FPSゲーマーで『クライシス』の名を知らぬ者はまずいないだろう。それほど、初代『クライシス』は衝撃的な作品であった。世界最高峰のグラフィック、ナノスーツによる戦略的なゲームシステム。当時最新鋭のゲームエンジン“CryENGINE”が描く世界に、筆者は文字通りの“新時代”を感じたのであった。……申し訳ない、冒頭からいきなり嘘をついてしまった。筆者はFPSゲーマーではあるものの、家庭用ゲーム機が専門。当然、当時の最高級PCでしか動かなかった(と言われている)初代『クライシス』は未プレイだ。とは言え、上で書いた内容は真っ赤な嘘というわけではない。世界中のメディア、ユーザーから上がった絶賛の声、それが元になっているのだから。
あれから数年、ついに『クライシス』シリーズを家庭用ゲーム機で遊べる日が来た。これだけでも、筆者のような家庭用ゲーム機しか持っていないFPSファンは歓喜ものだろう。
さて、実際に『クライシス2』をプレイしてみての感想だが、ひと言で表現すれば「CRYTEKありがとう! ナノスーツまじパネエ!」といったところ。CRYTEKが手掛けるゲームエンジンCryENGINEは最新バージョンとなる“3”で、ついに家庭用ゲーム機にも対応。おかげで(くり返しになるが)『クライシス』シリーズを家庭用ゲーム機で遊べる日が来たのだ! そして、夢にまで見たナノスーツ。こいつの何がイイって、とっても羽振りがイイ。敵の攻撃が激しすぎる? ――アーマーで硬くなっちゃえばイイじゃない。敵から逃げ切れない? ――超人的ダッシュ、超人的ジャンプしちゃえばイイじゃない。敵に囲まれて絶体絶命? ――ステルスしちゃえばイイじゃない!! といった具合で、ナノスーツを装着した主人公は特殊能力の総合商社である。果たして、ここまで最強な主人公の活躍するFPSがいままでにあっただろうか! とにかく、筆者はその超人ぶりに圧倒されるとともに、魅了されてしまった。しかし、超人とは言え無敵ではない。あまりに無謀な戦いかたをすればすぐにやられてしまう。また、各特殊能力の使用はエネルギーゲージと引き換えなので、つねに最強と言うわけでもない。超人プレイのご利用は計画的に、だ。
グラフィックのクオリティーについては説明の必要がないだろう。本ページの冒頭にある映像を観てもらえばわかるように、家庭用ゲーム機では間違いなく最高クラス。加えて本作のストーリーは、そんな美麗映像を堪能するのに最適な仕上がりになっている。エイリアンの襲来によって崩壊するニューヨーク……徹底的に作りこまれた破壊の痕やザラザラした空気感には、すなおに「スゴイ!」と感心させられてしまう。ちなみに、ストーリーの内容も、個人的には“男子心”を激しく刺激するもので非常に満足であった。とくに、ゲーム開始から数十分間は一瞬も目の離せないシーンが連続。禁断の衝撃映像100連発! といった感じで、ニューヨークを象徴する“フリーダムなイイ女”があんなことにもなってしまうのだから。
とにかく、『クライシス2』はFPS好きなら遊んでおいて損はない。また、ふだんFPSを遊ばない人でも、最先端のグラフィック表現に興味があるのならばぜひ手に取ってほしい作品だ。