大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MHP 2nd】第6回 恐怖と悲しみのピンク猿

 あのピンクのお猿さんには、本当に苦しめられた。「なんで序盤に出てくる雑魚なのにこんなに強いんやねん!」と出来もしないエセ関西弁で吠えたくなるくらい、ヤツは強かった。俺なんて一時期、毎日のようにあの猿の大群に囲まれて集団放屁を浴びる夢を見てうなされていたほどである。全国のハンターたちに"嫌いな雑魚モンスターは?"というアンケートを取ったとしたら、間違いなくランゴスタ、ブルファンゴあたりとトップの座を争うのではあるまいか。『モンスターハンター2(ドス)』において、"コンガ"はまさに"森に棲まう悪夢"だったのである。

 『2(ドス)』におけるコンガがどれくらい強かったかというと、全身を古龍の頑丈なヨロイで固めて、手にはイフリートマロウやテスカブレイドといった禍々しい炎の武器を携えていたとしても、「あの森はコンガが出るから行きたくないなぁ」と思ってしまうほどである。こんな調子だから、武器は棒切れ、ヨロイは画用紙もかくやというくらいペラペラのものを装備しているゲームの序盤では、「あああ、あの山は恐ろしいピンクのサルが出るだっ! 近寄っちゃなんねえ!」と昔話に出てくる老人のようになって、頑なにコンガ棲息地帯に足を踏み入れることを拒んでいたとしてもいたしかたないであろう。正直、コンガのボスであるババコンガよりも、手下のコンガのほうが俺は遥かに嫌いだった。もう、何度こいつのせいで昇天させられたことか……。ピンクのお猿さんには、忌まわしい思い出しかない。

 こんな感じなので『2nd』においても、俺はコンガを恐れに恐れた。ゲームの序盤こそ雪山が舞台なのでコンガに出会うことはないが(雪山で出てくる白猿、ブランゴについても言いたいことは山ほどあるがな)、すぐにコンガが棲息する密林や沼地マップでのプレイを余儀なくされる。そして恐れていたとおり、あっと言う間に雪山でのクエストを終えてしまい、俺はピンクの悪夢が待つ密林での作業を命じられてしまった。ままままた夢にピンクの猿が出るっ!!

 コンガとの邂逅は密林マップ"3"の地点だった。さ、サルがいる……。しかも3匹もいる……! 集団放屁の悪夢が俺の脳裏でフラッシュバックする。かか、囲まれないようにしないと>< さっそくビビってガンランスを胸と股ぐらに抱え込みマップ3の入り口でガタガタと震えていると、なんと俺の姿を認めた1匹のコンガがわき目も振らずに突進してくるではないか! 「うわわわ!!」と肝を潰した俺はやたらめったらにPSPのボタンを押しまくる。それはもう、慌てまくった子供が周囲のあらゆるものにあたりまくるのと大差のない行為であった。絶望的に慌ててしまったがために攻撃ボタンがどれだかわからなくなり、コンガの目の前でピョコンピョコンと、やたらとバックステップをくり返す俺の分身。「このボタンじゃねええ!!」と慌てながらも激怒して、押したボタンが□ボタン。ガンランスはガヒューンガガガと折りたたまれて、攻撃するどころか敵前逃亡する気満々。「なに武器たたんでんだ!!」とオノレの愚かな行為に泣きそうになりながらも何とか体勢を立て直して、俺はガンランスを振り回した。ツンツンツンとガンランスの切っ先がコンガの顔面を刺激する。こんな攻撃ではツボ押しマッサージをしてもらっている程度にしか感じていないことであろう。俺はなんとかステップして、さらなる攻撃を加えるべく体勢を整えようとした。しかしその瞬間、コンガは例の芝居がかった手つきで顔面をかきむしると、わざとらしく立ち上がって断末魔の悲鳴をあげるではないか! あ、あれ? もう昇天してくれたの……?

 今回の『2nd』では、雑魚モンスターの強さもかなりの見直しが図られたようだ。コンガやヤオザミ(浜辺で黄昏てると見せかけて強烈な攻撃をしかけてくる渚の暗殺ヤドカリ)を相手にするとそれがよくわかって、手強いことは間違いないのだが、姿を見ただけで脱兎の如く逃げ出す(俺だけ?)必要はなくなった。「コンガども、気合が足らねえ!!」と怒る体育会系のハンターもたくさんいるだろうが、手軽にどこでも遊べるPSPだと、これくらいの強さでちょうどいいなあ、なんて思ったりした。まあとにかく、これでピンク猿どもは俺の足元にひれ伏すことになったわけだ。わははは。

 こんな感じで調子に乗って、ひさしぶりに『2(ドス)』の街に行ってみた。友だちとふたりでクエストに出撃し、「もうコンガは俺の敵じゃねえ!」とばかりに、ピンクの猿が無数にうごめく沼地の"4"の地点に突入。がははははーとクロームデスレイザーを振り回してみたが、2分後に横たわっていたのは哀れ、我が分身の屍であった……。やっぱりコンガは、侮れぬ。

投稿者 大塚角満 : 14:14
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【MHP 2nd】第5回 あるガンランス使いの独白 その2

 寂しいとか言いつつ、じつは喜んで竜撃砲をぼっかんぼっかんと撃ちまくっている。いまメインで使っているのは『2nd』で新たに導入されたガンランス、スノウギア=セカンド。けっこう簡単に作れるうえに氷属性がついちゃったりしているのでかなりおトク感がありますね。まだ俺はイャンクックやドスガレオスあたりと戯れる程度にしかクエストをこなせていないのだが、しばらくはこのガンランス1本で生活していけそうな気がしている。それくらい、砲撃と竜撃砲は強くなった。これが『2(ドス)』の時代だったら、たとえ最強部類のガンランスを持っていたとしても、「やっぱりポインズンタバルジン(序盤で作れる毒片手剣)あたりで行こうかな……」なんて悩むこと必至である。いい時代になったなあ。

 そしてこの『2nd』では、ただでさえ強まったガンランスをさらに強まらせるスキルまで存在するからたまらない。それが"砲術"というスキルだ。これがついた暁には、体感威力倍増! ってくらい、ガンランスの砲撃と竜撃砲が強くなる(あくまでも体感、だけどネ)。ガンランスをこよなく愛する身としては、ぜひともこのスキルを身につけたい。さっそくポッケ村の武器屋に駆け込んで店主にいろいろと相談した。その結果、どうやら序盤では"ハイメタ"シリーズの防具を揃えることが砲術スキルを身につけるいちばんの近道だとわかった。

 さてここで、「おっさん、ゲーム雑誌の人間なんだからちょっと攻略メモでも見りゃいろんな情報が入ってくるだろう」と思った人がいるのではあるまいか。確かにそのとおりで、実際にハンターが見たらヨダレもものメモを持っている人間もいる。なので俺もたまに、そういう人物に接触を試みてオノレに有利な情報をアレコレと引き出そうとするのである。俺は攻略メモを所持していると思われるモンハン隊長の河合リエの席に行って、「『2nd』の攻略メモ、見せて見せて」と彼女に言った。すると河合リエは鋭い目をさらに猛禽のように吊り上げて、ひと言「ダメ!!!」と言った。

 「なんでよー。いいじゃんか。見せてくださいよ」と俺は懇願した。今後の武具製作スケジュールと有益スキルゲットのための道筋を決めようと思ったのだ。しかし、河合リエはにべもなかった。

 「大塚さんにだけは絶対に見せない」

 と彼女は言った。非常に引っかかる言いようである。これでは「モンハンチームの人間には見せるけど、あんたにだけは一生見せない」と言ってるようなものではないか。俺はこれでも、モンハンチームの一員のつもりである。なので俺は抗議した。「なんで俺はダメなんだよー」と。すると河合リエは不敵に笑い、信じられないことをのたまった。

 「おもしろいから」

 ……。

 これじゃあいつまで経ってもこのブログは"こんなアホな失態を演じた"、"バカバカしい昇天をした"とかいうことばかりが書き連ねられるヘタレプレイヤーの恥さらし日記から脱却できぬではないか! 俺も「あの飛竜は○○して××すれば簡単に倒せるぜ」とか「△△を□□で使うとこういう有益な効果があるよフフン」とか、かっこいい攻略記事を書きたいよー。……というわけで俺はじつは、一般ユーザーの皆さんとなんら変わらない環境において『モンスターハンター』シリーズを遊んでいたのです。

 そうだ、ハイメタ装備の話をしていたんだった。

 俺は上記のような態度で河合リエが「協力する気ゼロ」の姿勢を貫きやがったので、あーそうですかそうですかといじけながらハイメタ装備を作ったのだった。俺は頭以外をすべてハイメタで固めて、晴れて"砲術師"の資格を取得。ぱちぱちぱち。さっそくイャンクック討伐クエストを受注して試し撃ちをしよう。クックは『2nd』になっても、やっぱり試し撃ち用の飛竜である。でも、それでいいのだ。

 さて砲術師をつけたガンランスだが、なるほど、砲撃と竜撃砲がパワーアップしているようだ。明らかにそれが体感できる。クックも砲術師付きガンランサーの攻撃には手も足もクチバシも出ず、ボロボロになって退散していった。うーん、すごいではないか砲術師! ただでさえ強くなったガンランスが、さらにこんなにパワーアップしていいのだろうか!

 強い強いと会社の自席で喚いていると、またまた俺の背後に河合リエがやってきた。そして俺のPSPの画面を覗き見て、「あ、ハイメタ作ったんすね。さすがガンランサー」と、珍しくお褒めの言葉を発するではないか。俺も相好を崩して「いいでしょ! 砲術師のスキルがついて竜撃砲がめちゃくちゃパワーアップしましたよ!」とツバを飛ばしながらモンハン隊長に報告した。ホレ、たまには褒めろ褒めろ!

 しかし俺の話を聞いた河合リエはとたんに顔を曇らせ、「え……? 砲術師……?」と悲しそうな声を出した。

 「そうですよ、砲術師。竜劇砲、強くなるんすよ!」と俺は言った。学校の先生に褒めてもらおうとアピールする小学生のような必至さであった。

 「砲術師で、竜撃砲、強くなったの?」と河合リエ。しつこいなあ。強くなったんだよ。いいスキルだよ。河合さんもガンランス作って砲術師つけてみればわかるから。俺は言葉の限りを尽くして砲術師の有益さを力説した。

 そんな俺を最初は「かわいそうに……」という目で見ていた河合リエだが、何かがはじけたかのように突然笑いだした。「大塚さん、勘違いしてるw あはははは」。

 え? なになに? 俺、ヘンなこと言った? 俺は砲術師をつけたガンランスは強いぜ、って言ってるだけだよ?

 「あのね大塚さん、砲術スキルは"砲術師"じゃガンランスに影響ないのよ。砲術師だとバリスタとかが強くなるだけでガンランスの砲撃や竜撃砲は1ミリも強くならないの。ガンランスを強くしたければ、その上の"砲術王"にしなきゃダメなのよw」

 !!!!!!! ででででもでも、俺の竜撃砲、確実に強くなって……。

 「それは思い込みの力ねw プラシーボ効果ってやつ」

 河合リエはそう言うと、「おなか痛いw」と言いながら腹を抱えて帰っていった。

 砲術師じゃガンランスは強くなっていなかった……。「めちゃくちゃ強くなった!」と体感までしていた俺は、いったい何だったのだろうか……。ズズーンと自席で落ち込む俺に、ついさっき帰っていったばかりの河合リエからメールが届いた。なんだ、珍しく慰めてくれるのか? そう思ってメールを見ると、タイトルに"王になり損ねた大塚さんへ"と書いてある。……嫌な予感を覚えつつメールを開くと、そこにはこんな一文があった。

 「いまメモ見てみたけど、やっぱり砲術師はガンランスにまったく関係ナシ。くす」

 確認すんな!! 1回言われりゃわかるわ!!

投稿者 大塚角満 : 13:00
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【MHP 2nd】第4回 あるガンランス使いの独白 その1

 『モンスターハンターポータブル 2nd』において、何をメインの武器としてモンスターどもと渡り合っていくのか。『2nd』から『モンスターハンター』の世界に足を踏み入れた新米ハンターの方々はもちろんだろうが、ベテランハンターでも「今度はどれでいこう?」と悩んでいるに違いない。ものの本によると(ってファミ通だが)、『2(ドス)』から『2nd』に戦場が代わるに伴い、武器のほうもいろいろと調整がなされたようだ。これは新たな気持ちで武器と向き合う必要がある! ってことで、俺自身はどうするのか。周知のとおり、俺は『2(ドス)』の時代から「ガンランスガンランス!!」とぎゃーすぎゃーすと喚きまくっていた奇特な男である。そういうわけで今回も、このロマンが詰まった巨大な槍筒を背負わせていただきたい。いまや日本で指折りのガンランスが似合う男と勝手に思い込んでしまうまで昇華されたこのガンランス愛を、竜撃砲の火焔にくるんでモンスターどもにぶちまけてやりたい!! はあはあはあと必要以上に荒い息をつきながら、俺はアイテムボックスに放り込まれていた1本の骨ばったガンランスを手に持った。"骨銃槍"という名のその武器は、『2nd』で初登場の初々しいガンランスである。さっそくこいつを背中に背負って、俺はギアノス討伐クエストに出撃していった。

 思い起こせば『2(ドス)』におけるガンランスは、なかなかにして悲運のこもった武器であった。とにかく重くて重くて機動力は絶無に等しく、かといって攻撃力が強いわけでもなければ属性武器が豊富なわけでもない。唯一の見せ場と思われていた竜撃砲にしても、上位クエストだとぷい〜んと飛んでいるランゴスタにぶっ放したところで、ちりちりと羽が焦げる程度でランゴは元気にぷいーんぷいーん。いつかガンランスは"チャッカマン"、"浪漫だけ砲"などと呼ばれるようになり、使ってもらえるのは「ヒマだからガンランス4人でクエ行ってスリル味わうか」ってときくらいですっかり"ネタ武器"の烙印を押されてしまったのである。俺も心はつねにガンランスの隣にあったのだが、気がつくと手に持っているのはクロームデスレイザーやらラージャン槍だったりして、ガンランスを愛する『モンハン』シリーズのディレクター、藤岡要さんに合わせる顔がなくなってしまっていたのであった。

 でも俺は反省した。いままでちょっとだけ冷たくしちゃったけど、もう一度やり直したいと思った。いいじゃないか、浪漫だけ砲で。モンスターから見たら温風くらいにしか感じられなくても、今日も元気に竜撃砲を撃ち続けようではないか。誰からも見向きもされなくても、俺はずっと、ガンランスとともに歩もう。『2nd』をプレイするにあたり、俺は心のうちで"ガンランス愛"を再確認し、最初の武器もきっちりと、ガンランスを選んだというわけだ。

 それにしてもガンランス、『2nd』でも独特のクセはそのままである。基本となるのは、移動中に△を押しての武器出し攻撃からの砲撃や、△+○での斬り上げからの上方突き、そして砲撃あたりか。そして見せ場の竜撃砲は、R1を押してガード体勢を作ってから△+○を押す必要がある。プレイステーション2からPSPにハードが代わったことで、ハンターに求めるスキルも上がったかもしれないな……。実験台として選んだガウシカどもに逃げられまくってまるで攻撃を当てることができない我が分身を眺めながら、俺はイライラとそんなことを考えた。

 こんな感じだから、討伐目標のギアノスたちにも手こずった。そもそも攻撃が当たらないのだから戦いになるわけがないのだ。ふにゃふにゃと空を切るガンランスの切っ先。ギアノスにじゃれつかれるたびにヘロヘロと尻餅をつく情けないオノレの姿……。(大剣だったらこんな苦労もしないのだろうか……?)、(片手剣だったらもっとスマートに戦えるのだろうか……?)。隣の芝は青く見えるじゃないけど、うまく扱えないものだからついついほかの武器に心が流されていきそうになる。いけない。そんなことじゃダメだ。俺はガンランスとともに生きていくことに決めたのだ。俺はうっふんあっはんと接近してくる大剣や片手剣を心の中から閉め出そうとした。そしてド派手な竜撃砲をぶっ放して、この浮気心を抹殺しよう! そう思った。敵に当たらなくてもいいじゃないか。虫すら殺せぬ花火でも、浪漫が詰まっていればそれでいいのだっ!! 竜撃砲の体勢をとる我が分身。目の前には2匹のギアノス。切っ先に集まる火焔と浪漫。さあ放たれろガンランス愛! ガンランスの先端からボワンと噴き出した巨大な炎に身を包まれるギアノス。一応、2匹とも遠くにすっ飛んだ。またまた、大して効いてないくせに演技しちゃってこの白トカゲが。どうせスクっと立ち上がるんでしょう。ホレ、立ってみろ。悔しくないぞ。ホレホレホレ……と待ってみたが、ギアノスはピクリともせずに雪原に横たわっている。ままままさか、昇天したの……? りゅりゅりゅ、竜撃砲で?? マジで!!?

 「うおおおお!!!」

 と俺は吼えた。「竜撃砲が強くなってるぞ!!!」。

 編集部にこだまするガンランサーの歓喜の怒声。夢と悔恨に満ちた浪漫砲が、本当に強くなって生まれ変わったのだ! やったやった! わーいわーいわーい……わぁい……。

……。

…………。

……………………。

 この強さをずっとずっと待っていたはずなのに、何なんだろう、このキモチ。強くなったのだからいいじゃないかと思おうとしたのだが、なかなかその気持ちにならない。なんとなく、自分だけが好きだと思っていたインディーズバンドが、ある日突然ブレイクしてメジャーな存在になってしまったときの気持ちと似ている。これだけ強くて派手ならば、きっと人気者になるだろうガンランス……。俺はとたんに、寂しさに包まれた。

 自分でもうまく表現できないフクザツな気持ちでサミシイヨー、サミシーヨーと歌を歌っていると、いきなり背後から声が聞こえた。「違いますね」とその声の主は言った。

 「大塚さんが寂しく思うのは、ガンランスが人気者になるからじゃないっすね」

 強烈な目力でギラリと俺を睨みつけ、おなじみモンハン隊長の河合リエが有無を言わさぬ口調で断言した。

 「大塚さんがガンランスを好きだった理由は、派手なくせに弱くて弱くてどんなモンスターにも手こずってしまう、あのくじけっぷりに快感を覚えていたからです!」

 ガーン、と衝撃を受ける俺。そんな俺にトドメを刺すように、さらに強烈な光を双眸から照射しながら河合リエは衝撃のひと言を吐いた。

 「つまり、あんたはマゾなのよ!!」

 大骨塊で頭をぶん殴られたようなショックを受けて、俺は河合リエを見返した。しかし反論しようと思ったのに、なぜか言い訳の言葉は口から出てこなかった。

 (そうか、俺はマゾだったのか……)

 深夜3時の編集部で、俺は静かに静かに、納得した。そう言われて思い当たることは……たくさんあった。

投稿者 大塚角満 : 12:19
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【MHP 2nd】第3回 上には上がいた

 いま振り返ると赤面してしまうほどわーわーぎゃーぎゃーと大騒ぎして、「だだ誰よりも先にててて手に!」って感じでどうにかこうにか購入した『モンスターハンターポータブル 2nd』。俺の身体は量販店の1階から6階までエスカレーターを駆け上ったダメージに蝕まれ、とくに左ふくらはぎはちょっと力を入れるとピキーンと攣ってしまいそう。しかし手に入れたうれしさが格好の刺激となり、俺の脳みそからはアドレナリンやらβエンドルフィンやらがどぼどぼと溢れ出し、そんな身体の痛みはどこかに吹き飛んでしまいました。

 さてようやく手にした『モンハンP 2nd』。しかし発売当日は取材が立て込んでいてなかなかソフトの封も開けられず、じゃぶじゃぶと湧き出るアドレナリンは行き場を失い俺のストレスは溜まるばかり。それでもなんとか午後8時ごろには会社の自席に座ることが出来、うれしさのあまり震えまくる手で俺はようやく、ソフトの封を開けることができた。ずっと待ってましたこの瞬間を! 開発チームの皆さん、ありがとう! とカプコンがあると思われる西南西の空に向かってまずは合掌。続いて俺はPSPのソフト挿入口から前作『モンスターハンターポータブル』を取り出した。いままでありがとう、『モンスターハンターポータブル』! と再び合掌したのち、俺はついに、PSPに『2nd』を挿入することに成功した。わーいわーい。

 最初に流れたのは、美しく雄大なオープニングムービー。雪山が舞台の映像ということもあるのだろうが、画面の中からほとばしる荘厳なオーラにあてられて、俺は鳥肌が立ちまくりであったよ。ムービーが終わると、おなじみのキャラクターメイク画面。ここで前作『モンスターハンターポータブル』をプレイしていた人に限り、前作のアイテムやお金を引き継ぐかどうかを選択する画面になる。週刊ファミ通やらファミ通PS2やら『ルーキーズ・ガイド2』によると、引き継げるのはレア度3以下のアイテム(ただし『2nd』でも使用可能なもの)で、レア度4以上の貴重品はすべて、お金に換金されるという。換金されたお金は10分の1に減額されて、『2nd』のデータに振り込まれるそうだ。つまり換金したお金が100万ゼニーだったら、晴れて10万ゼニーが『2nd』における最初の所持金になるってわけ。前作をがんばってプレイしていたハンターたちへのささやかなプレゼントである。俺も甘んじて、このサービスを享受することにした。「コラム書くなら引継ぎをしないで最初からプレイしろよ」とは、初代『モンスターハンター』が『G』になったとき、友だちからさんざん言われたことだが(このときもデータの引き継ぎができた)、せっかく制作チームが用意してくれたプレゼントなのだから断るのも申し訳ない。「お礼に今度、ご飯おごりますからね、一瀬さん!」と、俺は西南西の空の下にいると思われる『2nd』のディレクター、一瀬泰範さんに向かって叫び、ウキウキしながらアイテムを換金してもらった。見ると『2nd』の預金通帳(んなものはないが)にはなんと、29万2786ゼニーもの大金が振り込まれたではないか!!

 これはもう、宝くじに当たったようなものである。俺はさっそく、周囲にいた編集者に自慢した。「ほれほれ、前作でがんばっていたから30万も振り込まれたぞ!」と。すると、部下の女尻笠井や中目黒目黒は、「もうそれだけで食っていけるじゃないすか! すげえ!」とビックリ仰天。大いに俺の自尊心をくすぐってくれた。俺もやるときはやるのだ。わはははは。

 そんな、鼻高々ではしゃぎまくっている俺の携帯電話に1通のメールが届いた。『モンハン』友だちのBからである。見るとそのメールには、ソフトを手に入れた喜びと新しい世界でハンティングができる歓喜の言葉が書き連ねられていたのだが、文章の最後に「ミド(俺のハンドルネーム)はアイテム換金していくらもらった?」という何気ない質問も書いてあった。俺は、いいこと聞いてくれました! とばかりに「ふふん、30万になったぜ。すげえだろ」と自信たっぷりに返信。そしてすぐに、Bから返事があった。

 「僕は47万。けっこうもらえるもんだねw」

 ……。

 ま、まあBは『2(ドス)』でもハンターランク220だったし、『モンスターハンターポータブル』もけっこう遊んでいたと聞いていた。30万と47万だったらほんの誤差程度の差だしナ。300億と470億だったらじつに170億も差があってそりゃあエライことだけど、30万と47万だったら微々たるもんだなウンウンそうだそうだ。以降Bに返事もせずに静かに静かにいじけていると、今度はWちゃんからメールがきた。このコラムに何度も登場しているWちゃんは、俺のネット友だちの中ではズバ抜けた『モンハン』の達人である。Wちゃんのメールは「ギアノスって白ランポスのことだったのね! 見たことないモンスターのことだと思って探しまくっちゃったじゃない!」と達人とは思えないかわいらしい内容。俺はなんとなくホッとして返事を書くついでに、戯れに「Wちゃん、データ引き継ぎでいくら振り込まれた?」と質問してみた。以前Wちゃんから、「『ポータブル』はあまり遊べなかったな……」と聞いたことがあったのだ。Bには多少負けたが、達人のWちゃんに勝っていれば溜飲が下がるというものである。俺はウキウキしながら、Wちゃんからの返事を待った。すぐに、携帯電話がブルブルと震える。Wちゃんからの返事だ。そこにはこう、書いてあった。

 「えっと、99万9999ゼニーって書いてある。MAXなのかな?」

 ………………。

 俺が悪かった。

投稿者 大塚角満 : 15:16
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【MHP 2nd】第2回 『モンスターハンターポータブル 2nd』、購入クエスト!

 つつつ、ついに『モンスターハンターポータブル 2nd』が発売っ! やったやった! 買いに行くぞいま行くぞすぐ行くぞ!! と、2月22日の深夜1時ごろから自宅で喚き散らし、あまりの興奮にまったく眠れなくなって朝8時に秋葉原に行ってしまった大塚角満です。事前に予約しとけばこんなにアセってお店に行かなくてもいいのでしょうが、なんとなく予約よりも朝イチで店頭に並んだほうが早くプレイできる(といっても、誤差は僅かだろうが……)と思い込んで、予約せずにお店にやってきた次第です。

 って、じつは俺はファミ通のニュースチームの記者なので、本当の目的はソフトを買うことではなく、大作ソフトの発売日にできる行列を取材すること。なので秋葉原に着いた時点では、"記者の立場"と"『モンハン』マニア"の心のバランスは8:2くらいで前者が勝っていた。これはアレですね。どんなにファンの芸能人に取材しても記者の立場を忘れず、サインを求めることなど言語道断、と思っているのと同じですね。公私混同はしない。それが記者ってものです。

 で、2月22日午前8時の秋葉原。じつはこの段階では、都内最大規模の量販店、ヨドバシカメラマルチメディアAkibaの店頭に行列はナシ! マジ!? モンハンだよモンハン! 並ばないの並ばないの!? と、通勤客が行き交う店頭で動揺していると、超マジメ新人記者とカメラマンが現れた。しかし彼らが来たところでとくにすることもないので、近所のコーヒーショップでモーニングコーヒーを飲むことにした。腹が減っていたのでカフェオレとともに、サンドイッチとクロワッサンも注文。マルチメディアAkibaの店頭が見える場所に席をとり、ずるずるとカフェオレをすすった。

 何とはなしに店頭を眺めながらサンドイッチとクロワッサンをむさぼり食っていると、当然のように消化器官の蠕動が起こり、朝のお勤めを促す危険信号が脳に伝達されてきた。まあ要するに、トイレに行きたくなったのである。時間は午前8時40分。お店が開店するのが午前9時30分なのでまだまだ時間的な余裕がある。俺はカメラマンとマジメ君に「ちょっとトイレいってくる」と告げて、秋葉原駅に突入していった。その道すがら店の店頭を眺めてみたが、その段階では5人ほどが集まっているだけで"行列"という雰囲気はない。俺は安心して、トイレに吸い込まれた。

 10分後。満ち足りた気分で店頭に戻ると、そこに信じがたい光景が広がっていた。つい数分まえまで5人ほどしか人がいなかったのに、俺がトイレに入っているあいだに70人ほどの人で芋洗い状態になっているではないか!! ゆゆ、油断した!! これはマズい!! 俺は小走りになって行列に接近し、あえぎながらその最後尾に取り付いた。「マズい」と感じたのは行列ができていく様を取材できなかったことを悔やんだのではなく、「とっとと行列に並ばないと買えなくなる!!!」と思ったからだ。この時点で、"記者:モンハンマニア"の心バランスは、8:2から0:10に大逆転。新人記者とカメラマンが必死になって行列の取材をしているのに、わき目も振らずに行列に取り付いたのだから、ひどい上司もいたものである。俺は彼らに対して大いなる引け目を感じながらも、「でもやっぱ欲しいし!!」と子供のように開き直って、それでもやっぱり「スマン」と思い、彼らに見つからないようにしょんぼりと俯いて、ただただ時間が経過するのを待ち続けた。

 そして午前9時30分、ついにお店がオープン! その時点で行列に加わっていたゲームファンは100名以上。俺はかなり先頭付近に場所を確保していたので焦らなくても余裕でソフトが買えることはわかっていたのだが、お店のトビラが開いたとたんに「はは、早く買わないと売り切れるかも!」という気持ちになってしまったのだから不思議なものである。なので俺は「自分の足で登っていったほうが早い!」と思い、エレベーターの前を通過し、エスカレーターに直行した。当然、エスカレーターでは立ち止まらずに、早足でずんがずんがとのぼっていく。俺はずっとスポーツをやっていたので体力には自信があるのだ。しかし信じがたいことに、3階に到達したあたりから何やら膝のあたりが「うふふふふ」と忍び笑いをし始めたではないか。見ると俺の直前で上っていた人との車間距離が、いつのまにか7メートルほどに広がっている。そして俺の横を、若きアスリートたちがスタスタと元気に通過していく! 4階に達するころには俺の膝はうけけけけと本格的に笑い出し、5階に到着するころにはゲタゲタゲタと腹を抱えて大笑い。両足は重金属のように重くなり、それでも気持ちは「早く早く!」となっているものだから、精神と肉体は幽体離脱もかくやというくらい散り散りになってしまった。これではまったく、飛竜の卵を盗みにきて、卵を持った瞬間にリオレウスに見つかって追い回されるハンターそのものではないか。俺はスタミナゲージを真っ赤にしながら、それでもなんとか、ゲーム売り場のある6階にたどり着いた。

 見るとすでに俺の前に、100人前後の行列ができている。俺はお店に入ったのは全来店者の中でも20番目くらいだったので、じつに80人抜きされた計算である。でも順番はどうでもいい。買えればいい! 俺は混雑する店内を泳ぐように移動して、行列の最後尾に並んだ。店内アナウンスによるとマルチメディアAkibaでは、金色PSPとソフト、特典がセットになった"ハンターズパック"が110台、当日販売されるという。でも俺はPSPを持っているので、ソフトを単品で買うつもりだ。ていうか俺の順番までに、激レアアイテムと言われるハンターズパックは売り切れてしまうだろう。きっとそうだ。そうに決まってる。なぜか俺は、強くそう思い込もうとした。

 そして10分後、俺はレジに招き入れられた。なんとその段階でもまだ数台、ハンターズパックが残っているではないか。でも俺はソフト単品を買うつもりでここに来たのだ。ハンターズパックを買うとPSPが2台になってしまう。しかしこのチャンスを逃すと、ハンターズパックは手に入らなくなるだろう。買わないとあとで思いっきり後悔するのではなかろうか。でも年末年始にソフトやハードを買いすぎて財政難でもある。どうしようどうしよう。迷っている俺に、レジ係の店員さんが声をかけた。「何をお買い求めですか?」と。俺はビクっとして、心のうちの葛藤を、そのままセリフにして発してしまった。

 「ハンッ……スターモンターポータブルせかんどくだちゃい……

 店員さんは「うんうん、わかってますよ」という優しい目をして、ソフト単品を袋に入れてくれた。こうして、俺はなんとかハンターズパックの誘惑を断ち切ったのだ。

 顔を赤くしながらレジを出ると、マジメ君が(おっさん、公私混同して買い物してんじゃねえよ)と言いたそうな顔で俺を睨んでいた。その形相はティガレックスを思わせる猛々しさだった。

投稿者 大塚角満 : 14:19
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【MHP 2nd】第1回(?) 『モンスターハンターポータブル 2nd』、体験イベント開催!

 すでにファミ通.comで記事になっているが、2月17日にエンターブレイン本社で『モンスターハンターポータブル 2nd』の体験イベントが開催された。お笑い芸人、アメリカザリガニの司会のもと、この日のために調整された専用クエストでのタイムアタック大会、プレゼント抽選会、アメリカザリガニのチャレンジコーナー(?)と、非常に充実した内容であった。俺は一応、本業がファミ通ニュースチームの記者なので(ハンターが本業ではない)、会場の片隅で始めから終わりまで、メモを片手にイベントを凝視していた。

 そんな俺の隣には『モンスターハンター』シリーズのディレクター、カプコンの藤岡要さんがいた。この日のイベントのメインは集まったハンターが4人1組になってのタイムアタック大会だったわけだが、俺は藤岡さんとあーでもないこーでもないとガヤガヤと話をしながら、これを眺め続けた。ちなみに、俺は言うまでもないが、藤岡さんもランス、ガンランスの愛好家である。

 「ガンランス、使う人いないっすねぇ……」

 熱気みなぎる1回戦の様子を眺めながら、俺は藤岡さんにポツリとつぶやいた。リオレイア討伐が目的の1回戦では、片手剣、大剣を使う人が多く、ガンランスを使う人を確認することができなかった。

 「いないっすねぇ。やっぱりタイムアタックは短期決戦だから、使い慣れた武器で遊ぶ人が多いんでしょうねぇ」(藤岡)

 俺の言葉を受けて、藤岡さんがじつにナットクの言葉をのたまった。なるほど確かに、ガンランスだけではなく狩猟笛や弓といった『2(ドス)』で新たに導入された武器を使っている人はほとんど見かけない。やはりタイムアタックとなると、瞬時にアイテムが使える片手剣や、一撃の威力が大きい大剣、ハンマー、さらに手数が圧倒的に多い双剣あたりを選択するのが常套手段のようだ。それと『2nd』はまだ発売まえということで、ガンランスや狩猟笛といった新武器については"まだ操作方法に精通していない"というハンデもあったように思われる。これが3月17日から開催される『2nd』の全国大会"モンスターハンターフェスタ"では、選択される武器もガラリと違うものになるのではなかろうか。そんな風に思った。

 と思っていたら1回戦が終わったあとの休憩時間に、ひとりの女性が俺のもとにツカツカとやってきて開口一番こう言った。「わたし、ガンランスを使いましたよ!!」と。なんでもその方は俺が週刊ファミ通の誌面やこのコラムでさんざん「ガンランスがんらんす!」と喚いているのを読んで、いつのまにかすっかりガンランスの虜になったのだという。いっしょにこのイベントに参加した友達から「頼むから片手剣にしてくれ」と言われたものの強硬にガンランスを選択し、クエストに挑戦。見事準決勝に駒を進めたという。俺は「すごいすごい!」と大いに喜んだのだが、その女性はふっと顔に翳りを見せ、「……でもじつは、砲撃も竜撃砲も撃ちかたがわからず、ずっと突っついてただけなんですけどネ。それじゃただのランスですよネ……」と寂しそうにつぶやいて俺の元から去って行った。

 さてこの日のイベントでは、いくつかのサプライズ的な発表も行われた。ファミ通.comの記事にも書かれているが、まずは『2nd』のオープニングムービーが初公開。ゲームの舞台となる"雪山"を舞台に、ハンターたちの日常風景や狩りの緊迫感が描かれている。これまでのシリーズのそれよりも、明らかに"生活感"を感じさせる映像である。じつは俺もオープニングムービーを見るのはこのときが初めてだったので、素直にこれらの感想を藤岡さんに漏らした。するとシリーズのディレクターは、「いままでの『モンスターハンター』と違って、非常にストーリーを感じさせるオープニングになってますね」とにっこり。ハンターはその日暮らしの流れ者というよりも、その地に根差して生活する狩人……。そんなことを想像させる映像、そして藤岡さんの言葉であった。

 そしてこの日最後のサプライズは、お笑い芸人のアメリカザリガニが挑むチャレンジクエストで姿を現した。アメリカザリガニのふたりと、助っ人として登場したお笑い芸人・エレキコミックのふたりが挑んだ相手は……なんと『2nd』で初登場の"轟竜"、ティガレックス! 動きまわる姿はこれが初公開となるティガレックスは、恐竜を思わせる巨大な顎と牙を供えたコワモテに、カマドウマを想起させるバネのように大きな前脚を装備している。(こんな脚してたら、けっこう速く動くんだろうなぁ……)とぽけーっとしながら眺めていたのだが、ティガレックスが動き出したのを見るや、思わず血が出るほど目を見開いてしまったよ。とにかくコイツ、とんでもなく速くて強い!! ティガレックスがどんな動きでどのような攻撃を仕掛けてくるのか? それは実際にゲームをプレイしてから目の当たりにしてほしいのでここに詳細は書かないが、アメリカザリガニの柳原哲也が本気で汗だくになりながら「夢に出るわ!」と叫んだくらい、強烈に怖いモンスターであることだけは言っておこう。

 こんな感じでイベントは5時間に及ぶ長丁場になったのだが、見ているだけでも非常に楽しかった。参加してくれたハンターの皆さんも非常に満足そうだったし、『モンスターハンターポータブル 2nd』の前夜祭的な意味でも大成功だったのではあるまいか。

 ああああああ、俺も早く遊びたい!!!

投稿者 大塚角満 : 17:15
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【モンハンフロンティア】第43回 イャンクック=フラミンゴ説

 イャンクックを見てまず頭に思い浮かぶのが"ニワトリ"という単語だ。名前はもちろんだが、その顔つきといいトサカを思わせる体色といい、どっからどう見ても"ニワトリがモチーフ"、"ニワトリの化身"という気がしてならない。というか、すっかり"クック=ニワトリ"だと思っていた。

 しかし、『モンスターハンターフロンティア オンライン』でクックと戯れていたある日、「クックはニワトリではなかった!」と唐突に気が付いてしまった。『モンハン』シリーズをプレイすること数千時間。あまりにも遅い確信であった。『フロンティア』をプレイしなければ決してわからなかった衝撃の事実であった。

 ちょっとまえのコラムでも書いたが、この『フロンティア』はものすごくグラフィックがキレイだ。情けないことに技術的なことはよくわからんのだが、プレイステーション2版とくらべてとにかく映像のキメが細かいのである。プレイステーション2の『2(ドス)』では見えなかった部分も、この『フロンティア』ではくっきりと見える感じ。ランポスなんてプレイステーション2では青いペンキをかぶったトカゲのように見えたが、『フロンティア』では青いウロコの間に巣食う寄生虫まで見えそうなほどだ。気持ち悪い例えで申し訳ないけどネ。こんな感じなので、イャンクックもそれはそれはクッキリと見える。ピンクのボディーはところどころに濃淡があり、隆起する外殻は確かに彼がそこで生きていることをうかがわせる躍動感がある。正直、すごく美しい。桜色の身体はニワトリのトサカなどではなく、もっと高貴なものをモチーフにデザインされているはずだ。そう思わずにはいられなかった。

 そして俺は唐突に気づいたのだ。イャンクックはじつはニワトリなんかではなく、フラミンゴの化身なんだということに! そう考えるとピンクのボディーカラーはもとより、大きめなくちばし、身体のわりに細い脚、そしてクィ〜ンと空を飛ぶ姿なんかはフラミンゴそのもの。一度フラミンゴだと思ってしまうと、もうフラミンゴ以外にはまったく見えない! ってくらいフラミンゴ度が高い。そうだったのかイャンクック……。いままでニワトリ呼ばわりして悪かった……。

 以来、戦場で対峙するたびに、「いままで黙ってたけど、じつは高貴な生まれなんだよね」とイャンクックが俺に言っている気がしてならない。そして、「クックはフラミンゴなんかじゃありませんよ!」と、シリーズのディレクターである藤岡要さんが怒って俺にメールしてくる気がしてならない。

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▲ホラホラ、完全にフラミンゴ。ちょっとデカくて太ってるけど。


投稿者 大塚角満 : 16:53
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【モンハンフロンティア】第42回 『モンハン』における防具地獄ループ

 すっかり昇天癖がついた俺だが、今日も元気にタコ殴りにされている。ハンターランクこそなんとか7になったが、装備は全身ランポスの初期モノのため、防御力がいささか足らないのである。お金はそこそこ貯まったのだが、「いまヘタにゲネポス装備とか作ると、まもなく素材が揃うと思われるクック装備を作るときにお金が足らなくなる」なんてドケチ根性を丸出しにして装備が作れないのだ。それどころか、

 「クックどころか、もうすぐレイアとか出てくるだろうから、レイア装備を作るためにお金は使わないほうがいい」

 「でも考えてみたらレイアが出てくるころになったらフルフルとかグラビモスも登場するだろうから、優秀なこれらの装備のためにお金はとっておこう」

 「グラビまできたら、それこそドドブランゴやショウグンギザミなど、『2(ドス)』から新たに登場したモンスターの装備も作れるであろう。よって、いまはお金を使うときではない」

 「いやいや、いっそかっこいい古龍の装備ができるまで貯金しとけばいいや」

 ……なんて考えだすといつまで経ってもお金を使うことができない『モンハン』シリーズ独特の地獄ループに陥って、一生素っ裸のままで荒野をウロつくハメになる。そんなことは重々承知しているのだが、お金を集めることがたいへんなこのゲームでは、不用意な衝動買いが本当に作りたい武器や防具が出てきたときに強烈なボディーブローとなって響いてくるので、やはりキチンとした計画を立てなければならない。序盤は、とくにそうだ。

 なんて言いつつ、俺がいま纏っているランポス装備を作った理由は「素っ裸じゃ死んじゃうから早くなにか着るもの着るもの!」とちょっとでも防御力が上がれば何でもいいや的な計画もへったくれもないその場限りの感情に流されたがためである。しかし全身がランポス装備になるころにはクエストにゲネポスやらイーオスも登場しており、当然のことながらランポスよりもゲネポス、イーオス装備のほうが防御力もスキルもステキだったりする。こいつらをフィールド上で見るたびに「ああ……一時の感情でランポス装備なんか作らなきゃよかった……」と猛烈な後悔に苛まれ、そうなると先ほどの地獄ループに陥り、いつまで経っても俺はペラペラのランポス装備が手放せぬままドスランポスやクックについばまれて昇天してしまうわけである。

 さて、俺がこのわけのわからないコラムで言いたいことは"いつ、どのタイミングが防具作りのベストなのか?"ということだ。究極を言ってしまえば、最低でも上位飛竜が出てくるまでは素っ裸でモンスターと戦い、出てきた素材は売っ払って上位防具が作れるようになるまで貯金しておく、というものだろう。しかし俺程度の腕ではクックやゲリョスならまだしも、レイアやグラビ、はたまたディアブロスなんて出てきた日にはハットトリック(クエストで3回死ぬこと)の嵐になっていっしょにクエストに行くパーティーメンバーに迷惑をかけるだけである。となるとやはり、いいタイミングで防具のパワーアップを図り、キチンと防御力も上げて行きたいところだ。ちなみに俺はプレイステーション2の『2(ドス)』においては、

1.ザザミシリーズ
2.イーオスシリーズ
3.ダオラシリーズ
4.ナナシリーズ


 こんな感じで作っていったと思う。もちろん、いろいろとスキルをつけたかったのでところどころに別な部品も入っていたが、概ね、こんな流れだった。

 『フロンティア』は、まだハンターランク7。さてさて、どんな感じで作っていこうかな……って、第1回目のクローズドβテスト、あと3日で終了だけどネ。

投稿者 大塚角満 : 15:22
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【モンハンフロンティア】第41回 なぜこんなに死ぬのだろう

 『モンスターハンターフロンティア オンライン』のクローズドβテストがスタートしてから1週間が経過した。第1次βテストは2月15日までの予定だから、ちょうど折り返し地点といったところだ。

 前回のブログでも書いたとおり、俺はβテストスタート初日からドンドルマに居座っている。それこそ1日も欠かさずに出勤(?)してはクエストに出撃しているので、プレイ時間はかなりのものになるのではなかろうか。『モンスターハンター』シリーズを数千時間プレイし、どの作品でも"熟練"と呼ぶにふさわしいほどキャラを育て上げた俺だから、1週間もあればさぞ立派なハンターランクに成長しているだろうと思われるだろうが、なんと俺のキャラクターの現在のハンターランクは"5"である。え? ごごご、5? ま、まじ? と自分で驚いてりゃ世話ないのだが、ホントのホントにハンターランク5である。これでもドスランポスを20匹ほど屠り去り、特産キノコも無人販売所が開けるくらい大量に調達してきてはいるのだ。でもいまだ、ハンターランク5。なんでだろうなんでだろう……とここ数日考えていたのだが、ついにその理由を導き出した。じつに簡単な理由であった。

 死にすぎ、なのである。

 今回、俺は本当によく昇天している。あまりにも情けないので振り返りたくもないのだが、俺を屠ったのはイャンクック、ドスゲネポス、ドスランポス、ドスファンゴといったボスクラスのモンスターは当然のことながら、ランポス、ゲネポス、イーオスというウザトカゲトリオに始まり、ファンゴ、コンガ、ランゴスタ、アイルーという雑魚代表チーム、そして先日はなんと、モスに体当たりを食らって昇天させられるという大失態を演じてしまった!! この事実はほかのハンターはもちろん、モンハン隊長の河合リエあたりに知られると「やーいモス死に男モス死に男」とうるさいことこのうえないので絶対に墓場まで持っていこうと思っている。とまあこんな感じで、めったやたらと死にまくっているためクエスト出撃回数が多いわりには成長が遅いのであった。

 でも最後に言い訳させてくれ。なんで『フロンティア』になったとたん、俺はこんなに死んでいるのか。これはプラットフォームがPCになったこと、そして会社のPCでプレイしていることが非常に大きく影響しているのだが、プレイしている最中にEメールを受信すると画面に「メールが届きました」というポップアップが出て、ゲームの操作ができなくなるのである。まあこれを防ぐのはすごく簡単で、メールソフトを起動しなければいいわけだ。実際、自宅だとメールソフトを常駐させていないのでまったく問題なくプレイできる。しかし会社にいるってことは仕事をしていることが大前提なわけで、そうなるとメールソフトを起動しないわけにもいかない。でもメールが来ると操作が止まって……。

 スンマセン、ホントにただの言い訳です……。腕を磨きます……。

投稿者 大塚角満 : 19:09
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【モンハンフロンティア】第40回 やってみました『モンハンフロンティアオンライン』

 ついに始まったPCの『モンスターハンター』、『モンスターハンターフロンティアオンライン』のクローズドβテスト。さっそくわたくしめもキャラクターを作り、行ってみました"メゼポルタ広場"。ここはドンドルマの街に入るまえの"関所"のようなところで、ハンターはまずこの広場に立ち寄ってから、おのおの好きな街に散って行くことになる。メゼポルタ広場は非常に広く、さまざまなショップが軒を連ねているので、ここで戦いの準備をし、ともに戦う仲間を見つけてからドンドルマに旅立つ……なんて使いかたができそうだ。ぱっと見ただけでもいくつも知らない店が並んでいたので、プレイステーション2の『2(ドス)』をやり込んだハンターにも、今後いろいろなサプライズが提供されるのでは……と思ったりした。

 とりあえずメゼポルタ広場をひととおり見て回ってから、俺は勝手知ったるドンドルマへと移動した。街に入るときの募集文が現時点(2月1日現在)では"誰でもこい!"と"クエスト同行者募集"しか選べなかったので、とりあえず前者を選んで街へ。入ってみると、すでに何人かの人がパタパタと動き回っている。どのハンターも無言のまま、ある種の確信を持って動いていたので(全員、『2』をやり込んでいるハンターだな)と判断。なので俺もベテランハンターぶって最初のクエスト"特産キノコを手に入れろ"を単独で選んで、ドタドタと密林に出撃した。装備は思いっきり、初期のまま。つまり武器はハンターナイフ、防具はいっさいナシ、ってやつだ。(俺ほどのベテランならば、素っ裸のこの装備でもいささかの問題もなかろう)という過信に背中を押されてのクエスト出発であった。

 ほとんど読み込みもないまま、画面が切り替わって密林のスタート地点に到着。グラフィックがきめ細かくなったが、見た目はそれほど大きな違いを感じない。その証拠に俺の背後から画面を覗き込んだ同僚が、「あれ、また『2』を最初からやってるんすか?」と聞いてきたほどだ。やり込んだ人には安心の風景、初めての人には新鮮な景色、ってところだろうか。

 さてクエストだが、"特産キノコを手に入れろ"は基本中の基本なので難なく終えることができた。ただ俺のPCのモニターはかなり古いため画面がやたらと暗い。しかもゲーム画面の設定をまったくいじくらなかったので、全画面表示ではなくミニモニターのような状態でゲームをすることに……。小さくて真っ暗な画面ではさぞかしキノコを探すのに苦労しただろう……と思われるかもしれないが、我が家の庭のよりもどこに何が生えているのか熟知している密林マップ。「なんかちょっと画面が見づらいな」ってくらいでキノコ探しにはまったく影響なく、簡単にクリアーしてしまったというわけだ。しかしこの暗い画面のままドス系のモンスターやら飛竜に挑むのはさすがに厳しい。なので俺はすぐにログアウトして画面設定をやりなおした(ログイン画面で簡単に設定変更できる)。画面設定をいちばん明るくし、全画面表示に。これでまったくストレスのないプレイ環境ができあがったってわけだ。

 非常に快適な環境になり、俺は喜び勇んでつぎのクエスト、"ドスランポス討伐"に出かけることにした。ある程度このシリーズをプレイしている人から見ると、「ドスランポスなんて雑魚もいいところ」な存在である。俺もそうだった。ドスランポスなんて、試し斬りの相手にもならないちょっとでっかい青トカゲ、って程度の存在でしかなかった。しかも武器は、特産キノコを取ってくるついでに採掘した鉄鉱石のおかげで、なんと"アイアンランス改"まで育っていたのである。相変わらず防具は何もつけない素っ裸状態ではあったが、ドスランポスごときが相手なら十分すぎる重装備であろう。俺はそう思っていた。

 しかし。

 戦場に降り立った俺のまえに立ちはだかったのは、ズザザと砂から沸いてでてきたにっくきランスキラー"ヤオザミ"であった。基本的に直線的な攻撃しかできないランスやガンランスにとって、もっともやっかいな雑魚キャラが、華麗なサイドステップを駆使してハンターの背後に回りこむ、このヤドカリ野郎なのである。ランスを担いで浜辺を走る俺を見たヤオザミは、「うひょ! ランスだランスだ。カモだカモだ」とヨダレと垂らしながら急接近。俺はとたんに「あ、ヤオザミだ。やめろやめろ」と顔面蒼白で逃げ惑うも、ランス相手だと当社比1.5倍ほどのハイスピードになるヤオザミ(んなことないか)は、情け容赦なく俺の背後に回りこんではボコンボコンと殴りつけてくる。「やめてくれやめてくれ」と悲鳴をあげるもサドなヤオザミはまったく手を緩めず、それどころかいつの間にか2匹に増殖して俺を左右から挟み撃ち。素っ裸の俺はまったく成すすべもなく、ドスランポスのトサカを拝むまえに、なんとヤドカリ野郎に昇天させられてしまったのであった……。

 「ヤオザミの野郎、今度会ったらツボ焼きにしたるど」と気合を声に出しながら2度目の出撃。しかし気合を入れたはずが、俺が向かったのは浜辺とは反対側にある森林地帯。ヤオザミにビビったわけではなく、ヤツといま戦っても俺になんのメリットもないと判断しただけのことだ。ホントですヨ。

 するとまもなく、俺の眼前にドスランポスが現れた。いかにも雑魚丸出しの間抜け面である。どっからどう見ても、俺が負ける要素は見当たらない。なんたって俺は、『モンスターハンター』シリーズを数千時間遊んでいる男なのだ。どぅりゃぁぁあ! と気合一閃、ドスランポスに突進を試みる俺。プスプスプスと、安物ランスの切っ先が青オオトカゲの胸板に突き刺さる。プスプスプス……。しかしいくら突っついても、思った以上に手ごたえがない。なんだか、まったくダメージを与えられていない気がするのだ。逆にドスランポスのジャレつくようなへにゃへにゃとした軽いブローを食らっただけで、俺の体力が信じられないくらい減少する!

 「やべえ! 殺られる!!」

 と思ったときにはすでに遅く、笑いながらジャレついてくるドスランポスの甘咬みに喉笛を掻っ切られた俺はなんとそのまま昇天……。2度目の戦死と相成った。

 いかん。これはいかん。いくら素っ裸とはいえ、本日始まったばかりのこのゲームで、いきなりハットトリック(3回昇天すること)をキメるわけにはいかぬ。しかも相手はドスランポス……。俺は今度こそ慎重に慎重を期してドスランポスと対峙することにした。もう油断は絶対にしない!

 しかし、ペイントボールすらぶつけていなかったドスランポスはなかなか俺の前に現れない。しかたないので俺はドスランポスを探すついでに鉱石採集をすることにした。時間はまだたっぷりあったので、心に余裕を持とうと思ったのだ。

 俺はピッケル片手にマップ"8"の地点に向かった。ここだと数パーセントの確率でマカライト鉱石が出るはずだ。行ってみるとそこはアイルー、メラルーの巣窟でニャアニャアニャアニャアとじつににぎやか。ネコ好きの俺はとたんに相好を崩し、鉱石採集も忘れて「かわいい〜♪」とデレデレ状態となった。しかし『モンハンフロンティア』でも、メラルーは相変わらずの大泥棒で、アイルーは爆弾魔。俺はメラルーにあっと言う間に地図、応急薬、携帯食料というライフラインを盗まれて「このノラネコォ!!」と大激怒。メラルーを追い掛け回すも怒りに震える手ではまったく狙いが定まらず、ランスの切っ先はふわりふわりと空気を切り裂くのみ。そうこうしているうちにランゴスタにもぷすりぷすりと刺されまくって、いつの間にか俺の体力は約半分にまで減少した。「あ、ちょっとマズいかも」と思った矢先に1匹のアイルーが愛くるしい顔をこちらに向けて、ズイと取り出したのが巨大な巨大な大タル爆弾。「!!!!」となるも時すでに遅く、ぴゅるる〜と飛んできた爆弾は俺の真上で爆発し、ああ、なんということか、俺は3度目の昇天をはたしてしまった……。なんと最後はネコに殺られるという論外な結末……。

 こんな感じでいきなり波乱万丈なデビュー戦を戦ってきたわけだが、PC用のゲームコントローラーさえあればプレイステーション2版となんら遜色なく遊ぶことができることがわかった。今後、『フロンティア』ならではの要素がつぎつぎと実装されていくことだろうから、かなりやり込んでいるシリーズのファンをも満足させてくれる作品になるだろう。しばらくのあいだじっくりと、この『フロンティア』と向き合ってみたいと思う。

投稿者 大塚角満 : 23:55
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大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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