2022年4月21日、3gooよりNintendo Switch版『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』が発売された(PS5版とPS4版は2021年10月28日発売)。

 本作はFIAより公式ライセンスを受けた、ラリーレーシングゲーム。インプレッサ、セリカ、カローラなどの20台以上の名車が登場し、当時注目を集めたクルマで伝説のラリーに挑戦していくタイトルとなっている。

 定番のレースゲームとは異なり、ラリーをメインコンテンツに据えた本作。レースをナビゲートしてくれるコ・ドライバーの存在など、ラリーレーシングらしいシステムも搭載されている。

 本記事では、『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』の魅力を分析しつつ、後半では一般的なレースゲームの代表として、『ギア・クラブ アンリミテッド 2』との違いも比較して紹介していこう。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
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精密な操作が求められるプロフェッショナルなレースゲーム

 本作でプレイすることになるのは、ラリーレーシング。ほかのクルマと並んで競争するのではなく、ゴールタイムを競うタイムアタック競技だ。

 クルマどうしが激突してクラッシュしたり、追い抜きのテクニックなどが求められるレースとは異なり、精密かつ的確に最速で走り抜けることが重要視される。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 登場するクルマは、インプレッサ、セリカ、カローラなどの20台以上の名車たち。本作はWRCの歴史を味わう50周年記念タイトルということもあり、懐かしいクルマも多数登場している。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 使用するクルマはカラーリングの変更、デザインの追加などのカスタマイズも可能。とくにカラーリングはバリエーションが非常に豊富で、ゲームを進めるごとに使える色が増えていく。

 お気に入りのクルマを自分好みに改造し、ショールームで撮影を楽しむ機能もあるため、WRCファンは間違いなくハマるはず。車体にはステッカーもつけられるので、好きなようにカスタマイズしてレースに参加しよう。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 肝心のレースについては、一般的なレースゲームと比べるとかなり難しく感じた。操作性に難ありというわけではなく、要求される操作や技術が多いのだ。

 アクセル全開でひたすら走り続けるだけでなく、頻繁なギアチェンジの調整が必須テクニックで、全体的に玄人向けの印象を受ける。そのぶんギアシフトはBボタンでシフトアップ、Yボタンでシフトダウンが即座にでき、操作自体は快適だった。

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 ラリーレーシングは交通が遮断された一般道を利用していることもあり、操作ミスが起きるとすぐにコースアウトしたり、車体が揺れて速度が落ちてしまうことも。慣れないうちは、頻繁に崖から落下をくり返す事故が発生していた。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 正直に書くと、最初にプレイした際はうまく操作もできず、スピードも出せないため難しいゲームだという印象が強かった。しかし、特徴的な要素であるコ・ドライバーの仕組みを理解してからは、うまく操作することで得られるカタルシスを十分に味わえた。

 コ・ドライバーは、助手席に座ってドライバーの道案内をするナビゲーターのような存在。WRCではドライバーとコ・ドライバーがペアとなった参戦し、レース中に必要な情報を伝える役割を果たしてくれる。ラリーレーシングにおいては、欠かせない存在というわけだ。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
コ・ドライバーの性別な国籍なども自由に選べる。

 ゲーム内では日本語のボイスによる案内と、画面上部にアイコンを表示させる形でコ・ドライバーは活躍してくれる。運転の最中につぎのコーナーや路面の状況を教えてくれるのだが、このナビゲートが驚くほどによくできていた。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 前述した通り最初はコースアウトの頻発、スピードも出せずタイムが伸びないという状態だったのだが、コ・ドライバーの案内に従うと途端にキレイに走れるようになった。

 ナビの声に従ってコース取りをして、ギアシフトをしながら走っていると、自分がプロになったかのような奇妙な一体感を得られる。難しいと思っていた操作に確かな手応えも覚え、すっかりレースに魅了されてしまった。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 アクセル全開で対戦相手を追い抜くレースゲームもおもしろいが、それとはまったく違った楽しさを味わえるのが本作の魅力。走れるコース自体も豊富なので、一度操作を覚えてしまえば快適な走りを楽しめるだろう。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

キャリアモードで本格ラリーレーシングに参加しよう

 本作には好みのステージを運転するクイックゲームや、タイムを競うシーズンモードなどがあるが、その中でも特徴的なのがキャリアモードだ。

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 キャリアモードは、自分だけのチームを作って、ラリーレーシングに参加するいわゆるサクセスモード。ただレースで走るだけでなく、クルーの管理やトレーニング、クルマの調整など実際にチームを運営しているようなゲーム体験が楽しめる。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 このモードでは、メカニックやエージェントなどのクルーを一年契約で雇ったり、毎週のスケジュールを決めてチームとしての実力を上げていく。トレーニングや、クルーの休憩、そして定期開催されるラリーレーシングに参加して実績を残すのが目標だ。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 ラリーレーシングのルールも本格的で、数日にわたって開催されるレースで、よりよいタイムを残さなくてはならない。その最中にはクルマの修理も必要になり、多くの部位を修理するとタイムペナルティが発生することも。

 ベストタイムを目指すのはもちろん、クルマが壊れないように気をつけて運転する必要があったりするなど、本格的なシステムになっている。レース以外の管理も求められる複雑なモードだが、WRCが好きな人は最高のチームを目指すことにやりがいを感じられるだろう。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
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 レースを終えると、メーカーからの評判が上がったり、経験値も獲得できる。レベルが上がればスキルを習得して、新たなクルーを雇えるようになったりと、長期的にやり込めるコンテンツだ。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
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 キャリアモード以外にも、WRCの歴史を振り返る50周年記念モードも見逃せない。こちらは1960年代まで振り返り、当時のレースを再現して走れるというもの。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 当時のクルマやコース再現だけでなく、かつての伝説についても紹介されているので、WRCの歴史を振り返るには最適なコンテンツだ。ファンはもちろんだが、最近WRCを知ったという人も、このコンテンツでかつてのレースを体験してみてほしい。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

『WRC10』と『ギア・クラブ アンリミテッド 2』の違いを紹介。それぞれのレースゲームの楽しみかた

 紹介してきた通り、『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』は一般的なレースゲームとはやや毛色の異なるタイトルだ。ラリーレーシングが主体なのはもちろんだが、操作性やコ・ドライバーの存在など異なる点は多々ある。

 ここでは、3gooから販売されている『ギア・クラブ アンリミテッド 2』を例として、その違いについて紹介していこう。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 まず大きく異なるのは、やはりレースモード自体の違いだ。1台だけで走りタイムを競う形の『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』に対して、『ギア・クラブ アンリミテッド 2』では12台のクルマが同時にコースを走ることになる。

 ほかのクルマが前や後ろを走るので、互いにぶつかったり、ムリな走りかたをして強引に追い抜いたりすることも日常茶飯事。あまり深く考えず、直感的にプレイできるのが一般的なレースゲームのおもしろさと言えるだろう。

 どちらのほうがよい、というよりはプレイヤーが得られる体験がまったく別のものというのが筆者の所感。ぐんぐんスピードを出す気持ちよさを味わえるレースゲームと、精密な操作で美しくコースを走りぬくラリーレーシング。トップスピードを出す気持ちよさと、うまく操作できた時の心地よさはまったくの別物で、どちらも味わい深い。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 『ギア・クラブ アンリミテッド 2』特有のシステムではあるが、運転アシストの機能が充実しているので、深く考えずにクルマを走らせたい人なら『ギア・クラブ アンリミテッド 2』のようなゲームのほうが楽しめるだろう。マルチモードも分割プレイ、ローカル、オンラインと充実しているため、大人数でレーシングをしたい人向けのカジュアルな作りになっている。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
『ギア・クラブ アンリミテッド 2』は運転アシスト機能が充実しており、初心者でも遊びやすい。

 一方の『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』はギアシフトが頻繁に求められるため、マニュアル車の運転が好きな人はとくにおもしろく感じるはず。ギアシフトをした際のエンジン音も小気味よく、クルマを運転している感覚を強く得られるのが魅力的だ。

 また、『ギア・クラブ アンリミテッド 2』にもキャリアモードが搭載されているが、こちらは『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』に比べると複雑ではなくわかりやすい。クルーの管理などは必要なく、シンプルにレースで勝ち進んでいくタイプなのでより気軽に楽しめるだろう。

 キャリアモードは、テストドライバーだったプレイヤーが成り行きからチームの正式なドライバーとして任命され、数々のライバルと競い合うストーリー仕立てになっている。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 『ギア・クラブ アンリミテッド 2』ではきびしいスケジュールなどもなく、ストーリーを進めるだけでなく、フリーレースなどにも参加が可能。マップ上にはディーラーやレースなどが点在しており、いつでも自由にアクセスできるので気楽に遊べるのがポイントだ。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 レースに参加していい成績を残せば、新しいクルマや賞金が手に入る。そして、その賞金で新たなクルマを購入するというのがキャリアモードの醍醐味だ。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 各地のディーラーに行けばBMWや日産、ポルシェなどさまざまなメーカーのクルマが購入できる。市販車はもちろんのこと、近年登場したスーパーカーやスポーツカーも実装されていた。

 本作には全部で70車種以上が実装されているため、なじみのある憧れのクルマを運転したいという人にとっても、『ギア・クラブ アンリミテッド 2』はうってつけだ。最初は資金も少なく、なかなか手を出せないスーパーカーを購入するため、レースで勝ち続けてお金を貯めようというモチベーションにもなってくれる。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング
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 また、購入したクルマはエンジンなどを改造したアップグレードも可能だ。苦労して手に入れたクルマをカスタマイズし、さらなるレースに挑むのがキャリアモードの楽しみかたとなる。

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 キャリアモードだけでも十分すぎるほどやり込めるが、本作にはほかにもクラブやリーグといったマルチプレイモードも見どころだ。クラブを設立、あるいは加入するとひとつのチームとして、世界中のプレイヤーとリーグで対戦できるようになる。

 気の合う仲間たちとクラブを作ったり、車種の好みが一致するメンバーだけで集まったりと、レースゲームやクルマ好きが集まれるのがクラブの特徴だ。キャリアモードをある程度進めたら、クラブに加入してオンラインモードもプレイしてみてほしい。

『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』プレイレビュー。道案内となるコ・ドライバーのアシストを頼りに最速を目指すラリーレーシング

 両方のゲームをプレイしてみると、『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』はクルマ好きの玄人向け本格シミュレーター、『ギア・クラブ アンリミテッド 2』はスーパーカーでカジュアルに楽しめるゲームといった印象を受けた。

 どちらのゲームもおもしろいが、本格的な操作でクルマを走らせたいという人は『WRC10 FIA 世界ラリー選手権』を試してみてほしい。

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