主人公ウォーは、剣によるド派手な連撃を始めとした多彩な攻撃方法で、並みいる敵を撃破していく。その迫力は豪快のひと言! 小気味いいコンボに加え、弱った敵にはボタンひとつでトドメのアクションがくり出せるなど、バツグンの操作性も相まって、アドレナリン放出量はハンパなし!
アクションだけでは大味になってしまいそうなプレイ感覚を引き締めているのは、フィールド上に配された謎の数々。先に進むには、広大に作り込まれたフィールドを行き来しつつ、ヒントを集めて謎を解いていく必要があるのだ。手に入れたアイテムや能力を使う仕掛けもあり、ギミックの種類は多岐にわたる。
本作のアートデザインは、MARVELコミックの名作『X-MEN』のアーティスト(作画担当)として名を馳せた、ジョー・マデュレイラ氏が担当。無骨なウォーのデザインを始め、天使や魔物などのクールで印象深い造型のすべてを手掛けているのだ。ゴシックなモチーフに現代的な要素が融合したビジュアルは、本作の大きな魅力となっているぞ。

時の起源より、天界と魔界の軍勢は終わりなき戦いをくり広げてきた。
そこに、この世の秩序と調和を保つため、古の掟で結ばれた“焦炎評議会”が現れる。
どちらか一方が、全宇宙の基盤を揺るがすほどの力を持たぬように。

やがて、天界と魔界は評議会に畏敬の念を抱き始めた。
迅速、かつ苛烈な評議会の裁き。
そして、それを執行する恐怖の“四騎士”から逃れられる者はいない。

その争いの最中、人類が誕生する。
評議会はこの弱くも狡猾な生物が、やがては調和に不可欠な存在になると予言。
こうして、人類の王国たる“第三の王国”が創られた。

この王国が誕生したことを契機に、評議会の命によって天国と地獄は休戦協定を結ぶ。
そして、協定には七つの封印が施された。
人類が終末戦争への力を蓄えたときに封印は解かれ、その戦いは調和をもたらし、三つの勢力の運命を決定づけるはずだった……。

――そして時は現代。
突如隕石が世界中に落下しているとの報道。
街頭オーロラビジョンでそのニュースを見ていた人々の目の前にいきなり襲いかかる隕石。
逃げまどう人々。しかし落ちてきたのは隕石ではなく……魔界からの魔物、そして天界からの天使であった。
突如勃発した天界と魔界の戦争。
その争いの場は人間界へも波及し、地上は人間界の最後である“終末戦争”の地獄へと姿を変えてゆく。

争いの中、四騎士のひとり、“ウォー”が人間界に降臨する。
天使軍の首謀、アバドンは、その姿を見て驚きの顔を隠せずにいた。
「封印は解かれていないはずだ、四騎士が召喚されるはずはない」と。

そして、召喚されたはずの“ウォー”もまた戸惑う。
自分以外の四騎士の姿は見えず、争いを鎮圧する力も何者かにより封印されているようだ。

なぜ? そして、誰がウォーを、何のために召喚したのか? ほかの四騎士はどこに……?

戸惑いの中、争いを鎮圧できずにいたウォーは、焦炎評議会の前に連れ出され、終末戦争勃発の責務を問われる。
しかし、そのいわれなき判決に異議を申し立て、自身の無実を証明するため、
そしてみずからを陥れた真の黒幕を捜すために、地上へ戻すよう評議会へ嘆願。
評議会は、監視役のウォッチャーを同行することを条件に許諾し、ウォーを終末戦争から100年後の地上世界へと戻す。

しかし、ウォーが降り立った終末戦争後の世界ではすでに人類は滅亡しており、地上はその反映の記憶と面影を瓦礫の中へ留めていた。
天界と魔界による争いがなおも続く地上で、そのどちらにも嫌悪され、疎まれながら、孤独の騎士ウォーの、真実と復讐を求める旅が始まる。

争いの最中、地上に誕生した人類の世界。弱き存在だが、調和の訪れのためのカギと予言される。
秩序による地上の支配を求める軍勢。はるか昔より、魔界の軍勢との争いをくり返している。アバドンを筆頭に、ヒエラルキーが存在するようだ。
欲望や本能に忠実で、かつ破壊的な力を持つ魔の軍勢。天界軍との争いは古より続いているが、決着はついていない。
天界と魔界の均衡を保つために存在する中立的存在。その調和が崩れたときに四騎士が降臨し、逸脱したものに制裁を加える。ウォーはここに属する。
ヨハネ黙示録に記された、四騎士のひとり。世界の調和を保つために、すべてのものを鎮める、勇ましき力を持つ。武器はその背に背負った大剣。身にまとった赤色の衣と、秘めたる特殊な力から、“赤く怒れる騎士”との異名を持つ。終末戦争の責任を問われるが、身に覚えがないことから無実を主張。その汚名を晴らすため、みずから地上に降り立ち、混乱のもととなった真の黒幕を捜す旅に出る。
←ヨハネの黙示録の四騎士とは、協定に施された7つの封印が解かれたときに現れて、世の中を終末に導く存在。そのときではないにも関わらず、呼び出されてしまったウォーは途方にくれる。そして、ほかの三騎士はどこに……?
人類に対する予言をした、評議会の中心的存在。この世のすべてを司るものの、今回の事件に関しては感知していない様子だが……。
評議会の命により、ウォーの監視をするため旅に同行する。立場は中立だが、ウォーに進むべき道のヒントを与えてくれることも。
もとは魔界の住人だが、追放されてウォーを相手に商売をしている。旅に役立つさまざまなアイテムを売ってくれるのだが、過剰なまでの守銭奴である。
天使の軍勢である“ヘルガード”の長。ヘルガードを率いて、魔界軍と戦っている。みずから陣頭指揮を執り、前線で魔物と戦うこともしばしば。
アバドンに仕える、ヘルガードの実質ナンバー2である女性戦士。アバドンを軍師として崇拝しているとともに、それ以上の感情も抱いているようだ……。
天界の軍勢で、大きく3種に分けられる。アバドンやウリエルの指示のもと、魔界の軍勢と戦い続ける兵士。自由に空を飛び回り、近接攻撃や遠距離からの砲撃など、多彩な攻撃をくり出す。
魔界より現れた怪物たちの集団。卑小な小物から巨躯の化け物まで、さまざまな種類が存在し、天使やウォーに襲いかかる。天使の軍団のようにはっきりした統率は取られていないが、群れのボスのように集団をまとめる者がいることもある。
ウォーの行く手には、規格外の魔物が待ち受けていることがある。蝙蝠の女王“ティアマット”は、空中を滑空し、火の玉を吐き出してくる厄介な敵。何かの策を講じて地上に叩き降ろさなければ、勝機はない。また、地下道で出会う巨大なボス“グリーヴァー”は、近づいた者に熱線を浴びせかける。そのため、距離を取って攻撃する必要があるのだ。ボスは、そのほかにも多数登場するぞ。
かつては魔界のプリンスと呼ばれた魔族だったが、現在は魔界と距離を置いている。目的は不明だが、ウォーに力を授け、旅の手助けをする。何か、秘めた目論見があるようなのだが……。
本作の魅力のひとつが、ド迫力かつ多彩なウォーのアクションだ。ウォーは、メイン武器の大剣以外に、カマや銃、愛馬ルインに乗っての攻撃など、敵や状況に応じてさまざまな攻撃が可能。それぞれにコンボ攻撃もあり、戦術性に富んだバトルが楽しめるぞ。また、敵にある程度ダメージを与えると、ボタンひとつで過激な“トドメのアクション”をお見舞いすることも可能だ。
さまざまなコンボで敵を切り裂く主力の武器。使うほどに経験値が溜まり、レベルアップが可能。
物語の途中で入手できるサブウェポン。広範囲を攻撃でき、剣との連繋コンボも可能。
サブウェポンのひとつ。遠距離から敵の足止めに使ったり、空を飛んでいる敵への攻撃に使える。
ウォーの愛馬。騎乗すれば、通常攻撃の威力がアップする。また、突進攻撃も可能。
“ラス”というエネルギーを消費してくり出す魔法。地面から無数の剣を突き出して攻撃する。ラスの能力は、これ以外にも複数存在する。
天使の持つ武器“リデンプション”を奪って使うことも可能。連射と強力なショットの撃ち分けができる。
羽根の生えた天界の生物を操ることができる。敵をロックオンして、ホーミング弾を撃つことが可能。
赤く怒れる、という通り名のごとく、炎を纏った魔人の姿に変わって敵をなぎ倒す特殊なモード。発動中は無敵になり、攻撃力も格段にアップするが、一定時間で解除されてしまう。
本作では、敵を倒すと手に入る“ソウル”を使って、魔界の商人ヴァルグリムから技や武器、アイテムを購入できる。武器の攻撃力を上げられる強化アイテムなども購入できるので、ソウルを集めてウォーを強化しよう。
作り込まれたオープンフィールド内を探索できることも、本作の魅力のひとつ。ウォーの行く手はさまざな仕掛けや障害によって遮られており、一筋縄では進むことができない。仕掛けを作動させるために何かを捜したり、持っている武器や手に入れた能力を活用して、道を切り開くことが求められる。難度の高いギミックほど、通り抜けた際の達成感はひとしおに感じるはずだ。
←クロスブレードは、サブウェポンとして入手できる投擲武器。空に浮いている天使に攻撃するのにちょうどいい武器だ。
→戦闘時以外にも、遠方の爆弾を爆発させる際に役立つ。松明の炎を刃に溜めて、爆弾に引火させるのだ。
↑離れたふたつの場所をつなぐポータルを作るアイテム。その二点間をワープして移動できるようになる。ジャンプなどでは届かない足場に移動する際に利用できるぞ。
↑天井付近のフック目がけてチェーンを射出。それを振り子のように利用し、離れた場所へ移動しよう。通れない場所は、付近に何か仕掛けがないか確認することが大事だ。
ゲームは、天使と悪魔の戦争シーンからスタートする。黙示録の騎士であるウォーは、その戦争を平定するために現れるのだが、なぜか力及ばず、なすすべなく人類は滅亡してしまう。「アレ? ウォー弱くない?」と思ったが、それにはどうも理由があるらしい。その後、事件の黒幕を捜し、失われた力を取り戻すためにウォーは旅に出るのだ。だから最初のうち、ウォーはとても弱い。武器は剣のみで、技はボタン連打のコンボのみ。とにかく弱い。しかし、物語が進むにつれて新たな技や武器が手に入ったり、武器のレベルがアップしたりと、成長要素を多く含んでいるので、だんだんやり応えを感じてくるようになる。そういった点で、単純なアクションと単純なフィールド移動だけで終わるゲームとは異なる、じわじわと作品に引き込まれていく感じがいい。ただ、"じわじわ"と書いたが、プレイのテンポは決して悪くない。バトルと謎解き、ボス戦を交互に行い、どんどん先に進んでいけるのだ。そして肝心のバトルでは、申し分なしの爽快感が味わえる。とくにカオスフォームに変身した主人公のウォーは、体がバカでかくなり、通常のザコ敵をゴミのように吹き飛ばせてサイコーだ! 謎解きは高難度なものが多数仕掛けられており、悩む場面もしばしばだが、それがある分、先に進めたときの解放感がある。それはボス戦にも当てはまり、通常攻撃オンリーの通り一遍な攻略法はまったく通用しない。ボスごとに何かしら利用できる仕掛けがあったり、事前に手に入れたアイテムを有効活用しなければならなかったりと、頭を使わせるシーンが多い。この点は、まさに大人やアクションアドベンチャーゲームファン向けと言える。そして本作最大の魅力は、やはりMARVELコミック『X-MEN』において、かつて作画担当を務めていたジョー・マデュレイラ氏の手掛けるアートワークにあるだろう。アメコミらしい、太い腕でイカツいウォーのデザイン。無機的だが清廉なデザインの天使たち。対照的にグロテスクだったり、猥雑さや恐怖感を押し出した悪魔たちのデザイン。
スタイリッシュさよりは、派手さと豪快さを追求したアートワークが非常に魅力的だ。ジョー氏は現在THQ傘下の開発会社に在籍しており、デザインだけではなく、本作のゲームディレクションも担当している。氏は日本のアクションアドベンチャーゲームにも多く影響を受けていることを公言していて、さまざまなエッセンスが作中に見て取れる。全体的にバランスがよく、ゲームに引き込むためのデザイン、物語、プレイのテンポ、アクション、すべてのクオリティーが高い。結果、先に発売された北米版はかなりの高評価を受けているのが実状だ。真新しさという面には乏しいかもしれないが、ポテンシャルは高い優良な作品だと言えるだろう。このジャンル好きや興味を持った人には、ぜひ手にとってほしい作品だ。
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