ドキュメント

『カルドセプト セカンド エキスパンション』全国大会への道
text by あらじ谷塚(週刊ファミ通 編集者)

第1回 マルセスブルク

あらじ谷塚
 マルセスブルクと聞いて思い浮かぶのは、やはりランキング戦である。ランキング戦とは、ドリームキャスト版『カルドセプト セカンド』のネット対戦で行われていた、試合の順位をポイントに換算してランキングを決めるというイベント。全国のセプターたちがエンダネス島と呼ばれるサーバーに集い、熱い戦いをくり広げていた。俺も仕事を終えたあとは毎晩のようにエンダネス島に飛び、対戦。力およばず上位に名を連ねることはできなかったが、対人戦だけが持つしびれるような緊張感を楽しんでいた。

 ランキング戦はいまなお行われており、第14期に突入している。マルセスブルクは記念すべき第1期の戦いの舞台となったマップなのである。

 マルセスブルクというマップには、大きな特徴がふたつある。ここでは伏せておくが、ランキング戦の期間の中盤ともなると、その特徴を最大限に活用できるブックを使うセプターが大半を締めるという状況になった。いざ戦ってみると、なるほど、強い。とにかくスピードで圧倒される。生半可なブックでは手も足も出ない。

 もちろん、そのブックに圧勝できるブックは簡単に作れる。対戦相手が使うブックの傾向、戦略がわかっていれば、それをつぶすのは簡単なこと。ジャンケンでいえば、「グーだからパー」レベルの話だ。しかし、ランキング戦に限らず『カルドセプト』で、ある特定のブックに対抗すべく組んだブックを使うのはバクチ的な行為。気分よく眠れるような圧勝を飾れるケースがある代わりに、第三者の独走を許してしまう危険性
も増える。

 けっきょく、長丁場のランキング戦では安定して戦える、"そのブック"が有効であったように思う。

 さて、ここでようやくファミ通カップの話。『セカンド』のランキング戦の環境下においては、マルセスブルクには"ほぼ最強"のブックが存在したといえるわけだが、はたしてファミ通カップ、ひいては『エキスパンション』でも通用するのか。一発勝負の4人戦と状況は大きく変わるものの非常に興味深いところである。必須といわれたカードが弱体化され、新たに「これ、やばくない!?」と思えるようなカードが追加された『エキスパンション』。とりあえず、自分なりの結論を出してから、観戦に臨もうと思う。

 というか、俺も出てえなあ……。


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