現地直送! 北米ゲーム事情リポート

僕と過去の記憶と『Red Dead Redemption』

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 僕が子供の頃、父はしばしば僕が夜更かしをしてテレビでクリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』や『続・夕陽のガンマン』といった“スパゲッティ・ウェスタン”(編注:日本で言うマカロニウェスタン)のクラシックを観るのを許してくれた。僕はこれらの映画が好きで、主人公をある種英雄視していた――ニューメキシコの寂れた街で盗賊に囲まれてもひるまないような男……学校で上級生にからまれたりするような時は、そんな救世主が心に必要なものだ。

 

 時が経ち、僕はウェスタンに違った熱をあげるようになった。カプコンが1985年にリリースしたアーケードゲーム『ガンスモーク』の中毒になったんだ。キュートだけど危険な、デジタル西部劇……ステロイドつき。このころを振り返ると、『ガンスモーク』の3ボタンを叩いているあいだに単位は落としていたほどで、それからずっとなんでウェスタンをテーマにしたゲームがもっとでないのか考えていた。ゲーマーは西部劇を理解するには若すぎる? それともSFやファンタジーは19世紀アメリカなんかよりクリエイティブだとでも言うのか?

 

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 実際に、現在のハリウッドでしばしば『アパルーサの決闘』や『3時10分、決断のとき』といった映画が作られても、アメリカのかつてのウェスタンの熱狂は帰ってこず、このジャンルの大作はあまり見られなくなっている――とくにゲームでは。 ゲームストップやベストバイを歩けば、2歩も歩かずにファンタジーナイトアドベンチャーやSFシューターが見つかるが、馬と銃にはなかなか会えない。

 

 だからこそ、2004年の『レッド・デッド・リボルバー』に続いて、莫大な予算と1000ものスタッフがかかわる巨大プロジェクトとして『レッド・デッド・リデンプション』が開発され、しかもとんでもなくすばらしい続編となっているのは驚くべきことだった。一体誰が時代遅れのジャンルに無駄遣いするっていうんだ?

 

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だがロックスター・ゲームスにとって、本作は彼らのクリエイティブ・ビジョンの先端性を示している。不審な過去に縛られた運命を持ち、いいナビゲーションスキルと銃のセンスがある男がいる世界――何百万ものロックスターの『グランド・セフト・オート』のプレイヤーが慣れ親しみ、疑いなく贅沢な量のせりふやキャラクター、そしてオープンワールドのゲームだとわかるテンプレートだ。

 

そして世界にはやるべきことが詰まっている。多くのロックスターのゲームのように、ストーリーを追うことそれ自体が目的というよりも、さまざまな点と点をつなぐひものようなもので、それを渡らされていくと、楽しいガンファイトが用意されているという仕組みだ。ありがたいことに、『GTA』のひどいガンプレイは、数少ない継承されなかったもののひとつだ。


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しかしながら、クエスト的なストーリーを遊んでいる最中は、ある種のMMORPGを遊んでいるような気がしてくる。『GTA サンアンドレアス』でそうしたように、ロックスターはモラルベースの名誉システムやキャラクターと武器についてのいくつかの成長要素を導入して、もっとRPGライクにオープンワールドを使っている。まぁ、ロックスターは明らかにそれを推し進めて変なところに持って行こうとはしていないけど。(問題は、僕はマルチプレイをやってないってことだね。フリーロームのグループミッションはすごいMMOのレイド戦っぽいって聞いたけど……)


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 ともかく、楽しい銃撃戦や乗馬やミニゲームとは離れて、本作は真に美しく雰囲気のあるゲームとなっている。馬のモデリングとアニメーションはもちろん僕が『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』の河や寺院を見て以降でベストのものだし、すばらしく効果的な昼夜のサイクルを演出するライティングは死ぬほど美しい。

 

 奇妙なことに、本作はゲーマーに偉大なるアメリカの西部の心――すばらしい自然と、道徳があいまいだった過去――へといざなってくれる。GTAは汚く、ざらざらした、(誇張されて)マンガのような街だが、本作の世界はワイルドで、飼い慣らされない息づくような美しき自然がそこにある。オープンワールドのアクションアドベンチャーとして、僕が知る限りほとんど完璧だ。ウェスタンのジャンルにおいては、予測もしなかった巨大な一撃。次はなんだ? ベセスダかバイオウェアの西部劇RPGかい?

 

プロフィール

Jason Brookes

ジェイソン・ブルックス

イギリスのスタイリッシュな辛口ゲーム雑誌『Edge』の元編集長。ふと思い立って渡米後、『LOGiN』アメリカ特派員などを経て、現在は学生としてデジタルアートを学び直す日々。イギリス人らしいシニカルさは、アメリカに渡った現在も健在だ。実は日本のあるゲームの名付け親だったりもする……。

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