HOME> アニメ・声優> 遠藤綾:声優というお仕事はその役になりきるということ
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360(毎月30日発売)の人気コーナー “エンジェル・ボイス アゲイン”がファミ通.comとコラボレート。誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全収録。声優さんの“声のお仕事”に対するこだわりぶりを聞きます。本日のゲストは、遠藤綾さん(不定期連載第16回)。
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【本日のゲスト・遠藤綾さん】 |
ただいまアニメ『ネオアンジェリーク Abyss』のアンジェリーク役や『ブラスレイター』のメイフォン・リウ役、『マクロスF(フロンティア)』のシェリル・ノーム役を担当するなど、超売れっ子声優さんのひとり。 |
●軽い気持ちからスタートした声優への道 |
――まずは、声優を目指すきっかけから教えてください。
遠藤 じつはこれという明確なきっかけはなかったりします(笑)。子どものころから人並にアニメは好きだったのですが、「声優になったらほかの人より早くアニメが見られるのでは!?」とか、そんな軽い気持ちからスタートしました。そのころはちょうど声優さんがテレビに出始めたころで、実際の声優さんと役柄とのギャップにびっくりして興味を持ったのかもしれないですね。
――それで、そのまま声優の道に?
遠藤 なんとなく「声優になりたいなあ」という気持ちが高校を卒業しても変わらなくて、友だちに声優になりたいという人もいなかったんですね。天の邪鬼なところがあって、まわりに声優になりたいという人もいないし、目指してみようかと……。
――まわりに声優を目指す友だちがいたら、いまの遠藤さんはなかった?
遠藤 きっと目指さなかっただろうと思います(笑)。それで、高校を卒業するときに養成所のことを調べてみたのですが、当時は声優に対する知識もあまりなくて、「養成所ってこんなにあるんだ!」ってびっくりしました(笑)。
――通う養成所を決めるのも一苦労?
遠藤 養成所を選んだ決め手は、親が野沢那智さんのことを知っていたので(笑)。野沢さんが主宰する養成所なら安心だと思ったみたいです。
――(笑)。養成所での日々はどうだったのですか?
遠藤 声優の仕事をしたければ全身を使って演技ができなければいけないという方針だったので、最初の2年間は基礎体力をつける授業がほとんどでした。養成所で得たものは……筋力と忍耐力かな(笑)。
――忍耐力ですか(笑)。
遠藤 真夏の熱い授業では、ゆでだこのようになりながら腕立て伏せや背筋を鍛えたりしていました。当時は、声優って体育会系なんだなって思っていたのですが、のちに声優仲間にこの話をすると「そんなことあまりしないよ」って言われました(笑)。でも、養成所で得たものは大きいです。
●声優という仕事は人間に関わってくること |
――印象的な役柄は何になりますか?
遠藤 それこそいっぱいありますが、ぱっと思いつくところだとアニメ『メイプルストーリー』(2007年)のニーナかな。演じていてすごく楽しかったです。ニーナは性悪な女の子なのですが、それまでそういった役を演じたことがあまりなかったので、いじわるなことをしたりするのがすごく気持ちよかったです(笑)。あと、現場もとても和気あいあいとしていましたね。キャストは大御所の方ばかりだったのですが、伸び伸びと演じることができました。放送が終わったときは「ずっと続いてほしい」って思っていました。
――いまだと、『マクロスF(フロンティア)』のシェリル・ノーム役が印象的ですが……。
遠藤 オーディションで最初に顔を見たときは、「これはないな」と思いました(笑)。でも、オーディションではいろんな感情パターンのセリフがあって、本当に感情を込めてできたオーディションでした。オーディションが終わったとは、1話分を終えたような充実ぶりで、気持ちよく演じられました。
――役柄にフィットしたんですね?
遠藤 ああいう高飛車な役を演じたことがなかったので、難しかったです。実際のところ。シェリルのかわいさは残しつつ、上から物を言うときは気持ちよく言いたいなあと思っていました(笑)。『マクロスF(フロンティア)』は絵もきれいだし、セリフの掛け合いも素敵なので、楽しみながら演じている感じです。
――遠藤さんにとって“演じる”ということは、ずばり何ですか?
遠藤 じつはアフレコ中は“演技している”という意識はあまりなくて、“その役になりきる”という感じですね。私にとっての理想は、自分を忘れてそのキャラクターになりきったときです。まだまだそんな境地に達することはないのですが……。最近は、アフレコというのは奥が深いものだということを実感します。たとえ同じセリフでも、受け取る人によっては「救われた」と思うこともあれば、傷つけられることもある。声優って、“人間”に関わってくることなんですね。
――なるほど。では、今後どんな役柄を演じてみたいですか?
遠藤 場の空気を壊すくらいうるさい人(笑)。いままでおとなしくて正統派の女の子が多かったので、周囲を混乱に陥れるような、トラブルメーカーを演じてみたいですね。
――声優さんとして心掛けていることなんてあります?
遠藤 そうですね……。「喫茶店とかに入ったら、お店の全部の席の会話に耳を傾けてごらん」って言われたことがあるんですが、それは実行しています。注意していると本当に聞こえてくるんですよ。もちろん、聞こえてくるのは半径何メートルかの範囲になってしまうのですが、たとえ友だちと話をしていても、注意しているといろんな人たちの会話が聞こえてくる。もちろん人間観察という点で大いに得るものはあるわけですが、複数のことを同時にこなすという作業が、声優の仕事と共通点がありますね。声優って、画面を見てセリフを読んで演技をしているわけですから。
――まるで、17人の話を一度に聞きわけたという聖徳太子みたい(笑)。
遠藤 耳はよくなりますよ(笑)。とにかくいまは、いろいろな役柄を演じさせてもらえるように勉強して、引き出しを増やしていけたら……って思っています。
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▲遠藤綾さんが『マクロスF(フロンティア)』で演じるのは、“銀河の歌姫”シェリル・ノーム。アルトやランカを巡る恋愛模様は? アニメはただいま毎日放送(MBS)などで毎週金曜日深夜に放映中だ。2008年7月25日には、バンダイビジュアルよりDVD版とブルーレイ・ディスク版の『マクロスF 第1巻』が発売。 |
photograh:Daisuke Komori
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