注意:このレビューにはネタバレが含まれています
テキストを読み進め、選択肢によって物語が分岐するノベルゲーム。
先に断っておくと、これはいいゲームです。
王道だけど安っぽくないヒロイックファンタジーをきっちり作ったシナリオで、グラフィックもサウンドもいい雰囲気。
だから、楽しめなかったのは単に俺の誤解のせい。
でも、誤解されてもしかたのない面もあるのではないかと。
大陸一の英雄とよばれる主人公は、世界征服を目論む魔女を追い詰めながらも罠に落ち、記憶を奪われ指輪に封じられてしまいます。
幸運にも魔女の手を離れた指輪は、それをはめた人間を操る力を持っていました。
なんてゲームのプレイヤーキャラクターに相応しい設定でしょう。
主人公はプレイヤー同様、間接的にしか世界にかかわれない中で、物語を進めていくのだと期待してゲームを始めました。
ところが、さすがは大陸一の英雄。その卓越した精神力で、記憶がないにもかかわらず魔女を倒すという目的に向って、邁進するべく指輪をはめた人物を動かします。
プレイヤーが指輪をはめた人物の行動を選択できることはあまりない、どころか指輪をはめてない人物の行動や、さらには指輪のないところで起こっている出来事についてまで選択することになります。
物語の冒頭に、むこうからやってくるのが何者であるかという選択肢が出てきますが、作中人物である主人公にはどんな力があったとしても、そんなことを決められるはずがありません。
つまり、プレイヤー=主人公ではなく、プレイヤー=シナリオライターな訳です。
もちろん、どちらが正しい、間違っているという問題ではありえません。
ただ俺が思い込んでいたのと方向性が違うというだけのことですし、前述の通り出来はいいのでズレを感じながらもプレイを楽しんでいました。次の選択肢が現れるまでは。
その子は助かった/その子は死んでしまった
敵の計略にはまった主人公(の指輪をした人物)は、罪もない子供に斬りつけてしまい、そのことに気づいた際の選択です。
もちろんプレイヤーは擬似的とはいえ作者なのですから、登場人物の生殺与奪も可能でしょう。
でも同じ結果になるにしても、他にいくらでも「書き方」があるのでは、と思えてなりません。
一撃必殺を狙った/けん制攻撃を仕掛けた
その結果として子供の生死が分かたれた、とか。
ここに至って微妙にあり続けたズレは決定的な溝になっていまい、そこでプレイをやめはしませんでしたが、全く感情移入できないままエンディングを迎え、くり返しプレイをこそ楽しめるはずのスタイルの作品をほとんどやり直さずに終わってしまいました。
でも、結局は俺の勘違いがいけないのでしょう。パッケージの裏(だったと思う)に、プレイヤーが作者となれるゲームと、うたってあるのですから。
