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●注目の大作オンラインRPGについて直撃!
2009年4月16日に発表会が行われ、いよいよ具体的なサービスが見えてきたエヌ・シー・ジャパンの新作オンラインRPG『The Tower of AION(タワー オブ アイオン)』。発表会に合わせて来日していた開発メンバーに話を聞いてきた。
――ひと足先にサービスが開始されている韓国ではここ数年の“大作”と呼ばれた新作のなかでいちばん成功したタイトルになりつつあると思いますが、ポイントとなったのはどこだと思いますか。
イ・ジホ(以下、イ) 企画の観点から申しますと、まず完成度が上がるまで公開しなかったこと、それとMMORPGの基本に対して忠実に作ったという点が、ユーザーから支持を得たと思います。
――では、日本ではどういった点がフックすると思いますか?
イー 日本のユーザーと韓国のユーザーは傾向が似ている部分もありますので、そういった部分ではMMORPGの基本に忠実だという点で支持を得られると思いますし、日本ではPCオンラインゲームのプレイヤー数が韓国ほどではないと聞いていますが、簡単に気軽にプレイできるように作ってある部分が支持を得るのではないかと思います。
それと日本に初めて来てみて、個性的な方が多いと思ったのですが、そのあたりではキャラクターカスタマイズで自分なりのキャラクターを作って多様なクエストをプレイできるというのがアピールできると思います。
――初期のアートワークを拝見したのですが、西洋風のファンタジーであること、塔がモチーフになっているところ、キャラクターに羽があることなどは確認できましたが、明らかに悪魔風というキャラクターは見当たりませんでした。もしかしたら初期の発表ではまだ隠していたのかもしれませんが、天族と魔族の対立など、本作をとりまくイメージはどのように固まっていったのですか。
▲参考までに、2006年6月末に公開されたアートワーク。
キム・ヒョンジュン(以下、キム) 根幹にある世界観にはずっと天族と魔族という存在があるのですが、長い開発期間のなかで多くのユーザーからフィードバックが来て、それによって変わってきた部分があります。たとえば魔族はユーザーの関心が集まり過ぎてしまい、その想像を満足させるようにしなくてはいけなかったんです。当初魔族はこうもりの羽のような形をデザインしていたのですが、「魔族を選択したかったのに、これではやだ!」という意見が多く寄せられたため、いまのような形になっています。楽しんでもらうユーザーの趣向やなにを好むかを分析して、ある程度合わせていくという過程でした。
イ 設定上、天族と魔族は皮膚の色などは違うのですが、それほど違いを持たせていなかったんです。しかし最初に天族を公開したところ、ユーザーの「では魔族はどんな存在なんだろう?」という想像が加速しすぎてしまって、制作としては反対だった部分もあるのですが、現在のような形に落ち着きました(笑)。
――NCsoftのほかのタイトルと比べて、グラフィックチームがとくに本作で目指したものはありますか。
キム とくにほかのタイトルと比べてということはないのですが、グラフィックチームが目指したことはふたつあります。まず弊社の次世代作品ということで、グラフィックは最高水準を追求しました。同時にある程度低スペックのマシンでも円滑に動作するという指示があり、結果としてその両立をめざしています。
もうひとつは、“美しい”ということ。“かわいい”のはいくらかわいくても苦手な人もいますが、美しいのが嫌だという人はあまりいないと思います。ですので、すべての人が拒絶感を感じない“美しさ”というものを表現しようと思いました。また個人的にも、一部の人だけに支持される特徴の強いデザインというのはあまり好きではないのです。たとえば“おどろおどろしい”とか。老若男女関係なく、みなさんから支持してもらえるようなものを目指しています。
▲バリバリのゲーミングPCでなくとも綺麗に……とはいえ、やはりそれなりのスペックは必要とされる。
――先ほども少し話に出ましたが、ライトゲーマーでも楽しめるというのが本作のコンセプトのひとつとして挙げられていたかと思います。どのようなコンテンツがライトゲーマーにフックすると思いますか? たとえば韓国ではクエストだけでも2000あり、10分程度で終わるような軽いものもあると発表会で触れられていましたが、軽めのクエストをずっと遊んでいくようなこともできるのでしょうか。
イ 我々がよく受ける評価として、本作のクエストは比較的やさしいとされています。そしてユーザーインターフェースなどもわかりやすくなっており、クエストの説明などもNPCの名前をクリックすると地図上に位置が表示されたりとか、そういった部分でもクエスト時のストレスを最小化しています。ですので、そうやってクエストをこなしていけばいつのまにかキャラクターが成長していると思います。クエストでも簡単なクエストと難しいクエストを選択していけるようになっていますし、世界観を知りたければミッションクエストも用意してあるのですが、ハードコアユーザーだけが楽しめるようにはしていません。ライトユーザーも充分楽しめると思います。
――ではプログラミングの質問を。本作ではアクションシューティング『クライシス』などで使われたCryEngineを使っているそうですが、実際の開発作業ではどうでしたか。
シム・マロ(以下、シム) 当初は初代CryEngineで作業を進めていて、アートチームから色彩やカラー、光源などの要求を満足させるため、そしてシューティングに最適化されたエンジンをMMOに最適化するためにカスタマイズして、エンジンコードを改良していきました。ベースはCryEngineですが、ある側面ではCryEngine2よりも性能が高いようなグラフィックを再現できたと思っています。
▲光のにじみ具合が美しい、独特なタッチのグラフィックを実現。
――ふたつの種族にNPC種族“龍族”が参戦する“PvPvE”と呼ばれるシステムについて教えてください。一説には劣勢の種族を助けるようになっていると解釈されていますが……。
イ それはちょっと違います。劣勢の側を助けるのではなく、完全にランダムです。勝っている側に加わってくることもありますし、むしろどちらに加わるかというよりも、突然出てくるというのがキーポイントになります。戦略的な部分になりますと、劣勢であれば龍族が相手に攻めていくタイミングを見計らって一緒に攻めに転じるといったやり方はあります。
――みなさんどちらの種族でプレイされていますか?
キム 私は魔族のシャドウウィングでプレイしています。というのは、わたしたちのチームのほとんどが天族を選んでしまって……自分だけでも魔族を選んでおこうか、と選んだ次第です(笑)。
イ 魔族のスピリットウィングを選択しています。正しく正統なものよりも、ちょっとひねくれたのが好きなので(笑)。それにかっこいいですし、魔族にしました。
シム 天族のスペルウィングでプレイしています。ちなみに、韓国では現在天族がちょっと多くて、中国では逆に魔族がちょっと多いんです。日本ではどちらが多いのか個人的に気になりますね。
――では最後にメッセージを。
キム 開発にあたっては、全員が力を入れて神経を使って作業をしました。かなり苦労して、正直に言うと、「ここまでやらなきゃいけないの?」と思ったぐらいです(笑)。その味わった苦労や情熱のぶん、ユーザーにとって幸せなプレゼントになっていればと思います。
イ わたしはゲームデザインの学校に通っていたころ、毎週ファミ通を読んで「いつかこうやってインタビューを受ける開発者になりたいなぁ」と思っていました。それが今回実現しましたね(笑)。一生懸命に開発しましたので、よろしくお願いします。
シム 日本でも多くのプレイヤーに遊んでもらえればと思いますし、世界中でプレイしてもらうことを考えて、いろいろな国のコンテンツを参考にして作りましたので、いろいろな人にプレイしていただいて、フィードバックをいただければと思います。
※『The Tower of AION(タワー オブ アイオン)』の公式サイトはこちら
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