ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション

“ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス4”の参加作品の中から、ゲームフェス運営が選んだゲームを毎週紹介していくコーナー。

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嘘を食べる少女と詐欺師を描いた小説のようなRPG『LiEat』の魅力【ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション 第9回】

2014-10-10 18:00:00

【ニコニコ自作ゲームフェス4】LiEat【紹介動画】

LiEat
【著作権者】Star Vlasta
【対応環境】PC
【ジャンル】 アドベンチャー
【作者のページ】miwasiba.iinaa.net/index2.html

“ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス4”の参加作品の中から、キラリと光るゲームを取り上げて紹介していくコーナー。今回は、『LiEat』を紹介していく。

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●「ウソ」を食べる能力を使って街の謎を解いていく

今回紹介する『LiEat』は、非常に個性的な仕上がりのRPGだ。システムやストーリーのみならず、グラフィックの雰囲気や、キャラクターの魅力など注目すべき点が多い。

さてこのゲーム、ジャンルはRPGだが、いわゆる装備を集めて敵と戦うことが中心になる王道派のRPGとはひと味もふた味も違う。なんとクリアまでのプレイ時間もわずか1時間程度なのだ。
ゲームの紹介を読んでみると「嘘を暴いて物理で殴る」ゲームと書いてあるが、果たしてどういうことなのか。

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ある街へとやってきた詐欺師「レオ」と、嘘を食べるドラゴンの少女「エフィーナ」(通称:エフィ)。

そこで街にいる人々と出会った2人は「吸血鬼の伝説」の話を聞くことになる。そしてその夜に起こる事件…。伝説の真実を突き止めるため、レオとエフィは街の秘密を探ることになる。

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▲登場人物が、一人ひとり魅力的に描かれているので、短編小説を読んでいるかのような気分になる。時々現れるイラストも独特だ。

そして、このゲームで肝となるのはドラゴンの少女エフィの「嘘を食べる」という能力だ。

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▲「ウソ」か「ホント」か

登場人物が会話のなかでウソをつくと、モンスターがあらわれる。話しかけると戦闘になるのだが、そこには「ウソ」と「ホント」のモンスターがまざっており、エフィは「ウソ」のモンスターしか消して食べることができない。「ホント」のモンスターは戦っても消えないので、意味が無い。

これまで街で聞いてきた情報やその時々の状況から判断して、「ウソ」のモンスターを探し出して消していく、それがこのゲームの戦闘システムだ。街の中に装備も隠されているので情報収集がてら色々と探してみると思わぬものが見つかるかもしれない。

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▲戦闘はシンプルだが、スキルなども使えるので単調にはならない。

プレイしてみると感じるのは、戦闘の要素はあくまでもゲーム全体を彩るエッセンスにすぎないということだ。キャラクターのレベルを上げてスキルを覚えて…という仕組み自体はあるのだが、それ以上にこの街で起きている事件の結末の方が気になる。

それだけストーリーにのめり込ませるゲームなのだ。

スクリーンショットを見るとお気づきかもしれないが、全体的に赤みがかったセピア色のような色調で画面が構成されている。それには理由があるのだが、こうした見た目も物語の雰囲気に一致しており、ストーリーを引き立てる要素の一つになっている。

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●新進気鋭のサークル「Star Vlasta」が挑むゲームの連載

この『LiEat』を制作したサークル「Star Vlasta」は2013年に『Alice Mare』というホラーアドベンチャーを制作している。キャラクターの魅力や、独特の雰囲気など、『LiEat』にも継承されている要素が多く、こちらも非常に完成度の高い作品だ。実際に、ニコニコ動画で実況動画が40万再生を超えるなど人気作になっている。

本サークルの活動はゲーム制作だけでなく、作曲、漫画等多岐にわたる。そんな多彩な活動を送る彼らだからこそ、『LiEat』のようなストーリーや雰囲気が引き立った「表現手法としてのゲーム」を制作できたのではないだろうか。

そして、『LiEat』は実は3部作で構成されている。1作目は今回レビューした「嘘喰いドラゴンと朱色の吸血鬼」だが、2作目「嘘喰いドラゴンと紺碧色の夢喰い」、3作目の「嘘喰いドラゴンと黄金色の怪盗」とおよそ1ヶ月半ごとのペースで公開された。

ストーリーはそれぞれ別だが、本作の主人公である詐欺師のレオとドラゴンのエフィのコンビが旅先で事件に遭遇し…という展開は同じ。息をするように嘘をつくレオの過去など作品全体に散りばめられた謎が解けていく。

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▲3作目「嘘喰いドラゴンと黄金色の怪盗」ではエフィとレオの運命が…!?

その流れは非常に鮮やかで、「読み始めると止まらなくなって夜も眠れない」推理小説と同じで一気にプレイしたくなる魅力に溢れている。

3作合わせても3時間程度で楽しめてしまう本作、ぜひレオとエフィとともに謎解きとウソを味わってみてはいかがだろうか。

(参考)
フリーゲームを「連載する」とは?特集「LiEat」夏休みに遊びたい短篇集(もぐらゲームス)人気ADV「Alice mare」の制作者が贈る新作フリーゲーム 「LiEat-嘘喰いドラゴンと朱色の吸血鬼-」(もぐらゲームス)

“ニコニコ自作ゲームフェス”では、このようにコンセプトが光る作品や、キャラクター、世界観で魅せるゲームなどが揃っている。今後も次々ゲームを紹介していくので、是非チェックしてみてほしい。

●ニコニコ自作ゲームフェス4とは

“ニコニコ自作ゲームフェス”は、ゲームを作る人、遊ぶ人、二次創作をする人をつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指す祭典。4回目の開催となる“ニコニコ自作ゲームフェス4”は、2014年7月17日(木)から2014年10月12日(日)の間で作品募集を行い、11月中旬に受賞者を発表予定。9月18~21日に“東京ゲームショウ”の会場にて展示を行った。