センサー発動しまくりの俺がデスギア装備を完成させるには、まだまだ時間が必要なようだ。と思っていたらじつは明日から、アメリカのロサンゼルスに出張に行くんだった。よし、PSPと充電機器を持っていって、異国の地でデスギアを完成させよう!! ……まあ、そんな時間ないけどナ。
というわけで明日から海外に行ってしまうので、しばらくこのコラムはお休みしますー。……でももしかしたら、気まぐれ起こして海外で更新するかも!?
んでは、行ってきまーす。
突然だが、 『2(ドス)』から導入された新武器"ガンランス"は、意外なほどに人気がなかった。ほかの武器にはない砲撃、竜撃砲のかっこよさと見た目の派手さをもって大人気武器のひとつになると確信していたのだが、メインでガンランスを使うハンターは驚くほど少なかった。
不人気(と言っていいのかわからんが)の理由はすぐにわかった。ガンランスが"強くなかった"からだ。ではなぜ、強くないのか? その理由は単純にして明確。"属性武器がほとんど存在しない"からである。戦闘する頻度が非常に高いリオレウス、リオレイアの顔を思い浮かべるたびに、ガンランサーたちはいつも「こいつらの苦手な龍属性武器がガンランスにもあったらなぁ……(涙)」と遠い目をして、ギリギリと歯がしみしていたのだ。ハンターにとって属性武器は、ある種の保険のようなものだ。「無属性武器では勝てなかったけど、強力な属性武器を纏ったとたんに飛竜をボコボコにできた」という快感は、長くハンター家業に身を置いていれば誰もが経験する。そんな保険が、ガンランサーにはなかった。これによりガンランスはメインで使用する人が極端に少ない"日陰の武器"となった。でも、ガンランサーは叫び続けた。日の当たらない場所で静かに暮らしながらも、毎日心の声を枯らしながら「つぎの『モンハン』には属性付きのガンランスをたくさん導入してください!!」と……。以上、ガンランサー埼玉代表・大塚角満の心の叫びでした。
さて、そんな怨念にも似たガンランサーの悲痛な叫びが神様たち(『2nd』制作チームのことね)に届いたのか、『2nd』でガンランスの立ち位置はガラリと変わった。なんと属性付きの武器が大量に導入されたのである!! 『2(ドス)』にもかろうじて存在した氷属性、麻痺属性、毒属性以外に、俺が知る限り、水属性、火属性、そして日本中のガンランサーが待ちに待っていた"龍属性ガンランス"も登場したのだ。これはもう、シツコクなるが我々ガンランサーから見たら"神器"以外のナニモノでもなかった。
神器の名は"ガンチャリオット"。ご存じの方も多いかと思うが、これは『2(ドス)』にも存在したガンランスだ。超レア飛竜・銀リオレウスから剥げる素材で作る、もっとも製作するのが難しいガンランスのひとつ。『2(ドス)』の時代は無属性だったが、ルックスのすばらしさと基本攻撃力の高さで、非常にファンの多かった武器だったりする(ガンランサーの中で、の話だけど……)。神様はガンチャリオットの人気の高さを見て、「そういうことなら……」と新しい息吹を吹き込んでくれた。その結果『2nd』でついに、"龍属性ガンランス・ガンチャリオット"が誕生したってわけだ。
『2nd』でガンランスは、非常に使える武器となった。『2(ドス)』と比べると強さのレベルが違う。最近、友だちを勧誘したこともあってときたま『2(ドス)』も遊ぶのだが、『2nd』の強さに慣れてしまうと、『2(ドス)』のガンランスの慎ましさには泣けてくるものがある。この、強さが底上げされたガンランスに強力な龍属性が付加されたとなったら、これはもう鬼に金棒。『2(ドス)』では大剣やランスで挑んでいた上位のリオレウス、リオレイアにも、余裕をもってガンランスで対峙できるようになった。
この神器・ガンチャリオットを作るには前述のとおり、レア飛竜・銀リオレウスと戦う必要がある。リオレウスには赤、蒼、銀の3種類がいて右に行くほど戦闘能力が高くなっているのだが、それが自動的に"戦いにくさ"の序列になっているかというとそれは違う。最強の銀レウスが現れるのは古塔マップの頂上だけとなっているので、"エリアチェンジして逃げることができない"という事実だけをしっかりと受け止められれば、マップを飛び回って逃げまくる飛竜を追いかける必要がまったくないので、じつに戦いやすい相手になるのである。ただし、一撃の攻撃力はズバ抜けているので、とくに怒り状態になったら細心の注意が必要だけどナー。それでも、閃光玉を限界数(できれば光蟲、素材玉を大量に持ち込んで現地調合もしたいところ)、シビレ罠も限界数(こちらもゲネポスの麻痺牙、トラップツールを持ち込んで現地調合必須)を持ってハンティングに出かければ、この飛竜が出る条件(飛竜種、鳥竜種、魚竜種の狩猟数合計が100を超えること)を満たすまでやり込んだハンターならば20分もあれば倒すことができるだろう。俺も当然ながら、銀レウスは狩りまくった。ときに強烈な攻撃に耐え切れず不覚を取ることもあったが、比較的順調に、ガンチャリオットを作るだけの素材を集められたと思う。俺はここ近年では最高ってくらい、喜びに喜んだ。ついに『2(ドス)』の時代から夢にまで見ていた"龍属性のガンランス"を作ることができるのだ! 俺はハアハアと荒い息をつきながら武器屋のおっさんににじり寄り、「ここここれで、ガガガガンチャリオット作ってくれ!! いますぐいますぐ!!!」と喚いた。そしてついに、神様と銀レウスからの贈り物、ガンチャリオットを作るという悲願を達成したのであった。俺がガンランサーとして歩んできた人生に、ひとつの区切りがついた瞬間だった(オーバーだな)。
さて、そんな贈り物をしてくれた銀リオレウスには、じつは龍属性はまったく効果がない。完成したガンチャリオットを担いでいったところで、「それ、オイラにはまったく効かんもんね」とアクビをしながら言われるのがオチだったりするのだ。つまりこの男は、「オイラは龍属性、痛くも痒くもないから、素材を提供してやってもよかんべ」と安易に考えて龍属性武器が作れてしまう素材をポロポロと出しているとしか思えない。そしてオノレの鱗やら尻尾を剥ぎ取られるたびに彼は思うのだろう。
「あ。やっべ!! また赤(レウス)と蒼(レウス)に怒られる!!!」
と。
前回のナメクジコラムを読んだ社内の女性陣から「大塚さん株、大暴落です(憤怒)」と正面切って真顔でクレームをつけられた大塚角満です。そんなことを言っていると……また書くぞ!! ……って、冗談ですヨ、ジョーダン^^
さて今回は、なんかすっかりご無沙汰のこのコーナーを復活させたいと思います。皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか? すべての武器を使いこなす達人・大塚角満による武器インプレッションのことを(ツッコミ不可)。今後のハンターライフの参考にでもしていただけると幸いです。久々の復活で扱うその武器は……なんとライトボウガン! ライトボウガンは『2nd』において、どんな位置づけになったのであろうか?
このライトボウガンという武器、俺の心情的には"非常に懐かしい武器"だったりする。もうこのコラムでは何度も書いたことだが、俺は初代『モンハン』の時代、生粋のガンナーだったのだ。なんとなく、「もっとも人が使わなそうな武器だナ」という先入観のもとに選んだのがヘビィボウガン。確かディアブロスと対戦するくらいまではヘビィボウガンを使っていたのだが、「いったいこの重さはなんだ!!」とヘビィボウガン独特の重量感にブチ切れて友だちにグチをこぼしたところ、「だったらライトボウガン使えばいいじゃんw」と言われて手にしたのが"スパルタカスファイア"というライトボウガンだったのである。ライトボウガンを初めて手にした少年・大塚角満は吃驚仰天した。「同じ"ボウガン"というカテゴリーにありながら、この機動力の違いはなんだ!!」と。俺の目からはボロボロとウロコが落ち、ライトボウガンとの出会いを提供してくれた友だちのひと言に感謝しながら、以来、俺は初代『モンハン』を遊ばなくなるまでライトボウガンを使い続けた。
ライトボウガンは、いわゆる"遠距離系"の武器だ。大剣、片手剣といった近接系の"アタッカー"と対極を成す、遠くからぷちゅんぷちゅんと砲撃する"ガンナー"。誤解を恐れずに言うなら、派手でいかにも強そうなアタッカーを"花形"と呼ぶなら、どこまで行っても地味目なガンナーは"縁の下の力持ち"的な存在と言える。ではガンナーが弱いのか? というと、じつはそんなことはまったくない。ガンナーは強い。"敵の攻撃が届かない場所から強烈な攻撃を加えることができる"ことは、覆しようがないガンナーの強さを裏付ける絶対的な事実だ。おそらく多くのハンターたちが、「コイツは近接武器じゃどうしようもないからガンナーで行こう」と決めているモンスターがいるのではなかろうか。
では『2nd』においてはどうなのか。これを検証すべく、俺はライトボウガンを一丁製作した。作ったのは"繚乱の対弩"という名のボウガンである。
さてここで全国数十万のガンナー諸君が、「オイ、ちょっと待てや」と一斉にツッコミを入れたことであろう。「ライトボウガン作るのはいいが、繚乱の対弩とは何事だ!」と。ガンナーではない方々にはまるで意味のわからないやり取りだろうから説明すると、この繚乱の対弩という武器は数あるライトボウガンの中でも、おそらく"もっとも最強に近い"位置に立つ強さを誇っていたりするのだ。滅龍弾以外のほとんどの弾丸を使用することが可能で、基本攻撃力も申し分ない。しかも使用頻度が非常に高い拡散弾レベル2をデフォルトで2発装填でき、リロード速度も"やや速い"。加えて貫通弾レベル1、散弾レベル1を速射できるというオマケ付き。これにスキルで"反動軽減"なんかを着けた日には、強烈な弾丸をマシンガンのようにボンボンボンボンと撃ちまくるという、モンスターから見たら正気の沙汰ではない凶悪なガンナーのできあがりである。そして俺はもちろん、スキルに反動軽減+2と状態異常攻撃強化を装着(本当は装填速度のスキルを着けたいのだが、素材がない)。はっきり言って、怖いものナシ。まさに"最強のライトボウガン使い"の完成である。となると問題となってくるのがこの"○○を語る!"というコラムの定義である。俺はこの企画を立ち上げたとき、以下のような一文を書いている。
"今回はインプレッションを書くにあたり、各カテゴリーごとに中堅クラスの武器を揃えて使い込んでみようと考えている−−"
中堅クラス……。"もっとも最強に近いライトボウガン"と書いた繚乱の対弩は、はたして中堅クラスと言えるのだろうか? 小学生でも"中堅=最強"という公式が成り立たないことくらい瞬時に理解するであろう。うーんこれは、コラムのテーマの根幹に関わる重大な問題である。うーん、でも……。もうこの際、気にしないことにしよう! 俺が勝手に決めたルールだし! いいじゃんべつに、最強だろうが中堅だろうが最弱だろうが。ライトボウガンには変わりないのだ! と俺はすっかり開き直って、最強クラスのライトボウガンを背負ってイャンクック討伐に出向いた。もちろん、容赦のない俺が選んだ相手は下位のイャンクックである。
結果から書いてしまうと、この戦いはハンティングと言うよりサンドバッグを相手にした一方的なスパーリングであった。クックの尻尾攻撃が当たらない位置に陣取って、速射対象である散弾レベル1と貫通弾レベル1をひたすらぶっ放す。散弾だと緻密に狙いをつけなくてもおもしろいように攻撃が命中してくれるので、R1ボタンのスコープモードにする必要も感じなかった。クックが怒って突進してきても、機動力に優れるライトボウガンなら避けるのは容易。防御ができないライトボウガンだが機動力でその弱点を補っているので、攻守においてバランスが取れた武器、と書いてしまって差し支えないだろう。うーん、強い。今回は相手が弱すぎたのであまり参考にならないかもしれないが、たとえばグラビモスやイャンガルルガといった外殻がやたらと堅く、大剣、ランスなどの攻撃が歯が立たないモンスターが現れたときこそ、ライトボウガンは真の実力を発揮すると言える。それと、攻撃力がべらぼうに高くて、近接武器では接近もしたくないようなモンスターが相手のときとか、ね。
ただし、ガンナーになるために必要なプレイヤースキルは決して低いとは言えない。というのもガンナーは、"モンスターの攻撃を絶対に食らわない"ことこそが戦場で生き残る唯一絶対の手段だから。ご存じのように、ガンナーが装備できる防具は画用紙同然のペラペラなものばかり。上位飛竜の怒り時の攻撃を食らったら、ほぼ一撃で屠り去られてしまうだろう。操作も、近接系の武器とは明らかに毛色が違う。正直、プレイステーション2版の『モンハン』はコントローラーのボタンが多いのでそれほど煩雑さは感じなかったが、PSPはボタンが少ないので最初のうちは間違いなく、操作に戸惑うだろう。操作に慣れ、敵との距離感がわかったときに初めて、ライトボウガンは"強い武器"になるのだ。ガンナー系の武器は近接系に比べて、使いこなすまで時間がかかるかもしれない。それと何より、ガンナーは金がかかる(苦笑)。序盤からボウガンを手にしたハンターは例外なく、お金のやりくりに苦労することだろう。
それでも、近接系の武器と明らかに住んでいる世界が違うボウガンは、ハンターに言い知れぬ優越感を与えてくれるのもまた事実。操作に慣れるまで投資する"時間"と"金"を惜しまぬなら、ライトボウガンは格好の"相棒"になってくれることを保障します。
さて、恒例の点数です。あくまでも俺の独断と偏見によるものなのでテキトーに読み流してくださいな。(★が1点、☆が0.5点で5点満点)
・扱いやすさ………★★☆
・強さ(対飛竜)……★★★★
・機動力……………★★★★
・かっこよさ………★★☆
・対地上ザコ……☆
・対空中ザコ……★★★★★
・散在度…………★★★★★+α
そう、点数着けながら思い出したけど、ファンゴやランポスなど、いわゆる雑魚モンスターを相手にするのは苦手です。一撃の破壊力に乏しいから。うーん、ガンナーは奥が深い……。
『モンスターハンター』シリーズに登場する古参モンスターのひとつに"カンタロス"がいる。"巨大昆虫"という枕詞つきで呼ばれることが多いだけあり、こやつの見た目は虫そのもの。パっと見た感じでは、「あ〜……。こういう虫、家のまわりでよく見かけるよ……」と言いたくなる風貌をしているのだが、本気になってじっくりと眺めてみるとカブトムシ(とくにヘラクレスオオカブト)にも見えるしゴミムシにも見えるし、ハンミョウにもカミキリムシにも見える。ついでに言うなら、カマドウマやゴキブリにも見えなくもない。要するにその体躯はもちろんだが、よく考えれば考えるほど「現実世界にはいないな」と確信できるのであった。
カンタロスを眺めながら思うことは、(『モンハン』シリーズに登場するモンスターの中で、現実世界に現れたら微妙にイヤなモンスターは何だろう?)ということだ。「また角満がクダラナイことを言い始めた」と思う方が大勢いそうだが、まあそう言わずに聞いてくださいよダンナ^^ きっとおもしろくなるから! ではさっそく、"角満的リアル世界に現れたらイヤなモンスター"を大発表しちゃおう。例のごとく、★で点数をつけます。★が1点、☆は0.5点ってことで(5点満点ね)。当然、点数が高いほど"リアル世界には出てくんな!"ってことですヨ。
・アイルー……いてほしい!
・メラルー……こいつもいてほしい!!
・ミニイャンクック……このコもいてほしい!! ブギャー!
・アプトノス……………☆
・大雷光虫………………★☆
・ヤオザミ………………★☆
・ブルファンゴ…………★★★
・アプケロス……………★★★
・ランゴスタ……………★★★★★
・カンタロス……………★★★★★
・ゲリョス………………★★★★★
・フルフル………………★★★★★
・リオレウス……………★★★★★
・リオレイア……………★★★★★
・ディアブロス…………★★★★★
・グラビモス……………★★★★★
・ラオシャンロン………★★★★★
・テオ・テスカトル……★★★★★
・クシャルダオラ………★★★★★
・オオナズチ……………★★★★★
・ラージャン……………★★★★★+α
……ってオイオイ、後半全部満点かよ……。ていうかそもそもこれ、テーマからして破綻してるし!! 考えてみたら飛竜や古龍なんてのがリアル世界にうじゃうじゃいた日には正義の味方が10人や20人いたくらいではまったく追いつかないし、間違いなく人類が根絶やしになるであろう。そう考えてしまったら飛竜さんたちにはリアル世界に出てきてもらうわけにもいかず、このような点数になってしまうのである。これはもう、仕方のないことですね。そうですね。
でもこの破綻したランキングの中にも注目すべき点があるのです。それがランゴスタとカンタロスの点数。こいつらはハンターに襲い来るモンスターの中では数少ない、リアルな俺でも対抗できるだろうと思わせる存在なのだが、イヤ度は飛竜や古龍と同等レベルになっている。これはやはり、人類の多くが巨大な虫に対して強烈な嫌悪感を持っていることに起因していて(大げさだナ)、もちろん俺も、その例外ではないってことだ。しかも『モンハン』世界におけるランゴスタやカンタロスの執拗さは目に余るもので、ランゴのシビレ刺し攻撃は言わずもがなだが、比較的おとなしいと思われているカンタロスも、苦労して倒した飛竜にフラフラになって取り付き、「ああ……。ようやっと剥ぎ取りができるぞ><」って感じでナイフを振り下ろす至福の瞬間に、ブッチュンブッチュンと接吻の雨を降らせてこれを妨害しようとする。そのときの精神的ストレスたるや筆舌に尽くしがたく、ジェノサイドの巻物をぶつけて『モンハン』の世界から根絶したくなるほどだ。って、ゲームが違いますな。でもここまでユーザーに思わせたら完全に制作陣の勝ちで、俺はムヒヒとほくそ笑むモンスターをデザインしたあんな人やこんな人の顔を思い浮かべながら、今日も虫どもに刺されまくって「むつつつつ!!(怒)」と大激怒しているのであった。
そういえば今週の月曜日に、虫にまつわる極めておぞましい事態が我が身を襲った。はっきり言ってここから『モンスターハンター』とまるで関係ないことを書くので、生粋の『モンハン』ファンは読まないほうがいいかもしれません。
月曜日は俺が住む地区では"燃えるゴミの日"となっているので、日曜のうちに家中の可燃物を集めて袋に詰めて、庭にあるバイクガレージの軒下に置いておくのが習慣になっている。そしてこの時期は庭にある大きな柿の木から不出来な小さな実がボトボトと大量に落下してきて庭を汚すので、日曜の夕方にこれを掃き集めて、同じ可燃物の袋にブチ込んでおいた。
ちなみに、草花が多い我が家の庭は梅雨時は猛烈な湿気に覆われるので、驚異的な蚊の巣窟となる。近寄るのを拒否りたくなるほどワンワンワンワンと蚊が飛び交っているので、10分も庭に出ていれば蚊に刺されやすい俺などは4ヵ所も5ヵ所も蚊の接吻マークがついてしまう有様である。柿、梅、キンモクセイ、ダイダイと、大きな木が植えてあるこの庭は、虫どもには最高の住宅なんだろうなぁ。
そんな先日の日曜日、さいたま市には雨が降りました。
月曜の朝、寝ぼけ眼をこすりながらガレージの下に置いておいたゴミ袋をピックアップし、ゴミ置き場に持っていく作業をしようとした。門を開けて庭に入ると案の定、日曜の雨の余韻が残っている我が家の庭は壮絶な湿気に覆われている。ボワンと身体にまとわり付く雨のなごりを鬱陶しく思いながらガレージの下を見ると、ハテ、おかしいな。白くて半透明だったはずのゴミ袋が、いつの間にか白黒の斑模様となっている。ジワリと、イヤな予感が背後から忍び寄ってきた気配を感じた。で、でも、確かに違和感はあるけど、そうだ! ゴミ袋にブチ込んだ柿の実やら枝が透けて見えて、斑模様になっているだけだ! 俺は強引にそう思い込んで、ゆっくりとゴミ袋に接近していった。眼鏡をかけていなかったので(近眼なんです)ボンヤリとしか見えていなかったゴミ袋が、しだいにくっきりと確認できるようになっていく。アレ……。なんかおかしいナ……。斑模様の黒い部分、微妙にズリズリと動いているような……。背後から貞子が迫ってきているような絶望的な死の予感を覚えながらも、俺は意を決してゴミ袋に顔を近づけた。そしてその瞬間、俺は断末魔の悲鳴を上げた。
うわ。ナメクジ!!
斑模様に見えたゴミ袋の黒い部分はすべて、どこからともなく忍び寄ってきた大量のナメクジだったのである。全身からサーーーーーーーッと血の気が引いた音が聞こえた気がした。こ、これはしかし、なんと凄絶な風景なんだろう……。どうやら尋常じゃない湿気で発生したナメクジどもがゴミ袋に入れた柿の実の芳香に誘われて、1ヵ所に集まってしまったようだ。たとえかわいいカブトムシでも1ヵ所に100匹も集まっているのを見れば、多くの人が「……」となってしまうことだろう。それがこちとら、ナメクジである。俺がこれを見て「………………………………!!!!!」となったとしても、仕方がないと思うでしょう? でも俺ばかりがこれを見させられるのはシャクなので、いっそ写真に撮って掲載し、全国の皆さんと苦しみを分かち合おうと思ったのだが、100パーセント読者が減ると思われたので断念しました。でもせめて、俺が見たあの迫力の風景をお伝えしたいと思い、文章に起こしたしだいであります。どうですか? 伝わりましたか?^^
あーすっきりした♪
「もういいや、★8になんかならなくても……」
本気でそう思ってしまったくらい、"異常震域"というクエストには苦労した。雪山を舞台に上位ティガレックス2頭を相手にすることは、ここまでたどり着いた手練のハンターからみてもとんでもない無謀な行為と言えるのではなかろうか。本当にこのクエストには、何度も何度も跳ね返された。いくらガンランスで突っついても壁を突き破ることができず、俺はプライドとともにガンランスを倉庫にぶち込み大剣を装備。しかしあえなく撃退されて今度はランスで挑むも簡単に返り討ち。「こうなったら切り札を出すしかない!」と叫んで片手剣を持ち出すもまったくいいところなく屠り去られて完全に手詰まりとなってしまったのだ。正直、悔しさを通り越してちょっとあきれてしまったよ。俺くらいこのゲームをやり込んでいる人間を、こうも簡単に弾き返すクエストが存在したのか、とね。
「うーむ」
と俺は唸った。俺程度の腕前で上位ティガレックスを屠り去るには、もっとドラスティックな精神改革が必要なのかもしれない。そう思いながら編集部を眺めると、同僚の女尻笠井が夢中になって『2nd』を遊んでいる姿が目に飛び込んできた。その刹那、(そうだ。集会所はオフラインだろうがオンラインだろうが関係なく、クリアーすればどっちにもクリアーマークがつくんだった。笠井に手伝わせれば上位ティガ2頭も倒せるかも)というドラスティックな考えが頭に閃く。しかし上位ティガレックスから見たら、それまでひとりだったヘッポコハンターが2名に増えただけのことで、「ヘボいのが2匹になった。これでもっと早くこのクエスト終わらせられるぞケケケケケ」と思わせるだけかもしれない。ふつうだったらハンターが倍に増えれば戦闘力も2倍か、それ以上になるのだろうが、俺と笠井が融合したところで目を見張るような化学反応が起こることはいっさい見込めず、3年くらい外に放り出しておいた薪に火をつけようとするがごとく、プスンプスンというムナしい不完全燃焼が起こるだけに決まっている。なので俺は視界から笠井を締め出し、「やっぱりここは、どんな手を使ってでもひとりでクリアーせねばいけない!」と決意を新たに、再びひとりで上位ティガに挑むことにした。
しかしどう楽観的に考えても、俺が近接武器で上位ティガレックス2頭をボコるビジョンが浮かばなかった。どうやら度重なる壮絶な敗北が、俺に絶望的な負け犬根性を植え付けてしまったらしい。『2(ドス)』で初めてラージャンに挑んだときですら、ここまでのレベルの絶望感は持たなかったと思う。ラージャンと戦うとき以上の覚悟が必要かもしれない……。そう達観した俺が持った武器は、あろうことかライトボウガンであった。
……いま全国のハンターから、「ハイハイ、やっぱそうなるのね(苦笑)。最終的にはライトボウガンに頼るのねアンタも。はいはいはい(冷笑)」という猛烈な蔑み光線が飛んできた気がしたが、気のせいだろうか? でもいくら蔑まされようが軽蔑されようが……近接武器じゃ上位ティガレックス2頭倒せねえんだよおおお!! 仕方ないだろ!! 誰にナンと言われようと、俺は困ったらライトボウガンを持ち出すんだよ!! 困ったときは飛び道具。皆さんも覚えておきましょう。
俺は、"ランス命"を貫き、どんな強敵でもランスだけで挑む『モンハン』シリーズのディレクター、藤岡要さんが住む西南西の空は極力見ないようにして、こそこそとライトボウガンを背負った。「ははあ。そこでライトボウガン持ちだすとは思わなかったですわ」と冷笑を浮かべる『2nd』のディレクター、一瀬泰範さんのニヤニヤ笑いを頭から締め出して、カラ骨[小]、竜の爪、散弾などをカバンにぶち込んだ。そして「ハンティングの基本はライトボウガンだヨ……」と誰にともなくつぶやき、戦うまえから不思議な敗北感に苛まれて雪山に降り立った。
凶悪な近接武器でも倒せないモンスターに対して、なぜライトボウガンが"最後の切り札"に成り得るのか。そこにあるのは"攻撃を食らわなければやられることはない"という『モンハン』シリーズの絶対的な真理で、モンスターの近接攻撃はいっさい当たらない位置に陣取って強烈な弾丸を撃ち込めるボウガンは、攻撃力がハンパじゃない好敵手と戦うときほど、その力を発揮すると言える。とくにカラ骨[小]と竜の爪を合成することで簡単に作れる"拡散弾レベル2"は、モンスターから見たら"最悪の兵器"以外のナニモノでもない。通常、ボウガンの弾丸は敵との距離が開くことに反比例して攻撃力が落ちていくものだが、拡散弾系の弾丸は着弾したときに小爆弾(?)がまわりに拡散してダメージを与えるという兵器だ。よって、着弾さえすればモンスターとハンターの距離はいっさい関係なく、当分にダメージを与えることが可能。しかも拡散弾レベル2は簡単に手に入るカラ骨[小]と竜の爪を合成することで作れるので、最大50発(竜の爪をクエストに持ち込める最大数)はクエストに持って行くことができる(ついでに言うなら、街で先に3発合成して持っていけるので、拡散弾レベル2は計53発、1回のクエストで撃つことが可能だ)。俺は近接武器に限界を感じると、いつもライトボウガンを倉庫から引っ張り出してきた。グラビモス亜種で躓いたとき、ディアブロス亜種で絶望したとき……。じつは俺は初代『モンハン』では生粋のガンナーだったので、ライトボウガンを持つことには何の抵抗も感じない。なので俺はいつも思うのだ。このライトボウガンは、俺のハンターとしての歴史が持たせてくれているのだ、と。
いい感じで言い訳ができたところで、さっそくティガレックス2頭を討伐してくりょう〜(狂言師風)。機動力に優れるライトボウガンだったら、そして俺くらいの腕があったら戦場を縦横無尽に駆け巡ってティガレックスを翻弄してやるのも悪くない。でも「やはり全力を尽くさないと好敵手に失礼だよナ」と俺は思って、脇目も振らずに雪山のエリア6へと突っ走った。そしてヨチヨチと高台に……。そう、つまり……。
高台に隠れてそっからティガに攻撃すんだよ! ここならヤツの攻撃当たらないしな! ワハハハハ!
ティガレックスはキリンのように天空から雷を落とすようなムチャはしない。高台にいるかぎり、俺は安全なのだ!! 負ける気、いっさいナシ!! 俺はうへへへへとヨダレを垂らしながら、エリア6にティガレックスがノコノコと現れるのを待った。するとすぐに、1頭目のカモ(ティガね)がドタドタと参上。ホレ、もっと近こう寄れ。俺はライトボウガンのスコープに哀れなティガレックスをアップにし、サドの炎を燃え上がらせた。いままでの恨み、ここですべて晴らしてくれるわ。俺は無傷のまま、おまえらを屠り去ってやる!! そう思いながらスコープを覗き続けていると、何を思ったのかティガレックスが右腕を大きくバックスイング。振り下ろした手から3発の弾丸が発射され、見事にそれが我が分身に直撃したではないか!!! ぐお! この攻撃、忘れてた!! ていうか、高台にいても当たるんだコレ!! しかも信じがたいことに、なんとこの1発で我が分身は昇天……。滅多にボウガンは使わないのでペラペラの画用紙装備しか持っておらず、「でも攻撃を食らわなければいいんだ!」と男らしく言い放って戦場に赴いたわけだが、まさかこんな簡単に昇天させられるとは……。
結局俺は狭い高台から降りて、みっともなく涙やら鼻水やらを撒き散らしながらティガレックスの攻撃から逃げ惑い、それでもなんとか2頭の象徴の討伐に成功した。しかし思ったとおり、強敵を倒した高揚感や達成感はいっさいない……。苦労して倒したのに、なぜか強烈な敗北感に苛まれながら、俺はポッケ村に帰ってきた。やっぱり自分がメインとして使っている武器で倒さないと、心のどこかが納得しないようだ。
まだまだ修行が足りないな……。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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