現地直送! 北米ゲーム事情リポート

そもそもSpike VGAって

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Photo from Spike

 ロサンゼルスで昨年末にビデオゲームの授賞式が行われた。ちょうどロスで行われるアカデミー賞のゲーム版かと思うような豪華さだ。主催したのはケーブルテレビ局の“Spike”(前はSpike TVと呼ばれていたが今はSpikeだ)。賞そのものはゲーム業界からは重要視されておらず、2月に行われるD.I.C.EサミットのInteractive Achievements Awardsとは比較にならない。それでも近年VGAはパブリッシャーにとって新作を初公開するいい機会となっている。今年も『Uncharted 3』(万歳!)、『Resistance 3』、『Mass Effect 3』、『The Elder Scrolls 3……あ、ちがった、コレは5だ。ボクは拍手喝采しながら楽しく新作のムービーを見た。

 しかしながら、VGAのそもそもの目的は、いくつものカテゴリーにわたってゲーム・オブ・ザ・イヤーを祝福するということにある。でもってまぁ想像がつくと思うけど、まったくもって大げさで品がない。キミは思う存分、ズドーンと音楽が鳴り響いて、ハリウッドのセレブがテレプロンプター(※)に従ってぎこちなくご紹介なさっているのにひれ伏すことができる。

※編注:原稿を見ながら喋らなくてもいいようにする機械。たとえばカメラのレンズ部分に設置すると、カメラ目線のまま原稿を読むことができる。


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『Red Dead Redemption』がゲーム・オブ・ザ・イヤーということで、ホセ・ゴンザレスがライブステージを行った。

Photo from Spike

 下品な安っぽさといったら、バーガーキングのBKダブルといい勝負だ。Spikeのターゲット層は17歳から35歳の男性で、彼らの快楽原則に直結したエンターテインメントを主としている。『スタートレック』や『CSI』を死ぬほど放送して人気を集め、MaximやFHMといった男性誌のようなコンテンツもある(ただし股間部分だけね。頭を使う記事はスルー!)。それと何はなくとも警察がカーチェイスしたり張り込みしている番組や隠しカメラ、どアホが自爆して怪我する様子、おっぱい、エトセトラ、エトセトラ。

 今年のVGAは175ヵ国で放映されたわけで、事実として、テレビで放映されるもっとも大きなゲーム賞を放送しているのが、(より確かなケーブルチャンネルであるShowtimeとかHBOじゃあなく)Spikeであるのは間違いない。いかにゲーム人口が多いことか。SpikeがVGAをやるのは、American Ninja Warrior(アメリカ版『サスケ』)を流すだけじゃなくビデオゲームメディアとしても業界に食い込んでいるG4 TVに対抗するためだと見ている人も少なくない。Spikeは同様にSFやファンタジー、ホラー、コミックなどを取り上げるアワード“Scream”も主催している。

 VGAはオンライン投票を行っているが、その前段階の疑わしいノミネートがしばしば物議をかもす。少なくとも批評的には無視された『50 Cent: Bulletproof』が“ゲーム・オブ・ザ・イヤー”にリストアップされているのに、2010年でもっとも高評価を受けたゲームのひとつである『スーパーマリオギャラクシー 2』が不当に無視されていたりするのだ。みんな、そろそろコイツはオスカーじゃないってのがわかったかな? セレブたちは自分たちがしゃべっているゲームが何なのかよくわかっていないし、創造性とか革新性を祝福する場所ってより、マーケティングやら広告やらケーブルテレビの視聴率のためのものなんだよね。とってもアメリカ……ファック・イェー!


joze Gonzales

Photo from Spike

 

プロフィール

Jason Brookes

ジェイソン・ブルックス

イギリスのスタイリッシュな辛口ゲーム雑誌『Edge』の元編集長。ふと思い立って渡米後、『LOGiN』アメリカ特派員などを経て、現在は学生としてデジタルアートを学び直す日々。イギリス人らしいシニカルさは、アメリカに渡った現在も健在だ。実は日本のあるゲームの名付け親だったりもする……。

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