バイオハザード5 BSAA監視日記
当初は、物語の舞台となる街、アフリカのキジュジュ自治区で起きている異変を感じた彼が、個人的にキジュジュに関する情報を収集しているに留まっていた。だが、今年の2月13日前後から急激に状況は変化。慌ただしい展開を見せているのだ。彼が同地区の潜入工作員たちと連絡を取り合う様子を見ていると、そう遠からずキジュジュでBSAAによる大きな作戦が展開されるのではないかと予測される。
このブログは、同BSAAサイトを監視するとともに、そこで浮かんだ疑問をX-DAYに向けて、BSAAに直接投げかけようと試みるものである。
ストライク・スリー
BSAAサイトを開き、ライアン氏の最後の通信文を読むと、画面に変化が。
……つぎは深入りしすぎた自分の番かもしれない。早々にこの件から手を引くとしよう。最後のあがきとして、一瞬だけモニターに映った影を掲載しておく。誰か、誰かライアン氏のカタキを……
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連絡不能
ライアン氏の懸念が現実のものとなってしまった。キジュジュ自治区に広がる不穏な空気の現況にバイオテロの可能性があるという氏の予測が、M.Suzuki氏を通してクリスらへ伝わっていなかったのだ。
手のひらを返したかのような、M.Suzuki氏の対応。
すでに2月24日のライアン氏のメモの時点で、BSAA内に造反分子がいるのでは? との考察がなされている。限りなくグレーだ。当のM.Suzuki氏に問い合わせたくとも、すでに連絡が一切つかない模様。
はたしてM.Suzuki氏は、どこへ消えたのか。ライアン氏の身に危険が及ばないといいが。
祈り
なんてことだ。
数日ぶりに届いた報告は、BSAAが誇る精鋭たちの壮絶な最期についてだった。いったいどんな敵が現れたというのだ? クリスとシェバのブラヴォーチームの生存、そしてバックアップから前線に投入される、ジョッシュ率いるデルタチームの活躍を祈るしかない。
一方、安否が問われていたアダムのブログが更新された。無事だったのだ。以下は、取り急ぎ訳した彼のブログ内容である。
2009年3月6日(金)
タイトル:ついに助けが!
今日もまた犠牲となる男がやぐらの上に連れていかれるのが聞こえた。それはあまりにも日常的なことになり、僕はそのたびにただ耳を覆い、運が尽きた男たちの呪いの言葉を遮断することを学んだ。耳をふさいでいてもなお、斧の一撃が新たにひとりの人間の命を奪うのを感じたし、群衆の歓声は僕を恐怖と不安の念で満たし続けた。気の毒な男のために僕は心の底から祈りの言葉を捧げた(少なくとも自分ではそう思った)気がするが、もう彼について思いをめぐらすこともなかった。いまや自分の感覚の麻痺っぷりが信じられなかった。日々くり返される処刑。僕がそう感じているだけかもしれないが。
今回は暴徒の歓声で終わらなかった。その代わりに銃声が聞こえた。困惑して、外で何が起こっているか確認するために、慎重にカーテンを引いた。(言っておくけど、僕は自分の命を大きな危険にさらしてそうしたんだよ。)群衆に囲まれた近くの建物の中にひとりの男と女が見えた。確実に彼らの命運は尽きたと思ったが、つぎの瞬間、銃を持っているのは彼らだと言うことに気づいた。さっき発砲したのは彼らに違いない! 彼らは連携して動き、広場に突入すると、そこにいたヤツらを猛烈な勢いで排除していった。より多くの死を目の当たりにして衝撃を受けるべきところだったが、僕はそのふたりの存在のほうにより大きな衝撃を受けていたと思う。
その様子を見ていると、ヘリコプターがどこからともなく現れ、巨大な鉄製の門にミサイルが発射される音が聞こえた。衝撃で僕の家は地震のように激しく揺れた。あの爆風の近くにいた人間は平気ではいられないと思う。再び窓の外を見ると、例の男と女以外全員が消えていた。たぶん彼らはミサイルを恐れたのだろう。
事態が収束したようだったので、あのクレイジーなふたりをもっとよく見ようと双眼鏡をつかんだ。あの狂犬病の犬のような何千もの人々を相手にしようなんて、クレージーに違いない! 女のほうはこのへんの人間のようだ。動きやすい服装で、ガンベルトを巻き、大きなナイフをもっていた。銃器の扱いに慣れているようだった。男も似たような服装だが、ガンベルトの下にユニフォームのようなシャツを着ていた。彼は筋骨隆々で、まるで80年代のアクション・ムービー・スターのようだった。腕についているバッジにBSAAとあるのが見えた。そのバッチを見たとき、いろいろなことにすっかり合点がいった。僕の知っている限り、BSAAはバイオテロがらみでしか、関与しないはず。人が制御不能になるようなウィルスか何かを誰かが放ったに違いない。もしかすると狂牛病の強烈なバージョンかも。
ま、それが実際何だろうと、BSAAが全員を助けるワクチンを持ってきたに違いない。ああ、よかった! しばらく飲んでいないから、ウィスキーも持ってきてくれているといいのだけど。あの可愛いBSAAの女性エージェントと一杯やるのも悪くないな。きっと彼女はいい動きをするに決まっている。
ともかく、僕はもう大丈夫だよ! 僕のために声を上げてくれたみんなにお礼を言うよ。これで僕はまた人生で重要なことについて書く生活に戻れるよ。つまり、お酒とかわいこちゃんのことをね!
ところで、PlayStation Home の『バイオハザード5』ラウンジにはすでに入られただろうか? その中のエリアマップに、建設中のものとして Adam’s Shopなる店名が書かれている。どうやらこれがアダムのこれからの暮らしを支える仕事のようだ。遠い地で、昼は新しい商売に追われ、夜はお酒とかわいこちゃんを追いかけて暮らす能天気な彼のことを思うと、なんだか安堵で涙が出そうな気分にもなる。
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便りがないのは
作戦決行日から1日が経った。だが、現地の情報が何も伝わってこない。時差があるにせよ、間が空きすぎている。手をこまねくばかりだ。ただ、ライアン氏が懸念していた、実働部隊にバイオテロの可能性を伝える件をSOAのM.Suzuki氏が請け負ってくれたのは、いい報せだ。これで氏もひと安心だろう。BSAAの分析官のあいだでも、メッセンジャーで“なしのつぶて”が囁かれているのみ。たかだか密売人ひとり相手の作戦。もしかしたらすでに作戦は終了し、祝宴が催されているだけなのかもしれない。
あとはアダムの近況が気になるところだが。
ここで彼らBSAAについて少しおさらいしておこう。ことは、かの悪名高きアンブレラ社が、合衆国政府の業務停止命令を受け、事実上崩壊したときに始まる。同社が秘密裡に作り上げていたB.O.W.(有機生命体兵器)は世界中に拡散。その流出がバイオテロを招き、同業である製薬企業への批判の気運が世に高まったのだ。その責任問題を恐れた製薬企業連盟は、すぐさま対バイオテロ部隊を組織した。これがBSAAだ。やがてBSAAは、バイオテロの脅威の拡大につれ、国連管轄の実働特殊部隊として再編されることとなる。
製薬企業が私設の軍隊を投入するという意味では、1998年にラクーンシティで起きた事件の当時、アンブレラ社がU.B.C.S.を投入したケースにも似ていると言える。だが、当時のアンブレラの目的は、表面的に行われた人命救助にあったわけではなく、史上最大規模で引き起こったB.O.W.災禍のデータ収集にあった。B.O.W.対軍隊。B.O.W.の兵器としてのすさまじさを把握するには、最適のケースだったのだろう。
製薬企業連盟がスポンサーとなってBSAAを設立するにあたり、かつてのアンブレラのようにB.O.W.のデータ収集を目的としたとは思えない。だが今回のターゲットであるアーヴィングは、まぎれもなくBSAA理事企業のひとつであり、組織内でも発言力が強いとされる複合企業トライセルの人間だ。ここに今回の作戦行動でネックになる部分、言い換えればひっかかりを感じる部分がすべて集約されているような気がする。少しうがちすぎだろうか。
ちなみにトライセルは、大航海時代から続く名門の海運会社が前身。そこに19世紀以降になって、資源開発部門、そしてアフリカの動植物から採取された素材をもとに独自の開発を行う製薬部門が設立され、現在の形となっている。海運、資源開発、製薬の3つの部門による複合企業体だから"トライセル"と名づけられているのだ。
とりとめのない話になってしまった。ただひたすら、現地からの情報が待たれる。
作戦決行当日
今日は作戦決行当日。BSAAのメンバーたちはまさに突入しようとしているのだろうか? あるいは誰かの指揮のもとですでに突入しているのだろうか? 現地の情報はまだ届かない。時差があるのが惜しまれる。
昨日のライアン氏の日誌を見る限り、目下キジュジュで展開されようとしている(あるいはされている)作戦行動が対バイオテロ戦を想定していないことが窺える。これはマズい。とりわけ少人数で突入するブラヴォーチームのクリスとシェバは孤立してやいないだろうか。ライアン氏の“ストライク・ツー”という言葉が、何もかも、不測の事態ひとつで最悪の結果を招き入れる状態を示唆している。
だからという訳ではないが、BSAAの隊員向けに、手元で集められる限りすべての情報を詰め込んだ作戦サポートファイルを週刊ファミ通3月20日・27日合併号に挟み込んでおいた。作戦エリア内でのアイテムの取り逃しなどが完全に防げるマップなど、手に取れば、必ずや役に立つことだろう。ライアン氏の個人的なコネクションによる情報とともに、孤立しているかもしれないクリスたちに届くといいのだが。
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ウロボロスについての早急な調査も待たれてならない。