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【モンハン2】第31回 腕相撲・モデスト場所

 突然だが、俺はかなりの相撲マニアである。相撲好きだったババ様の影響で観戦を始めたのが小学校低学年のころ。当時は現・大相撲協会理事長の北の湖親方の全盛時で、その圧倒的な強さはガキだった俺から見たら弱いものいじめ以外の何ものでもなく、北の湖がひょいひょいと勝つたびに、少年・大塚角満はちびりそうになるほどの怒りに奮えてババ様に八つ当たりしていたものである。懐かしいなあ。

 当然、先日まで行われていた大相撲名古屋場所も自分のデスクで毎日観戦していた(仕事もしていた)。俺と同様に相撲大好き男の女尻笠井とともに観戦していたわけだが、「白鵬は腰が重いっすね」、「普天王が把瑠都の怪力を封じ込めた相撲は日本相撲界にとって一筋の光明だ」とかなんとか、知ったかぶって大騒ぎしているからまわりの人はたまったものではない。とくに、横綱・朝青龍が琴光喜をぶん投げたときはうるさかった。勝負が決まった瞬間、俺は「すげえ! 網打ち(相撲の珍しい決まり手)やりやがった!」と絶叫。これを受けて女尻笠井が「そんな技あるんすか! いやあしかしそもそも朝青龍は……」なんて言い出して、それから小一時間ほど朝青龍談義に花が咲いてしまったのだ。相撲用語を共通言語とする俺と笠井の会話の内容がまったくわからないまわりの同僚たちは、ただただ口をポカンと開けるばかり。どうやら多くの同僚が相撲の季節が近づいてくると「また大塚と笠井がうるさくなるな……」と思っているフシが見られる。ま、いいけどな^^

 相撲の話を書き出すと止まらなくなる。

 なんでこんなことを書き始めたのかというと、『モンハン2』の大衆酒場の一角に、腕相撲マシンが置いてあるでしょう。最近にわかに、俺のまわりでこの腕相撲が流行っているのだ。何をいまさらって感もあるが、つい先日、街に6人ほどの友だちが集まったとき、いつのまにやら腕相撲大会が始まってしまい、いい歳こいたオトナたちが「うおらあ!」、「チックショー!!」、「もう俺やんね!!!」等々、大人げない声を張り上げてガチンコバトルを展開したのである。俺はオフラインプレイで対戦できる船大工の親方に泣かされるくらい、腕相撲には自信がなかった。なので友だちと対戦したところで、のび太のようにボコられるのがオチだろうと思っていたのだが、やってみたら意外なことに、友だちのSちゃん、Hさん、MRさんに快勝。調子に乗って「俺がこの街の横綱だ!」とジャイアン声を張り上げた。

 すると、腕相撲マシンの横のテーブルで酒をあおっていた友だちのJさんが、ユラリと席を立った。そして、ツバを撒き散らしながら勝利の雄叫びをあげる俺に向かって静かに手を差し出すではないか。「横綱、相手になってもらいましょうか」とJさんは言った。望むところだっ! 俺はオッホオッホと胸を叩きながら、乱暴にJさんの手を握った。簡単に負けないから横綱なのだっ! 俺は興奮の極みに達して、やおら、Jさんの腕を叩きつけようとした。

 しかし。

 2秒で負けたーーーーーっ!!

 これほど簡単にぶん投げられるとは夢にも思っていなかった俺は、画面上で勝利のダンスを踊るJさんのキャラを呆然と眺め続けた。おっかしいな……。なんで負けたんだ……。

 「横綱がこんな簡単に負けるわけがないのだが……」

 茫然自失としながら、俺はボソリと呟いた。

 「じゃあ、横綱じゃなかったんじゃないのw」

 と、Jさんがしごくまっとうなことを言った。な、なるほど。それじゃ仕方ないな……。聞くとJさんは船大工の親方を子供扱いする腕相撲の達人(ちなみに腕相撲は、○ボタンと×ボタンを交互に連打する)だという。そんな人に、俺などが勝てるわけもなかったのだ。俺は言った。

 「じゃ、Jさんが横綱で、俺は大関ね。そのほかの人は、みんな前頭ってことで^^」

 しかしそのとき、ひとりのキャラクターがスタスタと腕相撲マシンに近寄っていった。Tくんと言う、まだ10代の若手プレイヤーだ。『モンスターハンター2』をやり始めてから日が浅く、キャラクターのハンターランクは俺の友だち連中の中ではいちばん低い。すぐに、我が街でいちばん弱いHさんが、Tくんの相手に名乗り出た。どうやら、ハンターランクの低い彼になら勝てると思ったらしい。しかし大方の予想通り、Hさんは1秒で叩きのめされた。

 続いて、SちゃんがTくんの前に立った。腕相撲はひたすらボタンを連打するゲームなので、連戦はかなりきつい。なので俺はSちゃんが勝つかと思っていたのだが、予想に反してあっさりと、Tくんが勝ってしまった。続いてMRさんも挑んだが、こちらも当然のようにあっさりと屠りさられた。

 何かが起ころうとしている……。俺は快進撃を続けるTくんに、あらゆる最年少記録を塗り替えた若き日の貴花田の姿を重ね合わせた。どこまで駆け上がってくるんだ? もうその街でTくんに食われていない力士は、大関の俺と、横綱のJさんしかいない。

 「大関の俺が行くしかないか……」

 俺はゆっくりと腕相撲マシンに近寄っていった。目の前には、野心に満ちた双眸(そうぼう)をギラギラと光らせる、若き虎がいる。少し緊張しながら腕相撲マシンの前に立つと、そばにいた横綱のJさんが静かに俺を制し、「俺が相手になろう」と言った。Jさんの真剣な眼差しは(ミドさん、この男、ハンパじゃないぜ……)と俺に語りかけているようだった。

 そして、行司が軍配を返した。若き虎と、最強の横綱の対戦だ。俺はJさんの強さを痛感していたので、さすがのTくんの快進撃もここで止まると確信していた。しかし……。

 Jさんは3秒と持たず、Tくんに叩きのめされた。最強の横綱が、新鋭にあっさりと負けてしまった! 俺は雄々しいTくんの姿に、貴花田どころか播磨灘の姿を重ね合わせた。「つ、強ええ……」とJさんが声を絞り出した。こうなると俺などまったく勝ち目があるとは思えなかったのだが、一応、大関を襲名(って、俺が決めただけだが)している身としては挑戦を受けるしかあるまい。俺は手の平にイヤな汗を滲ませながら、腕相撲マシンの前に立った。しかしさすがの若虎も、連戦につぐ連戦で指が限界に近づいているはずだ。俺にもチャンスがあるかもしれない。俺は練習にと、バシバシバシバシとボタンを連打した。バシバシバシバシバシバシバシバシバシ……。そのたびにNPCに話しかけながら(○ボタンは会話ボタンだからね^^;)、俺とTくんは腕を組んだ。さあ決戦だ!!

 俺は「うおおおおおおおっ!!」と本気で叫びながら、○ボタンと×ボタンを連打した。うおおおおお……。

 しかし練習のしすぎが災いしてか、俺の身にとんでもないアクシデントが起こってしまった。

 ゆ、指がつった!!!!

 勝負のほうは当然ながら。

 1秒で屠り去られました。

 こうして、腕相撲・モデスト場所は幕を閉じた。この日以降もJさん、Tくんに勝負を挑んでいるがまったく歯が立たない。Tくんはいまだ不敗で、当然のごとく横綱に君臨。Jさんは大関に格下げとなったが、Tくん以外には負ける気がしないようだ。ちなみに俺は、控えめに"関脇"を名乗らせてもらっている。

 井の中の蛙、大海を知らずと言うが、我がモデスト軍団の実力は全国的に見たらどれくらいなんだろうか? ちょっと気になる、今日このごろです。

※モデストとは、『モンスターハンター2』内にある街のひとつです。

 

 

投稿者 大塚角満 : 11:47
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大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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