現地直送! 北米ゲーム事情リポート

ブラック・フライデーとショッピング・ゾンビーズ

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Photo by Bestbuy

 アメリカでもっとも忙しい大売出しの日、それが“ブラックフライデー”だ。クリスマスまで続くショッピングシーズンの火蓋を切るこの日は、伝統的な祝日である感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日にやってくる。家族が集まって祝った後、みんなで買い物に行くわけだ。価格は大きく切り下げられ、多くの商品と広告がWebに前もって掲示される。

 

 ボクにとって、ブラックフライデーは家にいるいい理由となる。隣人と同じくボクも安いものが好きだけど、アメリカ人のショッピング熱により大混乱が起きるんだよね。前夜から人が列を成していたTarget(アメリカの小売店)の早売りの様子をビデオで見て、ふとボクはこう思ってしまった……「食糧危機とかゾンビ病がこの国で発生しませんように!」もちろんそうはならないだろうけど。


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 ギリギリまで下がった低価格な商品もいいけど、ゲーマーならKinectとMoveの発売に興奮するだろう。事実として地元のBest Buy(アメリカの小売店)はKinectを長いこと切らすハメになったし、SCEは410万のMoveを世界で出荷したという。いくら売れたかは不明だが、この点ではマイクロソフトはKinectが同梱版も含めて250万台売れたと言っている。任天堂はそれでも60万台のWiiと90万のニンテンドーDSをブラックフライデーの週に売っているという。

 

 しかし今年のシーズン、もっとも巨額のカネを生み出したのはアクティビジョンの『コール オブ デューティ ブラックオプス』だろう。アメリカ人の血まみれの戦争への限りない貪欲さといったらない。このタイトルは発売5日で6億5000万ドルを生み出し、『モダン・ウォーフェア2』の記録を軽々と上回った。

 

 だが、こりゃちょっと出来過ぎだ。ゲームには確かに印象的なシーンがいくつもあるし、Treyarchにとって大きな技術的進歩でもあるが、ゲームプレイの点ではちょっとバカげている点が多い。セガが『バーチャ世界コップ』(編注:バーチャコップに、アメリカの世界警察ぶりと『ブラックオプス』シングルプレイの直線的なプレイを複雑にかけている、イギリス人らしいジョーク――おもしろいかは別として)を出したのかと思ったよ。ショックシーンには気味悪く感じることも多かったんだけど、次の世代の戦争ゲームで検閲が行われるハメになるか心配してしまうね。


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 さて、アメリカの不景気がいまだキツく、ゲームのテクノロジーの進化がやや停滞気味の昨今、シリーズものが前作より大きく売上を落とすのは驚きではない。音楽ゲームはこのあおりをもっとも大きく食らっている。『メダル オブ オナー』と『キャッスルヴァニア ロード・オブ・シャドウ』もまた、大衆から祝福されることかなわなかった。『アサシン クリード ブラザーフッド』と『Fallout: New Vegas』、『ニード・フォー・スピード ホット・パースート』のみが、ガッチリ大地をつかんだという状態。もしかして、EA風に毎年ゲームをアップデートしてリリースするのが不況を切り抜ける術なのか?

 

 とはいえ個人的にクライテリオンによる『ホット・パースート』は好きなんだけどね。タイトーの『チェイス H.Q.』を全面改修して、地元カリフォルニアの海岸線をコースにした感じ。さーて、来年のブラックフライデーまでまた出費を切り詰めるか……。


プロフィール

Jason Brookes

ジェイソン・ブルックス

イギリスのスタイリッシュな辛口ゲーム雑誌『Edge』の元編集長。ふと思い立って渡米後、『LOGiN』アメリカ特派員などを経て、現在は学生としてデジタルアートを学び直す日々。イギリス人らしいシニカルさは、アメリカに渡った現在も健在だ。実は日本のあるゲームの名付け親だったりもする……。

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