第16回:ベセスダ・ソフトワークス高橋徹氏と対談だぜ!

 2ヶ月に渡って続いた放射能汚染日記も、遂に今回が泣いても笑っても最終回である。思えば何度となく死んだり、クエスト失敗したり、能力振り分けに失敗して最初からやり直したり、およそあらゆるプレイをしゃぶり尽くした果てに辿り着いたのは、なんとベセスダ廃墟!

 ではなく、ベセスダ・ソフトワークスのオフィスである。ブログ最終回を飾るのは、スペシャルゲストとしてゼニマックスアジアの高橋徹ゼネラル・マネージャーだ! 筆者はカプコン時代から高橋氏と面識があり、洋ゲーを日本に売り込むに当たって直面した様々な困難について色々と意見を聞かせてもらっていたという間柄。

 

 激しい残虐性を伴うアクションシーンの連続というZ指定タイトルでありながら、大掛かりな宣伝が展開されている『Fallout 3』は、これまでの洋ゲータイトルとは確実に違ったスタイルで日本市場に登場したと感じさせる。ではそろそろ本題に入ろう。この凄まじいまでの完成度と中毒性を持つタイトルの日本版ローカライズを実現させたキーマン、高橋徹氏への過激発言連発! RAD振り切りなインタビューを楽しんでくれ!

 

▲ウェイストランド放浪の果てに、ついにマスク・ド・UHはベセスダ廃墟、もといベセスダ・ソフトワークス(ゼニマックス・アジア)のオフィスに辿り着いた! 早速Brotherhood of Steel像の前にて、ゼニ(銭)サインで記念写真を。

 

マスク・ド・UH(以下、UH) ひさしぶりですねぇテツさん。相変わらず忙しいんすか?

 

高橋徹(以下、高橋) そうでもない。割と落ち着きましたね。

 

UH 『Fallout 3』売れてますね! PS3版も無事発売されたところで質問なんですが、どうすか、社長業は?

 

高橋 社長じゃなくてゼネラルマネージャーだから(笑)。目標値にはまだ達してないよ。まぁでも、360版でなんだかんだで6万越えてきて、合わせて15万は越えるんじゃないかなぁ。あくまでも希望値なんで(笑)。

 

UH 俺も普及に尽力してますよ! けど、なかなかやっぱり、どういうゲームだか、わかんねぇっていう意見が多いみたいで。実際プレイ画面とか見せれたら変わってくると思うんですけど。『Bully』(※)も動かしてみてナンボの魅力じゃないすか。

 

※『グランド・セフト・オート』(以下、『GTA』)シリーズで知られるRockstar制作の、全寮制の学園での中学生ライフを描いた箱庭系アクション。

“Bully”とはいじめ・いじめっ子などの意味を指すが、主人公は様々な連中が引き起こす騒動に巻き込まれがちなガキ大将系のワルガキ。バイオレンスな作品としてのみ記憶されがちな『GTA』のRockstarがなぜ学園モノを? と発表当時は首をかしげるひともいたが、Rockstar作品の本質は人間をちょっと斜に構えて見るユニークな視点とジョークにあることを思い出させてくれる、文句なしの快作

 

高橋 合わせて6万ぐらいかな。

 

UH あの『Bully』が? それは予想よりは行ったんじゃないかなと思いますね。

 

高橋 僕の期待はもうちょっと高かったんで(笑)。

 

2人 ダハハハハハハハ!

 

UH いやーでも、俺たち的にはスゲー頑張ったなぁと思いますよ。洋ゲーの中でも個性の強いタイトルだったんで。

 

高橋 まぁ悪くなかったですよ。PS2が5万、360が2万と見てたんで、ちょっと思ったよりPS2が弱かったけど、まぁ全然合格。

 

UH ぶっちゃけモノがちょっと古かったじゃないですか。内容的にも大丈夫かなーと。

 

高橋 内容は問題ないですよ。

 

UH カルチャー的に馴染みがないから心配してたんですけど、中学生魂は世界共通だったってことで日本でも売れたんでしょうね。

 

高橋 ね。……俺の期待値高いのかなぁちょっと?

 

UH 高いほうがいいっすよ! そうじゃないとタイトル引っ張ってこれないでしょ!

 

▲今回の対談はゼニマックス・アジアオフィス内の会議室で行われた。壁には作品のポスターなどが。

 

UH 本題は『Fallout 3』なんですけど、そもそも『オブリビオン』(※)っていう下地があって、『Fallout 3』が日本で出ることになったじゃないですか。で、結構アメリカで期待値が高いゲームだったけど、『Fallout』っていう長い歴史を持つタイトルが、日本で全然知られてないっていうのがあって、過去に確か一本だけPS2で番外編のアクションゲームだけがリリースされてたんですけど。

 

※『ザ エルダースクロールズ IV: オブリビオン』。広大なフィールドと膨大なシナリオに、正統派のファンタジーをベースにしたオープンワールドRPGの大傑作。世界観の作り込みがすさまじく、宗教史や世界史を知っているとニヤリとさせられることも。

 

高橋 あぁ、出てましたね。

 

UH セールス的に苦戦していたので、さらにいきなり『3』投入かぁ。『Fallout』の『1』と『2』が出てないのに大丈夫か? と思いましたよね。

 

高橋 でもその辺は『オブリビオン』だっていきなり(日本では)『IV』から始まったから。『GTA』だって『3』から始まったじゃん。あんまりその辺は気にしてなかった。

 

UH 「気にしてない」って(笑)。みんな過去作を知らない市場に、いきなり『3』を投入するのに不安とかあったのかなぁって思ったんですよね。

 

高橋 (力強く)全っ然考えてなかった。

 

一同 ダハハハハハハハハハ!

 

高橋 みんなはちょっと心配してたみたいだけどね。

 

UH 普通そこ心配しますよね。

 

高橋 実を言うと僕は『Fallout』の『1』とか『2』とかよく知らないんですよ。

 

UH ……カットした方がいいかな?(笑)

 

――ワハハハハハハ! それはそれで。

 

高橋 まぁそれは知らないですよ。でもある意味ユーザーと同じ立場じゃないですか。

 

UH 確かに。でも『Fallout3』発売以降の今現在は、秋葉原の洋ゲー屋に結構PC版の旧作の問い合わせが来て、それで取扱始めて一緒に売れる感じになってるみたいですよ。

 

高橋 それは……ウチ的にはあんまり美味しくないですね(笑)。まぁでもいいんじゃないっすか?

 

UH 『Fallout』効果ってことでね!

 

▲作品のクオリティーに自信があるだけに、『Fallout 3』をリリースするのに不安はなかったと語る高橋氏。

 

●ローカライズ話! 「何も考えずに戦え」

 

UH 『Fallout 3』は、もう最初から日本語版を出すつもりで動いていたんですか?

 

高橋 2月にゼニマックス・アジアを立ち上げて、会社作った段階から今年度の目玉タイトルになるのはわかっていました。

 

UH 結構核心ついちゃう話ですけど、海外版とか、かなりゴアじゃないですか。

 

高橋 うん、でも僕はまんま出せると思ってたんですね、しかもまんま出して(CEROレーティングで)Dだろと。

 

UH ワハハハハ! ないっしょ、それはない!

 

高橋 うん……欠損は最悪カットしなきゃいけないかもしれないけど、それでもD、逆に言えば欠損表現を取りさえすればDになると思ってた。実際いろいろ問題になったところは、問題になるとは思ってなかったんで。

 

UH Mr.バ●ク(※)とかですか?

 

※諸事情により、住居は存在するが姿は見えないNPC。

 

高橋 うん、そうそう。

 

UH 俺一応海外版もやったんですよ。で、コレ相当エグいなぁと。

 

高橋 そうですか? なにがエグい?

 

UH ここ数年やった洋ゲーの中では、一番ゴア度が高いなと率直に思いましたね。もう限定解除(笑)。レールライフルとかヒドいもんですよ。

 

高橋 でもあそこまでやっちゃうとむしろおもしろいっていうか、バカっぽい感じじゃないですか。

 

UH うーん、でもGametrailers.comがゴアシーン(要はエグいシーン)だけのトレイラーをアップしたら、それがESRBから削除要請が来て揉めたって話(※)とかあったじゃないですか。それで、そんなに海外版スゴいのかと思っておっぱじめたんですけど、予想に違わぬスゴさだった。感心しましたね(笑)。

 

※ESRBはアメリカのレーティング審査機関で、Gametrailers.comは豊富なゲームムービーがウリのWeb系ゲームメディア。編集者たちによるポッドキャストで、上記の話の顛末が明かされた。

 

高橋 そういった意味では、日本では人間の欠損だけ取りましたけど、後は一緒ですから。

 

UH グールとかスパミュー(スーパーミュータント)は一緒ですよね。

 

高橋 だからレールライフルでスパミューを撃てば、頭が壁に……

 

UH ゴーンと留まると(笑)。でもあれが人間でできるかどうかって話ですよね。

 

高橋 スパミューとかグールは大丈夫で、なんで人間だとダメなんだっていうのも個人的にはよくわかんないですけどね。まぁ、いいか……と。

 

UH 海外版だとロケットランチャーで誤爆したりすると自分もバラバラに吹っ飛んだりするじゃないですか。だから俺もそういう意味ではいいのかなとか思ったんですけどね。

 

高橋 しかもやっぱり、結果的にはZになったわけじゃないですか。最近だと特定の地方自治体ではその時点で自動的に有害図書扱いになる。そこまでの扱いになるんだったら、規制しないでほしいですよ。よくわかんない。

 

UH でも『Gears of War 2』がそういった問題で遅れたらしいとか、『Dead Space』が日本版出ないらしいとか、そんな話が増えてきてるなかで、『Fallout 3』は出ただけよかったなと俺は思ってますよ。っていうのは、また出ない洋ゲーが増えてきたと思うんですよね。

 

高橋 それ多分出す気がないだけだと思いますよ。

 

UH 確かに(笑)。まぁ『Dead Space』はゲームプレイ上欠損なくすのが難しいってことだったみたいですが。

 

高橋 いや、その、欠損なくさなくても……出せるわけじゃないですか。

 

UH まぁ本当は……(汗)

 

高橋 Rockstarもそうだし、戦うパブリッシャーっているじゃないですか。結構、戦えば意外になんとかなる。でも、みんな戦わないんだよね。

 

UH ワハハハハハ、いい言葉頂きました! 今日の語録ですね、「何も考えてなかった」と、「戦えばなんとかなる」は(笑)。

 

高橋 まぁ、何も考えずに戦うことが大事かも(笑)。

 

▲洋ゲー業界のなかでも行動派で知られる高橋氏だが、やはり本作をリリースするまでには並々ならぬ苦労があったようだ。

 

UH 発売後の評判とかはどうですか?

 

高橋 発売前は「なんで欠損削るんですか」とかすっげー一杯来てましたね。来てましたけど、フタを開けてみると、「よくここまでで抑えてくれた」っていうのと……

 

UH 励ましに変わったと(笑)

 

高橋 それと、ボイスまでやったんで「ローカライズが非常に良かった」と。

 

UH ボイスは本当にすごいですよ。

 

高橋 ねぇ、やっちゃいましたね(笑)

 

UH プロパガンダ放送で「中国語なまりの英語の日本語での吹き替え放送」っていうアクロバティックなのやってたじゃないですか、あれとかスゴい! 「ミサイル、みんな、死にマス!」って。あそこまでやるかと思いましたね。

 

高橋 あれも発表会の当日、プロデューサーの岩本(けい氏)に、いきなり「ごめん、ボイスまでやるって今日言っちゃうから、ヨロシク」って。その時は実際にどのくらいの作業になるのかまったく把握してなかった。

 

UH もう、ただ「やる」と。

 

高橋 うん、それは『オブリビオン』の時の反省で、字がちょっと小さくて読みにくいって意見が多かったんで。でも元から小さいので、直しきれないんですよね。今回は大分マシにはなったと思うんですけど、ボイスまでやったほうが英語でプレイしているアメリカ人と同じに遊んでもらえるなと。

 

UH パッとすれ違ったときの立ち話とかまで全部日本語化されてるっていうのは、本当にスゲーなと思って。ああいう所で痴話喧嘩してるのが発覚したりするわけじゃないですか。あれってシナリオに全部起こして、読んでって感じになるんですか?

 

高橋 うん、そうですね。ランダムなものも結構あるんですが。

 

UH 実際どんぐらいかかったんですか?

 

高橋 期間的にはひと月ぐらいなんですが……スタジオを4つか5つぐらい使ったんで(笑)

 

UH 全部同時進行で? それは大変だ。実際、ローカライズ作業全体でどれくらいかかりましたか?

 

高橋 北米版から大体ひと月遅れで出したんで、データとかを貰い始めたのが確か8月ぐらいだったかな? 10月にはマスター(ロム)を提出したんで、3か月ぐらい。

 

UH スゲェ〜膨大じゃないですか。それこそ『GTA』の比じゃないっていうか。選択肢でどんどん分岐していったりとかもあるし。

 

高橋 そうですね。まぁ、僕もローカライズは『オブリビオン』やっちゃったんで、アレも結構膨大じゃない。ある意味……“『オブリビオン』並み”だったんですよね。そこを通っちゃうと、「同じじゃん!」と。

 

UH わははははは! 1回その道を通っちゃうともう「会社も同じだし!」と。

 

高橋 今回は早めにソース引き上げて日本でやってたんで、その辺も結構早かったし。

 

UH スリードッグとか、ノリをキープしながら日本語化されているっていうのが感動しましたよ。海外版ちょっとやってから日本語版遊んだんで、「あ、スリードッグが日本語!」って。そういうのは演出される方がちゃんとついてるんですか?

 

高橋 うん、そこは『オブリビオン』をやったのと同じチームがやってるんで。皆さん最近吹き替えまで頑張ってローカライズしてるじゃないですか。それ自体はいい事だと思うんですが、その割には売り上げまで伴ってない。

 

UH 『Fallout 3』の声優は特に有名なタレントとか起用してるわけでもないですよね?

 

高橋 そうです。向こうではリーアム・ニーソンとか使ってるんで、日本でもって話もあったんですけど、結局有名なだけの人を使うとヘタだったり……ヘタだけど滅茶苦茶有名で、それこそSMAP使えるぐらいの勢いなんだったら宣伝になりますけど、中途半端に有名なだけの奴だったら使わないですよ。

 

UH 中途半端に有名なぐらいなら、いらねえ(笑)。

 

高橋 だから、僕声優とかあんまり興味ないのもあるし、リストがガーって来ると「まぁいいんじゃない」って。それでも今回ね、結構お金かかったんですよ、ビビリますよ。(指で数字を出す)

 

UH えええええええええええええええ!

 

高橋 だってテキストが60万ワードで、音声ファイルが5万だか6万だか、デバッグも相当かかるんで。デバッグってよりは文字数とかのローカライズチェックが主ですが、やればやるほど気になってくるところは出てくるんで。限られた時間でボリュームをどうさばいていくか、どの辺で妥協するかってとこじゃないですかね。一般のユーザーですら100時間、200時間かかるわけじゃないですか。遊ぼうと思えば別に400時間とか遊べちゃうゲームをデバッグするのに何万時間かかるかって話なので(笑)。もちろん本社の方でも相当にデバッグはしてるんですけどね。

 

UH 週刊ファミ通での岡本吉起さんとの対談で言ってた「NPC全殺し」っていうデバッグ、アレ俺もやってみようと思って、今挑戦してるんですけど(笑)、なかなかねぇ……全員は無理ですね。良心はもう痛まないけど、殺し疲れる。

 

高橋 アレは僕の(デバッグ用の)無敵キャラがあると、意外とやりやすい。生き残るのは子供と一部のクエストに必要不可欠なNPCと、悪い奴らだけ。非常にさびしい世界になりますね(笑)。

 

 

 

●伏せ字の部分は推測してくれ! ダウンロードコンテンツ話

 

UH で、俺らが一番気になるところ、追加ダウンロードコンテンツの話に行こうかと思うんですが。“Operation Anchorage”、どうすかコレ?

 

――コレとか着られるんですか?

▲“Operation Anchorage”の公開資料にて“ninja”と題されている画像。

 

高橋 着られます。しかもコレは●●●●だ瞬間に……(かつてない新機能。期待してヨシ!)

 

UH うおおおおおおおおおお! 忍者だ、本当に! じゃあ●●●●●●●いらずですか?

 

高橋 そうそう。基本的に同じ状態になる。この剣もね……(いままでにない特殊な能力)

 

UH スゲーーーーー! シミュレーターで入るステージなんですよね?

 

高橋 ステージはシミュレーターですね。で、シミュレーション中に……(衝撃の要素が明かされる)

 

UH それはイイ! 絶対書けないけど!

 

高橋 クエストだけのプレイ時間は5時間とか6時間になると思うけど、それだけだったらねぇ。本編で出てくるシミュレーター部分で、コレができなくてつまんねぇなーと思ってたんですよ。

 

UH クエスト的には全部戦争なんですか?

 

高橋 相手の基地に潜入して、目標を破壊して最後は敵の将軍のところまで攻め込むって流れです。仲間もいます。

 

UH うぉーーーー! 武器とかも新しいのが?

 

高橋 これなんかは、(ある武器)と同じような機能を持っていて、単発なんだけど強力。エイ●●ンブラスターより強い(笑)

▲どんな機能があるかは上の画像をじっくり見ればわかるかも?

 

UH この戦車は?

▲見るからに巨大で強力そうだが、どうやって倒せっていうの?

 

高橋 これは中国軍の戦車なんで、敵として倒すって感じですね。

 

UH こんなんが出てくるってことはかなり熾烈な戦いに?

 

高橋 レベルが低いとかなり辛いでしょうね。でも仲間がちゃんといれば無理ではないかな。

 

UH ボイスの方のローカライズは……。

 

高橋 もちろん。これだけやってなかったらおかしいでしょう(笑)

 

UH また中国軍が何を言うか期待してますよ! 「突撃アルよ!」みたいな。

 

高橋 ははは、コレだけじゃなくて、最低あと2本は出ますんで。

 

UH 超やりてぇ! 期待してます!

 

――水とかは汚染されてますか?

 

高橋 まだ汚染される前の話ですね。ウェイストランドにない青空もいいでしょ? 本編のラストの方に出てくる●●●●が実はこの戦いに投入される予定だったなんて設定もあったりするので、ログを漁ったりして本編で情報を集めておくと楽しいと思いますよ。

 

▲唯一公開されている会話画面がいきなり『フルメタル・ジャケット』な軍隊調でヤバいので、改めて収録されるという吹き替えにも期待したいところ。

 

UH ログとかもスゲー細かいですよねー。

 

高橋 まぁ、レンチにすらユニークアイテムがあったりするので。使い道は、ほとんどないけど(笑)

 

UH やってもやってもキリがないですよねぇ。

 

高橋 それがいいんですよ。

 

 

●ユーザーのためなら配達もやる! 「マネージャーは辛いよ」話

 

UH 使えない話が多いのでちょっと話題を変えます(笑)。『オブリビオン』はどうでしょうか。

 

高橋 プレイステーション3のベスト版が、毎月なんだかんだ言って2000本とか3000本とか、いまだにずーっと出てるんですよ。それでベストを買った人がまた『Fallout 3』を気にしてくれたり、逆があったり。プレイステーション3版だけでもなんだかんだで足して10万超えちゃいますからね。

 

UH プレイステーション3なら『Fallout 3』も発売されたばかり(1月16日収録)ですが、反応どうですか。

 

高橋 いいですよ。昨日店頭イベントやったんですけど、結構な本数が出て、途中で「景品がなくなりそうです!」って電話かかってきたから箱に詰めて、タクシーでガーッと(笑) プレイステーション3版がひと月遅れたんで、ユーザーの方から「更なる規制が入るんじゃないか」とかありましたけど。ほぼ変わらずですよ。実際の表現で変わったのは、指とか耳とかを集めるPerksの辺りと、Cannibalの名前ぐらいですかね。でもやってることはまったく同じ(笑)。

 

UH 直し過ぎっていうのは問題あると思いますけど、そんなもんですか。

 

高橋 まぁね。まるで譲らないっていうのは話が進まないので、譲るところも用意しつつ、やっぱり大事なところは譲っちゃいけない。Xbox 360版とも、最初審査不能でしたからね。Z以前の問題。どちらの版でも入っていない、核のクエストと人間の欠損が入っていた場合は、発売できなかったです。完全に。

 

UH んんんんんんんん……。

 

高橋 むむむって思うでしょ?(笑)

 

UH メガトンの例の部分はローカライズ作業をした上で切ったんですよね?

 

高橋 僕としても会社としても、あれは判定不能の部分にはあたらないと思っていたので。核は配慮するとして、なんか別の爆弾にするとか、じゃあ起動するのが問題ならボタンを押さずに承認した段階ですべてが終わったところに飛ばすようにするとか、いろいろ提案はしたんですけど、ことごとく蹴られて、渋々と。

 

UH 実際カットするよってなった時は、本国のベセスダの方はどうだったんですか。

 

高橋 そんなこんなで、レーティング取るのを苦労したんですよね。Zになるっていうのも発売のふた月ぐらい前まで発表できなかった。その流れは向こうはわかってたんで、「こことここをこうしなきゃ発売できない」って言ったら「しゃあねぇなぁ」と。それ以上は誰も何もできなかったと思います。そこまで努力したっていうのは僕らはもちろん知っているし、まぁユーザーにもきっと伝わっているのかなと思います。アンケートでも満足度が9点から10点のあいだぐらいですし。

 

UH 俺は10点ですよ! それに、海外版はゴアすぎて、ギャグになってるんですけど引くシーンもあったので。

 

高橋 そういう意見もありましたね。「丁度いいローカライズでした」と。まぁ、昔に比べれば徐々にやりやすくなってきてはいるので、細かい戦いを続けることで一歩一歩ね、前進することが大事ですよね。

 

UH そうなんですよね。一時洋ゲーがすごい日本に来るようになったのに、残虐度の問題とか音楽著作権の問題で日本に上陸できないゲームがまた増えてきて、そんな中でかなり頑張ってると思いますよ。来年のタイトルはなにが?

 

高橋 『(書けないが、期待していいぜ!)』。

 

UH えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!! 徹さん、スゲェよコレ!

 

高橋 他にもいろいろ細かいのは話してるんですが、正直あんまり欲しいのがない。

 

UH 一通り話題作が出揃っちゃって、またしばらく空くかな? っていうのはありますね。洋ゲーに関しては。

 

高橋 それに僕、結構仕事する相手を選ぶんでね(笑)。ビミョーな洋ゲーでもちゃんと出せば1万2万出る時代になったとはいえ、なんでもかんでも持ってくればいいわけじゃないだろっていうのもあるし。

 

UH それは俺も同意見です! 折角取ってきたんならちゃんと宣伝しようよとか。

 

高橋 小銭稼ぎ的に考えてるところがあるのがね。ちゃんと投資もしてない。

 

UH この辺はいろんなとこ、よく聞いておいて欲しいんですけどね! じゃあ最後に、読者になにかメッセージを。

 

高橋 ようやくベセスダの一押しの作品『Fallout 3』が両プラットフォームで発売になりました。ローカライズの方も自信を持ってみなさんに見て貰える内容になってますし、表現の方も海外版とほぼ変わらずという格好で出せました。ダウンロードコンテンツの方も海外で発表されているものに関しては日本でも出していくということで、やり込み要素も増えていきますので、皆さんぜひチャレンジしてみてください!

 

UH あざーっす!

 

 

 生々しい数字が飛び出してきたり、今後の展開にビックリしたりとサプライズな内容の連続となった今回のインタビュー。伏せ字にしてしまったのが恐縮だが、伏せ字でなら掲載しても構わない高橋徹氏の心意気がいい(普通なら完全オフレコ)。日本に良質な洋ゲーを根付かせて、より多くの遊びを提供するという意味では、ゼニマックス・アジアの今後の展開は洋ゲー好きにとって要注目である。

 そして、筆者の冒険記は今回で終わるが、冒険そのものはまだ途中である。とりあえず360版の実績はコンプしてしまったので旅の目的の8割は達成したのだが、まだまだ侵入すらしてない建造物が幾つもある。取り逃したユニーク武器がある。それらを全部見つけたところで、すぐに『オペレーション・アンカレッジ』の配信が待っている。今回、インタビュー中に様々な新要素を聞いてから、ホントまじで待ちきれねぇ! 

 思えば、「攻略記事ではない形で日記を書いてください。2ヶ月連続で」と言われた時には「それは無理だろ」と即座に思ったものだが、実際に遊び始めてみて奥の深さにまず驚き、何度も何度もやりたくなる中毒性の高さにやられた。ここ数年はMMORPG人気が高かったが、ひさびさにジックリと腰を据えて遊び倒すゲームを遊んだと思う。

 Z指定ではあるが、そこで展開されるドラマは悲哀と残虐に満ちた完成度の高いシナリオによって裏打ちされている。これは間違いなく2008年ベスト3にランクインする洋ゲーだと大人の笑顔で断言したい。

 そして筆者のキャラは今、最悪凶悪カルマ状態でウェイストランドを破滅させる魔人となって荒野を徘徊中。暗殺者としてのスキルを最強クラスに育て、善悪に関係なく、あらゆるNPCの殺害を目標に色々頑張っている。カスタムサウンドトラックのBGMは、もちろん"裸のラリーズ"の「夜、暗殺者の夜」だ。

 

 誰もがおまえを夢に見る。だけどおまえは、誰をも夢みない。

 なにがおまえの震えを満たす?

 

ウェイストランドに生きる全ての人々に、筆者の恐ろしさを伝えてやるまで、この冒険は終わらないのである。あと、これだけは言っておく。

 ヤォ・グアイには餌をやるな!!

 

▲いかれヒッピースタイルから修羅の道に進んだ筆者の姿。衣服は全てレアもので統一したパリコレならぬウェイストランド・コレクション魂。デスクローなんか怖くねえ!

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マスク・ド・UH

洋ゲーの魅力を日夜伝道する謎のマスクマン。その正体は、超有名な某海外デベロッパーの元社員との噂もあるが……詳細は不明という設定。
週刊ファミ通にてゲームクリエイターの須田剛一氏と共に「洋ゲー発着便AIR PORT51」を毎週連載中。月刊ファミ通Wave DVDでは、須田剛一氏とともに映像コンテンツ「未確認洋ゲー基地AREA51」を毎月連載中。座右の銘は「毒蛇は急がない」。