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『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』開発陣にインタビュー

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●異色の格闘ゲームの誕生秘話が明らかに
 

 ダレットのオンライン対戦格闘『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』の”せいしきサービス前夜祭!!(ちょっと長い夜だけど…)”が、2008年6月10日にスタートした。これは、オープンβテストに相当するサービスで、いよいよ正式サービスの開始が近づいてきた。そこで、ダレットの開発、運営陣にインタビューを敢行した。

 

波多弘幸氏(戦略局局長)

 

内田洋平氏(戦略局編成室コンテンツプロデューサー)


――『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』のプロジェクトがスタートしたきっかけは?

 

波多弘幸氏(以下、波多) ごく簡単に言うと、オンラインで手軽に遊んでいただきたいコンテンツを用意したいという思いがありまして、『ストリートファイター』シリーズをもとに、そのようなコンセプトをどのように実現できるかというのが発端でした。たとえて言うならば、もともとの『ストリートファイター』はインド料理で、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』はカレーライスのようなものと考えるとわかりやすいかと思います。恐らく、インド料理しか食べたことのない人が、初めてカレーライスを食べたら「これはインド料理じゃない」と思うことでしょう。ところが、カレーライスが進化していくことで「これはこれでアリかもしれないね」と思うかもしれません。

  同じように、『ストリートファイター オンライン マウスジェレーション』も、『ストリートファイター』のスピリットを継承しつつ、オンラインでカジュアルに楽しめるゲームとして進化させていきたいと思っています。カレーライスにトッピングを加えることがありますが、本来のものに付け加えていくことで、自分なりのものに近づいていきます。『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』もオンラインゲームなので、ユーザーのかたの要望に応えて機能を継続して追加していけます。カジュアルという点で言えば、インド料理はちゃんとした料理店に入って食べるものですが、カレーライスなら街を歩いているときにいい匂いがしたら気軽に入って食べられますよね。

 

――クローズドβテストで”ガマン”や”ナゲ”が実装されて、本格的な格闘ゲームの方向に向かうと思いましたが、根底はやはりカジュアルなんですね。

 

波多 そうですね。本来の『ストリートファイター』との違いは、やはり手軽に楽しめるところです。『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』のマウスによる操作は、『ストリートファイター』のプレイヤーがスキルを磨き上げたコマンド入力を、簡単に出せてしまいます。ですから、基本的に誰でも手軽に楽しめるゲームです。しかし、ただ簡単になっているだけではありません。もうひとつ『ストリートファイター』と少し違うところがあるのですが、それは選択の幅が広がっていることです。カレーライスのトッピングではないですが、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』は、キャラクターの腕や脚部などのパーツを組み替えることができますから。”ガマン”や”ナゲ”もトッピングの要素を増やしたということなんですね。基本の部分のカジュアルさは変わらずに、トッピングの要素が増えたと思っていただきたいですね。

 

内田洋平氏(以下、内田) カジュアルというのは、操作が簡単であったり、PCの動作環境が高くないことであったり、遊ぶための敷居が低いことであると思っています。一般のPCゲームはソフトをダウンロードしてインストールしなければなりませんが、Webブラウザーから起動できるとか、ダレットの会員であれば、ブログと共通のIDとパスワードで遊べるとか、そういう手軽さを我々はカジュアルと考えています。それに加え、アピールの手段も重要です。コアな格闘ゲーム向けにアピールをするのか、一般のユーザー向けにアピールするのかによって手段は違いますよね。
 


――より一般向けのアプローチとはどういった方法でしょうか?

 

内田 たとえば、先日から始めたのですが、電車のつり革に広告を入れています。雑誌の広告もゲーム専門誌だけに出すのではなく、テレビ情報誌に出したりしています。テレビとゲームは普通に考えると関係ないどころか、バッティングするメディアです。ライバルになりそうですが、そこはカジュアルという部分で共通していますよね。

 

波多 少し補足します。一般向けのアプローチという点では、これまでのゲームの広告展開を超えたやり方を考えています。人間の1日の行動を考えますと、24時間のうち、寝る時間や働く時間、食事を摂る時間などをさし引くと、余暇として使える時間は5時間程度。その5時間で何をするか、もちろん人によって違いますが、ある人は2時間使って友だちとカラオケに行く。1時間はお菓子を食べながらマンガを読む。友だちと1時間電話をする。残りの1時間でパソコンショップに行く。そうした時間の刻み方をしたときに、そのすべてに『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』が絡んでくるような展開を考えています。たとえば、カラオケの通信システムの中に宣伝を入れる。カジュアルなレストランにタイアップ的なものを仕込んでおく。PCメーカーとタイアップして、PCにゲームをバンドルで入れてもらう。人間の消費行動で本来だったらゲームとは関係のないところでも、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』が顔を出すようにしたい。ですから、これからもいろいろなタイアップをしていこうと思っています。いままでゲームのユーザーではなかった人にも届くように、さまざまな機会で認知してもらいたいですね。

 

三澤剛氏(以下、三澤) 私は格闘ゲームがあまり上手くはないのですが、自分のような人でも十分楽しめるように作ることを重視しています。たとえば、ザンギエエフというキャラクターがいますが、いままでの『ストリートファイター』ではレバーを2回転させて出す技などの操作が難しかったですよね。『ストリートファイター』ではそのような難しい技を出すことを目指してスキルを磨くこともおもしろさに繋がるのですが、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』では、それを誰でも出せるように作っています。

 

 そしてもうひとつ。『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』はオンラインゲームですので、どうしても通信による遅延が生じてしまうのです。相手が出した技が自分のPCに表示されたときには、すでにいくらかの時間が経っています。『ストリートファイター』は初代から『EX』に至るまで、さまざまな要素を加え昇華していきました。シリーズを追うごとに駆け引きの妙味は増していったのですが、そうした要素をネットワークに持ち込もうとすると、どうしても遅延のおかげでうまくいきません。そこで、そのような要素を取り払い、マウスによる操作で通信の遅延を感じさせないゲームに仕上げました。私が目指したカジュアルはそうした部分で、格闘ゲームに習熟した人も、そうでない人も同じ土俵で遊べるものを念頭に置いています。

 

三澤剛氏(制作部技術室テクニカルディレクター)

 

渡辺賢作氏(オンラインサービス部コンテンツオペレーション室)

 

――マウスによる操作というのは大きな要素なんですね。

 

三澤 そうですね。

 

内田 ゲームパッドが必要ということになると、それだけでひとつの障壁になります。PCショップに行ってゲームパッドを買わないと遊べませんから。インターネットに接続さえすれば遊べるというところが一般向けとして重要だと思います。

 

波多 いままでのPCゲームには、ゲームパッドがないと遊べないものもありましたが、こうした制約の中で限られた人しか遊べないケースが多かったように思います。『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』では、いろいろな人にゲームのおもしろさを体験していただきたいと思っています。たとえば、家電量販店でも出会いが生まれることを期待しています。PCでゲームを遊んだことのない人がマウスを買いに来て、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』を目にする。「これ、何だろう? マウスだけで遊べるんだったらやってみようかな」となったらいいなあと思います。ですからウスを作っているメーカーとのコラボレーションも考えています。

 

――マウスによる操作の開発は順調に進んだのですか?

 

三澤 やはり試行錯誤はありました。開発当初は普通にゲームパッドやジョイスティックでの操作を考えていたのですが、どうしても越えられない通信遅延の壁に当たったのです。現在のオンラインゲームでは1フレームの駆け引きが物理的にできないのですね。押したはずなのに即座に反応してくれないゲームになってしまうので、そのまま作ってもうまくいきません。「どうしよう?」となったときに、ある日突然、「マウスがいいんじゃない?」という話になって。そこからこの企画に弾みがつきました。

 

内田 捨てたものは多いです。”しゃがみ”を捨てましたし、6ボタンによる操作を4ボタンにしましたので、中パンチ、中キックはなくなりました。開発途中では、”マウスジェスチャー”といって、マウスを動かして波動拳のコマンドを入力するようなやり方も考えていたのですが、「やっぱり(操作が)難しすぎるよね」ということになりました。疲れますしね。いまはカーソルに追従してキャラクターが動くのですが、ゴムで引っ張られるような慣性で動く方式を考えていた時期もありました。

 

波多 太字で「試行錯誤の連続」とだけ書いてもらってもいいかもしれない(笑)。まあ、でも試行錯誤の根底には、限られた人だけではなく、オンラインで多くの人に楽しんでもらいたいという思いがあったのです。『ストリートファイター』のスタイルを否定する気はまったくありませんが、そのスピリッツを継承しつつ、もっと多くの人に遊んでもらうにはどうしたらいいのかを考え続けてきたが故の試行錯誤なんですよ。
 


――話は変わりますが、海洋堂のリボルテックとのコラボレーションは早い段階から決まっていたのでしょうか?

 

波多 海洋堂さんのご協力は非常に大きかったですね。最初にお話を持っていったときから非常に協力的に対応していただきました。これはぜひ、太字で書いていただきたいのですが、海洋堂さんのフィギュアが本当にいいデキに仕上がっています。ぜひリュウや春麗のフィギュアのよさを実感していただきたいですね。ザンギエフとかもかっこよくできています。

 

――海洋堂とのコラボレーションは、体の各部をパーツに分けて、ほかのキャラクターのパーツにつけ替えられるというシステムにマッチしていますね。

 

波多 そうですね。生身の人間でパーツをつけ替えるというのは、やはり抵抗感があるかもしれません。人形化してしまうという心理的なデフォルメにより、それをクリアーできたと思います。

 

――アイデアとしては、パーツのつけ替えが先でしょうか? それともコラボが先でしょうか?

 

三澤 先につけ替えたいというアイデアがありました。そこで、「ならばフィギュアに」という話になったんですね。ただ、そのときにはそこまで海洋堂さんが協力してくれるとは思っていませんでした。

 

内田 マウスでの操作が決まるとほぼ同時に、フィギュアという考えが生まれたんです。最初はマウスで操作するにしても、キャラクターをひもで引っ張るようなタイプを考えていたんです。「ひもで引っ張るのなら人間でなくて人形」、「じゃあフィギュア」、「フィギュアだったらつけ替えたらおもしろいよね」という流れでした。その段階で一気にゲームの根幹が固まりました

 

三澤 パーツをつけ替えられるようにしたことで、遊びの選択肢が広がったことはたいへん大きかったですね。新しい格闘ゲームの妙味が生まれたと思っています。最終的にはユーザーのみなさんが評価を下すことになりますが、私たち開発者からすれば、新しいゲーム性を開拓できたという思いがあります。

 

内田 やはり制作途中には葛藤がありました。たとえば、春麗とザンギエフのパーツを組み替えるとしたら、女の子のキャラクターに男のパーツを入れていいのか? 『ストリートファイター』の世界をぶち壊しにしてしまうのではないか、と。最終的にはそれでも行こうというという話になったんですけれどね。

 

――クローズドβテストでのユーザーの反応は?

 

渡辺賢作氏(以下、渡辺) クローズドβテスト期間中にアンケートを採ったのですが、カジュアルゲームのユーザーが多かったことが意外でした。もちろん『ストリートファイター』シリーズが好きな方もいらっしゃったのですが。反応としては、大きくふたつに分かれまして、「これは『ストリートファイター』じゃない」とおっしゃる方もいらっしゃったのですが、逆に「このまま突き進んでほしい」と好感をもってくださった方も多かったです。要望では、『ストリートファイター』シリーズに限らず、ほかのタイトルのキャラクターを登場させてほしいという意見が目立ていました。

 

波多 全体的にネガティブな評価ではなかったですよ。

 

三澤 クローズドβテストではカジュアルな方向に振ることを心がけていたのですが、それが行きすぎたのか、単純になってしまったことを反省しています。単純ゆえに必勝パターンを生み出してしまったのです。簡単にできるのですが、ライトなユーザーが勝てない状況が生まれてしまって、コアなユーザーも駆け引きが少ないことを物足りなく感じたようです。こうした声を取り入れて実装したのが”ガマン”や”ナゲ”なんです。”ナゲ”は最後まで導入を迷い、”ナゲ”を使える日と、使えない日を設定して意見を聞いたのですが、おおむね好評な評価をいただきました。マニアックになりすぎずに導入できたと思っています。ただし、まだ少し使いにくい部分が残っていますので、継続して調整していきます。

 

――”ガード”や”防御”ではなく、なぜ”ガマン”という名称なんでしょうか?

 

三澤 やはり、これまでの『ストリートファイター』の”ガード”とは違うからです。『ストリートファイター』を極めた人は、相手の攻撃を1フレーム単位で見極めて受け流すんですね。それが芸術の域にまで達している人もいますが、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』では、通信のラグがあることでそれができません。どうしても違うものになってしまうからなんです。

 

波多 ”ガード”や”防御”と言ってしまうと、過去に”ガード”や”防御”で技を極めた人たちに申し訳ないという気持ちもありました。

 

――ユーザーからの要望では、『ストリートファイター』以外のキャラクターを入れてほしいというものが多かったそうですが、具体的に検討されているものはあるのですか?

 

内田 いくつか検討していますし、すでに決定しているものもあります。もちろん『ストリートファイター』のキャラクターでまだ登場していないものについても実装していきます。

 

波多 このインタビューを読んだ方が「こういうキャラクターを入れてほしい」と思われたら、ぜひご意見を送っていただきたいですね。ユーザーのみなさんの声が大きければ、実現できないものはないんですね。

 

内田 カプコンのタイトル以外でも検討しますので。

 

波多 ユーザーのみなさんといっしょに作り上げることを、ずっと大切にしていきたいと思っています。2008年6月10日から”せいしきサービス前夜祭!!(ちょっと長い夜だけど…)”がスタートしましたが、参加した方からいろいろな意見をいただきたいと思っています。その意見を僕らが判断して、『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』をユーザー色に染めていきたいですね。
 


※『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』の公式サイトはこちら

 

 

 

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