■対応ハード:プレイステーション3、Xbox 360
■ジャンル:オープンワールドアクション
■発売日:2012年5月24日
■価格:7990円[税込]
■公式サイト
http://www.capcom.co.jp/DD/ (PC)
http://mcap.jp/g/DD/ (モバイル)
■公式twitter
・アカウント @DD_CAPCOM
・ハッシュタグ #DragonsDogma
このブログのRSS(XML)
©CAPCOM CO.,LTD 2012 ALL RIGHTS RESERVED.
たいへんお待たせいたしました! 伊津野英昭ディレクターへのインタビュー、連載5回目です。このゲームのこだわりである
●恐いフィールド
大塚 このゲームのウリはポーンと、もうひとつはアクションになるんじゃないかと思うんですけど。
伊津野 はい、そうですね。
大塚 オープンワールドのゲームって、僕の経験上、アクションが大味なものが多いと思うんです。でも、『ドラゴンズドグマ』は違いますね。本当に気持ちがいいアクションができる。
伊津野 そこは、大丈夫だと思います! アクションひとつひとつの手触りのよさに関しては、カプコンの内製で作っている以上はキッチリと押さえていますから。とくにモンスターとのやり取りは、僕のこだわりで極めてゲーム的に作っています。
▲アクションの迫力、爽快感、操作性はさすがカプコン! という出色の作り。ジョブごとの特徴的な動きが、プレイヤーを魅了する。
大塚 ゲーム的に……と言いますと?
伊津野 攻略法がわかればあっさり倒せる……というところを多めに作りました。
大塚 ほー。
伊津野 そのかわり、初見ではあっさり殺されちゃうくらい強いですよ。強いんですけど、能動的にゲームを楽しむ気があれば、攻略できる造りにしているんです。
大塚 キチンとゲームに向き合って攻略しようと思えば、越えられる壁になっていると。
伊津野 そうです。そこにはすごくこだわりました。……昔、オープンワールドの黎明期にこのジャンルに出会って「これこそ俺の求めていたゲームだ!」って思ったんですけど、やっぱりアクション部分が食い足りなかったんです。なので思いましたよ。「アクション、俺に作らせてくれ……」って(笑)。
※そのとき、開発スタッフさんのキャラがモンスターにつかまり、レバーをガチャガチャと動かし始める。
伊津野 ……唯一の心残りが、“レバガチャ”なんですよ……。
開発スタッフ !!! このタイミングで言いますか!!
伊津野 レバガチャ、入れたくなかったんです。なぜかと言うと、レバガチャが遅い人に救いの手を差し伸べられないから……。よって、最初は入れていなかったんですけど……それだとやたらとキャラが死ぬ(苦笑)。
大塚 うは……。
伊津野 当初、僕は「ポーンに助けてもらえばいいやん! 助けてくれるポーンをつれていくことがこのゲームの大事なところでしょ!」って言い張っていたんですけど、まあやられることやられること……。結果仕方なく、いくつかのところでレバガチャを導入することにしました。ポーンが助けてくれれば、すぐに解放されるんですけどね。
大塚 ポーンが助けてくれれば、レバガチャよりも早く脱出できるんですか?
伊津野 ポーンの性格にもよりますけどねー。性格が、「主人公のピンチを最優先で救う」なんてのになっていれば、かなり早く助けてくれると思いますよ。
大塚 ここはぜひ聞きたかったんだ。“ポーンの教育”について。教育によって、ポーンの性格を変えていくことができるわけですか?
伊津野 はい、できますよ。AIを育てるという要素は、ぜひ入れたいと思っていたので。……僕の好きなゲームのひとつに、アートディンクの……あれ、度忘れしちゃった。
大塚 何を言おうとしているかわかった。『カルネージハート』(※)でしょう。
伊津野 そう! 『カルネージハート』です! 僕、このゲームが大好きで。
大塚 僕もメチャクチャやり込みましたよ!
※『カルネージハート』……1995年にアートディンクから発売されたプレイステーション用シミュレーションゲーム。OKE(オーバーキルエンジン)という自律動作するロボット兵器のボディーやCPUを設計して戦わせる……というゲームで、最大の特徴が行動パターンや思考パターンをプログラミングできること(たとえば、“敵が○メートル以内に入ったら攻撃しろ”等々)。最初は思い通りに動いてくれないロボットが、プログラムが洗練されるにつれて華麗な挙動を見せるようになる。
伊津野 あと、『ファイヤープロレスリング』の“レスラーエディット”が大好きなんです。なので『私立ジャスティス学園』(伊津野さんがディレクションしたアクションゲーム)で、プレイヤーエディットのAI部分を自分で調整できるものにしたんですけど……やっぱりこれは面倒くさい! 僕みたいによっぽど好きな人でないと遊ばない! って思いまして……。そこで『ドラゴンズドグマ』では、ポーンはプレイヤーが遊んでいる戦いかたに対して、それに適すような行動を自分で選んで成長していく……というシステムにしました。ただそれだけだと思ったように育たない場合もあるので、ポーンと会話を交わすことで性格を矯正できるようにしました。
▲自分に直すべきところはないですか? とプレイヤーに尋ねてくる健気なポーン。
大塚 ほうほう!
伊津野 ポーンが自分から聞いてきます。「私、こういうときはどういう行動をとればいいですか?」って(笑)。
大塚 ポーン、健気だな!!
伊津野 その問いかけに、プレイヤーは答えるだけでいい。もちろん、やらなくてもいいんですよ? 放っておいても、ポーンは育ちますからね。でも、遊んでいるうちに「そこはそうじゃないだろポーン!!」って言いたくなる場面も出てくると思いますので、そのときにはぜひ矯正を(笑)。
大塚 おもしろい!!
伊津野 あと、クスリで強制的に性格を変えてやる……ってのも用意しています。
大塚 うは!!! 性格が変わるクスリですか!!
伊津野 はい(笑)。手に入りにくいですけどねー。
※開発スタッフさんのキャラが、夜のフィールドを歩いている。
伊津野 いまランタンを点けていますけど、これ、油が切れることがあるんです……。
大塚 ……ランタンが消えたら真っ暗?
伊津野 ええ、真っ暗です。
※開発スタッフさんがランタンを消す。画面、真っ暗で何も見えない……。
大塚 うおお!! ここまで暗いのか!! この暗さは容赦がない!!
開発スタッフ マップに表示される目的地点のカーソルを目指して走るしかないですよ(笑)。
大塚 しかも、ふつうにモンスターはいると……。
伊津野 もちろん。いきなり暗がりから「ガブッ!!!」ってきますよ。
大塚 伊津野さん、言ってましたよね。「街の外は怖いところ。1歩外に出たら何が起こるかわからない」……という世界を作りたいって。
伊津野 そうなんです! ……でも、これが難しかったんですけどね。「夜はランタンをつけたくなるようにしましょう」ということで暗いフィールドを作りましたけど、マップに印があったら、それ目指して真っ直ぐ進みたくなるわけです。
大塚 はい、そういうものですよね。
伊津野 でも直線で行くよりも、大きな街道沿いに進んだほうが強い敵と出会う確率が低いんです。これを、体感的にわかってもらえる敵配置になるまでには、けっこうな時間がかかりました。
大塚 あの……自分のレベルが低かろうが、そんなものは度外視した強いモンスターがフィールドにはいるわけですよね……?
伊津野 いますよー! もちろん!
大塚 お、おっかねえ……。
伊津野 なので無理して奥地まで行こうとすると、「ガツン!!」とやられます。問答無用で。
大塚 うわあ、たまらない……。そういうのこそやりたい(笑)。ちゃんと身をわきまえて行動しないといけない、というわけですね。
伊津野 そういう意味では、「ここは思い切って引き返したほうがいい!」って思えるパターンをけっこう多めに用意できたと思います。アクションゲームってミスると、「俺の腕のせいだ!」ってことでさらにがむしゃらに突入しちゃうことがありますけど、『ドラゴンズドグマ』においては、「違う! パーティーにこのポーンを入れれば超えられたのに! 自分の腕だけで乗り越えようとするからダメなんだ!」って思えることがいっぱいありますよ。
大塚 ほー!
伊津野 たとえば夜だと、アンデッドがいっぱい出るのでどうにも進めないところがあります。でもここで冷静になって、「アンデッドがいない昼間に出直そう」と思ったりとか。
大塚 おもしろい!
★次回の更新(4月6日予定)に続く!