60年代風のデザインが独特の不気味な雰囲気を作り、時代を逆行したようなパッケージデザインは微塵もポップさを感じさせず、Wii全盛の時代にしては異様な存在感を示している。

さらにXbox360というハードとFPSというジャンルがヘビーユーザー向けのイメージを作り、おまけに17歳以上対象というレーティングが付くことで敷居をどれほど高くしているのだろうか。バイオショックは発売日から負け組みの臭いがぷうんと香っていた。

ところがしかし、実際はとても現代的な仕様で、丁寧な配慮があり、プレイヤーが迷う事のないように親切に導いてくれる。シューティングとしての操作の快適さはもちろんのこと、画面上部に進むべき方向を示す矢印が出て目的地までナビゲーションしてくれたり、たとえ迷ったとしてもヒントをいつでも見られる。敵にやられても無限コンティニューで近場から再開できるので再挑戦しやすい。PCゲームみたいな外見とは裏腹に家庭用ゲームらしくとてもサポートが充実したゲームだ。この親切さと適度な難易度は心地よく、ついついラプチャー探索に没頭してしまう。

以下部分的なレビューと全体の感想。

★シナリオ
語り方に押し付けがましい部分がない。オープニングデモは短いし、プリレンダのカットシーンもない。物語はプレイ中に拾うオーディオテープの再生や通信機から流れる音性で語られていく。聞いてる間も動けるので戦闘などで聞き逃すこともあるが、メニューで何度も再生出来るので物語がわからなくなる事はない。

また大きな特徴としてプレイヤーが物語に深く関わるという楽しみがある。意外な展開が用意されているのも良かった。シナリオでプレイを止める事がほとんどないのであっさりしていながらも、物語の先がちゃんと気になる作りは優秀とえいる。

★グラフィック
次世代機なのに初期の状態だと何故か30fpsに設定されている。しかし、これはオプションで流動的な60fpsに切り替えてスムーズに動く画面に変更出来る。このとき若干画質が落ちる可能性があるという注意書きがあるのだが、実際にはほとんど変わりなく美しい。

次世代機らしくグラフィックはどのシーンも美しく不気味で、そして残酷。水の表現や壁のぬめっとした光沢までリアリティがある。最初のデモからプレイ可能な状態までの切り替えに大きな劣化がないので、もう動かせるのかと驚く人もいるだろう。同時に綺麗なグラフィックで死体や血の表現が多いので、苦手な人は注意が必要かもしれない。

★音楽
静寂の中に敵の話し声や歌、音性での警告や放送などが鳴り響き、ラプチャーという世界観全体の雰囲気を作り上げている。この不気味さは敵が本気で襲ってくるという怖さを増すことに貢献している。

★操作性
操作が非常に快適。Xbox360のコントローラーはきっとFPSと相性がいい。自分が向きたい方向、見たい場所、撃ちたいポイント、武器の切り替え、不満がまったくない。きっとFPS初心者でもさほど苦労することなく馴染めるだろう。

★その他
セーブがいつでも出来るので止めやすいが、1個のセーブに最大で12MBもかかるので、コアシステムで64MBのメモリーカードを使っているユーザーはセーブ要領をチェックする必要があるかもしれない。

★全体の感想
オープニングのあっさりしたスタートが主人公と同じようにその世界に放り出されたような感覚として見事に伝わってくる。「自分はこれからどうすればいいのか?」という短時間ながらもその疑問はやがてラプチャーへの興味へと容易に繋がる。ここらへんは上手いとしか言いようがない。

シューティングの部分は雑魚敵の挙動と戦闘の緊張感からTPSのバイオハザード4に似ているという印象だった。リトルシスターとビッグダディの関係など、敵側か味方側かの違いはあれど、ICOやバイオ4のアシュリーのようだし、ビッグダディとの戦闘はギアーズ・オブ・ウォーのベルセルクが弱体化したような手応えだった。

またビッグダディの攻撃方法は私のようなゲームオタクからすれば過去にも似たような敵キャラがいたのでインパクトが薄かったのが少々残念だった。

しかし、この手のタイプが初めてなら充分に脅威かもしれない。これをやるといかにバイオ4がパート毎の展開が細かくそして多く用意されたメリハリのある名作だったのかという事を思ってしまう。

だからといってこっちのバイオが極端に平坦かというとそういうわけではない。特徴として過去のゲームのいいとこ取りな印象があるので、ある意味安定した面白さがある。

大きな違いは、戦闘では雑魚敵は体力が少なくなると回復ポイントへ逃げて回復したり、それを阻止するために回復ポイントをハッキングして逆にダメージを与えたり、勝手に同士討ちをしてたり、ビッグダディとの三つ巴になったりとバイオ4にはない戦闘パターンがある。

特殊能力は水場に電流を流して一網打尽にしたり、使いようによっては意外な効果もあり、バイオ4とは違うゲーム性がちゃんと用意されている。惜しいのは、もっと多くの中ボスが登場してこの特殊能力と絡んできてくれれば良かったかもしれない。その役割りがビックダディだと言われればそうなのかも知れないけど・・。

他にはハッキングという要素があり、これは次世代機にしては地味なミニパズルゲームなのだけど、それなりのアクセントになっている。

ミニパズルはやらなくてもいいのだけど、頻繁にやる機会があり過ぎで、アイテムの値が下がるからと貧乏根性でやり過ぎると単調になり、本当に必要なパズルだったのかは疑問になるのでこの要素は評価の分かれるところかもしれない・・・。

また写真撮影でポイントを貯めて敵の弱点を探り、ある一定のポイントでパワーアップ出来るなど、戦闘を単調にしないための工夫がされていて飽きない。欲を出せばもっと敵の種類が多く用意されていればこの写真ももっと楽しめただろう。

このゲームの楽しみとして、探索、不意打ち多めの雑魚やビッグダディとの戦闘、物語での選択、ハッキング、敵の写真を撮ってパワーアップ、そして特殊能力やハッキング能力のパワーアップが上げられる。ラプチャーという世界観がゲームという枠で見事に構築されているので、その世界に放り込まれた感覚があり、しっかりとゲームとして別世界を見せてくれるので、じっくりと楽しむことが出来る。

大きなオリジナリティーがあれば名作になったかもしれないが、それでも優秀な作品にはかわりない。ムービーゲームの感動はないけど、ゲームとしての感動は確実にある。

次世代らしいゲームで、しっかり物語もあり、すぐに終わることなくそこそこボリュームのあるFPSを求めているなら、このゲーム的でゲームらしいバイオショックを、恐縮だが、やってくれたまえ。