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”ESWC 2008 Grand Final”で『Counter-Strike 1.6』日本代表チームはグループリーグ突破ならず

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●eスポーツの国際大会"Electornic Sports World Cup"とは?

 

 2008年8月25日〜27日の3日間(現地時間)、米国、カリフォルニア州サンノゼでeスポーツの国際大会”Electronic Sports World Cup 2008 Grand Final”(以下、ESWC2008)が開催。この大会に、先日行われたESWC2008日本予選で優勝した『Counter-Strike 1.6』の日本代表チーム”SPEEDER(スピーダー)”が参戦した。その模様をお届けしよう。

 

 ESWCは、2003年からフランスのeスポーツ専門会社、GAMES-SERVICESが開催しているeスポーツの国際大会のひとつ。52ヵ国から600人以上もの選手が参加し、FPS(1人称視点のシューティング)やリアルタイムストラテジー、レースゲームなどで白熱した戦いをくり広げている。

 

 大会が開かれたのは、サンフランシスコ国際空港から電車で約1時間半ほど乗り継いだところにあるサンノゼという街。PCグラフィックチップの大手メーカーであるNVIDIAが主催するイベント”NVIDION 08”の会場内で行われ、ESWC2008だけでなく、自前のパソコンを持ち寄ってゲームに興じ、ときには対戦大会などを行う通称、LANパーティーや、企業のブース出展エリアなどが併設されている。
 

▲会場はサンノゼにあるコンベンションセンター。ESWC2008会場だけでなく、LANパーティーを行うためのBYOC(Bring Your Own Computerの略。自分のパソコンを持ってこいという意味)エリアなどが併設。各所で盛り上がりを見せていた。

 

 ESWC2008の競技種目は5タイトル6種類で、すべてPCタイトルとなっている。そのうち、日本代表チーム、SPEEDERが参戦するFPSの名作『Counter-Strike 1.6』は、男性部門と女性部門とのふたつに分かれて行われ、もっとも参加人数が多い競技となっている。


ESWC 2008 Grand Final競技種目

●Counter-Strike 1.6 男性部門(5vs5)

●Counter-Strike 1.6 女性部門(5vs5)

●WarcraftIII:The Frozen Throne(1vs1)

●Trackmania Nations ESWC(1vs1)

●Wracraft III DotA:Defense of the Ancients(5vs5)

●Quake 3(1vs1)

 

 SPEEDERは、『Counter-Strike 1.6』で2006年より活動を続ける、国内ではトップクラスのチーム。初期メンバーはsion選手、xENqLity選手、noppo選手の3人で、チーム結成から約1年半と浅いものの、過去にオンライン上で20チームが激突するリーグ戦”CSCTL”において2シーズン連続制覇を成し遂げるなど、優秀な成績を収めている。そして先日行われたESWC2008日本予選で、他チームを寄せ付けない圧倒的な強さで勝利し、見事日本代表の座を勝ち取った。

 

 そんなSPEEDERだが、国内大会への参加経験はあるものの、海外遠征は初めて。さらに、ESWC2008日本予選でチームメイトだったNativo選手のビザ取得が間に合わず、決勝トーナメントに進出しながら参加を辞退したチーム、”4dN!ziG”の選手のひとりであるrightarm選手が参加するはずだったが、渡航直前でパスポートの期限切れが発覚。急きょアメリカに在住するfushu選手を招集することとなった。そのため、5人そろっての練習が行えず、チームとしての戦略、連携面で不安を残したままの出発となってしまった。

 

湖山翔平選手 Sion(シオン)

鈴木将太選手 xENqLity(ゼンクリティー)

SPEEDERのリーダーであり司令塔。画面に顔を近づける独特なプレイスタイルが特徴。安定した強さがウリで、CSCTLのデスマッチ(個人戦)で優勝するなどの戦績を持つ。

チームのスナイパー役を務める。アーケードゲーム『Counter-Strike NEO』からのプレイヤー。eスポーツの国際大会"World Cyber Games 2006"日本予選の『Counter-Strike 1.6』部門で3位に入賞した経験あり。チームのムード―メーカーでもある。

 

谷口純也選手 noppo(ノッポ)

浅野幸弘選手 Twist(ツイスト)

FPSの強豪チームひしめくスウェーデンに単身留学し、eスポーツのプロプレイヤーを目指す。World Cyber Games 2006で『Counter-Strike 1.6』日本代表に選ばれた経験を持つ。チームではつねに先陣に立ち、突破口を切り開くアサルター役。

Noppo選手と同じアサルター役のひとり。ロシア国籍の選手で、日本在住時、SPEEDERにスカウトされる。機械のような精密な動きと堅実なプレイが特徴で、遠距離戦を得意とする。

 

藤田州一朗選手 fushu(フシュ)

アメリカ在住の『Counter-Strike 』プレイヤー。渡航直前のアクシデントのなか、急きょSPEEDERに編入。助っ人としてESWC 2008 Grand Finalに参戦する。

 

 『Counter-Strike 1.6』の試合形式は、テロリスト(守備側)とカウンターテロリスト(攻撃側)に分かれて前後半15ラウンドずつを戦い、16ラウンド先取したチームが勝利となる。今大会には35ヵ国の代表チームが参加。8つのグループに4〜5チームずつ分かれて、総当たり形式のグループリーグ予選を行った。そしてグループリーグの上位2チームが決勝トーナメントに進出し、ダブルイルミネーション(敗者復活戦)形式で優勝を争うという流れになっている。

 

 SPEEDERはEグループでの出場。このグループには、スウェーデン代表FNATIC、ドイツ代表TEAM ALTERNATEなど、ESWCをはじめ、数々のeスポーツの国際大会で好成績を残している強豪チームがひしめく。もうひとつのギリシャ代表VATOS LOCOSも近年頭角を現しているチームという、日本代表にとってはまさに死のグループリーグといえる。とくにFNATICは、数々の強豪チームを生み出しているスウェーデンという国の中でもトップレベルのチームだ。

 

 そんななか、1回戦はいきなりスウェーデン代表FNATICと激突。度重なるアクシデントのなか、チームとしての練習不足から動きに精彩を欠き、さらに助っ人であるfushuとの連携も取れず、合計スコア0:16と完敗を喫する。試合を振り返り、sion選手は「試合前のコイントスに恵まれず、FNATICが得意とするマップを選ばれてしまったのが痛かった。壁抜き(壁の薄いところを撃ち、壁越しの相手を銃撃するテクニック)の精度が高く、チーム連携もままならないなか、いいようにやられてしまった」と語った。

 

 続く第2試合の相手は、ドイツ代表TEAM ALTERNATE。前半、SPEEDERは序盤でポイントを奪われるものの終盤で盛り返し、6:9で折り返す。だが、ここで思わぬアクシデントが発生する。相手チームからサーバーダウンしたとの報告が受け、審判が試合を中断。この中断が響き、後半戦で勢いを止められてしまい、8:16でグループリーグ敗退が決定してしまった。

 

 苦い思いを噛み締めながらの第3試合。ギリシャ代表VATOS LOCOSとの試合では、前半戦こそ7:8で落としてしまうものの、後半戦に入ると9:2と圧倒。結果、16:10で勝利し、一矢報いる形となった。sion選手は「こちらのチーム連携がまとまり、うまく戦えた。後半戦はnoppo選手の活躍もあって勝つことができた」と述べた。

 

▲『Counter-Strike 1.6』はPCを5台横並びにした形式で行われる。選手の座り位置により、マップのどのポイントから攻めるかや、使用する銃器の種類など、試合での役割が決まってくる。また、司令塔であるリーダーが試合状況を把握するため、左右の選手がモニターの角度を中央に見えるよう調整することもあるそうだ。

 

▲FNATIC戦終了後、ミーティングを行うSPEEDER。敗戦の原因を全員で話し合い、つぎの試合で活かす。サッカーなどの団体スポーツと同じチーム戦である分、ミーティングによる分析の重要度は高い。

 

Eグループ試合結果

第1試合 SPEEDER 対 FNATIC(スウェーデン) Map:de_nuke

前半 SPEEDER(CT)0:FNATIC(T)15

後半 SPEEDER(T)0:FNATIC(CT)1

合計 SPEEDER 0:FNATIC 16

第2試合 SPEEDER 対 TEAM ALTERNATE(ドイツ) map de_dust2

前半 SPEEDER(CT)6:TEAM ALTERNATE(T)9

後半 SPEEDER(T)2:TEAM ALTERNATE(CT)7

合計 SPEEDER 8:TEAM ALTERNATE 16

第3試合 SPEEDER 対 VATOS LOCOS(ギリシャ) map de_dust2

前半 SPEEDER(T)7:Team VATOS LOCOS(CT)8

後半 SPEEDER(CT)9:VATOS LOCOS(T)2

合計 SPEEDER 16:VATOS LOCOS 10

 

  グループリーグ終了後、SPEEDERの選手に話を聞いたところ、xENqLity選手は「急なメンバーチェンジなどあり、5人揃って練習ができなかったのが痛かった。練習さえできていれば勝てた試合もあり、そこが残念だ」と悔しさを語った。また、sion選手は「海外の選手たちはチーム連携や仲間へ報告する方法などが優れていた。海外の技術を学び、つぎに活かしたい」と話した。個々の反省点があがったなか、彼らの共通した意見は「楽しく試合ができた」ということ。noppo選手からは「個々のスキルが世界の強豪チーム相手に通用したことに手ごたえを感じた」というつぎにつながるコメントが聞けるなど、敗戦の悔しさよりも、得られたものの大きさを噛み締めていたようだった。最後に、今後について聞いたところ、「日本で再び『Counter-Strike 1.6』の大会が開かれるようであれば、ぜひ参加したい」と全員一致で語っている。

 

 SPEEDERの選手が持つスキルは、強豪チームの選手と比べても十分対抗できるレベルにあると思えた。それに加え、グループリーグ敗退後、強豪チームの試合を観戦し、ひとつでも多くの技術を海外勢から学ぼうとしていたりと、努力を惜しまない姿勢にも素晴らしさを感じる。ただ、残念なことは、『Cpunter-Strike 1.6』をはじめ、海外で人気のあるeスポーツタイトルで日本勢が強くなるために必要な、つねにプレイヤーどうしが切磋琢磨し、競い合う環境が少ないことだ。オンラインによる対戦が行えるタイトルもあるが、海外との試合ではどうしてもラグが発生したりと、イコールコンディションを求めることが難しい。また、国内トップクラスのSPEEDERゆえに、近場で相手を捜しても対戦を断られるケースが多いという事実もある。競い合いができる環境がなければ、いくら技術を持ち帰っても練習を行えず、海外勢との差は広がってしまうわけだ。

 

 『Counter-Strike』はeスポーツという視点から見ればバランスのとれたゲームで、長年日本のプレイヤーにも親しまれてきているが、そのぶん作品としての魅力が低減してプレイヤー離れを招くなど、諸問題を抱えているのも事実。今後いかに『Counter-Strike』の魅力を伝え、それに共感したプレイヤーのなかから海外勢に対抗しうる選手を生み出すかが、今後の課題となってくるはずだ。

 

 なお、ESWC2008の『Cpunter-Strike 1.6』男子部門では、ポーランド代表MYM.PGS(PGS GAMING)が韓国代表ESTROを僅差で破り、優勝に輝いている。(文責:小里浩一/マグナマ吟)

 

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