大塚角満の ゲームを“読む!”
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なぜ俺は、あんなに無残な敗北を喫したのだろうか?
昨日書いたコラムを読み直しながら、しみじみとそう思った。もちろん、持っていきたかったアイテムをことごとく忘れてきたことに気づいて動転したことがもっとも大きな敗北の原因であろうが(言い訳)、そもそも俺は心構えからして、なっちゃいないのではなかろうか。そう、ビビりすぎなのだよラージャンに。戦うまえから「ラージャン怖いよ……ラージャン怖いよ!!」と、足をワニワニと震わせながら内股歩きで戦場に赴くって感じなので、そんな状態では腕は縮こまるわ足は出ないわで攻撃も防御もあったものではない。ラージャンとは『2(ドス)』の時代からの付き合いだが、いまだに怖くてまともに顔が見られない。戦っている最中も半分以上目を瞑って剣やら槍やらを振り回しているので、じつはラージャンがどんな形をしたモンスターなのかよくわからない(大げさ)。なので、相手になるわけがないのだ。
なんで俺はこんなにラージャンが苦手になってしまったのだろうか? せっかくの機会なので仕事もせずにじっくりと考えてみたのだが、原因の根幹はやはり、ファーストコンタクト時の衝撃がいまだ心に深い傷を残しているせいだと結論づけた。
俺がラージャンに初めて出会ったのは、じつは『2(ドス)』が発売されるまえ。ゲーム雑誌の記者として出来立てホヤホヤの『2(ドス)』をプレイさせてもらう機会に恵まれ、編集者数人とウキウキしながらいろんなクエストを試させてもらっているとき、確かスレイヴ間々田が「このラージャンっての行ってみましょうか」と言って何も知らぬままに屈強な悪魔が待つ火山へと連れて行かれたのだった。そのとき、俺が持っていたラージャンについての知識は「あ、なんかファミ通で見た気がする」という程度で、これはもうゼロに等しい。どんな攻撃をしてくるのか、どんな動きをみせるのか、っていうことがまるでわからぬまま、俺は初めて、ラージャンと対峙した。
モニター上でこげ茶色のラージャンを初めて見たときの感想は、「ん、わりとチョロいかも?」というものだった。リオレウスやディアブロスといった迫力系(?)と比べると、身体は小さいし、翼が生えているわけでもないので、どちらかというと見た目のインパクトはおとなしめ。これだったらなんとかなるだろうと俺は思い、持っていたランスを構えてジリジリとにじり寄って行った。すると……。
ぎゃおおおおお!!!
いきなり立ち上がったかと思ったらラージャンは力の限り絶叫し、全身の毛を黄金色に変貌させたではないか!! ちっともおとなしめじゃねえ!! なんかこええよコイツ!! ででで、でも、見た目は凶悪だけどスピードや攻撃力はたいしたことないかもしれない……。そう思って、一気に縮こまってしまった心を懸命に復元して、俺はラージャンに近づこうとした。しかしこちらから近づかなくとも金色の悪魔は驚異的なスピードのステップをくり出して、あっという間に我が分身との距離をゼロにしてしまったのである!! しかも俺が「!!!?」と頭の上にビックリマークを出している一瞬のうちにラージャンはその場で旋回し、なんとその一撃で我が分身を地獄に突き落としたしまった……。邂逅から昇天までの時間、わずか十数秒。この強烈すぎるファーストコンタクトが、いまでも俺の脳裏にざっくりと刻まれているのであった。
ね。こんな体験をしていれば、俺がどれほどラージャンにビビろうがナットクってものでしょう? おかげで俺は『2(ドス)』でもラージャン討伐に出かけたら徹底的に距離をとって仲間の後ろに隠れてばかりいたし、『2nd』においても、何度もここに書いてきたように苦戦しまくっている。ほとんどのモンスターと対等以上に戦える自信はあるが(カコイイ)、このラージャンだけはどうにもならないのだ。
俺のハンターとしての成長は、じつはプレイ時間と比例していない。それまで右肩上がりで進んでいたのに、ラージャンという強大な壁に阻まれて成長曲線に甚大なゆがみが生じてしまっているのである。越えなければ、この壁を。仲間に協力を仰げない村クエに、2頭のラージャンが出てきてくれたことはある意味好都合だったかもしれない。俺のハンター人生において最初にもらった成長の証は"リオレイア討伐"だったのだが、このラージャンが2枚目の成長の証なのかもしれない。よし、挑んでみよう、もう一度。断固たる決意を胸に抱いて。よーし……!
明日いこ^^;
昨日、カッコつけて"ようやく、(ラージャン2頭に挑む)その決心がついた。いつまでも逃げているわけにはいかないのだ"なんて書いて、さもすぐに"最後の招待状"クエストに出撃したように見せかけているが、じつはまだやってません!! ていうか、やらねえ!! だって……いまだに古龍の血が手に入らないんだもん!! しかもよくよく見たら鋼龍の翼膜もぜんぜん足りてなくて、対ラージャン用兵器として見込んでいた氷属性の大剣などいつになったらできるのか、皆目検討がつかなくなってまいりました。なので、やらない。やりたくない! ラージャンこええんだよ!! ……そう、このコラムは、ときに過去のことや想像上のことを書き連ねることもありますが、いまここで書いているラージャンやら氷の大剣については思いっきり現在進行形の話なのであります。
……と、のっけからヘタレ根性丸出しでお届けしておりますが、何も氷の大剣ができるまで待たなくても、自分の好きな武器で挑めばよさそうなものである。だいたい最近のコラムを読むと、いち時期うるさいくらい主張していたガンランスという武器がまったく出てきてないではないか!! どうなってんだ!! と、全国のガンランサーの声を代弁して筆者に怒りをぶつけてみました。すると素直でイノセントな角満氏は涙ながらに頷いて、「そ、そうでした。俺はガンランサーなのでした……。わ、忘れてたかも……。猛省したいと思います><」と平身低頭。というわけで急遽、ガンランスでラージャン2頭討伐クエストに挑むこととなった。え? マ、マジで……? と自分で書いておいてビビってりゃ世話ないが、じつはこれからやってみるのです(マジです)。ちなみに俺がラージャン2頭に挑むに当たって準備したものは、以下のとおり。
◆持っていったもの
・調合書入門編
・調合書初級編
・調合書中級編
・回復薬(10個)
・回復薬グレート(10個)
・秘薬(2個)
・力の護符
・力の爪
・守りの爪
・こんがり肉(8個)
・素材玉(8個)
・ペイントボール(71個)
・閃光玉(5個)
・モドリ玉
・捕獲用麻酔玉(5個)
・トラップツール(2個)
・小タル爆弾(2個)
・大タル爆弾(3個)
・砥石(20個)
・薬草(10個)
・ドキドキノコ(10個)
・ゲネポスの麻痺牙(2個)
まさにガチンコのフル装備! ちなみに武器は、黒くて攻撃力の高い無属性のガンランス。「え? 氷属性のガンランスで行くんじゃないの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれないが、ありとあらゆるガンランスを所持している俺ではあるが、唯一作っていないのが氷属性のガンランスだったりする。なんとなく、あの毛の生えたルックスに二の足を踏み、作っていないのであった。なので、とりあえず攻撃力重視で黒いガンランスにした、ってわけ。ちなみに防具は、防御力395(潜在能力はまだまだあるが、金がなくて育てられない)で、スキルはガード性能+2、ガード強化、ダメージ回復速度+1が発動しているという恐怖のドチキン装備^^; でも相手はラージャンですよ。見栄なんて張ってる場合ではないんですよ! この装備ならばラージャンの凶悪な攻撃もすべてガキーンと防御できるはずなのだ。これなら牙獣の王も怖くねえ!! さあ行くでぇ〜。俺は全身に気合をみなぎらせ、ラージャンの待つ闘技場へと足を踏み入れた。
闘技場に入ると……いましたいましたラージャンさん……って、いきなり怒ってらっしゃる!! 誰だ怒らせたのは!!! ででで、でもここはひとつ冷静に。怒ってる、っちゅーことは落とし穴にハマる(ラージャンは怒っていないと落とし穴に落ちてくれない)ってわけだから、まずは万全を期して閃光玉を……。よし、ピヨった! じゃあ急いで落とし穴を……(アイテムをぐるぐる旋回させて落とし穴を捜索中)……ていうか落とし穴忘れてるし!!!(上の所持アイテム参照) じゃ、じゃあ仕方ないからシビレ罠を……(シビレ罠捜索中)……って、シビレ罠も忘れたか!!!!(上の所持アイテム参照……ってシツコイな) 所持アイテムに空きがふたつしか残らないほど大量のアイテムを持ち込んだっつーのに、肝心の落とし穴とシビレ罠を忘れるなんて……;; もうこうなったら、トラップツールとゲネポスの麻痺牙を調合してシビレ罠を作る>< えーーーっと……どこにこのふたつのアイテムが……アイテム持ち込みすぎて見つからねえし!!! もう最悪だこれ……。こんなにしっちゃかめっちゃかにドタバタしている隙をあのラージャンが見逃すわけもなく、怒り状態のまま思いっきり突進! 見事にこれが我が分身にジャストミートすると、信じられないことにマックスだった体力が残り3分の1にまで大激減。「!!!!!?」と肝をつぶして逃げ惑うも怒れる金獅子の攻撃はいっこうに止まず、バタバタと逃走する我が分身めがけて金色の閃光をピギャーと発射。開始からわずか5分足らずで、我が分身は昇天した。
あ、あのあの……。まったくお話にならないんですけど……。
と思いつつも、俺は表面上では努めて平静を装った。誰かに対してそうしたわけではなく、そうしないと心のバランスが崩れてしまいそうだったからだ。俺は誰にともなく、静かな編集部でつぶやいた。
「ウン、なるほどなるほど。そうだろうな。いけるいける」
アイテムを忘れてラージャンに対峙しておいてイケルイケルもあったもんじゃないが、まあこのクエストがどんなものだかはよくわかった。
アレ? でも俺が見たラージャン、1頭だけだったような……。もしかしてもう1頭は、俺のガンランスを恐れて逃げてしまったのかな……。
いくつか疑問点は残ったが、アイテムを忘れずに出撃すれば問題はなかろう。ガンランスに不可能はないのだ。余裕余裕。
「さーて、仕事しよ」
ラージャンに屠り去られてキャンプに佇むオノレの分身を見ようともせず、俺は静かにPSPの電源を切った。もういいや、こんなヤツ……。
最近の俺のトレンドは風の古龍・クシャルダオラを追い回すこと。もちろん、村のな^^ でも村ダオラだといってバカにしてはならぬ。自慢じゃないが俺にかかれば、村だろうが団地だろうが、どこに棲んでいても古龍は立派な"強敵"なのだ。この場合、強敵と書いても"トモ"とは読まぬ。クシャルダオラは『2(ドス)』で登場以来、つねに俺の前に立ちはだかる強力なライバルなのだ。
ではなぜいまになってクシャルダオラにケンカを売って歩いているのかというと、単純に彼が持つ素材が欲しいからだ。もう、ノドから手が出るくらい欲しい。手どころか、ズリズリと肘、肩、鎖骨、首、顔まで出てきて最終的にノドから出てきた手がなかったことになるくらい欲しい(意味不明)。欲しいのは翼膜、甲殻、古龍の血といったところで、数はもう、もらえるならもらえるだけ、いくらでも欲しいのである。
何気にここに挙げた3つの素材の中で、集めるのが面倒くさいのが"古龍の血"だったりする。古龍の血ってくらいだからクシャルダオラだけじゃなく、ナナ・テスカトリやオオナズチなんかからも採血(?)することが可能なわけだが、そう思って油断して、「テケトーにナナやナズチを狩っているうちにじゃぶじゃぶと集まっているだろう」なんて思っているととんでもない目に遭う。ほかの素材はイヤってほど集まったのに、見るとなぜか古龍の血だけが2つしか貯まっていない、なんてことになったりする(まあいまの俺のことだがな)。鋼龍の甲殻はクシャルダオラからしか剥げず、炎王龍のたてがみはテオ・テスカトルからしか剥げないが、アイテムボックスを見ると20個も30個も入っている。でも古龍の血は何種類もの古龍の身体で循環してるっつーのに、いくら見てもアイテムボックスには2つしか入っていない。ななな、なんたる矛盾。おかげで俺はここ数日、「血ぃくれ!! 血!! ぶらっどプリーズ!!」とにわかドラキュラ化して、ほかの素材も欲しいってことでクシャルダオラを追い掛け回しているというわけだ。
しかし古龍の血は『2(ドス)』のころから存在した素材なわけだが、こんなに集めるのに苦労した覚えがない。ていうか、ウザいほどたくさん持ってたはず! アイテムボックスを開けたとたんに血の臭いで「アハッ……」と天を仰いでしまったくらい、じゃぶじゃぶとたくさん入っていたと記憶している。『2nd』になるにあたり素材の重要度や剥ぎ取れる確率が見直されたが、そういう意味ではこの古龍の血も、かなり地位が向上した素材のひとつと言えよう。そんな素材が、最近何度もコラムで書いているが物欲センサー大フィーバー中の俺にホイホイと出るはずもなく、俺は今日も半べそかきながら風の古龍を追い回しているのであった。
さてなぜ俺は、クシャルダオラを目の敵にして追跡しているのでしょうか? じつはこれにはキチンとした理由があって、こやつの素材を使って氷属性の武器を作りたいのである。目指すは氷の大剣で、この業物を振りかざして、ひと月ほどまえに出ていたにも関わらず「これ、ヤリタクネ……」とビビりまくって避けて通ってきた"あるクエスト"に臨もうとしているのだ。ようやく、その決心がついた。いつまでも逃げているわけにはいかないのだ。
俺の手元に届いていた、村における卒業の証。
"最後の招待状"
圧倒的な攻撃力とスピードでハンターを屠り去る誇り高き牙獣の王・ラージャンを、2頭同時に相手にするというドMも逃げ出すこのクエスト。はたして俺は勝てるのか!? 現時点でまだ試してないのでわかりません!!
最近はもっぱら、同僚の女尻笠井といっしょに集会所上位クエストの消化に勤しんでいる。まあふたりともとっくの昔にひととおりのモンスターとの対戦を済ませているので、出撃する名目は欲しい素材の調達のためか、ひとりだと「メンドクセ」となるやっかいなクエストをこなさないといけなくなったときになる。
しかしこのふたりのパーティーだと、どんなモンスターが相手でもまず間違いなく苦戦するから気が抜けない。すんなり余裕で5分で決着つけました……なんてことにはなかなかならないのです。俺も週刊ファミ通の人間なのでその気になれば、天才・スレイヴ間々田とかゲームの職人・佐治キクオ、そして優しき悪鬼・ブンブン丸など、はっきり言ってオマエらどうかしてるだろ的にゲームがうまい同僚がいくらでもいる。そういう人間に協力を仰げば、上位の黒ディアブロスや黒グラビモスといった明らかに常軌を逸したモンスターが相手でも、「ルンルルルン♪」と鼻歌交じりでピクニックに行く感じでクエストに赴くことができる(言いすぎかナ)。なので楽をしたけりゃ彼らに協力を仰ぐのがいちばん手っ取り早いのだが、でもこういった達人とゲームをするときって、なんかキンチョーしませんか? 俺はするんですよ緊張。しかも彼らは、会社においては一応俺は"上司"ということになっているのだが、「なに死んでンすか大塚さん!(怒)」、「大塚さん、閃光当たってないっすよ!!(怒)」、「外しましたね角満砲(竜撃砲のこと)!!!(怒)」と平気で言える人間である。つまりゲームをしている限り、俺に主導権がまわってくることはいっさいない!!!(悲) というわけで俺は間々田、佐治、ブンブンという3枚のカードは「最後に使うジョーカー」と位置づけ、なかなか切ろうとしないのであった。
そこへ行くと、この女尻笠井という男はじつに御しやすい。俺の直属の部下ということもあるが、"死神に魅せられた男"という異名のとおり、ことごとく簡単にモンスターに屠り去られてくれるので、とてもとても気楽に、いっしょにクエストに行くことができるのである。俺もしょっちゅうモンスターに地獄送りにされているので俺・笠井コンビのクエスト遂行率は極めて低いのだが、「なんてとこでやられてんだよ!!(笑)」、「大塚さんこそつまんないところで1オチしてるじゃないっすか!!(笑)」ってことになっておもしろくて仕方がない。
先日も、なかなかおもしろいことがあった。
いつものように笠井とクエストに行くことになったのだが、相手に選んだのは一撃くらっただけでほぼ即死してしまうような凶悪な攻撃を備えたとあるモンスター。べつにモンスターの名前はどうでもいいので書かないが、なぜかふたりして「ガンナーで行こう」ということになった。
戦前の予想どおり、俺たちは苦戦した。
俺は『2(ドス)』の時代から何度もこのモンスターと戦っているので勝手は知っていたのだが、笠井はほとんど経験がないという。ところがどうしたことか、経験豊かなはずの俺がクエストスタート直後に極悪な攻撃をまともに浴びて即死。復帰後も「ま、ダイジョブだろ」と何の根拠もない余裕に包まれてプレイしていたもんだから操作が甘くなり、逃げ場のないところに追い詰められて再び恐怖の一撃を浴びて2オチ。俺のせいで、あっという間に追い詰められてしまった。そして俺は考えた。(あんまり弾も撃ってないからどっちでもいいんだけど、秘薬を飲んじまったし、もったいないからリタイアしようかな)と。本当に一瞬の思考であった。時間にして0.5秒ほど。人間の反射がついていけないってくらいの、刹那の逡巡であった。俺は笠井に言った。
「弾もったいないんで、リタすんね。お先に」
すると笠井は近くの席で「りょーかいしました!! 俺も落ちます!」と元気に応答。しかしつぎの瞬間、
「あ”あ”あ”!!」
という、野獣の断末魔を思わせる絶叫をあげて泣きそうな顔で俺を仰ぎ見、つぎのように慟哭した。
「大塚さんがリタイアしたメッセージを眺めてたら空から攻撃が降ってきて、即死しちゃいましたよ!!! た、弾が無駄に!!」
俺はゲラゲラと笑いながら、「イヤな予感したんだよなぁ……」と言って泣いている笠井を見た。まあでも、そのままセーブしないでリセットすれば弾は無駄にはならないんだけどナ、と思ったが、声をかけるのも憚られたので黙っていることにした。
こんな感じでかなり究極のへっぽこコンビだが、今日も仲よくクエストに出撃してはモンスターに返り討ちに合っている。「これは相当燃費が悪いな……」とふたりして思っているフシはあるのだが、楽しければそれでいいのである。
今日はちょっと趣向を変えて、"解説"なんていうカッコつけたことをやってみたい。何を解説するのかというと、モンハンフェスタ地区大会・決勝ステージのティガレックス討伐における最速タイム、2分40秒を叩き出したチーム"619"のプレイである。「どうせ角満にできるのはススキノクエストの実況中継くらいだろう」、と思っていた人は残念でした。俺もたまには、こういうカッコいいことをしてみたいのだっ!!
というわけで、ぜひともファミ通.comモンハンフェスタ特設サイトにある"619"のプレイ動画とともに読んでみてくださいな。※解説のタイムは動画のプレーヤーのタイムに合わせてあります。クエスト遂行タイムと若干ながらズレていますが、ご了承くださいませ。
0:04 早くも見どころ! キャンプからエリア1に移動するとき、ふたりは当然のように画面右端の最短ルートを選択。そしてそのとき、キャラは高台から飛び降りることになるのだが、彼らはここで"前転"をしている。キャラクターは高台から飛び降りると両膝、両手を地面についてしまい、わずかな時間だが行動不能になる。これを避けるために、前転でワンクッション入れているようだ。芸が細けぇ〜……。
0:28 ホットドリンクを摂取。うまそう。ここで多くの人が「雪山に入るんだから当たり前だろう」と思っただろうが、じつは決勝ステージに進んだ精鋭の中には、ホットドリンクをゴキュゴキュと飲まなかったチームもけっこうあったのである。「ホットドリンクを飲む時間すら惜しい!」という判断のようだが、619のふたりは迷わずゴキュゴキュ。ふたりが選択した武器はスタミナ値が重要なハンマーということもあり、スタミナの絶対値が早く減少する"凍え"の状態を避けるために、迷わず飲んだのであろう。
0:44〜1:06 移動ルートは、エリア4→エリア5。これは、言ってみればセオリーどおりだ。ティガレックスが待つエリア6に行くには、これが最短ルートなのである。ただ選んだ武器によっては最初にエリア2にいるファンゴを倒し、ここから閃光玉を剥ぎ取ってからティガレックスに対峙する、という方法もある。ハンマーの場合は画面にあるとおり、最初から所持している"麻痺投げナイフ"の使用方法によって、その後のタイムが大きく変わってくる。この段階ですでにアイテムウインドに麻痺投げナイフがセットされていることからも、619のふたりがどれだけ投げる気満々かがわかるというものだ。
1:19 さあいましたティガレックス。
1:22〜1:25 画面の右側からヒュイーンと麻痺投げナイフが飛んで来たのが見えたかな? まずひとり(仮にA)が1本目の麻痺投げナイフをティガレックスの背後からぶつけ、ティガに接近していったもうひとり(仮にB)が2発目を命中させる。そしてBは流れるようにティガの頭方向へ移動。そのあいだに3発目の投げナイフを相棒のAが命中させ、ティガは見事に麻痺る!! 完全に計算どおり。詰め将棋が始まった瞬間だ!
1:26 すでにティガの頭方向へ向かっていたBはほとんどタイムロスがないままに頭への攻撃を開始。4秒後にはAも頭部に駆けつけて(?)ふたりでスタンプの嵐! ちなみにAはハンマーを構えたままでも高速移動が可能な前転で頭部までやって来たことを見逃してはならぬ。
1:34 そして見事、Bの一撃がティガの頭に直撃し、気絶。こうなると10秒ほど、モンスターの動きが止まるのだ。ハンマー系の武器だけが可能なこの技。モンハンフェスタのタイムアタックでハンマーを使っていた人は全員、この気絶を狙っていたわけだ。詰め将棋の"2手目"を決めた瞬間。
1:52 ティガのバインドボイスが影響しない位置に陣取って、残りの麻痺投げナイフを投げまくる。1発でも外してしまうと、ティガは麻痺してくれない。ここですべてのナイフを当てられるか、当てられないかで明暗がわかれるのだ。決勝ステージで敗れたチームの人(やはり武器はハンマー、ハンマーだった)がしみじみと、「1発、たった1発の麻痺投げナイフを外したがために、そのあとの戦略がすべて崩れました」と語っていたが、ハンマー・ハンマーのチームにとって、"麻痺投げナイフをすべて当てる"ことは好タイムを出す絶対条件、生命線なのだ。
1:56 そして619のふたりは見事、すべての麻痺投げナイフをティガにぶち当て、麻痺させることに成功する。詰め将棋の"3手目"だ。動きが封じられたティガ。狙うはもちろん、頭だ。
2:09 初めて、ティガから攻撃らしい攻撃を食らう。
2:23 ティガの後ろに陣取り、ハンマー特有の"溜め"状態に。そしてティガが振り向く動作と、ハンマーの溜め大攻撃(大きく振りかぶってのスタンプ)の動きをシンクロさせて……ドカン!! ものの見事に、ティガの頭に強烈な一撃を加える。モンスターの動きを読みきってのこの攻撃。さすが!
2:25〜2:45 たびかさなる頭部への攻撃で気絶までは行かないまでも、何度もティガが怯んでいるのがわかるだろう。こういった着実な積み重ねがティガの攻撃機会を減らし、619のふたりに回復薬を飲むという"大きなタイムロス"をさせずにいるのだ。これはデカい。何度も何度も頭ばかり殴られるので、明らかにティガの顔色が悪くなっている。ような気がする。
2:50 ここでキター! 2回目の気絶! 詰め将棋の"4手目"が決まった瞬間だ。麻痺→気絶、を2回決められれば、もう詰んだも同然。しかしこれをあの決勝ステージの上で、一発勝負でやってのけたことこそがスゴイのである。
2:59 そして、詰み……。なんちゅう早さだ……。ね、こう見ると完全な詰め将棋でしょう。藤岡要ディレクターが「ハンマー・ハンマーのチームが目指していたのが、まさにこのプレイ」と脱帽していたが、本当にそのとおりだねぇ……。
というわけでエラそうに解説させていただきましたが、同じことが俺にできるかというと……もちろんできねえ!! 尊敬します、ホントに……。
モンハンフェスタ地区大会のステージイベントのひとつに、開発者への質問コーナーがあった。来場者から募った『モンハン』シリーズに関する質問を、辻本プロデューサー、藤岡ディレクター、一瀬ディレクター、小嶋プランナーにぶつけるという企画で、これがなかなかおもしろかった。"物欲センサーをどうして導入したのか?"とか"いちばん強い武器は?"なんていうハンターなら誰もが気になる質問を浴びせられて、モンハン4人衆が苦笑する姿がなんとも微笑ましかった。
で、この質問の中に"『モンハン』の世界が本当にあったらハンターになりたいですか?"というものがあった。札幌大会で挙がった質問だったのだが、これに対して4人衆は、辻本プロデューサーと藤岡ディレクターが"なりたい"。一瀬ディレクターと小嶋プランナーが"なりたくない"と回答。意見は真っ二つに分かる形となったが、じつに興味深い質問であった。
そして俺も、会場の片隅で考えた。自分はハンターになりたいか、なりたくないのか、を。俺はこう見えて、なかなかのスポーツマンである。どっちかと言うと"戦士向き"ではなかろうか。持久力や瞬発力は本気でスポーツをやっていた時代と比べると屈辱的なまでに落ちてしまったが、まだまだパワーはあるぞ。そんな俺が導き出した答えはもちろん、
「なりたくない」
です。
なぜかと言うと、この心優しい自分が草食獣やアイルー、メラルーに攻撃している姿を想像できないから^^; これまでさんざんアプトノスやケルビを狩猟し、アイルー、メラルーを蹴飛ばしてきた俺が言うのもナンですがネ。でも実際にアプトノス、アイルー、メラルーが目の前に現れたら、尻尾で殴られようが爆弾を持っていようが、さらに持ち物を片っ端からかっぱらわれようが、「お〜〜〜^^ かわいいネコちゃんですねえ^^ おーヨシヨシ^^^^」と相好を崩して(文字通り)猫かわいがりするに違いない。……って俺はムツゴロウさんか!
ではハンターにならずして『モンスターハンター』の世界でどうやって日銭を稼いでいくのか。じつはこの答えもしっかりと用意してある。
俺はこの世界で『ハンター通信』という雑誌を発行して生きていく! 最新のモンスター情報から武具のトレンド、"今週の美人ハンター"なんていう男性ハンター必読の企画も盛り込もう。そして読者プレゼントでは毎週"火竜の逆鱗"や"モノブロスハート"なんていう目玉賞品を大盤振る舞い。うーん、これは売れるぞ……。
後半、ワタクシ目の妄想に付き合わせてしまって恐縮ですが、読者の皆さんはハンターになりたいですか? ならないとすると、どんな仕事をして『モンハン』の世界で生活していこうと思いますか? ちょっと聞いてみたい、今日このごろです。
モンハンフェスタ札幌大会リポートで予告したとおり、札幌大会のイベント終了間際に辻本良三プロデューサー、藤岡要ディレクター、一瀬泰範ディレクター、小嶋慎太郎プランナーの4人と話をしました。人気者の4人はファンに囲まれてサインをしたり、記念撮影したりと忙しかったのですが、その合い間を縫って立ち話。会議室でのインタビューではなく、熱気がこもったままの会場で聞いた、モンハン4人衆の本音です。本当に立ち話なので読みづらいかもしれませんが、ところどころに状況説明も加えて書かせてもらいますね。
※ひととおりのステージイベントが終了し、4人が舞台裏から出てくると、それを待っていたファンが色紙やPSPを持って殺到。その様子を、ちょっと離れて眺める。改めて、開発陣とユーザーの距離が近いイベントだったんだなぁ……と感慨にふける。そのうち、藤岡ディレクターと小嶋プランナーの手が空いたようだったので、ゆっくりと近づいていった。俺に気づいて、ふたりはにっこりと笑う。
藤岡・小嶋 お疲れ様でした〜。
大塚 お疲れ様でした! 小嶋さん最後、キテたでしょ。感極まって。涙声でしたよ。
小嶋 いやあヤバかったですよ。地区大会最後でしたし。でもまだ抽選会があるから(最後の舞台挨拶のあとにプレゼント抽選会が行われた)、ここではアカン! って思って耐えましたよね(苦笑)。
大塚 俺もあの小嶋さん見てたらウルって来ちゃって困りましたよ……。でもどうすか、モンハンフェスタをやってみて。すごくよかったんじゃないですか?
藤岡 うん、ホントによかったですよ〜。やっぱり地方の人たちにどのくらい受け入れられているのかって、僕らは直接わからないじゃないですか。首都圏だと東京ゲームショウがあるからわかりますけど、札幌でどうか、福岡でどうかってわからないから。でもフェスタをやってみて、彼らがどれくらい真剣に遊んでくれているのか、ってことが見えました。どこの土地でも、みんな目を輝かせて来てくれたじゃないですか。これが、すごくよくて。その土地土地でユーザーの特色というか、ゲームの捉えかたがあるんだな、って思いましたけど、でも間違いなくみんな、楽しそうに遊んでくれているのがうれしかったですね。
大塚 入場者数はどうですか? 予想以上、って感じ?
小嶋 予想よりぜんぜん上でしたねえ。予想よりは多かったですけれどもでも来てくれる、というか集まってくれるという確信はあったんです。ゲームの特性上、っていう意味で。そういう場を用意してあげれば来てくれる、って思ってはいました。あと、モンハンファンがニヤリとする要素をイベントに盛り込みましたしね。
藤岡 最初に大会の募集をかけるとき、"ふたりひと組で応募する"っていうのが壁になると思ったんです。ひとりだと気楽にできるけど、ふたり揃わないと応募できないから。なかなか北海道、福岡は応募数が増えなくて、会場の加減とか「どうかな?」って話していたんですよね。
小嶋 当日枠とかどれだけ取ればいいのかな、って。やっぱり前日にたくさん並んでもらうのも申しわけないし。
大塚 ああ〜。そうですよね。
小嶋 でも事前の応募数、東京、大阪はいいんですけど、福岡や北海道はなかなか見えてこなくて。これは応募以外の当日枠で対応するしかないかな、って話し合って。
藤岡 どっちにブレるかわからないじゃないですか、やっぱり。
小嶋 大会のレギュレーションも、いちばん最初は4人チャレンジにしようか、って話をしていたんです。4人パーティーで遊べるゲームなので。大会を行うまえに"大会するとしたら何人で参加するのがいい?"っていうアンケートを取ったら"4人"っていう答えが圧倒的に多かったですし。
大塚 へぇ〜。
小嶋 でも"ふだんは何人で遊んでいますか?"って聞くと結果が違うんです。4人集まるのは難しい、って。じゃあ『ポータブル』で気軽に遊べるとなったら何人? って話をし始めて、「とりあえずひとりを説得できれば参加できるからふたりじゃない?」って案が出たり、「いや4人だろう」、「あいだ取って3人じゃね?」、「いやそれ意味わかんないから」なんて言い合ったり(笑)。
藤岡 当日枠を用意することになったのも、ちょっとでも参加しやすいようにしたいね、ということが出発点でしたからね。
※ここでファンに藤岡ディレクター、小嶋プランナーが話しかけられる。「もうちょっとで予選通過だったんですよー!」とカップルと思しきおふたり。気さくに会話に応じる藤岡、小嶋の両氏。カップルさんは「すっごく年下の少年と友だちになりました!」ととてもうれしそう。じつに微笑ましい。
大塚 いまのカップルじゃないですけど、生の反応が見られるのがいいっすね。
小嶋 そうですねー。なんか『モンスターハンター』っていうゲーム、空気が厳しくないじゃないですか。間が抜けているというか、隙がある、のかな。四角四面じゃなくて、自分自身の判断でストイックにも、ヌルくも遊べる。だから、いろんな人が来てくれるのかな、と。おもしろいですよね。
大塚 そうそうそう。付け入る隙があるのがいいんですよ、『モンハン』って。でもまだ、決勝大会が残ってるんですよね。
藤岡 そうですね。これはもう、ショーになればいいな、って。ツワモノが集まってどうなるんだろう、っていうのが見たいです。
大塚 ですね! この選ばれた人たちがどんなパフォーマンスするのか、すげえ楽しみですもん。
小嶋 うんうん。早めに練習クエを配信してあげたいですね。でも予選にしても、練習クエを配信してあげてよかったですよね。だいぶ葛藤もありましたけど。
藤岡 やっぱり作戦を練ってこそだからね。
小嶋 見たいのって、うまいプレイ、共感できるプレイですもんね。サプライズじゃなく。
大塚 そっすねー。
小嶋 あと僕的には、「狩ってますかー!」を5都市で言い切れたので大満足です(笑)。(小嶋プランナーはイベントの最初に行われるステージ上からのあいさつでいきなり「狩ってますかー!!」と切り出していたのだ。それも、5都市すべてで)
大塚 ああ、言い切りましたね(笑)。
小嶋 途中で挫けそうになりながらも、もうここまで来たらやらないとダメだろうと思って。正直言うと、ふつうにあいさつするだけだったら緊張しないんですけど、アレをやったあとって必ずプルプル震えてるんですよ。「ああ〜……。キンチョーしたぁ!」って(笑)。
大塚 え、そうだったんですか?
小嶋 あれを言えば緊張がほぐれるだろうと思って言い始めたんですけど、でも言ったところでそのあとって盛り上がりもしなかったじゃないですか?(と言って筆者を見つめる小嶋さん)
大塚 え? ああ、うーんゴニョゴニョ。あはは(苦笑)。
※筆者が言葉に詰まってると、ステージにMCの宇佐美女史が最後のあいさつのために登場。そしていきなり、「皆さん、狩ってますか〜!!」とアナウンス(笑)。あまりのタイミングのよさに、小嶋、大塚のふたりは笑い転げる。
小嶋 まさかここで(笑)。
大塚 すげえタイミングだ(笑)。
※ここで再び藤岡、小嶋の両氏がファンからサインを求められたので筆者は移動。辻本プロデューサーを発見して話しかけた。
大塚 辻本さん、お疲れ様でした。
辻本 お! お疲れ様でした!
大塚 最後、ステージで感極まりませんでした?
辻本 感極まりましたよ〜。でもまだ、決勝大会が残ってるんで。
大塚 うん、そうっすね。
辻本 さっきステージでも言ったんですけど、今回のイベントって、来てくれた人たちのおかげで成功した、って部分がメチャクチャあったんですよ。参加してもらったおかげでイベントが盛り上がったと思うので、そこはもう、単純にみなさんにお礼が言いたいですね。
大塚 モンハンフェスタ、やってよかったっすね。
辻本 よかったですねぇ……(シミジミ)。ホンマ、どうなるかな……って思っていたんですけどね(苦笑)。でも、いいプレイが見られたのはもちろん、いい笑顔がたくさん見られたのがすごくうれしくて。
大塚 うんうん……。
辻本 すごく熱心にステージ聞いてくれたりとか、設定画とか比較表とか、めっちゃ真剣に見てくれたり。そういうコたちを見られただけでも、ホンマにやってよかったな、って思います。
大塚 彼らって、ゲームの表面が好きなだけじゃないんですよ。ホントに根っから、『モンスターハンター』っていうゲームの世界観が好きなんですよね。
辻本 そうなんですよ。なかなか伝えきれなかった部分もあったから、こういう場では世界観ってところまで行けないかもしれないけど、雰囲気だけでも味わってもらいたいな、って思っていたんです。100万っていう数字には行きましたけど、まだまだみんなに喜んでもらえることを考えて行きたいな、って。……なんかね、このモンハンフェスタをやって、ユーザーさんとの距離が近くなった気がするんですよ。すごくそう思う。
大塚 うん、わかる。なんかね、イベントそのものが近かったですもん。我々ユーザーと制作陣の距離が。
辻本 それがひとつのコンセプトでもあったんです。数字でデータが出てきても生の声ってわからないし、ホントに楽しそうにしているコたちを見る機会ってないんですよね。でもやってみて、「『モンスターハンター』そのものが好き!」って思ってくれている人が多いってことがわかってよかったですよ。
大塚 そうですねー。
辻本 でもね、最初は「通信プレイやったことない人はぜひこの場で!」って感じだったんですけど、意外なほど通信プレイやっている人が多くて驚いた(笑)。これ、本音です(笑)。
大塚 あはは。そりゃあやってる人、多いっすよ〜。
辻本 携帯ゲーム機のひとつの可能性っていうのを考えていたんです。携帯機って、地味になりがちじゃないですか。そこをどう盛り上げていけるかな、って。東京ゲームショウでブースを装飾することになったのも、この考えが発端。下を向いてゲームだけしているんじゃ楽しさは伝わらないから、雰囲気が楽しい中で遊んだらゲームはさらに楽しい、っていうのを表現したかったんですよね。
大塚 でも全会場を見せてもらって、すごく理想的なゲームのイベントだった気がしましたよ。
辻本 よかったです。スタッフとか、めっちゃたいへんだと思いますけど。
大塚 残すは、全国決勝大会ですね。
辻本 ですね。これはもう、うまい人が集まるのがわかっているところなので(笑)。
大塚 これぞまさに、ツワモノの祭典ですよねー。
辻本 そうですそうです。これはもう単純に、日本のトップレベルのプレイがそこにある! っていう場所ですね。なんたって、100万人の中から選ばれた人たちのプレイですから。
大塚 もう、寒気しちゃうわ。いまから(笑)。
辻本 あはは。そうでしょう(笑)。
※ここで藤岡、小嶋の両氏が再び合流。筆者も含めて、4人で話し始める。一瀬ディレクターは、一生懸命ファンにサインをしている。
藤岡 場所によって違うんですけど、僕らが会場にいるとユーザーのほうから来てくれるじゃないですか。そうすると彼らは、「ゲーム作っている人と接する機会がないのでうれしい」って言ってくれるんですね。サインを求めてくる人もいれば、そうやって話だけをしていく人もいて、僕らからすると直でいろんな話が聞けるので、それがすごくよかったんですよ。
大塚 辻本さんが言ってましたけど、ユーザーとの距離が近くなりましたね、このイベントを通じて。
藤岡 ですねー。……いいですよね。ゲームって、いいですね。
大塚 うんうん。こうでなくっちゃ。
藤岡 わからないなりに「こんなのどう?」って感じでやってみましたけど、みんなが楽しんで帰ってくれたみたいなのでよかったです。『モンハン』シリーズも増えたので、1回ファンの人たちを集めてみるのもいいかな、ってやってみたイベントですけど、いまだからできることかもしれないですよね。
辻本 このタイミングでしかできなかったかもしれないね。
藤岡 うん、そうだね。もしも今年やらなくて、じゃあ来年に、ってことには絶対にならなかったと思うし。
小嶋 タイミングはホントに、いましかなかったですよね。
※ここで、ファンへのサインを終えた一瀬ディレクターが飄々と登場。冒頭、ここに書いても仕方ない、筆者と一瀬ディレクターの個人的なおマヌケ話となる。ほかの3人は「また始まった」という顔をしつつも、爆笑しながら聞いておりました(笑)。
大塚 (とりあえずおバカな話を打ち切って)……いや一瀬さん、じゃなくて(笑)。マジメな話してたんすから、いま。
一瀬 あ、そなんすか(笑)。
大塚 5会場まわってみて、どうでした?
一瀬 うん、よかったですよねぇ。
大塚 なんすかそのフニャフニャしたコメントは(苦笑)。
一瀬 (笑)。いやぁさっきも中学生くらいのコがすごく喜んで帰ってくれて。タイムアタックに出て、ダメだったらしいんですけど、「すごく楽しかった」って言うんです。で、「何がそんなに楽しかった?」って聞いたら、「リアル集会所で知らない人とも遊べたのがすごく楽しかった!」って……。モンハンフェスタってタイムアタック大会よりも、お祭り要素のほうを強く押し出しているイベントだったので、それを聞いてすごくよかったな、って思いましたね。
小嶋 本当に集まる場所、でしたからね、モンハンフェスタって。可能だったら全国各地に集会所みたいなものを作りたいな、とは思うんですけど、なかなかすぐには無理じゃないですか。
大塚 あ、そうか。このモンハンフェスタそのものが、リアル集会所みたいなものだったんだ!
辻本・藤岡・一瀬・小嶋 そうですそうです。
小嶋 みんな会場の外とかで、パーティープレイして遊んでいましたもんね。
藤岡 みんなで遊ぶことを楽しんでほしい、と僕らも思ってましたから。
一瀬 あとうれしかったのが、モンハンフェスタのどの会場でも、会場が閉まるまでの長い時間、ユーザーが残って楽しんでいてくれたことです。
藤岡 最後のあいさつのときでも、しっかり人がおったもんね。
一瀬 そうそう。やってる側としたら、こんなにうれしいことはないですよね。
小嶋 小学校くらいの子供たちに「何がいちばんおもしろかった?」って聞いたら「ステージ」って(にっこり)。
藤岡 そっかー。おもしろかったかぁ。ありがたいね。
小嶋 (辻本)良三さんがおもしろかったって(笑)。
辻本 え、おもしろかったって?(ニヤリ)
藤岡 ご満悦や(笑)。
一瀬 みんながみんなそう思ったかは知らないですけどね(笑)。
一同 (笑)
このあとも5人で大笑いしながら、モンスターハンターフェスタを振り返りました。それにしてもこの4人衆が揃うと、ホントに空気が漫才みたいになる(笑)。でもそんなところからも、ふだんからじつに仲良く、刺激しあいながらゲームを作っているんだろうなぁ……ってことが窺い知れました。その雰囲気が来場者に伝わったからこそ、来た人たちはみんな「楽しかった!」と言ってくれたに違いありません。何度も書きますが、このイベントのすべての会場に行くことができて、本当によかったなぁ。
さて、残すイベントはただひとつ。6月10日に秋葉原で行われる全国決勝大会のみです。最終予選枠も用意されているので、腕に覚えのある人はラストチャンスに賭けるしかない! そしてこのイベントは来場者も招待制となっているので、「来場したい!」と思っている人は公式サイトで詳細を確認しましょう!
使ってますか? アイルーキッチン。便利ですね、アイルーキッチン。とくにゲームも中盤に差し掛かり、集会所の上位クエストを受注できるようになると、出てくるモンスターは凶悪なヤツらばかりとなるので、体力や防御力、スタミナなんかを補ってくれるアイルーキッチンの存在感はより大きなものとなってくる。「あ! ネコメシ食べるの忘れた!!」なんてことになったら、下位のクエストだったら「ま、いっか」で済むが、上位だったら「迷わず出直し!!」ってことになるであろう。ようするに、アイルーキッチンはハンターにとって重要なライフラインなのだ。このネコどもなくして、安定したハンターライフを送ることなどできないのである。
さてこのアイルーキッチンでのネコメシだが、食べると体力増加、スタミナ増加などステータスを増減させる効果以外にも、ときたまステキなステキな"スキル"が付加されることがある。ネコらしく、じつに気まぐれに発動するのだが(ネコの気まぐれスキル、って名称だしね^^;)、どうしてどうして、これがクエスト遂行やアイテム収集に深く関わってくる場合があるのだ。雇っているアイルーによって発動するスキルは違うのだが、皆さんはどんなスキルが発動するようにアイルーを配置しているのだろうか? ちなみに俺の場合は、
・ネコの採取術
・ネコの運搬の超人
・ネコの運搬の鉄人
・ネコの解体術【大】
・ネコの火薬術
・ネコの秘境探索術
・ネコの特殊攻撃術
・ネコの道具倹約術
・招きネコの激運
・ネコの暴れ撃ち
・ネコの投擲術
このあたりが発動するようになっている。よく出るのが運搬系、特殊攻撃、解体術あたりだろうか。まあ運搬なんて滅多にしないからあまり運搬スキルばかり発動されても困るのだが、じつはこのスキルを持っているアイルーをいちばん最初に雇ったためすっかり情が移り、解雇できずにいる。無類のネコ好きだからネ、俺。それに気まぐれスキルはプレゼントみたいなものだから、どんなものが発動しようが俺は気にしないのだ。俺は心が広いのだ。やさしいのだ。
ナノダナノダとひとりで悦に入っていると、同僚の女尻笠井がPSPを掲げて声をかけてきた。
「大塚さん、上位グラビ手伝ってください」と笠井。何気にこの男は『2nd』に激ハマリ中で、ほぼひととおりのクエストをクリアーしていたりする。俺もちょうど上位グラビモスからゲットできるレア素材が欲しかったし、この横綱にひとりで対峙するのがストレスだったので「行こう行こう!」と即答。そして「近接武器だとウザいから、ガンナーで行こうぜ」と付け足した。
さあガンナーだガンナーだ。じつはちょっとまえにずーっと欲しかったライトボウガンが完成したばかりだったので、試し撃ちがしたくて仕方なかったのだ。新武器のテスト相手はイャンクックと相場が決まっているが、俺が作ったライトボウガンは悪夢のような代物なので、相手には上位グラビモスあたりがちょうどいいのである。ふふふ……。サア、そうと決まればネコメシだ。いつもどおりの食品をアイルーどもに持ってこさせ、雄大なフォームでこれをかっ込む。体力、スタミナともにマックスだ。「万全万全!!」と鼻息荒く出発しようと思ったところで、画面に恐ろしい文字が現れた。
スキル ネコの暴れ撃ちが発動した!
ネコの暴れ撃ち……。これからガンナーやるのに暴れ撃ちかよ!! ネコの暴れ撃ちとは攻撃力が多少上がるのと引き換えに、弾道のブレが目を覆いたくなるものになってしまうという諸刃のスキルなのである。こいつが発動しているときにガンナーをするのはちょっと……。俺は笠井に「わりぃ、暴れ撃ち発動した」と申告してガンナーになることを諦めた。
それでもなんとか上位グラビモスを討伐し、俺と笠井は街に帰ってきた。せっかくなので今度は、俺が行きたかったラオシャンロン討伐クエストに笠井を付き合わせることにする。ラオシャンロン、シェンガオレンという巨大モンスターとの戦闘はひとりだと寂しいうえに、慣れるとじつに退屈だったりする。これは俺だけが思っているのではなく、世の多くのハンターが同意してくれるのではなかろうか。笠井も俺と同じ気持ちだったらしく、「俺もラオ行きたかったっす!」と元気に賛同。すぐにさあ行こういま行こうとなって、俺たちはラオシャンロン討伐の準備を進めることにした。
さあ今回もネコメシ食うぞ。いつもと同じ雄々しいフォームで、いつもと同じ食料をガツガツと平らげる俺の分身。体力&スタミナはマックス! さあ行こうラオシャンロン討伐に!
ところが再び、画面に恐ろしい文字が現れた。
スキル ネコの秘境探索術が発動した!
ちょっと……。ラオに行こうってときに秘境探索術かよ!! なんという空気の読めなさ……。
……うーんしかし、秘境探索術か。コレハコレハ……。
俺は急に冷酷な目つきとなり、ラオに行きたくてウズウズしている笠井に低い声で言い放った。
「笠井、ラオ、ひとりで行っていいよ^^;」
じつは俺は、砂漠の秘境探索にずっと行きたかったのだ。
「えええ!? そりゃないッスよ!!」という笠井の頓狂な声が編集部に響き渡った。
空気の読めないネコちゃんたちは、ときにささやかな悲劇をハンターたちにもたらす。でも、これでいいのだ。
先日、モノブロスハートよこせよこせコラムを書いたが、2、3日まえに半ば強引な手法で何とか手に入れることに成功した。これでやっと、欲しかった装備を完成させることができるぞ……。俺は嬉々として武器屋に突入し、立派な立派な某装備を制作した。この装備、『2(ドス)』でずっと愛用していたんだよな。だからずっと欲しかったんだよな。あーよかった、あきらめなくて。入手困難なモノブロスハートを使った装備だけあって、俺はこのヨロイが何よりも尊く思えてならなかった。
とまあ、ここまでの話だったら「あーよかったね」で終わらせられるのだが、じつはこれには続きがある。以下、覚悟して(何をだ)読むように。
モノブロスハートを飛び道具を駆使して手に入れた翌日、俺は砂漠の上位クエスト"究極の蟹料理…"を受注。ダイミョウザザミを2匹倒すクエストだがべつに蟹素材が欲しかったわけではなく、砂漠で採集がしたかったのである。だったら素材ツアーのクエストでもいいじゃないかと思われるかもしれないが、雑魚モンスターが少ない"2匹クエ"(ボスクラスのモンスターが複数登場するクエストのこと。いま作った)は非常に採集には都合がいいし、ダイミョウザザミはそれなりに強いハンマーがあればじつに容易い相手なのでこのクエストを選んだってわけだ。
というわけでさっそく採集。首尾よく、欲しかった素材もひとつ手に入って、俺はホクホク顔でダイミョウザザミと対峙した。とっととこの蟹野郎を倒して、もう1回、同じクエストを受注するんだ。んでまた、採集で手に入るレア素材をゲットするんだ。俺は希望に胸を膨らませながらハンマーを振り回し、かなりのスピードでダイミョウザザミを屠り去った。
そして報酬画面。
前述したとおり、俺はダイミョウザザミの素材など1ミリも欲しくなかったのでとっとと連打して画面をすっ飛ばそうと思ったのだが、その刹那、ダイミョウザザミのそれとはあきらかに違う形をした素材アイコンが目に飛び込んできた。
「アレ……。なんだろうこの素材……」
イヤな予感を覚えつつカーソルをアイコンに合わせると、そこには……。
モノブロスハート
の文字が……。
ちょ……。なんでいらなくなったとたんに出るんだおまえはっ!! アンタがまったく出てくれないから……。俺は本当に無理してやりくりして、地面に頭をこすりつけんばかりの勢いで懇願して、ようやくようやく手に入れたっていうのに、いらなくなったとたんにアッサリと出おってからに……。
俺はむなしさに包まれながらも思った。「これが物欲センサーの裏の顔なんだよな……」と。欲しい欲しいと願っていると出なくて、もうイラネ、と思った瞬間に小バカにしたようにその素材が顔を見せる……。
まあでも、気持ちを切り替えよう。何にしても、レアな素材が手に入ったことは間違いないのだ。俺は無理に「よかったよかった」と思うことにして、再び同じクエストを受注。砂漠地帯に足を踏み入れた。行う作業は、前回とまったく同じ。採集をしてから、ダイミョウザザミを屠り去るだけだ。
そして見事、ダイミョウザザミの討伐に成功。欲しい素材も採集で手に入れることができたので、先ほどのモノブロスハートショックなどすっかり忘れて、俺は再び嬉々として報酬画面までやってきた。するとそこには……。
モノブロスハート……。
イヤミなまでのセンサー大爆発に、俺は怒りを通り越して怖くなってしまった。このまま同じクエストをくり返していたら、アイテムボックスがモノブロスハートだらけになってしまうのではなかろうか……。
いま俺は心から思う。
物欲センサー、侮れぬ。と……。
武具探求の螺旋階段から降りることができず、しかも最近はその先に広がる想像を絶する大迷宮の蜃気楼まで見えてきてしまった。この大迷宮が現れた理由は、『2nd』がこれまでの『モンハン』シリーズと比べても頭抜けて武器、防具の数が多くなり、スキルも多岐に富んだことによる。つまりプレイヤーの遊びの幅が広がったことで、「あれも作りたい」、「いやこっちが先か……」という逡巡があちこちで起こるようになってしまったのだ。よって男は(俺だが)つねに素材、欲しい武具、そしてお金の三重板ばさみ(矛盾してる気もする)に合い、
(俺はいったい、何を作ろうとしているのだろう……)
(ボクはいったい、何がしたいのだろう……)
と苦悩することになるのであった。まあこういう苦悩がまた、楽しいんだけどなー。
さてそんな苦悩する男が、いま何をもっとも欲しているのかというと、これがなんと"火竜の逆鱗"なのであった。なんだか自分の本の宣伝臭くていささか気恥ずかしいのだが(と言いつつリンクを貼る俺)、本当なんだから仕方がない。マジで俺はここ数日、火竜の逆鱗を求めてリオレウスを追い掛け回しているのである。ちなみに、欲しい個数は最低でも……5個……。え? 見えない? なんか大きく書くと「この強欲者め」と思われそうで恥ずかちいな……。でも書こう。……5個ですよ5個!! でもこれ、最低ライン。ホントはもっと欲しい!! くれ!! レウス!!
と、いくらキレても始まらないのだが、本当に最低でも5個は欲しい。それどころか、じつはリオレイアの逆鱗も5、6個は欲しいのである。しかしさすがは『モンスターハンター』におけるレア素材の代名詞。火竜の逆鱗も雌火竜の逆鱗もまっっっっっったく出てくれない。じつは俺が狩っているのは逆鱗がついていない温厚な紳士のようなリオレウスなのかもしれないが、顔を見るとおしなべて激昂されているようなので、3つも4つも逆鱗を持っている様子である。それでも、出ない。これぞまさに、"元祖・物欲センサー"だ。『逆鱗日和』という本を出したっちゅーのに、本人はまったく、逆鱗日和ではない。
でも、ふと考える。
改めてゲームの序盤のころを思い出すと、けっこうな割合で「火竜の逆鱗を手に入れた」というメッセージを見ていた気がするのだ。俺のむごいまでの欲求が見せた白昼夢……っていう線も捨て切れなかったので調べてみたのだが、なんといくつも、火竜の逆鱗を素材として使用する武具を持っているではないか。しかも俺らしいと言えばじつに俺らしいのだが、せっかく火竜の逆鱗を使って作ったそれらの武具を、いまではまったく使っていないのである。
「ああ……。こいつらを素材に戻して火竜の逆鱗を取り出すことができたらなぁ……」
物欲センサーが極まったハンターが絶対に思うことをため息とともに言葉にして吐き出しながら、俺は天を仰いだ。
とか言いつつ、俺はちょっと懐かしかった。3年まえに『モンスターハンター』に出会い、苦労して上位ランクに上り詰めたとき、まっさきに追い求めた素材がまさに"火竜の逆鱗"だったのだ。友だちと会うたびに「逆鱗いこ! げきりんげきりん!!」とみんなで大合唱してリオレウスを追い回していたあのころ。なんかそれを思い出したら、元気が出てきたな。
「さあ行くか! 逆鱗げきりん!」
やっぱり火竜の逆鱗は、ハンターへの最高のカンフル剤だ。
今日も行くぞ! 逆鱗を求めて!
※『本日も逆鱗日和』、なかなか好調のようで、うれしくて思わず火竜の逆鱗について書いてしまいました。本書、一部で品切れになっているようですが、懲りずに探してみてください^^;
どうにもシェンガオレンとの相性が悪く、ストレスが溜まる日々を過ごしております。なんかよくわかんないんだよねー、シェンガオレンとの戦いかたが。近接武器だったら基本的に足だけ斬ってりゃいいし、遠距離武器だったら貫通系の弾を顔だか殻目掛けて撃っていればいい。そいつはわかっているのだがイマイチこいつと戦うモチベーションが上がってこず、それが戦いにも反映されてか2回に1回はクエストに失敗して、泣きながら村に帰ってくる……というベテランハンターとは思えない醜態をさらしているのである。しかもシェンガオレンのクエストは勝つにしても負けるにしても、たいがい30分くらいはかかってしまう(ひとりでやった場合ね)。俺くらいやり込んで、それなりに強い武器を持っているにも関わらずひとつのクエストに30分もかかるのはラオシャンロンとシェンガオレン、そして古龍どもくらいのものだ。つまりものすごく時間も労力も費やす必要があるモンスター、ってことである。それなのに勝率が5割程度では割りに合わないこと甚だしい。うーん、どうしたものか……。
でも冒頭でさりげなく"相性が悪い"なんて書いて、まるで自分に非がないかのように細工をしているが、"相性が悪い"="自分が悪い"ということなんだよネ。でもね、やっぱりイラつくんですよシェンガオレン。俺はたいがい双剣でこやつに挑むのだが、ヤツが足を動かしただけで地震が起こり、せっかく鬼人化したのに速攻でそれを解かれてしまうでしょう。そうなると当然、男は(俺のことだが)「むぎゃっぎゃぎゃぎゃ〜〜〜っ!!!」とリアル鬼人化して怒り狂い、その瞬間に部下が「原稿チェックお願いします」なんて話しかけようものなら「うるせ!! キサマはガオレンの味方か!!!」なんていうわけのわからないパワハラ発言までしてしまう有様である。これではいけない。求心力がなくなってしまう。会社での自分の立場を守るためにも、こいつは急いで耐震装備を作り、ストレスなくシェンガオレンを倒せるようにならなければなるまい。
……あれ、でも……。
そもそもなんで俺は最近、シェンガオレンとばかり戦っていたんだっけ? なんか大切なことを忘れているような……。
……。
…………。
………………!!
はっ!!! そうだった!!!
俺は耐震装備を作ろうと思ってシェンガオレンと戦っていたんだった!!!
なんてバカバカしい……。これじゃけっきょく、先日書いた武具探求の螺旋階段にハマり込んでるだけじゃんよぉ……。
でもまあ、思い出してよかった。先々のことを考えたら、耐震装備はやっぱり持っておきたいもんな。俺はとりあえずクローゼットの中にあるあらゆる装備品を精査して、ちょっとでも耐震スキルがついている防具を持ってないか探すことにした。もしも多少でもそういう装備があれば、それを基本に足りないものだけを調達すればいい。そうしようそうしよう。えーっと、ア、アレ? なんかけっこうシェンガオレンの防具を持っているぞ……。ふむふむ……。まあとりあえず、マイセットを見てみるか。どれどれ……。ほうほう……。……あ、あれ……?
【セット 7】
武器:龍属性の双剣
頭 :オウビートテスタ
胴 :金剛【胴当て】
手 :ザザミSアーム
腰 :ランポスSフォールド
足 :イーオスSグリーヴ
【発動スキル】
耐震
ガード性能+1
うおおおお……。俺、耐震装備持ってるじゃん!!!!
なんてこった……。しっかりと耐震装備を作っていたにも関わらずすっかりそれを忘れて、いつもテケトーなヨロイでシェンガオレンに挑んでいたらしい……;; しかもそもそもシェンガオレンと戦っていたのは耐震装備に必要なコイツの素材が欲しかったからなのに、すでに持ってた……。あああ、ややこしい><(そうでもないか……)。何というか、ヘビが自分の尻尾を食ってる感覚ってこういうのかな……。
考えたくもないのだが俺はこの間、少なくとも10回以上はこのタカアシガニと戦っている。酔っ払いのようにユラユラと揺れながら……。そしてイライラとイラつきながら……。
ホントこのゲーム、どこに落とし穴があるかわからない。……って、全部自分のせいですね。そうですね……。
いきなりカミングアウトしますが、俺は片づけられない人です。会社の机は紙資料やら資料用雑誌でつねに埋もれているし、自宅の書斎(と、かっこつけて言わせてくれ)は書斎らしく、山のような本と雑誌とネコグッズ(エサとかじゃらす道具だけど)で飽和状態になっている。うーんでも、よく考えると俺は"片づけられない人"じゃなくて"捨てられない人"だな。まったくゲームと関係ないリリースもしばらくは机のうえに置いておくし、毎週6、7誌くらいは購入している週刊誌も、すっかり読み終わっているのに何週間も何ヵ月も机のまわりに置きっぱなしにしていたりする。想像してみてください。これはけっこう、恐ろしい量なんですよ。毎週週刊誌を6誌買っているとすると、1ヵ月が4週としても24冊。たった半年、古雑誌を整理していなかっただけで、俺のデスクのまわりにはえーっと……約150冊もの雑誌がうず高く積まれることになるのだ。これに、愛読している週刊ファミ通をプラスすると、なんと半年で180冊もの雑誌が俺のまわりに氾濫することになる。ってオイオイ、マジかよ……。そんなすげえ量だったんか……。いま冷静に数を数えるまで、そんな天文学的な数になるとは思ってもいなかったよ……。どうりで俺の机のまわり、狭いわけだ。改めてよく見ると、数ヵ月まえに俺の隣の席にやってきた激烈マジメ若手記者のほうに、紙資料と古雑誌が雪崩を起こしそうになってるし。でもまあ、ぜーんぶ仕事のための資料だからしかたないよなー。
さてこんな、片づけられない改め捨てられないワタクシですが、この性格は実生活だけではなく、見事にゲームの世界にも反映されております。そう、アイテムが捨てられないのだ。じつは先ほど、ポッケ農場に突入してハチミツ箱を漁ってハチミツ×2、ツチハチノコ×1、虫の死骸×3をゲットしたのだが(このハチミツ箱の引きの悪さにもいろいろと言いたいことはある)、俺は何も考えず"アイテムボックスに送る"を選択。しかし、ここで事件は起きた。
アイテムボックスがいっぱいです
つ、ついに出たこのメッセージ……。こんな生活を続けていればいつか出るんじゃないかと恐れていた、恐怖のダメ出しである。「どどど、どうしよう……」。俺は大いにうろたえながら、アイテムボックスを確認した。そして、オノレのあまりの無計画さに顎を外した。
アイテムボックスを開けてみて、まず間違いなくイラネと思われるアイテムを列挙すると以下のとおりとなる。
・虫の死骸×120個
・大タル×55個
・モドリ玉×7個
・釣りバッタ×66匹
・釣りミミズ×35匹
・釣りフィーバエ×22匹
・ボロピッケル×15本
・サボテンの花×36本
・マヒダケ×56本
・毒テングダケ×29本
・氷結晶×44個
・にが虫×70匹
・不死虫×61匹
・はじけイワシ×43匹
・ハリマグロ×51匹
・もえないゴミ×39個
……。
ナンナノコレ……。
クエストに出撃してアイテム収集をしていると、たとえば大タルとか虫の死骸とか、いわゆる"ハズレ"を引くことがたびたびある。これらは基本的に所持していてもあまり役に立たないので、アイテムボックスの貴重な場所を割り当てるくらいなら、片っ端から捨てるか売ってしまったほうがいい。そんなことは重々承知しているのに、「なんかメンドクセ」となって、俺はどれもこれも分け隔てなくアイテムボックスにぶち込んでいたのであった。そしてこのリストの中で微妙にボディーブローなのが"モドリ玉×7個"。モドリ玉は1個でアイテムボックスの枠をひとつ消費してしまうので、こういう無計画なことをしているとものすごく邪魔な存在となるのである。虫の死骸×120個やもえないゴミ×39個なんてのは、もはやなんの言い訳もできない怠慢の極地。こんなものまでアイテムボックスに後生大事にしまっていたのかと考えると、本気で(俺ってなんなの……?)と思ってしまう。
でもここまで書いてきて思ったのだが、じつは俺と同じように手に入れたアイテムを処分できず、アイテムボックスから溢れさせているハンターってけっこう多いのではなかろうか。だって俺の場合、この"アイテム溢れさせ事件"は『2nd』で初めて起こしたわけではなく、じつは初代『モンハン』のころから継続して発生させているんですもの。いわゆる"常習犯"ってやつだ。俺がこうなんだから、きっとほかの人もそうだ。そうに違いない。
でも何を言ったところで、俺のアイテムボックスが飽和状態になってしまった事実は変わらない。仕方ない……。いらんものは捨てるか……。俺はリストアップしたいらなそうなものを眺めてしばし思案した。うーん……。
「ま、でも、全部捨てる必要はないよな^^;」
結果、上記のリストにあるアイテムは、以下の数に落ち着いた。
・虫の死骸×60個
・大タル×10個
・モドリ玉×3個
・釣りバッタ×30匹
・釣りミミズ×10匹
・釣りフィーバエ×10匹
・ボロピッケル×4本
・サボテンの花×10本
・マヒダケ×10本
・毒テングダケ×10本
・氷結晶×20個
・にが虫×20匹
・不死虫×20匹
・はじけイワシ×20匹
・ハリマグロ×20匹
・もえないゴミ×10個
つくづく俺は、捨てられない男……。
午前9時30分。今日もいつもと同じ電車に乗り込む。車両も、毎回同じ。座る場所も、ほぼ同じ。会社に行くまでに1回乗り換えがあるのだが、この車両のこのドアが乗換駅の階段近くで開くので、じつに具合がいいのだ。そういう、とても都合のいい車両なのだが、時間が時間だけに乗客はポツポツとしかいない。なのでまず間違いなく、お目当ての席に座ることができる。今日も予定どおり、いちばんいい席に着席することができた。
「さてと……」
朝のため息といっしょに小さく声を漏らしながら、俺は愛用のトートバッグに手を突っ込んだ。おもむろに、PSP(プレイステーション・ポータブル)を取り出す。毎晩、寝る直前に充電器にぶっ刺されるので、いつも俺のPSPはお腹いっぱいの電池パンパン状態である。でも一応、HOMEボタンを押して残量を確認。キチンとフル充電のアイコンが輝いているのを見てニヤリと笑い、「ま、当然だけどな」とニヒルに口の端を吊り上げる。これで安心して、通勤プレイに勤しめるというものだ。
さっそく俺はポッケ村の自室を出て、オンライン集会所の門を叩いた。え? なんでひとりなのにオンライン集会所? と思う方がいるかと思うが、いつも俺は通勤電車の中ではオンライン集会所に入る。なぜかと言うと、これは(もしかすると見知らぬ人が同じ集会所に入ってきて、刹那的なパーティープレイが始まるかも)と期待しての行動なのである。いまや120万本に迫る勢いで売れ続けている『モンスターハンターポータブル 2nd』。これだけ普及すると、電車の中やファーストフード店、ファミレス、そして街角などで、PSP片手にモンスターを追い回している人を頻繁に見るようになる。とくに、通勤電車の中はすごい。男子学生はもちろん、ビシっとスーツを着たサラリーマン諸氏も、夢中になってクックを追い掛け回し、ラージャンに襲われたりしている。確証はないが、そうに決まっている。プレイしている人の画面はそうそう覗けるものではないが、PSPで『2nd』をプレイしていると△ボタンを押したときに「カチカチ」という音がよく出るので(少なくとも、俺のPSPはそう)、すぐにわかるのだ。まあ話はちょっと逸れたが、俺が乗る電車の中にはそういったハンターたちがたくさんいるので、オンライン集会所の1の部屋で待ち構えていればいつか刹那の出会いがあるんじゃないかと期待しているのだ。
しかしこの作戦。いまだに成就したことはない。なんでかなぁ〜? と考えたのだが、俺も集会所に入ったままホゲ〜っと立ちすくんでいるだけでは退屈なので、やはりクエストに出かけてしまう。そうするとその隙に集会所に人が入ってきて、「あ、間違えた。人がいる人がいる。逃げろ逃げろ」となっている可能性は大きい。つまり、タイミングが悪いだけなんだろうなぁ。うまくいかないもんだなぁ。
なので今後はもうちょっと積極的に、刹那プレイ成就の作戦を推し進めたい。具体的にどうするのかというと、PSPを持って『2nd』をプレイしていると思われる人に向かって、積極的、能動的に念を送り続けるのだ。
(集会所1にいるよ1にいるよ……!)
(ラオ手伝ってラオ手伝って……!!)
(ラージャン怖いよラージャン怖いよ……!!!)
埼玉から東京に向かう電車に乗ってて、上記のような怨念に似た電波をキャッチされた方はぜひ一度、オンライン集会所の1のルームを覗いてみてくださいな。ガード性能+2とガード強化という弱腰な鎧に、ステキなガンランスを背負った男が待ってるかもしれませんよ。
モンスターハンターフェスタ東京大会が無事、終了した。関係者の皆さん、来場者の皆さん、お疲れ様でした! すごくよかったですね、東京大会。『モンスターハンターポータブル 2nd』というひとつの作品に対して、共通の認識を持つ人があれだけの集まって(6500人!)、同じ時間、空間、気持ちを共有することができた。もちろんこれは福岡、大阪、名古屋のどの会場もまったく同じで、俺は各地でハンターたちの熱い気持ちに当てられて、とにかく感動しっぱなし。改めて、この全国行脚にくっついてきてよかったなあ……と思った次第である。
さてここから、ちょっとだけ自慢交じり(?)の話を書く。「調子に乗りやがってよー」と思う方もいらっしゃるかと思うが、じつはそんなにかっこいい話ではないので気にせず読み進んでいただければ……。
このモンハンフェスタ東京大会の会場のあちこちで、俺が書いた『『モンスターハンター』プレイ日記 本日も逆鱗日和』を手にしてくれているハンターを見かけることができた。わーいわーい。読んでくれてありがとー! 気持ち的には持っている人のもとにダッシュで駆け寄っていって、「ありがとうございますありがとうございます!!」と握手を求めて歩き回りたかったくらいです。でもそういうことをすると「こんなキモいおっさんが書いていたのか……」と幻滅されそうだったので思いとどまったけどネ。でもそのくらい、うれしかったのです。
予想外だったのは、けっこうな頻度でサインを求められたことだ。ホラホラ、なんか自慢っぽいでしょう。でもそんなつもりはまったくないんです。それどころか正直、俺は字が壊滅的にヘタクソなので、せっかく買っていただいたのにこんなおっさんのミミズ文字で本を汚してしまうのが申し訳なくて仕方なかったくらいだ。でも「それでも欲しい」と言ってくれる人ばかりだったので、恐縮しながらもヨレヨレと自分の名前を書くわけです。はっきり言って、漢字で"大塚角満"と書くとガッカリされることは明白だったので、俺はサインは平仮名で"おおつかかどまん"と書くことに決めている。決めている、というより、平仮名だったら"狙ってヘタウマに書いているのではあるまいか"と購入者の方が勘違いしてくれるだろうと無理矢理思い込んでそういう方針に決めたのだ。言ってみれば苦肉の策である。
で、何冊かの本に名前を書かせていただき、ぼちぼちイベントも終わったので撤収するかな……と思ったところで、20代の男性に声をかけられた。彼も『逆鱗日和』を手にしており、やはり「サインしてください」と言う。聞くと俺以外にも、辻本良三プロデューサー、藤岡要ディレクター、一瀬泰範ディレクター、小嶋慎太郎プランナーのサインも、この本にしてもらうつもりだという。なるほどなるほど。それはナイスなアイデアかも。でも俺が書いたあとに、サインに慣れている『モンハン』の顔たちもサラサラと書くわけか……。こりゃいつものボウフラ文字じゃあ笑われてしまうぞ……。俺はとたんに焦り出した。いいい、いつもより上手に書かなくては……! 心の動揺に呼応するように、ペンを持つ手がプルプルと震えだす。や、やべえ……。ド緊張してきた……。でももうイベントも終わってるし、早く書かないと書かナイト……。ええっと、平仮名で、おおつかかどまん、って書くんだよな。おおつ……
おおつかひでゆ……
うおおお!! しまった!!!! 動揺して本名を平仮名で書いちまった!! 俺、焦りすぎ!! 俺は本の所有者の男性に平身低頭で謝った。
「す、すみません!! 思わず本名書いちゃいました!!!」
でも男性は焦りまくる俺とは逆に大いに喜んで、「レアなサインありがとうございます!」と言って慰めてくれた……。
そのあと、男性は藤岡ディレクターにサインをもらうつもりだ、というので、せっかくなので同行することにした。藤岡さんがどんなサインを書くのか、見てみたかったのだ。男性が『逆鱗日和』を差し出してサインを求めると藤岡さんはにっこりと笑って、「あ、いいですよ」と快諾。この人はじつにいい人なのだ。パラパラと本をめくり、サインを書く場所を探す藤岡さん。そして藤岡さんの眼前に、俺が先ほど書いたレアな本名サインがババーンと飛び出してきた。(あ、やばい!)と俺が思った瞬間に、藤岡さんが吹きだした。
「"角満"って書くんじゃないんですか(笑)? これじゃ大塚さんの所有物みたいすよ(笑)」
まさに俺が書いた本名のサインは、お母さんが小学校にあがったばかりの息子の教科書に書いてあげる、優しい平仮名の名前そのものであった。
モンハンフェスタ東京会場でサインをもらってくれた皆さん。どうかもう一度チャンスを……。今度お会いしたら、もっと上手に書きますのでひとつ……。
気まぐれ起こして、村★5の"しじまの向こう"のクエストを受注。これに出てくるボスモンスターは忍者古龍、オオナズチである。村に棲息しているオオナズチなんて、俺のようなベテランにかかればちょっとデカいサンショウウオのようなものだ。はっきり言って、10分もあれば簡単にのせるであろう。俺は余裕綽々&油断満載で、惨劇の舞台となる(はず)の沼地へと赴いた。
ところがどうしたことか、いっこうにオオナズチが見つからない。まあこのモンスターは"透明になる"というプレデター真っ青の必殺技を持っているので、基本的に見つけにくい存在ではある。クエスト開始から5分経っても見つけることができずジリジリと焦りだす……なんてことはよくあることだ。ところがこの日は5分どころではなかった。「おっかしいな……」なんてつぶやきながら、"絶対にここには来ない"と確信している場所まで隈なく捜索したが、どこにもヤツの姿がない。時間を見ると、恐ろしいことにクエスト開始からすでに15分が経過している。
もしかするとアポがあるのを忘れて、オオナズチはここに来るのを忘れてしまったのではないか?
映画『インビジブル』ではないが、透明状態から実体化する方法を忘れてしまって、さみしくどこかで震えているのではないか……?
そんなありもしないことを半ば本気で考えてしまうくらい、俺は焦り始めていた。このまま一度もモンスターと接触することなく、呆然と佇んだままタイムアップを迎えた……なんて事態になったらエライことである。
さあてどうするか。どうやればオオナズチを見つけられるのであろうか。こういうときに限って、モンスターの居場所を教えてくれる気球は飛んでいないし、当然ながら千里眼の薬(飲むとモンスターの位置がわかる)なんてものを俺が所持しているわけもない。こうなったら……。
俺は使用アイテムの位置に"ペイントボール"を設置した。俺は初代『モンハン』の時代から、なぜかペイントボールをたくさん所持していることに格別の安心感を覚える男で、どんなクエストに行くときも、必ずありったけのペイントボールを持っていくことにしている。このときも俺は、じつに96個のペイントボールを所持していた。こいつを使って、コソコソと隠れているオオナズチを虚無の世界から引きずり出してやる……。
では具体的にどうするのかというと方法はじつに単純で、「ここだ!」と思った地点にめったやたらとペイントボールを放り投げる。これだけである。「ここだ!」の場所は、3年かけて培ったハンターとしての経験、嗅覚、直感、そして運が教えてくれるであろう。だいたい、オオナズチが隠れている場所なんてたかが知れているのだ。あーあ、もっと早くこの方法に気づいていりゃあよかったヨ。俺はすっかり安心して、まずは手始めにとエリア8の地点でペイントボールを投げまくった。すぐに"ペシャッ"という気の抜けた音とともに、オオナズチが姿を現すであろう。
ところが。
俺は8の地点でじつに11個のペイントボールを投球したのだが、まったくストライクが入らない。俺はこんなにノーコンだったのか……。遠くから「ピッチャーびびってるよ!」というオオナズチの声が聞こえた気がした。……でもまあ、まだこの作戦は始まったばかりだ。まだ俺は90球近く、球を持っているのだ。俺は「まだまだあ!」と気合も新たに、エリア6に移動した。
そしてエリア6で、俺は23球ものペイントボールを投球した。ストレートばかりじゃダメだろうと、投げると見せかけて前転する"フォーク"、ペイントボールと見せかけて捕獲用麻酔玉を投げる"チェンジアップ"などを駆使したが、まったくオオナズチに当たらない(そもそもなんで古龍のクエストに捕獲用麻酔玉を持って行っているのかがよくわからない)。しだいに客席から心ないブーイングも聞こえてきて、俺は本格的に焦り始める。しかもすでに、大好きなペイントボールを34個も投球してしまっているのだ。このとき、俺は思った。(もしかして首尾よくオオナズチに当たったところで、俺の損失のほうが遥かに大きいのでは……)と……。でもここまできたら後には引けぬ。せっかく立案したこの作戦。もうちょっと続けなければ!!
俺はエリア6に見切りをつけ、本気で汗を流しながらエリア5に移動。そこでもビーンボールを投げ続け、結果が得られぬままエリア4に……。
「もうここにいなかったら、いま沼地にオオナズチはいないってことで!!」
と誰に言ってるのかよくわからないが俺は泣きながら宣言し、最後の気力を振り絞ってペイントボールを投球し続けた。
そして。
俺は66球目を投じたところで完全にノックアウト。肩はあと30球ほど投げられるだけの余力を残してはいたが、あまりにも不毛な戦いに監督が(俺自身だが)ついに匙を投げた。
俺はどれだけ無駄なことをしていたのだろう……。
さめざめと泣きながらフラフラとエリア6に入っていくと、スタタタタ〜と軽やかに沼地を駆け抜けるオオナズチの姿が……。
俺は静かに、クエストリタイアを選択した。しばらくオオナズチは、俺のトラウマモンスターになりそうである……。
この『モンスターハンターポータブル 2nd』プレイ日記がなんと、50回目に到達! すごいすごい。よくぞまあ1本のソフトについて、こんなにもたくさん書いてきたものだ……。でも考えてみるとこの"『モンスターハンター』プレイ日記"は初代『モンスターハンター』、『モンスターハンター2(ドス)』についてもやはり、50回ずつくらいコラムを書いているので、合計すると『モンスターハンター』シリーズについては150話くらいは駄文を連ねたことになる。うーん、我ながらビックリ。150回も書くだけのネタを見つけてきたことよりも、これだけ長いことひとつのシリーズに対する情熱を持ち続けていることに、我ながら驚いてしまうのである。
とまあ、なんでこんなわざとらしい前フリを書いたのかというと、ついに本日、この『モンスターハンター』プレイ日記を1冊の本にまとめた『『モンスターハンター』プレイ日記 本日も逆鱗日和』が発売になったんですねぇ。先ほど、出社まえに都内の本屋を覗いてきたら、キチンとゲーム攻略本のコーナーに平積みにされておりました。ホントは誰かが1冊購入してくれるまでそのコーナーに佇んでいようと思ったのですが、いつまで経っても1冊も売れずけっきょく閉店まで本屋にボーっと立ってた……なんて事態になることを恐れて、スマンスマンとつぶやきながら本屋さんから逃げ出してきました^^;
攻略には何の役にも立たない、本当に筆者がゲームを遊んで感じたこと、失敗したこと、そして感動したことを詰め込んだこの1冊。「『モンスターハンター』って、こんなにおもしろいんだよ!!」っていうことが、ちょっとでも読者の皆さんに伝わるとうれしいなあ。……って、読んでくれる人たちは、とっくに『モンハン』の魅力に気づいているハンターばかりか^^;
とにかく! 俺の『モンハン』への情熱が封じ込められたこの本。本屋さんで見かけたら、ちょっと手にとって見てみてくださいな。ぽん吉さんが描いてくれた、コミカルでかわいらしいカバーが目印です。コラムの区切りだとずっとまえから思っていた50回目のこの日に、これが書けてホントにうれしいなあ……。
……なんて、まるで最終回のような書きようですが、『2nd』のプレイ日記はまだまだシツコク続けますよ!! 今後ともよろしくです♪
昨日、武具探求の螺旋階段を上っている……という話を書いたが、こいつはすべてのハンターにいつまでもついて回る背後霊みたいなものなので、俺は今日も、ぜいぜいとあえぎながら見えない出口に向かって上へ上へと歩みを進めている。しかし武器連鎖の糸を一生懸命たどっていくと、この螺旋階段の行き着く先はハンターが裸一貫で村に降り立った瞬間、つまり"ハンターナイフ"のような気がするのだが、本気でそう思ってしまうと目の前にとてつもない虚無が広がるのでなるべくこの考えは頭から締め出そうとしている。とりあえず目下の目標へ向かってコツコツと素材を集めていこう。ハンターにとっては基本中の基本のことだが、俺は自分に念を押すように「基本だ基本だ……」とうわごとのようにくり返した。
そうと決まれば素材集めだ。とりあえず、自分が欲しいものをリストアップしてみよう。
・火竜の逆鱗 (少なく見積もって、5、6個欲しい)
・雌火竜の逆鱗 (こちらも最低でも5個は欲しい)
・禍々しい布 (うーん、じつは20個は持っておきたい)
・炎の龍鱗 (贅沢だが、30個くらいは……)
・鎧竜の頭殻 (えっと……5個は……)
・ラオ系の素材 (もう、いくらでもほちい……)
・砦蟹素材 (これも、ありったけくれ……)
・モノブロスハート (神様、せめて1個……)
……。
ここに挙げたの、まだ下位の素材なんだよネ。でも最低でもこれくらいは必要なんだよネ。昨日のコラムで"こんだけ長いことやってりゃアイテムボックスにはひととおりの武器・防具を作るくらいの素材が入っているはずなのだ"……なんて書いているけど、まったく足らねえじゃねえか!! しかも何度も言うがこれは下位素材で必要なものであって、当然ながら上位の素材はもっともっと欲しいのである。しかし、こんなに欲しい欲しいとわめいていると当然のように"例の"センサーが発動しまくって、何度狩りに行っても欲しいもの"だけ"出ないようになる。本当に、出なくなる。とくに最後のモノブロスハートなんて、出ないなんてものじゃない。ドス出ない。ドド出ない。ババ出ない。それに、以前書いたように俺は角竜とソロで戦うことに非常に大きなストレスを感じる体質なので、さらにさらにモノブロスハートは遠い存在となっている。
初代『モンハン』の時代からレアアイテムの象徴は"火竜の逆鱗"だったわけだが、初代と比べると『2(ドス)』などでは火竜の逆鱗は若干だが手に入りやすくなっていた(と思う)。ところが唯一、モノブロスハートだけは初代から『2nd』に至るすべての『モンハン』シリーズで激レアアイテムの地位に止まっており、"隠れレアアイテムの帝王"とまで言われていたりする(んなことないか)。
そういえば、俺は初代『モンハン』を遊んでいた時代、友だちたちが「モノブロスハートがまったく出ない! 欲しいものが作れない!」と泣き叫んでいたときに、なんと3つも4つもこの激レアアイテムを持っていた。なんで持っていたのかと言うと、俺は当時、モノブロスハートを使って作る武器にまったく魅力を感じておらず、ぶっちゃけ、モノブロスハートなんていらなかったのである。つまり、物欲センサーがまったく発動しなかったおかげでウジャウジャとハートが出てきてしまったらしい。でもそのときのモノブロスハートは俺にとって、"優越感に浸るためのアイテム"以外のナニモノでもなかった。
しかし時は経ち、あのときは必要なかったモノブロスハートがいまはこんなにも欲しくなっている。もしもいま俺の前に、「ホレホレ、いいだろいいだろモノブロスハート♪」と言いながら3年まえの俺が現れたら、何の躊躇もなく竜撃砲をお見舞いしていることだろう。
「出ないかなぁ……」
モノブロスさんのハートを射止めるために、俺は今日もクーラードリンクをどっさり持って砂漠に足を踏み入れる。現在の精神状態でモノブロスハートが手に入ったら、本気で泣く自信がある。
いつのまにか総プレイ時間が370時間を越えて、ひととおりすべてのモンスターとの顔合わせも済ませた(……と勝手に思っているだけで何の確信もない)。こういった境地に達したハンターが何をするのかというと、"裸で黒ディアブロス討伐"、"キックだけでドスランポス撃破"といった色モノプレイに走ったりもするがそれはこの際置いておいて、多くの人が"装備"の充実を目指すことになるのである。もちろん、ひととおりのモンスターと戦うさなかにも随時、装備は整えていくわけだが、やはりひとつの到達点に達してからのほうが余裕を持ってゲーム全体を俯瞰して見ることができるようになるので、「今度はこのスキルをつけよう」、「あのスキルが欲しいからしばらくはコイツを狩り続ける」といったゲームを進めるうえでの方針を明確に決めやすくなるのだ。
俺もようやく、この境地にたどり着いた。なので今後は一時期のように齷齪(あくせく)と「逆鱗くれ逆鱗! ゲリョスは頭よこせ頭!! なんでおまえはいつまでもハートを出さないんだこの一本角がっ!!!」なーんて、毛を逆立てながらモンスターを狩りまくるのではなく、「ウン、まあそんなに慌てなくていいんだけど、ちょっとヒマなのでハンティングにでも行きましょうかね」とセレブな雰囲気を醸し出しながら狩猟に出かけることにする。こんだけ長いことやってりゃアイテムボックスにはひととおりの武器・防具を作るくらいの素材が入っているはずなのだ。素材が足らなくて慌てて狩りに飛び出していく、なんてことにはならないはずなのだ。俺はナノダナノダと口笛を吹きながら、つぎに作るべき装備の吟味を始めた。武器はいまのところ満足いくものが持てているので、ここはひとつ、編集部の人間ですら羨むすばらしい防具を作ろう。そこで俺は、『2(ドス)』のキャラがメインで身に纏っているラオシャンロンの防具を作ることにした。えーっと、ラオラオラオ……。
む。
なんか素材がぜんぜん足らないぞ……。考えてみるとラオシャンロンはひとりだと討伐するのが難しくて、俺は撃退するだけで「まあカンベンしてやるか……」とニヒルに納得していたのである。しかし自分が欲しい装備を作るための素材が足らないとなると(それも頭に来るほど足らない……)、やっぱり討伐して身体から剥ぎ取る必要がある。が、ひとりで討伐するとなるとかなり強い武器を持っていることが絶対条件。ところが残念なことに、俺はソロでラオシャンロンを討伐できるほどの凶悪な武器は持っていない。どうやらラオの装備を作るには、まず武器を整える必要があるようだ。
そこで俺は、強力な龍属性を纏ったある双剣を作ることにした。この双剣は『2(ドス)』では最強の名を欲しいままにした極悪な兵器で、龍属性を弱点に持つ飛竜はコイツを見たら裸足で逃げ出すってくらいの業物なのである。さあ作ろういま作ろう。これを作るだけの素材は十分に持っているはずだ。さっそく武器屋のおっさんに話しかけると……。
アレ……。
なんか作れないんですけど……。お金は十分に足りているのだが、ある素材がまったく足らないではないか。この双剣、『2(ドス)』のときとは作りかたが変わっており、素材についてはまったくノーマークであった。うーん、どうしよう。とりあえず、必要な素材を持っていると思われる飛竜を狩りまくって、なんとか集めるしかないな……。一瞬だけ達したセレブな境地などすっかり過去のものとなり、俺はいつものように目をギロギロと血走らせながら、自分のメモやら週刊ファミ通を読み漁って素材についての情報を集めた。そして、この素材を得るためには、ガノトトスあたりを集中的に狩れば手に入るかも、という情報を入手することに成功した。
ガノトトスか……。このお魚、雷に弱いんだっけ? 雷だったら、大剣で1本持っていたはず。それで行こうかな。あ、でもこの大剣、最後まで育てていないぞ。せっかくだからパワーアップしてしまおう。えーっと、必要なのはフルフルの素材か。フルフル、フルフル……。げげげ……。ま、また素材が足らねぇ……。こうなったらフルフルの討伐を先にするか;; フルフルは火に弱いから、火属性の武器で行きたいところ。そしてランス系が相性がいいので、本職であるガンランスで出撃しよう! えーっと、火属性のガンランスは……。オイオイ、ナナ系かよ……。今回、ナナ素材はまったく集めてないから討伐に行かなきゃだ……。ななちゃんは古龍だから、龍属性の武器で行きたいよなあオイ……;; 龍属性の武器っつったら、やっぱあの双剣が欲しいよなあ……>< えーっと、あの双剣を作るには……;;;;
どこまでも続く、武具探求の螺旋階段。あなたもきっと、登っている……。
ここで記事を書くのは、じつに久しぶりですな。最後に書いたのは、えーっと……4月27日か。ということは、10日ぶりの登場ってことになりますねぇ。でもじつは、まったく『2nd』と離れていた気がしない。むしろ、この10日間でより近しい関係になった気がする! それもそのはずで、じつはこのゴールデンウィークの期間に開催されていた"モンスターハンターフェスタ"のリポート記事は、何を隠そう、俺が書いていたからだ。……って、まったく隠してないけどな! バリバリ記名でイベントリポートを書いていたので、ブログをサボっていた、という実感がまるでない。なので連休以前と変わらぬモチベーションと勢いで、これからも更新しまくるぜ! というわけで、今後ともよろしくお願いします。敬具。
……と、今日は久しぶりなのでリハビリもかねてこのくらいの分量でオシマイにしようかと思ったのですが、やっぱりどこか書き足りない。なので前回のコラムで話題を振るだけ振って放置しておいた"シェンガオレン"について書いてしまおうと思う。
シェンガオレンは別名"砦蟹"。その名のとおり砦マップにときたまフラリと現れていろいろと嫌がらせをして去っていく、神出鬼没のモンスターだ。蟹、ってくらいだから当然ながら甲殻種に分類されており、ダイミョウザザミやショウグンギザミをアンドレ化させた姿を想像するとわかりやすいかもしれない。アンドレ化、とはつまり"大きくする"という意味だが(わかりづら)、これまでの『モンハン』シリーズではモンスターの大きさの尺度は"横軸"が基本だったでしょう。つまり、ガノトトスとかラオシャンロンに代表されるように、"横に長いモンスターこそ巨大なモンスターだ"という不文律があった。ところはこのシェンガオレンは、横軸の長さは大したことない。バサルモスにちょっと空気を吹き込んだくらいの大きさしかないであろう。「それってグラビモスくらい、って言えばいいんじゃないの?」という声が飛んできそうだがそれは男らしくガン無視して話を進めると、シェンガオレンは『モンハン』シリーズで初めて"タテの大きさ"を導入したモンスターと言える。とにかくめったやたらと足が長く、もっとも足を長く伸ばしたときには全体像がまったく画面に収まりきらないほどなのだ。本当に、デカい。またまた相撲の例えで恐縮だが、手足の長い大関・琴欧洲が長さ20メートルの4本足の竹馬に乗ったときよりも大きい。……まあそれだけ長い竹馬だったらべつに琴欧洲じゃなくても誰が乗っても同じような気がしないでもないが、とにかくそういう例えを超越したところにシェンガオレンというモンスターは存在するのだ。しかしこのモンスターのルックス的な特徴でいちばん目立つのは、この長い長い脚ではない。彼(彼女の可能性もある)が殻として被っているラオシャンロンの頭骨にこそ、シェンガオレンの存在意義というかアイデンティティーが詰まっているのである。
ところが先日、このシェンガオレンのレゾンデートルを踏みつけるような、じつに稀有な体験をしてしまった。
その日、俺は居酒屋でお酒を飲みながら、仲のいいクリエーターさんと広報さんとで『2nd』のパーティープレイに勤しんでおりました。クリエーターさんは俺と同じくらい『モンハン』シリーズをやり込んでおられる方で、『2nd』もまさに、俺と同程度にクエストを進めているツワモノだ。……いまさりげなく、「オレもツワモノ」という意味のことを文中に潜ませておいたのだが、読者の皆さん、流してはいけんよ。まあそれはいいのだが、注目すべきはいっしょに遊んでいた広報さんであった。彼は『モンハン』はほとんど初心者で、『2nd』もようやく、上位に上がる直前までクエストを進めたところ。話を聞くとどうやら、シェンガオレンのクエストに到達したばかりらしい。「このシェンナントカってやつ、いっしょに行きましょうや!」と広報さんはニコニコ顔で言った。どうやらこのモンスターをまったく見たことがないらしい。もとより、我々ふたりに異存はない。ちょうど、シェンガオレンの素材で欲しいものがあったし。我々3人は「行こう行こう!」と言い合って、シェンガオレン撃退クエストを受注した。そしてそこで、クリエーターさんが広報さんに向かってつぎのように申し述べた。
「シェンガオレンってモンスターは、いわゆる"出オチ"の典型ですね。登場シーンがもっともインパクトあるので、じっくり見るといいすよ」
うん、確かにそのとおり。俺も初めてシェンガオレンのクエストに出向いたときは、ラオシャンロンの頭蓋骨がズリズリと砦を移動してくるシーンでキモを潰されたものだ。広報さんはしきりに「ほうほう! それは楽しみだなあ!」と言っている。そうこうしているうちに画面が切り替わり、例のラオ頭蓋骨ズリズリのムービーが流れ始めた。さあ驚くぞお。叫べ叫べ。俺と同じように、キモを潰せ!
しかし、広報さんはPSPの画面をニコニコと眺めるだけで、いっこうに驚きの声を発しないのだ。それどころか、「わあ、なんか出てきたでぇ」、「どのへんで脅してくるんだコイツは〜」なんて言っている。おっかしいな……。シェンガオレンを始めて見た人は、少なからず登場シーンでぶったまげるはずなのに……。しかもいまは、しこたま酒が入っている状態。テンションも高くなっているので、必要以上に驚いたところで不思議はない。おかしいな……。見るとクリエーターさんも、(なんでこの人はここで驚かないんだろう……)という目で広報さんを見ている。俺はおずおずと切り出した。
「あ、あの、そのでかい骨を見て驚きませんでした? なんでコイツの頭蓋骨が歩いてくるんやー! って」
すると広報さんはキョトンとした顔をしてこう言った。
「あ〜、なんかでかい骨やなー、って思いましたけど、なんの骨なんすかコレ?」
!!? 俺とクリエーターさんはビックリ仰天し、広報さんに向かって絶叫した。
「ラオですよラオラオ! ラオシャンロンの骨じゃないですかどっからどう見ても!! なんで驚かないのよ!」
広報さんはさらに不思議そうな顔をし、つぎの言葉で俺たちにトドメを刺した。
「ラオ……。あー、なんか聞いたことあるけど、そのクエスト面倒くさそうだったので部下にやってもらったんですわ(笑)。いやあシェンガオレンもラオも初めて見たな^^」
ラオシャンロンを一度も見たことない人が、まさかシェンガオレンのクエストに行けるとは開発陣も想定していなかったろうなぁ……。
出オチにもならず、しずしずと大きな骨を引きずって歩くシェンガオレンが、そのときだけはじつに、物悲しく見えましたとさ……。
※あ、前回のコラムで予告した"シェンガオレンとの激闘"がどこにもない!! ってことに書き終わってから気がつきました^^; それはまた、つぎの機会に〜。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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