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【MHP 2nd】第4回 あるガンランス使いの独白 その1

 『モンスターハンターポータブル 2nd』において、何をメインの武器としてモンスターどもと渡り合っていくのか。『2nd』から『モンスターハンター』の世界に足を踏み入れた新米ハンターの方々はもちろんだろうが、ベテランハンターでも「今度はどれでいこう?」と悩んでいるに違いない。ものの本によると(ってファミ通だが)、『2(ドス)』から『2nd』に戦場が代わるに伴い、武器のほうもいろいろと調整がなされたようだ。これは新たな気持ちで武器と向き合う必要がある! ってことで、俺自身はどうするのか。周知のとおり、俺は『2(ドス)』の時代から「ガンランスガンランス!!」とぎゃーすぎゃーすと喚きまくっていた奇特な男である。そういうわけで今回も、このロマンが詰まった巨大な槍筒を背負わせていただきたい。いまや日本で指折りのガンランスが似合う男と勝手に思い込んでしまうまで昇華されたこのガンランス愛を、竜撃砲の火焔にくるんでモンスターどもにぶちまけてやりたい!! はあはあはあと必要以上に荒い息をつきながら、俺はアイテムボックスに放り込まれていた1本の骨ばったガンランスを手に持った。"骨銃槍"という名のその武器は、『2nd』で初登場の初々しいガンランスである。さっそくこいつを背中に背負って、俺はギアノス討伐クエストに出撃していった。

 思い起こせば『2(ドス)』におけるガンランスは、なかなかにして悲運のこもった武器であった。とにかく重くて重くて機動力は絶無に等しく、かといって攻撃力が強いわけでもなければ属性武器が豊富なわけでもない。唯一の見せ場と思われていた竜撃砲にしても、上位クエストだとぷい〜んと飛んでいるランゴスタにぶっ放したところで、ちりちりと羽が焦げる程度でランゴは元気にぷいーんぷいーん。いつかガンランスは"チャッカマン"、"浪漫だけ砲"などと呼ばれるようになり、使ってもらえるのは「ヒマだからガンランス4人でクエ行ってスリル味わうか」ってときくらいですっかり"ネタ武器"の烙印を押されてしまったのである。俺も心はつねにガンランスの隣にあったのだが、気がつくと手に持っているのはクロームデスレイザーやらラージャン槍だったりして、ガンランスを愛する『モンハン』シリーズのディレクター、藤岡要さんに合わせる顔がなくなってしまっていたのであった。

 でも俺は反省した。いままでちょっとだけ冷たくしちゃったけど、もう一度やり直したいと思った。いいじゃないか、浪漫だけ砲で。モンスターから見たら温風くらいにしか感じられなくても、今日も元気に竜撃砲を撃ち続けようではないか。誰からも見向きもされなくても、俺はずっと、ガンランスとともに歩もう。『2nd』をプレイするにあたり、俺は心のうちで"ガンランス愛"を再確認し、最初の武器もきっちりと、ガンランスを選んだというわけだ。

 それにしてもガンランス、『2nd』でも独特のクセはそのままである。基本となるのは、移動中に△を押しての武器出し攻撃からの砲撃や、△+○での斬り上げからの上方突き、そして砲撃あたりか。そして見せ場の竜撃砲は、R1を押してガード体勢を作ってから△+○を押す必要がある。プレイステーション2からPSPにハードが代わったことで、ハンターに求めるスキルも上がったかもしれないな……。実験台として選んだガウシカどもに逃げられまくってまるで攻撃を当てることができない我が分身を眺めながら、俺はイライラとそんなことを考えた。

 こんな感じだから、討伐目標のギアノスたちにも手こずった。そもそも攻撃が当たらないのだから戦いになるわけがないのだ。ふにゃふにゃと空を切るガンランスの切っ先。ギアノスにじゃれつかれるたびにヘロヘロと尻餅をつく情けないオノレの姿……。(大剣だったらこんな苦労もしないのだろうか……?)、(片手剣だったらもっとスマートに戦えるのだろうか……?)。隣の芝は青く見えるじゃないけど、うまく扱えないものだからついついほかの武器に心が流されていきそうになる。いけない。そんなことじゃダメだ。俺はガンランスとともに生きていくことに決めたのだ。俺はうっふんあっはんと接近してくる大剣や片手剣を心の中から閉め出そうとした。そしてド派手な竜撃砲をぶっ放して、この浮気心を抹殺しよう! そう思った。敵に当たらなくてもいいじゃないか。虫すら殺せぬ花火でも、浪漫が詰まっていればそれでいいのだっ!! 竜撃砲の体勢をとる我が分身。目の前には2匹のギアノス。切っ先に集まる火焔と浪漫。さあ放たれろガンランス愛! ガンランスの先端からボワンと噴き出した巨大な炎に身を包まれるギアノス。一応、2匹とも遠くにすっ飛んだ。またまた、大して効いてないくせに演技しちゃってこの白トカゲが。どうせスクっと立ち上がるんでしょう。ホレ、立ってみろ。悔しくないぞ。ホレホレホレ……と待ってみたが、ギアノスはピクリともせずに雪原に横たわっている。ままままさか、昇天したの……? りゅりゅりゅ、竜撃砲で?? マジで!!?

 「うおおおお!!!」

 と俺は吼えた。「竜撃砲が強くなってるぞ!!!」。

 編集部にこだまするガンランサーの歓喜の怒声。夢と悔恨に満ちた浪漫砲が、本当に強くなって生まれ変わったのだ! やったやった! わーいわーいわーい……わぁい……。

……。

…………。

……………………。

 この強さをずっとずっと待っていたはずなのに、何なんだろう、このキモチ。強くなったのだからいいじゃないかと思おうとしたのだが、なかなかその気持ちにならない。なんとなく、自分だけが好きだと思っていたインディーズバンドが、ある日突然ブレイクしてメジャーな存在になってしまったときの気持ちと似ている。これだけ強くて派手ならば、きっと人気者になるだろうガンランス……。俺はとたんに、寂しさに包まれた。

 自分でもうまく表現できないフクザツな気持ちでサミシイヨー、サミシーヨーと歌を歌っていると、いきなり背後から声が聞こえた。「違いますね」とその声の主は言った。

 「大塚さんが寂しく思うのは、ガンランスが人気者になるからじゃないっすね」

 強烈な目力でギラリと俺を睨みつけ、おなじみモンハン隊長の河合リエが有無を言わさぬ口調で断言した。

 「大塚さんがガンランスを好きだった理由は、派手なくせに弱くて弱くてどんなモンスターにも手こずってしまう、あのくじけっぷりに快感を覚えていたからです!」

 ガーン、と衝撃を受ける俺。そんな俺にトドメを刺すように、さらに強烈な光を双眸から照射しながら河合リエは衝撃のひと言を吐いた。

 「つまり、あんたはマゾなのよ!!」

 大骨塊で頭をぶん殴られたようなショックを受けて、俺は河合リエを見返した。しかし反論しようと思ったのに、なぜか言い訳の言葉は口から出てこなかった。

 (そうか、俺はマゾだったのか……)

 深夜3時の編集部で、俺は静かに静かに、納得した。そう言われて思い当たることは……たくさんあった。

投稿者 大塚角満 : 12:19
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大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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