現地直送! 北米ゲーム事情リポート

『Limbo』はすばらしかったが……

 インディーゲームの近年の躍進は、ゲームビジネスの広告費の上昇が厳しいレベルになってきたことと、草の根的なクリエイティブへの欲望との兼ね合いの結果だ。方程式はとても簡単。消費者はより大きく、何百万ドルものゲームを毎年消費し、制作費はとんでもない額へと上昇している。となればインディーデベロッパーとしてはシンプルにお金のかからない小さなプロジェクトを進めるまでだ。

 

 インディーゲームについて語ることはいくらでもあるけど、20年前、30年前にどうやってゲームが出てきたかを忘れるわけにはいかない。ゲーム業界はそもそも、Spectrumやコモドール64やアタリSTやアミーガといった家庭用コンピューター向けに作られたいくつもの興味深いインディーなタイトルが根っこにある。事実として、Xbox Live ArcadeやPlayStation Networkに並んでいるタイトルに負けないだけの豊富なアイデアがそこら中に転がっていたんだ。

Limbo

 この30年を繋ぐ最近のタイトルといえば、『Limbo』を挙げられる。古きよきインディーなアプローチを復活させ、見慣れた16ビットの横スクロールアクションのシステムを最新のものにしており、非常にすばらしい。僕はポリゴンアニメーションで出来たアドベンチャー『Another World』(日本では『アウターワールド』と言うらしいね)を思いだした。だがまぁ、2Dアクションがインディー開発者にとって自分のアイデアやビジョンを盛り込むのに安全な方法というのには同意するが、革新性のない2Dアクションばっかり出てくるのは勘弁だ……。

anotherworldpack
anotherworld

 こういったタイトルでは『Hunter』(明らかに『GTA III』に影響を与えている)、『Carrier Command』(『コマンド&コンカー』の先祖)といったタイトルも思い起こされる。3D格子模様の世界をロボットを次々と移動させていくゲームだ。……初期のコンピューター技術上で、こういったユニークかつ革新的なタイトルが生まれてきたのに、なぜ今日のインディーデベロッパーはそれほど印象的なタイトルを作れないんだ?

sentinel
Bbc_elite

 フェアに行こう。今日のゲームカルチャーの懐古主義者は、80年代の当時のゲームシーンの実態よりも多くの“お約束事”を守らなければならない。市場がカジュアル、モバイル、ウェブゲーム、インディーゲーム、そしてダウンロード配信と多様化したことで、多くのデベロッパーは安全に走る傾向がある。

 しかし、商業的成功への願望があまりないようなアーティスティックなクリエーターからの難解な注文が年々増大していているせいで、逆にその中間を探る連中も増えてきた。昨年IGF(インディーゲームの祭典)は新たなカテゴリーを設けた。Nuovo――アーティスティックさ、個性、あるいは難解な表現のバランスが取れたゲームに捧げられるアワードだ。

 

 今春サンフランシスコでIGFの会場を歩いたとき、僕はデベロッパーはいかに自分たちのゲームをレトロ、難解、変に見せようと腐心しているかに気がついた。まるで、5歳児が描いたかのようなグラフィックでもなければ認識されないと恐れているかのようだ。ポップカルチャーで近年多くのクリエーターが車輪の再発明にちょっと必死になっているようにね。

 

 僕としては、セミプロやプロの開発者がトップクラスのビッグタイトルに支配されたメインストリームから離れ、商業的なアピールもありつつ、フレッシュなコンセプトで低予算のインディーゲームを作ることを期待することとしよう。『Elite』や『The Sentinel』みたいなジャンルの壁を破壊したタイトルをマルチプレイ時代にふさわしくアップデートしたものをまず狙ってみるなんて悪くないんじゃないか、なんて思うんだけど……

 

プロフィール

Jason Brookes

ジェイソン・ブルックス

イギリスのスタイリッシュな辛口ゲーム雑誌『Edge』の元編集長。ふと思い立って渡米後、『LOGiN』アメリカ特派員などを経て、現在は学生としてデジタルアートを学び直す日々。イギリス人らしいシニカルさは、アメリカに渡った現在も健在だ。実は日本のあるゲームの名付け親だったりもする……。

最近のエントリー