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バイオハザード5 BSAA監視日記

BSAAは、『バイオハザード5』に登場するバイオテロ対策組織である。このブログは、その組織の情報分析官であるライアンなる人物の、日々更新されるデスクトップを監視し、現在のBSAAの動向をお伝えするものである。

キジュジュブログ全訳・前編(12月14日〜2月6日)

 BSAAのターゲット、アーヴィングが何かの取引を行う予定のあるアフリカの町、キジュジュ自治区。いまは3月5日と思われるその取引の日の作戦行動に向け、BSAAでもせわしなく準備がなされているところだ。

 

 今日と明日は、そのキジュジュで暮らす男性、アダムなる人物のブログ内容を全文お伝えさせていただく。こんなに情報技術が進化した世の中においてもキジュジュに関する情報はあまり世に伝えられておらず、BSAAですらも、彼のブログから現地の状況を読み取っているようなありさまなのだ。(現在はレイナード・フィッシャーなる腕利き潜入調査員が、現地に滞在しているが。)

 

 アダムのブログは、昨年12月14日から始まり、つい昨日、2月27日に最終の更新がなされている。アダムという人物は、28歳の男性。鉱山の採掘場で主任程度の働きをしている。趣味はブログを読むとわかるが、女性、酒、そしてカードを含むゲーム全般。どこにでもいそうな、陽気な男性だった。こんな事態になるまでは……。以下はここまでの更新13回のうち、10回分を和訳したものだ。日に日に悪化していく現地の様子とアダムの恐怖を感じ取っていただければ幸いである。

 


キジュジュ体験

 

 

2008年12月14日(日)

 

タイトル:アダムが戻ったぜ!

 

 

ハロー、エブリバーディー! ずっとこのブログを更新しなくてすみません! キジュジュでインターネットに繋げるのは難しい。(現在、キジュジュに出稼ぎでやってきている。)でもやっとネットワークに繋がった!(ありがとう、http://kijuju.blogspot.com !) というわけで“異郷の地の旅人の日誌”を書き続けられるようになった!

 

仕事はうまくいっていると思う。てか、慣れてきたって感じ。生活にもようやく落ち着きを取り戻して、やっと大事なこと──お酒と女性に夢中になれる! もっといいのは、女性といっしょにお酒を飲むことだけど!

 

今日は短くて悪いけど、またすぐ更新する。

 

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2008年12月16日(火)

 

タイトル:僕の仕事

 

 

「アダム、キジュジュってどんなところ?」という質問がよく来る。そうだね。まぁ、楽園の掃除係って感じかな? 仕事のほうはそんなにすばらしいものではないけど、場所としてここは気に入っている。てか、ふつうに好き。僕の仕事は鉱山なので、あまりかわいいコがいないから集中しやすいのかも。仕事中の暇潰しには、いつも自分とゲームをしている。つぎにいつ上司が馬鹿なことをするのか予想するんだ。彼の馬鹿さは無限大! このまえさ、「鉱山の廃水を適当に飲んだり、水浴びに使ったりしていいよ」って言ったんだぜ。どう思う? 皮膚がただれている化け物になりたいならそうするけど。

 

仕事の醍醐味は仕事が終わったときにある。なぜなら、そのあと同僚と飲みに行ったりできるからね。仕事のあとに冷えたビールを飲むのは最高じゃない? それさえあればどんなことがあっても僕は平気。(あるとき、町中が2日間ほど停電して、生ぬるいビールしかなかったんだ! 暴動を起こしそうになっちゃった! あれは生き地獄だった。)

 

とにかく、またいいものを見つけたんだよ! しかもビールじゃないよ!(笑) 今日めっちゃ可愛いブロンドの女性の姿を発見したんだ。1年間ほど砂漠でさまよっていて、やっと冷たい水(ビールでも!)を一杯もらった気分だ。けっこういろんな国の人が集まっているから、彼女が何をしに来ているかさっぱりわからない。いまはね。英語がしゃべれるかどうかさえわからない! (あのフランス人以外、皆ほとんど英語ができるけど。もしかして、彼は英語をしゃべっているけれど、僕は彼の訛りのせいでわかってないのかも! 彼はいつも怒っているみたいだ。)

 

またこの運命的な出逢いについては更新します! まずは情報収集だな。もし時間があったらコメントを残しといて!

 

 

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2008年12月19日(金)

 

タイトル:彼女について考える

 

やったぜ! まぁ、ちょっとだけどな。

 

前回の日記に書いた例のブロンドの女性をまた町で見かけたんだ。(まだ読んでないヤツは最低だ!(笑)) あいにく今回は通勤中だったので、声をかける暇がなかったんだ。今週はもう2回も遅刻したし。二日酔いのときはきちんと始業時間に仕事に就くより、ゆっくり寝坊したほうが健康的じゃない? でもあの嫌な上司はそう思わないみたい。同僚の命が関わってくるんだから、二日酔いの状態で行くべきじゃないって常識だろ? 安全基準さえあればなぁ。

 

本題からそれたけど。

 

声をかけることできなかったが、彼女の情報をいろいろゲットした! 地元の人じゃないそうだ。噂が本当なら、仕事をサボりがちな彼氏といっしょにここへ来たらしい。僕はたまに遅刻するけど、少なくともちゃんと毎日仕事に行っている。そのむかつく男はそこまでやる気がないのかな? でもキジュジュの酒は安いから、たまにサボるって気持ちがわからないことはない。

 

ともかく、もし彼女のいわゆる彼氏がそこまで仕事を放っているなら、彼女のことを放っていることも確かだろう。そこでアダム様の出番。その寂しがっているプリンセスを、この白馬に乗った僕が助けに行くんだ! 誰かがいい方法を知っているならコメントの欄にご記入を! キジュジュの暮らしがますますおもしろくなってきている!

 

金曜日だからオールする! ブロンドのプリンセスとめぐり合えたらいいな……。

 

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2008年12月23日(火)

 

タイトル:違和感

 

今日、スゲー気持ちの悪いものを見たよ。それを言い表す気になるかどうかわからないけど。

 

キジュジュの裏通りを歩いていて、イヌの死骸が横たわっているのが目に入った。まえにもあちこちで死んだ動物を見たことがあるから、それ自体はそれほどショックではなかった。(最初のときは多少動揺したけど、故郷の路上で轢死した動物を一度も見たことがないという訳でもない。ここでは偏見を持たないように心がけているんだ)。でも、今回は、イヌの首から上がまったくないんだ! 誰が、もしくは何が頭を切り落としたのかは知らないけど、いずれにせよイヌの頭を切り取ったものは、地面に切った首を残していかなかったってことだ。頭はただただそこにはなかった。いったい何のためにイヌの頭だけを欲しがるって言うんだ? それから頭はいつ取られたのだろう? 死んだか殺されるまえか、もしくは死んだか殺されたあとか?

 

頭のないイヌのそばで吐き気を覚えたので、周囲をぐるりとまわった僕は、気がつくと肉屋の裏に来ていたんだ。そこで何を見たかって? 血のついた大きな肉切り包丁を洗っている肉屋を見たんだ。彼が理由もなくイヌを殺すとは思わないが、もし殺したとしたら、どうして頭だけ切り取り、胴体部分を置いていったのだろう? 彼はもしかするとそのイヌとはまったく無関係ってこともあり得るけど、彼は近所ですごく友好的な人間とされている訳でもない。僕が挨拶しても彼はうなり声のようなものを上げるだけだ。経験則上、彼のお店ではあまり買わないことにしている。と言うのも、率直に言うと、3日間も外に吊り下げられた死んだヤギを誰が欲しがるんだってことだ。冷蔵庫のない肉屋。規制や衛生監視官がいないとこういうことが起こるんだ。

 

なんかさぁ、これを書きながら、最近何か雰囲気が違っているように思えてならない。明確にそれを示すことができないし、もし説明を求められてもうまく説明ができないのだけど、ともかくそう感じる。酒が必要みたいだ。

 

 

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2008年12月25日(木)

 

タイトル:メリークリスマス!!

 

 

なんてことだ。作業場に定刻に着いたというのに、上司が午前中ずっといなかった! 彼がついに現れたとき、今日は来なければ良かったと心底思った。彼はスタッフのうち5名を別の作業場に連れて行くと言い、それから紙切れを取り出し、5名の名前を読み上げた。それが無作為に選ばれたのか、誰かが特別に選んだのかは知らないが、はっきりわかっていることは、僕の飲み仲間の数名がその中に入っていたってこと。たまらないね。これから仕事のあと、誰と飲みに行けばいいんだよ? 新しい作業場は、ここからクルマで半日程度かかるから、つぎにいつ会えるのか、はたしてまた会うことがあるのか誰にもわからない。いい奴らだったのに。ひとりで憂さ晴らしをするのは容易ではないだろう。今夜はお前たちのために飲むぞ!

 

まったく、今日はおそらく人生最良の日だ! 仕事のあと、行きつけのバーのひとつに行ったんだ。何人かの仲間が採掘場から移動させられていたから、最初は浮いた気持ちにはなれなかった。仲間と過ごした楽しい時間を祝して酒を数杯飲んだんだ。

 

もし彼女が入ってこなければ、その夜は最後までひとりで座っていただろう。そう、以前の日記で書いたあの謎のブロンドの彼女だ! お酒が少し入っていたから、アルコールの力を借りて彼女に話しかけようと決め(酔った勢い、バンザイ!)、彼女にいっしょに飲まないかと誘った。当然ながら、彼女はそれに応じたんだ。

 

彼女は最初無口で、僕は彼女に何と言ったらいいのかよくわからなかった。でも彼女がウィスキーと水を注文(バッチリ僕の好み!)したあと、彼女は打ち解けたようになり、いい流れになってきたと思った。彼女はキジュジュでの彼女の生活についていろいろと話し始めた。最近彼女は、内臓が出たような、何かに引きずり回されたかのような動物の死骸といった、奇妙なものを見たそうだ。彼女はキジュジュにはまだ数週間しかいないが、今月頭から、最初に来たときと違う場所のように感じ始めていると言った。彼女はうまく説明はできないが、折に触れ、まったく理由もなく恐怖を覚えるのだと話した。もし僕の読みが正しければ、彼女はそれとなく僕ともっといっしょにいたいと言っているのだと思った。

 

いろいろ質問して、がっついた感じに映るのは嫌だったので、僕はただ彼女の言ったことすべてに賛同した。このあいだのイヌの体験を詳しく話して彼女の話題に添えたけど、不審な行動をしていた肉屋については触れなかった。それに死体は見当たらなかったが、点々と続いている血痕を見たことも話した。また町の周辺の奇妙なポスターと同様、落書きがされたエリアが増えてきていた。(僕は落書きについてはあまり重点を置き過ぎないようにした。なぜならその一部は夜遊びでヒートアップしたときに自分がやったものかもしれないからだ。)ここに数ヵ月まえに来てから、この場所は確実に異なる雰囲気を帯びるようになってきている。町はすぐ目の前で変わっているが、それをわざわざ僕に教えてくれるのは誰もいないような感じだ。

 

僕は彼女に、心配しないように、そして起こっていることのほとんどは野生のトラか何かの仕業かもしれないと言った。彼女は僕の言葉に慰められたようだったので、自分のイスを彼女のほうに少しだけ近づけた。彼女が僕に心を開いたのはそのときだった。それがアルコールのせいなのか、彼女が僕といるのを心地いいと感じたからかわからないが、彼女はカレシのことについて愚痴り始めた。(女の子がカレシへの不満を言っているのは、つねにいい兆しだ。)どうやら、彼はある日仕事に出かけて、それ以来戻ってきていないようだ。まわりのみんなは彼女に、彼はきっと忙しいのだと言っているそうだ。こんな魅力的な女性をほったらかしにするほど、仕事が僕を忙しくし続けることはないだろうと思った。

 

何かあれば、いつでも僕を頼りにするように彼女に言った。彼女は立ち上がり去っていくまえにお礼を言い、にっこりと笑った。たぶん彼女の後を追うべきだったのかもしれないが、彼女の興味を引き続けるためにも、多少その気のないふりをする必要があると思った。

 

さっきも言ったように、人生最良の日!

 

コメントはいつでも歓迎なので、よろしく!

 

追記:彼女の名前を聞くのをすっかり忘れていた! 次回会うまでの辛抱だ。

 

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2009年1月9日(金)

 

タイトル:見られてる?

 

  

ようやくまとまった休みが取れたので、家族と新年の休暇を過ごすことができた。たぶんみんなも経験があると思うけど、身内と休暇を過ごすのは、非常に楽しいものになるか、耐え難いほどに苛立たしいものになるかどちらかだ。僕はゆっくり寝て、食べて、お酒を飲んでを楽しみにしていたが、僕の家族と過ごして、もっともできないことはリラックスするということだ。

 

彼らはキジュジュについて僕を質問攻めにしたが、僕がキジュジュについてを話せば話すほど(とくに最近のできごとについて)、彼らは心配し、血相を変え始めた。なぜそうなるのか理解できないよ。数匹の死んだイヌの話をしたら、彼らは至るところに危険が潜んでいると考える。母親なんてとくに心配してしまって、ただ首を横に振り、キジュジュに戻らないように懇願した。父親も同様で、これ以上母親を心配させないように、母親の言うことを聞くように言ってきた。僕は働くことは嫌いだが、キジュジュはそれなりの賃金をもらえる仕事がある唯一の場所だ。僕はずっと家に仕送りをしているから、家族はふつうよりも、いい暮らしを送ることができている。片田舎での暮らしはそれほど楽なものじゃない。ここでは仕事なんてほとんどないし、ここで就ける仕事は鉱山の賃金の半分にもならないのだ。

 

それを説明しようとしたが、彼らは耳を貸さなかった。ブロンドの女性について話すところにさえ行きつかなかった。彼女は僕がキジュジュにいたいもうひとつの理由ではあるが、彼らはそれも理解しないだろう。

 

キジュジュに戻って来たとき、心の片隅で家族は正しかったのかもしれないと感じ始めた。雰囲気は、徹底的に抑圧的とまではいかないが、重苦しかった。夕食を買うために市場に急いだが、ずっと誰かに見られているような感覚を覚えた。振り返ると、肉屋がターバンを巻いた男と話をしているのが見えた。彼らが打ち解けて話しているようには見えず、深刻な事柄について話しているような感じだった。そのあいだずっと、彼らは僕のほうを盗み見し続けた。

 

結論に飛びつきたくはないが、僕が最初にあのイヌを発見したとき、肉屋が近くにあった。もし記憶が正しければ、確かに彼の店の近辺で複数の動物の死骸を見た。たぶん彼は珍味としてイヌやネコの肉を売っているのだろう。いいかい、僕は別にそういうのはかまわないんだ。もし彼がそれでお金を稼ぎたいのなら、自由にしたらいいさ。でもそれ以上だったらどうなるだろうか? もし彼がスプレーで落書きをして、奇妙なポスターを貼っていたとしたらどうだろう? もし彼が革命か何かを始めたらどうなるだろうか? あいにくここではこんな話をする人は誰もいない。仮にいたとしても、いずれにせよおそらく何もできないだろうが。

 

カノジョはこれについてどう思うだろう。(まだ彼女は“カノジョ”ではないってわかっているけど、いずれそうなるよ!) それにみんながどう思うのかも知りたいから、ぜひコメントを残してね。

 

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2009年1月16日(金)

 

 

タイトル:Tear in My Beer

 

更新が遅くなってごめん。最近僕の人生にはいろいろなことが起こり過ぎて、アップする機会がなかったんだ。ゆっくり僕と恋に落ちていっているブロンドの女の子のことを覚えてる? いまや僕らはファーストネームで呼び合うほどの仲。彼女の名前はアリソン。ふたりの名前がどちらもAで始まるなんてサイコーって思ったよ。

 

それはいいほうのニュース。悪いほうのニュースは、キジュジュはどんどんおかしくなっている。事実上、危険なぐらいだ。アリソンと会って行きつけのバーで何杯かお酒を飲んでいて、すべて順調に行っているように思えた。彼女はウィスキーをダブルで、僕はミニ樽でビールを飲んでいた。いい気分で飲んでいると(当然だよね?)見慣れない男が大声で話し始めたんだ。彼はサングラスをかけ、話をしているあいだ、ビールのグラスをテーブルに乱暴に叩きつけ続けた。彼は「俺たちの土地から外国人を追い出すべきだ!」とか「俺たちの町を取り戻すんだ」といったことを言い続けた。彼はビールを至るところに飛び散らせていた! アリソンは僕が彼のところへ行き、何か言うべきだと言わんばかりに目配せをした。しないわけでもないが、ビールをほったらかしにしたくはなかったんだ。

 

隅のほうにふと目をやると、僕以外にもその男を見ている男がいた。あの気味の悪い肉屋の主人の目が、大声でわめいている男に釘付けになっていたんだ。するとどこからともなく、「黙れ!」と誰かが叫んだのが聞こえ、ボトルが空を飛び、収拾がつかなくなった。バーのほぼ全体で乱闘が始まったので、僕はアリソンの手をつかみ(彼女が僕の手をつかんだんだったかな?)、死に物ぐるいで走った。

 

そこからは僕の部屋が近く、彼女は町の反対側に住んでいたので、彼女といっしょに僕の部屋に逃げ帰った。(なかなか順調でしょ?) 家に戻って彼女の手を握り、元気づけようとしたが、彼女は両手に顔をうずめていた。僕は彼女の肩に手を回すだけに甘んじた。彼女がそこに座っているあいだ、何を話せばいいのかわからなかった。そんな感じでひと晩ともに過ごした。朝になって彼女が言った。「もうこれ以上ここにはいられないわ。私の思い描いている人生とは違うの。カレシを探し出して、この国からいっしょに出るように話すわ。家に帰りたいの」

 

僕といっしょに留まるように、僕が守るから、と説得を試みたが、彼女は何も言わずに出て行ってしまった。誰か教えてよ。これって女性によくあるパターンなの? 彼女を追いかけるべきだったかな?

 

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2009年1月23日(金)

 

 

タイトル:オーケー、本当に怖くなった

 

外の騒ぎのせいで今朝は早くから起こされた。(目覚ましが鳴るまえに起こされるのは、本当にムカつく。)キジュジュでは、夜が明けるころには皆活発に動き回っているから、朝はだいたい騒々しい。僕には一生理解できないことだけど。今朝はその耳障りないつもの喧騒を聞かなかった。その代わり、叫び声や怒号のようなものが聞こえた。何をそんなに大騒ぎしているのか見ようと、しかたなくベッドから出た。

 

そこで見たもののことは一生忘れないだろう。あのイヌの死骸を見たときより100倍くらい、骨の芯まで凍りつく光景だった。集会場に群集がいて、彼らはその中央に得体の知らない袋を積み上げていた。一部の袋から黒い粘性のある物質がにじみ出しているのが見えた。オイルじゃなかった。たぶん、血だろうか?

 

積まれた物が2メートルくらいの高さになったとき、まえにバーで騒いでいたサングラスの男が姿を現し、拡声器を使って話し始めた。“話す”というのはこの場合、適切な言葉じゃないだろう。彼の言葉はまるで砲火のようで、彼はそれを吹き出しているかのようだった。彼の言っていることをはっきりと聞き取ることはできなかったが(自分の心臓の鼓動で耳鳴りがしていたし、あまりにも多くの人が叫んでいた)、彼が「正義」とか「死を祝して」といった言葉を吐き出しているのが聞こえた。彼が「死」と言うたびに、身の毛がよだつ思いがした。

 

群衆はいきり立っていたが、トーチを持った男が積まれた山の前に進み出ると、道を空けるのが見えた。男が山に火をつけると、群衆全体から歓声が沸き起こった。人々の歓声がこれほどまでに自分を恐怖におののかせることができるなど、考えたこともなかった。それは身震いを起こさせるものだった。火が山を回ると、上のほうから袋のひとつが転がり落ちた。焼けて袋に穴が開き、中にあったものが飛び出した。はっきりとは判別できなかったが、それはあの肉屋の主人の体のようだった! いったい全体、ここで何が起こっているというんだ!?

 

僕はす速くカーテンを閉め、ベッドに駆け込んだ。群衆が確実に解散したと確信してから初めて、勇気を奮い起こしてこの投稿を書き上げた。言うまでもなく、今日は仕事には行かないよ。

 

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2009年1月30日(金)

 

 

タイトル:ロスト・フレンド

 

 

先週、暴徒と化した群衆と大きな篝火を見て以来、カーテンを閉めっぱなしにして外を見ないようにしていた。それもあまり助けにはならず、僕は拡声器を持った男の、人々を煽る悪意に満ちたスピーチを聞き続けていた。誰かが彼を黙らせてくれるといいのに。念のために言っておくけど、僕以外の誰かがね。僕は騒ぎを起こすタイプじゃないし。

 

ついには好奇心に勝てなくなり、外を覗き見られる程度に少しカーテンを引いた。するとものすごい数の人々が歩き回っているのが見えた。先週に比べ2〜3倍の人数がいる。そもそもキジュジュのこの地区にこんなにも多くの人が住んでいることすら知らなかった。グラサン男が侮蔑している内容を考えると、彼らは外国人ではなさそうだ。彼らがふだんどこに隠れているのか神のみぞ知る、だ。人込みの中のそれぞれの顔にそれほど注意を払っていなかったが、ひとりの顔に気づいて僕は驚きの声を上げた。それはかつての仕事の飲み仲間のひとりだった! 彼を含む数名の仲間がほかの作業場に“転任”させられて以来、彼には会っていなかった。彼らについて上司に何度尋ねても、いつもはぐらかされていたのに、よりによってこんなところでそのうちのひとりを目撃しようとは。よっぽど窓を開けて彼に声を掛け「よぉ、飲みに行こうぜ、おごるよ!」と言いたかったが、そこにいる全員について来られたくはなかった。

 

夜に群衆が去ったので、ひょっとすると彼やかつての飲み仲間の誰かがいないものかと、以前よく通っていたバーに行ってみようと思った。バーはひどく荒れ果てていた。数週間まえの争いがバーをめちゃくちゃにしたのか、まったく見当もつかなかった。でも考えてみると、乱闘のときにオーナーが殺されたと聞いた。

気の毒に。それでバーも略奪され尽くしたのだろう。そこに壊れていないものはなにひとつなかった。アルコールはすべて、ひとつ残らず飲み尽くされていた。

 

家に戻るために向きを変えた。ほら、「バーに恋をしてはいけない」ってよく言われるが、僕はその忠告を心に留めておくべきだった。いまや僕はバーを失い、友を失い、女もいない。何よりも悪いことに、アルコールすらない。

 

立ち去ろうとしたとき、何かを思い切り蹴飛ばした。かがみこんでそれを拾った。今日はツイてる。僕は未開封のウィスキーのボトルにつまずいていたのだ! 今日と言う日は思っていたよりもいい日になった。僕はこれを書きながら、プチ冒険の戦利品を楽しんでいるよ。ほかに僕のブログを読みながら、飲んでいる人はいるかい?

 

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2009年2月6日(金)

 

 

タイトル:うれしいサプライズ

 

部屋のドアを激しく叩く音がして、びっくりしてあやうくウィスキーのグラスを落としそうになった。バツグンの反射神経のおかげで事なきを得たが。ドアを開けるべきか開けないでおくべきかでためらった。ここに至って命の心配をしているとは言いたくはないけど、キジュジュの異常な状況を考えると、用心するに越したことはない。念のため、ドアを開けるのを警戒していたが、やがてまたもや好奇心に負けてしまった。

 

ドアを開けたとき、自分の目を疑った。そこにいたのはアリソンだった! 彼女は1週間寝ていないかのようにやつれていたが、彼女は僕のプリンセス。僕はそんなことは気にしない。彼女を急いで中に入れ、腰を掛けさせ、落ち着かせるために水で薄めたウィスキーを渡した。彼女が戻ってきてくれたというだけで舞い上がってしまって、彼女の言っていることに完全に着いていけたわけではなかった。僕のわかった範囲では、彼女は彼氏を見つけられなかった、彼女の滞在していたホテルが、外国人排斥を掲げた地元民の襲撃にあった、というものだった。通りに引きずり出され、怒り狂った暴徒の海の中に消えていった人もいたという。彼らがどうなったか、誰にもわからない。アリソンはこっそりその場を離れ、僕のところに一直線にやってきたのだ。僕はこの国の人間だから、彼女はホテルに居るより安全だと考えたのだ。彼女の理屈はわかるが、僕でさえ、もはやここは安全な気がしない。

 

そのあとずっとアリソンは僕のところにいるから、キジュジュの今の状況はそれほど悪いとは言えない :) あいにく彼女は拡声器の男が演説を始めるたびに怯えている。狂乱はまったく終わる気配がない。日ごとにより多くの人が彼の話を聞こうとやってくる。いや、それは適切な表現ではない。彼らはロックコンサートの酔っ払いや暴走族のように振舞うために集まっているのだ。

 

いったいこの町はどうしてしまったのだろう?

 


 

 

いかがだろうか? 

そしてつぎの更新である、13日の金曜日から、アダムの描く町の狂乱は加速していく。

(明日へ続く)

 

プロフィール

サンフランシス小山

週刊ファミ通で『バイオハザード』シリーズの記事を担当する編集者。プレイの腕前はおぼつかないが、設定や作品の背景に関しては、10年書き続けているだけの蘊蓄アリ。