大塚角満の ゲームを“読む!”
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えー……。皆様、お気づきかどうかわかりませんが昨日、『2nd』日記が更新されませんでした。これまで頑なに平日は更新していたのに(体調不良で休んだことはあったけどね)、なぜ昨日は更新されなかったのだろうか? まさか著者の身に何かあったのか!? とボクも心配になったのですがなんちゅーことはありません。この男は……『フロンティア』に入り浸って更新サボったんですよ!!!! つい先日、"『フロンティア』が始まっても『2nd』日記は変わらず更新しますぜ"みたいなことを書いていたくせに、『フロンティア』のオープンβテストが始まったとたんにサボりやがった!!! なんたるあからさまな行動……。抗議抗議!! ……って、ゴメンナサイ。ホント、スンマセン……。キチンと書きます続けます。
サァ気を取り直して、『2nd』日記の始まり始まり〜。最近、訓練所のことばっかり書いているが、たまには一般クエスト(でいいのか?)のことを書こう。
じつはもう遠い昔のことになるのだが、やっと書く気になったのであのことを綴ってしまおう。集会所クエストをこなしていたある日、突如俺の前に現れた巨大すぎる"壁"のことを。恐らく、多くのハンターたちが「なにこのクエスト……」と思ったであろう、獰猛なる2頭の"象徴"の包囲網。そう、最強ハンターの証"ハンターランク6"になるためには、上位ティガレックス2頭を倒して退けなければならないのだ。この番人を屠りさらぬ限り、"最強"を名乗ることは許されないのである。
ここでお気づきになった方がいるかもしれないが、じつは3月19日に書いた"ティガレックスとの死闘 その2"という日記の中で、今回の上位ティガレックス2頭討伐についての伏線を書いている。ちょっと長いが、引用してみよう。
"しかしいま思えば、このころはまだ平和だったのだ。はっきり言ってこのときのティガレックスは、まだ成獣になるまえの"ティガレックス見習い"のような存在だったのではあるまいか。
この戦いから数日後、俺は再びティガレックスとあいまみえることになる。そしてそこにあったのは、俺のハンターとしての実績も矜持も名声(あったのか?)も、とにかく俺がハンターとして存在するうえで確かにあったレゾンデートルをズタズタに引き裂く壮絶な敗北だけであった……。そのときの凄絶なる戦いも、いつかここに書きたいと思う−−"
まず何に驚くかって、引用したこの記事がすでに3ヵ月もまえに書かれたものである、ということ……って違いますねそうですね。ものすごく大げさに書いてあるように見えるが、本当に上位ティガレックス2頭を相手にする"異常震域"というクエストは困難を極めたのだ。
当時の、壮絶さを物語るメモをもとにこの戦いを振り返ってみると、まず俺は当然のように、愛用のガンランスでもってティガレックス2頭を討伐してくれようと考えた。何度かここで書いているが、じつはガンランスはティガレックスと相性がいい。まあ、ガード性能+1以上のスキルがついていることが絶対的な条件だけど。ガード性能がついていればティガレックスの凶悪な攻撃を受けてものけぞることがなくなり、ガードを固めたままの上突きでじつに効率的に攻撃することができるのだ。動きの速いティガレックスと重い武器の代表格であるガンランスではどうしてもハンターが不利になる……と思いがちだが、慌てずに座して敵の攻撃を裁ききる、という戦いかたも確かに存在するのである。
とまあ、上記のごとき"ガンランス>ティガレックス"という我が身に巣食う都市伝説に後押しされて雪山に出かけてみた。"有利有利!"と書いているわりに装備のほうは万全の極みである。
ガンランスvs.上位ティガレックス2頭
●武器……水属性ガンランス
●防具……ガード性能+1、ガード強化スキル発動防具
●所持アイテム
・回復薬 10個
・回復薬グレート 10個
・薬草 10個
・秘薬 2個
・シビレ罠 1個
・ゲネポスの麻痺牙 2個
・トラップツール 2個
・力の護符
・守りの護符
・力の爪
・モドリ玉
・ペイントボール
・砥石
・ホットドリンク
・こんがり肉
装備品はこんな感じ。ちなみに持っていった武器が"水属性ガンランス"となっているが、これはべつにティガレックスが水属性に弱い、ってことではなく、当時はこれくらいしか強げなガンランスを持っていなかったのだ。ティガレックスは雷属性やら龍属性に弱いらしく、水はまったく(強調)効かぬ。
そんなこんなで始まった異常震域クエスト。我が分身が降り立った場所はなんとキャンプであった。うーん……。ティガレックスが潜んでいると思われる山頂まで遠いなぁ……と思いながらエリア1に侵入すると、なんとそこに巨大なトカゲの尻が……。はぐれティガレックスがここにイター!! まさかエリア1でティガレックスに遭遇するとは思っていなかったワタクシ。でもここならホットドリンクを使う必要ないし、戦場も広いので比較的楽に戦えるはず!! 俺は一瞬にして縮こまった心に水をぶっ掛け、気合を入れなおした。ここで1匹、屠り去ってやるわ!!
戦いは珍しく、俺の思ったとおりに進行した。ガード性能+1とガード強化のスキルに守られながら、俺はチクチクチクチクとガード上突きをティガレックスの顔面に見舞う。チクチクチクチク……。これ、非常に有効な攻撃で、あっと言う間にティガレックスの角を折ることに成功した。いいい、イケる!! しかもこのチクチク攻撃、非常にサディスティックな気分にさせてくれるからタマラナイ。なんとなく、ランゴスタになった心境にさせてくれるのである。ティガレックスがまなじりを吊り上げて、「うぜえよこのムシケラ!!!」と思っていることが手に取るようにわかる。うけけけけ。ウザいだろウザいだろ。それがランゴに纏わりつかれたハンターの心境なんだよケケケケケ。あまりの俺のイヤらしさに悶絶しまくるティガレックスを淫靡な視線で眺めながら、俺は、「これが麻痺属性のガンランスだったら、まさにランゴスタなんだけどなぁ^^」とノンキなことを考えた。するとそこに、プイ〜ンと1匹、我が分身に接近してくる光る影が……。
「あ……。だいらいこうちゅ……」
と言い終わるまえに、矢のような速度で接近してきた大雷光虫が我が分身に激突!! なんとその一撃で、ガンランスを担いだランゴスタが麻痺って昏倒してしまったではないか!!
「はあ!!!?」
空気の読めないデカ蛍ごときにティガレックスとのガチンコを妨害され、赫怒する俺。しかし、怒っていたのは俺よりもティガレックスのほうで、「おうワレ、いままでよくも好きかってさらしてくれたなオウ!!」とエセ関西弁で大激怒。ビリビリと痺れて倒れ伏している我が分身に向かって怒涛の噛み付きを仕掛けてきた。何もできぬまま、ただただハラハラしてPSPの画面を見続ける傍観者O(俺だけど)。それでもなんとか、悪夢のように激減した体力を振り絞って立ち上がったものの、俺は怒りのあまり「!! っっってっめ、このシビレ蛍がああ!!」と本来の目的と激減した体力をすっかり忘れて大雷光虫を追いかけようとしてしまったではないか! これを見たティガレックス、「シカトすんな!!」とばかりに回転アタックをくり出して見事にアホなガンランサーの息の根を止めた。とんでもない伏兵に足元をすくわれた末の、納得いかない敗北である(ある意味、自業自得)。
それでも俺は気を取り直して復活し、大事な秘薬も服用して、ペイントボールをぶつけられたティガレックスが飛んでいったエリア8を目指して登山を開始した。そして、ひーこら言いながらエリア8に到着すると……。
ティガが2頭に増えてルー!!!
こうなると、もはやお手上げである。ティガレックス1頭相手には有効だったランゴスタ戦法も、やはり倍に増えた手数を裁くことはできない。ティガAの回転アタックを防御したところにティガBの飛び込みラリアットが襲いくる……というような、言語を有さないモンスターとは思えない巧みな連係プレイの雨にさらされて瞬時のうちに息の根を止められてしまった。こうなると、もうやる気ナシ。俺はただただ呆然としたまま、静かにクエストリセットを選択した。
こんな戦いが、5回ほども続いた。どうあがいても、勝てない。どうなってんだこのクエスト……。そんなときに書きなぐったのが、写真のメモである。
▲達筆。ていうか、"大雷光中"って何だ……。
ティガレックスとの死闘は、次回に続く。
6月25日からPC用ソフト『モンスターハンター フロンティア オンライン』のテクニカルテストがスタートした。テスト初日の25日はまるで遊ぶことができなかったが、昨日(26日)は比較的すんなりドンドルマまでたどり着くことが出来、順調にクエストを消化することができた。あまりにも快適に遊ぶことができてしまったため、午後7時にログインしてからテクニカルテストが終了する深夜0時まで、ぶっ通しで遊び続けてしまった。俺は『フロンティア』の母体である『2(ドス)』を徹底的にやり込んでいるのでハンターランク1〜2に上がる程度のところでは驚愕するような出来事には遭遇しないのだが、やはり新規の作品ということと、新しい仲間たち(『フロンティア』ブログ参照)と冒険しているという新鮮さが強烈なスパイスとなって、時間の経過を忘れるほど楽しんでしまったよ。本日は午後5時からテクニカルテストがスタートするという。こんな時間から『フロンティア』につないでしまったら仕事に支障が出るナァ……と、自制できないダメなオトナ丸出しの俺は本気でそんなことを考えているのであった。
ここで読者の皆さんは恐らく、「この体たらくだと『2nd』のことなどすっかり忘れているんだろうな(怒)」と、ラージャンのようなお怒りモードに突入されるかもしれない。でも安心なされい。そんなことはまったくない!! じつは俺も心配していたのだ。『フロンティア』のサービスが始まってしまったらそっちに入り浸ってしまい、『2nd』をまったくプレイしなくなるんじゃないか、と。でもそれは杞憂に終わりました(と、早くも断言)。なんたって『2nd』の対応ハードは携帯ゲーム機のPSP。通勤時間や取材の行き帰りでいくらでも遊ぶことができるんですよ!! とくに昨日は午前中から、自宅のあるさいたま市から横浜まで移動せねばならず、片道の鉄道乗車時間はじつに74分。乗り換えナシ。ガンダーラに出かけるような気分にさせてくれる長距離だが、俺はここぞとばかりにPSPを引っ張り出して、ハマっている訓練所をこなしまくった。携帯ゲーム機の本領発揮である。
……いまさりげなく"こなしまくった"なんて書いたが、これはウソです。こなすどころか、イャンガルルガにイヤと言うほど倒されまくっていたので……。それにしても、何度も言うように電車の中で『2nd』をプレイしていると100パーセントの確率で"覗かれプレイ"になるネ。今回は都合の悪いことにガルルガにボコボコにされるシーンばかり上映してしまったので、正直、恥ずかしいったらなかった。でも「ガルルガ、俺に恥をかかすな!!」と叫んだところで黒狼鳥はニワトリのように首をかしげるだけ。なので覗いている人々に「いやあ、この黒いトリ、ゲームに出てくる中で最強のモンスターなんすよ」と言い訳して歩きたかったがそんなことができるわけもなく(しかもウソだし)、俺はガルルガに倒されるたびにわざとらしくアクビをし、「ふわぁぁぁあ。眠み……。寝ながら操作してるとやっぱダメだな(苦笑)」というオーラを周囲に発散させまくったあげく、ほとぼりが冷めるまで寝たフリをした。そして数分後に何事もなかったかのように目を開け、「あー寝た寝た。んじゃ今度は本気でガルルガ倒すかな」と言わなくてもいいことをつぶやき、再びPSPを起動。しかしどんなにがんばっても倒せないことに変わりはなく、再度俺は「ああ……やっぱ眠み……」と生アクビをしながら電源を落とす。そして電車が駅に到着して乗客が入れ替わったのをみて三度PSPの電源を入れてガルルガと対峙。数分後には、
「!!!!!」
「zzzz……」
と寝たフリに突入してまわりの人が俺の存在を忘れてくれるのを待ち、数分後にノコノコと起きだして厚顔にもPSPの電源をオンにする……ということを何度も何度もくり返した。まあまわりの乗客がそんなに俺に注目しているのか、ってことに疑問を感じる人もいるだろうし、俺も少々自意識過剰だナ、とは思うのだが、やっぱり『モンハン』をやっているときは周囲の目が気になるものなのである。こんな俺でも、「あ、この人うまいかも」って思われたいんだよ!!(心の叫び)
しかし電車の中で覗かれプレイをしているときに、イャンガルルガを相手にしたのはマズかった。しかも、自分の装備を装着できない訓練所で……。
「いつもの自分の装備だったら、こんなトリになんか負けないんですよ!!! ホントですよ!! 信じてくれえええ!!!」
冷笑を浮かべる(と勝手に思った)ギャラリーにそう訴えることができぬうちに、電車は目的地の横浜に到着した。俺は74分もの長き時間、1匹のモンスターも倒さずに何をやっていたのだろうか……。
先日来、訓練所に入り浸っている大塚角満です。いままでなんでやらなかったんだろう……? と浅はかだったオノレに竜撃砲をブチかましたくなるほど、訓練所、楽しいっす。なんたって、いろんな武器を試せるのがいい。そして、装備もアイテムも教官が全部用意してくれているのがいい。ふだんは鬼のようでも、キチンと訓練生に気を遣ってくれているツンデレを絵に描いたような教官に思わず「萌え!」となる。先日の日記で"萌え"を解禁して以来、じつに安っぽくこの単語を使用するようになったが、ここはひとつ「ハイハイ」と軽くスルーしていただけるとありがたいです。
しかしこの訓練所、ハンターを訓練する場所だけあって一筋縄ではいかない。前回の日記で書いたとおりイャンクックは楽々撃破したものの、続くババコンガで"使ったことのない武器"という思いもよらぬ壁が登場(とくに狩猟笛)。でもどうにかこうにか、わからないなりにもブボーブボ〜♪ と狩猟笛を乱れ吹き(?)、なんとかババコンガを完全制覇した。この勢いに乗って、メタボ飛竜ことフルフル、歩くカニ鍋ダイミョウザザミを簡単に屠り去り、俺は一気に得意顔となった。そして思った。「そうかそうか。ババコンガが訓練所の"壁"だったんだナ。これを越えられたハンターは、あとは余裕で突き進むことができるんだナ。なーんだそうか」と。
そして迎えた雪獅子・ドドブランゴ戦。使用する武器は、片手剣、太刀、ハンマー、ランス、ライトボウガンとなっている。これを見て俺は叫んだ。「余裕すぎる!!」と。太刀を除いて、それなりに精通している武器ばかりなのである。そもそも俺は初代『モンスターハンター』では生粋のガンナーだったし、『モンスターハンターG』ではランスがメイン武器だった。片手剣はシリーズすべてにおいてこっそりと成長させ、「もう片手以外じゃ絶対無理!!」というときに持ち出す"切り札"的存在。ハンマーもダイミョウザザミ、ショウグンギザミと戦うときに持ち出しては殻を叩き割り、「やっぱサザエはハンマーで割るに限る」とわけのわからないことをつぶやくほどには使用している。残る太刀は前回の日記でも書いたが、テキトーに振り回しているだけで我が愛するガンランスよりも格段に早くモンスターを倒してのけることができると知り(たまたまかもしれんがね^^;)、「こいつを持っている限り負ける気がしねえ」と鬼に金棒的な気分にさせてくれる武器と知った。つまり、この5種類の武器を使う限り、ドドブランゴごときに遅れをとるわけがないのである。なので、「余裕すぎる!!」と叫んだのだ。
というわけでまずは片手剣を持って闘技場に突入してみた。闘技場内にはシビレ罠やら小タル爆弾などが隠されているが、んなものは必要ない。俺は脇目も振らずにドドブランゴに突進し、ブンブンブンと片手剣"デスパライズ"を振り回した。ところが、油断満載で挑んだのがいけなかったのか、思うように攻撃が当たってくれない。動きの速いドドブランゴを捉えきれず、空振りばかりを繰り返す我が分身。しかもなぜか回避行動で大いにもたつき、ゴロンと転がった先でドドブランゴの雪ブレスをまともに食らって瀕死の重傷を負う有様である。なんかおかしい。もしかしたらPSPのボタンがどうにかなってしまったのかもしれない。でもなんとかせねばなるまい。ここで躓くわけにはいかぬ! 俺は片手剣が最初から持っている大タル爆弾を使って、ドドブランゴに大ダメージを負わせることを思いついた。でも動きの速いこのサルに爆弾を当てるのは至難の業。こいつはどうやら、余裕をぶっこいてガン無視していたシビレ罠を発掘して設置するしかあるまい。俺は急いでシビレ罠を掘り出して、闘技場の中央付近に設置した。すると首尾よく、飛び込みラリアットをくり出してきたドドブランゴがこれにかかる。「おし! いける!」と思って急いでドドブランゴに接近し、爆弾を設置しようと試みる。しかしここで、思わぬ事態が俺を襲った。
「あ、アレ?? アイテムって、どうやって使うんだっけ……」
そう、ド忘れ!! 一瞬にして俺の脳内から、"『モンスターハンター』シリーズにおけるアイテムの使いかた"のページがデリートされてしまったのだ!! でもねえ、こういうことってよくあるでしょう? 目の前に座っている百人乗っても稲葉の顔を見て、「アレ? こいつ名前なんつーんだっけな??」みたいなの。ね、あるでしょう(「ある」と言ってくれ)。極限状態に追い込まれて、いまいちばん必要な知識がなぜかスポーンと抜け落ちてしまう現象。痺れるドドブランゴを前にして、俺はまさにその状況に追い込まれてしまったのだ。それでも必死になってボタンをガチャガチャしていると、我が分身の目の前にズズーンと、大きな爆弾が設置された。おお、できたできた。ここまでくれば、あとは起爆するだけである。しかしいまだに、アイテムをどのように使っていいかよくわからない。それでもガチャガチャやってるだけで首尾よく大タル爆弾が設置されたのだ。テケトーにボタンを押してりゃ小タル爆弾が飛び出すだろう。そう思って、俺は焦りながらもボタンを押しまくる。すると何を血迷ったのか、俺の分身が大タル爆弾に向かって強烈なジャンプ斬りを放った!!
「!!!!!」
と驚愕する分身の操縦者(俺のことね)。俺の焦りなどどこ吹く風で大タル爆弾は起爆され、画面には当然のように"クエスト失敗"のテロップが流れた……。
これがケチの付き始めだった。
クエスト失敗のショックを引きずりながらも、俺は続いて太刀を選択。ドドブランゴに対峙した。しかしババコンガのときのように運よく攻撃が当たることもなく、ほとんど何もせぬままに我が分身は屠り去られる。半分泣きながら訓練所に引き返して、「ランスだったら負ける理由がない!!」と気合を再注入し、三度、闘技場に突入する。しかし持ち込んだクリムゾンホーンという火属性のランスは斬れ味が驚くほど悪く、ちょっと突っつくたびに「早く砥げ早く砥げ!!」とわめきまくる。「うがああ! うぜええ!!」と絶叫したところで斬れ味が上昇するわけもなく、武器を砥ごうと思ってしゃがんだ瞬間に飛び込みラリアットをまともに食らって3度目の昇天を果たした。こうなるとハンマーでやろうがライトボウガンでやろうが結果は同じで、死神に憑かれた男は5連続でクエストを失敗するという大失態を演じたのである。さすがにそれだけ続けてやられるとショックも大きい。「もう二度と闘技場やんね」と俺がふて腐れても致し方ないと思いませんか?
でも早くも翌日には立ち直り、再びにっくきドドブランゴと対峙する。すると今度はどうしたことかアレヨアレヨと1回も失敗せずにすべての武器でクエストクリアーとなった。これを受けて単細胞の俺は、「そっかあ^^ ドドブランゴこそが闘技場の壁だったんかあ^^ これをクリアーすれば、あとは怒涛の快進撃が待っているんだな^^」とあっと言う間にゴキゲンとなった。
そして続くイャンガルルガ戦。「壁を越えた俺を阻もうとする者は、死あるのみ!!」と叫んで、またまた余裕すぎる態度で黒狼鳥を迎え入れた。
それから2日。
いまだにどの武器でもクリアーできません……(涙)。
闘技場には無数の壁がある……。
前回の日記で書いたとおり、俺はこの週末、精力的に訓練所のクエストをこなした。恥ずかしながらカミングアウトするが、俺はここまでいっさい、訓練所に足を踏み入れていなかった(というと語弊があるな。モンハンフェスタのチャレンジクエストはひととおり試したことはある)。じつは『2nd』だけではなく、『2(ドス)』でもほとんど訓練所で遊んだことがない。なので俺が持っているソフトに住んでいる鬼教官は、仕事がまったくないし、いじめる生徒もやってこないしでいじけまくっているに違いない。それどころか、「やっぱりいまの時代、鬼とかスパルタとか言ってるのは時代錯誤なんかな……」と自分の方針に大いに疑問を抱き、"やさしいイケメン教官が教えるハンター合宿14日間♪ 生徒随時募集中! いまなら入所特典もあるヨ(はーと)"なんて看板を掲げだしているかもしれない。そんなバカなことを考えてしまうくらい、俺は訓練所に近寄らなかったのだ。ではなんで訓練所のお世話にならなかったのかというと理由は簡単。
「俺ほどの腕前だったらいまさら訓練せんでもよかんべぇ」(群馬弁)
このひと言に尽きる。これは初代『モンハン』からシリーズを遊んでいるハンターが比較的陥りやすい"余裕の境地"ではあるまいか。改めて訓練せんでも、実戦こそが戦いのカンを呼び戻してくれる起爆剤だ! と男らしく豪語して、半分裸でモンスターの待つ原野に飛び出して行っているに違いない。でもなかには、大ベテランなのに「訓練所を制覇してからじゃないとやった気がしない」と宣言し、訓練所のクエストをすべて潰してから村クエに臨む人もいる。俺の友だちの中では、おなじみのWちゃんがそうだ。でもまあWちゃんの場合はソフトが発売された数日後に、「訓練所と村クエ、ひととおり終えたので集会所に行きまーす」と、訓練所をガン無視して村クエからクエストを消化している俺をあっと言う間にブチ抜いてしまうのであまり例としてふさわしくないかもしれない。が、とにかく、「まずは訓練所」というハンターもけっこうたくさんいるのである。
さて、そんな"訓練所スルー派"だった俺がなぜいまになって鬼教官のお世話になろうと思ったのか。じつはさしたる理由はなくて、近所に昔からあるけどなぜかいままで入る機会のなかった喫茶店に"なんとなく"フラリと立ち寄ったのに似ている。「まえからここにあるけど、どんなものを飲食させてくれるのかなぁ……」という好奇心が急に湧いてきて、玄関に吸い込まれていった感じだ。
訓練所に入ると、いつもの佇まいで教官が待っていた。いままでスルーしまくっていた俺に対して、決して媚びることも、へつらうこともない毅然とした態度は感動的ですらあった。世紀末覇者を思わせる男らしさであった。俺はとたんに(いままで待たせてスマンかった!)という気分になり、「どんな厳しい試練も受けます! ボクをいじめてください!」という気分になった。ガンランスが強くなって以来忘れていたマゾの気が起きてきた瞬間であった。さっそく俺は、厳しくもユーモア溢れる教官に言われるがままに、イャンクック討伐訓練を受注した。
さてここで多くの読者の方々が、「きっと角満はクックにも勝てなかった、って話を書くに違いない」と思ったことであろう。でもそんなことはないんですよ!! 俺は(やべえ、俺ウマすぎ。これじゃコラムに書くネタがない)と思ってしまったくらい順調に、用意された各武器で、クックをしばきまくった。あ、いまさらながらに説明すると、訓練所では武具、アイテムはすべて用意されているものを装着して討伐目標を倒すことになるのです。自分が揃えた凶悪な武器、防具はいっさい使うことができないので、本当におのおののスキル、腕次第でクエストの成否が別れる、という仕組みになっているのだ。で、俺はベテランハンターらしい落ち着いた立ち回りでクックをボコボコにした、ってわけですな。
しかし、俺が我が世の春を謳歌できたのはここまでであった。続くババコンガ討伐訓練で早くも、俺の前に巨大な壁が!! 対ババコンガ戦に用意された武器は、双剣、太刀、狩猟笛、ガンランス、弓、の5種類。ガンランスはメイン中のメインの武器なので問題ないが、そのほかの武器、俺は『2nd』ではほとんど使ったことがないのである! 双剣、弓はたまーに使うが、太刀と狩猟笛については『2nd』ではほぼ1回も使ったことがなかった。さらに言うなら狩猟笛は、『2(ドス)』の時代をひっくるめてもほとんど使ったことがない。狩猟笛LOVEの一瀬泰範ディレクターが暮らす西南西の空に向かって(すまんかった!)と頭を下げ、とりあえず勝手知ったるガンランス、双剣、弓の順番でババコンガと対峙した。結果、
ガンランス>双剣>弓
ってな具合に、熟練度に完璧に比例して右の武器に行くほど苦戦をし、まったく使ったことがないと言っても過言ではない狩猟笛に対する不安がいやがうえにも盛り上がってくる。そこで残されたふたつの武器のうち、まずは太刀を持ってピンク猿に挑むも使いかたを思い出しているうちに1オチ。訓練所のクエストは1死クエなので、1回でもモンスターに倒されると強制終了となってしまう。それでもなんとか、やたらめったらカタナを振り回していると偶然にもこれがピシピシとババコンガに当たり、なんと慣れたガンランスよりも格段に速いタイムでクエストをクリアーしてしまったではないか!! とたんに、
「……」
となる俺。ガンランスっていったい……。でもこの程度のボディーブローで悶絶している場合ではない。つぎはいよいよ、あの狩猟笛でババコンガを倒さなければならないのだ!! 俺の震える手に狩猟笛を託す鬼教官。もう後にはひけない。俺はキョロキョロとあたりを見渡してからこっそりと『ルーキーズガイド』を本棚から取り出し、狩猟笛の操作方法を説明しているページを開いてテーブルの上に置いた。カンニングをしながらババコンガと戦おうと思ったのだ。えーっと、狩猟笛を吹くにはR1ボタンを押して……。おお、狩猟笛からなにやら音が出てきたぞ。するとピキューンという軽快な音とともに"自分の移動速度強化"、"攻撃が弾かれなくなった"という効果が画面に表示されたではないか!! こ、こりゃすげえ!! まさにドーピング!! 俺はうれしくなって、さらに笛を吹き続けた。すると今度は"龍耐性強化"という効果が!! うおおお! す、すげえ。狩猟笛使いは、こんなにおいしい思いをしていたのか!! いまさらながら、ほかの武器とはまったく毛色がことなる狩猟笛の特性に触れ、感激しまくる大塚角満。すっかりババコンガのことなどどうでもよくなって、キャンプでいつまでも笛を吹き続けた。吹けば吹くほど、龍耐性が上がっていく。これぞまさに、戦場の吟遊詩人ではないか! かっこいいなあ、狩猟笛。けっきょく、頭打ちになるまで笛を吹き続けたので、猛烈な龍耐性が備わったことだろう。俺は嬉々としてモンスターの待つ闘技場に足を踏み入れた。どっからでもかかってこいや!! 修羅を思わせる極限の気合をモンスターに向ける。しかし闘技場で待っていたのは、龍属性とかまるで関係ないピンクの大猿、ババコンガであった。つまり俺の演奏、まったく意味ナシ!! しかも演奏にばっかり気を取られて、通常の攻撃方法がまるでわからない。俺に残された道は、ババコンガを前にしてもピ〜ヒョロロ〜と情けない音色を一生懸命奏でることだけであった(んなことはない)。
しかし残念なことに、笛を吹きながら通常攻撃のやりかたをカンニングしている絶好の隙を、このお猿さんが見逃すわけもなかった。けっきょく、移動速度が上がろうが攻撃が弾かれなくなろうが、ましてや関係ない龍耐性をあげたところで、自分の攻撃が相手に当たらなきゃ話にならないのだ。
1分足らずでババコンガに屠り去られ、改めて"武器に精通する"ことの意味を知るベテランハンターであった。
いやあ、始まっちゃったねえ、『モンスターハンター フロンティア オンライン』。まあ、まだオープンβテストだし、接続障害でなかなかすんなりとは行っていないけど、『フロンティア』の登場により新しい『モンハン』世界の選択肢が増えたことは厳然たる事実だ。うーん、わくわくするねえ。※これを書き出した時点ではオープンβ、正式サービスが1週間延期になることは明らかになっていませんでした。
でも世界が広がったところで、この俺が『2nd』から足を洗う(?)わけもない。まだまだやることは山ほどあるよ! そんなことをする必要があるのかどうかもわからぬが、俺の『2nd』に対する熱い想いを世に知らしめるために、今後の予定を列挙したいと思う。
●その1 村ラージャンを倒す!
じつはいまだに、村における最凶の試練"最後の招待状"を制覇していない。それどころか、以前ここでコラムを書いて以来、村ラージャンに近づいてもいないのだ。べべべ別に、ビビビ、ビビってるわけじゃないヨ。モンハンフェスタの決勝でツワモノどもがラージャンを軽く屠り去っているのを目の当たりにして、「ラージャン、恐るるに足らず!」という思いを強くした俺(勘違い)。おそらく、つぎに対峙したら簡単に捻り潰すことができるであろう。そう! つまりいつでも行けるのだ。いつ行っても勝てるのだ!! 行く準備はできているのだ!! でも、まだ行かない。なぜか行かない。
●その2 ガンランスをコンプリートする!
先日、とあるガンランス使いの友人に、「あなたは何種類、ガンランスを持っているのですか?」と聞かれた。その言葉の裏には(これだけ世間にガンランス使いってことを喧伝しているのだから、とっくの昔にコンプリートしてるんでしょ?)という思いがあるのは明らかであった。その人(女性です)は目をキラキラと輝かせながら、俺が「いやあ、コンプリートなんて当たり前っすよ。俺を誰だと思ってるんですかあ^^」と発言するのを待っている。しかし、このとき俺が持っていたガンランスは8本。いったい何本集めればコンプリートになるのか知らないが、武器屋のリストを見ただけでも、この8本という数字がコンプリートに近いものではないということはよくわかった。俺は恐る恐る、期待に胸を膨らませているその女性に申告した。「あ、あのあの……。まだ8本しかありましぇん……」と。するとその女性は明らかに落胆の色を顔に浮かべ、「……じゃあ、ほかのカテゴリーの武器はどれくらい持ってるんですか? まさか大剣とかにうつつを抜かしている、なんてことはありませんよね?」とのたまった。その眼光にはいつのまにか、河合リエを思わせる鋭さが宿っている。彼女が言うには、「本数どうこうよりも、全武器に占めるガンランスの割合が問題だ」とのこと。実際、俺のコラムを読んでガンランス愛に目覚めたその女性は、武器はガンランスを4本持っているだけだという。俺は大いに恐縮し、「ま、まあかなりの割合ですよ。ももも、もしかしたら9割くらいかな^^; いやあでも、この焼酎うまいすね^^;」とだけ発言して話を別の方向に持っていった。
そしていま改めて、自分が集めた武器の数を数えてみた。以下、6月22日時点の、大塚角満の偽らざる武器リストである。
・ガンランス……9(強調)
・ランス……2
・片手剣……4
・双剣……3
・大剣……6
・太刀……1
・ハンマー……1
・狩猟笛……1
・弓……3
・ライトボウガン……4
・ヘビィボウガン……1
おおお……。我ながらものすごいガンランス愛!!! えーっと、パーセンテージにすると……。ガンランス率29.4パーセントか……。こ、これはどう分析したら……。いいのか悪いのかよくわからん……。でもこれを見たら、きっとくだんの女性ガンランサーもナットクしてくれるはず!! いかがですか皆さん!!
●その3 集会所の全クエストをクリアーする!
これはもう、ハンターだったら誰もが目指すところであろうが、俺もやはり、全クエストをクリアーしておきたい。調べてみたところ、おまえはいままで500時間も何をやっていたんだと自分を叱責したくなるくらい、無数の未クリアークエストがあることが判明した。とくに、集会所の下位クエスト。どうやらこの男(俺のことだが)はとっとと上位に上がりたくて、必要最低限のクエストしかプレイしてこなかったらしい。ブランゴ15匹討伐とかヤオザミ10匹討伐なんて、考えただけでも震えてくる。でも、やらねばなるまい。最近またまた多方面で無駄遣いをして、気がついたら残金18ゼニーという極限の逼迫状態に陥っていたのだ。小金を稼ぐつもりで、こういった地道なクエストをこなしていこうと思う。
●その4 訓練所……
じつはまったく手をつけてません!!!(カミングアウト) たったいま『モンハン フロンティア オンライン』のサービスが1週間延期になることが発表されたので、この隙に『2nd』の訓練所もコツコツと進めていこう。そう心に誓った。
こんなところかな? 細かくは"逆鱗10個欲しい"とか"塵粉10個欲しい"とか"紅玉10個欲しい"とかとか、何でもかんでも「10個10個」と頭の悪そうなことをいつも考えているわけだが、キリがなくなるのでこのへんで。
まだまだ『2nd』で、汗まみれになれそうである。
会社の自席でクーラーの風に冷やされ、ほげほげしながら『2nd』をプレイしていると、週刊ファミ通編集部方面から佐治キクオが血相を変えて飛んできた。彼は以前、このコラムでもちょっとだけ紹介したことがあるが、とっぽいあんちゃん風の風貌ながらゲームの腕前はピカイチで、たびたびマスコミ対抗のゲーム大会や先のモンハンフェスタなどのゲームイベントに借り出されるファミ通編集者である。佐治はヤンキー然としたふてぶてしい態度で副編集長(俺のことね)の前で仁王立ちになり、開口一番こう言った。
「ちょっと大塚さん、見ましたよコラム。何やってんスか!」
……ついにバレたか。
じつは俺は"史上最大の過ち"というコラムをファミ通.comにアップしたあと、いつ佐治キクオが乗り込んでくるか、内心ビビりまくっていたのだ。伏線はこちらを読んでいただきたいが、じつは俺が上書きして消してしまったネコ双剣のクエストは、モンハンフェスタ決勝大会の会場で佐治キクオがダウンロードしてくれたものだったのである。イベント終了間際になると、俺はコメント取りやらカメラマンへの撮影指示やらでトイレに行く暇もないほど忙しくなってしまう。当然ながらクエストをダウンロードするヒマなどまったくなくなってしまい、俺はカメラマンと打ち合わせなどをしながら徐々に徐々に、焦り始めていたのだ。(ははは早くしないとネコ双剣クエストを手に入れられなくなる!!!!)。カメラマンの声を上の空で聞きながら、俺はネコ双剣クエストのことばかり考えていた。
そこにのこのこと、佐治キクオが現れた。俺の頭の上に、「!!!!!」と、ビックリマークが5個ほど飛び出す。いつもどおりのふてぶてしい佐治の姿が、このときばかりは天使に見えた。彼の肩甲骨あたりから、白くて穢れないきれいな羽根が生えているのが見えた気がした。(ててて、天使が現れた!!!)と俺は思った。
「うぃ〜っす」と佐治は言った。いつもどおり、副編集長を1ミリも尊敬していないことが一発でわかる男らしい口ぶりである。そんな佐治にむかって、俺は猫なで声を発した。
「ねぇ、佐治クン♪ 頼みがあるんだけどぉ。聞いてくれるかなぁ^^」
佐治は明らかに「ちっ!」と舌打ちしたあとに顔をしかめ、「なんスか気持ち悪い。とっとと言ってくださいよ」と吐き捨てるように言った。そんな彼に向かって俺は、いまこの場で新規クエストが先行配信になっていること、でも自分は忙しくてダウンロードしているヒマがないことなどを手短に説明した。そして、「佐治クン、お手数ですけどボクの代わりにダウンロードしてきてくれないかなあ? ボクのPSPに^^;」と申し添えた。佐治はちょっと考えたのちに「ああ、いいっすよ」と発言し、加えて「僕は今日はPSPを持ってきていないのでダウンロードできません。なのであとで大塚さんのクエスト、いっしょにやらせてくださいよ」とのたまった。もちろん、俺に異論のあろうはずがない。「いいですいいです。ていうか、ぜひいっしょにプレイしてください。お願いしますお願いします」と、どっちが副編集長なのかわからぬほど平身低頭となり、佐治にPSPを託した。そして晴れて、俺のPSPにネコ双剣を作るためのクエストがダウンロードされたというわけだ。
……我ながら説明が長いが、これで佐治キクオが俺の席に乗り込んできた理由がわかったでしょう。彼は非常に憤慨していた。
「クエスト消しちゃったって、どういうことっスか! せっかく僕がダウンロードしてきてあげたっていうのに!」
目をむきながら佐治が怒鳴った。俺は小さくなりながらも懸命に反論、というか言い訳をした。
「ああ、ごめんごめん^^; なんかゲリョスが……^^;; でもサ、佐治クンの苦労は無駄にはしていないんだよ。というのも俺はひとりで、アレがどんなクエストか確認には行ってるからさ^^;;; ギリギリで、佐治クンの働きを役立てることはできたんだよ^^」
佐治は俺の言い訳をしばし呆然としながら聞いていたが、いきなり血が飛び出んばかりに目を見開き、ツバを飛ばしながらこんなことを言った。
「なにを見当違いなことを言ってんスか。大塚さんがどうなろうと知ったこっちゃないんすよ!! 大塚さんがクエスト消しちゃったら、俺がネコ双剣作れないじゃないっすか!! そっちのほうが大問題なんすよ!! ったく、たのんますよホントに……」
ここまで一気にまくし立て、佐治はフーフーとドドブランゴのように肩を怒らせながら自分の席に帰っていった。そういえば佐治が来る前日、まったく同じようなことをスレイヴ間々田にも言われていたのだ。
やばい……。このままでは副編集長の威厳が……。
それ以来、俺のPCのデスクトップには『2nd』の公式サイトが常駐している。早くネコ双剣のクエスト、配信されないかなぁ……(涙)。
先日、新ダウンロードクエストとして"神秘の怪鳥"が配信された。このクエストに出てくるボスクラスのモンスターはそう、"あの"、ミニイャンクックだ。
ミニクックで思い出すのが『モンスターハンターG』のイベントクエスト。ここでミニクックは初登場し、多くのハンターに愛でられたものだ。この"小さい"ということを特徴とするモンスターは、『モンハン』の世界においてはあまりにも特殊だった。ラオシャンロンやシェンガオレンは別格としても、グラビモス、ガノトトス、ディアブロスといった巨大飛竜を目の当たりにするたびに、"デカい=強い"という固定観念がハンターに植え付けられたとしても誰にそれが責められようか。いや責められない。実際、飛竜たちはデカければデカいほど強くなった。ふだんは15分もあれば倒せるリオレウスも、「あ、あれ? このレウス、なんかデカくね……?」と思ったが最後、本当に手こずりまくって討伐に30分も40分も時間がかかる、なんてことは頻繁にある(と言いつつそれで金冠がつくかというと決してそんなこともなく、それまでの最大値より3センチくらいしかデカくない、なんてことはザラだがな)。そんな、デカいことはいいことだ的な不文律がある『モンハン』の世界に、小さいことを売り物として登場したミニクックの功績は大きい。初めて見たときは、本当に度肝を抜かれたものだ。
しかし『G』のときに配信されたミニクックのクエストは、想像を絶するほどの過酷さを纏っていた。『モンハン』シリーズすべてのクエストを見渡しても、間違いなく5本の指に入るくらい、壮絶に厳しいクエストだったのである。知らない人も多いかと思うので簡単に説明すると、『G』のときのミニクッククエストは、恐怖の"1死クエ"(パーティーメンバーの誰かが1回でも昇天したらクエスト終了。拙著『本日も逆鱗日和』に詳しい)だった。しかもこれに加えてこのクエストは"裸クエ"でもあった。裸クエとはその名のとおり、防具をひとつでも着けていると参加できないクエストである。これは恐ろしい。ためしに素っ裸で密林に飛び出して、ファンゴがうじゃうじゃいる3のエリアにでも行ってみるといい。ファンゴに1回小突かれるだけで体力は信じられないくらい激減し、複数のモンスターにまわりを囲まれたらほぼアウトと思っていい。ファンゴどころか、ランゴスタに囲まれても阿鼻叫喚の地獄と化すのは目に見えており、「なんで俺はこんな無防備な格好で戦場に来てしまったのだろうか……」と戦士の悲哀を体感できること請け合いである。1死クエ+裸クエは、『モンハン』世界におけるまさに"最凶コンボ"なのだ。なので『G』のミニクッククエスト、俺は大嫌いだった。だって、あのちっこいクックの回転尻尾攻撃にパコーンとぶつかっただけで、ほぼ即死だったんだもん!!! 友だちに無理矢理このクエに連れ出されても、俺はクックの姿をほとんど見ずに逃げ惑うのみ。本当に、クックをまったく視界に入れずに、「うわわわわ!!」と喚きながら走り回っていただけだった。こんな感じだったので、じつは俺はミニクックをまともに見た記憶がない。これ、本当のことですよ。
で、今回の"神秘の怪鳥"クエストである。幸い『2nd』のミニクッククエストは、1死クエでもなければ裸クエでもない。これなら安心して、ひとりで出かけることができる。俺はまだ見ぬミニクックに思いを馳せながらクエストを受注。密林マップに足を踏み入れた。武器はとりあえず水属性のガンランスを持っていったが、今回は様子見。ミニクックのじゃれつきを堪能したら村に帰ってこよう。そう思った。
さてやってきました密林マップ。どこにミニクックがいるのかわからないので、まずはテキトーに歩き回る。4、3、7、5、2、9、3、8、6……。
……。
……どこにもいねえ!!! しかし、このくらいではキレないのが大人の男ってもんである。俺は冷静に考えた。「どうやらミニクックは、俺のあとをついてきているらしい」と。
そこで俺はエリア7に入ったとたん、「後ろから来てるのはわかってるんだからね!」と叫びながら急に方向転換し、エリア3に逆戻り。しかしそこにはいたのは、無意味な突進をくり返すファンゴだけであった。俺は自分が取った哀れな行動に赤面し、以後いっさい無言でミニクック捜索を続行したのであった。
でもそんな一生懸命さが天に通じたのか、ついにエリア2でやたらと小さい赤い鳥を発見! 近づいてみると、それはまさにミニイャンクックであった!! こ、これはしかし……。
萌えーーーーーーーーっ!!!!!!!!
……初めて原稿で"萌え"って書いたわ……。でも思わずそう書いてしまうくらいこのクック、強烈にかわいい!! 『G』のときにも見たはずなんだけど、こんなに衝撃は受けなかったなぁ……。俺はミニクックのあまりのかわいさに相好を崩し、「お〜〜〜^^ かわいいでしゅねえ^^ おーヨシヨシ^^ あーそうかそうか^^ よしよし、かわいいねぇ^^」と途端にムツゴウロウさん化してノコノコとミニクックに接近していった。するとクックはクルンと1回転し、俺の分身の横っ面に強烈な一撃をかますではないか! 意外なほど大きく減少する我が分身の体力。ここでふだんなら、「くぬやろう!! 何しやがる!!」と大激怒するところなのだが、俺がここで叫んだのは、
「ラブリーーーーーーーー!!!!」
のひと言であった。完全に俺は、ミニクックのかわいさに魅せられていた。
でもちょっと冷静になって"モンスター"を見る目でミニクックを見ると、なりは小さいけどなかなかどうして、イヤらしい相手であることがわかる。前述した回転尻尾アタックだが、大きいクックだと尻尾の旋回軌道がハンターの頭上になることもしばしばで、意外と攻撃が当たらないもの。ところがミニクックの場合は、尻尾の高さがハンターの胸から顔くらいの高さしかないので、近づけば100パーセント、攻撃の軌道に入ってしまうのである。なのでビシビシバシバシとクックの攻撃が当たる。小さいからってナメてかかると痛い目にあうのだ。
それにしても、このミニクックはかわいい。クエスト遂行はどうでもいいので、たまに会いに密林に行っちゃおう、なんて思ってしまったよ。トリ最高。俺はミニクックのおかげで一気にトリ好きになってしまった。
そんな俺は明日。
都内の焼き鳥屋に友だちと、トリを食いに行ってきます(マジ)。
久しぶりに『モンスターハンター2(ドス)』のドンドルマに出向き、このゲームの魅力を再認識した。やっぱり楽しいよモンハンは! というわけで人生において何度目かの"モンハン中毒"に陥っている。ヒマさえあれば何らかの機器で『モンスターハンター』に接続してクックやゲリョスを追い回し、そして、テオ・テスカトルやラージャンには追い回されている。なんというメリハリ。何をいまさらと言われるかもしれないが、楽しくて楽しくて仕方がない。
しかし冷静に考えると、この大塚角満という人間はひとりしかいない。そして、1日の時間は24時間しかない。となると……。数日後にはドエライことになってしまうことが容易に想像される。そう、『モンスターハンター フロンティア オンライン』のオープンβテスト、そして本サービスが始まってしまうのだ。"しまうのだ"なんて書くとまるで俺がこれを歓迎してないかのように見えてしまうが、決してそんなことはないのだよ。むしろ、大歓迎大拍手の大ウェルカム(重複)。なんたって、俺は『フロンティア』のために自宅のPCを新調したほどの人間である。楽しみでないわけがない! ブログも始まったしな!! なので『フロンティア』にも本腰を入れて臨むつもりだ。「今日はブログの当番だから、クックの1匹でも倒しておくかぁ〜……」なんていうナメたスタンスには決してならぬ。仕事そっちのけでガチンコで対峙する。そう、ラージャンに挑むときくらい本気装備で『フロンティア』の前に立つ! そのくらい、俺は気合が入っているのだ。
でもそうなると、前述の"大塚角満ひとり論"と"1日は24時間論"が俄然、強力な光を放ってくるようになる。つまり、ひとつの『モンハン』を遊ぶ時間があまりにも限られてしまうのだ。
だってそうでしょう。
俺は周知のとおりここのところずっと『2nd』を遊び倒してきたのに加え、これまた前述のとおり『2(ドス)』熱も復活してしまった。『2(ドス)』が楽しすぎていままでプレイしていなかった友だちに向かって「『2(ドス)』楽しいからいっしょにやろうよドスドスドス!」と、まるで相撲取りのようにドスドスと連発して、新たに『2(ドス)』の世界に引きずり込んでしまったほどである。そして、例の『フロンティア』だ。俺は今後、この3作品を同時進行で進めなければいけないのである。いかなモンハン好きでも、これは凄まじいハードスケジュールだ。でも、俺はやる。「今年の夏は、人生最大のモンハン夏だ!!」とわけのわからないことを絶叫したくなるくらい、遊びまくる。単純に考えると、俺の平日の"モンハンスケジュール"は以下のようになりそうだ。
・8時30分起床
・8時40分〜9時 『2nd』で1クエ(時間がないのでクックあたり)
・9時30分〜10時30分 通勤電車の中で『2nd』をプレイ(乗車時間長いので大物もいける)
・11時〜15時 会社で徹底的に『2nd』をプレイ
・15時〜21時 会社で徹底的に『フロンティア』をプレイ
・21時〜0時 会社で徹底的に『2(ドス)』をプレイ
・0時〜1時 電車の中で『2nd』をプレイ
・1時〜3時 自宅で『2(ドス)』を遊んだあと、布団の中で『2nd』。1日の狩り締め
・3時10分就寝
・8時30分起床……
おおお……。我ながら完璧すぎるスケジュールだ……。これぞモンハンに生きる男の究極プラン!! ぜひ、全国のハンター諸君もご参考に^^ たまには俺も、タメになること書くではないか^^
……え? おめえはいつ仕事してるんだ? ですって?
……。
…………。
………………。
……あ! いまは『2nd』の時間だ!! ダウンロードしたミニクックの討伐にでも行ってこよ〜っと^^
久しぶりに『2(ドス)』のドンドルマを訪れ、街人たちの熱気にあてられてすっかりやる気全開モードに突入した。俺にはやはり、ハンターとして生きるしか道はない。世界観の空気の一部となってモンスターと拳(?)を交え、ときに勝ち、ときに敗れ、食料を調達し、人と話しながら、自然に産み落とされた存在のひとつとして生をまっとうしよう。それが俺のレゾンデートルだ。俺は少年のように目をキラキラさせて、ゲリョス、レイア、ドドブランゴといったモンスターを片っ端から倒して歩いた。いやあ楽しいなあ! 『2nd』は!!
そんなある日、ファミ通が誇る天才ゲーマー・スレイヴ間々田が声をかけてきた。彼はウォーズマンを思わせる浅黒い顔をニヤリとゆがめ、こんなことを言った。
「大塚さん、ネコ双剣のクエに連れていってくださいよ」
ネコ双剣のクエ? ネコ双剣ねこ双剣……。……!!!! あああああ!! 忘れてた!! そういえばモンハンフェスタ決勝大会の会場で先行配信されたチャレンジクエストをダウンロードしてきていたんだった!! そうだそうだ思い出した。モンハンフェスタで『2nd』のプロデューサー、辻本良三さんが初公開した"双剣アイルー君メラルー君"。その名のとおりアイルーとメラルーのぬいぐるみが剣の先端についているという、ネコ好きが見たらヨダレやら涙やら、あらゆる体液を撒き散らしたくなるくらい超絶かわいい双剣である。前述のとおりこの双剣は、モンハンフェスタ決勝大会で先行配信されたチャレンジクエストをクリアーすることで手に入れることができる。雪山に棲息するクシャルダオラを倒すというなかなかにして手強いクエストなのだが、ネコには日ごろからぐにゃぐにゃにされているこの俺、例えラージャンが10頭出てきても挑んでやる!!! そういう気合のもと、ダウンロードしてきたのだった。……間々田に言われるまで忘れてたけどな!! この双剣、ネコ系の武器ではおなじみの麻痺属性を纏っているらしい。"らしい"というのは、まだ自分が使っていないのではっきりとは知らないのと、フェスタで辻本プロデューサーが使っていたのを見ていたのだが、彼の攻撃がモンスターにまったく当たらず、麻痺なんだか雷なんだかよくわからなかったので俺はまだ確信を持てていないのである(でも麻痺属性です)。
さあクエストだクエストだ。間々田に声をかけられたときは仕事がテンパってて行くことができなかったが、ようやくいま、手が空いた。ちょっくらひとりで出掛けてみて、どんな感じだか調べてこよう。で、改めて、間々田や佐治キクオといったツワモノを引き連れて、ちゃちゃっとクエストをクリアーしてネコ双剣を作ってしまおう!! わーいわーい。
俺はルンルルルンとハミングしながら訓練所に突入した。教官からのサドな指示に耳を傾けたあとにクエストを選択。えーっと、どれだどれだ……。
あれ? 集団演習のところにあるの、ラージャン討伐だけだぞ……? おかしいな。入る場所を間違えたか……? じわりとイヤな汗を手の平に滲ませつつ、それでも俺は健気に「ははは、入る場所をままま間違えたみたいだナ……」と平静を装っていったん訓練所から退出。「こここ今度は間違えないように……」と祈るようにつぶやきながら再び訓練所に突入して受注できるクエストを眺めた。そして……。
な、ない……。ラララ、ラージャンしかいない……。クシャルダオラがラージャンに喰われた!!!!??
おおおおかしい……。フェスタのときには、確かにダウンロードされていたのだ。セーブもされていた。それなのになんでないのだネコ双剣クエスト……。これはやっぱり、クエストごとラージャンに破壊されたとしか考えられない……。
身体中の毛穴からイヤな汗を噴出させたガマガエルのようになって、俺は一昨日の自分の行動を振り返ってみた。『2nd』に復帰したあと、俺はいったい何をしただろうか……?
……あ、そういえば。
俺はちょっとまえから毒怪鳥の頭が欲しくてゲリョスを追い回したりしていたのだが、このレア素材を手に入れるにはダウンロードクエストである"光と毒の狂騒曲"をこなすのがいちばん手っ取り早いと気がついた。そこで「さあダウンロードだダウンロードだ」と騒いでネットに接続し、すでにメモリーがいっぱいだったのでひとつ、クエストを削除した……。
うおおおおおお!!!!
喰ったのはラージャンじゃなくて、ゲリョスだった!!!!!
間々田へ。
雪山クシャルダオラはゲリョス2頭に討伐されました。
何を隠そう、いまだモンスターハンターフェスタの余韻を引きずっている大塚角満です……。はぁ……(ため息)。楽しかったなぁ、フェスタ……(涙)。できることなら、福岡大会の前日まで戻りたいなあ……(嗚咽)。いまの俺の有様と言ったら、そりゃあもうヒドイものである。はっきり言って、大型連休のあとよりも社会復帰度ダンゼン低し!! 俺のココロはいまだ散り散りで、フェスタが行われた全国6ヵ所の上空でフラフラしていると思われます。福岡、大阪、名古屋、池袋、札幌、秋葉原で俺の生霊と遭遇した人は、優しく、慈愛のこもった口調で「早く本体に帰りなさいネ^^」と諭していただけると幸いです……。
こういう心境になったときに、普段では考えられないような行動をしてしまうことは、人間として生まれ育ってきた以上、仕方のない条件反射と言っていいであろう。……何が言いたいのかというと、じつはフェスタが終わってから、俺はほとんど『2nd』に触れていないのだ。コレ、ものすごい現象ですよ奥さん。『2nd』の発売から4ヵ月で500時間も600時間もこのゲームを遊び倒し(恥ずかしいのではっきりした時間は書かない)ているっつーのに、俺はフェスタ終了からの3日間、PSPにすらさわっていないのであった。ゲームに飽きたのではない。それどころか決勝大会寸前までの俺のモチベーションといったら恥ずかしいくらいで、いくら遊んでも遊んでもしゃぶり尽くした気が起きず、(ちょっと俺、やばい領域に足を突っ込み始めているのでは……)と半ば本気で心配になったほどである。それが、3日間にも及ぶ『2nd』断ち……。これは由々しきことである。
なぜ俺はいま、こんな抜け殻のような状態になってしまったのか? じつは理由は簡単にして明白で、あまりにもモンハンフェスタの追跡取材が楽しかったがためにPSPを見ると「フェスタの取材まえに戻りたい!!」という気持ちが急激に込み上げてきて、タマラナクなってしまうのである。自分にできるすべての作業を終えたいま、あとは血気盛んな若きハンターたちに託そう……。そんな、老兵のような気分になっていたのである。
で、昨夜。
寂しいヨー、さみしーヨー♪ と深夜の編集部で歌を歌っていると、知り合いの女性からメールが届いた。そこには「いまドンドルマにいたの、角満さんですよね?」と書いてある。じつは俺、昨日のブログで紹介した歌姫の動画を何度も観てそのたびに感動し、「ゲームの中の歌姫にも会いたい!!」と突如思って『2(ドス)』を起動し、ドンドルマのアリーナで『魂を宿す唄』を聴いていたのだ。その女性(Yさん)も俺とまったく同じ心境になってドンドルマを訪れ、街で呆然と佇む俺を発見し、メールをしてくれたというわけである。PCの画面をテレビモニターに切り替えると、思ったとおり自動切断になっている。急いでネットにつなぎなおしてYさんと合流。せっかくなので何かクエストに行きましょう、ということになった。
相手は、リオレイア2頭。久しぶりにプレイステーション2のコントローラーを握ったので操作方法がわからず、攻撃しようと思って△ボタンを押しまくり、そのたびにチャットウインドを出し入れしていた以外はわりとすんなりとレイア2頭を討伐できたと思う。俺はいつものように討伐そっちのけでYさんに話しかけ、そのたびにレイアのタックルを食らって瀕死状態になっていたのだが、それでも、本当にこのクエストは楽しかった。ドンドルマに帰ってきてからは、とにかくひたすらチャット。ゲームのことはもちろん、プライベートなことなどもいろいろ話して、めちゃくちゃ楽しい時間を過ごさせてもらった。(Yさん、ありがとー)
そして俺は思った。
やっぱ『モンハン』って、楽しいなぁ……と。
Yさんと別れ、残っていた仕事を片づけて深夜タクシーに乗った瞬間、俺は無意識のうちにトートバッグからPSPを取り出していた。そして、慣れた手つきで電源をオン。すると画面に、上位のグラビモス亜種討伐から帰還したばかりのオノレの分身が、まだ火照っているガンランスを抱えて佇んでいた。
「よーし!」
と俺は言った。身体の中に、みなぎるものがあった。
休憩は終わりだ。ポッケ村に帰ろう! ラージャンも倒してないしな!!
今日から俺の"『2nd』物語"第2章が始まる−−。
※『始まりの唄』と『魂を宿す唄』の歌詞を追加させていただきました。じつは僕はこの歌詞を知らずに今回のブログを書いたんですけど、詞の内容が僕の受けたインスピレーションとものすごく近くてビックリしました。ぜひ、僕の文章と歌詞、そして動画をあわせてご覧になってくださいませ。
◆◆◆
モンスターハンターフェスタ全国決勝大会のサプライズ企画として、"歌姫"の生ライブが開催された。
歌姫……。
『2(ドス)』を遊んだことがある人で、この人の存在を知らない人はそうそういないだろう。ドンドルマの街にあるアリーナ(劇場)で、夜のあいだだけどこかから舞い降り、ハンターの魂を揺さぶるヒーリングボイスを奏でる謎の女性。その歌声はときに強く、そしてときに悲しいのに、ハンターたちは癒され、泣かされ、慰められる。歌姫が歌に乗せてどんなメッセージを発しているのか、その言語を解することができないのでまったくわからないのだが、俺は仕事や人間関係で疲弊するとこっそりとドンドルマを訪れ、歌姫に『始まりの唄』を歌ってもらっていた。その声はそれはそれは切なく、聴いてるだけで涙が滲んできてしまうくらい悲しい響きを纏っているのに、ふいに暖かさと優しさの息吹を感じる瞬間がある。その刹那、俺は声に包まれているだけでふわふわと宇宙を旅しているような気分になって、浮世の嫌なことや疲れを忘れてしまったものだ。
そんな歌姫が、モンハンフェスタの会場に舞い降りた。もちろん、ゲームの中で歌っている歌姫とまったく同じ人物だ。歌姫の正体は、『コーヒーをいれたから』など多数のCMで知られるIkukoさんというヴォーカリストで、3人組のユニット"Lira"などでも活動している。日本だけに止まらない、世界を舞台にした音楽による福祉活動も行っている方で、まさに疲れたハンターたちを癒すには「この人しかいない!!」と確信できる人選なのだ。
歌姫は幻想的な青い光の中で、『始まりの唄』を歌った。モンハンフェスタのメインテーマともなっている、ちょっと物悲しくて、ちょっと懐かしいメロディーが会場の空気に染み込んでいく。歌姫の放つ透き通った歌声と、我々ハンターに訴えかけるような大きな手振りを目の当たりにして、俺は静かに、静かに感動した。全身に立った鳥肌が収まらない。鼻の奥に、ツンとした独特の痛みが突き上げてくる。やべえ、泣いちゃいそう……。記者が多くのユーザーの前で涙を流すってのはどうかと……。俺は何とかこみ上げてくるものを振り払おうと歌姫から目を逸らし、わざとらしく会場を眺めた。すると多くのハンターが目頭をおさえ、ハンカチを口に当てて嗚咽を漏らしてる……。おいおい、泣くなよみんな……。堪えられなくなるだろ……。でもやっぱり、ハンターはこの声に感動するんだよな。癒されるんだよな……。もっともっとたくさんの人に、この光景を見せてあげたかった……。

『始まりの唄』
大地の鼓動、大地の恵み
土に根を下ろし、世界の調和を知る
生命の息吹、たましいの風
吹き抜ける風の匂いが美を創り出す
我は大地の一部
我は空の一部
世界は己と共にあり、世界は己の中にある
我から意志は発ち、意志は我に還る
天の怒り、天の恵み
大いなる意志が世界の均衡を保つ
我は大地の一部
我は空の一部
世界は己と共にあり、世界は己の中にある
我から意志は発ち、意志は我に還る
そしてイベントの最後、再び歌姫がステージに現れた。これがモンハンフェスタの最後の舞台だ。彼女は『始まりの唄』のときと同じように、幻想的な青い光と霧の中で歌い始める。曲は、そう。『魂を宿す唄』……。歌姫の背後のスクリーンで、『2(ドス)』の中で歌姫が『魂を宿す唄』を歌っているシーンの映像が流れる。リアル世界と変わらない時間が『モンスターハンター』の世界観の中でも流れていることを示す、象徴的なシーンの数々。風が吹き荒れ、雨が降り、光が射し込む大地の上で、モンスターたちも恋をし、子を育て、家族を守るために天敵と戦う……。そんな、生の営みが表現されている映像だ。映像の中で声を張り上げる歌姫と、ステージで歌う歌姫の姿が完全にオーバーラップする。そしてその瞬間、俺は不覚にも涙を流した……。

『魂を宿す唄』
生命は生まれ、生命は尽きる
生命は芽生え、生命は枯れる
陽は昇り、陽は沈む
潮は満ち、潮は引く
生きるという事が、死ぬという事
死ぬという事が、生きるという事
死の意味を知り、生の意味を知る
食うモノと食われるモノ
火と水、空と大地
世界の広がりは、己の意志の中に
全てに意味があり、全てに意味はない
世界は廻り、世界に還る
全てに宿る大いなる意志へ
来場者だけではなく、全国のハンターにも歌姫の映像を見てほしいな……と思っていたら、ファミ通.com上で動画を配信できることになりました。本当に、見てほしいです。そうしたら、俺が何で感動したのか、わかってもらえると思うから。
いやあ、すごかったですねぇ、モンハンフェスタ全国決勝大会……。俺なんかから見たら、神か聖人か宇宙人の仕業か、ってくらいの超絶プレイのオンパレードで、1日中鳥肌立ちっぱなし。このまま鳥肌が続いたらイャンクックになって飛んで行ってしまうんじゃないかと自分が怖くなったくらい、感動しっぱなしだったよ……って、意味わからんな!! ……でもねえ、決勝戦の相手なんて、口に出すのも恐ろしいラララ、ラージャンですよラージャン……。この最凶のモンスター相手に、福岡代表のJast 25`S、大阪代表のポポノタン`sは真っ向から勝負を敢行!(って当たり前だけど) モンスターハンターフェスタのフィナーレを飾るにふさわしい、ある種芸術的で美しいバトルを披露してくれたのでした。
そこで今回は優勝したJast 25`sの究極プレイを、ここで解説しちゃいたいと思う。究極なんて強い言葉、簡単に使いたくはないのだが、ふたりの見事なパフォーマンスにはこの最上級の言葉こそふさわしい。……ていうかそもそも、この俺なんかが解説してもいいのか? 狩猟笛なんてまったくと言っていいほど使ったことないのに……。Jast 25`sのおふたり! もしもこれを読んで、「おじさんがいい加減なこと書いてる!」と思ったらご一報ください^^;
ではさっそく始めましょう。優勝チームのふたりが選んだ武器は、どちらも狩猟笛(轟鼓[虎鐘])だ。(便宜的に、画面上をA、画面下をBと表記します。また解説のタイムは動画のプレーヤーのタイムに合わせてあります。クエスト遂行タイムと若干ながらズレていますが、ご了承くださいませ)
開始 ダッシュして闘技場の入り口付近まで移動。おもむろに狩猟笛を取り出す。
0:16 一心不乱に狩猟笛で演奏を始めるふたり。自分の移動速度強化、攻撃力[大]を重ねがけ(2回)、体力増加[中]、防御力強化[大]、聴覚保護[小]を続けざまに演奏。しかもこれ、ふたりまったく同時。笛の効力は、その効果によって持続時間が違う。この順番で吹いたのも、じつは大きな意味があるのだ。一気にこれだけ吹ききって、ふたりはラージャンの待つ闘技場に突入。
0:35 闘技場に入ると、とにかくラージャンは無視してアイテムが落ちている柵のあたりまでダッシュで移動。ここでふたりとも支給専用シビレ罠を手に入れる。
0:52 ラージャンのもとに駆け寄り、いよいよ攻撃開始。ラージャンが閃光を放つのをとっさに見破って画面向かって左側に回りこみ、徹底的に頭部を攻撃する。
1:10 ラージャンの攻撃が初めてヒット! 腕のブンまわしから例の回転アタックを食らったAの体力が、MAXから半分近くまで激減! やっぱラージャンこええよ!! このとき、ふたりのアイテムウインドには支給専用秘薬がセット。体力が減ったらいつでもMAXまで回復できるように準備をしている。
1:32 Aがひとつ目の秘薬を飲む。体力をMAXまで回復できる秘薬は非常に貴重なアイテムだが、いっさい使い惜しみはしない。タイムアタック時のアイテムは持ち帰れるわけじゃない。ちょっとでもピンチになったら貴重なアイテムでもすぐに使用するのだ。これが、最速プレイの真髄のひとつなのかも。
1:37 秘薬を飲んだAが、落とし穴をアイテムウインドに準備。しかしラージャンは、怒り状態にならないと落とし穴には落ちない、という特性がある。いつ落とし穴を使うのか!?
1:46 なんとAが落とし穴を準備したとたんに、ラージャンが怒り状態に突入。どうやら"このへんで怒る"ということを見越して準備したようだ。
1:50 B、狩猟笛を構えるもラージャンの突進を食らってキャンセルに。
1:59 A、落とし穴を設置する。この間にBが改めて狩猟笛を構えて演奏を開始。ここで吹いたのは攻撃力アップの音色。個人にではなく、パーティー全体に効果のある音色だ。狩猟笛は何かの効果が続いている限り、キャラクターネームの横に"効果継続"のアイコンが出ている。しかし前述のとおり効果時間はさまざまなので何かが消えている可能性もある。そこでふたりは笛の効果時間もすべて計算して、まずここで攻撃力アップの音色を奏でたのだ。
2:25 ラージャンがなかなか落とし穴に落ちないのを見て、ふたりは迷わず攻撃開始。本当は穴に誘導したいところだが、足踏みするモンスターを待っているだけではクリアータイムに大きな影響が及ぶ可能性がある。そこでふたりは瞬時に攻撃に切り替えたのだ。
2:29 いい、いまの見た!? Bが頭部に攻撃を加えようとしたところ、ラージャンが回転アタックのモーションを発動。Bは瞬時にそれを悟って攻撃をキャンセル! 見事にラージャンの攻撃をかわしましたよ!!
2:39 ラージャン、ついに落とし穴に! ダメージが倍増する落とし穴。ふたりは頭部を徹底的に攻撃!
2:55 ラージャン、狩猟笛の頭部攻撃に耐え切れず気絶! これでさらに殴り放題だ。この段階で早くも、ラージャンの角が1本折れる。
3:16 Aがシビレ罠を設置。すぐにラージャンがハマる。ここで見るとよくわかるのだが、狩猟笛でラージャンの頭部だけを狙うのはかなり難しい。武器を振り上げるときに、先にラージャンの腕などにヒットしてしまうのだ。なのでもっとも重要なのがふたりのポジショニング。さすが、このふたりは巧みすぎ。
3:46 A、なんと戦場のど真ん中で狩猟笛の演奏を開始! さらに攻撃力がアップする。ラージャンの閃光が飛んでくるギリギリのタイミングで吹き終わり、攻撃を華麗に回避。そしてこの間にBがシビレ罠を設置している。これにすぐにハマらない場合は、やはり迷わず攻撃に出向いている。
3:56 ラージャン、2回目の怒り状態に突入。
4:03 見事、シビレ罠への誘導に成功。ここでも狙いは、徹底して頭部!
4:21 Bが2個目の落とし穴を設置。すぐにラージャンはこれにハマり、またまた頭部に徹底した攻撃を浴びる。そのうち、角が破壊。こ、これで報酬でいいものが出るぞ!! ……って、このクエストでは関係ないですね。
4:55 ラージャン、穴から脱出。あとでふたりに話を聞いたら、本当はここで2回目の気絶が欲しかったようだ。
4:58 ラージャン、横倒しに。かなりキてる!!
5:13 ラージャンが閃光を放つタイミングで、Aが閃光玉を投げる。ラージャン、見事にピヨったがここではふたりとも攻撃に行かず、なんと狩猟笛の演奏を開始! 自分の移動速度強化、攻撃力強化[大]、体力増加[中]、防御力強化[大]、聴覚保護[小]と吹いて、すぐにふたりとも武器を砥ぐ。ここまで、ふたりの動きは完全にシンクロ! どの時間に何をするか、やるべきことを徹底シミュレートしてラージャンに挑んでいるのがよくわかる!
5:51 Aが2個目の閃光玉を発射。ふたりはここから頭部ではなく、左右の後ろ脚を攻撃し始める。
6:38 Bがひとつ目の閃光玉を使用。
6:55 脚への攻撃が功を奏し、ラージャンが2回目の横倒し。
7:14 ここでBがラージャンの怒り回転攻撃を食らって1オチ……。しかし闘技場の場合はキャンプと戦場が隣接しているので、まだまだ取り返せる。この間、Aは孤軍奮闘ながら冷静にラージャンの後ろ脚を攻撃。
7:37 ラージャン、3回目の横倒し! Bが復帰するまでの、絶妙な時間稼ぎだ。
7:42 B、いっさい慌てずにキャンプで笛を演奏。急いては事をし損じるということを熟知しているのだ。
7:46 B、復活! すぐに最後の閃光玉を投げてラージャンをピヨらせる!
8:03 そしてついに決着!! ラージャンの討伐に成功!! まさに、最高のパフォーマンスだ!!
全国決勝大会 | ||||
決勝:ラージャン | ||||
順位 |
チーム名 |
タイム |
使用武器 |
地区大会:地区/順 位 |
優勝 | Jast25's | 8分01秒 | 狩猟笛・狩猟笛 | 福岡/2位 |
準優勝 | ポポノタン’s | 10分58秒 | 片手剣・ランス | 大阪/3位 |
準決勝:テオ・テスカトル | ||||
順位 |
チーム名 |
タイム |
使用武器 |
地区大会:地区/順 位 |
1位 | ポポノタン's | 7分06秒 | 大剣・ヘビィボウガン | 大阪/3位 |
2位 | Jast25's | 8分01秒 | 双剣・双剣 | 福岡/2位 |
3位 | 藤岡弘、探検隊 | 8分17秒 | 双剣・双剣 | 名古屋/3位 |
4位 | Gotsummer | 8分42秒 | 双剣・ハンマー | 当日予選枠 |
準々決勝:ティガレックス | ||||
順位 |
チーム名 |
タイム |
地区大会:地区/順 位 |
|
1位 | Gotsummer | 2分18秒 | 当日予選枠 | |
2位 | 藤岡弘、探検隊 | 2分33秒 | 名古屋/3位 | |
3位 | ポポノタン's | 3分02秒 | 大阪/3位 | |
4位 | Jast25's | 3分12秒 | 福岡/2位 | |
5位 | メラルー | 3分17秒 | 東京/2位 | |
6位 | へたれ | 3分20秒 | 東京/優勝 | |
7位 | チームマウンテン | 3分35秒 | 大阪/優勝 | |
8位 | オレンジエード | 3分50秒 | 大阪/2位 | |
9位 | 秋葉猟友会 | 3分51秒 | 当日予選枠 | |
10位 | とけた塊 | 3分54秒 | 福岡/優勝 | |
11位 | サザミ | 3分56秒 | 札幌/2位 | |
12位 | F.T.C.H | 4分04秒 | 名古屋/優勝 | |
12位 | 元テニス部 | 4分04秒 | 当日予選枠 | |
14位 | 619 | 記録なし | 札幌/優勝 | |
14位 | スカーレット | 記録なし | 名古屋/2位 | |
14位 | サボテンとバントライン | 記録なし | 東京/3位 |
約1週間のご無沙汰です……。大塚角満です。いやあ参ったよ今回は……。先週の月曜日の早朝、猛烈な腹痛で目を覚まし、そのままトイレに直行。このときすでに身体は熱に侵された熱帯雨林のような状態で、「俺の身体にいったい何が……」って感じに……。その後何度も何度も布団とトイレを往復し、「いっそこのままトイレで暮らしたほうがいいのでは……」と思ってしまうような精神状態になっておりました。せっかくなのでこの1週間の様子をドキュメントでここに書くか……とも思ったんですが、誰も読んでくれなそうなのでやめておきます。
でも、こんな状態になって初めて気づいたのがこのプレイ日記を書くときのテンション。ふだんは本当に仕事の合い間に、半ば趣味のような気持ちで書いているブログですが、じつはものすごく高いテンションで書いていたようなのです。というのも、体調を崩してテンションが激下がり状態になったとたん、文章が何にも頭に浮かんで来なくなった!! それどころか『モンハン』のことも次第に思い浮かばなくなり、毎日飲んでいたびーるや焼酎もいっさい口にできなくなってしまったんですよ! ……って、後半はまるで関係ないっていうか当たり前のことなんですが、とにかくボロボロの抜け殻のようになってしまうと、このコラムは書けないってことが判明いたしました。それだけが、今回の胃腸炎における収穫であります。
さて。
今日はリハビリってことでこのくらいで終わりにしようかとも思ったのですが、やっぱりそうはいかぬ。というわけで軽く、先日出かけていったまったりクエストのことでも書こう。
とある日。
友だちの女性、Kさんとクエストに出かけることになった。討伐目的は上位のガノトトス。「ガノトトス、苦手なんです……」ってことだったので、パーティープレイができるこのチャンスに、ふたりがかりで倒しちまおう、ってことになったのだ。もとより俺も、観賞魚として見たときのガノトトスは「でっかいおサカナだねぇ^^」って感じでキライではないのだが、いざ戦う相手となると、水から出てこねえわデカいわ攻撃力はあるわトリッキーだわで、なるべくご遠慮したい存在だったりする。こういうモンスターのようなサカナ(モンスターだけどサ)の相手は三平くんか魚紳さんか松方さんあたりにお任せしたいのだが、なかなかそうも言っていられないのでわっせわっせと出かけることに相成った。
クエストの舞台は砂漠マップ。砂漠のガノトトス討伐クエストの舞台となるのはエリア7の地点だ。ここは砂漠の熱波を受けず、かつ美しい水場も広がっているので、数あるエリアの中でもかなり好きな場所だったりする。この場所で女性とふたりでランデブーなんてなかなかシャレているではないか!! と、にわか釣り師は俄然張り切り出して、ガノトトスがマヌケ顔をさらしてノコノコと泳いでくるのを待つことにした。
砂漠はいい天気だった。
ドピーカンの空から差し込む初夏の日差し(初夏かどうか知らんけど)は心地よく肌を焼き、湖面から照り返される白い光の束が目をくすぐる。乱反射する光を一身に浴びていると、まるでバケーションに来ているような錯覚を覚える。この時期はまだ蚊も出ておらず(ランゴのことね)、アプケロスもどこかにエサを食みに行っているのか、1頭も現れない。いいですわねぇ、日本の夏……なんて思っているところに、ぱしゃぱしゃと軽薄な水音を立てながらガノトトスがやってきた。
さあ休息は終わりだ。バケーション気分を跳ね除けて、俺とKさんは臨戦態勢をとる。ガノトトスは水の中にいるとほぼ攻撃が当たらないので、そこから引きずり出さねばならぬ。引きずり出すにはSO! 音爆弾! 俺はKさんに言った。
「ガノ、来ましたよ! 音爆弾、行っときますか!!」
するとKさんは頭の上に「!!!」とビックリマークを3個ほど飛び出させて、目を見開きつつこう言った。
「音爆弾、忘れちゃいました!!」
うんうん、わかるわかる。なぜか不思議とハンターは、ガノトトス戦では音爆弾を忘れ、テオやナナ戦では打ち上げタル爆弾を忘れる(打ち上げタル爆弾があると翼を簡単に破壊できる)。それどころか、モンスターを捕獲するつもりで出撃したのに、なぜかいちばん肝心な捕獲用麻酔玉を忘れたりするから不思議なものである。なので俺がKさんの言葉にかぶせるように、
「俺も音爆弾忘れてきました!!!」
と叫んだことも、ある種仕方ないと言えるだろう。うんうん……。って、ふたりとも音爆弾忘れてガノトトスと戦えるの!? しかしここでKさんは不敵な笑みを浮かべた。我々はこのとき、ふたりともガンランスを装備していたのだが、Kさんは自慢のガンランスを指差してこんなことをのたまった。
「大丈夫です。ガンランスの砲撃をガノトトスにお見舞いしてやればいいのです!!」
今度は俺が頭の上に、「!!!!!」とビックリマークを5個ほど飛び出させた。な、なるほど……。そんな手があったのか!! 俺は「これはコロンブスの卵だ……」とひどく感銘を受けてKさんを見つめ、「いいですね!! やりましょうやりましょう! お見舞いしてやりましょう!」と元気に言った。
しかし。
まったく当たらない……(笑)。確かにガノトトスが最接近した状態でボンボコボンと砲撃すると当たっているようなのだが、そんなくらいでは暖簾に腕押しもいいところで、彼はまったく水から上がってこようとしない。しかも接近するっちゅーことはガノトトスの攻撃の射程に入るということで、俺とKさんはヤツの水鉄砲を浴びに浴びてずぶ濡れとなった。けっきょく、ガノトトスが気まぐれを起こして陸地に飛び出してくるまで攻撃しないという、俺たちはどこまでヒマなんだ的な討伐クエストとなってしまった。
でも、これがじつに楽しかった。ちょっとハンターの在りようとは矛盾するような気もするのだが、齷齪せずにのんびりと、砂漠の風景を眺めたり、ガノトトスが優雅に泳いでいる様をぼんやりと見つめるのも、これはこれでいいものだ。
35分という、まるでラオシャンロンを討伐に来たのでは……と錯覚するほどの時間を費やして、俺たちはようやくガノトトスを屠り去った。でも確かに時間はかかったけど、俺もKさんも大満足。
「こういうのんびりしたクエスト、またやりたいっすねー」
互いに笑いあい、俺たちは砂漠をあとにした。
昨日、ブログに穴を開けてしまいましたっ!! ごめんなさい……。じつは月曜の朝から体調を崩しましてクドクド……。いまだにフラフラという体たらくでグダグダ……。胃腸炎だったのですが、最近増えているらしい(医者が言ってた)ので、読者の皆様もお気をつけて……。
じつはかなりひどい症状だったので、ふつうだったらゲームなんてとてもとても……ってところだろうが、そこはモンハン激LOVEの大塚角満。会社を休んだのをいいことにPSPの電源を入れ、リオレウスを追い掛け回しておりました。これぞハンターの鑑!! ……でもマネしちゃいけません。体調崩したらキチンと休みましょう。
しかし驚いたのが、素材の引きがよかったこと。俺が罹った胃腸炎は20分おきくらいに腹痛の波が来てトイレに駆け込む……というようなものなのだが(現在進行形)、そんな状態だから「逆鱗くれ逆鱗!!」ってな心理モードにはいっさいならず、「布団とトイレを往復する日々をちょっとでも潤してくれればいい……」という、まさに無我の境地でクエストに臨むことができたのだ。どうやらこれが好影響したらしく、欲しかった素材が出るわ出るわ……。作りたい武器のために、最低でも火竜の逆鱗を5個、雌火竜の逆鱗も3個ほど欲しかったのだが、いっぺんに逆鱗が2個も出るという奇跡も発動して無事、昨日1日だけで集めることに成功した。ここ数週間、逆鱗を求めてレウスとレイアを追い掛け回していたときは1個も出なかったのに、欲がなくなったとたん手に入るとは……。
これが『モンハン』なんだよなぁ……。
というわけで短いですが、今日のプレイ日記とさせていただきます。まずは体調を戻さねば……。
そろそろ今日あたり、ガンランスでラージャンをぶちのめした武勇伝が読める……と思っておられた読者の皆様、ゴメンナサイ。ちょっといまは、そのことに触れたくありません。ていうか、立ち直るまでしばらくそっとしておいてください(涙)。そのお詫びと言ってはナンですが今日はついに、あらゆるモンスターを略したいと思います!!
おお、やっと角満も攻略記事を作る気になったか……と思った読者の方々、それは早とちりです。……俺に攻略ができるわけねえ!!(開き直り) ホラ、よく読むと"攻略"ではなく単純に"略"になっているでしょう。そう、ここで俺が書こうとしているのは"モンスターはこういうふうに略して呼ばれることが多いようだ"という分析記事なのです。「んなの読んで何がおもしろいんだ」とピシャリと言われる方もおられるかもしれませんが、意外とおもしろくなると思うんだよなあ、こういうの。『モンスターハンター』シリーズにおけるユーザーどうしの会話はチャットだけだったので長い固有名詞を略して表記することは非常に有効だったし、『ポータブル』シリーズでパーティープレイをしているときも、切羽詰ったときに長い名称をそのまま言うのでは非効率的なので、やっぱりモンスターの名前は略して呼ぶことが多いはずなのだ。なので"モンスターの名前を略す"という作業は、全国のほぼすべてのハンターが行っているに違いないのである。
ではさっそく行き当たりばったりに(マジ)、片っ端から略して行こう。まずは古くからいる定番モンスターから。
・リオレウス→レウス
・リオレイア→レイア
・イャンクック→クック
・ゲリョス→ゲリョ
・ガノトトス→ガノ、トトス、トト
・ディアブロス→ディア、ディアブロ、ディアス
・モノブロス→モノ、モノブロ、モノス
・フルフル→フル
・グラビモス→グラビ、グラ、ビモス
・バサルモス→バサル、バサ
あくまでも俺の周囲での略しかた、もしくは俺がドンドルマなどでちょっと見かけた呼び名だが、とりあえずズラズラと列挙してみた。おそらく多くの人が「うんうん、俺たちもそう呼んでる」と頷いたことであろう。でもよくよく見てみると、「ん?」と思わずにはいられない略しかたもある。たとえばゲリョスなんて最後の"ス"が消えているだけなんだからべつに略さなくてもいいだろう、って感じがするし、イャンクックは"クック"じゃなく"イャン"と呼んでもよさそうなものだ。それでもなぜかハンターは、ゲリョスはゲリョと呼ぶし、イャンクックはクックと呼ぶ。強固な不文律。でも、それでいいのだ。またディアブロスをディアス、グラビモスをビモスと略すのはかなりの少数派であろう。ディアスなんて言われたらアルゼンチンのサッカー選手か? なんて思わずにはいられないし、ビモスと言われてグラビモスを想像することはかなり困難だったりする。でもこう略して呼ぶ一族は間違いなく存在するからおもしろい。さあどんどんいこう。
・ランゴスタ→ランゴ
・カンタロス→タロス、カンタ
・ランポス→ランポ
・ゲネポス→ゲネ
・イーオス→略さず
・ガレオス→略さず
・ドスガレオス→ドスガレ
じっくり考えてみたが、イーオスとガレオスって略さないんだよなー。こやつらを略して"イー"とか"ガレ"って呼んでいるハンターはおられるのだろうか? ちょっと気になる。またおもしろいのがカンタロスで、カンタ、タロスと、"タ"を境界線にふたつの略しかたがキチンと市民権を得ている。おそらく"タロス"と呼ぶ人のほうが多いと思うが、割合的にはタロス(6):カンタ(4)って感じだろうか。さて、つぎは亜種について。
・蒼リオレウス→蒼
・桜リオレイア→桜
・翠ガノトトス→翠ガノ
・黒ディアブロス→黒ディア
・黒グラビモス→黒グラ、黒グラビ
・青イャンクック→クック
亜種については基本的に、その色で呼ばれることが多いようだ。ただディアブロス亜種、グラビモス亜種は色が同じなので、色の下に必ずそのモンスターの略称もつけなければならない。単純に「黒いこクロ」なんていうとディアなのかグラビなのかわからず、しかもどっちも強敵なので武器の選択を間違えるとエライことになるからね。ちなみにイャンクックは、身体の色が赤だろうが青だろうが"クック"。これも不文律。
さあ最後、まとめてドバっと行こう。
・クシャルダオラ→ダオラ、クシャ、クシャル
・ナナ・テスカトリ→ナナ
・テオ・テスカトル→テオ
・オオナズチ→ナズチ、オオナ
・ラオシャンロン→ラオ
・イャンガルルガ→ガルルガ、イャンガル
・ドドブランゴ→ドドブラ
・ババコンガ→略さず
・ラージャン→ラー
・ダイミョウザザミ→大名、赤蟹
・ショウグンギザミ→将軍、青蟹
・シェンガオレン→ガオレン、シェン、シェンガレオン
・キリン→略さず
こんなところかな? ちなみに俺はラージャンについては略して呼んだことは一度もない。「ラーじゃねえ! ラージャンって呼べ!」とラージャンが金色の毛を逆立てて襲いかかってくる気がして怖いので略さない。ラオシャンロンは、初代『モンハン』のころからずーっと"ラオ"だな。"ラオシャン"って略せば「ラオしゃん♪」ってな感じで舌足らずなかわいさを演出できると思うのだが、あのいかつい巨体に向かって「ラオしゃ〜ん♪^^」って呼ぶのもいささか抵抗があるので、ラオシャンロンは"ラオ"でよろしい。あ、あとシェンガオレンのところに"シェンガレオン"とありますが、これはただの言い間違いですな(笑)。
あーおもしろかった(自己満足)。皆さんはどんな略しかたでモンスターを呼んでいますか? 略しが極まって"モス"すらも"モ"って呼んでいる人々がいるのではないか……と思っている今日このごろです。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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