携帯電話の方はファミ通MAXをご覧ください。

HOME> アニメ・声優> ユーリとフレンの“ふたりの意思”を描きたかった、公開直前の『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜 The First Strike 〜』の監督に聞く

ユーリとフレンの“ふたりの意思”を描きたかった、公開直前の『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜 The First Strike 〜』の監督に聞く

2009/10/2

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をつぶやく

●作画に関しては、できることはすべて詰め込んだ

 バンダイナムコゲームスの人気RPG『テイルズ オブ』シリーズ初の映画化作品として注目を集める『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜 The First Strike 〜』。2009年10月3日の全国ロードショウを控え、亀井幹太監督にインタビューを敢行。映画版の見どころなどを聞いた。

Tov01

 

亀井幹太監督プロフィール

数多くの作品で、原画や作画監督、ビジュアルエフェクトなどを手がける。『テイルズ オブ』シリーズの複数の作品に参加し、『テイルズ オブ レジェンディア』ではアニメパートの監督を担当する。『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜 The First Strike 〜』は初監督作品。


――今回の映画では、ゲーム版『テイルズ オブ ヴェスペリア』の前日譚が描かれていますが、どのような経緯でこのストーリーに?
亀井
 映画の話をいただいたときは、まだXbox 360版のメインシナリオしかできていない段階で、ゲームとほぼ同時進行でした。で、バンダイナムコゲームスさんを交えて「どの部分を映画化するか?」というところから話し合いを始めました。ゲームはゲームで同時に作っていたので、ゲームのストーリーをそのままアニメ化するという話は最初からなかったんです。いくつかの候補があったのですが、最終的にユーリが騎士団にいた時代を描いて、フレンとの仲をクローズアップさせることで、ふたりを魅力的に描こうということになりました。

tov02

――ほかにはどのような候補があったのですか?
亀井
 後日談やサイドストーリーですね。ゲーム中のちょっとしたエピソードを膨らませたり。とはいえ、後日談にしてもサイドストーリーにしても、キャラの説明に時間を食い過ぎて、ゲームを遊んだことのない一般の方にはわかりづらくなってしまう。もちろん我々としては、『テイルズ オブ』シリーズのファンの方に見てもらいたいというのはあったのですが、一方でゲームを遊んだことのない方にも見てもらいたかったんです。それで、ゲームを遊んだ人が知らない話だけど、なじみのあるキャラの過去がわかるということでおもしろく感じてもらえる話。そしてゲームを遊んだことのない方にとっては、映画を見たことでゲームに少しでも興味を持ってもらえる話を――ということで、前日譚を描くことにしました。
 

tov03

――どのような点を心がけたのですか?
亀井
 ユーリとフレン、このふたりを魅力的に描くというのが第一にあって、それを軸にお話を作っています。そういう意味ではふたりの成長ですかね。ゲームに連なる“ふたりの意思”や、“貫いているもの”を描きたかったんです。

――ゲームだとユーリのキャラはある程度完成されているので、映画では成長していく過程を描きやすかった?
亀井
 そうですね。わりとうまいこといったと思います。これが、「自分の出生すら知らない主人公」とかいう設定だと、今回のお話は作れなかったですね。

――なるほど(笑)。
亀井
 ユーリはゲーム版だと年齢的にも20歳を超えていますし。いままでの『テイルズ オブ』シリーズにはいない感じのキャラだったので、そのへんを踏まえて作っていきました。

tov04

――ユーリとフレンの成長物語という点では、隊長のナイレンが鍵を握りますが……。
亀井
 そうですね。ナイレンに関しては、「子供のくせに!」といったセリフは絶対に使いたくなかったんです。子供扱いをするとか、そういうのが好きではなかったので、そういう言葉は使わずに、ナイレンとユーリ&フレンの関係を描いています。ちなみに、ナイレンを演じているのは谷口節さんなのですが、監督特権を駆使してお願いしてしまいました。絵コンテの段階からナイレンの声は谷口さんをイメージして描いていたんですよ。渋いし、フランクな味も出せるということで、ナイレンは谷口さんしかいなかったです。

――ゲームと映画の作業は同時進行だったとのことですが、評価が定まるまえのゲームのアニメ化とうことで、不安はなかったですか?
亀井
 ありましたよ。「なぜいちばん売れたソフトを映画化しないんだろう?」って思っていました。ただ、バンダイナムコゲームスさんも、『テイルズ オブ ヴェスペリア』には相当な手応えを感じていたんじゃないでしょうか。「いちばんいいもの」という自負があったのだと思います。

――結果として、ゲーム版は非常に評判が高かったわけですが、こうなるとプレッシャーに?
亀井
 キャラの動きがわかってきたので、「映画にジュディスを出さなかったのはまずかったかな?」という後悔はありましたね。ただ、プレッシャーはあまりなかったなあ。ユーリもフレンも魅力的なキャラなので、とても動かしやすかったですよ。

――ゲームが原作のコンテンツを映画化するうえで、苦労した点などはありましたか?
亀井
 キャラクターの個々のファンが多いので、そのバランスを取るのが難しかったですね。あと、ゲーム時のキャラの感情表現とちょっと整合性が取り切れなかったというのはあります。一部は「映画としてみると、こちらのほうがよかろう」ということで、わかっていてやった部分もあるのですが。

――ゲーム版『テイルズ オブ ヴェスペリア』の樋口義人プロデューサーは、試写会のトークイベントで「ゲームにうまくつながるように、ゲームで初めて出会うキャラは、アニメでは出会わないようにしてくれている」と言っていましたが。
亀井
 そうですね。そこはとくに気をつけました。

――そのへんは脚本の吉田玲子さんの力量もあると思うのですが、吉田さんとはどのような感じで?
亀井
 ぼくの指名でお願いしています。理由としては、まず映画化をする段階で脚本は女性にお願いしたいと思っていたんですよ。やはり『テイルズ オブ』シリーズは女性のファンが多いので、女性に見てもらいたいというのはありました。

――女性の中でもとくに吉田さんを選ばれた理由は?
亀井
 とにかくたくさん作品をやられているこということが第一。僕も映画をまるまる1本やるのは初めてなので、そこは安心できる方にお願いしたかったというのはありますね。ふたりしてゲーム版のシナリオを読んで、「ああでもない、こうでもない」と世界観を膨らませていきました。

――監督からのリクエストは?
亀井
 基本、お任せでしたよ。こちらもある程度「こうしたい」というのはありましたが、それをお伝えして、あとは吉田さんの解釈でお願いしました。そのやりとりをしばらく続けて……という感じです。

tov05

――亀井監督は、以前の作品ではアニメーターやビジュアルエフェクトなどを務めていますが、本作で作画上注力されたことは?
亀井
 作業中は、自分の中で“できること”と“できないこと”の線引きはできているつもりでいました。「ここまでならできる」とか、「これをやるには現状のスケジュールだときびしい」とか。そのへんのバランス取りはできたと思っています。そのうえで、“できること”はすべて詰め込んでいますよ。

――3Dとセル画が違和感なく溶け込んでいましたね。
亀井
 その点、今回は3DCGの担当者にかなりの労力を強いました。じつは3Dと手描きのすり合わせがいちばん難しい作業なんですよ。今回は3Dのスタッフも手描き絵になじませることを考えて作ってくれていたので、それなりにうまくいったのですが、調整にいちばん時間がかかったりします。実際のところ、3DCGを使うパートでは、背景のうえに作画の絵を合成するわけですが、それぞれの質感が合わないことが往々にしてあるんですよ。

――そんなときはどうやって調整するのですか?
亀井
 いろいろなテクニックを駆使します。そこがいちばん難しいですね。

――調整は監督さんの手作業で?
亀井
 自分でじかにやることもありますが、撮影監督の山田和弘さんにお願いしています。今回山田さんは指名でお願いした方なので、そのへんはとても信頼しています。結果としてビジュアル面でも納得のいくものができました。本来は、プレイステーション3版の発売まえに公開するプランだったので、スケジュール的には少し遅れてしまいましたが。

――制作期間はどれくらいだったのですか?
亀井
 シナリオなども含めると、約2年半ですね。

――とくにたいへんだったのは?
亀井
 苦しいのは絵コンテを描いている時期ですかね。ひとりで描きながら悶々としています。まあ、絵コンテは設計図みたいなものなので、そこで失敗したら引き返すことができないですから。『テイルズ オブ ヴェスペリア』の絵コンテは半年くらいかかっています。たぶん、かけ過ぎなんですけどね。

――それだけこだわったということですよね。いちばん苦労したシーンは?
亀井
 ラストの盛り上がりですかねえ。絵コンテは順番どおりに描いているわけではないんですよ。まずはお客さんを惹き込まなくてはいけなくて冒頭のシーンを描いて、おつぎは作画の作業がたいへんだと思われるクライマックスシーンを作る。そのあとで、間を入れていく感じですかね。

――となると、やはりクライマックスには注目してほしい?
亀井
 絵的にはそうなのですが、個人的に見てほしいのは、いろいろな人との会話シーンだったりします。ナイレンとユーリの会話であったり、ナイレンとフレンの会話だったり……。会話の“間”みたいなものに注目してほしいですね。そういうところが映像作品ならではだと、自分では思っています。

――最後に読者に向けてのメッセージを。
亀井
 私はずっとムービーの仕事をやらせてもらっているのですが、『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜  The First Strike 〜』は僕の集大成みたいな位置づけになります。いままで蓄積してきたものを、吐き出すことができたという感じでしょうか。映画を見た人が感じ取れる範囲で、いろんなものを感じ取っていただければいいなと思っています。

ve_B1-019_t1_F080_0080
ve_B2-034_t1_F188_0051
ve_C2-031_t1_F128_0009


※『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜 The First Strike 〜』の公式サイトはこちら 

この記事の個別URL

ソーシャルブックマーク

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をつぶやく

その他のニュース

現実の部屋の中に絵本のような世界が花開く! 複合現実(MR)ヘッドセット“Magic Leap”対応ゲーム『Luna』体験リポート

海外で開発機が販売されている複合現実(MR)ヘッドセット“Magic Leap”向けのゲーム『Luna: Moondust Garden』を体験。

宮野真守さんがアニメイト店長に!『ドラゴンクエストX』が題材のドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』のポスタービジュアルが解禁、追加キャスト情報も公開

2019年1月より放送開始予定の、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム『ドラゴンクエストX』を題材にしたテレビドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』。この度、本作のポスタービジュアルと追加キャスト情報が公開された。

宮崎県小林市“シムシティ課”の集大成“シムシティ課タウンミーティング 〜市長に発表しよう〜”が開催 発表されたアイディアはクラウドファンディングで実現予定

宮崎県小林市とエレクトロニック・アーツは、今までにない地方創生プロジェクトとして発表した“シムシティ課”のワークショップの集大成として、2018年12月14日に“シムシティ課タウンミーティング 〜市長に発表しよう〜”を開催した。

『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』DLC第2弾“THE PILLAR”が配信! マヤ終末の真実を見つけ出せ

スクウェア・エニックスから発売中のプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の第2弾DLCとなる“THE PILLAR”が配信された。価格は700円[税抜]。

『ディシディアFF』ヤ・シュトラがリフレッシュで性能激変! “DFFAC&NT合同公式生放送&DFF(PSP)10周年記念生放送”速報

2018年12月18日の18時より、YouTubeとニコニコ動画で配信された “【2018.12.18】DFFAC&NT合同公式生放送&DFF(PSP)10周年記念生放送”。本記事では番組で公開された情報をまとめている。

ミライアカリや電脳少女シロなど総勢30名超のVTuberが出演するTVアニメ『バーチャルさんはみている』。2019年1月9日より放送開始

ドワンゴは、ミライアカリや電脳少女シロなど総勢30名超のVTuberが出演するTVアニメ『バーチャルさんはみている』を2019年1月9日より放送開始する。

『GE3』インタビュー特集! オープニングテーマを歌うBiSHや開発陣による制作秘話をお届け。PS4テーマのDLC付録も!【先出し週刊ファミ通】

週刊ファミ通2019年1月3日号(2018年12月20日発売)では、『GOD EATER 3(ゴッドイーター3)』のインタビュー特集を8ページにわたってお届け

“歴史ドラマの主人公として扱ってほしいと思う戦国武将”ランキングが公開。九州の武将たちが上位に!『信長の野望・大志 with パワーアップキット』公式サイトアンケート

コーエーテクモゲームスは、2019年2月14日発売予定のプレイステーション4、Nintendo Switch、PC用ソフト『信長の野望・大志 with パワーアップキット』で、公式サイトで募集していた“歴史ドラマの主人公として扱ってほしいと思う戦国武将”のランキングを発表した。

愛娘のために作ったレトロ風2Dアクション『バトルプリンセス マデリーン』プレイレビュー、この歯応えがたまらない!?

3goo(サングー)が2018年12月20日に発売したプレイステーション4及びNintendo Switch用アクションゲーム『バトルプリンセス マデリーン』。そのプレイレビューをお届けする。

『スーパーロボット大戦T』のプロデューサー、寺田氏と最上氏が語る『スパロボT』開発秘話【先出し週刊ファミ通】

2018年12月20日発売の週刊ファミ通2019年1月3日号では、発売日と価格が発表された『スーパーロボット大戦T』の開発秘話が明かされるスペシャルインタビューをお届け!