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清水香里:大好きな演技のために毎日が勉強
エンジェル・ボイス アゲイン

2009/2/10

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エンジェル・ボイス アゲイン


ファミ通Xbox 360(毎月30日発売)の人気連載“エンジェル・ボイス アゲイン”とファミ通.comがコラボレート。誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全収録。声優さんの“声のお仕事”に対するこだわりぶりを明らかに! 本日のゲストは、清水香里さんです(不定期連載第20回)。
 

 

【本日のゲスト・清水香里さん】

『serial experiments lain』のヒロイン、岩倉玲音役でデビュー。代表作に『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』の宮下藤花/ブギーポップ役など。いま演じてみたい役柄は消防士とか。



■オーディションに行っては落ち込み、収録現場でも落ち込みの日々


simizutop03.jpg――もともと子役さんからキャリアをスタートされたんですよね?
清水
 そうです。親と「何か記念にポスター1枚くらいにでも出られればいいねー」なんて話していたのですが(笑)、6歳のころから子役を始めたんです。うちの母親は、いわゆるステージママとは正反対のタイプで、私の芸能活動に関しては、基本的にまったくの放置状態でした。たとえばオーディションとかでも、隣のお母さんが「こういうふうに答えるよ!」と噛んで含めるようにアドバイスしていたのに対して、うちの母親は終始無言(笑)。「自分で好きなようにやりなさい」というスタンスでしたね。

――放任主義ですね(笑)。
清水
 ただ、、子役のころから「おまえは特別なことをしているわけではなくて、芸能活動は友達がピアノやバレーを習っているのといっしょ。だから勘違いをするな!」ってよく言われました。天狗になったら芸能界を辞めさせるって。

――基本的な部分では厳格だったんですね。
清水
 あと、たとえ前日の仕事が朝5時までかかっても、つぎの日の学校には絶対に行くというのが約束でした。だから、子役のときは、つねに「ちゃんとしなくっちゃ」って思っていましたね。でも、撮影現場は本当に楽しかったですよ! 独特の雰囲気が楽しくて、台本を読むだけでもワクワクしていました。現場では、大人の人たちもよく遊んでくれましたし(笑)。

――それが、声優さんのお仕事を始めるきっかけは?
清水
 中学3年生のときに、アニメ『serial experiments lain』(1998年)のヒロイン、岩倉玲音役のオーディションのお話をいただいて、それが初めての声優のお仕事になります。そのときちょうど玲音と同じ中学3年生だったんです。

――声優の勉強もなく、いきなりのアフレコだったんですね?
清水
 そうなんです! それで、テンぱり過ぎちゃって、第1話のアフレコの記憶がないんです(笑)。なにしろ台本の見かたやタイムコードの意味もまるでわからなくて、第1話は台本をまる暗記して、絵も何回も見て覚えて「お、自分のしゃべる番が来た!」っていう感じでした。現場の方が皆さんやさしくて、丁寧に教えてくださったので本当に助かりました。でも、収録が終わったあとは、本当に凹みました。オンエアされた番組を見ても、自分の声だけが浮いて聞こえてしまう。周りの人がお芝居しているのに、「(私は)これはダメだ!」と思いました。幸い、それ以降もちょくちょくオーディションの話は舞い込んだのですが、オーディションに行っては落ち込み、収録現場でも落ち込み、放送を見てさらに落ち込み……という毎日でした。

――どんなところで落ち込んだのですか?
清水
 やっぱり自分の力のなさです。たとえば、オーディションで自分が落ちた役を、実際にほかの人が放送で演じているのを見たときに、「ああ、こういうお芝居は自分の中にはなかったな」と思うと、落ち込みますね。いざ自分が出演しているアニメの放送を見ても、「自分はなんでこんなに下手なんだろう」って反省してみたり。自分ができない分、周りの人に迷惑をかけちゃいけないということで、とにかく必死でした。映像をやっているときは子供だったので、正直何も考えていなかったのですが、ちょうど声優を始めたときに、事務所も変わって現場にも自分ひとりで行くようになったんですが、「これは本当に、自分で自分を律していかないとたいへんだな」って思いました。

――声での演技は試行錯誤の連続だったみたいですね。
清水
 最初のころは、実写の演技と声の演技とでは、表現方法がそんなに変わらないのでは、って思っていたのですが、実際は相当違いました。たとえば、収録で「走って」と言われたときも、カメラのまえでなら実際に走っていればよかったのですが、声だけの演技だと、当然そうはいかない。「マイクの前で走るって?」という感じでした。それで、実際に足踏みをしながら演技をしたら、「洋服の音がカサカサするからなるべく動かないで」って言われてしまいました。実際のところ、走る演技をするときは、ナチュラルに息つぎをするだけだと走っているふうには聞こえないので、「はっ、はっ、はっ、はっ」と意識的に息を吐き出したりするのですが、そういうやりかたは周りの役者さんから学んだり、ほかのアニメ番組を見て勉強したりしました。あとは、人間観察とか。

――日々勉強ですね。
清水
 昔演技の勉強をしていたときに、「事件や事故を見たらチャンスだと思え」って教えていただいたことがあるんです。もちろん、事件や事故を喜んではいけないわけですが、人のリアルな反応を観察するまたとない機会だというんですね。「そのリアクションを覚えておいて、必要になったときのために引き出しにしまっておきなさい」って。レッスンをしているときは、正直その先生のおっしゃっていることはまるでわからなかったのですが、声優さんのお仕事を始めてみてやっと納得がいきました。自分とはまるで違う役が来たときに対応できないとダメだから、人間のいろんな行動を観察しておく必要がある……。そう考えると、いろいろな人を見るのが楽しくなってしまいました(笑)。

■妄想癖が演技を手助けする!?


simizutop02.jpg――印象的な役柄は何になります?
清水
 デビューして数年経ってから演じたアニメ『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー』(2003年)のネルロイドガール役ですね。それまでは実年齢に合った高校生くらいの役柄が多かったのですが、ネルロイドガールは初めて演じたセクシーで男まさりな役だったんですね。自分が到底なれないであろうキャラを演じたのはそのときが初めてだったので(笑)、収録のときは毎週が試練の連続でした。なにしろ、当時は高校生だったので、当然お酒を飲んで酔っ払ったこともなければ、煙草を吸うこともなかった。ネルロイドガールが夢の中で主人公にセクシーな感じで迫るシーンがあったのですが、「せ、迫るってどうすれば……!?」という感じでした。先輩たちから教えてもらって必死でこなしたんですけどね(笑)。

――お芝居の楽しさってどんなところに感じているのですか?
清水
 自分と真逆の役になれたり、自分ができないことを経験できたりするところですね。嘘ができる。じつは私、妄想癖があるんですよ。電車に乗っていて、「目の前の人にいきなり告白されたらどうしよう?」とか(笑)。旅行パンフレットを見て、実際に旅行に行ったつもりになったりとか(笑)。演技だと、そんな妄想が堂々とできる! 宝くじで3億円当たったら、とりあえず家を買うでしょう。同じく3億円当たった人と結婚したら6億になるわ〜とか(笑)。

――膨らみますね、妄想が。物語が作れそう(笑)。
清水
 それがダメなんです。妄想ではクライマックスしか作れないんです。2時間ドラマで言うと、つねに崖のシーンだけ(笑)。だから、マンガなんかはとてもありがたいです。私、子供のころからマンガが好きだったので、その主人公にすごく感情移入したりして。で、想像が膨らむばかり。素敵な男の人が花を持って告白してくれたりとか、三角関係の修羅場に巻き込まれたりとか……(笑)。

――それが昂じて「このマンガの役を演じてみたい」なんてことも?
清水
 あります! 好きなマンガは「出たい!!」って思っていますね。それが叶ったのが『僕等がいた』(2006年)です。アニメ化されることを雑誌で知って、「やりたい!やりたい!」って祈っていたら、実際にオーディションに呼ばれたんですよ。「どんな役でもいいから演じたい……」って思っていたら、主人公の友人である水ちん役を担当することになって、うれしかったですね。収録時は原作者の小畑友紀さんにもお会いできて、「うわー!」って感じでした。

――じつは、原作者に会えるのがいちばんうれしかったり?
清水
 (笑)。コミックにつくドラマCDで『そんなんじゃねえよ』では、真宮静役を担当することになったのですが、そこでも原作の和泉かねよし先生がいらっしゃって、ご挨拶させていただけたんですね。中学校のころからのファンだったので、最高に幸せでした(笑)。でも、『そんなんじゃねえよ』は連載当初から愛読していたので、「私でいいのか!?」と。思い入れが強過ぎて、逆にどうしよう!?……という状態になってしまいました(笑)。これからも妄想を膨らませつつ、いろいろな役柄に挑戦していけたら……って思っています。 


※清水香里さんのオフィシャルサイトはこちら

Photograh:Daisuke Komori  

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