■PS3の存在理由はMGS4の登場でひとまず達成された

メタルギアから始まり20年以上に渡り積み上げられた
ソリッド・スネークに纏わる物語は
小島監督の言葉通りこのMGS4でひとまずの終結を迎えた。
シリーズを続けることで生まれ肥大した
数々の謎は本当にこのMGS4で解決する。
この壮大な物語は他のジャンルでも類を見ない規模で展開し、
ゲームだからこそ表現できた物語と言えるのではないだろうか。
一ゲームの物語という点において、
これだけシリーズを重ねながらも破綻せず、
ユーザーを飽きさせなかったのは快挙である。
今後MGSサーガほどのクオリティを持つ
作品の登場は難しいだろう。
PS3ほどの性能が家庭用ゲームに何故必要だったのか、
このMGS4でやっと理解出来た。
そしてまだ充分に普及しているとは言えないPS3で、
これだけ豪華なゲームに予算を注ぎ込んだコナミという会社と
小島監督率いる開発チームにゲームファンとして感謝したい。

※以下、細かい事をゴチャゴチャ長々と…

■グラフィック

デモシーンから操作可能状態までの切り替えが
非常にスムーズで違和感がない。
PS3クオリティといえるその映像はWiiと
PS3の「役割の違い」をハッキリと見せてくれる。

■音楽

悲壮感漂う物語を見事に際立たせ、名曲も多い。
特にMetal Gear Sagaは必聴といえるわかりやすい名曲だ。
きっと普段サントラを買わない人も購入を検討することだろう。

■操作性

FPS全盛の今の時代に合わせた形となっていて概ねやりやすいが、
使わないアクションがたまに勝手に出て邪魔に感じることがある。
もちろん慣れてしまえば当たり前に問題なく遊べる。
頑なにシリーズの流れを固持するのではなく、
ユーザーに最適な環境を提供しようとするその姿勢には感心した。

■物語

MGSU-2と言える物語であり、MGSシリーズで最高に感動する物語は
MGS3のネイキッド・スネークとザ・ジョイの
最初の物語であった事が証明されてしまったが、
このMGS4の物語は悲壮感がありながらも
MGSサーガの最終章という救いがあるぶん、
感動より感慨深いに近いものだった。
シリーズで残されていた謎にほぼ全て答えている姿勢は、
いつまでも意味深にしてファンの興味を引っ張る
姑息な手を使わない潔さがあり、
ファンを大切にする小島監督の誠実さを感じた。
謎は知ってしまうと手品のタネを
明かされた後のような気持ちになり、
もしかしたら知らないほうが良かったかも?と
疑ってしまうほど全ての謎が解決している。
知ってしまう寂しさも含めシリーズのファンは必見であり、
シリーズのファン以外は過去作を
今からやってでも体験する価値があると勧められる。

残念だったのは、サニーの救出部分のエピソードが
ゲームに盛り込まれていなかった事とサニーの活躍の物足りなさ、
そして今回のMGS4は過去のシリーズで生まれた謎に
終始答えるだけの物語だったという点と、
最後の最後に取って付けたように驚くべき人物が登場し、
その口から明かされる事実の進行具合と共にその人物の末が、
いくらなんでもそんなに都合よく進むかね?
と思ってしまい少々萎えたことだ。

サニーの救出部分はMGS2をやっていれば
MGS2内で収まりきらなかった結末の詳細が気になるはずで、
いかにして救出されたのかはMGS4で答えるべきであり
ファンとしては期待もしていたのだが、
これだけ全てに答えているのに、
ここだけサラッと済まされているのは納得出来なかった。
よほどドラマチックでPSPででもゲーム化する気が
あってのことなら、許せないわけでもないのだが…。

新しい展開と同時進行で謎に答えていくのは
確かに難しいだろうし、最後の驚きも
劇中では説明しきれなかったための処置であったのだろうが、
欲張りなユーザーの心理としては
新しいメタルギアソリッドの物語も同時に味わいつつ、
全ての謎を無理なく説明して欲しかった。
また、過去作の見方もこの作品で
多少の印象が変わってしまったのも事実としてある。
まあ、それだけにMGS5に期待してしまうので
ファンとしては複雑な部分でもある。

■システム

ゲーム前に最初8分のインストールがあり、
各章の前に1〜3分のインストール作業がある。
早くゲームを始めたいユーザーの気持ちを汲んだのか
ここは最初に我慢して一度で済ませるか
分割か選ばせて欲しかった。
また、ACT1のミッションブリーフィングだけカットされており、
本編前にメニューから見ておかなければならないという流れは
効果的だったとは思えない。
オープニングと合わせるとスタートにしては
長すぎるゆえの判断か知らないが、
物語に興味を持っているユーザーも多いであろうから、
他の章と同じようにACT1も普通に流してくれて問題がなったはずだ。
説明書に最高のプレイのために
というスタートの手順が説明されているが、
ほとんどの人が見ていないと思うがどうだろう。
メニュー画面からいつでも操作説明を見れるのは便利だったが、
入手したアイテムをいちいち装備
しないといけないという仕様は面倒だった。
もっともっと装備の切り替えがスムーズに出来る
整理方法はなかったのかと感じたがそれは完璧を求めすぎか?

■時代に合わせた個性のカット

セーブ前の長ったらしいやりとりがなくなったり、
オタコンとの通信以外にあまり通信が活躍しないのは
少々物足りなかった。
ゲーム性に直接関係のない無駄とも言えるやりとりにこそ
MGSらしさを感じていた人もいると思うのだがどうだろうか。
これによって付き合わされてる感じがなくセーブの手続きが
劇的にすっきりしたので駄目というわけでもないのだが、
エンターテイメントならではの無駄を楽しむ余裕が
なくなってきた時代になったような寂しさを感じた。
サニーは絶対にセーブ時のやりとりに使えたはずと思うのだが…。

■多すぎる武器の数

MGOを意識したのか、オフラインは基本ステルスゲームなのに
クリアまでに全てを使いこなす必要が
ないほど武器の種類があった。
選択の幅が広がり、ステルス以外の要素が入っているにせよ、
ミリタリーの素人にはどれを使えば効果的か迷うほどの数だった。
この点は悪いまではいかなくとも、ややこしかったのは事実だ。

■ボス戦のBB部隊

毎回個性的なボスが登場するMGSシリーズだが、
今回も手抜きのないボスが登場する。
ただ、個性という意味では過去作を意識したぶん新鮮さが乏しく、
その設定がMGSのテーマには沿っていたものの、
ドレビンによる過去の説明も蛇足的だった。
BB部隊との戦闘も面白かったのでいらないとは言わないが、
それほど物語を盛り上げる要素になっていたかというと謎だ。

■完成とマンネリと新作としてのフレッシュさを出す難しさ…

3D化されたメタルギアシリーズも今回で4作目ということもあり、
銃火器やCQCでのアクションなど、
既にユーザーは慣れてしまっているにもかかわらず、
ホールドなどに多少のアクセントは追加されているが、
目玉と言えるような新アクションが
盛り込まれていないのは物足りなさがあった。
オクトカムとソリッドアイという二つの新アイテムはあるが、
CQCのようなスネーク自体の動きに大きな新しさがないので、
操作していて新鮮さが乏しかった。
視点変更によるTPS、FPSの要素があるが、
他のTPS、FPSをそれなりにやっていると、
基本が銃撃戦なので新鮮さはあまりない。
その逆で他のFPSをあまりやっていなければ、
当たり前に新鮮なアクションとして成立しているとも言えるが、
全てのMGS4をプレイするユーザーにその効果があるわけではない。

このゲームは章分けされており、
シリーズでは一番のシチュエーションの数を誇り、
ここまで色んな舞台が用意されたMGSは今までなかったが、
小島監督の中でスネークの動きは完成しており、
シチュエーションの変化で敵から隠れるという
その遊びを最大限に引き出そうとしたのかと捉えると、
そこで際立つオクトカムが新しい魅力となり、
それをベースに考えるとあまりにも豪華とも言えるが、
難易度と腕前によってはオクトカムを使わないでも
突破出来てしまうので、それを懐の深さと受けとめるか、
簡単と切り捨てるかで評価も変わる。
また、潜入に的を絞るとさすがに長いシリーズなだけに
そのマンネリを打破するべく工夫された構成は、
もう少ししつこくても問題なかったかもしれない。
これはシリーズ物の宿命でもあり難しいところだろう。
個人的にはMGS3から導入されたカモフラージュという遊びが
オクトカムの登場により変更の手間が
なくなっただけでも充分に気に入った。
難易度を変更しながら何度でも
シチュエーションを楽しもうと思っている。

■プレイ中の印象

オクトカムを使い敵からひたすら隠れるという遊び方は
他にはない完成度の楽しさがあるし、
カエル部隊に見つかったら銃で応戦すると
ほとんどTPSやFPSにゲーム性が化けるという楽しみもある。
このTPSの視点はバイオハザード4が
好きな人には気に入られるだろう。
私は初周の難易度をソリッドノーマルで初め、
基本隠れながらも、カエル部隊の時は見つかったら
逃げずに応戦してFPS的に楽しんでいた。
隠れる事を基本に、MGS4は最近の流行も無視しない
作品となっている。

■シリーズの宿命とMGSだからこその手間

MGSの少々難解な物語についていけない人は、
ムービーゲームと感じる人も多いだろうが、
この壮大なMGSサーガを楽しめていないのは純粋にもったいない。
こんなにも独創的でありながら
PMCなど現実を取り入れた物語はゲーム以外では
語れないかも知れないほどオリジナリティが高い。
まさにゲームならではの壮大な物語だ。
私はMGS2発売当時あれだけ嫌った雷電のエピソードの結末で
初めてゲームで一滴の涙がこぼれた。
この物語はMGS4から初めてもさっぱり意味が分からない
やりとりが繰り広げられるので、
楽しむためにはシリーズの復習が必須と言える。
手っ取り早くそこら辺をカバーするには
DVDのメタルギアソリッド2バンドデシネと、
PSストアで無料配布されている
メタルギアソリッドデータベースがあるので参考にしてもらい、
この手間を乗り越えるだけの価値がMGS4にはある。

■最後に…

MGS4には近く別売されるメタルギアオンライン(MGO)の
基本セットが初めからBDディスクに収録されている。
壮大な物語だけでなくオンラインでもメタルギアが楽しめる。
これほど豪華なオフラインのMGSと、
さらにオンラインのMGOまで用意されている
至れり尽くせりの内容。
MGS4はシリーズ御馴染みのやり込みに対応しており、
MGOは毎回緊張感のある新鮮な遊び場を提供してくれる。
オフラインの尋常ではない完成度は
次世代機ならではのワンランク上の体験をさせ、
PS3の存在理由を感覚的にも理解させる。
そしてオンラインはCoD4とは味付けの違う
独創性に溢れた他にない体験をさせてくれる。
これほどの名作をやらない理由が何かあるだろうか?
もしやらない理由があるとするなら、
MGS4は無理矢理でもその理由を乗り越えて
プレイする価値があると断言出来る。
これだけ書いてもまだまだ書き足りないが、
言いたいことは単純だ。
メタルギアソリッド4 ガンズ オブ パトリオットは、
ゲームファンなら是非とも体験して欲しい
ゲーム中のゲームであり、プレイステーション3を
買ってよかったと思えるかつてない最高の体験をさせてくれる。

さあ、とりあえずしばらくはWiiリモコンを家族に譲って、
ゲーマーはPS3のコントローラーを握り、
ソリッド・スネークの壮大なサーガを見届けよう!
だなんて誰だかわからんお前に言われたくないと思われても…
言う!

ここまで語って100点ではなく99点なのは、僅かな不満を埋める
サブシスタンス的なMGS4のバージョンアップ版の登場と、
MGS5に期待しているからに他ならない。

※ちなみに、このスペシャルエディションに収録された映像は
ファンなら楽しめるものなので、通常版よりこちらをお勧めする。