初めて隠れんぼアクションと聞くと地味な印象を受けるが、
細部まで丁寧に作りこまれた多彩なシチュエーションと、
虚実織り交ぜてしっかりとしたテーマを持った物語が
繊細なダイナミズムを生み、他では味わえない
とてつもない緊張感と感動を生み出す。
MGSシリーズはどれもその都度最高に面白いのだが、
このMGS3は別格と言える完成度だ。
まず、ゲーム史上ここまでジャングルを
3D空間として表現した作品はなかなかない。
草木生い茂り、野兎、野鳥、蜂の巣、蛇、
ワニなどが生息する見事なまでの森林、沼地、川、洞窟。
そこを巡回する敵兵に見つからないようにこっそりと
カモフラージュを駆使して敵の諸点へと潜入する緊張感。
任務中に様々な行動で消費する気力を
動物を捕食して回復するシステム、
傷ついた体をランボーのように自ら手術して治療するその姿、
サバイバルゲームとはまさにMGS3のことだと言える。

カモフラージュの登場により、麻酔銃との相乗効果で
敵兵を殺すことなく、敵に見つかることなく、潜入という任務を
より深く楽しむことが出来るようになっているのも素晴らしい。
慣れてきたらハードモードくらいで
ノーキル、ノーアラート、全フードの捕獲を目標に
クリアを目指すと面白くてしょうがない。

また、ゲームの懐が深いのも完成度の高さを表している。
CQCという名のパンチとキックと絞め技を駆使した格闘が出来たり、
こっそり敵兵の背後から近づいて羽交い絞めにしたり、
銃をつき付けて身動きが出来ない状態にしてアイテムを奪ったり、
残虐だが敵兵にこっそり忍び寄り腰に
TNT爆弾をしかけて歩く爆弾を作ったり…。
ある条件でクリアすると手に入るステルス迷彩という
透明な姿になれるアイテムを装備してカモフラージュで
ソローの服を選び足音を消すと、
完全にプレデターと化し、敵に気づかれることなく
やりたい放題に悪戯出来るのが楽しい。

「隠れんぼアクション」の楽しさを根底にしつつも、
ユーザーの方針次第で暴れて悪戯心を満たす事にも対応している。
こんなにも両極端な遊び方が出来る幅の広さは他にない。
そういった意味ではこのMGS3Sは極まっている。
よって簡単にクリア出来るなんて感想を持つ人もいるが、
売りは隠れんぼなのに、簡単に突破出来てもいいという
懐の深い作り方は、ゲームの売りを強制しないということで、
インタラクティブなエンターテイメントとして
他にはないゲームならではの楽しさを追求した
見事な完成度を実現していると言えるのではないだろうか。

隠れんぼだけでなく、コブラ部隊とのボス戦、ゼロ少佐、
パラメディック、シギントとの通信、隠しゲーム、
細かいお遊び要素、DVDってここまで収まるのかと
感心するほどボリュームたっぷりに詰め込まれている。
また、THE・BOSSとスネークの物語は
ゲーム史上でも稀に見る感動的なものだ。
それは完結編のMGS4をも上回っている。
私はPS2の名作は何か?と問われたら迷わずMGS3Sと答える。
もし未プレイならば、探してでもプレイすることをお勧めする。

※このサブシスタンス初回生産版では追加要素が多い。
MSX版メタルギア、メタルギア2が丸ごと収録されていたり、
猿蛇合戦完全版、爆笑シークレットシアター、
三枚目のディスクで本編の物語だけを楽しむ事も出来る。
個人的に一番気に入っているのはスネークイーターでは俯瞰視点で
固定されていた視点に3Dビューという視点が加わり、
ジャングルを好きなように見渡せるようになったことだ。
それこそ固定されていた首を自由に
動かせるようになった気分でジャングルを見渡せる。
スネークイーターでも充分名作なのだが、
買うならこの3Dビュー視点が追加されたバージョンがお勧めだ。