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今井麻美が全身全霊を込めて作った4thシングル『シャングリラ』ロングインタビュー

2010/7/8

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●曲、歌詞、PV、すべてを語ります!

 

 アニメやゲームの声優としての活動はもちろんのこと、シンガー、ラジオパーソナリティーなど、マルチに活躍する今井麻美。彼女の4枚目のシングルとなる『シャングリラ』が、2010年7月22日に発売される。表題曲のシャングリラは、2010年8月5日発売予定のPSP用ソフト『コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー』(以下、『コープスパーティーBR』)と、テレビ東京系で放映中の『アニソ〜ンぷらす+』の7月のオープニング曲。そしてカップリングに収録される『ほんの少しの幸せ』は、2010年7月29日発売予定のXbox 360用ソフト『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』のエンディングテーマと、全部で3つのタイアップが入ったシングルになっている。中でも『シャングリラ』は、今井が以前のイベントで「こういう曲が歌いたいと思っていた」と語るほどの楽曲で、楽曲制作、そしてPVの制作にもイチから関わっているという。そんな今井の本気がたくさん詰まった楽曲について、今井麻美本人に語っていただいた。

 

4thシングル
シャングリラ
cw/ほんの少しの幸せ

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発売日

2010年7月22日発売

価格

通常盤:1260円[税込]
限定盤:1890円[税込]

収録曲

01.シャングリラ
作詞:RUCCA 作曲:濱田智之 編曲:南 利一
02.ほんの少しの幸せ
作詞:今井麻美 作曲:桐岡麻季 編曲:酒井陽一
03.シャングリラ - off vocal -
04.ほんの少しの幸せ - off vocal

限定盤特典

『シャングリラ』Music Clip&メイキング映像を収録したDVDを同梱

初回特典

リバーシブルB2ポスター(アーティスト写真)
※特典ポスターは店舗によってつかない場合もありますので、詳しくは店舗にお問い合わせください。

発売元

5pb.

販売元

ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

 

――4枚目のシングルの発売が決まったときの感想をお聞かせください。
 

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今井麻美(以下、今井) 3月の頭、ちょうど3枚目のシングル『Horizon』のカップリング曲を作っているころだったと思うんですが、そのカップリング曲が私のラジオ『SSG(今井麻美のSinger Song Gamer)』のイメージソングで、私の作詞待ちだったんです。制作がゆっくりゆっくり進んでいるなかに4枚目のお話が飛び込んできたので、まだ3枚目もできていないのに4枚目ってどういうことでしょうかと(笑)。でも、そのときから8月5日に発売予定のPSP用ソフト『コープスパーティーBR』のオープニングになるというお話は聞いていたので、怖い曲になるのかなという漠然としたイメージを持っていたんです。正直に言いますと、4枚目のシングルは絶対に後悔したくなかったんです。それまではいただいた曲を自分の中で噛み砕いて歌うというか、この曲だったらこんな風にすればいいのかなと考えることが多くて、言いかたがおかしいかもしれませんが、曲に対する向かいかたとして、与えられているものをいかに料理するかという考えかたをしていたんです。でも4枚目が出るということを聴くまえから、ずっと4枚目は絶対後悔しないように、私のやりたいものをやると考えていて。とはいえ、タイアップになる作品があるなかでただやりたいことをやるのというわけではなく。私の満足感では、作品とシンクロしているということも大きな割合を占めていて、「この作品だったらこの曲しかないだろう」と言われるような作品作りをやっていきたいなと思っていたんです。ちょうど『コープスパーティーBR』は始まりが同人作品で、今回PSPにリメイクされるという作品だったので、作品名を聞いたときに家で作品内容を事前に調べました。「こういう作品だったら、こういう方向性で行きたい」と私の中で湧きあがったイメージがあったのですが、実際に曲を作っていただく段階で、プロデューサーからも「こういう曲調で行こうと思うんだけど、今井さんはどういう曲にしたい?」と私にも意見を聞いてくださったんです。たまたま私の心の中に秘めていたものを感じ取ってくださったのか、いままではそういうことはなかったんですが、今回は私に聞いてくださったこともあって、やっぱり4枚目は妥協しちゃいけないんだと自分でも改めて思って、少しでも「ここはこうしたほうがいいと思います」と意見を言わせていただきました。でも、意固地になるのではなく意見を言っていくということが大事かなと思いつつ、曲作りの最初の段階から「こういう曲調にしていただけたら、作品にとても合っていると思うし、私がゲームをする立場だったら、こういう曲が欲しいと思います」というお話をさせていただいたんです。おかげで、取り掛かるときから私のすべてを詰め込んだCDにしたいと思っていましたし、できあがったものを眺めて見てもそうなったと思える作品になりました。

 

――そうしてできあがった『シャングリラ』は、どういう曲になりましたか?
 

今井 いちユーザーとして欲しいものをお伝えしたあとは、プロデューサーの判断や、原作者のお気持ちもあるので、それらを鑑みてもらったうえで「こんな風にしたい」というお話をしましたね。今回、抽象的な世界を描いたらゲームに合うんじゃないかなと思ったんです。というのも内容がホラーということに加えて、作品そのものを書くとネタバレが入ってしまう作品でもありましたので、もっと抽象的にかみ砕いて作った曲だったら、ゲームをプレイし終わったあとにも心に残る曲になって、ゲームをすればこの曲を思い出し、この曲を聴けばゲームを思い出すという、相思相愛の曲になるんじゃないかと思いました。詞はレコーディングに入るまでに何度か変更が入ったんですが、最初の時点で歌詞のなかに“シャングリラ”という言葉があって、すごく作品のイメージを表している単語だと思ったんです。『コープスパーティーBR』は日本の学校を舞台にしているので、曲も漢字のタイトルのほうがいいのかなと思ったりもしたんです。でも『コープスパーティー』というタイトルを聞いたときに、コープスの意味がわからなくて漠然と「楽しいゲームなのかな」と思っちゃったくらいで。和物の世界観なのに敢えて『コープスパーティー』というタイトルを付けているということは、原作のスタッフはギャップのようなものを求めているのではと感じたんです。ですから、曲のタイトルも最初は漢字のタイトルだったんですが、歌詞を読んでいていちばん印象に残った“シャングリラ”をタイトルにできないだろうかとプロデューサーに相談したところ、検討した結果、ご承諾いただけました。私は、その時点で超満足しちゃいましたね(笑)。「やった!」って。ただ、表題が決まると見えてくるものがあると思うんです。おかげで急に世界が開けたというか、だからレコーディングはぜんぜん苦労しませんでした。毎度毎度なんですが、レコーディング当日までアレンジができていなかった状態で。ただ、その時点までに聴いていた曲はいまとまったく違うアレンジだったんです。もっと柔らかい、テンポも少しゆっくり目の曲で、ただ「大幅に変わりますよ」とは言われていました。「いま歌いやすいように詰めているから締切ギリギリになりそう。途中の段階で渡すこともできるけど、どうする?」とプロデューサーから言われたのですが、「じゃあ歌いやすい環境で歌いたいのでギリギリまで作ってください」とお願いして、レコーディング当日まではもっとやさしい曲調のものを聴きながら「これをどう歌おうか難しいな」と感じつつ、家で練習していたんです。それでレコーディング当日になって新しいアレンジを聴いたら、ビックリするくらい私の中の歌いたかった表現方法とガチって一瞬でハマったんですよ。自分でも不思議なんですが、自分にこんな歌いかたができるんだとか、歌いながら発見していくようなレコーディングで。急に自分が変われたり、成長したりする感覚を感じる瞬間があると思うんですが、その感覚をこの曲のレコーディング中に感じられたので、これまでいろいろなことを乗り越えたり、ぶつかったり、がんばってきたのは、この曲に出会うためだったのかなと歌いながら思って、そのときにすでに万感の思いでした(笑)。曲を作る初期段階から携わらせてもらったこともあって、「レコーディングのあとはお任せで」とは私には言えなかったので、いわゆる曲のミックスやトラックダウンにも立ち合わせていただきまして。自分にその才能があるのかわかりませんし、本当はお邪魔なのかもしれないんですが、ワガママを言って現場に行かせてもらいました。いつもは歌を聴いても声ばっかり聞いてしまうし、歌詞を聞いてしまう傾向が強いんです。音についてはプロではないので正直よくわからなくて。こっちのほうがカッコいいとか、この曲はもうちょっとスタイリッシュにできるといった漠然としたイメージはわかるんですけど、そのときは勘の冴えかたがスゴくて、「いま聞こえたピアノの音を大きくしたいんです」といったことが自然に言えて、私のなかで曲のできあがりのイメージができていたんだなと、改めて驚きを感じながら作品作りに携わらせていただきました。こんなことはなかなかできるものではないので、本当に幸せ者だなと思います。

 

――カップリング曲の『ほんの少しの幸せ』は、今井さんのいろいろな想いが詰まっている曲とのことですが?

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今井 事前に『メモリーズオフ』シリーズの新作、『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』のエンディング曲になるとは伺っていました。この曲を作ってくださった桐岡麻季さんとは、もともと『SSG』のCD『ボーナスステージ』にゲストで来てくださったことがきっかけで、そこで初めてお会いしまして。個人的には大好きな作曲家さんだったのでいつかお会いしたかったんですが、私が内に秘めていた願望をスタッフが汲みとって、私に聞かずにオファーを出していた状態で(笑)。出演オーケーをいただいて、本当にうれしくてビックリしちゃって。実際にお会いしたら、もう長年知り合いだったような、感覚を共有できるような方で、会ったそのときから意気投合して、「いつかいっしょに作品が作れたらいいね」と話をさせてもらったんです。そうしたら、たまたまこの曲を発注するタイミングで、私が桐岡さんと出会えたことをあまりに感動していたので、プロデューサーが「今回の曲は桐岡さんに頼んでみようか」と言ってくださって……、めちゃめちゃ幸せですよね(笑)。この巡り合わせって不思議だなって。ちょっと時期がズレたらお願いもできなかったと思うし、ラジオに出てくださることも不可能だったかもしれないし、それがタイミングよくうまいこと噛み合ったんだと思います。作詞のほうは、桐岡さんに作曲の依頼ができたあとにプロデューサーから「作詞しますか?」と聞かれたんです。ですが、今回は「少し考えさせてください」と言いまして。いままでなら「やります!」と即答するんですが、『シャングリラ』というCD自体が私にとって大事なものになるという予感がしていたので、いっしょに入るカップリングの曲も大事にしたかったし、『メモリーズオフ』も皆さんに愛されている作品のひとつですから、作詞をさせていただくことに対してのプレッシャーがきっとスゴいだろうと思っていたんですね。確かに作詞は大好きなんですけど、できあがるまでは、「私、作詞できます」って言えなくて。というのも、私の作詞方法は、曲に入り込んで入り込んで、時間をかけて世界を作っていって、ある日突然ザッと書くという体力を使う作りかたをしてしまうんです。それに、ちょうどそのときは慌ただしい生活をしていたので、集中できる時間が取れるかという自信もなくて。それなのに軽い気持ちで引き受けて、「やっぱりできませんでした」とは言えませんし、できあがってみたものが「私じゃなくやっぱりプロにお願いしたほうがよかった」と後悔するのも嫌だったので、即答できず「2、3日考えさせてください」とお願いしたんです。でも『シャングリラ』と同じCDに自分の作詞が入るということは、私にとってステップアップにつながるものだなあと考えまして。私自身が、今後何をしていきたいかを示す作品になるんじゃないかとも思っていたので、「ここでチャンスがもらえるなら、辛いかもしれないし、できるかどうか不安もあるけどチャレンジしよう」と思って、「やらせていただきます」と言って、『メモリーズオフ』の作品資料をいただいたんです。『ほんの少しの幸せ』は、いくつかいるキャラクターの何人かのエンディングにあたる曲なんですが、もともとゲームをされる方は、そのキャラクターにとても思い入れがあると思うので、エンディングでその思いが甦ってくるような歌がほしいと思うんですよね。ゲームをプレイするのって、時間も体力もお金も使うものですし、私もゲームで遊ぶ身として、遊んでいるときに最後に万感の思いに浸れるような曲じゃないと絶対イヤだなと思っていて。でも『メモリーズオフ』の女の子って個性的な子が多くて、ひとりとして味の薄い子がいないんですよね。その子たちすべてに当てはまる歌って難しいなと思いました。ただ、彼女たちがそれぞれに紆余曲折あっても、最終的には主人公と結ばれる作品ですので、結ばれる過程で抱く想いって何だろうと考えたときに、主人公であるプレイヤーさんのことを好きで慕って、好きでいられること自体がちょっとしたことだけど幸せなんだなって感じられる、最終的に彼女たちはそのことに満足しているんじゃないかなと資料を読みながら思い、その幸せについて描いてみようかなと考えて作詞しました。そのテーマを思いついてからは、ビックリするくらいふわーっと歌詞が浮かんできて。2番の歌詞はいろいろなことがあったけど、それもひっくるめて幸せなんだよねという歌詞なんです。ケンカしたことお祝いしたことって、みんなのゲームの中でもあると思うんですよね。そういうイベントを思い出せるんじゃないかなって。「目覚めたときに隣りにただ君がいてくれるだけで」という歌詞はちょっと大人っぽすぎるかなと思ったんですけど、みんなの願望も含めてみました(笑)。夢も膨らむかなって(笑)。最終的にくっつくまでにはいろいろあると思うんです。辛いことも苦しいことも楽しいことも、でもそれも含めていっしょにいられるだけで幸せなんだなって、女の子から語りかけてもらえる歌だったら、私がプレイヤーだったらうれしいなと思って、湯水のように歌詞が湧いて出てきましたね。私の想いも詰まっているんですが、『メモリーズオフ』の女の子たちの想いもいっしょに混ぜ込んで織り込んで作った曲に仕上がったんじゃないかなと思っています。

 

――これまで歌ってきて、『シャングリラ』という曲に行きついたという今井さんを表しているようですね。
 

今井 あー、そうですね。私の場合は、歌と私になると思うんですけど、きっと歌を歌っているうえで、ずっと楽しかったりするだけではなく、生みの苦しみもたくさん味わいましたし、なかなか思うように歌えない自分の非力さを感じたりとか、もっと器用にこなせたらよかったのにってどんどん自分を嫌うこともあったんですよね。ただ、歌を歌わせてもらえることが私にとって幸せだよな、と。うん。言われてみたらそうかもしれませんね。

 

――限定盤にはPVの入ったDVDが付きますが、ジャケットも含めてかなりこだわっていましたね。
 

今井 これも同じ理由で絶対妥協したくないという思いがありました。私の中にも曲のイメージを映像化したらこんなですというのが頭にはあったんですが、監督さんが曲を聞いたときに私とまったく違うイメージでとらえられるかもしれないと思って、それを監督さんに言っていいのかどうかと迷ったんです。でも、私の思いつめたような「いいものを作りたいんです」という雰囲気をスタッフさんが感じとってくださいまして、「とりあえず今井さんの持っているイメージを言ってみて」と言ってくれて。ただ、それで言った内容があまりに抽象的でみんな頭の上に?マークが出てたっていう(笑)。いきなり「ふた役やりたいんですよ」と言い出したものですから、皆さん「……ふた役? 何言ってるの?」みたいな(笑)。ふつうのPVって物語性があるものもありますが、たいていはセカンドシングルの『Strawberry 〜甘く切ない涙〜』で撮ったもののように私が出て歌うものが一般的ですよね。それなのに、突然キャラクターや世界設定の説明から入るんですよ。「17世紀か18世紀の厳かな雰囲気の閉鎖された空間で、何て言ったらいいんでしょう……お墓みたいな感じで、ただそれが何て言うのか思い出せないんですよね」って(笑)。そうやってずっとブツブツ言っていたら、ほかのみんなは「何を言っているかわからない」みたいになっていたんですが、その中のおひとりがずーっと考えながら何か調べて、ふと「今井さんが言っているのはひょっとしてこれのこと?」と、カタコンベを見せてくださったんですよ。フランスとかパリの地下にあるお墓のことで、ガイコツなどが安置されている場所なんですよね。私が描いていたイメージがまさにそんな感じだったんですよ。場所の雰囲気が伝わったと思って、続けて「教会ではなく、そのカタコンベのような閉鎖された空間にはそこから逃げられない女の子がいて、でもその子が未来の別の女性と出会ってるんです」と言ったりするんですが、やっぱり「何を言っているんだ、この人は」というくり返しになって(笑)。そのままちょっとずつ「こういう色なんです」とか、「こういう絵面なんです」というイメージを言葉で表しては、皆さんで頭を突き合わせて私が言ったものを探してくれたんですよ。最終的にはだんだん皆さんの中に私が描きたかったイメージが伝わっていきましたね。
 

――その描きたかったというものは?
 

今井 閉じ込められている女性というのは、『コープスパーティー』と対になる存在にしたかったんです。『コープスパーティー』自体、うらぶれた廃校に閉じ込められた少年少女たちが、そこから脱出できるかできないかというホラー風のストーリーなんですが、PVでも同じように、ある空間に閉じ込められてそこで絶望している女性を主人公にしています。彼女は最終的には亡くなってしまうんですが、歌詞の中にあった“来世で泣けるくらい愛してた”という一文のイメージがすごく強くて、その部分からイメージが湧いてきたようなもので。先ほどもお話をした彼女が出会った未来の女性というのは現実世界の人ではなく、彼女を助けにきた人でもなく、彼女が狂って見たのでもなく、『コープスパーティー』でもそうなんですが、何かをきっかけに歪んだ時空の中で未来の女性と死んでしまう彼女が出会っているんです。そのふたりはもともと対だったのにも関わらず、時代が違うからいっしょにいられない。でも間違いなく私たちは出会ったよね……っていうストーリーにしたかったんですよ。それは歌詞の中から全部汲みとって考えていたんです。ひとりひとりが分子記号の片割れで、その相手を捜している。ひょっとしたらパートナーは男性かもしれないし女性かもしれないけど、今回の彼女にとってみればショートカットの未来の女性がパートナーで、お互いが対の存在だったと。そんなふたりが隔たっている時空すらも超えて精神的に出会って、命は尽きてしまったけれど、命の先にある出会いをお互い感じとっているから死は不幸ではない、出会いはその先にもあるんだよ……というようなものを表現したかったんです。うまく言えたかしら? これ、最初にPVが出来上がったあと、スタッフ以外の方にお見せしたときに、「どういう意味でしょうか?」と質問を受けまして、うまく説明できるかわからなくて今日という日まで一生懸命考えていたんです。「どう解説しよう」と(笑)。歌詞としては、1番はまだ出会えていないから、“会いたくて会えなくてどこにいるんだろう”と言っていて、あらゆる時空を捜し歩いている未来の女性と、そんなことは考えられずにただただ生きることに執着した人間らしい女性とがすれ違ってうまくかみ合わない、でもどこかにシャングリラというものが存在しているかもしれないという希望を抱いているからこそ、過去の時代の彼女はまだ朽ち果てていないというイメージを持っています。その後、人間は極限に追い詰められると見えて来るものがあるんじゃないかなと思っていて、私たちは過去のことを知っているけど、未来は知りませんよね。だから、きっと未来の人は歴史の教科書でも何でも、どこかで過去の私たちのことを感じとってくれていると思うんですよね。でも過去の人は未来を知ることはできない、だから一生懸命に未来の人が手を差し伸べようとしている、あなたはいま苦しんでいるけど、先にあるのはただ苦しみだけじゃないんだよと一生懸命伝えたくて捜している。だけど、過去の彼女のほうがなかなかアンテナを立ててくれず、その想いを渡すことができない。だけど、死に直面したときに彼女が開いてくれたものと、ようやくそこで噛み合えたときに、彼女は幸せそうにつぎの未来に出かけていけるんじゃないかなというところから、最後は笑顔で終わりたいなという思いがありました。

 

――『コープスパーティーBR』にも出演されていますが、歌はアフレコの前に収録されたんでしょうか?
 

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今井 はい。アフレコのだいぶ前で、『コープスパーティーBR』でまだどの役を演じるのかもわからない状況で歌わせてもらいました。ですから、キャラソンではなく、今井麻美としての歌です。私が演じている篠崎あゆみちゃんとしての歌が作られるとしたら、かなり陽気で猟奇的な曲になるんじゃないかなと勝手に思っています(笑)。
 

――曲のイメージを先に固めてから、あとでアフレコに挑むというのはいかがでしたか?
 

今井 『コープスパーティーBR』という作品自体が、想像を超えるくらい表現が生々しくて、目の前に映像が浮かんでくるくらいの作品だったんです。ホラーは得意じゃないんですが、冗談抜きに台本が読めないくらい、鮮明に絵面が思い浮かべられるような文章が並んでいて、読むだけで生気が吸い取られていくようなお話だったので、魂の叫びや生への執着のようなものは『シャングリラ』で描きたかった世界と共通しているなと思いました。だけど、人間らしく執着ではないんです。出てくるキャラで、あゆみちゃんはとくに人間らしいキャラなので、『シャングリラ』に近いのはその子たちよりも幽霊の子たちで、崇高さとか物悲しさとか、助けてあげたいけど私は彼女たちを助けられないという絶望感とか、想像するだけでちょっと胸が痛くなるような。どうにもできないという気持ちが、『シャングリラ』のイメージとシンクロしているなと思いました。

 

――ジャケット写真はどのように撮影されましたか?
 

今井 PVを作っている最中に撮らせてもらいました。もともとジャケット写真もこうしたいと思ったものがあったんですが、とにかくPVの撮影が過酷で、朝7時スタートでほとんど休みがなかったんです。まずショートカットの白いほうのシーンを撮影して、それから着替えて全部メイクを作り直して、そのあと昔風でほぼすっぴん状態のものを撮ったんですが、ゆっくりと写真に集中する時間すらないくらい詰まった撮影だったので、「こんな風になったらいいな」というものができるかどうかわからないまま、カメラマンさんにお願いしてとにかく時間の許す限りたくさん撮ってもらいました。そして、実際にできあがったものを見たら、その中に私が「こういうのがいいな」って思っていたのが1枚あったんですよ! 限定盤のほうなんですが、彼女を描きたかったのが……自分のことなんですけど彼女って言っちゃうんですけど(笑)、彼女は絶望はしているんですけど、どこか希望の心を捨てていないという、そういう希望の顔を表現したかったんです。だから悲しい顔もしてほしくないし、うれしい顔もしてほしくない。どこか虚無の表情がよかったんですが、自分ができるかどうかわからなくて。でも、そういう表情の写真がうれしいなと思っていたら、まさにそういう表情をした奇跡の1枚があって、「これが欲しかったんです! あったー!」って喜びましたね。この撮影は本当にあわただしくやっていたので、どういう写真があるかスタッフ全員がわからなかったんですが、今回の写真に関しては出会うべくして出会ったと言わざるをえない1枚ですね。
 

――通常盤はショートカットが印象的ですね。
 

今井 白いショートカットのほうは真正面からの写真なんですが、もともと私は自分の横顔が好きなんです。正面は自分で認識できちゃいますが、横顔って見えませんよね。私は、自分の顔が好きじゃない傾向が強くて、写真も苦手で、その中でも横顔は知らない自分に出会える写真なんですよね。だから、昔から横顔の写真が好きで、今回もいい横顔の写真で好きなのがあったんですが、余りにも好きででっかくしたいなと思ったので「これをポスターに」って思って、まずポスターを決めちゃったんです。でもジャケットがポスターと同じ写真だとがっかりしちゃうのかなって思って考えていたら、プロデューサーがいまの通常盤に使っている正面からの写真を持ってきて「これにしたから」って言うんですよね。「ん? したから?」みたいな(笑)。ふだんはけっこうお優しいので、「できるかどうかわからないけど今井さんの意見を聞きましょう」って言ってくださるんですが、「これに関しては、僕引かないよ」って言われて(笑)。じゃあその理由を聞きましょうかと言ったら、「僕は、CDを買ってくれる人に今井さんのいままでと違う面を見せてあげたいんだよね。いままでの想像できるものじゃないものにしたい」と言われて。一理あるのでなるほどと丸めこまれそうになったんですが、なんかおかしいなと思って、「でもこの写真、自分で言うのもどうかと思うんですけど、エロくないですか?」と言ってみたら「そんなことないよ」ってちょっと動揺しながらその場を去ろうとしたので、「おい、ちょっとこら待て」と(笑)。どういうこっちゃと思って「本音で言ってください」と言ったら、「これはいままでの今井さんにないセクシーさがある。いろいろな面にチャレンジしているんだから、いままでにない部分を見せたほうがいいんじゃない?」とおっしゃって、納得しつつもたまたま通りかかった別のプロジェクトの方に聞いてみたら「とても素敵だと思いますよ」と言ってくださったので、皆さんがそう言うならこれにしますって選ばせてもらったんです。でも後日、うちの女子マネから連絡がありまして、「ねえねえ、ミンゴス(今井麻美の愛称)、白いほうのジャケットすごいエロいんだけど!」って言われて、やっぱりーと(笑)。皆さんがどう思ったのかいまでもドキドキしているので、早く感想が聞きたいなと思っています。好きだった横顔は大きなリバーシブルポスターのひとつに選ばれたので、よかったなと。

 

――いまとらのあなさんの池袋店で衣装展示をしているんですが、そこでもでかいパネルにして使っています。
 

今井 「でかい」と言う部分を拾ってくださったんですね(笑)。でかくてビックリしました! でも、あのジャケット写真が公開されたときに、自分のラジオ『SSG』でも反響が大きくて、「あのショートカットの方は誰ですか、今井さんのファンから鞍替えしたいんですけど、名前を教えてください」と、冗談のようなメールがきまして(笑)。一瞬芸名を考えようかと思ったくらい。これからは無口なキャラで行くときはあの格好にしようかなと……。でもあの格好、寒くて冬場は無理なんですけどね(笑)。正直、ショートカットは自分でもああなると思っていなくて、PVを撮ってくださった監督さんのこだわりなんです。私の髪は細くて言うことを聞かないのでショートの形が難しいんです。カツラをかぶれば簡単なんですけど、かつらをかぶるとかぶった感じが出ちゃうのでできればかぶらないでほしいと。「キープ力が弱く分量が少ないので、ショートカットが長時間持つかわからないんですけど」とメイクさんが言っている中、監督さんはそれでも「やってください」とおっしゃっていて。最初ショートカットを見たとき不安だったんです。というのも、若かりしころの母にそっくりで(笑)。未来の人を描きたかったのに、ぐるっと回って過去の人になっちゃったと一瞬思ったので皆さんにこれが私って受け入れてもらえるかしらと思ったんですが、監督さんが見た瞬間に、キラキラした目で「僕は好きですね」と褒めてくださって。私は褒められるとすぐに調子に乗ってしまうので、「じゃあ、これでお願いします」と(笑)。いまは監督さんがショートカットを推してくださってよかったと思います。

 

――では、最後にファンの方へメッセージをお願いします。
 

今井 いままで私を見てくださった方は、こういう性格や作品を見てきたせいか、私よりも皆さんのほうが知っているようなことが多々あるんですが、今回は血や肉などを本当に注ぎ込んだと言える作品になったと思います。発売の1ヵ月まえから奇跡のブログ更新をやらせていただいてもらっているんですが、これは『シャングリラ』の発売まえから機会があったらやらせてもらおうと思っていたんです。こういう取材があって、各媒体さんが記事にして皆さんに伝えてくださるのは本当に感謝しているんですけど、みんなに伝えたいんだという気持ちをどう伝えたらいいのかなと思ったときに、ふだんは1ヵ月か2ヵ月カ月に1回しか更新しないブログを毎日更新すれば見てもらえるんじゃないかと思ったんです。いまではどうして2週間って言わなかったんだろうって、なんでこの時期に始めたんだろうと泣きそうになりながら思っていたんですが、そういう機会にこの作品をもっと知ってもらえればうれしいなと思いますね。皆さんには応援してもらいたいし、PVを見ていただきたいと思います。『シャングリラ』を聴いてほしいという気持ちが強すぎて、テレビとDVDを持って、全国の学校をまわりますか(笑)。スケジュールと肉体が許せば本当にやりたいんですけどね。いま『アニソ〜ンぷらす+』さんのオープニングになっていて、お金をかけずとも聞けるようになっています。ほかにもいろいろな場所でPVが見られますので、どこかで見かけて気になってくれたらうれしいです。ぜひ応援してください!


取材・文章:世界三大三代川

※『シャングリラ』の試聴はこちらから

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