ファミ通.com 携帯電話の方はファミ通MAXをご覧ください。

ファミ通媒体メニュー



バイオハザード5 BSAA監視日記

BSAAは、『バイオハザード5』に登場するバイオテロ対策組織である。このブログは、その組織の情報分析官であるライアンなる人物の、日々更新されるデスクトップを監視し、現在のBSAAの動向をお伝えするものである。

祈り

 なんてことだ。

 数日ぶりに届いた報告は、BSAAが誇る精鋭たちの壮絶な最期についてだった。いったいどんな敵が現れたというのだ? クリスとシェバのブラヴォーチームの生存、そしてバックアップから前線に投入される、ジョッシュ率いるデルタチームの活躍を祈るしかない。

 

 一方、安否が問われていたアダムのブログが更新された。無事だったのだ。以下は、取り急ぎ訳した彼のブログ内容である。

 


 

2009年3月6日(金)

 

タイトル:ついに助けが!

 

今日もまた犠牲となる男がやぐらの上に連れていかれるのが聞こえた。それはあまりにも日常的なことになり、僕はそのたびにただ耳を覆い、運が尽きた男たちの呪いの言葉を遮断することを学んだ。耳をふさいでいてもなお、斧の一撃が新たにひとりの人間の命を奪うのを感じたし、群衆の歓声は僕を恐怖と不安の念で満たし続けた。気の毒な男のために僕は心の底から祈りの言葉を捧げた(少なくとも自分ではそう思った)気がするが、もう彼について思いをめぐらすこともなかった。いまや自分の感覚の麻痺っぷりが信じられなかった。日々くり返される処刑。僕がそう感じているだけかもしれないが。

 

今回は暴徒の歓声で終わらなかった。その代わりに銃声が聞こえた。困惑して、外で何が起こっているか確認するために、慎重にカーテンを引いた。(言っておくけど、僕は自分の命を大きな危険にさらしてそうしたんだよ。)群衆に囲まれた近くの建物の中にひとりの男と女が見えた。確実に彼らの命運は尽きたと思ったが、つぎの瞬間、銃を持っているのは彼らだと言うことに気づいた。さっき発砲したのは彼らに違いない! 彼らは連携して動き、広場に突入すると、そこにいたヤツらを猛烈な勢いで排除していった。より多くの死を目の当たりにして衝撃を受けるべきところだったが、僕はそのふたりの存在のほうにより大きな衝撃を受けていたと思う。

 

その様子を見ていると、ヘリコプターがどこからともなく現れ、巨大な鉄製の門にミサイルが発射される音が聞こえた。衝撃で僕の家は地震のように激しく揺れた。あの爆風の近くにいた人間は平気ではいられないと思う。再び窓の外を見ると、例の男と女以外全員が消えていた。たぶん彼らはミサイルを恐れたのだろう。

 

事態が収束したようだったので、あのクレイジーなふたりをもっとよく見ようと双眼鏡をつかんだ。あの狂犬病の犬のような何千もの人々を相手にしようなんて、クレージーに違いない! 女のほうはこのへんの人間のようだ。動きやすい服装で、ガンベルトを巻き、大きなナイフをもっていた。銃器の扱いに慣れているようだった。男も似たような服装だが、ガンベルトの下にユニフォームのようなシャツを着ていた。彼は筋骨隆々で、まるで80年代のアクション・ムービー・スターのようだった。腕についているバッジにBSAAとあるのが見えた。そのバッチを見たとき、いろいろなことにすっかり合点がいった。僕の知っている限り、BSAAはバイオテロがらみでしか、関与しないはず。人が制御不能になるようなウィルスか何かを誰かが放ったに違いない。もしかすると狂牛病の強烈なバージョンかも。

 

ま、それが実際何だろうと、BSAAが全員を助けるワクチンを持ってきたに違いない。ああ、よかった! しばらく飲んでいないから、ウィスキーも持ってきてくれているといいのだけど。あの可愛いBSAAの女性エージェントと一杯やるのも悪くないな。きっと彼女はいい動きをするに決まっている。

 

ともかく、僕はもう大丈夫だよ! 僕のために声を上げてくれたみんなにお礼を言うよ。これで僕はまた人生で重要なことについて書く生活に戻れるよ。つまり、お酒とかわいこちゃんのことをね!


 

 ところで、PlayStation Home の『バイオハザード5』ラウンジにはすでに入られただろうか? その中のエリアマップに、建設中のものとして Adam’s Shopなる店名が書かれている。どうやらこれがアダムのこれからの暮らしを支える仕事のようだ。遠い地で、昼は新しい商売に追われ、夜はお酒とかわいこちゃんを追いかけて暮らす能天気な彼のことを思うと、なんだか安堵で涙が出そうな気分にもなる。

 

 

プロフィール

サンフランシス小山

週刊ファミ通で『バイオハザード』シリーズの記事を担当する編集者。プレイの腕前はおぼつかないが、設定や作品の背景に関しては、10年書き続けているだけの蘊蓄アリ。