まずは『FIFA』の基本的な特徴をご紹介しよう。キーワードとなるのは“リアル”。リアルな動きやリアルなグラフィックは当たり前。FIFA(国際サッカー連盟)公認のサッカーゲームにふさわしい膨大なデータや画期的な機能を搭載し、世界のサッカーそのものが詰め込まれていると言っても過言ではないだろう。
『FIFA』シリーズはデータが命! 本作でも、世界のリーグから500チーム以上、1万5000人以上もの選手データを収録している。リーグによっては、2部や3部のチームを使って遊ぶこともできるぞ。今夏のサッカー市場を騒がせた、スペイン代表のセスク・ファブレガス選手のアーセナルからバルセロナへの移籍などもしっかりとフォロー。もちろん、今冬の移籍市場の結果も、アップデートで後日対応予定だ。さらに、実在する選手の最新のコンディションをダウンロードしてゲームに反映できる“ライブ・シーズン”なども用意されている。
『FIFA』シリーズは、画期的な11人対11人のオンライン対戦をサポート。これはつまり、ピッチ上にいる選手全員がプレイヤーということ。AIの影響を受けない、本当のバーチャルなサッカーをオンラインで楽しめるのだ。さらに、オンラインのクラブを仲間と結成し、ほかのクラブと戦うこともできるぞ。なお、オンライン対戦のランクマッチでは、“対戦シーズン”モードという新たなシステムを採用。プレイヤーが戦績に応じてディビジョン(ランク)別に分かれて戦うので、自分のレベルに合った相手と戦えるようになっている。
本作のカバーアートを飾るのは、CSKAモスクワの本田圭佑選手と、ヴォルフスブルグの長谷部誠選手。海外リーグで活躍中の2選手とプロモーション契約を締結している。日本を代表するふたりとともに、世界のサッカーを戦おう。
 本作では、ゲームエンジンの改良と数々の新機能により、プレイ面でも劇的に進化。一瞬も気を抜けない、リアルな攻防を再現することに成功している。ボールをどこでどう奪い、いかにして攻め、ゴールを奪うか? プレイヤーは、かつてなく深いレベルで、どんなサッカーを目指すかを問われることとなる。
新たなエンジン“Player Impact Engine”によって、ポジショニングの取り合いや引っ張り合い、タックルの反応といった、球際の攻防がさらにリアルになっている。接触プレイを細かく計算するようになっているので、ボールと体、そしてディフェンスの位置関係を考えて戦わなければ、ディフェンスのボディコンタクトに悩まされることになるだろう。そのために有効なのが、新ムーブの“プレシジョン・ドリブル”だ。細かいタッチのドリブルが可能となるので、周囲の選手が上がるまでのタメを作ったり、緩急をつけてディフェンスの隙を作り出すことができるのだ。
AIが操作する選手の状況判断に個性が加わったのも大きなポイントだ。たとえば視野が広い選手は、仲間の動き出しをすぐに察知し、普通の選手ならば気付いてパスを出したときにはオフサイドになってしまうような、ギリギリの勝負パスを出せる。同一視されがちだが、“ただパスを蹴るのがうまい選手”と“視野が広い選手”の違いが出てくるのだ。それだけではなく、チームメイトの長所や短所を理解してプレイするようになり、ペナルティエリアにいるのが空中戦に強い選手ならクロスを放り込み、足元でのプレイを得意とする選手なら無理をせずビルドアップし直すといったように、選手が互いの特性に応じて動くようになっている。これによって、まるで生き物のように動き続ける、真のチームになったと言えるだろう。
好きなチームをゲームでもサポートするという機能が“EA SPORTS Football Club”。プレイヤーの行動によって経験値が入り、クラブごとに集計され、平均などが算出される。ライバルチームと自分の愛するチーム、ファンの力としてはどっちが上だろうか? また、現実の試合結果に応じたチャレンジマッチなども配信される。愛するチームのためにゲームでも戦おう。
近作でDLC(ダウンロードコンテンツ)として提供されてきた"FIFA ULTIMATE TEAM"を、今回はゲームにそのまま収録! アイテムを集めて自分だけのドリームイレブンを結成し、究極のチームを作り上げよう。日本人選手をトレードで集めるといった遊びもできるぞ。

 マイド! ファミ通.comの『FIFA』野郎、ミル☆吉村です。今回の『FIFA』は本当にスゴい。単刀直入に言っちゃうと、「これはサッカーゲームじゃない、ゲーム機で行われるもうひとつのサッカーだ!」って感じ。新機能なんかも、ゲームの言葉よりも、サッカーをベースに考えたほうがよくわかる。

 まずPlayer Impact Engineは、ボディコンタクトをより細かく再現するようになったということですよね。これによって変わったのは、単に接触時のプレイだけに留まらない。その一歩手前、これから接触するってときにいかにプレイするかも変わってくるのだ。オフェンスなら、どう当たられないようにドリブルで抜くか、あるいはパスを選択するか。ディフェンスなら、どのタイミングで当たりに行くか、あるいはハードに当たるよりも、仲間と挟み込んで奪うか。このオフェンスとディフェンスの駆け引きが、本作のサッカーをより奥深いものにしている。

 エグゼクティブ・プロデューサーの牧田和也氏いわく、これまでのサッカーゲームは“オフェンスで遊ぶゲーム”で、本作ではそれにプラスして“ディフェンスでも遊べるゲーム”を目指したという。確かにこれまでのサッカーゲームは、オフェンスが充実している割に、ディフェンスの選択肢はそんなになかった。オフェンスが何種類ものパス、さまざまなドリブルテクがあるのに、ディフェンスは「抜かれないようにプレスかけときゃいいや」なんて具合にプレイしていなかっただろうか? でも、もう雰囲気ディフェンスじゃダメなのだ。

 だから今回は、ボールを持ったプレイヤーをチェックしにいく“囲い込み”と、タックル、スライディングの違いがちゃんと出ている。囲い込みはボールを持ったプレイヤーへプレスをかけるが、以前のようにタックルを兼ねていたりしない。そして、タックルやスライディングは、失敗すれば結構な隙ができる。でもさ、ボールを取りに行って失敗したら、そりゃあ抜かれるのが道理。となれば今度は、ボールを奪うためにどうディフェンスしていくかを考えなければいけないのだ。複数のプレイヤーで囲い込んで奪取するために、まずはサイドに追い込んで行こうとか、このボールはこぼれそうだからスライディングで奪ってカウンターに行こうとか、これは本当にサッカーで起こっていることですよね。

 こういった流れに対応するのがプレシジョン・ドリブルだ。ボールを奪う瞬間を虎視眈々と狙うディフェンスに対して、細かいタッチのドリブルで切り返しながら、つぎのプレイを模索する。サイドが上がるのを待ったり、ワンツーパスから一気に仕掛けるタイミングをはかったり。ディフェンスの身になってみると、コレがまたいやらしい。もしかしたら次のプレイでドリブル勝負に失敗したり、無理なパスを出したり、もっとこっちが奪いやすい、リスクの少ないプレイをしてくれるかもしれないのに、ここでリスクをかけて飛び込んでいくべきなのか? 目の前にボールがあるのに、そう簡単に奪いにいけないわけですよ。

 そしてこれは印象だけど、ちゃんとした体勢でならミドルシュートが入りやすくなっているのもポイントだ。ミドルシュートが入りやすいということは、ディフェンスはそれをチェックするためにディフェンスラインを上げなければいけない。となると今度は、ラインが上がった分、裏へのパスが通りやすくなるということで……。ハイ、キリがないですね。

 牧田氏やほかのメディア関係者と話をしていると、こういった感じに、本当にサッカーの話になってくる。「トップに当ててからミドルシュートが結構いけそう」とか「プレシジョン・ドリブルでサイドが上がる時間を稼ぐといいよ」とか。もしあなたがサッカー好きなら、一度本作を真剣にプレイして、自分のサッカー観をピッチに実現してみてほしい。あるいはもし、サッカー好きすぎてこれまでの“サッカーゲーム”に物足りなさを感じていたのだったら、本作にトライしてみる価値はある。