第1回:『Fallout 3』の歴史は凄いぜ!

 恐るべき冒険から帰還し、それを日記として記録する。単純だが命がけの仕事である。では、恐るべき冒険とは一体何なのか? 

 

 それは『Fallout 3』である!!!!!

 

 核戦争後200年が経過し、荒廃し尽くした2277年のアメリカ合衆国。かつての首都ワシントンは、いまや"Capital Wasteland(キャピタル・ウェイストランド)"と呼ばれる無法地帯となり、蛮族と魑魅魍魎が冒険に向かった筆者に対して、完全に殺すつもりで襲撃してくる。「こんな仕事を引き受けなきゃよかった」と何度思ったことだろう。しかし『Fallout 3』で体験できる、ワイルドにも程がある世界観は、単なるRPGというゲームジャンルを超越した「核戦争後を歩む第二の人生シミュレーション」と大人の笑顔で断言しておきたい。実際、筆者がこれほどドップリ遊び倒したRPGは『DIABRO II』以来である。もちろんRPGと名乗る洋ゲータイトルはいくつか遊んでいたが、その完成度にブン殴られたような感動を、ひさびさに『Fallout 3』は与えてくれた。

 

 そこでこの特設ブログをとおして、そのクソすばらしいまでに腐ったウェイストランドにおけるオレ、つまり筆者の生活をレポートしながら、このゲームの内包する練り込まれたシステムや魅力について解説していきたいと思う。

 

▲初期の街“メガトン”の男子トイレ前にて、血まみれのリッパー(手持ちの電ノコ的なお気に入り武器)片手にキメポーズを作る筆者。

 

 ではさっそく、景気良くカルマ下がりまくりな外道ライフを報告したいと思うのだが、まずその前に『Fallout 3』の歴史について触れておこう。これを知っておけば、『Fallout 3』の世界観にサクッと入りこめるだろう。

 

 『Fallout 3』はタイトルでわかるとおりナンバリングタイトルで、シリーズの3作目である。当然1作目、2作目が存在するわけなのだが、これが残念ながら日本国内では発売当時にリリースされなかったうえに、膨大なテキストを必要とするPCゲームだったので、コアなRPGファン以外には、ほとんど存在が知られていない。そのために日本ではルーキータイトルに思われがちだが、じつは硬派な歴史を背負っているゲームなのである。

 

 まず記念すべき第1作目の『Fallout』は、1997年に発売。この時点で、ゲームイメージとなる設定と世界観はすべて完成されており、『Fallout 3』のトレイラーで配信されている、荒廃した市街地へフレームアウトしながら、アウトキャストの兵士が登場する60年代風のCM風オープニングムービーもまったく同じ。ゲーム自体は当時よくあったクォータービューのコマンド指示スタイルによるオーソドックスなRPGだったが、特徴的な"V.A.T.S.システム"(当時の名称は“Targeted Shot”)や巨大ゴキブリや野党のレイダーといった敵などはそのままで、すでにこのゲームに登場する膨大な量のキャラクターの素地は出来上がっていたことがわかる。

 

 翌1998年には『Fallout 2』が発売されるが、中身は1作目とほとんどいっしょで、システム面にも変化は少ない。さらにシミュレーションになった『Fallout Tactics: Brotherhood of Steel 』が2001年にリリースされるものの、これもグラフィック的には、あんまり変わっていなかった。

 

▲『Fallout』のキャラクター選択画面。オヤジ萌えすらもはるか彼方に飛び越し、若さやかっこ良さを一切気にしないのが20世紀末の洋ゲークオリティーだ!

▲『Fallout』オープニングより。オールディーズな白黒CMが次第にフェードアウトすると、そこは廃墟だった……という展開が『Fallout 3』のトレイラーでも踏襲されていたのがよくわかる。ちなみに『Fallout 2』、『Tactics』も基本はほぼ同じ。

▲上が『Fallout』で下が『Fallout 2』。『Tactics』もほとんど同じなので省略。

▲上の画像が“Targeted Shot”(画像は『Fallout 2』のもの)。AP(アクションポイント)の概念などもそのまま。下の『Fallout 3』の“V.A.T.S.”と比べてみてほしい。

 

 シリーズに変化が見られたのは、2004年にプレイステーション2とXboxでリリースされた『Fallout -  Brotherhood of Steel』からだと思う。これは当時、筆者もその『北斗の拳』的世界観に魅力をビンビン感じて即購入して遊んだ覚えがあるが、システム的には少し進化したクォータービューと色合いって程度で、個人的には「もう一声!」と感じたゲームだった。しかし、その時に感じた不満や操作性の難度は、今回の『Fallout 3』で完全に解消されている。いや、されているどころか凄まじいまでの進化を遂げており、「そうか、これがやりたかったのか!」と、そのワイルドな方向性をバッチリ示してくれているのである。しかしその完成度を得るには、やはり一朝一夕には行かない。『Fallout 3』のベースには『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』という、これまたすばらしい傑作洋ゲーRPGがしっかりと存在している。

 

 だから『Fallout 3』がどういう歴史のあるタイトルかは知らなくても、『オブリビオン』を遊んだ経験のある人ならば間違いなく「こっちもかなりのもんでっせ」と、あえて下品にレコメンドできるだろう。基本的なゲームシステムは両方とも同じだが、かたや剣と魔法の世界、かたや火薬と硝煙の世界。同じシステムで成り立つのだろうかと思うだろう。

 

 それがバッチリ成り立っているから恐れ入る。こんなRPGは初めてかもしれない。マッドマックス風の革ジャン革パンに身を包み、愛犬を連れて短身ショットガン片手に砂漠を流浪するのも良しなら、終末世界に怯えて自ら殺戮者として地獄に堕ちるのも良し。その自由度の高さは『GTA』シリーズとはまた違った魅力を提供しているが、人間性を試されるという意味では、どちらも迫力満点のドラマを体験させてくれる。

 

▲『Fallout - Brotherhood of Steel』ではさすがに見た目も進化したが、ちょっと惜しいタイトルだった。

 

 過去のタイトルがまったく日本版リリースされていないうえに、「核戦争後のアメリカ合衆国が舞台のRPG」という設定には、洋ゲー独特の"とっつきづらさ"があるのは否めない。しかし、その"とっつきづらさ"を超えた先にある自由度の高さとハイスペックな完成度には、日本産のRPGでは、まず経験できない驚きの世界が待っているのである。狂気と殺戮、無法と掟、しかしその殺伐とした中に友情が生まれることもある。

 

 とにかくこの冒険の記録を早く発表しなければいけないのだが、今回は文字数が尽きたのでここまで。次回は荒れ狂ったウェイストランドの世紀末観光スポットを案内しよう。

 

 それまであの世界で生きていれば、の話だが。

 

次回やっぱり人類終わってるぜ!

 

▲火炎放射機を手に入れたら必ず誰もがやってしまうと思われるのが、「汚○は消毒だぁぁ〜!!!」のカット。次回はいかにノーフューチャーな世界が展開されているのかを語り尽くします!

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マスク・ド・UH

洋ゲーの魅力を日夜伝道する謎のマスクマン。その正体は、超有名な某海外デベロッパーの元社員との噂もあるが……詳細は不明という設定。
週刊ファミ通にてゲームクリエイターの須田剛一氏と共に「洋ゲー発着便AIR PORT51」を毎週連載中。月刊ファミ通Wave DVDでは、須田剛一氏とともに映像コンテンツ「未確認洋ゲー基地AREA51」を毎月連載中。座右の銘は「毒蛇は急がない」。