大塚角満の ゲームを“読む!”
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『モンスターハンター2(ドス)』を精力的にプレイしていた時代、夢中になって尻を追いかけ回していたモンスターがいた。意外に思われるかもしれないが、そのモンスターとは炎の雌古龍、ナナ・テスカトリ。シングルプレイ時のみに出てくる特殊な古龍だったのだが、俺は彼女の素材から作る"エンプレス"シリーズの防具にひと目惚れし、ヒマを見つけては「ナナ、ナナ〜っ!」と、まるでフラれた女にしつこく付きまとうおっさんのようにナナとのランデブーに勤しんでいたのであった。
しかし白状してしまうが、やたらと怒りっぽいこのオンナをうまくあしらえたわけではない。とにかく徹底的に、ボコボコにされていたのだ。もう、取り付く島がない、ってのはまさにあのような状態を言うのだろうとシミジミと納得してしまうくらい、相手にされなかった。「あっち行けゴミ!」とナナが俺に向かって言っているようであった。……またこういうことを書くと河合リエが「大塚さんマゾだからナナが好きなんすね」なんて言ってきそうだが、本当にMの方にはガンランスを背負ってナナ討伐に向かうことをオススメする。それくらい、彼女の相手はキツい。それでも俺はエンプレスシリーズの青いヨロイに魅せられていたので、冷たく(熱く、か)あしらわれるのはわかっていながら、来る日も来る日もガンランスを背負ってナナ討伐に出向いていたのである。しかしいつまで経っても、ガンランスでナナを討伐することはできなかった。さすがのマゾ男もここまで冷たく扱われると疲れ果ててくる。「ガンランスでナナを倒すことは不可能だろう……」。俺はすっかりあきらめの心境なった。「もう武器を換えて出直すしかないな……」と。
ところがある日、俺がいくら口説いても跪かせることができなかった炎の女を、ガンランスでボコボコにしばいている男を見てしまった。それもまったく、危なげなく。その男は、対峙しているのは炎の古龍なんかではなく、悲しそうにぴーぴー鳴いている捨てネコなのではあるまいか……と俺を錯覚させるくらい、圧倒的な武力をもって凶暴なモンスターを手玉に取っていたのである。
男の名はスレイヴ間々田。週刊ファミ通の編集者だ。この男は「本当にゲームがウマイ人っているんだなぁ……」と驚きを通り越して呆れ果てて見てしまうくらい、ゲームが上手だ。これは『モンスターハンター』シリーズに限ったことではなく、どんなゲームも、こっちの顎が外れるくらい信じられない実力をもって制圧してしまうのだからタマラナイ。"天才"なんて言葉を簡単に使いたくはないのだが、俺のような凡人ではスキマから覗いて見ることすら許されない世界で生きている人間がいるんだな……とちょっと感動混じりに思ってしまうほど、彼のプレイはずば抜けている。彼の前に立てば、ナナだろうがテオだろうが、そこらにいるちょっと熱があるネコくらいの存在に成り果ててしまうのであろう。
ではこういう天才肌の人間が頼りになるのかというと、じつはそうでもない。もちろん、いっしょにクエストに行ったらこれほど力強いパートナーはいないのだが、自分がシングルプレイで挫折し、アドバイスを受けようと思っても、もともとハンターとしての資質に天と地ほども差があるのだから、彼の言っていることの意味もよくわからなかったりする。「あいつは突進してきたあとに0.5秒くらい隙ができるのでそこで攻撃してください」とか、「こいつは首の付け根だけ肉質が柔らかいのでそこのみ狙うといいですよ」なんて言われても、それを実践できるだけのテクニックが絶無なので何の役にも立たない。なので彼がナナをボコっている映像を見ても驚愕が込み上げてくるだけで何のインスピレーションも沸いてこず、けっきょく俺は武器を片手剣に換えて、彼女を追い回すことになったのであった。……要するに俺は、ナナに負けたのだ。ガンランスでナナに勝てなかったことが、じつはいまでも小さくないトラウマとして俺の中に居座っていたりするのである。
さて『2nd』においてももちろん、ナナ・テスカトリは登場する。村のクエストで対戦できるのですでに多くの人が挑んでいるだろうが、じつは俺はまだ、この炎の古龍とは戦っていない。ナナのダンナ(?)であるテオ・テスカトルは何度も屠り去っているのだが、ナナだけは手をつけていないのだ。
それはなぜか。
いま俺の脳裏には、『2(ドス)』の時代にガンランス片手にナナと華麗に戦っていた間々田のキャラクターの動きがフラッシュバックしている。『2nd』になって、ガンランスはパワーアップした。そして俺も、すでに200時間以上もガンランスを振り回しているので『2(ドス)』のときを凌駕する"ガンランス使い"としての蓄積ができているだろう。そう、俺はこのときを待っていたのだ。いまこそあのときの間々田のような流麗な動きで、ナナ・テスカトリを翻弄してやる!
近々、俺のトラウマとの戦いの模様をここに掲載したいと思う。
先日、ファミ通の同僚である女尻笠井といっしょにクエストに行くことになった。笠井は何度かこのコラムにも登場したことがあるが、一応『モンスターハンター』シリーズは初代から遊んでいて、『2(ドス)』ではきっちりとハンターランク50以上まで成長させている。なのでそれなりに知識や技術があるはずなのだが、最近すっかりと物忘れがひどくなって何かと「ガノトトスって何属性が効くんでしたっけ?」、「ゲリョスの尻尾って斬れます?」と、非常に初歩的なことを聞いてくるようになった。そのたびに、「ガノトトは火か雷!!」、「ゲリョスの尻尾は斬れねえ!!」と怒気まじりで答えるのだが、先日、こんなことがあった。
クエストの討伐目標は、確かグラビモス亜種だった。俺と笠井のふたりでは、失敗はしないだろうが、討伐に時間がかかってちょっとイヤな相手ではある。なので俺は言った。
「多少でもダメージを増やしたいから、大タル爆弾持ってくわ」
すると笠井はこう答えた。
「りょーかいっす。じゃあ僕は大タル爆弾Gを持っていきますよ」
俺は驚いた。大タル爆弾Gは、自分で持ち込める爆弾の中では最強の威力を誇る"兵器"である。こんなものは店で売っているわけもなく、自分で調合して作らないといけない。でも確か大タル爆弾Gは、大タル爆弾に稀少アイテム"モンスターの濃汁"をブレンドしないといけないはず……。コイツ、セレブぶってそんなことして大丈夫なのか? 大タル爆弾Gとか言いつつ、じつはふつうの大タル爆弾を持ってくるんじゃないだろうな……。いろんな疑念が頭の中に渦巻いたが、俺は「大タル爆弾Gとはすげえなオイ。んじゃ行こうか」と言ってクエストに出撃した。そしてクエスト中に笠井は、明らかに大タル爆弾Gに見える巨大な爆弾をグラビの腹の下に設置し、思いっきり誤爆して爆死していた。……まあ誤爆はともかく、俺よりも遥かにハンターランクが低く、そして貧乏な笠井のキャラがなぜ、大タル爆弾Gを持っているのか。この男が精力的にモンスターの濃汁を集めているとも思えない。うーん、何かがおかしい……。
クエストから帰還したあと、俺は耐え切れずに笠井に聞いた。「よく大タル爆弾Gなんて持ってたな。どうやってモンスターの濃汁手に入れてるの?」と。すると笠井はキョトンとした顔をして、信じられないことをのたまった。
「えw 大タル爆弾Gは"大タル爆弾"と"カクサンデメキン"で作るんすよw 知らなかったんすか?」
!!!! マジか……。カクサンデメキンだったら行商のオババからも買えるし、そもそもポッケ農場の釣り場で釣ることもできるじゃんか……。そりゃあ簡単に作れるわけだ……。
笠井くん(もう呼び捨てになどできぬ)の説明によると、どうやら『2(ドス)』と比べて、『2nd』はアイテムの調合方法がかなり変わっているようなのだ。そういえば非常に頻繁に使うアイテムのひとつに"シビレ罠"があるが、これも『2(ドス)』では"トラップツール"と"麻痺袋"を調合して作ったが、『2nd』ではトラップツールに"ゲネポスの麻痺牙"をブレンドして作る。ゲネポスの麻痺牙は行商オババから買えるし、モンスターからも入手しやすい。なので非常に作りやすくなったのだが、俺はこれも友だちのBに「シビレ罠だったらトラップツールと麻痺牙で作れるよw」と教えてもらうまで知らなかった……。
どうやら俺は突っ走りすぎて、ゲームの基本中の基本をおろそかにしてきたらしい……。
総プレイ時間、230時間を突破したいま、ようやくそのことに気がついた……。
『モンスターハンター2(ドス)』、『モンスターハンターポータブル 2nd』という2作品において、もっとも自分と縁遠かった武器……。「え、何だろう。急に聞かれても困るよ。うーんうーん悩むな……何だろう。アレでもないコレでもない……」なんて悩むことはまったくなく、そう聞かれたら残念ながら即答できてしまう。"狩猟笛"、かっこよく言うと"ハンティングホルン"がその武器だ。
なんで狩猟笛と縁遠かったのかというと、そもそも俺は近接攻撃系の武器では、ハンマーもほとんど使えていなかったりする。ほんのときたま、たとえばダイミョウザザミやショウグンギザミの殻を叩き割りたいときだけハンマーを装備していく程度だ。こんな感じなので、このハンマーから派生して生まれた狩猟笛となると、そりゃあもう、大マゼラン銀河の彼方くらい遠くにある存在であった。なので今回ここに書くことも、"自分が狩猟笛を使ってみた感想"ではない。"狩猟笛の恩恵を受けてウハウハになった"という話なのである。
話は昨日にさかのぼる。
『モンスターハンターポータブル 2nd』で『モンハン』デビューし、すっかりその魅力に取り憑かれた上司とミーティングをすることになった。ミーティングの参加者は全部で4人で、なんとどの人物も『2nd』のヘビーユーザーだ、っていうからサアたいへん。「こりゃあミーティングが終わったら行くしかないよね!」、「そうですね行きましょう行きましょう!」、「行かないわけにはいきません!!」、「さあ行こういま行こう!!」ってことになって、いい歳したおっさん4人が心からウキウキしながら、パーティープレイに出かけることになったのである。
さて即席で集まったこのメンバー。じつはなかなかおもしろいパーティーでありました。メインで使っている武器が全員バラバラで、見た目の面でも戦闘の面でも、じつに賑やかで派手なのである。まず上司が大剣、同僚のSさんが太刀、もうひとり同僚のHさんが狩猟笛、そして僕はもちろんガンランス。これだけ使用武器がバラバラなのも珍しいが、パーティーの中に狩猟笛とガンランスを使う人間がいるってのがまたスゴイ。言いたかないけど狩猟笛とガンランスは、『2(ドス)』では"日陰の存在ベスト3"にノミネートされていた武器なのである。そんな珍しい武器をメインで使っている奇特な人間がふたりも混じっていることは、ある意味"奇跡"と言ってもいいのではあるまいか(そんなことないか)。まあそのひとりは自分だけどネ。
まあこういう珍しいメンバーで狩りに行くことになったわけです。そして俺はここで初めて、『2nd』における狩猟笛の偉大さに気づかされたのであった。
狩猟笛を担いだHさんの分身はキャンプで、『2(ドス)』の時代から継承されている珍妙なダンスを踊りながらピ〜ヒョロロ〜とのどかな笛の音を鳴らした。すると、ぴきゅーんぴきゅーんという効果音とともに、狩猟笛がもたらす恩恵が画面に表示される。Hさんは初心者の上司のためにと、実戦向きに"攻撃力アップ"と"防御力アップ"の音色を立て続けに奏でた。狩猟笛の効果はパーティー全員に波及するので、我が分身もぼけーっと突っ立ってるだけでムキムキボコボコと筋肉が増強されていく(もちろん、見た目は変わらんけど)。興味深かったのでどれくらい能力が上昇するのか、ステータス画面を眺めていたのだが、途中から「おいおい、マジかよマジかよw」とうれし笑いが止まらなくなるほど、攻撃力と防御力が高められてしまったではないか。こいつはもう、サイボーグの世界である。スッポンの生き血やイモリの黒焼きを食ったところで、ここまでのパワーアップは図れまい。マスクを被っているため我が分身の表情をうかがうことはできなかったが、無表情なヘルメットの下では、鼻血を噴き出し、目がこれでもかと血走った男が、ダラダラと汗を流しながら「早く早く!! いこいこ!!!」といきり立っていたに違いない。こんな、ドーピングの極みのような連中4人に狙われる飛竜のほうが気の毒ってものである。実際、「んじゃ軽く……」と言って向かったドスガレオス討伐では、修羅も悪鬼もかくやという戦闘マシン4人の攻撃にさらされ、砂竜のボスは当然の瞬殺。それでもバトルサイボーグたちの勢いは止まらず、我々の悪魔のような強さを震えながら眺めていたガレオスやらゲネポスにまで「おらおらおらー!!」と攻撃を加える始末。暴れ足りなかったが、ドーピングの効果が切れるまえにクエストは終了となった。
でも考えてみたら、こういった狩猟笛の効果は『2(ドス)』の時代から備わっていたものだ。なので狩猟笛使いのハンターさんたちからみたら「何をいまさら」ってな感じであろう。でも明らかに、『2nd』での狩猟笛は強く、たくましくなっているようだ。
まず演奏の効果継続時間が若干ながら長くなった。"若干"とは言うが、この"成長"はとてつもなく大きいはずだ。なぜかと言うと狩猟笛は攻撃力も全体的に底上げされているので、ひんぱんに演奏をしなくてもよくなったぶん、アタッカーとして活躍できるようになったのである。これでパーティー全体の攻撃力も底上げされることになる。そして以前は演奏体勢になると、無防備なうえに簡単な衝撃でも演奏を止めてしまうというスペランカーのようなひ弱さを見せていたが、なんと演奏中はスーパーアーマー状態になった。これで簡単な風圧や攻撃を受けても、強引に演奏を続けることができる。こいつはデカイ。
とまあ後半はインプレッションのようになってしまったが、巧みな狩猟笛使いがいるパーティーはとてつもなく強くなれる、ってことが今回のパーティープレイでよくわかった。「狩猟笛すごいよ!」、「めっちゃありがたい狩猟笛!!」、「狩猟笛ステキすぎ!!!」と、パーティーメンバーから賞賛のシャワーを浴びるHさんの顔は、「ネタ武器とまで言われながらも、狩猟笛を信じ続けて本当によかった……><」といった感じで、若干涙ぐんでるようにも見えた。
ガンランスも、負けてられないな……。
ある日、グラビモス亜種の素材が欲しくなったので、村★5のクエスト"湿地帯の黒き鎧"を受注。討伐に向かった。
「え! マジで。ガンランスでグラビ亜種討伐とはスゲェ。さすが角満」
と思った人が全国に10人くらいはいるんじゃないかと思うが、そういう方々はまだ、俺という人間をわかっておらぬ(当たり前だが)。俺がここで選んだ武器はヘビィボウガンである。沼地マップ4の地点にある高台から無抵抗のグラビモス亜種めがけて、拡散弾や散弾の雨を降らせてやるのだケケケケケ。ガンランスなんかであの横綱飛竜と戦ってられっか!! と開き直りもいいところの暴言を吐きながら、俺はガンランスを倉庫の隅にぶち込んだ。
ここで全国の奇特なガンランサーの方々から「見損なったぜ角満!!」という怨嗟の声がフルフルの電撃攻撃なみの勢いで飛んでくるであろう。でも聞いてくれ! ガンランスでグラビモス亜種に挑むという暴挙に関して、俺は苦いトラウマがあるのだ。「エー」と思った方はこちらの記事を読んでくだされ。……ネ、仕方ないでしょ。ネ、ネ! というわけで俺は、久しぶりにヘビィボウガンを担いでグラビモス亜種の討伐に向かった。
『2(ドス)』の時代から言われていたことだが、沼地のグラビは飛び道具を装備していけばじつにチョロい相手である。あのグラビを、うまくするとこちらはノーダメージで倒すことができるんですよ!! ノーダメージで倒すなんて、イャンクックでも難しいでしょう。ていうかドスランポスでも俺には無理だ。……ドスどころか、ふつうのランポスでもじゃれつかれたらきびしい。それでも沼地のグラビなら、ノーダメージでいけるはず! 俺は"完全なる安全地帯"と信じて疑っていなかった高台によじ登り、武器を構えてグラビモス亜種がやってくるのを待った。しかし4の地点にはなかなかグラビはやってこない。俺はヒマに任せて、ヘビィボウガンのスコープ越しに沼地の風景を眺めた。見ると、毒の沼の上ではうれしそうにイーオスが跳びはね、その上空ではランゴスタが耳障りな羽音を発生させながらせわしなく飛び回っている。
「うーん」
俺はイヤな予感を覚えた。イーオスとランゴスタといえば、古いたとえで真に恐縮だが、プロレスで言うならアブドーラ・ザ・ブッチャーとタイガー・ジェット・シンのタッグみたいなものだ。つまりこのうえなく鬱陶しいのである。でも考えてみたら、俺は高台にいる。ランゴスタはともかくとして、空を飛べないイーオスに何かされるということはないだろう。俺はホッとして、スコープ越しにイーオスを挑発した。「ホレ、悔しかったら上ってみろ。オラオラ」。するとそれまで高台の下でウロウロしていたイーオスが俺を仰ぎ見て、何を思ったのかビョーンと大ジャンプ。彼がシュタッと着地したのは、なんと俺の真横じゃありませんか! いきなりスコープの画面にイーオスの真っ赤な馬面がドアップになったもんだから、こちらはビックリ仰天である。
「オマエ、ここ上れたの!?」
という俺の声などまったく届かぬふうで、イーオスはニコニコしながらじゃれついてくる。慌ててスコープ画面を通常画面に戻そうとするも、焦っているもんだからどうにも操作がおぼつかない。意味なく前転なんかしちゃってそのままガブリとイーオスに噛みつかれ、ノーダメージクリアーの夢は儚くも消え去ってしまった。しかしいまは、ノーダメージなんて言ってる場合ではない。このイーオスをどうにかしなければ! 俺はなんとか体勢を立て直して、ヘビィボウガンの銃口をイーオスに向ける。て、てめえよくも……。消し炭にしてやるど! 「へへへ、覚悟しろよイーオス……」と恨みをヘビィボウガンの強烈な弾丸に込めて発射しようとしたそのとき、俺の耳に「プイーン」という軽薄な羽音がかすかに飛び込んできた。「あ」と思ったときにはすでに遅く、伏兵・ランゴスタのイヤらしい接吻がブッチュンと俺の背中に食い込んだ。まるで当たり前のように痺れて、手をマヌケに揺らしながら倒れこむ我が分身。しかも悪いことは重なるもので、いつの間にか忘れられていた主役、グラビモス亜種が4の地点に侵入しており、すぐそばに陣取っているではないか!! ででででも、グラビの攻撃は高台にいればそうそう当たらないはず……。痺れて昏倒しながらも、俺はちょっとだけ安心して画面を眺めていた。早く解けないかなこの痺れ……。
ところが、何を思ったのかさきほどのイーオスが、倒れている俺にさかんにじゃれついてくるのである。じゃれつかれるとダメージを受けるのはもちろん、その勢いで押しこくられたことになり、痺れて動けない俺の分身は少しずつ高台から……。おいおい。やめろやめろ。冗談はよせ。グラビ亜種が近くにいるんだよ。落ちる落ちる! やめろやめろやめろ!!
なんとかギリギリのところで踏みとどまり、シビレからも開放されて立ち上がる我が分身。しかしイーオスの狼藉はまったく収まらず、慌てふためく俺にさらなる攻撃を加えてくる。崖の1歩手前でなんとか踏ん張っていた我が分身だが、さすがにその一撃は耐えられず落ち葉のように毒沼に落下してしまった。そしてそこで待っていたのは我らが横綱・グラビモス亜種。待っていたよ♪ と言わんばかりに口から強烈なレーザービームを吐き出して、防御力なんて皆無に等しいガンナー装備の俺を消し炭にしてしまった……。
グラビモス亜種と正々堂々と戦って屠り去られるならまだ納得がいく。しかし今回のは、イーオスとランゴスタに心乱されまくったうえでの敗北である。ズルイ! 納得いかん!!
……え? 正々堂々と言うなら高台からボウガンで狙おうとせず、最初からガンランスで出向け? ……。
今度このクエに行くときは、殺虫剤とトラバサミを持っていくことにします……。
3月22日の昼下がり。いつものようにPSPの電源を入れ、『モンスターハンターポータブル 2nd』を起動する。すっかり日課になってしまった、俺の日常に溶け込んだごくごくふつうの行動、そして風景。さあて今日は何をしようか。新しい武器を作ることを目指すか、それともクエストを進めようか……。タイトル画面が出てくるまでに、あれこれと想像を巡らせることがじつに楽しい。発売からちょうど1ヵ月が経過したが、俺はいまだ新鮮な気持ちを持ち続けたまま、フィールドを駆け回っている。考えてみれば、俺は『モンスターハンターG』は1400時間以上、『モンスターハンター2(ドス)』も1200時間以上遊んでいる男だ。1ヵ月なんてまだまだ通過点もいいところなのだっ! そうだそうだっ! まだまだ遊ぶぞ遊ぶぞぉぉ!! と、なぜか不思議なくらい興奮状態に陥りながら、俺はキャラクター選択画面へとたどり着いた。何気なく、キャラクターのデータを眺める。そこにはキャラクターの名前や所持金とともに、そのキャラクターを使って遊んだ時間も赤裸々に表示される。見ると、"MIDO"という名のそのキャラクターの名前の下に、意外な数字が並んでいた。
TIME 201:05
え。
俺は我が目を疑った。200時間って……。まだ発売から1ヵ月ですヨ? これ、200"時間"じゃなくて200"分"って意味では……? でもそんなことはあるはずもなく、この数字は紛れもなく「あんたはこんだけこのゲームに時間を費やしたんですよフフン」ということを言っているのである。確かにけっこうやり込んでいたとは思うが、俺は多く見積もっても150時間程度だと思っていたのである。こいつは驚いた。となると……。えーと、発売日の2月22日から3月22日まではイチニィサンシィ……29日しかないのか。つーことは201時間÷29日で、えーと……。1日あたり、6.93時間。つまり、1日約7時間ほど、『2nd』を起動していた計算になるわけか。ふーん……。
「うおおおおお!!」
と俺は絶叫した。学生だったら、いまはちょうど春休みくらいなので200時間オーバーなんてザラであろう。もし俺が学生だったら、この時点で300時間を越えている自信がある(自慢にならんが)。でも俺は、れっきとしたサラリーマンだ。しかもゲーム雑誌の人間とはいえ、俺はこれでもニュース担当の記者なのである。
「うおおお……」
と俺は嘆息した。ここ、こんな数字が上司にバレたらエライことになる……。
というわけで俺はめでたく、ソフトの発売から1ヵ月で総プレイタイム200時間オーバーを計時した。といっても、電源入れっぱなしで放置していることが多いので、じつは大して進んでいなかったりするんだけどネ。でも200時間も遊び倒しているのにいっこうにしゃぶり尽くした気にさせないところは、やはりこの『モンスターハンター』シリーズの偉大なところであろう。シンプルなゲーム性とつぎつぎに襲い来る強大なモンスターとハプニングの数々は、まだまだ俺を楽しませてくれそうだ。
発売から1ヵ月の節目を迎えたこの日に思う。
『モンスターハンターポータブル 2nd』。
まだまだ始まったばかりだ!!
前作『モンスターハンターポータブル』をがんばってプレイしていたご褒美に、ゲームスタート時に30万ゼニーものゼニーが振り込まれたことは以前書いた。程度の差こそあれ、どんなゲームも序盤は資金繰りが厳しい。なのでこの30万ゼニーという仕送り(?)は思っていた以上に俺のハンター生活を楽にしてくれたものだ。
しかしよく考えてみると、そもそもこの『モンスターハンター』シリーズは、ほかのアクションゲームやRPGと比べても群を抜いて序盤は厳しい気がする。
なぜか。
『モンスターハンター』シリーズは、序盤の序盤から魅力的な武器や防具がショップにずらずらと並び、1個買えばそれをさらに成長、派生させた先の、より蠱惑的な装備品がリストに表示されるようになる。となるとハンターは例外なく、預金残高の明細を見る目を失い、我を忘れて、身の回りにあるちょっとでもお金になりそうなものをすべて売っ払ってでもそれらの装備を手に入れようとする。その時点で現金はすっかり足らなくなっているのだが、恐ろしいことに無理して買ったその装備はさらに強化することができたりするもんだから、アイテムボックスに「これは最後の砦だから!」として残していたナケナシのマカライト鉱石やら大地の結晶にまで手をつけ、それでも足らなくてゴミ同然と思っていた虫の死骸や釣りバッタまで売り払ってでもその新たな装備を買ってしまうのである。で、ようやく「さあこれで強化終了!」と思って安心しようと思っていたが、ナンノナンノとその装備はさらに強化することが可能で……てな感じで、ハンターは必ず自転車操業の地獄車に乗車するハメになるのだ。「このままじゃいけない……」と思っても時すでに遅く、お金を稼ぎにクック討伐に行こうと思ってもライフラインの回復薬や薬草すら買うことができず、「じゃ、じゃあ採集に……」と思っても今度はピッケルや虫網が買えないという体たらく。貧乏螺旋階段はどこまでも続き、「俺の今後の人生、どうなってしまうんだろう……」とオノレのリアル人生とオーバーラップさせて深刻に悩み始めることになる。
とまあこんな解説でわかっていただけたかどうかはなはだ不安ではあるのだが、そういうことで『モンスターハンター』シリーズは序盤は資金難に陥るのだ(強引)。でも俺は30万円の仕送りがあったのでなかなかセレブなハンター生活を送らせていただいておりました……ということが言いたかったのである。
ところが。
さきほど5000ゼニーほどの武器を購入しようと思ったところ、なぜか武器リストが反転表示されたままで買うことができない。アレ? 素材が足らなかったのかな? と思ってR1ボタンを押して必要素材を確認すると、素材は潤沢すぎるほど揃っている。なんで作れないんだろう……。俺はそこで「……まさかな^^;」と少々冷や汗をかきながら何気なく、自分の預金残高を確認した。するとそこに、我が目を疑う金額が書き込まれていたのである。
残金3820ゼニー
……はい? マ、マジで? さんぜんはっぴゃくゼニー? ウソでしょ? だってお金だったら無尽蔵に持っていたはずですよ? おかしい……。信じられん……。しかし何度確認しても、残金は3820ゼニーしかない。いったいどうしたことだ……。どこかで落としちゃったのだろうか。それとも先日、ファミ通編集者の佐治キクオと協力プレイしたときに強奪されたのだろうか……?(冗談だよ佐治くん^^)
俺は改めて、『2nd』プレイ当初からのオノレの生活ぶりを振り返ってみた。そしてすぐに、思い出すのも恥ずかしいほどの放蕩生活を送っていたことに気がついてしまったのであった。たとえば雪山のクエストに出撃しようとしたときに、ホットドリンクをアイテムボックスから出してくるのを忘れたとする。そこでふつうだったらひと手間(ってほどでもないけど)かけて自宅に戻り、アイテムボックスからホットドリンクを出してくるはず。ところが俺は「自宅に戻るのメンドクセから、そこの売店で5個買ってくべ」とお店で買って出かけていたのだ。おかげで俺のアイテムボックスは一時期、ホットドリンク50個、クーラードリンクも50個ほど入っているという酒屋も真っ青なほど大量のドリンク類がしまい込まれていたのである。またあるときは気まぐれ起こしてライトボウガンを持って出撃し、どれが撃てるのかよく確認もせずにあらゆる弾丸を買い込んで、案の定そのほとんどが使えない弾だったりしたもんだからけっきょく片っ端から捨てて帰ってきた……なんてこともあった。うーん、自分のことながらこの無駄遣いっぷりには怒りすら覚える。完全に、夏にわーわーぎゃーぎゃーと喚き散らしながら遊びまくり、冬になったらひもじくて凍えているキリギリスそのものではないか。しかも「我ながら本当に無駄遣いだったんだな……」とほとほとあきれてしまったのだが、自分の手元に残っている武器や防具、なんだかどれも大したことがなさそうなのだ。いったい俺は、何に30万もの大金を使ってしまったのだろうか……。
『モンスターハンター』シリーズはハンターランクが上がっていけば貴重なアイテムを手に入れられるようになり、それらは間違いなく高価なためハンターの懐も多少は暖かくなる。しかしそういう素材を使って作る武器や防具は、冗談抜きに目ん玉が飛び出るほど高額だったりするので多少の小金があったところで焼け石に水なのである。
「もしいまここに30万ゼニーのあぶく銭があったら……」。お店に並ぶ高価な装備品を指をくわえて眺めながら、キリギリスハンターは今日も慙愧の涙を流すのであった。いまにして思えば、最初の30万ゼニーは「俺は何も見なかった」と男らしくもらったことなど忘れ去ってしまって、裸一貫、村長にいただくわずかばかりのお小遣いを元手に生計を立てていけばよかったのである。
つくづく、あぶく銭は手につかない……。
ポッケ農場の奥まったところに、1本の巨木が立っている。"虫の木"と言って、その名のとおりたくさんの虫が棲息している木だ。我々ハンターは虫が必要になったら、木の下にいる担当アイルーに話しかける。するとハンマーを貸してくれるので、それで木の幹をぶっ叩くのだ。まもなく上空からバラバラポロポロとたくさんの虫が落ちてくる。本当にジャンジャンバリバリと落ちてくるので、もうハンターはうはうはである。これを1回やってしまうと、ちくちくと草むらで網を振り回すのがアホらしくなってくる。それくらいたくさんの虫がいっぺんに捕れるのである。
ではどれくらいたくさんの虫がこの木に棲息しているのかというと、草むらにいる虫が"ウジャ"程度だとするとおそらく、ウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャ……ってくらいは棲んでいるであろう。なのでもし、何かの拍子でこの木に登ることになってしまったら、身体中にヤマイモムシやらセッチャクロアリやらランゴの幼虫(そんな虫捕れないけど)やらがモゾモゾベタベタとたかりまくること受け合いである。俺は毛虫やイモ虫が大の苦手なので、なるべくならこのような恐ろしい木には近寄りたくない。しかし虫は武器や防具を作るうえで欠かすことの出来ない素材だし、いらない虫もけっこうな値段で買い取ってもらえるので、俺はクエストから帰るとわき目も振らずにポッケ農場に赴き、虫の木をぶっ叩くことにしている。これはもう、日課のようなものだ。
さて、そんなにたくさんの虫が棲息しているのなら、簡単にうじゃらうじゃらとステキな虫が捕れる……と思いたいところだが、じつはそんなに安易な話ではない。冒頭で"アイルーにハンマーを借りる"と書いたが、じつはアイルーが貸してくれるハンマーには3種類あり、木を叩くベストのタイミングがそれぞれ違っていたりするのだ。つまり、"しろねこハンマー"は木を叩くタイミングがイージー、"くろねこハンマー"はノーマル、"きんねこハンマー"はシビア、って感じ。ベストなタイミングでボタンを押せれば捕れる虫の数が多くなるのである。で、俺がいつもどのハンマーを借りているのかというと、じつは一切の逡巡もなく"きんねこ"を選択している。シビアなタイミングゆえに、ベストショットを放てれば珍しい虫を大量にゲットできると信じて、きんねこばかり借りているのだ。しかしコレ、じつに一筋縄にはいかないんですね。俺がきんねこハンマーでドンピシャのタイミングで木を叩けるのは、恥ずかしながら3回に1回程度だったりする。これだったら素直にくろねこやしろねこで叩けばよさそうなものだが、それは俺の矜持が許さないのだ。
どうすればベストのタイミングで虫の木を叩くことができるのか。これがここ最近の、俺の『2nd』における最大の関心事というかクリアーすべき課題となっている。いろいろと考えてはいるのだ。「ハンマーを振りかぶった瞬間、きんねこハンマーのヒゲが背景の雪山に3分の2ほどかかったタイミングで押せ!」とか、「アドレスからハンマーが光る(光った瞬間がベストタイミング)瞬間までおよそ0.5秒。アタマの中で0.5秒数えて押そう!」とか、「ぴゅ〜〜ぴ! の"ぴ"の部分で押せばベスト!」とかとか、俺自身でなければまったく意味のわからないタイミングの取りかたで毎回毎回チャレンジしているのだが、どうにも「これだ!」という確実な方法を編み出せずにいる。
思えば『みんなのGOLF オンライン』で遊んでいた時代、俺のジャストインパクトの確率は60パーセント程度であった。俺の友だちのMちゃん、Kちゃん、MRさんら、神、天使クラスの段位(簡単に言えば超上級者が持てる段位)を持っていた人たちは8〜9割の確率でジャストインパクトしていたという。そう考えると、いくら無い知恵をしぼってジャストのタイミングを探ったとしても、動体視力やら反射神経やらが衰え始めていると思われる我が身では、3回に1回くらいがちょうどいい線のような気もしてくる……。
虫の木を叩くのが得意! ってハンターの方々。どうかワタクシにステキなタイミングの取りかたを伝授してくだされ……。
失禁寸前までビビらされて「このままポッケ村に帰ろうかな……」とも思ったが、こんなところで敵前逃亡していたのでは、ここから先にやってくるであろうさらなる修羅場に向き合えなくなる。そう、俺はもう戦うしかないのだ。ボコボコにされようが、立ち向かうしかないのである! よーしやってやるわい。かかって来い! ティガレックスッ!! はあはあはあと鼻血が噴き出さんばかりに興奮しながら、俺は決意も新たにガンランスを構え直し、轟竜・ティガレックスが待つ山頂へ再び足を踏み入れた。
前回のコラムでも書いたが、ティガレックスはとにかく動きが速い。対するガンランスは重い武器の代表である。一見、非常に相性の悪い組み合わせで、ガンランスの攻撃などまるで当たらなそうに思えるが、実際はどうか。意外にも、ティガレックスと対峙して何度かつばぜり合いをしてみた最初の感想は「あ、何とかなるかも」というものだった。
俺は逃亡寸前までビビっていたことなどすっかり忘れて、非常に冷静にティガレックスの行動を目で追えていた。がっちりと防御で身を固めて、ドタドタと走り回る轟竜を眺める。突進、噛みつき、岩石飛ばし、そして回転攻撃と、巨体に似合わぬ軽快さでティガレックスは多彩な攻撃を仕掛けてくる。とにかくコヤツは縦横無尽に走り回って攻撃をくり出してくるのでちょっと気を抜くと「あわわわわ……」となってしまいそうだが、冷静に十字ボタンで視点をコントロールし、ティガレックスの居場所さえ確認しておければさほど焦る必要はない。俺は武器を畳んでパタパタと走り回り、ティガレックスが突進や噛みつきで疲れたあとにできるわずかな隙を狙って武器出し攻撃を見舞い、ついでとばかりにボコンボコンと砲撃も食らわせてやった。そのまま防御姿勢を作り、回転攻撃やバインドボイス(ティガレックスのバインドボイスには攻撃判定がある!)を軽くいなす。そしてティガレックスの動きが止まったらボコンボコンと砲撃。これでかなりの頻度でヤツは怯むのだ。そうなったらシメたもんで、余裕でガンランスに弾を込めたり、削られた体力を回復することができる。「いける!」と俺は吠えた。
しかし『2nd』の象徴とも言えるティガレックスが、この程度の攻撃で参るわけもなかった。コイツの真の恐ろしさは、顔と前脚に血が集中し、真っ赤に彩られたことでわかる"怒り"状態に突入したときにこそ現れる。怒り状態に陥ったときのティガレックスのスピード、攻撃力は壮絶を極め、先ほどまで冷静に戦っていたガンランサーをとたんに「あわわわわ……」の状態にしてしまったほどである(俺のことだけど)。恐ろしいことにこの怪物は、猛烈なスピードで真横を通過したと思ったら、カメラを回して視点変更をする間も与えずに真後ろから突っ込んできたりするのである。とてもじゃないが、フルフルやダイミョウザザミにやるように「うらうら、突っつくぞ。ホレホレ」というような、いたぶり半分の気分でツンツクツンと突っつける状況ではない。あっと言う間に間合いを詰められてしまうし、ちょっと遠くに行ったと思ったら岩だか雪球だかわからないがとにかく何か投げつけてくるので始末が悪い。しかもこの怒り状態、ほんのときたま起こる現象だったらいいのだが、どうもこのティガレックスという生き物は生来怒りっぽい性格らしく、非常に単細胞的に「どがぁあああ!!! ムカつく!!」となるもんだから、いっしょにいるこっちはたまったものではない。触らぬ神に……ではないが、怒れる轟竜にはなるべく近寄らないほうがいい。
それでも、俺はめげなかった。逃げ惑いながらもなんとかガンランスに弾を装填し、ティガレックスが容赦なく間合いに入ってくることを逆に利用して、顔やら腹やらにボコンボコンと砲撃を食らわせてやったのだ。これにより、ティガレックスの顔を破壊することに成功。なんか俺、うまいじゃん! さあこうなったら、竜撃砲もお見舞いしてやろう。じつはティガレックスは突進をくり返したあと、虚空に向かってガオガオと吠えるクセ(?)がある。俺はこれを見逃さず、余裕の体でティガレックスに接近し、そのゴツい背中目がけて竜撃砲をぶっ放した! その勢いで、ゴロゴロと転げまわるティガレックス。追い討ちをかけるように詰め寄って、グサグサと顔や背中にガンランスの切っ先を食い込ませる。さあ、決着だ!
砲撃を攻撃の中心に据えたガンランスだけが可能なこの戦法は、この戦いにおいてはハマりにハマりまくったようだ。巨体をヨロめかせながら、ふらふらと飛び立つティガレックス。俺はそれを見逃さず、アイテムにシビレ罠をセットすると、マップ"3"の地点を目指して駆け出した。
そして。
ついに、轟竜の捕獲に成功! 俺は1回も昇天しなかったどころか、回復薬も大量に余したすえに、なんと捕獲まで成し遂げて堂々の帰還を果たしたのである(じつは余裕がなくて尻尾は斬れなかったけど)。
しかしいま思えば、このころはまだ平和だったのだ。はっきり言ってこのときのティガレックスは、まだ成獣になるまえの"ティガレックス見習い"のような存在だったのではあるまいか。
この戦いから数日後、俺は再びティガレックスとあいまみえることになる。そしてそこにあったのは、俺のハンターとしての実績も矜持も名声(あったのか?)も、とにかく俺がハンターとして存在するうえで確かにあったレゾンデートルをズタズタに引き裂く壮絶な敗北だけであった……。そのときの凄絶なる戦いも、いつかここに書きたいと思う。
まあでも今日のところは、勝ててよかった……。
『モンスターハンターポータブル 2nd』において、最初の壁となって我々の前に立ち塞がるモンスターは何か。これはもう、もったいつけずに断言する。圧倒的なパワーとスピード、多彩な攻撃でハンターを翻弄する脅威の存在、轟竜・ティガレックスだ。先日、無謀にもマフモフ装備にガンランスを背負ってティガレックスにケンカを売った話を書いたが、あまりにも絶望的な戦力の差に、俺はボコボコにされた悔しさを忘れてちょっと呆れてしまったよ。そのクエストはティガレックス討伐が目的ではなかったので大きな問題にはならなかったが(一撃で屠り去られたショックで電源切っちゃったけど^^;)、いつか必ず、この強大な存在とガチンコ勝負をしなければならないときがくる。俺はそのとき、ティガレックスと伍するだけの力を身につけているのだろうか? そう不安に思うくらい、ティガレックスの存在感は圧倒的だった。しかし俺の不安など関係ないとばかりに、ついにそのときがやってきてしまった。村★5の緊急クエスト"絶対強者"で、ティガレックスが俺の前に立った。……いや違うな。俺がティガレックスの前に立ったのだ!
俺は対ティガレックスに向けて準備を始めた。武器はもちろん、ガンランス。正直、動きに抜群のキレを見せるティガレックスに重い武器の代表格であるガンランスは不向きのような気もしたが、やはりこのゲームの"象徴"には、いちばん使い慣れた、そしていちばん好きなこの武器で立ち向かいたい。俺は愛用するガンランス"討伐隊正式銃槍"を運命の戦いに備えて入念に磨き上げた(つもりになった)。そして身体に纏うはギザミシリーズの青いヨロイ。武器の斬れ味が落ちにくくなる"業物"のスキルと、一瞬で武器を砥げる"砥石使用高速化"のスキルは、このティガレックス戦でこそその真価を発揮してくれるだろう。そう、このギザミシリーズは対ティガレックスに備えてがんばって揃えたのだ。俺は宇宙刑事を思わせるSFチックな青いヨロイを撫で回し、「どうかわが身をお守りください!」と祈りながら袖を通した。いささか大げさな出陣式のような気もするが、轟竜ティガレックスの存在感は俺の中で、それほど巨大な圧力となっていたのである。ちなみに回復系のアイテムは当然ながら、すべてMAXの状態で持ち込んだ。それどころかアオキノコと薬草までこっそりと懐に忍ばせて、このふたつを合成して回復薬を生産する態勢も整えてある。まさに、準備万端。これでティガレックスに遅れをとるようなら、まだ俺は象徴に挑むことを許されていないってことだ。よし、行こうぜガンランス! 轟竜をぶっ倒しに!!
緊急クエスト"絶対強者"の舞台は、当然ながら雪山だ。設定は夜。雪山の上にかかるオーロラは『2(ドス)』の時代から俺の大好きな風景のひとつだが、あのカーテンの下にティガレックスがいると思うと、ヒラヒラと動く虹色の帯が「おいでおいで」と俺を招いているように見えて急激に恐怖がこみ上げてくる。お、恐ろしい……。しかしあまり怯えてキャンプでウロウロしていると、時間ばかりがドードーと過ぎていく。クエストの制限時間は50分あるが、雪山での飛竜戦は山頂付近(マップ6、7、8の地点)がメインの戦場となる。もしも昇天させられた場合、キャンプからもっとも遠い地点へ再び出向かなければならなくなるので、ものすごく時間のロスになるのだ。なので雪山での戦闘では時間を無駄にしてはいけないのである。俺は恐怖に縛られつつある心を奮い立たせ、一路、山頂を目指した。
そして。
ビビりながら山頂に侵入すると……ティ、ティガレックスがイルー!!(当たり前) 異様に太くて長い尻尾をユラユラと揺らしながら、余裕の体で雪原を歩く轟竜。体色などは砂漠のピョンピョン小僧・ゲネポスを思わせるものがあるが、ちょっとデカいゲネポスだと錯覚して馴れ馴れしく接近すると痛い目を見るのは明らかである。しかし俺はコヤツがゲネポスではないと知っていたので、慎重に慎重を期してソロリソロリとティガレックスに接近しようと試みた。姑息にも気づかれないうちに足元にシビレ罠を仕掛け、顔っ面に一発、挨拶がわりの竜撃砲をぶっ放してやろうと思ったのだ。しかし懸命の努力もむなしく速攻でティガレックスに存在がバレ、あっと言う間に対戦のゴングが鳴ってしまった。悪いことはできないものだねェ。まあでも、いつかはこうなるのだ。俺は腹を決めてティガレックスと対峙した。こいつを倒して、雪山最強の男になってやる!
「さあ来い!!」
と俺は轟竜に向かって吠えた。我ながら、ものすごい虚勢である。対するティガレックスも俺が搾り出した殺気を感じ取ったのだろう、四肢を踏ん張り、刃物のように発達した前足を誇示するような態勢で「バオオォオオオ!!!」という強烈な咆哮を返してくる。それを聞いて、本気でチビりそうになる俺。思わず、「おいおい、あまり本気になるなよ……」と困り笑いとともに画面に向かってささやく。しかし、ティガレックスは本気だった。対峙した瞬間、我が分身との距離はけっこう開いていたのだが、発達した前脚で雪原をつかんだかと思ったらグワっとそのまま大地を蹴り、一気に前に飛び出してきたのだ! 凄まじいスピード! 俺はまったく避ける間も防御する間も与えられぬまま轟竜タックルを思いっきり食らい、冷たい雪原に投げ出される。その一撃で、なんと体力が半分に減少!! こここ、こいつはかなわねぇ……。で、出直しだ出直しだ……。俺は「ふ、振り向いたら襲われる!」とばかりにティガレックスに背を向け、一目散でマップ切り替え地点まで走った。恥も外聞もない逃走劇であった。
なんとかティガレックスのいない地点まで、命からがらに逃げ出してきた我が分身。しかしこのまま、ポッケ村まで逃げ帰ってしまっていいものだろうか? 確かに本気でチビりそうになるほどの恐怖を覚えたが、いまのは出会い頭の一発を食らっただけで、俺とティガレックスの勝負は始まってもいないのではあるまいか?
「よーし」
と俺は腕をしごいた。いまの一撃で俺を屠り去れなかったことをティガレックスに後悔させてやる。背中を向けて逃げちまったんだ。もう、かけるだけの恥はかいた。あとは攻めるだけだ。砲撃も竜撃砲も、俺はまだヤツに見舞ってないのだ。もしも本当に戦力の差が絶大でハットトリックを食らっても、また挑戦すればいい!
「よーし!」
と俺は決意を新たにした。まだ負けてない! 俺はティガレックスが待つ戦場に、再び足を踏み入れた。さて勝負の行方は……。
長くなったので、続きは次回!
さあ本日はお待ちかね、"ランス"がテーマです。誰が待ちかねていたのかというと、俺ですオレ。『モンスターハンターG』や『モンスターハンターポータブル』ではランスをメイン武器にしていたので、ランスのことを書きたくて仕方なかったんです。それにやっぱり、この"ランス"を発展させたものが我が愛する"ガンランス"ということもあり、やっぱり俺の中ではちょっとほかの武器とは位置づけが違うものだったりするのだ。さあて、気合を入れて書くかな。
ランスは初代『モンハン』から登場するおなじみの武器だが、ぶっちゃけて言うと俺が持っていた当時のランスの印象は"地味"のひと言に尽きた。初代『モンハン』のころ、俺はかなり徹底したガンナーで、たまーに片手剣を使う程度でランスやハンマーはまったく触ったことがなかった。よって俺のランスに対する評価の対象は、ランスをメイン武器としていたファミ通編集者の中目黒目黒(アカレンジャ)の活躍だけだったのだが、いま思うと彼はかなり極めつけのヘタレランサーであった。「俺のメイン武器はランスです!」と声だかに叫んでいたわりには持っているランスはオーガーランス1本のみ。慌てるとモンスターの足元に生肉を置くクセがあり、たまに突進をする程度でランスの特性を活かした使いかたをしていたとは口が裂けても言えない。……でもこれは自分がランスを使うようになったからわかったことであって、当時は彼の使用方法がランスそのものだと思っていた。これにより不幸なランスは俺の中で"地味"という不名誉な烙印を押されてしまったわけである。つまり全部、中目黒目黒が悪い。
そんな"負"の印象を持っていたランスをなぜ使うようになったのか。それは初代『モンハン』をほぼ遊び尽くし、「最近、やることがなくなったなぁ」と思い始めたころに、「そうだ。せっかくだからいままで使ったことのない武器を作って遊んでみよう」と思ったのがきっかけだ。で、真っ先に作ったのが中目黒目黒が地味に使っていたランスだったのである。適当なランスを1本作り、何度か使ってみて驚いたのだ。「こいつはおもしれえ!!」と。そしてそれ以上に、「こいつはとんでもなく強い武器だ!」ということに衝撃を覚えた。
以来、俺はランスの虜となった。初代の拡張版として登場した『G』では最初からランスオンリー。『2(ドス)』からはランスの派生タイプであるガンランスをメイン武器としたが、これも長年の"ランス愛"がそうさせたことは間違いない。
ランスは強かった。確かに派手さはあまりないが、攻撃、防御ともども、非常に秀でた武器なのである。ガード性能+1以上のスキルを着けたら、それはもう鉄壁の動く要塞である。攻撃方法は中断突き、上段突き、そして突進くらいしかないが、ガードを固めながら動くことができるのでジリジリと敵ににじり寄って懐にもぐりこみ、腹や腿の内側などモンスターがいかにも嫌がりそうな部分を集中的に突っつける。この、「ホレホレ、ここがイヤなのか、ウラウラ」という陰険さがタマラナイ。ジリジリ潜り込んでツンツンツンと上段突きをしたら方向キーと×ボタンでサイドステップ。再び嫌がるモンスターをガン無視して足やら首筋やらをツンツンツン……そしてサイドステップ。このくり返しで集中してモンスターの弱点を攻撃することができるのだ。機動力がない、と見られがちな部分も、突進で一気に敵との距離を詰めることができるのでランスを使ううえでのネックにはならない。攻守のバランスがとれた非常に優秀な武器と言えよう。
さて問題は『2nd』になってランスがどんな武器になったのか、ということだ。俺は攻撃力299、防御力+6の付加効果つきで、緑ゲージがたっぷりある"ランパート"というランスを持ってイャンクック討伐に出かけた。結果は、ほんの数分でクックの耳を壊し、逃げようとするところを「ちょっと待てよ〜^^」と言わんばかりに突進で追いかけてトドメを刺してしまうという、クックからみたら嫌がらせ以外のナニモノでもない倒しかたで屠り去ってしまった。突進が一定距離を進むと加速することや、ステップが3回連続で踏めるようになったことなど、攻守両方でランスはパワーアップしたようだ。ただ、俺の腕が悪いのか、『2nd』のやりすぎでPSPのボタンがフガフガになってきてしまったのか、連続でツンツンツンと突っつくタイミングがまだよくわからない。それと、これはもうランスにずっとつきまとっている問題、というか短所なのだが、やはり雑魚敵(とくに、ヤオザミ類、ランゴなどの虫類)と戦うときのイライラは筆舌に尽くしがたいものがある。一説によると、渚の黄昏暗殺者・ヤオザミは、ランスキラーとして導入されたと言われているが、"前方を突っつく"というあまりにも攻撃範囲が狭小な特徴を持っているため、ランスはヤオザミに代表されるちょこまかと動き回る敵や横に回りこむ動きをする敵は非常に苦手なのである。『2nd』でも、その点はまったく変わっていない。なので新たにこれからランスを使ってみようと思っている人は、"雑魚こそ注意!"というランサーに代々伝わる格言(俺が作った)を忘れないようにしていただきたい。
というわけで、本日も独断と偏見に満ちた点数を。大好きなランスってことで、独断と偏見を絵に描いたような点数をつける気がする。まあ、これはあまり気にせずに^^;
・扱いやすさ……★★☆
・強さ……………★★★★☆
・機動力…………★★
・かっこよさ………★★★★☆
・対地上ザコ……★★★
・対ヤオザミ……☆
・対空中ザコ……★★
・マゾ度…………★★
なんか改めて点数つけると、けっこう低くなるもんだな……。と、自分でつけた点数を見て感心してりゃ世話ないですね。
モノブロス、っているでしょう。そう、長い角を鼻っ面からニョッキリと生やした砂漠のアイツです。ベテランハンターには、もうおなじみの存在ですね。で、思ったんだけど、なんかコイツ、強くね……?
何をいまさら……と思われるかもしれないが、俺は過去のシリーズに出てきたモノブロスと比べても、この『2nd』のモノブロスは強くなってるのではあるまいか、と問題提起(オーバーだな)したいわけですね。具体的に、「体力どれだけ上がって耐性がこんだけ増えて攻撃力がこのぐらい増してるから数値の上でも強くなったことが証明されているんですよ! くわ!」……なんて言えればいいのだが、相変わらず俺は「なーんか感覚的に強くなった気がするんだよナァ」程度のきっかけからここに駄文を連ねるので、本当に数値的に強くなったのかどうかは知りません。すいません。俺はベテランハンターらしい嗅覚と感覚でモンスターが跋扈するこの荒野で生きてきたのだ。なのできっと、モノブロス強くなった説も正しい。そう思って、読んでくださいな。
さてモノブロスだが、こいつは初代『モンスターハンター』の時代から砂漠で暴れまくっている獰猛な古参モンスターだ。ディアブロスと同じ"角竜"に分類されており、巨大な真紅の角が最大の特徴。ここで、"砂漠のプロレスラー"ことディアブロスの仲間ってだけで多くのハンターが「んだよ、アイツの仲間かよ……」と眉をしかめたことであろう。ディアブロスは体力、スピード、攻撃力、外殻の堅さといった要素が非常に高度な次元でバランスされており、ってことはハンターからみたらこれほど迷惑なバランスもないわけで、この血をしっかりと引き継いでいるモノブロスも当然のように、じつに目障りな存在なのである。プレイステーション2版の『モンハン』、『モンハンG』、『2(ドス)』ではシングルモードのみに登場するモンスターとして設定されていたため、オンラインモードだけをプレイしていたハンターは会うことができなかった。が、PSP版の2作品はシングルモードを遊びこむことがメインの作業となっていたりもするので、ほぼすべてのハンターが、この砂漠の暴君と対峙することになる。
というわけで説明が長くなったが、俺も行きました、モノブロス狩りに。……でも俺、じつは角竜はかなり苦手なのだ。『2nd』になってから苦手になったわけではなく、もう初代『モンハン』の時代から「できることなら角が生えた連中とはお友だちになりたくない」と思っていたクチである。角満なんて名乗ってるくせに角が苦手なんて言うな、と言われそうだが、俺の"角"は"つの"じゃなくて"かど"と読むので角竜とはいっさい関係がない。どうでもいいですね。そうですね。俺の友だちのBなどは「ディアもモノも大好き! 角竜と戦っているときがいちばん楽しい!」などと恐ろしいことをほざき、実際に『2(ドス)』のときはディアブロスもモノブロスも数百匹単位でぶっ倒していたという剛の者だが、こういったハンターはかなり珍しいのではあるまいか。
とまあ、またまた余計なことを書いていると話がまったく進まないので、強引にモノブロス狩りに話を戻そう。冒頭で"モノブロスが強まった"と書いたが、本当にまったく倒せる気がしなくて参ってしまったよ。それなりの強さを誇るガンランスを背負っていったのだが、角は折れねえわ尻尾は斬れねえわ討伐時間は35分を越えるわで、「あーもうこいつとは絶対遊んでやらねえ!」と宣言したくなるくらい、手こずらされた。しかもぜんぜん歯が立たないもんだから俺は疲労と恐怖で情緒不安定となり、モノブロスの攻撃から逃げ惑いながら回復薬を飲もうとしたつもりが、思いっきり慌て間違えてこんがり肉を戦場のど真ん中でむさぼり食い、「決闘のさなかにメシなんか食ってんじゃねえええ!!」とばかりにモノブロスに強烈なタックルをかまされて1発で昇天するありさま。これまでのシリーズではどう考えてもここまで苦戦はしなかった。というわけでようやく、冒頭の"モノブロス強まった説"を裏付ける根拠がここに提示されたわけである。パチパチパチ。
え? 武器がガンランスだから苦労するんだ、ですって? そ、そんなことはありませんよ。ガ、ガンランス最高。ガンランス万歳。
でもあえて、ほかの武器でどれくらいの速さで倒せるのか……については、検証する気、ありませんけどネ^^
本日のテーマは片手剣。何を隠そう俺は、「あーもうダメ。こいつ絶対倒せねえ……」って感じで飛竜に泣かされて帰ってくると、すぐに倉庫に潜り込んで凶悪な片手剣を引っ張り出し、「さっきはよくも!!」と急に強気になって復讐に向かう……ってくらい、じつはこの武器を頼りにしている。片手剣は『モンスターハンターポータブル』や『2(ドス)』では"最強"の呼び声も高かったが、『2nd』ではどんな感じになったのだろうか?
さっそく俺は"ポイズンタバルジン"を作成した。毒属性の片手剣である。ポイズンタバルジンは"誰もが一度は通る剣"という冠(俺が作った)つきで呼ばれるくらいポピュラーな武器だ。初代『モンハン』の時代から存在する見慣れた剣ではあるが、攻撃力182、毒属性240、緑ゲージ少々というスペックはなかなか手になじむもので、"最初に手にする毒属性武器"としても独特の存在感を放っている。少々心もとない性能のように感じるかもしれないが、堅い外殻を持ったモンスターもスパスパ斬れるという片手剣ならではの特性もあって、ポイズンタバルジンは飛竜にも真っ向勝負ができる"中堅中の中堅"的な武器となっている。
というわけでさっそく、ポイズンタバルジンを片手にイャンクック討伐に出かけた。今回も、相手はイャンクック。「うえー。またオマエかよ」とクックに言われそうだが、何度でも出向く。試し斬りの相手は、アンタしかおらぬ。
片手剣の最大のセールスポイントは、何と言っても"軽さ"であろう。普段ガンランスをやっこらせえと背負いながら戦っている俺に言わせると、もう風船のように軽い。軽くて軽くて、意味なく片手剣を手にうっひょっひょ〜と笑いながら草原を駆け回りたくなる衝動が沸き起こるほどだ。この軽さは戦闘でも強力な武器となり、これでもかと言うほど飛竜を翻弄できる。基本は走り込みながら△ボタンの武器出し攻撃。あとはテキトーに○ボタンやら△ボタンを押してザクザクと斬り、飛竜が「こんにゃろ!」とイカったら、それをあざ笑うかのように×ボタンを押して回避行動。もう、これでオッケー。抜刀していても機動力にほとんど変化はないので、△+○のジャンプ斬り(スーパーアーマー状態になるから便利)でモンスターの懐に飛び込んで、あとはザクザクザクのくり返し。ちょこまかちょこまか動き回って、飛竜から見たらこんなにムカつく武器はないのではなかろうか。
しかも片手剣は『2(ドス)』の時代から、抜刀しながらアイテムが使えるようになった。『2nd』ではR1ボタンを押した防御体勢をとってからじゃないとアイテムは使えないが、それでもこの能力が片手剣の性能をさらに高めているのは間違いない。しかも(多いナ)この、防御体勢でアイテムを使うときの"悪いことしてる感"がなんともゾクゾクとさせられる。飛竜や、パーティープレイ中だったら仲間にも背を向け、コソコソと懐からアイテムを取り出して隠れるように食料やら回復薬を口にする……。なんとなく猛暑の中で部活をやってて、先輩に「トイレいってきまあす!」と申告してトイレに行くフリをして、じつは水道で水をガブ飲みしていた高校1年の夏を思い出させてくれる。しかしふだんから片手剣を使っていないと、なかなかこの"R1ボタンを押しながらアイテム使用"という行動をとれないネ。ついついクセで、武器を収納してからアイテムを使ってしまうのだ。せっかく、片手剣使いにだけ許された便利機能なので巧みに使いこなしたいのだが、このへんはやはり、にわか片手剣使いの悲しいところか。
さてこんな感じで、片手剣はとても使いやすい武器でした。初代『モンハン』の時代から片手剣を愛用している友だちのBによると「『モンハンポータブル』のときほど強くない感じ」ってことだったが、それほどこの武器に精通していない俺にはよくわからんかったっす。ひとつ、確実に言えるのは、やっぱり片手剣は新米ハンターさんにもっとも扱いやすい武器だ、ってこと。ブンブンと剣を振り回して×ボタンでクルクルっと回避行動したと思ったら、すぐに立ち上がって再び斬り込む……というスピーディーな動きは片手剣だけのものだし、この動きがガチャガチャとボタンをいじくり回しているだけでけっこうできてしまう、ってのがまたステキ。そしてこのガチャガチャを自分でコントロールできるようになれば、それはそれは華麗な舞でモンスターを翻弄できるようになる。やっぱりいいな、片手剣は。
さあそんな片手剣に、独断と偏見に満ちた俺ならではの点数をつけてみよう。あくまでも、俺の主観です。(★が1点、☆が0.5点で5点満点)
・扱いやすさ……★★★★★
・強さ……………★★★☆
・機動力…………★★★★★
・かっこよさ………★★☆
・対地上ザコ……★★★★
・対空中ザコ……★★
・マゾ度…………★★☆
あ、そうだ。試し斬り相手のクックは5分ほどで料理できましたヨ。
今回はちょっと趣向を変えて、武器を使ってみたインプレッションのようなものを書いてみたい。といっても"アイアンソードについて徹底的に語る!"という地味に無茶な決め打ちではなく、"大剣・太刀"、"ランス・ガンランス"といった武器カテゴリーごとのインプレッションだ。「オマエはガンランスしか使ってないんじゃないのか!」という声がグラビモスのレーザー光線並みの勢いで飛んできそうだが、ガンランスのよさを世に広めていくためにこそ、ほかの武器も知る必要があるのだ。本当にガンランスしか使ったことないのに「ガンランス、いいぞいいぞ!」というのではあまりにも視野が狭小と言わざるをえない。一方定な主張ではなく、きちんと相対的に、客観的に見たうえでいろいろと判断してきたいのである。
……と、かっこつけてきれいごとをベラベラと並べ立ててみたが、じつは単純にいろんな武器が使いたくなったのだ。だって武器リストを見ると、『2(ドス)』までにはなかった新しい武器が目白押しなんだもーん。「使うな!」というほうが無理なのだ。誰もそんなことは言ってないけどネ。
さて、今回テーマとして取り上げる武器は"大剣"だ。"ハンターは最後に大剣に帰る"という格言があるくらい(俺がいま作ったのだが)、『モンスターハンター』シリーズではポピュラーな武器カテゴリーである。何を隠そう、俺は『2(ドス)』の時代に「あんたのメイン武器って大剣なんでしょ?」と言われたことがあるくらい、この武器には精通していたりするのだ。
今回はインプレッションを書くにあたり、各カテゴリーごとに中堅クラスの武器を揃えて使い込んでみようと考えている。せっかくなので使い心地とともに、どの武器がどのくらい強いのか、ってことにも言及してみたい。
大剣では"フルミナントソード"という雷属性の武器を作ってみた。『2nd』で初登場となる新武器で、その名のとおり、フルフルの素材をもとに作られている。攻撃力624、雷属性220、緑ゲージもそれなりの長さと「まさに中堅!」と叫びたくなるくらいバランスのとれた数値を誇っている。
さっそくこの大剣を携えてイャンクック狩りに出かけた。やっぱり試し斬りはクックがイチバンである。とくに理由はないのだが、初代『モンハン』の時代から"試し斬り=クック"の図式は変わらない。クックからみれば迷惑このうえない図式ではあるが、これは仕方のないことなのである。
フルフル模様(?)の大剣を背負ってイャンクックを捜す。そのまえにとりあえず、ピョンピョンと飛び跳ねて接近してきたランポスの脳天に1発、フルミナントソードを振り下ろした。すると見事にその一撃で、ランポスが昏倒してしまったではないか。おお、こいつはなかなか強いぞ。大剣は操作もシンプルで、走って敵に接近して△ボタンで武器出し攻撃、その勢いで○ボタンを押してなぎ払い攻撃、そのまま剣を収めずに△+○ボタンで斬り上げ攻撃を行う。この3つの攻撃方法で、モンスターの妨害さえなければ永遠に斬り続けることができる。つまりヘタをすると、最初に走り込んでの武器出し攻撃が当たったあとに連繋攻撃がうまく繋がれば、そのままモンスターが昇天するまで攻撃し放題になるのである! ……まあそんなのは夢想もいいところなのだが、そういう無茶な考えが頭に浮かんでしまうほど、大剣は攻撃しやすい武器だ。しかもPSPの『2nd』の場合はシングルプレイが多くなるだろうから、パーティープレイでは嫌われがちな斬り上げ攻撃(味方をふっとばしてしまう)、なぎ払い(味方を躓かせる)も遠慮なく繰り出すことができる。そういう意味でも大剣は、『2nd』向きの武器と言えるのではなかろうか。
さて、そんな大剣で挑んだイャンクックだが、わずか5分程度で片付けることができた。前述の連繋攻撃に加えて、大剣の伝家の宝刀、ため斬りを要所要所で見舞っての完全勝利である。ため斬りは△ボタンを押し続けることで出せる必殺の剣で、押している時間の長さによって3段階の強さがある。最強の3段階目まで力をためるのはけっこう時間がかかり、モンスターの攻撃に対して無防備になるのでそれなりにリスキーだったりするのだが、モンスターが倒れたときや飛翔からの着地地点で構えてお見舞いするとものすごく効果がある。うーん、いいな大剣。
大剣の攻撃はシンプルながら大きな威力を秘め、そのうえ防御もすることができる。まさに攻防一致の万能な武器。見た目も派手だし、初心者からベテランまでカバーできるという意味では、『モンハン』シリーズに登場する武器カテゴリーの中でも特筆してバランスが取れているような気がする。まあ、バサルモス、グラビモスといった外殻が堅いモンスターだとほぼすべての攻撃が弾かれてしまうという短所もあるが、これは大剣に限ったことじゃないしな。
こんな感じで、大剣はとてもいい武器でした。フルミナントソード以外にも、何本か欲しくなってしまったよ。点数をつけるとすると以下のようになる。あくまでも、俺の主観だけどね。"強さ"とか、実際の数値を見たらまったく俺の意見と相反するものがあるかもしれないが、"クエストを遂行するうえでの強さ"ということで、テキトーに読み流してくださいな。(★が1点、☆が0.5点で5点満点)
・扱いやすさ……★★★★
・強さ……………★★★★
・機動力…………★★★
・かっこよさ………★★★☆
・対地上ザコ……★★★★★
・対空中ザコ……★★★★☆
・マゾ度…………★★
この点数つけるの、楽しいナ。思いついたら、こっそり項目増やしとこ……。
週刊ファミ通の『2nd』攻略ページをパラパラとめくっていると、なにやら見慣れない装備が目に飛び込んできた。ぱっと見、バトルスーツを着たライダーのようである。(マッドマックス……)という単語が脳裏をよぎる。さらに(世紀末救世主……)という単語も俺の言語中枢でビチビチと活きよく跳ねる。……かかか、かっこいい!! こう見えても俺は、根っからのライダーなのだ。まさにこの装備のようなプロテクター入りのゴツい革ジャンを着て、大型バイクに乗って奔りまわっているのである(もちろん法定速度内で)。これはもう、俺に作れと言っているようなものではないか!
よし作ろういま作ろう! ということで、俺はその装備の詳細を読んだ。"オウビートシリーズ"とそこには書いてある。うーん、まったく初めて聞く単語だ。作るのに必要な素材は何だろう。ヨロイの作りからして、何となく虫の素材を使うような気がする。"オウビート"は"王ビート"だろうか。そこまで考えてさらに攻略ページを読み進めると、"オウビートシリーズのキー素材はオオツノアゲハ"との記述が。……お、おおつのあげは?? 何だそいつは……。アゲハは、いわゆるチョウチョのアゲハであろう。つーことは、虫網持って草むらに突入すれば難なくどっさりと捕獲できるのではなかろうか。いやそうだ、そうに違いない。俺は単細胞の本領を発揮して、何ら確たる情報を得たわけではないのに虫網をじゃらじゃらと小脇に抱えて、まずは密林に飛び出していった。密林から戻るころには、オウビートのカブトを作るくらいは素材が集まっていることであろう。うひひ。
ところが、密林マップで自分の知る限りの虫採取場所で網を振るってみたが、取れるのは釣りバッタや虫の死骸といった、オマエあっち行け的な素材ばかり。どうやら密林に、オオツノアゲハは棲息していないらしい。
続けて、俺は砂漠マップに突入した。個人的に砂漠には、あまり虫のイメージがない。でもそういうところだからこそ、珍しい昆虫が潜んでいるような気がする。俺はウキウキしながら、知る限りの砂漠の虫棲息地帯で網を振るった。しかしここでも、捕れるのは釣りバッタばかりである。
「俺はそんなに釣りキチじゃねえ!!」
と、俺は釣りバッタを叱責した。八つ当たりもいいところである。しかしどうにも、オオツノアゲハは出てこない。その後、雪山や森丘マップでも捜してみたが、1匹たりとも捕まえることはできなかった。俺の捜しかたが甘いのだろうか……。
俺はうなだれて村に帰ってきた。せっかく作りたい防具が見つかったのに、素材がまったく手に入らないなんて……。……こうなったらプライドを捨てて、モンハン隊長の河合リエに「オオツノアゲハの居場所おしえて〜〜〜」と懇願するか……。いや、そんなことをしてもピシャリと「ダメ!!!」と言われるに決まっている……。どうしようどうしよう……。
そして俺は携帯電話を取り出した。こうなったら、ネット仲間に教えを請うしかない。仲のいいBに「オオツノアゲハが欲しいよー;;」とメールする。いったいどっちがゲーム雑誌の人間なのかわからないが、こうするより手がないのだから仕方がない。そしてすぐに、Bから返信があった。ワクワクしながら開封。するとそこには、あまりにも衝撃的なひと言が……。
「え? オオツノアゲハ? あれだったらポッケ農場で捕れるじゃんw」
!!!! マジか……。さらに、Bのメールには続きが……。
「ていうか、ファミ通の3月16日号にそう書いてあるけどww」
俺が悪かった……。
タイトルにあるとおり、『モンスターハンターポータブル 2nd』の国内累計出荷本数が100万本の大台を突破した。すごいすごい!! PSP用ソフトとしては初のミリオン突破である。売れるだろうとは思っていたが、いやはや、こんなに早いペースで100万を越えるとは……。ちなみにファミ通調べによる2月19日〜2月25日の1週間(つまり『2nd』発売週ね)に売れたPSP本体の数は、約93500台。じつに前週より56000台も増えているのである。これぞまさしく、ハードを牽引するキラータイトル! ってところか。
それによくよく考えてみると、ファミ通調べによるPSPの累計販売台数は約500万台。ってことは『2nd』は、日本の全PSPユーザーの5人にひとりが手にしたことになるわけか……。うーんこれは、PSPコミュニティーにおける社会現象ってくらいの普及率の高さである。発売から3週間が経過したが、まったく熱が下がらない『2nd』フィーバー。それどころか、これからモンスターハンターフェスタなども行われるし、熱は上がる一方になりそうだ。
と、100万本があまりにも感慨深い出来事だったので思うままに書いてしまった。
本来のプレイ日記っぽいブログは、諸般の事情で本日の深夜0時にアップしますね^^;
かなりまえの話になるが、村の★1クエスト"忍び寄る気配"を受注した。もうクエスト名自体が、「怖いの出るぜ、うひひひひ」と忍び笑いしている感じである。ゲームの舞台設定や村人たちの発言を鑑みると、ここで忍び寄ってくる怖いモンスターは"アレ"しか思いつかない。まさか意表をついて、雪山ってことでグラビモスくらいデカいガウシカが出てくるわけもなかろう。……まあそれはそれで十分怖いのだが、忍び寄ってくる、って感じではない。ここで現れるのはそう、轟竜・ティガレックスだ!
そうとわかれば(って、勝手にそう思っただけだが)、入念に準備をせねばならぬ。クエストの成功条件はポポノタンを3個納品するだけだが、んなヌルいことを言ってる場合ではないのだ。ずっと先のクエストでティガレックスとはあいまみえることになるのだろうが、そんな先まで待たずとも、この最初の出会いでボコボコにしてやればいいではないか! 先日、『2nd』発売まえにエンターブレインで行われたイベントで、お笑い芸人、アメリカザリガニがティガレックスのあまりの強さに泣きそうになっていたが、俺ほどのベテランハンターならばそうそう遅れはとるまい。クエストの制限時間は20分と短いが、オノレの存在感を見せつけるにはちょうどいい時間であろう。俺はナゾの自信に後押しされながらクエスト出撃の準備に奔走した。持って行く武器は、もちろんガンランスだ。防具は、ほんのちょっと頼りないかなと思ったのだが、それしかなかったのでマフモフシリーズを装着。見ると、合計の防御力は"5"となっている。え? ごごご、5? マジで? このゲームは後半になれば防御力300や400はザラの世界である。もしかすると、俺はとんでもなくムチャなことをしようとしているのだろうか? あ、でも雪山にぴったりのスキル"寒さ【大】無効"がついている。これがティガレックスにどれほど有効なのか皆目わからなかったが、何もないよりはいいだろう。俺は防御力の若干の低さを補うために、序盤では貴重な回復薬グレートを限界数(10個)と、回復薬、薬草まで持ち出し、ティガレックスが待つと思われる雪山へと向かった。
とりあえずクエスト目的のポポはシカトして、ティガレックスを捜す。おそらく、山頂付近のマップ6、7、8のどれかにいるだろう。そう思って6の地点に行くと……ムービーキター!! やっぱりティガレックスだ! っていうか初めて自分のPSPで姿を見たけど……こいつ、おっかねえ!! ガンランスとマフモフ装備で相手になるのだろうか……? 少々不安になりながらも、「なんのなんの」と強がって、俺はガンランスを構える。つまり、猛る轟竜にケンカを売ったわけだ。俺のナメた態度と装備を見て、明らかに怒り心頭に発しているティガレックス。調子に乗って「オラ、かかってこい!」と画面に向かって吠える俺。すると本当に、ティガレックスの巨体が遠くから飛んできた。は、はええ!! ビビって画面の中の分身どころか、操作するオノレ自身も金縛り状態となる。金縛りにあった、っつーことは右手の人差し指も動かなくなるわけで、そうなるとつまり右手人差し指が担当している防御ボタン(Rボタンね)も押せなくなるってことで、ようするに(回りくどい)、ティガレックスの最初の一撃が、思いっきり直撃したわけである。
「あ!!!」
と俺は編集部に響き渡る声で絶叫した。たった1回、タックルを食らっただけなのに、我が分身の体力、ほとんどゼロに……。それでもなんとか立ち上がり、俺を虫けらのように蹴散らした勢いでそのまま走っていってしまったティガレックスの背後にかけより、強引に竜撃砲の体勢をとる。あまりにも俺が小物すぎて視界に入らないのか、ティガレックスは誰もいない前方に向かってガウガウと吠えている。チャンス! 切っ先に集中する火焔。竜撃砲、発射!! ボワンという巨大な炎に包まれる轟竜。……しかし俺の渾身の竜撃砲などちょっとした花火くらいにしか見えなかったのか、平然としているティガレックス。……こ、こりゃ無理だ!!! 逃げろ逃げろ!!! 俺はプライドも根性もかなぐり捨てて、ティガレックスに背を向けた。こんな装備で『2nd』の象徴とも言えるモンスターに立ち向かおうとしたこと自体、間違いだったのだ(当たり前)。ごめんなさいティガレックス。どうかどうかお見逃しを!! しかし、あまりにも弱小とは言ってもオノレに牙を向けた生意気な挑戦者を、このツワモノが見逃すわけもなかった。ティガレックスは「追いかけるのもメンドクセ」とばかりに片手を上げると、つかんだ雪玉(?)を俺の背中めがけて放り投げてよこすではないか。当然のように雪玉に直撃する俺。俺はその一撃であっけなく、昇天してしまった……。
俺は自分の愚かさ加減に、ほとほとあきれてしまった。このゲームには、未熟者では踏み込んではいけない神聖な領域があるのだ。ハンターとして成長していく上での巨大な壁……。初代『モンスターハンター』で俺の前に立ち塞がったリオレウス、『2(ドス)』で何度も俺を踏みつけたクシャルダオラ……。強大だった彼らの影を、俺はティガレックスに重ね合わせた。
「いつかこいつと、対等に渡り合える日が来るのだろうか……?」
答えが出ぬまま、俺はPSPの電源を落とした。そして、ポポノタンを納品するのを忘れていたことに気がついた……。
先日、草食獣のくせにハンターにタックルをかましまくる"ガウシカ"の勘違いっぷりを書き連ねたが、読者の方から「ちょっと待て」との意見が届いた。その方いわく、「空気読めなさ加減からいったら、アプケロスに敵うものはいないでしょう」とのこと。うん、確かに。俺もあの、草食獣のフリをした砂漠の武闘派カメ野郎については、いつかここで糾弾してやろうと思っていたのだ。……それにしてもまたまた本日も、ゲームの進行にはまるで役に立たないことを長々と書き連ねる予感がする。しかし、俺が無理して攻略的なことを書いたところで全国のハンターの方々に混乱をお届けするだけなので、俺はこれからも毒にも薬にもならないことを書き続けるのだ。いいんだいいんだ。
アプケロスは初代『モンスターハンター』から登場している、いわゆる"古参モンスター"だ。砂漠や火山など気温が高い……っていうか、酷暑もいいところの"激暑"な地域に生息している。そのためか、色白でいかにも軟弱そうなアプトノスと比べると、じつに健康そうに日焼け(火焼け?)している。「インドアで紅茶を飲みながら絵を描くのが趣味ですわ」とアプトノスが言えば、アプケロスはそれをせせら笑い「なぁにが絵を飲みながら紅茶を描くだ! 外に出ろ! キャンプだ! バーベキューだっ!!」と騒ぐタイプ(のような気がする)。アプトノスが「今日のランチはカフェでパスタ♪」と言えば、アプケロスは「昼飯はカツ丼しか食ったことねえ!!」と怒鳴るに決まっている(あくまでも俺のイメージだが)。完全なる体育会系。俺も体育会系の男なので何となくアプケロスの気持ちがわかるのだが、この鼻血が噴出すほどの気合の入りかたは、正直、あまり格好よくない。ていうか、ウザい。
『モンスターハンター』の世界における草食獣の役割は、その大部分が"ハンターの食料"ということになろう。多くのハンターたちが斬れないハンターナイフを片手に最初に襲い掛かるのが、前述の軟弱草食獣・アプトノスとなる。アプトノスは本当に穏和な性格をしているのでほとんど反撃も受けずに、初めての狩りでもなんら問題なく倒すことができる。これのおかげで「アプトノスでこんなもんなら、同じような名前のアプケロスもチョロいもんだろう」と思ってしまうところだが、実際はまったくそんなことはない。アプケロスは、必要以上に手強い。なんたって体育会系だから体力は無尽蔵。初期装備のハンターナイフあたりでは、いくら突っついてもピンピンしていて「今日も暑いね! わっはっはー!」とか言っている(ような気がする)。しかもやたらと好戦的で、こっちが何もしていないのに「よう! そこのあんちゃん! ちょっと待ちなよ〜!」と言いながらからんでくる。じつに暑苦しい。
そしてアプケロスのウザさが極限に達するのが、砂漠でディアブロスなどの手強い飛竜と戦闘しているときだ。こっちは強豪・ディアブロスで手一杯だっつーのに、アプケロスは「よう! そこのあんちゃん!」と言いながら、まるで空気を読まずに接近してくる。これが接近してくるだけならまだいいのだが、恐ろしいことにアプケロスはこちらがシカトしてると「よう! 無視すんなよ〜!」とばかりに自己の存在をアピールしはじめ、挙句の果ては怒り出して頭突きや尻尾アタックを繰り出してくるようになるのだ。ちょっと気を抜けばあっという間に屠りさられかねないディアブロスを相手にしているときに、「ようようよう!」とちょっかい出されるのはたまったものではない。これは、ひとつの話題でめっちゃ盛り上がっているところにまるで関係のない話を振りかざして割り込んできて、周囲を絶対零度の空間に変えてしまうおっさんに似ている。シカトを決め込んでもいつまでも「ようよう!」と絡んでくるし、いい加減頭にきて黙らせようと思っても、やたらと体力だけはあるものだからなかなか昇天してくれない。うーん。
もちろん『2nd』になっても、アプケロスの暑苦しい性格はちっとも変わっていない。どうやら、暑苦しいくせに周囲を凍らす言動をとることが、アプケロスのレゾンデートルのようだ。こういう、ウザさの極限にあるおっさんを見て、なんとなくOL風のケルビあたりは「ほんと、アプケロさんって空気読めないわよね(冷笑)」と陰口を叩いている気がする。いや、そうに違いない。
こんなアプケロスを見て思うことはただひとつ。
「こういうおっさんにはならないようにしておこう……」
これに尽きる。
3月2日より"桃毛獣連続狩猟"なるダウンロードクエストが配信となった。ダウンロードクエストってのは、無線LAN環境下で"イベントクエスト"をダウンロードして遊ぶことができるサービスのことですね。ゲームショップなどに設置されている"PlayStation Spot"からもダウンロードできるようになったので、多くのハンターたちがこのサービスを利用しているのではなかろうか。当然ながら俺もさっそく、この最初のダウンロードクエストをゲットした。見ると、"桃毛獣連続狩猟"の冠に"ファミ通"の文字が入っている。なななんと、このクエストはファミ通主催によるイベントクエストだったのであるっ! しかも条件を見ると使用武器は、ががが、ガンランス限定!! ファミ通でガンランスといえばまさしく俺のことだが、ここまでキッパリとダウンロードクエストにその特徴が現れると何となくキナ臭いにおいがする(自分で言うのもナンだがね)。まるで俺が「がんらんす限定じゃないとイヤだ〜〜〜!」とカプコンの玄関先でダダをこねまくってディレクターの一瀬さんを困らせまくったあげくに、「仕方ないっすね……」と無理矢理言わせて作ってもらったみたいではないか。でも決して、そういうことじゃありませんヨ。
さて、このイベントクエストの討伐目標は"ババコンガ"となっている。"連続狩猟"とあるとおり時間が許す限り好きなだけババコンガと戯れて、もう十分満足……ってなったらネコタクチケットを納品すれば、クエストは終了となる(最低2匹倒さなきゃいかんけどね)。ガンランスvs.ババコンガって図式だが、さてこの重い重い武器はババコンガに対して有効なのであろうか?
そんなことを考えていたら友だちのWちゃんからメールが届いた。見ると、「このクエをごり押しして作ってもらったのミドさんでしょ」という失礼なタイトルのあとに、「ガンランスなんて使ったことないからよくわかりません。なので主催者としてブログにガンランスでババコンガに対抗する方法を書いてください」との本文が。うーん、なるほど。確かにファミ通のガンランスマスターとして何らかの道筋をつけなくてはいけないだろう。俺はさっそくクエストを受注して、マップ"沼地"へと降り立った。武器は、放射タイプのガンランス、防具はギザミシリーズで固めた。ギザミシリーズで全身を覆うと、斬れ味が落ちにくい"業物"というスキルと、"砥石使用高速化"というスキルがつく。じつはこのどちらもガンランス使いにはぴったりのスキルだと、最近になって気づいたのである。ガンランスは砲撃や竜撃砲をぶっ放していると驚くほど早く斬れ味が落ちてしまって通常攻撃に支障を来たすようになるのだが、業物で斬れ味の落ちるスピードを遅くし、もしも斬れなくなっても砥石使用高速化であっという間に研ぐことができるので、もう斬れ味のことなど忘れてぼっかんぼっかんと好きなだけ砲撃することができるようになる。なのでガンランス初心者の方には、まず「ギザミ装備はオススメですよ!」と声を大にして言っておきたい。……まあ凶悪なショウグンギザミを何匹か屠りさらなければいけないけどネ。
とまあそんな装備で沼地にやってまいりました。とりあえず、"8"の地点を目指すことにする。なぜかというと、このファミ通主催のババコンガ連続討伐クエストは『2(ドス)』の時代でも行われていて、そのときの主戦場が8の地点だったのだ。
8の地点に到着すると案の定、でかいピンクの猿が下品に草むらでウロウロしている。とりあえずババコンガはシカトして、8の地点でババコンガと行動をともにしているブルファンゴをさきに片付ける。そうしないと、ババコンガの放屁やウ○コ攻撃で悪戦苦闘しているところに、単細胞なブルファンゴが突進してきたりするのだ。このイノシシ野郎は本当に空気を読まずに、何かあるとすぐに「ナンダナンダ! ドーシタドーシタ! とりあえずオラオラオラ!!」と首を突っ込んでくるので、阿鼻叫喚の地獄絵図を避けるためにも、居酒屋に入ったら「とりあえずビール!」と発声するのと同じように、"とりあえずファンゴから!"を心の評語としてぜひ胸にしまっておいていただきたい。
何を言ってるのか自分でもよくわからなくなってきたので話を元に戻そう。とりあえずファンゴから片づけて、いよいよババコンガと決戦である。動きがトリッキーですばしっこいババコンガは、重い武器の代表格であるガンランスではさぞかし苦労するであろう……とガンランス初心者のハンターは思うだろうが、じつはそんなことはない。この『2nd』になって、ババコンガはガンランスと相性のいいモンスターに成り果てたのである。ホントですヨ。その最大の理由はガンランスの伝家の宝刀、"竜撃砲"にある。
ガンランスが『2nd』になって存在感を主張できるようになったのは、竜撃砲の威力が激増したからだ。これにより、ガンランスを使用したときの攻撃コンビネーションの中心に竜撃砲を据えられるようになったのである。『2(ドス)』では、派手だけどパワー不足なイメージが付きまとっていたためなかなか攻撃の中心として考えることができなかったのだが、『2nd』では竜撃砲によってモンスターにトドメを刺す、いわゆる"竜撃砲フィニッシュ"を決めることが劇的に増えた。"いかにモンスターの隙を見つけて竜撃砲をぶっ放すか?"。これがガンランス使いの、"オフェンスの要"的な戦略になったわけである。
そこで、ババコンガだ。このピンク大猿は確かに動きがトリッキーで、ガンランスの通常攻撃では捉えにくい。しかしじつは、これほど隙だらけのモンスターはほかにいねえだろ、ってくらい、ババコンガはマヌケな行動をくり返して竜撃砲のチャンスを与えてくれるのだ。たとえば、腹を膨らませるババコンガ特有の防御姿勢。これをヤツが披露したら、すぐに竜撃砲の体勢をとろう。竜撃砲が放たれるまでのタメの時間とババコンガの防御姿勢が継続する時間がちょうど同じくらいなので、防御が崩れたとたんに巨大な火の玉がババコンガを襲う……という美しい連繋が完成する。さらに、腕をぶん回しながら迫ってくる大猿ラッシュ(と、勝手に命名)のあと、ババコンガは地面に寝転がって休息をとる。ここも当然ながら、竜撃砲が打ち放題(って、連発できないけど)である。
とまあこんな感じなので、手に持つ武器がガンランスであろうと、ババコンガを恐れる必要はない。実際、俺は1匹目は余裕で屠り去った。……1匹目は1ピキメはいっぴきめは……。
2匹目。俺は限りなく余裕であった。自分が昇天するなんて、本当に露ほども思っていなかった。
1匹目と同様に、8の地点でババコンガと遭遇。俺はここでも、竜撃砲をオフェンスの中心に据えてババコンガに攻撃しまくった。すると敵は「こりゃかなわん」と、泣きながら4の地点に逃走。ガンランス強し! 俺は逃がすものかと修羅のごとき形相で4の地点に駆け込んでいった。見ると4の地点では、ババコンガのほかに子分のコンガが数匹たむろしている。まあでも、ババコンガがこんなもんなのだからコンガごときはシカトしておいても大丈夫だろう。俺は大いに慢心してババコンガに襲い掛かった。そしてすぐに、子分のコンガに屁をひっかけられた。
「!!!」と声にならない悲鳴をあげる俺。それを見たババコンガはニヤリと笑い、なんと口から、前方180度をカバーする広範囲に向かって紫色のツバを吐き出したのである! 紫色っつーことは、これはつまり毒のツバ。まあツバというかブレスなのだが、この下品な猿が吐き出したものとなると、かっこよくブレスなんて言っていられない。まったくこのピンク親父は、屁はひっかけるわウンコは投げるわ口から毒ツバを吐きかけるわで、潔癖症の人がみたらそれだけで昇天してしまいかねないくらいの、下品体質の権化である。
しかしエライことになった。屁をひっかけられると、しばらくのあいだ回復アイテムが使えなくなる。そして毒を食らうと、しばらくのあいだ体力が減り続けてしまう。体力が減るのに回復できないってことは、つまり昇天する、ってことだ。いかん。これはいかん。俺は急いでキャンプに逃げ帰って、屁アレルギーと体力の回復をはかろうとした。しかしコンガ軍団は「ようよう、ちょっと待ちなよお兄ちゃん」と言いながらピンクの巨体で俺を取り囲む。こうなると機動力が皆無に等しいガンランスは厳しい。俺は恥も外聞も捨ててガンランスを折りたたみ、脱兎の如く逃げ出した。しかしババコンガはまったく慌てず、尻尾を巻いて逃げる俺の背中めがけてピューンと1発、茶色い物体を発射した。どう見てもウンコと思しき茶色のブツは、見事に俺の背中に命中。なんと俺は余裕と思っていたババコンガに、屁をかけられ、毒のツバを吐きかけられ、トドメとばかりにウンコをぶつけられて昇天してしまったのである……。これは人間の尊厳を著しく傷つける最低最悪の死に様ではあるまいか……。
ね、楽しそうでしょファミ通クエスト……。
※すんません、最初にアップしていた記事に"毒のブレスは新必殺技"なんて書いていたんですけど、尻尾についてるキノコ食べると毒、麻痺、睡眠、炎のブレスを吐いたんでしたねババコンガ。すっかり忘れてました……っていうか、初めてブレスに直撃して面食らって勢いで書いてしまいました^^; 最初の文章を読んだ人、ごめんなさい^^;
"何を考えているかわからないモンスターは?"と質問されたら、あなたはどいつを思い浮かべますか? え、ゲリョス? うん、わかる。あたりに毒ツバをばら撒きながらウスラ笑いを浮かべて走り回っている姿は正気の沙汰とは思えないよね。ほう、そちらはコンガを挙げますか。何日かまえに書いたとおり、俺もほとほとあいつにはイラつかされてますよ。あの猿は本当にどうかしてる。まあこのほかにも、びょんびょん飛び跳ねる赤トカゲやらペッペ鳥ことガブラスを推挙する方もいるであろう。どいつもこいつも本当に、何を考えているかわからない。
しかしこんな並み居る強豪(?)を抑えて俺がここで推薦したいのは、"雪山の角ヤンキー"こと"ガウシカ"なのです。この鹿野郎の勘違いっぷりは、本当に度し難いものがある。
え? 「ガウシカなんて無害を絵に描いたような草食獣だろうが」ですって? 何をおっしゃいますか。そんなことはないんですよ! あいつは普段は「俺、世の中のことなーんも興味ないから」みたいな態度でおとなしく草を食んでいるように見えるが、じつはとんでもない腹黒鹿なのだ。ホラ、思い出してみてくださいよ。危害を加えるつもりなんて1ミクロンもなく、ただ単にガウシカの目の前を通過しただけなのにいきなり「おうおうおう!」と因縁をつけられ、「俺の前を歩くんじゃねえよ!」とズドドドドと突進されたことがあるでしょう。同じ草食系のモスやポポなんて本当におとなしいお馬さんみたいな存在で、蹴っ飛ばしでもしないかぎり襲ってはこないが、ことガウシカに至っては傍を通りかかっただけで「おうおうおう!」となるのである。
ここでおそらく、温厚なハンターさんから「まあまあ、ガウシカにタックルされたくらいで怒りなさんな。大してダメージも受けないんだから」というガウシカ擁護論が出てくるであろう。しかしつぎの体験談を読んでも、そんなことが言っていられるだろうか。
昨夜のことである。
今回の『2nd』ではポッケ農場を拡張したりするために"ポッケポイント"を集める必要がある。特産キノコやらロイヤルカブトといった収穫物を納品するといくばくかのポイントがもらえるが、もっといっぺんに大量のポイントが欲しい! と思ったらいわゆる"卵運び"をするのがいちばんだ。これだと1個運ぶごとに1000ポイントくらいのポイントがもらえる(特産キノコは1個50ポイント)。で、俺は出かけることにした。雪山の"肉食竜の卵運び"に。
肉食竜の卵は、雪山マップ"3"の地点に転がっている。ここで1個盗み出したら、マップを3→5→4→1と移動して運ぶとなかなか効率がよろしそう。さっそく俺は3で卵をかっぱらい、ギアノスのジャレつきをヒラリヒラリと避けて、5の地点へとやってきた。見ると遠くに、数匹のガウシカがいる。でもまあガウシカはナンダカンダ言っても草食獣だし、静かに卵を運んでいるだけの俺に因縁をつけてくることもなかろう。俺は冷や汗を流しながらガウシカに向かって「すみませーん、ちょっと通りますね^^; ごめんなさい^^;」と何で謝るのかよくわからないが、とにかく平身低頭の態度でガウシカの前を通過しようとした。しかし、彼らは俺を許さなかった。
「おうおうおう!」
いきなり頭を低く構えたかと思うと、ズドドドドと俺の背後からタックルをかましてくるではないか。「なんだなんだ。やめろやめろやめろ」と俺はわめいた。しかし何がいけなかったのか俺はガウシカの逆鱗に触れてしまったらしく、ヤツらはやたらと突進してくる。やめてくれやめてくれ。しかし涙の逃走もむなしく、1匹のガウシカの角が俺の背中を直撃し、無残にも盗み出した卵は木っ端微塵に割れてしまった……。
「この馬鹿ー!!」
と俺は激怒して、それでもめげずにもう1回、卵を盗み出しにかかる。卵を抱えて再び5の地点でガウシカと対峙するも今度は思いっきり通過するときに俺の体がヤツに触れてしまい、またまた痛恨の「おうおうおう!」状態に。哀れ2度目のチャレンジも失敗に終わってしまった。考えてみれば先にガウシカどもを片付けてから卵を運べばいいようなものだが、それでは俺のプライドが許さないのだ。しかし2回も続けて鹿ごときに道を阻まれてしまうと、すっかりやる気が失せるものだ。俺は半分泣きながら、ピョンピョン飛び跳ねているガウシカに毒づいた。
「おまーら、ラージャン来ても同じことやれよなぁ;;」
ね、どうにも擁護しようがないでしょ、この鹿は。
いきなりふざけたタイトルで恐縮ですが、ハンターの皆さん、使ってますか? ポッケ農場。いいですよね、ポッケ農場。あそこで管理人(?)として勤務しているアイルーちゃんたちにカツオ節を配って歩きたくなるくらい、俺は便利に楽しく農場生活を送らせてもらっている。ハンターという、ある種血なまぐさい職業に従事してはいるが、俺は本当はネコをこよなく愛する心優しい男なのだ。そんな俺にとって、ポッケ農場はまさに心のオアシス。モンスターたちの猛る血潮で汚れた心と身体を癒してくれる唯一無二の地(オーバーだナ)。あの牧歌的な雰囲気は自分の生まれ育った群馬の田舎臭さを思い起こさせ、なんとも心休まる風景となっている。なので俺はクエストから帰ると真っ先にポッケ農場に突入し、キノコを採り、鉱石を掘り、虫をとっ捕まえて、トレニャーさんにお駄賃をあげて、トドメとばかりに畑を耕して帰宅する。いまやこれが、完全に俺の生活パターンとなった。なんとなく、仕事から帰ってくるとわき目も振らずに家庭菜園に突入して「大きくなったなぁ^^」とか「早くいい実をつけるんだよ^^^^」なんてブツブツ言いながらネギやらジャガイモを愛でている実父に似ているような気がする。『モンスターハンターポータブル』にも農場はあったけど、今回の『2nd』ほど頻繁には利用していなかった。いまやすっかり、俺は農場のトリコなのである。
そんなポッケ農場において俺がいまいちばんハマっているのが、実父とまったく同じなのだが"畑における作物の栽培"である。じつに楽しい。たった1個の小さな種が、クエストから戻ってくるとたくさんの収穫物に姿を変えている。超促成栽培。カラの実やら釣りミミズやら、たいして使わないものもたくさん採れてしまうが、それでもいいのだ。大量の収穫こそが、作物を育てる喜びを知ったばかりの即席ファーマーへの最高のご褒美なのである。
さてこの畑だが、種を植えるときに肥料もいっしょに投入すると、それはもう、両手にあまるほどの大収穫となる。ジャンジャンバリバリといろんなものが採れる。前述のとおり、大して使わないものもどさくさにまぎれてどっさりと混入しているが、量が採れることが何よりもうれしくて、俺は種を植えるときは必ず、肥料もいっしょに投入することにしている。
で、ここで問題となるのが"肥料が何であるか"ということだ。ハンターの方々は皆知っていると思われるのでとっとと書いてしまうが、肥料="モンスターのフン"となっている。これがないと作物が十分に育たないわけだから、ポッケ農場を切り盛りする立場から見るとマカライト鉱石やキラビートルにも匹敵するほど、モンスターのフンは重要なアイテムと言えるのだ。モンスターのフンは初代『モンスターハンター』から存在していたアイテムだが、つねに"もえないゴミ"や"虫の死骸"などと、まるで見向きもされないアイテム部門で1位を争うほど存在意義に疑問を持たれていたものである。それがいまや、マカライトと肩を並べるほどの貴重品として農場経営者からあがめられるようになったのだから、人生何が起こるかわからない。とてつもない出世である。たとえるなら、1週間まえに編集部にやってきたばかりで、電話番もお使いもまだまともにできないのに、ある日突然「今日から編集長やって」と言われたようなものである(ちょっと違うナ)。
こんな感じなので最近、クエストに出撃するときのスタンスが少々変わってきた。イャンクックやドスランポスを討伐に行くことが目的なのに、こやつらはほとんどガン無視状態でウ○コ跡に顔を突っ込んでモンスターのフンを漁ってばかりいるのである。友だちや編集部の人間とクエストに行くときも、「ウ○コいこウ○コ!」と、まるでいっしょにトイレに行くかのようにわめいているのだから困ったものだ。でも欲しいのだから仕方がない。いまや"素材採集ツアー"というクエスト名が"ウ○コ回収ツアー"に見えるくらい、俺のファーマー度は極まってきている。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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