アルカディア5月号でお届けした、『GUILTY GEAR XX ΛCORE PLUS R』の強豪プレイヤー、KA2(使用キャラクター:紗夢)に聞いた超実践的な攻略テクニック。しかし、実はこのインタビューには、誌面ではお見せし切れなかった“続き”があった。
ここでは、インタビュー特別編としてアルカディアで紗夢攻略を担当しているよるよると、KA2の特別対談の模様の続きを紹介していこう。
「プレイヤーの格ゲーの技術を積み上げる土台となったタイトル」から、「超反応プレイヤーと思われていたKA2の実際」など、プレイヤーの根っことなる部分が垣間見える貴重な対談となっている。ぜひ本誌と併せて読んでみてほしい!
※コマンド・動作の表記について
・コマンド表記
789
456
123
数字がレバー方向を示します。
・動作表記
→(JC)……ジャンプキャンセル
→(C)……キャンセル
■はじめに
よるよる:今日はわざわざ編集部までありがとうございます。敬語は無しの方向で行こうと思っています。
KA2:なんか敬語なんだけど(笑)。普段ゲーセンでは構えずに話している仲だから、こういうインタビューっていうのは新鮮だね。
よるよる:今回は、『GUILTY GEAR XX ΛCORE PLUS R』の攻略がおれの手に負えなくなってきたので、KA2さんを呼んでみました(笑)。
KA2:ずいぶんとぶっちゃけたね(笑)。
よるよる:難しいんですよ、このキャラクター……。以前KA2さんに、この連続技調べといてよ、と言われていくつかもらったやつもさ、難し過ぎて心が折れそうになったし。6+HS・HS空中ヒットから、低空ダッシュDだったっけな……。
KA2:確かそうだね。あれは、自分で試してみたけど、画面位置とかいろいろあって、今のところ無理だなと諦めた(笑)。
よるよる:諦めたことを教えてくれよ(笑)。おれはいまだにちょくちょく調べてたのに。
▼しゃがみDのフォースロマンキャンセルは1フレームしか猶予が無い高等テクニック。

■格闘ゲーム、『GUILTY GEAR』シリーズとの出会い
よるよる:まず、格闘ゲームをはじめたきっかけについては?
KA2:『ストリートファイターU』(以下『ストU』)に興味を持ったのがきっかけかな。
よるよる:ゲームセンターで遊んでたの?
KA2:そう。学校の友達とかと一緒に遊び始めたから、攻略っぽい話とかもできるようになって、どんどんハマっていったんだよね。その当時、一緒に遊んでいた仲間にすごくうまい人が居て、全然勝てなかったというのも、もっと上手くなりたいっていうモチベーションにつながってた。
よるよる:格闘ゲームの攻略の基礎となるところは、『ストU』で学んだんだ。
KA2:対空やけん制っていう立ち回りや、通常技キャンセルの仕組みはやっぱり『ストU』だったね。
よるよる:じゃあ、『GUILTY GEAR』シリーズをやり始めたきっかけは?
KA2:『GUILTY GEAR』シリーズは、アーケードのシリーズ一作目の、『GUILTY GEAR X』から遊んでるんだよね。今までの格闘ゲームには無いシステムが多くて、長く遊べるかなあと思って、やり込み始めたよ。
よるよる:キャラクターは最初から紗夢を使ってたの?
KA2:最初はいろいろなキャラクターを触ってたんだけど、龍刃〜逆鱗みたいに、必殺技から必殺技をキャンセルでつなげられる紗夢に魅力を感じてからは、ずっと変えてないね。アキバでプレイするようになって長いから、紗夢の見た目が好きでやり込んでいるんだろうと思われることも多いけど(笑)
よるよる:見た目はあんまり好きじゃないの(笑)!? 格闘ゲームで女キャラクター使っていること多いじゃない。
KA2:いや、見た目も好きです(笑)。
■よく見るあの紗夢攻略の種あかし
よるよる:KA2さんの紗夢を見てていつも思うのは、動きが丁寧だなあってこと。自分自身、紗夢を使っていることもあるし、ほかのいろいろな人のプレイを見た上での印象なんだけど。
KA2:リスクの高い行動を続けて取るのが苦手なんだよね。性格的なものなのかもしれないけど、どんなゲームでもリスクの低い行動で体力を奪うチャンスをつかむ回数を増やすっていうプレイスタイルを取ることが多いかも。紗夢は、反応や経験を生かして、リスクの高い行動をうまく押し付けても勝てるキャラクターになっていることが多いんだけど、自分は、どうも一線を越えられない(笑)。もちろん、取ってる行動全部がローリスクってわけじゃないけど、お祭りみたいな戦い方は苦手かな。だから自分の試合はあまりギャラリーが盛り上がらないのかも(笑)。
よるよる:結果、独自のプレイスタイルになっていったと。
KA2:というより、多分ほかの紗夢のほうが独自のプレイスタイルなのかもしれない。mike(紗夢使いとして知られる強豪プレイヤーの一人。闘劇でも好成績を残している)とか、普通だと考え付かないような対策や連携をどんどん使ってくるし、いつ見ても新鮮だね。情報交換してると、使えるものもたくさんあって面白いよ。ネタを見つけるのは苦手だから、助かることも多いかな(笑)。『GUILTY GEAR ΛCORE』の「がちょ式」(過去作品で猛威を振るった画面端での強力な起き攻め、下連続写真参考)とか、よくあそこまで伸ばしたなと感心してしまう。
▼「がちょ式」

@画面端でしゃがみHS(1段目)でダウンを奪い、爆蹴でキャンセルする。

A爆蹴〜跳迅と派生し

B下りD、着地立ちK、逆鱗などで起き攻めを展開する。今作ではポチョムキン以外のキャラクターには狙えなくなってしまった。
よるよる:「がちょ式」は、発見そのものがすごかったね。当時、アルカディアで紗夢の攻略を担当してた、がーくん(がちょ)が見つけたから、そういう名前で身内ネタとして使ってたら、どんどんmikeがバリエーションを増やしていって、いつの間にかキャラクターランキングを変えるくらいのネタになってた。最近の紗夢の攻略を書かせてもらってるけど、あれだけインパクトのあるネタは思い付かない(笑)。あ、話はちょっと変わるんだけど、攻略本とかネット上の情報とかはよく見るタイプ?
KA2:見る方かな。攻略本はフレームが載っているものなら買ってるし、インターネットも使える情報が落ちてないか掲示板を見たりする。
よるよる:なるほど。やっぱり『GUILTY GEAR』はフレームが重要だもんね。おれも、結構いろいろな情報を集めるタイプなんだけど、最初に紗夢を始めたとき、いろいろなところで「ダッシュからフォルトレスディフェンスで急停止して、相手の技を空ぶらせて、通常技でカウンターを狙うのが紗夢の基本戦術だ」みたいなことが書かれているのを見たのよ。で、最初はそれを意識してやってたんだけど、全然できないから、あきらめて違うプレイスタイルで楽しんでいたんだけど、この一連の動きって、紗夢の基本なの?(笑) KA2さんの試合みてると、たまに、この攻略をイメージさせる光景があるんだよね。
KA2:おれの試合で、相手の通常技をダッシュ→フォルトレスディフェンスで空ぶらせたところに、前ダッシュで突っ込むっていうのは、その攻略に近いかもしれないけど、ちょっと考え方が違うかな。よるよるさんが言ってるような攻略論はよく見かけるけど、ちょっと書き方が不親切だね。もしかしたら、書いた人は反応でその一連の動きができちゃうのかもしれないけど。
よるよる:え!? どういうこと!?
KA2:たとえば、ソルを相手にしたときに、地上のけん制技で一番長いのは立ちHS。それで、地上ダッシュを止める際に、この技を振ってくるソルは多いんだよ。そこでこっちは、ソルの立ちHSの届く少し手前の間合いまでダッシュで走り込んで、フォルトレスディフェンスで急停止すると立ちHSを空振りさせられる。そこから、相手の技の持続を意識して、フォルトレスディフェンスの時間を変えて、ダッシュから懐に走りこむ。こういう駆け引きをキャラクター別にやってるんだよね。当然、フォルトレスディフェンス→ダッシュの部分は入れ込み。成功したときのインパクトがすごいけど、実際には反応とかはあまり必要としない知識を生かした攻略なんだ。
よるよる:なるほど! 相手キャラクターのけん制技の性能は漠然と知ってたけど、そういう方向に発展させられるとは……。
KA2:フォルトレスディフェンス→前ダッシュ→通常技っていう流れが多いけど、フォトレスディフェンスから、毎回突っ込んでたらワンパターンになるから、バックステップで距離を離すこともあるかな。ここら辺は見てから反応するのは無理だから、全部入れ込み。ダッシュから出した通常技には、ヒット確認を意識してる。
よるよる:すごく参考になります。今までKA2さんから教えてもらったことの中で、一番感動したまであります(笑)。
KA2:紗夢は、相手の技との相性や切り返し方への対処を調べるのが大事だよね。技のバリエーションは多彩なんだけど、一個一個の性能は正直だから、それを組み合わせて一方的な試合展開を作るっていう方向に攻略が進むことはまず無い。各キャラクターへの対策を煮詰めていくのが、一番効率の良い上達方法なんだと思う。
よるよる:キャラクター対策の一部を教えてくださいよ(笑)。誌面に載せるんで。
KA2:細かく教えるといくら記事のスペースがあっても足りないだろうから、1キャラクターにつき、1つずつで。(この攻略は、月刊アルカディア5月号に掲載)。
▼本誌に掲載された対策の一例。ザッパの起き上がりに立ちKの3〜4フレームを重ねることにより、6Pと無敵技に対応する。

よるよる:遠距離S→(JC)低空龍刃を単発確認で出してるように見えるんだけど、これもなんかタネがあるの?
KA2:それは無い(笑)。でも、これも完全なヒット確認というよりは、状況確認が多いかも。反応がそこまで早いほうじゃないおれでもできてるから、練習次第で身に付くはず。
よるよる:攻略面で、ほかに何かあれば教えてください(笑)。聞けるだけ聞いておかないと!
KA2:ここぞとばかりに(笑)。じゃあ、不用意に技を入れ込まないということを考えてみるのはどうだろう。遠距離Sカウンターが見込める状況で、遠距離S単発で止めて、追撃を入れた方がダメージを見込める状況もある。遠距離S→(C)百歩沁鐘なんかは、リスクが低いからついつい手癖になりがちだけど、それだともったいない状況も多い。あとは、リバーサル技をガードできる技の重ね方を覚えること。しゃがみPや立ちKを重ねることで、無効化できる技も多いんだよ。ここら辺は、アルカディア本誌用に言った、キャラクター別対策に含まれてるから。
よるよる:ありがとう! 攻略がはかどります!
▼うまく重ねることにより、相手のリバーサルを防ぎつつ有利な状況を作る。

■あの14勝1敗はプレイヤー対策の結果
よるよる:闘劇’06の3on3で14勝1敗で優勝という記録はその後も破られていない快挙だと思うんだけど、この時のことはまだ覚えてる?
KA2:覚えてるけど、これは運が良かったんだよね(笑)。自分が特別いい動きをしていたわけではなく、むしろ、若干、普段通りに動けていないっていう自覚があった。大舞台のプレッシャーはやっぱり怖いね。
よるよる:運が良かったというと、具体的にどういうところが?
KA2:普段、対戦し慣れているプレイヤーとばかりとの組み合わせというところだね。あの成績は、プレイヤーの癖を利用した対策がうまくハマったところが大きいよ。今は、大会に出る上でプレイヤー対策を取っている人が多いけれど、あのころは、そこまで重視されていなかった気がするんだよね。だから、直球を投げてますと思わせつつ、相手の癖に対応する動きを多く混ぜてたんだ。実際、関西のプレイヤーと多く当たっていたら、たぶんあの結果は無かったかな。ミリア戦とかも、得意だと思っていたんだけど、野試合でヲシゲさんとやったときとかは、動きが全然違って、対応できないまま負け越しちゃったし。やっぱり、普段対戦をこなしているプレイヤーほど戦いやすいかな。
よるよる:プレイヤー対策は、普段から意識しているの?
KA2:そうだね。このプレイヤーはこういうところが長所だから、そこにつけ込まれないようにしようとか考えてるね。こっちが取ったプレイヤー対策に、向こうがさらに対策してくるっていうことも最近では珍しくないから、昔ほど効果は高くないけどね。
■大規模全国大会ARC(アークレボリューションカップ)には?
よるよる:全国大会ARCの予選では、何度か顔を見たけど、モチベーションは高いの?
KA2:久々の大会だから参加しやすい予選には出てるね。東京内で予選通過できればいいなと思ってるけど、なかなか厳しいね(笑)。
よるよる:スレイヤーが鬼門なのかな、今回も。
KA2:7-3とまでは言わないけど、やっぱり厳しいね。立ち回りの相性が良くない上に、「がちょ式」が無くなったことで火力面でも有利を付けられないのはキツいかな。ただ、今回強キャラと言われているザッパにいい勝負ができるキャラクターだと思ってるから、予選を通過できれば、面白い対戦を見せられるかも。
よるよる:紗夢の有利キャラクターというとだれになるの?
KA2:まず、ポチョムキンかな。起き攻めが回避できるのと、このキャラクターにだけは、まだ「がちょ式」が使えるから、かなりやりやすい。それ以外のキャラクターは、5分くらいじゃないかな。どのキャラクターにも、5分かちょっと不利くらいで済むのが紗夢の強いところじゃないかな。
よるよる:予選通過、期待しています!