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ボクが『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』を推す理由

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 8ビットと16ビットの時代、ボクは『キャッスルヴァニア』のファンで、スーパーファミコンで『悪魔城ドラキュラ』が発売されたときにその熱がピークに達した(欧米では『Super Castlevania IV』というヘンなタイトルだったけど)。

 『キャッスルヴァニア』、この名の下に作られたゲームの世界は非常にクールに感じられた。効果的な演出によってドラキュラの城への道のりは途方もないものに思え、そこにはバラエティに富んだ多くの面があった。それだけじゃない。すばらしい音楽もゲーム体験に寄与するものが大きかった……。

 それから19年もの月日が過ぎた。3D化によってゲームの土壌は決定的に変化し、欧米のゲーム開発は飛躍的に成長しノウハウを積み上げた。だからいまや『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』で、この魅力的な日本製フランチャイズがスペインのデベロッパーMercury Steamによって再度“リブート”されることを知っても、それほど驚くべきことではない。

 

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 いい知らせとして、この勇敢なるスペイン人たちには小島プロダクションがついているし、過去のシリーズ作を思い起こす内容でありながら(ゲームディレクターはスーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』が参考になったと明かしている)洗練された新たなレベルに進化させようと『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』のために汗水たらして働いている。彼らがなにかスペシャルなものを創りだそうとしていたのは明白だ。なんせこれはとてつもなく愛されてきたタイトルなのだ。ディテールに満ちた世界、カットシーン、パズルがあり、スキルやアップグレードはログに美しく記述されていく。


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 もっとも印象的だったのは、かつて『悪魔城ドラキュラ』といえばそうだったように『メトロイド』スタイルの迷宮を巡っていくのではなく、もっと直線的でオールドスクールなレベルベース(編注:ステージごとに進んでいくスタイル)である代わりに、このゲームが記録的にデカいことだ。ボクは数時間おきにマップを見ては「ジーザス、まだこんだけ? いったいどれだけあるんだよ?」と呟くハメになった。


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 ゲームはちょっと比較しにくい美しさが一貫していることも特筆すべき点だ。フィールドはゴージャスで、時折シンプルになるゲームプレイに深い陰影を加えている。視点を任意に操作できないのは気になったが、しばらくすれば慣れた。操作可能であることを示すためにハイライトされたオブジェクトが出てくるのはちょっと矛盾があるが、こちらはそれほど多く出てこない。


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 議論になりそうな点としては、本作はより広い層のゲーマーを獲得するために、『ゴッド・オブ・ウォー』、『デビル メイ クライ』、『ワンダと巨像』といったいくつかのアクションタイトルの要素を取り込んでいるところを挙げておきたい。しかしながら、戦闘システムはタイトで深みがあり、スキルやアップグレード、コンボがうまく組み込まれている。とくに十字架の使い方は気に入ったね。


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 そんなわけで、アメリカでメディアの評価が二分しているのはちょっと困惑してしまった。ある者は愛し、ある者は嫌う。ボクが思うに、批評家の多くは『キャッスルヴァニア』シリーズのハードコアなファンで、五十嵐孝司氏が手掛けたタイトルの耽美的なゴシックさを重ねすぎているのではないだろうか? とはいえストーリーの点で本作が成功していると言えるわけではないのは同意できる――とりわけアメリカの俳優、パトリック・スチュワートによる冗長で退屈なモノローグとか……。それでもフェアに見て、いいゲームだと思うよ。


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 ボクはいくらかのゲームはその環境によって生まれると主張してみたい。本作はまさにそんな感じだ。美しさや雰囲気、スタイルがゲーム体験の中心にあり、ゲームプレイそのものよりもハイレベルだ。ボクにとって本作は今年の『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』(編注:ジェイソンは昨年のベストゲームに選んだ)だ。総合的な優秀さではちょっと異なるかもしれないが、それでも20時間超も自分が愛したシリーズのリブート作を遊べるなんて驚きだよ!


 Mercury Steam、ボクはあなたたちがどうやってやってのけたのか知らないけど、賞賛のことばを贈ろうと思う。ハロウィンは楽しく過ごせたかな?

 

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※画像はすべて海外のものです。

日本版は2010年12月16日発売予定。
キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ (PlayStation3/Xbox360)
価格:7,980円[税込]
http://www.konami.jp/castlevania

プロフィール

Jason Brookes

ジェイソン・ブルックス

イギリスのスタイリッシュな辛口ゲーム雑誌『Edge』の元編集長。ふと思い立って渡米後、『LOGiN』アメリカ特派員などを経て、現在は学生としてデジタルアートを学び直す日々。イギリス人らしいシニカルさは、アメリカに渡った現在も健在だ。実は日本のあるゲームの名付け親だったりもする……。

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